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○視聴覚障害者情報提供施設等の設備及び運営について

(平成二年一二月一七日)

(社更第二四七号)

(各都道府県知事・各指定都市市長あて厚生省社会局長通達)

老人福祉法等の一部を改正する法律(平成二年法律第五八号)の一部の施行に伴い、別紙のとおり「視聴覚障害者情報提供施設及び補装具製作施設の設備及び運営基準」を定め、平成三年一月一日から適用することとしたので、今後は、この基準に基づき、これら施設の整備及び運営に遺憾なきを期されたい。

なお、昭和六○年一月二二日社更第七号本職通知「点字図書館等の設備及び運営について」は廃止する。

おって、聴覚障害者情報提供施設の設備及び運営基準については、改めて通知し平成三年四月一日から適用する予定である。

(別紙)

視聴覚障害者情報提供施設及び補装具製作施設の設備及び運営基準

第一章 共通事項

第一 立地条件

視聴覚障害者情報提供施設及び補装具製作施設(以下この章において「施設」という。)の設置に当たっては、安全の保持、交通の便等利用上の便宜を十分考慮し、効果的活用がなされる地を選定すること。

第二 建物の規模及び構造

一 施設の規模及び構造については、これを利用する身体障害者の障害の状況を考慮し、利用者の便、防災等について十分配慮するとともに施設の目的に合致するよう工夫されたものであること。

二 施設の建物は、原則として建築基準法(昭和二五年法律第二○一号)第二条第九号の二に規定する耐火建築物又は同条第九号の三に規定する簡易耐火建築物とし、建築基準法施行令第一九条第一項第一号に規定する児童福祉施設等に係る建築基準法令の規定に適合するものであること。

三 施設は、他の種類の社会福祉施設等と併設することができる。

この場合において、施設の効果的な運営を期待することができ、かつ当該施設の運営に支障がない場合には、設備の一部を共用することができる。

四 施設に係る土地及び建物については、前記の他、次の要件をみたすときは貸与を受けたものでも差し支えないこと。

(一) 継続的かつ安定的に事業が実施できる程度の期間の利用が確実であること。

(二) 賃借料が適正な額であり、その賃借料を払いうる確実な財源があること。

第三 職員

施設の職員は原則として当該施設の職務にもっぱら従事することができる者をもって充てるものとする。ただし、施設の管理運営に支障がない場合にはこの限りでないこと。

第四 管理規程

施設は、事業、職員、その他施設の管理についての重要事項に関する規程を定めておかなければならないこと。

第五 帳簿の整備

施設は、事業、設備、職員、会計等に関する帳簿を整備しておかなければならないこと。

第二章 補装具製作施設

第一 義肢装具の製作(修理)

一 義肢装具の製作(修理)に当たっては、補装具工作の容易さ、堅牢耐久性等を考慮した資材を選定し、補装具の基準に合致するものを使用するとともに、処方、適合判定及び調整等について特に留意すること。

二 身体障害者の身体的条件及び職業等の状況を詳知して、最適な義肢装具を選定し、各個人の特性に応じた処方に基づいて製作(修理)すること。

三 義肢装具の製作に際しては、周到な測定設計又は型採に従い仮合わせを行うこと。

四 義肢装具の簡単な修理であって機能的影響の殆ど認められないものは、義肢装具技術員だけの判定に基づき修理を行うことができること。

五 初めて義肢を適合する者には、正常歩行、回転、前屈運動、傾斜地、不整地歩行及び階段の昇降等基本となる使用訓練を行い、旧型義肢より新型義肢に変更する場合もでき得れば使用訓練を行い、かつ、義肢の構造、機能、取扱法、手入法について指導すること。

