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○身体障害者福祉工場の設備及び運営について

(昭和四七年七月二二日)

(社更第一二八号)

(各都道府県知事・各指定都市市長あて厚生省社会局長通知)

身体障害者福祉工場は、重度身体障害者に就労の場を与え、健全な社会生活を営ませることを目的とする施設として昭和四七年度から新たに発足させるものであるが、今般、同施設の設置、運営の基準として別紙のとおり「身体障害者福祉工場設置運営要綱」を定めたので、今後この要綱に基づき、同施設の設置及び運営に遺憾のないよう期せられたい。

なお、同施設は、従来の身体障害者授産施設と異なり、企業的色彩が強い施設であるので、その対象となる身体障害者の処遇、事業の経営内容等の指導監督については、特に留意されたい。

〔別紙〕

身体障害者福祉工場設置運営要綱

1 設置の目的

身体障害者福祉工場(以下「施設」という。)は、重度の身体障害者で作業能力はあるが、職場の設備・構造、通勤時の交通事情等のため一般企業に雇用されることの困難な者に職場を与え、生活指導と、健康管理のもとに健全な社会生活を営ませることを目的とするものであること。

2 設置主体

地方公共団体又は社会福祉法人とすること。

3 経営主体

社会福祉法人を原則とすること。

4 立地条件

(1) 施設は、身体障害者の分布状況及びその利用状況等を考慮し、効率的活用がなされる地に設けること。

(2) 施設の敷地は、保健衛生、安全の保持、水利、交通の便等を充分考慮のうえ好適な環境の地を選定すること。

5 従業員の要件

(1) 従業員は、身体障害者福祉法(昭和二四年法律第二八三号)第一五条の規定により、身体障害者手帳の交付を受けた重度の身体障害者であること。

(2) 精神障害者または伝染性の疾病にかかっていないものであること。

(3) 作業能力はあるが、その障害のため当該施設以外の場所においては就業することが困難であると判断されたものであること。

6 従業員の定員

従業員は二〇名以上とすること。

7 職員

施設には、従業員のほか次の職員を置くものとすること。

ただし、従業員の処遇に支障がない場合には他の職務を兼ねることができる。

(1) 施設長

(2) 指導員

(3) 看護婦(居住部門がある場合)

(4) 医 師(嘱託でもよい)

8 健康管理

従業員の健康管理については、次の各号によるほか、従業員の身体的状況を的確に把握し、二次的変形及び付随症状増悪の予防に努めること。

(1) 健康管理の責任者を定め、医師、看護婦その他適当な者が常時その任にあたること。

(2) 健康診断を年二回以上実施すること。

(3) 従業員の健康状態に応じて、休憩等について考慮すること。

(4) その他従業員の環境を常に清潔に保ち、その衛生管理に留意すること。

9 給食等

(1) 食事は、施設給食または自炊とすること。

(2) 施設給食の場合にあっては、利用者のし好、必要な栄養等について十分配慮しなければならないこと。

10 建物の規模、構造及び設備

(1) 施設は、工場部門のほか、必要に応じて居住部門を設けるものとすること。

(2) 施設の構造及び設備は、身体障害者の特性に合致するよう工夫され、、日照、採光、換気等保健衛生上及び災害防止について十分考慮されたものでなければならない。

(3) 施設は次の建物でなければならない。

① 工場部門は建築基準法第二条第九号の二及び三に規定する耐火建築物又は簡易耐火建築物とする。

② 居住部門は建築基準法第二条第九号の二に規定する耐火建築物でなければならない。

(4) 施設に必要な設備は次のとおりとすること。

(ア)作 業 場 (イ)事  務  室 (ウ)相談室兼応接室

(エ)宿 直 室 (オ)更衣室兼休憩室 (カ)洗  面  所

(キ)便   所 (ク)食堂兼集会室  (ケ)調  理  室

また、居住部門を設ける場合は次の設備を加えるものとすること。

(ア)居 室 (イ)静養室 (ウ)医務室 (エ)管理人室

(オ)浴 室 (カ)洗面所 (キ)便 所

(5) 前項に掲げる設備の基準は、次のとおりとすること。

① 工場部門

工場の設備については、重度の身体障害者が作業に従事し、十分な能率の向上が期待できるよう、各人の障害の種類及び程度に適合するよう工夫するとともに、防塵設備、保安設備、避難設備、消火警報設備について特に留意して設備すること。

② 居住部門

ア 居室

(ア) 居室の出入り口は、避難上有効な空地、共同廊下等に直接面して設けること。

(イ) 居室の防寒、防暑については、防寒設備、断熱設備等有効な方法を講じなければならない。特に寒冷地域においては、外壁、居室の天井及び居室の外回りの建具等については、防寒構造に留意すること。

(ウ) 居室の面積は床の間及び押し入れを除いて、一人につき六・六平方メートル以上とすること。

イ 静養室

静養室は、特に騒音が少なく、なるべく医務室の近くに設けること。

ウ 医務室

医務室には医療に必要な医療機械器具を備えるほか、必要に応じて検査設備を設けること。

エ その他

(ア) 玄関、居室の出入口、廊下、浴室、便所等には原則として階段を設けないこととし、必要な場所に常夜灯を設けること。

(イ) 廊下の幅は、二・二メートル以上とすること。

11 非常災害対策

(1) 施設は、非常災害に備えるため避難、救出の具体的計画を立てるとともに、定期的に避難、救出その他必要な訓練を行なわなければならないこと。

(2) 施設は、非常災害を未然に防止するため室内配線、煙突等火災発生の危険の多い場所を定期的に検査すること。

12 事業運営の原則

施設は、適正かつ円滑なる事業の運営に留意するとともに従業員の処遇の向上に努めること。

13 会計の原則

施設の会計は、施設の財政状態及び経営成績を明らかにするため、正規の簿記の原則に従って、整然、かつ明瞭に記録、整理しなければならないこと。

14 帳簿の整備

施設は、設備、職員、事業及び会計の状況に関する帳簿を整備しなければならないこと。