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○生活保護法による介護扶助の運営要領について

(平成12年3月31日)

(社援第825号)

(各都道府県知事・各指定都市市長・各中核市市長あて厚生省社会・援護局長通知)

注 本通知は、平成13年3月27日社援発第518号により、地方自治法第245条の9第1項及び第3項の規定に基づく処理基準とされている。

生活保護法(昭和25年法律第144号)第15条の2に規定する介護扶助の運営要領を次のとおり定めたので、生活保護に関する法令、告示及び通知に基づくほか、この運営要領により介護扶助の実施に万全を期されたい。

介護扶助運営要領

第1 介護扶助運営方針

この運営要領は、生活保護法(以下「法」という。)による介護扶助の適正な実施を図るため、都道府県知事(指定都市及び中核市の市長を含む。以下同じ。)の行う介護機関の指定、介護の報酬の決定等の事務並びに保護の実施機関の行う介護扶助の決定及び実施に関する事務の処理の要領を示したものであって、都道府県知事及び保護の実施機関は、介護扶助に関する事務の実施に際して、生活保護に関する法令、告示及び通知に基づくほか、この運営要領によって事務を処理し、もって適正かつ円滑な実施を期すること。

1 要保護者に対する助言・指導

介護保険制度は、社会連帯の理念に基づき、利用者の選択により保健・医療・福祉にわたる介護サービスを総合的に利用することを保障する社会保険制度であり、被保護者についても被保険者とし、介護扶助とあいまって保険給付の対象となる介護サービスの利用を権利として保障するものである。

このため、在宅又は入院若しくは入所中で現に介護サービスを利用している要保護者、要介護若しくは要支援の状態にある者又は基本チェックリストに該当する者であって、介護サービスの利用により生活の向上を図ることができると思われる要保護者に対しては、その利用を勧めること。

また、運用に当たっては、法の趣旨から一定の制約と福祉事務所の関与が必要であるとともに、要介護認定を受けて居宅介護支援計画を作成することが必要であるなど医療扶助と利用の仕組みが大きく異なることから、利用の手続きについて適切な助言・指導を行うこと。

2 関係機関等との連携

介護扶助の円滑かつ適切な実施については、保護の実施機関や被保護者はもとより、都道府県の介護保険担当部局、都道府県・市町村自立支援給付等担当部局、市町村、指定介護機関、国民健康保険団体連合会(以下「国保連」という。)、民生委員、介護支援専門員(ケアマネジャー)等の関係機関が、この制度趣旨を十分に理解して事務を実施することが、その目的を達成するために不可欠であるので、関係機関等との密接な連携を図り、その協力が得られる体制を確保すること。

(1) 指定介護機関

指定介護機関に対し、指定介護機関介護担当規程(平成12年3月厚生省告示第191号)に規定する福祉事務所への協力義務について周知するとともに、福祉事務所への協力を要請すること。

(2) 民生委員

民生委員協議会等を通じて、介護扶助制度について十分な理解を求め、要保護者に対する周知について協力を得ること。

(3) 市町村及び国民健康保険団体連合会

介護保険者である市町村(広域連合及び一部事務組合を含む。以下同じ。)及び審査・支払機関である国保連に対して、次の保険者事務が円滑に行われるよう協力すること。

ア 介護保険料の賦課及び高額介護サービス費等の支給に関して被保護者に適用される所得区分の適用のための情報提供

イ 救護施設入所者の介護保険適用除外のための情報提供

また、市町村に対し、福祉事務所が被保険者以外の者に係る介護扶助のための要介護状態等の審査判定を委託して行うことについて協力を要請すること。

(4) 都道府県介護保険担当部局

都道府県介護保険担当部局に対して、生活保護の指定介護機関に係る指定に関し、次の依頼を行い、必要な協力を得ること。

ア 都道府県又は市町村の介護保険担当部局は、介護保険の指定又は開設許可の申請があった介護機関に対して、以下の事項について周知すること。

(ア) 介護保険法の規定による指定又は開設許可があったときは、生活保護法第54条の2第2項の規定により、当該介護機関は、生活保護の指定介護機関として指定を受けたものとしてみなされること。

