添付一覧
○身体障害者更生相談所の運営について
(昭和六一年五月一日)
(社更第八九号)
(各都道府県知事・各指定都市市長あて厚生省社会局長通知)
身体障害者福祉法(昭和二四年法律第二八三号)第一一条に基づく身体障害者更生相談所の設置及び運営については、昭和六〇年九月二〇日社更第一二六号本職通知「身体障害者更生相談所の設置及び運営について」により行われているところであるが、身体障害者の障害の重度化及び多様化に伴い、従来にも増して身体障害者更生相談所の機能強化と活性化が求められていることに鑑み、今般、身体障害者更生相談所の業務の一層の充実強化及び身体障害者手帳の交付の適正な実施を図るため、別紙のとおり「地域リハビリテーション推進事業、人工透析審査委員会設置事業、障害程度審査委員会設置事業の実施要綱」を定めたので、了知の上、当該事業の実施について管下身体障害者更生相談所を指導されたい。
なお、昭和五九年五月一〇日社更第七一号本職通知「身体障害者更生相談所の運営について」は廃止する。
(別紙)
地域リハビリテーション推進事業、人工透析審査委員
会設置事業、障害程度審査委員会設置事業実施要綱
第一 地域リハビリテーション推進事業
一 地域リハビリテーション協議会の設置運営
(一) 目的
身体障害者の更生援護に係る各機関が、相互の有機的連携の下に的確な評価判定等を行いうるような運用を確保するため、都道府県・指定都市の圏域を単位とする関係機関との連絡協議を行う地域リハビリテーション協議会(以下「協議会」という。)を設け、情報交換を行う等により身体障害者に対する一貫したリハビリテーション活動を推進することを目的とする。
(二) 実施機関
協議会は、身体障害者更生相談所がこれを設置及び運営するものとする。
(三) 協議会は、概ね次に掲げる諸機関の職員で構成するものとする。
医学的領域:病院、保健所、補装具製作施設
社会福祉的領域:市町村(市町村の設置する福祉事務所を含む。以下同じ。)、身体障害者更生相談所、知的障害者更生相談所、児童相談所、身体障害者更生援護施設、知的障害者援護施設、児童福祉施設、社会福祉協議会、都道府県の関係行政機関
職業的領域:職業安定所、心身障害者職業センター、身体障害者職業訓練校
教育的領域:盲学校、ろう学校、養護学校、各教育委員会
その他の領域:社会保険事務所、労働基準監督署、住宅担当部局、その他
(四) 協議会の事業内容
協議会には総会のほか、次に例示するような専門部会を設け、情報交換等を行うことにより各事業実施主体の事業推進に資するものとする。
ア 地域ケア専門部会
在宅の中途障害者に関し、日常生活活動や健康管理等に関する情報を交換し、処遇方法を検討する。
イ 養護学校の卒後対策専門部会
卒後の進路等に関する情報交換を行い、適切な施設、住宅サービス等の方法を検討する。
ウ 就職促進専門部会
在宅障害者及び施設入所者の求職情報の交換を行う等、就職促進の方法を検討する。
エ 補装具適正化専門部会
各制度間の調整及び補装具製作販売業者との協議を通じ、給付の適正化を図る。
二 リハビリテーション関係職員の研修の実施
(一) 目的
管内(当該身体障害者更生相談所が管轄する区域をいう。以下同じ。)におけるリハビリテーション関係機関に従事する職員の資質向上を図るため、必要な研修を行うことを目的とする。
(二) 実施機関
研修は、都道府県・指定都市本庁と協議の上、身体障害者更生相談所が行う。
(三) 研修の対象及び方法
ア 対象者
(ア) 身体障害者福祉行政に従事する市町村職員
(イ) 身体障害者更生援護施設職員
(ウ) 身体障害者相談員
(エ) その他
イ 方法
(ア) 研修計画の立案及び実施に当たっては、都道府県・指定都市本庁と充分な連携を図るものとする。
(イ) 研修については、協議会の活動の一環として運営することも検討するものとする。
三 調査研究の実施
(一) 目的
リハビリテーション技術に関する専門家集団としての処遇現場における研究を積極的に進めるとともに、リハビリテーション行政推進に関して意見を具申することを目的とする。
(二) 実施機関
調査研究は、身体障害者更生相談所が行うものであるが、内容によっては、都道府県・指定都市本庁と協議の上行うものとする。
(三) 調査研究の内容及び方法
ア 内容
調査研究は、処遇技術及び行政推進の資料に資するため、次の事項について調査研究を行うものとする。
(ア) 管内におけるリハビリテーション関係施設・機関の在り方に関する調査研究
(イ) リハビリテーション関係情報処理システムに関する調査研究
