添付一覧
○生活保護法施行事務監査並びに指定医療機関に対する指導及び検査の実施における主眼事項及び着眼点について
(平成一二年三月三一日)
(社援監第四号)
(各都道府県各指定都市民生主管部局長あて厚生省社会・援護局監査指導課長通知)
生活保護法施行事務監査並びに指定医療機関に対する指導及び検査の実施については、「生活保護法施行事務監査について」(平成一一年三月二五日社援第七五一号厚生省社会・援護局長通知)及び「生活保護法による医療扶助運営要領について」(昭和三六年九月三〇日社発第七二七号厚生省社会局長通知)により実施することとされ、これの具体的取扱の指針として、主眼事項及び着眼点を別紙一及び別紙二のとおり定めたので通知する。
なお、本通知は、平成一二年四月一日より施行することとし、「平成一一年度における生活保護法施行事務監査並びに指定医療機関に対する指導及び検査の実施について」(平成一一年三月二五日社援監第三号)は廃止する。
別紙1
都道府県・指定都市が行う指導監査の主眼事項及び着眼点
主眼事項 |
着眼点 |
1 保護の適正実施の推進 |
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(1) 保護の相談、申請、開始段階における助言、指導及び調査の徹底 |
1 面接相談時における適切な対応と事務処理 (1) 保護の受給要件等制度の趣旨は、要保護者に正しく理解されるよう十分説明され、相談内容に応じた懇切丁寧な対応が行われているか。 (2) 保護の開始時に「保護のとおり」の配布等により、法律に定める権利、義務の周知徹底は図られているか。 (3) 生活歴、職歴、病歴、家庭環境、地域との関係等は的確に把握されているか。 (4) 他法他施策活用についての助言、指導は、適切に行われているか。 (5) 民生委員との連携、他部局との連絡体制など生活困窮者に関する情報が福祉事務所の窓口につながるような体制になっているか。 (6) 相談内容、指導結果が面接記録票等に記録され、所長等幹部職員まで決裁されているか。 (7) 保護申請書の処理及び保護金品の支給は迅速に行われているか。 2 保護開始時における調査の徹底 (1) 資産等の把握状況 ア 保護の申請書、資産申告書(不動産、預貯金、生命保険、自動車等)及び収入申告書(稼働収入、年金等)の内容は、挙証資料等に基づき十分審査されているか。 また、関係先(金融機関、保険会社、社会保険事務所等)調査等によって十分に検証・確認されているか。 イ 受給要件を確認するための調査に必要な同意書が適切に徴取されているか。 ウ 法第63条を適用し、保護を開始した場合は、文書により本人に周知されているか。 (2) 病状把握の状況 病状等が的確に把握されているか。また、必要に応じ検診命令等が活用されているか。 (3) 扶養義務履行の指導状況 ア 扶養義務者(特に生別母子世帯の前夫及び転出した子)の居所、世帯構成、職業等の生活実態及び収入、資産等を把握するための扶養能力調査は行われているか。 イ 扶養義務者が管内又は近隣の市町村に居住しており、ある程度の扶養が期待できるときには、実地に調査されているか。 ウ 扶養義務照会に対して未回答となっているケースの処理は適切に行われているか。 エ 扶養能力調査の結果を踏まえ、必要に応じ、家庭裁判所への調停又は審判の申立てについての指導は行われているか。 オ 別世帯の健康保険等の被扶養者、税法上の扶養控除対象親族、給与の扶養手当等の対象者等として認定されている者に対して、必要な扶養援助が行われているか。 3 関係機関等との連携 (1) 関係部局、民生委員、保健所、身体障害者更生相談所、児童相談所、公共職業安定所、医療機関等との連携が円滑に行われているか。 (2) 郡部福祉事務所においては、高齢者及び身体障害者等の処遇について町村との連携は十分図られているか。 |
(2) 保護受給中における指導援助の推進 |
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ア権利、義務の周知徹底及び資産、収入の把握 |