六 義手訓練においても作業義手の使途に応じた機能的利用法を習得せしめること。

第二 設備

一 補装具製作施設に必要な設備は、おおむね次のとおりとすること。

(一) 事務室 (二) 診断室 (三) 仮合室 (四) 型採室 (五) 作業室 (六) 訓練室

二 遠隔地から補装具製作施設を利用する者の便宜を図るため宿泊室を設けること。

三 仮合室、型採室、作業室を除く他の室については、肢体不自由者更生施設その他最寄りの施設を利用して差し支えないこと。

四 補装具製作施設には、補装具の製作(修理)等に必要な機械器具を備えること。

第三 職員

一 補装具製作施設には、次の職員を置くものとすること。

ただし、管理運営に支障がない場合には、他の職務を兼ねる

ことができる。

(一) 施設長 (二) 義肢装具技術員 (三) 訓練指導員

二 施設長は、社会福祉事業に五年以上従事した者又は施設長として必要な学識経験を有する者でなければならないこと。

三 義肢装具技術員は、義肢装具に関する解剖学的及び生理学的な基礎理論に精通し、かつ、義肢装具の製作に関し五年以上の経験を有する者でなければならないこと。

なお、義肢装具技術員のうちには、義肢装具の製作に関する専門の知識技能を有する義肢組立工を置かなければならないこと。

四 訓練指導員は、義肢装具に関する解剖学的及び生理学的な基礎理論に精通し、かつ、作業療法及び理学療法に関する知識を有する者でなければならないこと。

第四 価格

補装具製作施設において行う補装具の製作又は修理の価格は、昭和四八年六月一六日厚生省告示第一七一号「補装具の種目、受託報酬等に関する基準」の別表に掲げる価格の額の一○○分の九五に相当する額以下でなければならないこと。

第三章 視聴覚障害者情報提供施設

第一 種別

視聴覚障害者情報提供施設の種別は、点字図書館、点字出版施設及び聴覚障害者情報提供施設とする。

第二 点字図書館

一 業務

(一) 点字図書館は点字刊行物及び盲人用の録音物(以下「図書」という。)の貸出及び閲覧事業を主たる業務とし、あわせて点訳・朗読奉仕事業等の指導育成、図書の奨励及び相談事業を行うものであること。

(二) 関係行政機関及び障害者団体等と協力し、視覚障害者の文化、レクリエーション活動等を援助するとともに、その推進に努めること。

二 管理運営

(一) 点字図書館は図書を七千冊以上備え、教養、娯楽、学術の諸部門を網羅し、かつ、常に新刊書を整備するように努め、図書の閲覧貸出に関し出納を明確にすること。

(二) 他の点字図書館及び盲人福祉施設に付属する点字図書室等と緊密に協力し、図書の相互貸借を行い、公共図書館(図書館法(昭和二五年法律第一一八号)第二条にいう図書館)等の協力を得て視覚障害者の読書範囲の拡充を図るとともに、図書館資料の利用のための相談に応じ読書の指導及び奨励に努め図書目録の配布等により最も効率的な利用に努めること。

三 設備

(一) 点字図書館に必要な設備は、おおむね次のとおりとすること。なお、書庫の防火、耐火設備に留意すること。

ア 事務室 イ 閲覧室 ウ 録音室 エ プリント室 オ 聴読室 カ 発送室 キ 書庫 ク 相談室 ケ 研修室 コ 消火及び警報設備

(二) 点字図書館には、図書の貸出及び閲覧等に必要な事業用機材器具を備えること。

四 職員

(一) 点字図書館には、次の職員を置くものとすること。

ただし、管理運営に支障がない場合には、他の職務を兼ねることができる。

ア 館長 イ 司書 ウ 点字指導員 エ 貸出閲覧員 オ 校正員

(二) 館長は、次の各号の一つに該当する者でなければならないこと。

ア 図書館法第四条に規定する司書として三年以上勤務した者

イ 社会福祉事業に五年以上従事した者

ウ 前二号に掲げる者のほか、館長として必要な学識経験を有する者

(三) 司書は、図書館法第五条に定める資格を有する者を原則とするが、専門的業務に関し、相当の学識経験を有する者をもって、これに代えることができる。

(四) 点字指導員、貸出閲覧員及び校正員は、それぞれの専門的業務に関し、相当の知識経験を有する者でなければならないこと。

五 閲覧料等

(一) 閲覧料

ア 公立の点字図書館については、無料としなければならないこと。

イ その他の点字図書館については、原則として無料とするが、やむを得ない場合は最少限度の実費を徴収することができること。

(二) 郵送料

郵便法(昭和二二年法律第一六五号)第二六条第一項第三号に規定する盲人の福祉を増進することを目的とする施設の指定を受け、利用者の負担の軽減を図ること。

なお、これによりがたい場合は、次のとおりとすること。

ア 公立の点字図書館が図書を郵送貸出する場合における発送料金は、点字図書館の負担とし、返送料金は貸し出しを受ける者の負担とすること。

イ その他の点字図書館については、原則として公立の点字図書館の場合と同様とするが、やむを得ない場合は発送料金を徴収して差し支えないこと。

第三 点字出版施設

一 業務

(一) 点字出版施設は、点字刊行物の出版を主たる業務とし、年間少なくとも三○種以上の点字図書を製版及び印刷するよう努めること。

(二) 常に新刊図書の発刊に留意するとともに、教養、娯楽、学術の諸部門の図書の発刊を行うよう努めること。

(三) 発刊を予定している図書目録を点字図書館、盲学校、盲人福祉団体等に配布し点字図書の普及に努めること。

(四) 点字図書館、盲学校、盲人福祉団体等と緊密な連絡をとり随時関係者による座談会、講演会等を開催して、出版計画及び出版図書等に対する意見を聴取し、これを出版事業に反映せしめるよう努めること。

