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○身体障害者福祉ホームの設備及び運営について

(昭和六〇年一月二二日)

(社更第五号)

(各都道府県知事・各指定都市市長あて厚生省社会局長通知)

身体障害者福祉法の一部を改正する法律(昭和五九年法律第六三号)が施行され、身体障害者の自立生活を促進するため、新たに身体障害者更生援護施設として身体障害者福祉ホームが加えられたが、別紙のとおり「身体障害者福祉ホーム設置運営要綱」を定めたので、今後、この要綱に基づき、同施設の設置及び運営に遺憾なきを期されたい。

(別紙)

身体障害者福祉ホーム設置運営要綱

1 設置の目的

身体障害者福祉ホーム(以下「福祉ホーム」という。)は、身体上の障害のため家庭において日常生活を営むのに支障のある身体障害者に対し、低額な料金で日常生活に適するような居室その他の設備を利用させるとともに、日常生活に必要な便宜を供与し、もって身体障害者の福祉の増進を図ることを目的とする。

2 設置経営主体

福祉ホームの設置主体及び経営主体は、原則として地方公共団体又は社会福祉法人とする。

3 立地条件

(1) 設置に当たっては、利用者の分布状況等社会的需要に応じた効率的活用が期待されるよう努めなければならないものとする。

(2) 敷地は、保健衛生、交通の便等を考慮のうえ利用者の生活を健全に維持できる環境の地を選定するものとする。

4 利用対象者

(1) 利用者は、家庭環境、住宅事情等の理由により居宅において、生活することが困難な一八歳以上の身体障害者とする。

ただし、常時の介護、医療を必要とする状態にある者を除くものとする。

(2) 世帯用居室の利用者は配偶者と共に利用する場合とし、両者とも身体障害者である場合に限るものとする。

5 利用の方法

福祉ホームの利用は、利用者と経営主体との契約によるものとする。

6 定員

福祉ホームの定員は、五名以上とする。

7 利用料

(1) 利用に要する費用は、利用者の負担とする。

(2) 利用料は、地域の実態等を勘案した低額なものとする。

(3) 食事、その他特別なサービスに要する費用は、その実費を利用者の負担とする。

(4) その他、利用に際しての保証金の徴収又は利用者の不当な負担となる条件を課してはならないものとする。

8 建物の構造、設備

(1) 福祉ホームの構造及び設備は、身体障害者の特性に合致するよう工夫され、かつ、日照、採光、換気等保健衛生及び災害の防止について十分考慮されなければならない。

(2) 建物は、建築基準法(昭和二五年法律第二〇一号)第二条第九号の二に規定する耐火建築物又は同条第九号の三に規定する準耐火建築物とする。

(3) 福祉ホームに必要な設備はおおむね次のとおりとする。

ア 居室

イ 相談室

ウ 談話室(兼集会室)

エ 浴室

オ 事務室

カ 施設長(管理人)用居室

キ 便所

ク 洗濯室

ケ 物干場

コ 消防用設備

サ 給排水設備

(4) 前項に掲げる設備の基準は、次のとおりとする。

ア 居室

(ア) 原則として、居室は利用者の日常生活に適した広さを確保した個室とし、浴室、脱衣室、調理設備及び便所を設けること。

(イ) 原則として、浴室、脱衣室、調理設備、便所、押入れ等を除いた一人当たり有効面積は、九・九平方メートル以上とすること。

なお、世帯用居室の面積は、前記面積の一・五倍以上とすること。

イ 相談室

室内における談話の漏洩を防ぐために必要な間仕切り等の設備を設けること。

ウ 談話室

利用者共用の居間として、利用定員に応じて適切な広さを確保し、娯楽、団らん等の場とすること。

エ 便所

(ア) 水洗式便所として利用者に適した設備とすること。

(イ) 流水式手洗設備を設けること。

オ 浴室

(ア) 浴槽等の入浴設備は、身体障害者の入浴に適した設備を設けること。

(イ) 上り湯及び清浄な水を使用することができる設備を設けること。

カ 消防用設備

消防法(昭和二三年法律第一八六号)に基づく消火設備、警報設備及び避難設備を設けること。

9 職員

(1) 福祉ホームには、施設の管理並びに利用者の生活及び自立に関する相談、助言その他必要な援助を行うために必要な職員を置くものとする。ただし、福祉ホームの管理運営に支障のない限り、他の社会福祉施設等との兼務は差し支えないものとする。

(2) 職員は、身体障害者の福祉の増進に熱意を有し、前記の業務遂行に必要な能力がある者をあてるものとする。

10 処遇

(1) 利用者の自立した生活に必要な相談、助言等に努めるとともに健康管理、レクリエーション、非常災害対策等については、利用者のニーズに応じて対策が講じられるよう配慮するものとする。

(2) 利用者の食事は、原則として自炊によるものとし、その他の日常生活も原則として利用者自身で処理するものとする。

(3) 一時的な疾病等のため日常生活に支障がある場合は、介助、給食サービス等日常生活の世話が行えるよう配慮すること。

(4) 利用者の守るべき共同生活上の規律、その他必要な事項については、極力利用者の意見を尊重し、施設長が定めるものとする。

(5) 疾病、収入の途絶え等により利用者が福祉ホームで生活することが困難となった場合には、医療機関への連絡、家族との調整等所要の措置をとるとともに、関係諸制度、諸施策の活用についても迅速かつ、適切な配慮を行うものであること。

11 非常災害対策

福祉ホームは、非常災害に備えるため、防災、避難等に関する具体的計画を立てるとともに、定期的に必要な訓練を行わなければならない。

12 管理規程

福祉ホームは、利用者の定員、利用料、処遇の方針等を明示した管理規程を定めなければならない。

13 帳簿の整備

福祉ホームは、設備、会計及び利用者の処遇等に関する帳簿を整備しておかなければならない。