1 権利、義務の周知徹底 被保護者の権利、義務について、「保護のしおり」等により、適時適切な指導が行われているか。 また、世帯構成、収入等の変動に伴う届出義務の周知徹底が図られているか。 2 資産及び収入の把握 (1) 資産の把握 ア 資産(不動産、預貯金、生命保険等)の申告内容は、関係先調査等により的確に確認されているか。 また、資産の申告内容に変化はないか。 イ 資産活用についての指導又は指示は適切に行われているか。 (2) 稼働収入の把握 ア 収入申告書は、定期的に徴取されているか。その際、給与証明書等挙証資料は添付されているか。 イ 収入申告書及び給与証明書等挙証資料の内容審査(稼働日数、給与額等)は、適切に行われているか。 (3) 稼働収入以外(年金、保険金、補償金、仕送り等)の収入の把握 ア 収入申告書は適切に徴取されてているか。 イ 年金、保険金等の受給資格の有無及び受給金額は、社会保険事務所、保険会社等の関係先調査等により確認されているか。 また、通算老齢年金を受給している場合、通算の対象となった他の年金の受給状況は的確に把握されているか。 ウ 仕送り額等は、的確に把握されているか。 (4) 収入申告書の内容確認 収入申告書の内容を確認するため、課税状況調査等の一斉点検の実施について、努力されているか。 (5) 老齢基礎年金等の受給資格の確認 一定の年齢に達した者について、老齢基礎年金等の受給資格について確認されているか。 また、一定の障害の状態にある者について、障害基礎年金等の受給資格について確認されているか。 (6) 扶養能力調査の実施 扶養義務者に対する扶養能力調査は、被保護世帯との関係の深浅、過去の状況等を勘案の上、必要なものについては、適切に実施されているか。 |
イ ケースの実態に即した処遇方針の樹立と計画的な訪問調査活動等の推進 |
1 処遇方針の設定 (1) 処遇方針は、訪問調査活動や病状把握の結果により把握された実態を踏まえ、かつ十分な評価検討された上で立てられているか。 (2) ケースの実態に即して世帯主及び世帯員についての処遇方針が的確に樹立されているか。 また、多様なニーズを抱える高齢者世帯等の処遇方針は、個々のケースの実態及び在宅福祉サービスの活用等を踏まえた適切なものとなっているか。 (3) 処遇方針は、ケースの実態の変化に即して適切に見直しがなされているか。また、処遇の困難なケース等については、関係機関とも連携の上、ケース診断会議等で組織的に検討されているか。 (4) 処遇方針が、ケース記録に明記されているか。 2 計画的な訪問の実施 (1) 訪問格付基準は、ケースの実態、訪問調査活動の必要性に即して適切に策定されているか。 また、訪問格付基準の設定に当たっては、稼働能力の活用を図る必要のある者、多様なニーズを抱える高齢者等に着目し、当該世帯への指導援助の必要性が勘案されたものとなっているか。 (2) 個別のケースに対する訪問格付は、ケースの実態、訪問調査活動の必要性に応じて適切なものとなっているか。 また、ケースの実態の変化に応じて適時適切な見直しが行われているか。 (3) 訪問は、訪問格付基準を踏まえるとともに、ケースの状況変化を考慮し、訪問計画を策定するなど計画的に実施されているか。 3 訪問調査活動の状況 (1) 訪問調査活動は、予定どおり実施されているか。特に、長期間未訪問又は予定に比べ実施回数が少ないケースはないか。 (2) 訪問調査活動は、ケースの状況変化に応じて適切に実施されているか。 (3) 目的をもって訪問調査活動を行っているか。 また、多様なニーズを抱える高齢者世帯等に対しては、在宅福祉サービスの活用等必要な指導援助が行われているか。 (4) 世帯主のみならず、必要に応じて世帯員と面接を行い、適切な指導援助が行われているか。 (5) 面接すべき者の不在が続くなどの場合には、訪問方法を工夫する等適切な対応措置がとられているか。 また、民生委員、親族等からも、生活状況等の聴取を行うなど、不在理由を確認し、家庭内面接を行うよう努力しているか。 (6) 長期にわたって来所による面接が続き訪問調査活動が行われていないケースはないか。 (7) 訪問調査結果は、査察指導員等に速やかに報告されているか。 また、早期にケース記録に明確に記録され、その都度決裁されているか。 |