(ウ) 医学的、心理学的及び社会的処遇技術に関する実践研究
(エ) 福祉機器の開発応用に関する研究
(オ) その他必要な研究
イ 方法
(ア) 調査研究は、身体障害者更生相談所独自の立案によるものとするほか、都道府県・指定都市本庁からの委託によるものとする。
(イ) 調査研究の成果について、報告書をまとめるものとする。
(ウ) 調査研究の実施に当たっては、協議会の活動内容の一環として行うことも検討するものとする。
四 訪問指導の実施
在宅の身体障害者に対する訪問指導は、身体障害者更生相談所の地域リハビリテーション活動として一層重要視される分野であることから、その実施に当たっては、「身体障害者更生相談所設置運営基準」(平成五年三月三一日社援更第一〇七号社会・援護局長通知「身体障害者更生相談所の設置及び運営について」の別紙)の第二の5及び「在宅重度身体障害者訪問審査実施要綱」(昭和四六年五月四日社更第五四号本職通知)を有効に活用するものとする。
第二 人工透析審査委員会設置事業
一 目的
人工透析に関する更生医療の給付決定に伴う審査の適正を期するため、身体障害者更生相談所に人工透析審査委員会(以下第二において「審査委員会」という。)を設置し、更生医療の要否を審査するとともに、更生医療指定医療機関に対する指導・検査の充実を図ろうとするものである。
二 審査委員会の構成及び身分
(一) 構成
審査委員会の委員は、身体障害者更生相談所長のほか、人工透析療法に精通した医師(大学附属病院、臨床研修指定病院又は、これらに準ずる病院の医師、県医師会の理事等)三人以上をもって構成するものとする。
(二) 身分
都道府県知事又は指定都市市長は、審査委員会委員を身体障害者更生相談所の嘱託医師として任命するものとする。
三 審査委員会の開催
審査委員会は、必要に応じ身体障害者更生相談所長が適宜開催することとする。ただし、緊急やむを得ない場合は、各委員の持ち回り審査で処理することができるものとする。(持ち回り分は次回の審査委員会で再審査する。)
四 審査内容
審査委員会の審査内容は次のとおりである。
(一) 人工透析を開始又は継続することの妥当性
(二) 人工透析の開始時期
五 審査の対象者
(一) 新たに人工透析を受けなければならなくなったため更生医療の給付を申請した者とする。
なお、現に健康保険法、生活保護法等により人工透析を受けている者であって、中途から更生医療の給付を申請したものを含むものとする。
(二) 更生医療により、透析療法を継続している者については、原則として年一回審査の対象とする。
六 申請処理手続
(一) 市町村長は、人工透析の申請があった場合、速やかに次の書類を添付して、身体障害者更生相談所に提出し、更生医療の要否の判定を受けなければならない。
ア 更生医療審査(判定)依頼書
イ 病状の現症及び診療の経過を明らかにできる書類(様式は、審査委員会の意見により定めたものとする。)
(二) 市町村長は、審査委員会の判定を経なければ、事前に更生医療の給付を決定してはならないこととする。ただし、緊急に人工透析を必要とする者については、事後判定で差し支えないものとする。
七 指導監査
都道府県知事及び指定都市市長は、管内の更生医療指定医療機関に対し「更生医療指定医療機関指導監査要綱」(平成五年三月三〇日社援更第八九号社会・援護局長通知「更生医療の給付について」の別添)に基づき、指導監査班をして実地に診療録その他の帳簿書類を検査させることができるが、指導監査班の編成に当っては必要に応じ審査委員会委員を参加させるものとする。
第三 障害程度審査委員会設置事業
一 目的
都道府県知事が身体障害者手帳の交付事務を行うに当たり、特に専門的知識及び技術を必要とする事項について、審査を行うための機関として身体障害者更生相談所に障害程度審査委員会(以下第三において「審査委員会」という。)を設置し、身体障害者手帳の交付の適正を期することを目的とする。
二 審査委員会の構成
審査委員会は、次に掲げる者をもって構成する。
(一) 身体障害者更生相談所長
(二) 各障害種別の担当医師
(身体障害者更生相談所の職員たる医師又は嘱託医師とする。)
三 審査委員会の開催
審査委員会は、都道府県知事の依頼による審査すべき案件の状況に応じて、身体障害者更生相談所長が適宜開催する。
なお、審査委員会は、身体障害者更生相談所長及び審査すべき案件を直接担当する医師のみをもって開催して差し支えないものとする。
四 審査の案件及び事項
審査委員会が審査する案件及び事項は、都道府県知事から依頼のあった案件及び事項とする。