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○市町村障害者生活支援事業の実施について

(平成八年五月一〇日)

(社援更第一三三号)

(各都道府県知事・各指定都市市長・各中核市市長あて厚生省社会・援護局長通知)

標記について、在宅の障害者やその家族の地域における生活を支援するため、今般、別添のとおり「市町村障害者生活支援事業実施要綱」を定め、平成八年四月一日より実施することとしたので、管下市町村に対して周知願いたい。

なお、本事業の実施主体は市町村であるが、一定の圏域を単位として整備する方針であることにかんがみ、広域的な取組みが必要であるので、円滑な事業実施が図られるよう関係市町村に対する指導援助について配慮願いたい。

(別添)

市町村障害者生活支援事業実施要綱

一 目的

市町村障害者生活支援事業(以下「生活支援事業」という。)は、在宅の障害者に対し、在宅福祉サービスの利用援助、社会資源の活用や社会生活力を高めるための支援、ピアカウンセリング、介護相談及び情報の提供等を総合的に行うことにより、障害者やその家族の地域における生活を支援し、もって在宅の障害者の自立と社会参加の促進を図ることを目的とする。

二 実施主体

生活支援事業の実施主体は、市町村(特別区を含む。以下同じ。)とする。

ただし、事業の全部又は一部を、次に掲げる施設等を運営している地方公共団体、社会福祉法人等であって、適切な事業運営ができると認められるものに委託することができる。

(一) 身体障害者更生施設等リハビリテーション施設

(二) 身体障害者療護施設等生活施設

(三) 身体障害者福祉センター、身体障害者デイサービスセンター等機能訓練実施施設

(四) 障害者に対する相談・援助活動を実施している社会福祉協議会等

三 利用対象者

生活支援事業の対象者は、地域において生活支援を必要とする身体障害者等及びその家族とする。

四 事業内容

生活支援事業の実施主体又は二により委託を受けたもの(以下「生活支援事業実施者」という。)は、次に定める事業を行うこととする。

(一) ホームヘルパー、デイサービス、ショートステイ等の利用援助

ア サービス情報の提供

イ サービス利用の助言

ウ 介護相談

エ 利用申請の援助

オ その他必要な保健医療サービスの利用援助

(二) 社会資源を活用するための支援

〔支援の具体例〕

① 授産施設、福祉工場、作業所等の紹介

② 福祉機器の利用助言

③ 情報機器の使用指導

④ 料理等の指導(料理、裁縫)

⑤ コミュニケーションの支援(代筆、代読等)

⑥ 外出の支援

⑦ 移動の支援

⑧ 住宅改修の助言

⑨ 住宅の紹介

⑩ 生活情報の提供(交通、ホテル、買物、映画、音楽等)

(三) 社会生活力を高めるための支援

社会生活力を高めるために、社会生活訓練プログラム等を実施する。

〔プログラムの具体例〕

① 自分と障害についての理解

② 家族関係、人間関係

③ 介助サービスと介助者

④ 身だしなみ

⑤ 健康管理

⑥ 家事、家庭管理

⑦ 金銭管理

⑧ 安全管理

⑨ 生活情報の活用

⑩ 交通・移動手段の利用

⑪ 趣味、余暇活動

⑫ 人生設計

(四) ピアカウンセリング

障害者自身がカウンセラーとなって、実際に社会生活上必要とされる心構えや生活能力の習得に対する個別的援助・支援

(五) 専門機関の紹介

障害者のニーズに応じ、身体障害者更生相談所、職業安定所、「障害児(者)地域療育等支援事業」及び「精神障害者地域生活支援事業」の実施主体、医療機関、保健所等専門機関の紹介

五 職員配置等

(一) 生活支援事業を行うため、ア又はイのいずれかに該当する者を一名常勤(専従)で配置するものとする。

ア 社会福祉士等のソーシャルワーカーで障害者の相談・援助業務の経験がある者

イ 保健婦、理学療法士、作業療法士等で障害者の相談・援助業務の経験がある者

(二) 生活支援事業を効果的に実施するため、専門的技術を有する者(社会福祉士、介護福祉士、医師、保健婦、理学療法士、作業療法士、建築士、エンジニア等の専門援助者)を必要に応じ嘱託職員として確保するものとする。

(三) 職員の責務

ア 生活支援事業に従事する者は、利用者及び利用世帯のプライバシーの尊重に万全を期すものとし、その業務に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならない。

イ 生活支援事業に従事する者は、事業の果たすべき役割の重要性に鑑み、各種研修会への参加や他の職種との交流等あらゆる機会をとらえ、生活支援技術の向上を図るための自己研鑽に努めるものとする。

六 事業実施上の留意事項

(一) 生活支援事業実施者は、生活支援事業の趣旨を踏まえ、職員の勤務時間を調整する等により、夜間、休日等利用度の高いと考えられる時間帯に対応できる運営体制をとるものとする。

(二) 生活支援事業実施者は、相談受付票を備えて、継続的支援の実施を図るものとする。

(三) 生活支援事業実施者は、生活支援事業に係る経理と他の事業に係る経理とを明確に区分するものとする。

七 市町村の役割

(一) 市町村は、事業実施主体としての役割をふまえ生活支援事業実施者と緊密な連携を図り事業の円滑な実施に努めること。

(二) 市町村は、生活支援事業実施者の意見を十分尊重し、公的保健福祉サービスの提供に努めること。

(三) 市町村は、生活支援事業実施者が他の市町村の障害者等も対象として実施する場合には、関係市町村との積極的な連携を図り、円滑な事業の実施に努めること。

(四) 市町村は、生活支援事業実施者に対し、相談内容、生活支援の状況等について、年一回以上定期的な事業実施状況の報告を求めるとともに、必要に応じて実施状況の調査を行うものとする。

また、調査の結果、本事業の機能が十分果たすことができないと認められる場合は、事業の委託を取り消すものとする。