(3) 稼働年齢層の者のいるケースに対する指導援助の推進 |
1 就労阻害要因の把握 (1) 就労阻害要因が的確に把握され、就労意欲の助長、生活習慣の形成等、必要な指導援助が適切に行われているか。 (2) 傷病を理由に就労していない者の傷病の程度、就労の可否等については、レセプト点検、主治医訪問、嘱託医協議、必要に応じ検診命令等により的確に把握されているか。 また、検診命令に従わない場合には、保護の停・廃止等の措置が適切に行われているか。 (3) 育児中の母親に対する就労指導は、地域における保育所の設置状況、入所条件等が勘案され、適切に行われているか。 2 自立助長の指導状況 (1) 稼働能力の活用等自立を助長するための指導援助は、自立更生計画書、求職活動状況報告書の提出等の指導により積極的に行われているか。 (2) 自立援助のため、公共職業安定所等関係機関との組織的連携は十分行われているか。 また、求人情報等の収集提供、必要に応じた公共職業安定所等への同行訪問等の援助が行われているか。 (3) 自立援助のための各種貸付制度等他法他施策の活用についての指導が適切に行われているか。 (4) 稼働能力の活用についての指導指示は、必要に応じ、文書指示により徹底されているか。 また、指導指示に従わない場合には、保護の停・廃止等の措置は適切に行われているか。 (5) 稼働能力及び地域の賃金水準等からみて、就労日数、時間、収入等が少ない者に対し、勤務先調査又は課税状況の調査が行われているか。 また、転職を含む増収指導が行われているか。 (6) 身体的、家庭的条件等に応じた適職指導が行われているか。 3 自立助長ケースの選定 自立助長選定ケースは、稼働能力の活用を指導する必要があるケースを中心に選定し、自立に向けた積極的かつ重点的な指導援助が行われているか。 |
(4) 不正受給防止対策等の推進 |
1 収入申告内容の確認等の状況 (1) 収入申告内容に疑義がある場合は、説明を求めているか。 また、必要に応じて勤務先等関係先調査を適切に行うとともに、毎年、課税状況調査等の一斉点検を行うなど、福祉事務所として、できるかぎりの努力が行われているか。 (2) 再三にわたる収入申告書の提出の指示に対して、正当な理由もなく従わない場合は、文書指示等の措置が行われれているか。 2 不正受給ケースに対する措置 (1) 不正受給については、法第78条により厳正に措置されているか。 また、悪質なケースについては、告発等が行われているか。 (2) 不正受給の原因分析及び再発防止対策は適切に講じられているか。 3 不正受給等の発生原因の把握とその対応状況 (1) 不正受給等の未然防止を図り、適切な指導援助を行う観点から、法第63条及び法第78条適用ケースの発生原因が十分に把握、分析されているか。特に、定期的な訪問調査活動や関係先調査等による世帯の実態把握に問題がないかなど、福祉事務所として取り組むべき問題点の有無が検討されているか。 (2) 福祉事務所として取り組むべき問題がある場合その適切な対応が行われているか。 |
2 要援護世帯に対する指導援助の充実 |
