アクセシビリティ閲覧支援ツール

添付一覧

添付画像はありません

○消費税法の一部を改正する法律(平成三年法律第七三号)の施行について(社会福祉関係)

(平成三年六月七日)

(老福第一三一号・健医発第七三七号・社庶第一三五号・児発第五三〇号)

(各都道府県知事・各指定都市市長あて厚生省大臣官房老人保健福祉部長・保健医療・社会・児童家庭局長連名通知)

「消費税法の一部を改正する法律(平成三年法律第七三号)」が本年五月一五日に、関係政省令、告示が六月七日に、それぞれ公布され、いずれも一○月一日から施行されることとなった。今回の改正は、逆進性の緩和、運用益問題及び益税問題解消の観点から消費税の課税の範囲等の見直しを行うものであり、社会福祉に関しても第二種社会福祉事業等が新たに非課税とされるなどの改正が行われたところである。社会福祉に関する具体的な改正の概要は別紙1記載のとおりであるので、御了知の上、別紙2記載の指導方針に基づき、管下市町村、関係機関、関係団体、関係事業者等に周知徹底を図るとともに必要な指導を行い、その運用に遺憾のないようにされたい。

なお、非課税扱いとなる身体障害者用物品についてはその内容等に関して別途通知する予定であり、また、非課税扱いとなる第二種社会福祉事業等の内容等についても必要に応じさらに通知する予定であるので、留意されたい。

別紙1

消費税制度改正の概要について(社会福祉関係)

1 非課税範囲の見直し

(1) 第二種社会福祉事業(社会福祉事業法(昭和二六年法律第四五号)第二条第三項)については、従前、助産施設又は保育所(同項第二号)を経営する事業として行われる資産の譲渡等のみが非課税扱いであったが、今回の改正により非課税の対象範囲が第二種社会福祉事業として行われる資産の譲渡等の全体に拡大されるとともに、これに類する政令で定める一定の資産の譲渡等も非課税扱いとされたこと。

新たに非課税扱いとなる政令で定める資産の譲渡等は、次のとおりであること。

ア 児童福祉法(昭和二二年法律第一六四号)第七条に規定する児童福祉施設を経営する事業として行われる資産の譲渡等(社会福祉事業法上の社会福祉事業に該当するものを除く。)

イ 児童福祉法第二七条第二項の規定に基づき、同項に規定する指定国立療養所等が同項に規定する治療等を行う事業として行われる資産の譲渡等

ウ 児童福祉法第三三条に規定する一時保護を行う事業として行われる資産の譲渡等

エ 心身障害者福祉協会が精神薄弱者福祉法(昭和三五年法律第三七号)第一六条第一項第二号に規定する福祉施設において同号に規定する援護を行う事業として行われる資産の譲渡等

オ 国又は地方公共団体の施策に基づき行われる次に掲げる事業等のうち、その要する費用の二分の一以上が国又は地方公共団体により負担されるものとして行われる資産の譲渡等(厚生省告示で定めるもの。なお、いわゆる地方単独事業の消費税課税について疑義があるときは、関係部局(窓口:社会局庶務課)に照会されたい。)

(1) 第二種社会福祉事業である在宅福祉サービス事業(ホームヘルプ事業、デイサービス事業、ショートステイ事業)に類する次のような事業

a 在宅福祉サービス事業であって、社会福祉事業法第二条第四項に該当するもの(いわゆるミニデイサービス事業等)

b 在宅福祉サービス事業であって、法律の規定と実施主体又は実施対象者が異なるもの

c ホームヘルプ事業であって、法律の規定と実施(派遣)要件が異なる(緩和された)もの

d ショートステイ事業であって、法律の規定と実施施設が異なるもの

e 法律の規定に基づかない在宅福祉サービス事業であって、国の予算補助の下に実施されるもの

f eと同内容の在宅福祉サービス事業であって、eと実施主体又は実施施設が異なるもの

g 在宅福祉サービス事業に類似する内容のサービスを提供する事業(介護相談・介護者教室事業、機能回復訓練事業等)

(2) 精神障害者等に対する日常生活援助(グループホーム)事業

(3) 原子爆弾被爆者養護ホーム経営事業

(4) 日常生活を営むのに支障のある老人等に対して、その者の居宅において行う入浴・給食サービス事業

なお、社会福祉事業団等が地方公共団体から委託を受けて地方公共団体が設置した社会福祉施設を経営する事業は、社会福祉事業法上、第一種又は第二種の社会福祉事業に該当し、当該事業に係る委託費については非課税扱いとなること(従前の非課税事業について税務当局と協議済みである。)。

