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○身体障害者福祉法の一部を改正する法律の施行について
(昭和三三年五月二三日)
(発社第九九号)
(各都道府県知事、各指定都市市長あて厚生事務次官通達)
身体障害者福祉法の一部を改正する法律は、昭和三三年三月三一日法律第二九号をもつて公布され、同年四月一日から施行されたが、その運用については特に次の事項に留意のうえ、遺漏のないようにされたい。
なお、この通達においては、今回改正された身体障害者福祉法を「改正法」と略称する。
記
第一 改正の要点
一 収容援護を必要とする身体障害者の措置について、あらたに社会福祉法人の設置する身体障害者更生援護施設への収容委託制度を設けたこと。
二 身体障害者福祉法の施行に関する事務についての民生委員の協力義務を規定したこと。
三 社会福祉事業法の改正に伴つて、所要の条文整理を行つたこと。
第二 身体障害者の収容委託について
一 援護の実施機関が診査及び更生相談を行い、身体障害者更生援護施設への収容を必要とする者を発見した場合においては、従来、当該地方公共団体の設置する施設への収容又は他の者の設置する施設への紹介の措置をとつてきたのであるが、改正法第一八条第二項の規定により、あらたに社会福祉法人の設置する施設で厚生大臣の指定するものへ身体障害者の収容を委託できることとなつたこと。この制度は、国立及び公立の施設における援護とあわせて、民間篤志事業として豊富な経験をもつ社会福祉法人の施設における更生援護の充実を図り、身体障害者に対する施設援護の徹底を期そうとするものであるから、この制度の効果的な活用については、特に意を用いられたいこと。
二 社会福祉法人の設置する身体障害者更生援護施設のうち、改正法第一八条第二項の規定による身体障害者の収容委託の対象となる施設については、当該施設の特色、職員及び設備の状況並びに国立及び公立施設の配置状況等を検討したうえ近く指定を行う予定であるが、その手続等については別途通達するものであること。
三 身体障害者の収容を委託できる場合については、改正法第一八条第二項各号に列挙されているとおりであるが、第一号は、国立及び公立の施設に収容能力がない場合又は収容しうる国立及び公立の施設はあつても、それが身体障害者の居住地からあまりに遠隔なため不適当である場合等であり、第二号は、職員及び設備状況等委託施設のもつ特性が、当該身体障害者の更生援護に特に適合する場合をいうのであつて、第二号に該当すると認められるときは、国立及び公立の施設の収容能力等の如何にかかわらず収容委託の措置を行うことができるものであること。しかしながら、別添の国会における附帯決議にもあるとおり身体障害者の収容援護は、国立及び公立の施設において第一次的に行うべきものであるから、収容委託制度の運用については慎重に期せられたく、また、公立施設の拡充についてはさらに特段の御配慮を願いたいこと。
四 身体障害者の収容委託に関する事務は、特別の事情のない限り福祉事務所長に委任することが適当であること。
第三 収容委託の費用等について
一 援護の実施機関が改正法第一八条第二項の規定による収容委託を行つた場合には、当該都道府県又は市町村は、身体障害者の収容委託に要する費用を支弁し、国はその十分の八を負担することとしたこと。
二 収容委託を受ける施設の利便を考慮して、特に厚生大臣が指定した施設に収容委託が行われたときは、当該施設所在地を管轄する福祉事務所の設置者たる都道府県又は市町村は、その費用を一時繰替支弁しなければならないこととしたこと。
三 前項の繰替支弁の便宜を受ける施設の指定については、当該委託施設の規模及び財政状況を勘案してこれを行う方針であること。
四 援護の実施機関は、繰替支弁の便宜を受ける施設として指定を受けた施設に対し、改正法第十八条第二項による措置を行つたときは、すみやかにその旨を繰替支弁を行う都道府県又は市町村に通知すること。
五 前四項のほか、収容委託の費用の額、当該費用の請求方法及び支払方法等について必要な事項は、別途通達するものであること。
第四 民生委員の協力義務について
民生委員が、身体障害者福祉法の施行事務について協力義務を有することは、民生委員法第一四条に民生委員の職務として、「福祉事務所その他の関係行政機関の業務に協力すること。」と規定されていることにより明らかであるが、改正法第一二条の二の規定は、その協力を更に積極的に得ることによつて身体障害者の更生指導の円滑化を図るため、生活保護法第二二条の規定及び児童福祉法第一二条の児童委員の規定にならい、民生委員の協力義務を規定したものであること。従つて、この規定の趣旨を十分に生かし、福祉事務所の活動と相俟つて、身体障害者の福祉の徹底が期せられるよう民生委員の指導には特段の御配慮を願いたいこと。
第五 社会福祉事業法の改正に伴う条文整理について
身体障害者福祉司の置かれていない市(指定都市を除く。)及び町村の福祉事務所の長は、従来、都道府県の身体障害者福祉司の技術的援助及び助言を求めることになつていたが、今般の社会福祉事業法の改正により、人口二○万以上の市は指定都市と同様に福祉事務所を二以上設置できることとなつたので、改正法第九条の二第四項の規定は、これに伴い当該市の設置する二以上の福祉事務所のうちのいずれかに身体障害者福祉司の置かれている場合には、市内部において技術的援助及び助言を求めることとするよう改めたものであること。