二 管理運営

(一) 出版に当たっては、学識経験者等からなる出版図書選定委員会を少なくとも四半期毎に開催し、会議は、点字出版施設の長が議長となり、編集員又は校正員を参加させて出版の方針を決定すべきであること。

(二) 出版に当たっては、著作権、出版権等に留意し、著作権者に無断で翻訳し、発行することのないよう十分注意すること。

(三) 製作に当たっては、十分校正し、誤字、脱字等のないように努めるとともに、製本はなるべく堅ろうなものとする。

(四) 発行所及び発行責任者は、当該点字出版施設の長とすること。

三 設備

(一) 点字出版施設に必要な設備は、おおむね次のとおりとすること。

ア 事務室 イ 製版室 ウ 校正室 エ 印刷室 オ 製本室 カ 倉庫 キ 消火及び警報設備

(二) 点字出版施設には、点字刊行物の出版等に必要な事業用機械器具を備えること。

四 職員

(一) 点字出版施設には、次の職員を置くものとすること。

ただし、管理運営に支障がない場合には、他の職務を兼ねることができる。

ア 施設長 イ 編集員 ウ 製版員 エ 校正員 オ 印刷員 カ 製本員

(二) 施設長は、社会福祉事業に五年以上従事した者又は施設長として必要な学識経験を有する者でなければならないこと。

(三) 編集員、製版員、校正員、印刷員及び製本員は、それぞれの専門的業務に関し、相当の知識経験を有する者でなければならないこと。

五 郵送料

郵便法(昭和二二年法律第一六五号)第二六条第一項第三号に規定する盲人の福祉を増進することを目的とする施設の指定を受け、利用者の負担の軽減を図ること。

六 価格

点字出版施設において点字図書を出版する場合の価格は、用紙代、印刷及び製本に要する実費に、製版に要する実費(亜鉛原板代を含めた額を印刷部数で除して得た額)を加えた額に、

更にその一割程度を雑費として加算した額を点字図書一冊の価格とすること。

第四 聴覚障害者情報提供施設

一 業務

(一) 聴覚障害者情報提供施設(以下「情報提供施設」という。)は、聴覚障害者用字幕(手話)入ビデオカセット(以下「ビデオカセット」という。)の製作及び貸出事業を主たる業務とし、あわせて手話通訳者の派遣、情報機器の貸出等コミュニケーション支援事業及び聴覚障害者に対する相談事業を行うものであること。

(二) 関係行政機関及び障害者団体等と協力し、聴覚障害者の文化、学習、レクリエーション活動等を援助するとともに、その推進に努めること。

二 管理運営

(一) 情報提供施設は、教養、娯楽、学術等広く各分野にわたるビデオカセットを備え、かつ、常に新しいビデオカセットを整備するように努めること。

(二) 他の情報提供施設等と緊密に協力し、ビデオカセットの相互賃借を行う等聴覚障害者に対する利用の便宜に努めること。

(三) ビデオカセットの目録の作成配布等を行い、利用の促進を図ること。

三 設備

(一) 情報提供施設に必要な設備は、おおむね次のとおりとすること。

ア 事務室 イ 研修室兼会議室 ウ 相談室 エ 貸出利用室 オ 試写室 カ 情報機器利用室 キ 製作室 ク 発送室 ケ 消火及び警報設備

(二) 情報提供施設には、試写等に必要な事業用機材器具を備えること。

四 職員

情報提供施設には、施設長、事務員、その他事業の運営に必要な職員を置くものとすること。

また、施設長は、聴覚障害者の福祉の増進に熱意があり、かつ、聴覚障害者の情報対策や文化活動等に幅広い識見を有する者でなければならない。

五 利用料等

(一) 利用料

利用料は、無料又は低額な料金とすること。

(二) その他

郵便規則(昭和二二年逓信省令第三四号)第三九条の六の二に規定する聴覚障害者の福祉を増進することを目的とする施設の指定を受け、利用者の負担の軽減を図ること。