1 個別具体的な指導援助の充実 (1) 高齢者、傷病・障害者世帯に対する指導援助の状況 ア 要援護世帯のニーズに応じ、ホームヘルプサービス事業、デイサービス事業、老人訪問看護制度、老人保健施設及び社会福祉施設等の各種保健福祉施策の活用は図られているか。 イ 年金等の受給の可否等について検討し、関係機関に対して協力を求めているか。 ウ 高齢者、障害者等がいる世帯について、必要な生活環境等の整備のための制度の活用が図られているか。 エ 扶養義務者に対して、ケースとの日常の交流等についての協力依頼は行われているか。 (2) 母子世帯に対する指導援助の状況 ア 母親の養育態度、子供の就学状況等に問題のある世帯に対し、適切な指導援助が行われているか。 イ 子供の進路について、学校等関係機関との連携を図り、適切な指導援助が行われているか。 ウ 児童扶養手当等他法他施策の活用についての指導は、適切に行われているか。 (3) 要援護世帯の処遇充実のための関係機関との連携及び社会資源等の活用状況 ア 関係部局との情報交換、連絡調整等は緊密に行われているか。 イ 民生委員、保健所、各種相談員、医療機関、学校等関係機関との連携、近隣住民の協力等による支援体制等幅広い社会資源の活用が行われているか。 また、必要に応じ、関係者にケースへの同行訪問を要請しているか。 |
3 医療扶助の適正運営の確保 |
1 医療扶助受給者に対する指導援助の状況 (1) 被保護者の病状は、レセプト点検、主治医訪問、嘱託医協議等により的確に把握され、その結果に基づき就労指導、療養指導等が適切に行われているか。 (2) 長期入院患者、長期外来患者の実態を把握し、必要な指導援助は行われているか。 (3) 医療機関の選定は、真に止むを得ない場合を除き、患者の居住地に近い医療機関となっているか。 (4) 同一疾病で、複数の医療機関で受診する重複受診の確認、審査は行われているか。その結果を踏まえ、適正な受診指導が行われているか。 2 レセプトの点検、活用状況 (1) レセプトは、個別ケースごとに直近6か月程度は編綴され、療養指導等常時活用できる状態となっているか。 また、病状の把握、療養指導等に際し、ケースワーカー、査察指導員、嘱託医等により適時レセプトが活用されているか。 (2) 医療費の適正な支払のため、縦覧点検等レセプト点検が実施され、過誤調整等は適切に行われているか。 (3) レセプト点検に当たり、診療日数、診療内容、診療点数等に疑義が生じた場合には、嘱託医への協議又は本庁に対し技術的助言を求めているか。 (4) 医療券交付処理簿とレセプトの照合が行われているか。 3 移送給付等の状況 (1) 移送給付 ア 移送給付は、申請に基づき行われているか。 また、通院証明書、レセプト等により事実確認は行われているか。 イ 移送手段は、最も経済的な方法で行われているか。 なお、タクシーを使用する場合は、医師の診断に基づき、歩行困難と認められた者等、真に止むを得ない者に限って行われているか。 ウ 移送給付は、現物給付を原則として行われているか。 (2) 入院患者日用品費等給付 入院患者日用品費及び障害基礎年金等の累積金は把握され、加算等の調整が適切に行われているか。 (3) 施術、治療材料給付 あん摩、マッサージ等の施術、眼鏡等治療材料の給付は事前に申請させ、適切に行われているか。 4 嘱託医等の配置及び活動状況 (1) 嘱託医が週1回程度の所内勤務を行うなど、医師による専門的判断を得られる体制が確保されているか。 (2) 医療扶助の要否及びケース処遇に当たって、嘱託医等の専門的かつ技術的意見が聴取されているか。 (3) ケースワーカー等の医学知識の研修に当たって、嘱託医等が効果的に活用されているか。 5 本庁への技術的助言の要請状況 医療の給付の要否、処遇方針の決定に当たっては、医学的見地からみて疑義のあるものについて本庁に対し技術的助言を求めているか。 6 他法他施策の活用及び関係機関との連携の状況 (1) 医療扶助の決定に当たり、社会保険等他法が適用されるものであるか否かについて確認がされているか。 (2) 患者の病状等に応じ、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(以下「精神保健福祉法」という)、結核予防法等の活用について、保健所等関係機関との連携が十分図られているか。 特に次の点について、関係機関と連携が図られ、確認がされているか。 ア 精神科受診ケースについて、精神障害者保健福祉手帳申請の可否についての検討が行われているか。 イ 精神科の外来通院について、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第32条の適用について検討が行われているか。 |
