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○身体障害者福祉司等の職務内容について

(昭和二六年一〇月一二日)

(社乙発第一四七号)

(各都道府県知事あて厚生省社会局長通知)

さきごろ行われた社会福祉事業法の制定及び身体障害者福祉法の一部改正に伴い今後の身体障害者の更生指導に関する現業事務は福祉事務所を中心として実施されることになったのであるが、福祉事務所におけるそれぞれの職員の事務の協力体制特に身体障害者福祉司等の職務内容については、改正規定の趣旨を更に敷衍し解釈を具体的に確定することにより運用の適正と能率化を図る必要があるので今回身体障害者福祉司等の職務内容を別紙の通り定めることとしたから、これが運用については特段の配慮を願いたい。

(別紙)

身体障害者福祉司等の職務内容

一 福祉事務所長について

福祉事務所長が公的扶助に関する三法及びその他の社会福祉に関する事務の執行を統一的に掌理するのであるが、特に身体障害者の援護を行うにあたっては身体障害者福祉司と指導監督を行う所員、現業又は事務を行う所員との有機的な連絡及び協力について必要な調整を行い、援護の効果をたかめるよう特に留意すること。

二 指導監督を行う所員について

指導監督を行う所員(査察指導員)は、現業を行う所員の身体障害者の援護の事務の執行についての査察指導も行うのであるが、適切なる指導を行うためには専門的知識及び技術を有する身体障害者福祉司より技術的な指導を受けることが適当とみとめられるのでこの点に特に留意すること。

三 身体障害者福祉司の職務内容

身体障害者福祉司は、現業を行う所員が行う身体障害者更生指導に関する凡ての現業事務に対し、技術的指導を行うとともに自らも専門的ケースの処理その他の事務を行うものであるが、その主要なるものは概ね左の如きものである。

(一) 援護についての企画その他の事務を行うこと。但し、企画等の事務の執行に当たっては、査察指導員と緊密な連絡のもとにこれを行うものとする。

1 現業を行う所員に対し、援護に必要な知識技能を授け且つこれを指導すること。

(1) ケース研究会等の指導者となること。

(2) 援護技術に関する資料を蒐集して配付すること。

(3) 援護に必要な社会的資源を整備してその活用方法を指導すること。

2 身体障害者の実態を把握するため各種の統計資料の整備をすること。

(1)ケースレコードを基礎としたもの

(2) 定期又は臨時の一斉調査によるもの

(3) 自身の部分的調査を基礎とするもの

(4) 以上を綜合したもの

3 ケースレコードを記録整備すること。

4 月間又は年間の援護に関する行事予定表を作成し、その実施に必要な準備を行うこと。

例えば、定期一斉診査、巡回更生相談等についての関係機関との連絡、会場の整備、担当区域内に居住する身体障害者(身体に障害のある者を含めて)に広報機関を通じて連絡すること。

5 身体障害者援護についての関係機関との連絡調整

(1) 職業安定機関、医療保健施設、職業補導所、更生援護施設、他の福祉事務所、身体障害者更生相談所、町村(福祉事務所を設置せざるもの)社会福祉協議会等と緊密なる連絡調整を行うこと。

(2) 連絡調整の要領

イ 関係会議打合会の出席

ロ 更生指導についての綜合的問題の折衝

ハ 文書による連絡(質疑、依頼、伝達事項について)

ニ 管下身体障害者に関する参考資料の提供

(二) 現業を行う所員の技術的指導を行うこと。但し査察指導員と緊密なる連絡のもとに行うものとする。

1 個々のケースの担当、閉止、再開の調整及び必要なる助言を行うこと。

2 ケースレコードの作成について必要なる指導を行うこと。

3 医学的判定、心理学的判定、職能的判定を欠くことの出来ないケースを決定すること。

4 施設への収容又は利用について必要な助言を行うこと。

5 更生指導に関する社会福祉主事の質疑に応ずること。

(三) 専門的ケースの処理

身体に障害のある者に面接し又は現業を行う所員よりケースを引き継ぎ必要な措置を行うとともに、ケースの処理について必要があるときは、直接身体障害者の住所又はその入院、入所した施設を訪問すること。

1 義肢、補聴器等物品の交付又は修理の申請に応じ、給付に必要な事務を行うこと。

2 再治療その他の更生医療又は長期に亘り入院を要する者等の指導については病院の紹介、費用についての助言、協力、家族との連絡を行うこと。

3 職業のあっ・・旋を要するケースについて職業安定所に連絡し必要な事項を行うこと。

4 更生に必要な資金(生業資金、更生資金、住宅資金)等を要する者の指導については金融公庫、都道府県民生部と連絡するとともに事業の計画準備につき必要な助言を与えること。

5 売店の設置、専売品販売を希望するもの等の指導については公共施設の管理者、専売出張所等と連絡し必要な協力を行うこと。

6 国税、地方税に関する減免について協力を求めるものに対してこれに応ずること。

7 医学的、心理学的、職能的判定を要する者については自ら更生相談所に連絡し(記録の提供を含む)その診断会議のメンバーとなり積極的に診断に参加し判定について協力すること。必要な場合には障害者本人を伴なって更生相談所を訪問すること。

(四) その他

1 義肢、補聴器の装着訓練の講習会を実施すること。

2 福祉審議会等関係団体との連繋の下に福祉事務所所管区域の住民、施設、団体に対してあらゆる機会を捉えて啓蒙指導を行うこと。

3 身体障害者の自主的団体、身体障害者援護団体の結成について求めに応じて必要な協力をすること。

4 身体障害者の教養向上のための講習会、娯楽その他のレクリエーションの会合を企画し更生意欲を喚起すると共に援護従事職員と被援護者の親睦を図ること。

四 現業を行う所員の職務内容

(一) 援護に関する諸記録の作成を行うこと。

(二) 身体に障害のある者の面接を行い又は次の措置を行うこと。但しケースの処理について必要があるときは直接身体障害者の住所又はその入院、入所した施設を訪問すること。

1 身体障害者手帳申請の受理、進達及び居住地等変更届の受理進達、福祉事務所を設置しない町村より送達される各種書類の整理。

2 身体障害者福祉司の補装具等の給付の事務を補助すること。

3 施設への収容又は利用を必要とする者に対しては施設を紹介し必要な協力を行うこと。

4 職業の補導を必要とする者に対しては職業補導所に紹介し必要な協力を行うこと。

5 簡易な医療又は保健指導を必要とする者に対しては医療施設又は病院を紹介し必要な協力を行うこと。

6 生活扶助、医療扶助、その他社会保険等の給付を受ける必要のあるものに対して制度についての質疑に応え、又は給付を受けるための手続について協力すること。