(2) 第一種社会福祉事業(社会福祉事業法第二条第二項)のうち身体障害者授産施設(第三号)、精神薄弱者授産施設(第四号)又は授産施設(第六号)を経営する事業において授産活動としての作業に基づき行われる資産の譲渡等(授産活動により生産された物品の販売等)については、従前、非課税扱いであったが、今回、精神障害者授産施設(第三号の三、精神保健法(昭和二五年法律第一二三号)第一○条第一項第二号)を経営する事業において授産活動としての作業に基づき行われる資産の譲渡等とともに課税扱いとしたこと。

なお、授産活動としての作業に基づかない資産の譲渡等(施設入所料金等)については、精神障害者授産施設に係るものを含め非課税扱いであること。

(3) 身体障害者用物品の譲渡等については、従前、課税扱いであったが、今回、政令で定める一定の物品の譲渡、貸付け等を非課税扱いとし、その具体的内容は、厚生省告示で定められたとおりであること。

なお、これに伴い補装具の交付又は修理に係る受託報酬の額の基準等が変更されることとなるので留意されたい。

(4) 住宅の貸付け(一時的に使用させる場合を除く。)については、従前、課税扱いであったが、今回、非課税扱いとされたことに伴い、老人福祉法(昭和三八年法律第一三三号)第二九条に規定する有料老人ホームの入居者が支払った又は今後支払う金銭のうち、施行日以後の家賃相当分が非課税扱いとされたこと。

(5) なお、児童福祉法第二七条第一項第三号の規定に基づく里親又は保護受託者に委託すること、精神薄弱者福祉法第一六条第一項第三号の規定に基づき職親に委託すること、及び老人福祉法第一一条第一項第四号の規定に基づき養護受託者に委託することは、消費税法上の事業に該当しない(不課税)ので念のため申し添える(この点については、税務当局了解済みである。)。

2 簡易課税制度の見直し

適用限度額を四億円(従前五億円)に引き下げるとともに、みなし仕入率を政令事項としたこと。

政令で定めるみなし仕入率は次のとおりであること。

(1) 第一種事業 九○パーセント

卸売業をいう。

(2) 第二種事業 八○パーセント

小売業(第一種事業以外のもの)をいう。

(3) 第三種事業 七○パーセント

農業、林業、漁業、鉱業、建設業、製造業(製造小売業を含む。)、電気業、ガス業、熱供給業及び水道業(第一種事業又は第二種事業及び加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供を行う事業を除く。)をいう。

(4) 第四種事業 六○パーセント

第一種事業、第二種事業及び第三種事業以外の事業をいう。

(福祉サービス業はこれに該当する。)

3 限界控除制度の見直し

適用限度額を五、○○○万円(従前六、○○○万円)に引き下げること。

4 中間申告・納付制度の見直し

直前の課税期間(一年分)の確定税額が五○○万円を超える事業者については、中間申告・納付回数を年三回(従前一回)に改め、原則として当該確定税額の四分の一ずつを申告・納付すること。

別紙2

消費税法改正に伴う価格指導について

1 第二種社会福祉事業等

老人福祉センター等の経営事業、デイサービス事業、短期入所(ショートステイ)事業、入浴・給食サービス事業等に係る利用料金については、消費税として価格に上乗せしている部分は、税負担軽減相当額の価格の引下げを行うことを事業者に対し指導し、又は、関係団体を通じて事業者に対し周知徹底させること。また、地方公共団体が他の事業者に委託して事業を実施している場合は、必要な契約の変更等を行うこと。

居宅介護等(ホームヘルプ)事業に係る個人からの費用徴収基準については、消費税導入時にも変更していないことから、今回も変更しないこと。

2 身体障害者用物品

税負担軽減相当額の価格の引下げについては、関係通知後速やかに、関係機関及び関係団体を通じて事業者に対し周知徹底させること。

補装具の交付又は修理を受ける者からの費用徴収基準については、消費税導入当時にも変更していないことから、今回も変更しないこと。

3 有料老人ホーム

(1)入居一時金のうち住宅貸付(家賃)相当分として非課税となる部分については、税負担軽減相当額の引下げを行うこと、(2)昭和六三年一二月三○日から平成三年九月三○日までに締結した入居契約に基づき支払った入居一時金のうち同年一○月一日以後における住宅貸付相当分として非課税となる部分については、入居者に対して税負担軽減相当額の料金の返還を行うことを事業者に対し指導すること。

4 授産事業

(1)消費税の適正な転嫁を図り、いやしくもこれに便乗した不当な価格の引上げを行わないようにすること、(2)精神障害者授産施設については、授産事業に係る経費について別会計にすることを事業者に対し指導すること。