4 福祉事務所における入所措置等の適正実施の確保 |
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(1) 実施体制の確保 |
1 入所措置等を行うための職員配置などの組織体制や新任職員に対する研修など実施体制が確立されているか。 2 措置台帳等諸帳簿は整備されているか。 |
(2) 適正な入所措置事務等の確保 |
1 適正な入所措置事務は、確保されているか。 (1) 適正に入所措置事務が行われているか。 (2) 入所措置について、より必要性の高い者を優先して措置されているか。 2 入所措置後の援助は、適正に行われているか。 (1) 入所措置後の継続の要否について見直しが行われているか。 また、措置変更事由が生じた場合の措置換えは適正に行われているか。 (2) 入所措置後、年1回以上は訪問調査を行い、更生状況等の確認が適切に行われているか。 また、その状況は記録として残されているか。 (3) 死亡等による入所措置解除については、速やかにその手続きが行われているか。 また、遺留金品の処分については、関係職員立会いのもとに適切に行われているか。 |
(3) 適正な保護の決定事務の確保 |
入所者本人支払額の決定事務は適正に行われているか。 |
5 組織的な運営管理の推進 |
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(1) 計画的な運営管理の推進 |
1 理事者等の現状認識 (1) 理事者及び所長等は、管内の保護動向、地域的特性、実施体制及び前年度指導監査結果等を踏まえ、福祉事務所の抱えている問題点の現状を十分掌握しているか。 (2) 理事者及び所長等は、福祉事務所の抱えている特別な問題点等の要因の分析を行い、具体的な改善計画の策定等、その対応措置を講じているか。 (3) 所長等幹部職員は、個別ケースの問題から福祉事務所全体として取り組むべき問題について把握し、その対応策を講じているか。 ア 開始・廃止ケースの状況、並びに問題を抱える開始・廃止ケースの有無について把握し、福祉事務所全体として取り組むべき問題の有無を把握しているか。 イ 法第63条及び法第78条適用ケースの発生原因を分析し、福祉事務所全体として取り組むべき問題の有無を把握しているか。 ウ その他、特に問題を抱えるケースについて、福祉事務所全体の問題として把握し、取り組んでいるか。 エ 問題解決のために必要な職員研修を実施し、あるいは、自主的内部点検や適正化対策事業等を実施するなど、その対応策を講じているか。 (4) 理事者及び所長等は、職場環境の改善及び職員の士気高揚に努めているか。 2 運営の方針及び事業計画の状況 (1) 生活保護の運営については、ケースワーカー等関係職員が参画し、本庁が福祉事務所に対して示した指針、当該地域の実情、保護の動向、福祉事務所の抱える問題点及び指導監査結果等を十分踏まえた上で基本的な方針が決められているか。 また、問題点に対する具体的な改善策が盛り込まれているか。 (2) 生活保護の運営は、基本的な方針を踏まえ、事業計画を策定するなど計画的に行われているか。 また、関係職員に周知されるとともに、進捗状況が定期的に確認され必要な措置がとられているか。 3 自主的内部点検及び適正化対策事業の実施及び活用状況 (1) 当面する課題及び指導監査結果に基づく指導事項又は指示事項を取り入れた自主的内部点検及び適正化対策事業が実施されているか。 (2) 実施した自主的内部点検及び適正化対策事業の結果を集計するとともに、実施結果について、福祉事務所としての評価がされているか、また、運営方針等に反映されているか。 (3) 自主的内部点検及び適正化対策事業が実施されているにもかかわらず、指導監査等において、依然として、同じ事項が指摘又は指示を受けている場合、その実施方法の適否について検討しているか。 (4) 経理事務処理の点検が実施されているか。 4 ケース診断会議の活用状況 (1) 処遇困難ケースの処遇方針を樹立する場合等においては、ケース診断会議を開催する等必要に応じ速やかに組織的判断を行っているか。 また、所長等幹部職員が参画しているか。 (2) ケース診断会議等の検討経過は記録されているか。 また、その結果等を踏まえ具体的な取組が行われているか。 |
(2) 査察指導機能の充実 |
1 現業活動の掌握体制の確保 訪問計画の策定など計画的な訪問のための取組や訪問調査活動の実施について査察指導員が把握でき、かつ必要な指示・助言ができる体制が確保されているか。また、必要に応じ個々のケースを掌握するための査察指導台帳が作成されているか。 2 訪問の進行管理等 (1) ケースの実態に即した処遇方針の樹立、訪問計画の策定等、訪問調査活動の実施についての助言、指導は適切になされているか。 また、ケースの実態の変化に応じて、その見直しに対する助言、指導が適切に行われているか。 (2) 長期間未訪問ケース等について、ケースワーカーに対して必要な指導を行っているか。 3 ケース審査及び助言、指導 (1) ケースの処遇内容について、ケースワーカーに必要な助言、指導を適切に行っているか。 特に、新任のケースワーカーに対し、実務指導、接遇等について特別な配慮がなされているか。 (2) ケースワーカーに助言・指導した事項、その経過及び結果について、査察指導台帳に記録される等、何らかの形で記録されているか。 (3) ケースワーカーに助言、指導した事項についての進行管理は適切に行われているか。 4 処遇困難ケースへの対応 (1) 処遇困難ケースについては、査察指導員が同行訪問を行う等により、その実態を把握し、適切な処遇を行うよう指導しているか。 (2) 必要に応じ、関係者にケース診断会議などへの参加又はケースへの同行訪問を要請しているか。 (3) 関係機関等との連携が、組織的に確保されているか。 |
(3) 実施体制の確保 |
1 職員の配置状況 (1) 査察指導員、ケースワーカーが不足して事務処理に支障を来していないか。 (2) 査察指導員は原則として生活保護業務経験者等で、適切な助言、指導ができる者となっているか。 (3) ケースワーカーの大半が異動すること等によってケースの処遇、事務処理等に支障を来していないか。 (4) 査察指導員、ケースワーカーが生活保護以外の業務を兼務している場合、支障を来していないか。特に査察指導員がケースを直接担当していることはないか。 2 面接相談体制の状況 専任面接相談員の配置や、査察指導員とケースワーカーの複数面接制の採用など面接相談体制が確立されているか。 3 研修の実施状況 (1) 新任職員、中堅職員等職員の経験年数に応じて生活保護制度の概要、実務、他法他施策等の職場における研修が適切に行われているか。 (2) ケース研究会等職場内研修は適切に行われているか。 (3) 県外研修の実施等、研修内容には工夫がこらされているか。 4 経理事務の処理状況 (1) 保護金品の支給手続・返還金の返納手続等は、関係法令等に照らし適切なものとなっているか。 特に、金品等の授受に当たっては、ケースワーカー等が現金を取り扱っていないか。また、真にやむを得ない場合には、複数の職員で当たるなどの体制がとられているか。 (2) 保護金品の支給については、定期的又は随時に関係帳簿との照合、点検を行っているか。 (3) 法第63条による返還額の決定に当たり、その一部又は全部の返還を免除する場合は、個別の必要性が十分検討されているか。 また、その内容は挙証資料等により明確にされているか。 (4) 法第63条による返還金及び法第77条又は法第78条による徴収金の債権管理は適切に行われているか。 また、未収について、国庫負担金との調定は適切に行われているか。 5 ケース記録等事務処理の管理状況 (1) ケース記録等個人的事情に係る情報資料については、秘密が厳守されるよう慎重な配慮のもとに取り扱われているか。 (2) 関係先照会等にかかる決裁文書等の処理について、内容審査、点検等の管理が適正に行われているか。 6 その他 (1) 訪問用自動車等の整備等、必要な機動力が整備されているか。 (2) 特殊勤務手当は、妥当な額が支給されているか。 |
6 福祉事務所の実情に応じた重点的な指導の徹底 |
1 福祉事務所の実情に応じた取組状況 (1) 福祉事務所において、それぞれ保護動向について分析を行うなどにより、実情に応じた具体的な対応策が講じられているか。 (2) 地域の特性から問題点が認められる福祉事務所においては、その根本的な要因等の分析を十分に行うなどにより、問題点に対する対応策等が計画的に講じられているか。 (3) 前年度監査結果による指摘事項について福祉事務所は、その原因についての分析を行い、具体的な改善策が講じられているか。 (4) 特に小規模な福祉事務所において、保護の適正運営が組織的かつ継続的に確保されうる体制が取られているか。 また、実務を中心とした研修やケース事例の研究協議会等、実施水準の維持向上のための努力がされているか。 2 暴力団関係者ケースに対する調査、指導の状況 (1) 暴力団関係者のケースについては、警察署等関係機関への照会により的確に把握されているか。 (2) 資産、収入、生活歴、現在の生活実態(病状、稼働状況等)は、的確に把握されているか。 (3) ケース診断会議等で受給要件の厳格な審査と指導方針が明確にされ、組織的に取り組んでいるか。 また、受給要件は常時見直されているか。 (4) 自立更生計画書は必要に応じ徴取されているか。 (5) 警察署等関係機関とは常時連携できる体制が確保されているか。 なお、暴力行為等があった場合は、速やかに警察署へ通報する等の措置が行われているか。 (6) 保護の開始決定後、本庁への情報提供が速やかに行われているか。 3 自動車保有ケースに対する調査、指導の状況 (1) 自動車の保有状況が関係先調査等により的確に把握され、保有要件の審査が適切に行われているか。 なお、保有容認に当たっては、任意保険の加入についても検討されているか。 (2) 保有を認めた場合においては、適宜保有要件の検証が適切に行われているか。 (3) 保有が認められない場合の指導指示は、必要に応じ、文書指示により徹底されているか。 また、指導指示に従わない場合には、保護の停・廃止等の措置は適切に行われているか。 (4) 処分が行われるまでの間の使用禁止の指導は、適切に行われているか。 |
別紙2
都道府県・指定都市が行う指定医療機関に対する個別指導の主眼事項及び着眼点
主眼事項 |
着眼点 |
医療扶助受給者に対する適切な処遇の確保 |
1 医療扶助に対する理解の状況 (1) 生活保護制度の趣旨及び医療扶助に関する事務取扱いが十分理解されているか。 (2) 診療報酬の請求は適切に行われているか。 (3) 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(以下「精神保健福祉法」という)等他法の取扱いについて配慮されているか。特に、精神保健福祉法第32条適用について理解されているか。また、長期入院患者等に対する精神障害者保健福祉手帳の取得等について配慮されているか。 2 医療扶助受給者に対する適切な処遇確保の状況 (1) 福祉事務所との協力は、円滑に行われているか。 (2) 医師、看護婦等医療従事者は、確保されているか。 (3) 診療録の記載及び保存は、適切に行われているか。 (4) 診療内容からみて、医療要否意見書は適切に記載されているか。 (5) 長期入院、長期外来患者に対する療養指導は、適切に行われているか。 (6) 入院患者日用品費等の取扱いは、適切に行われているか。特に、精神病院に対しては、本来病院において用意し負担すべき内容の経費について入院患者日用品費から支出するようなことはしていないか。また、原則として個人ごとに口座を設けて管理し、その収支状況についても個人ごとに整理把握されているか。 |