(イ) 地域密着型介護老人福祉施設及び介護老人福祉施設を除く介護機関が、生活保護の介護機関に係る指定を不要とする場合には、介護保険法の指定又は開設許可申請の際、生活保護の介護機関に係る指定を不要とする旨と併せて、当該介護機関の名称及び所在地、開設者及び管理者の氏名及び住所並びに当該申出に係る施設又は事業所において行う事業の種類を記載した申出書を当該介護機関の所在地を所管する都道府県(指定都市及び中核市を含む。)の生活保護担当部局(国の開設した介護老人保健施設又は介護医療院にあっては、当該施設の所在地を管轄する地方厚生局長)に提出すること。

イ 生活保護の指定介護機関の指定の状況把握等のために、介護保険の指定又は開設許可を行った介護機関(市町村が指定した地域密着型サービス事業者、地域密着型介護予防サービス事業者及び第1号事業のサービスを実施する者(以下「第1号事業サービス実施者」という。)を含む。)に関する情報を提供すること。

(5) 都道府県・市町村自立支援給付等担当部局

障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律の自立支援給付及び地域生活支援事業(以下「自立支援給付等」という。)による障害福祉サービス等の決定自体は障害者自立支援給付等担当部局が行うものであるが、介護扶助と自立支援給付等との適用関係にあたり、障害福祉サービスを受けるための身体障害者手帳の取得、自立支援給付等の適用関係に関する障害者自立支援給付等担当部局への照会及び協議並びに自立支援給付等の支給決定等を受けるための申請等、障害者自立支援給付等担当部局との連携が不可欠であることから、その協力が得られる体制を確保すること。

(6) 介護支援専門員(ケアマネジャー)

介護扶助と自立支援給付等との適用関係について、要保護者の居宅サービス計画等を作成する介護支援専門員に対しても周知を行うことは、適用関係事務を適切に行うとともに、適切な居宅サービス計画等を策定するためには有効であるため、介護扶助と自立支援給付等との適用関係について正しく理解してもらうよう適切に周知を行うこと。

第2 介護扶助運営体制

介護扶助関係事務を円滑かつ適切に実施できるよう、次の運営体制を標準として、その事務処理体制を整備すること。

1 都道府県、指定都市及び中核市の本庁関係

(1) 介護係等

都道府県本庁(指定都市及び中核市にあっては市本庁とする。イを除き以下同じ。)主管課に、可能な限り専任で介護扶助事務を担当する介護係又は介護扶助事務主任者(以下「介護係等」という。)を置くこと。

介護係等の行うべき事務は、おおむね次のとおりであるが、医療係、技術吏員及び介護保険担当部局と密接な連携を図り、介護扶助の実施に遺漏のないよう留意すること。

ア 管内福祉事務所の介護扶助運営体制の整備及び実施に関する必要事項の助言及び連絡調整

イ 介護扶助の事務監査(都道府県及び指定都市本庁に限る。)

ウ 指定介護機関の指定

エ 指定介護機関の指定に関する告示並びに管内福祉事務所、審査・支払機関及び指定居宅介護支援事業者、指定介護予防支援事業者及び第1号介護予防支援を実施する者に対する通知

オ 指定介護機関に対する指導及び検査

カ 国保連との契約締結及び連絡調整

キ 都道府県知事による介護の報酬の決定

ク 介護扶助関係統計分析

ケ その他介護扶助の実施に関する事項

(2) 医系職員

医系職員(医師等、医療に関する専門的な知識を有する職員をいう。以下同じ。)の行うべき主な事務は次のとおりである。

ア 介護機関の指定・取消に当たっての医学的判断

イ 介護扶助の給付の要否につき本庁に対する協議があった場合の医学的判断

ウ その他介護扶助運営上必要な医学的判断

(3) 手続き書類及び運営台帳

都道府県本庁においては、次に掲げる書類を整備すること。

ア 生活保護法施行規則(昭和25年厚生省令第22号。以下「規則」という。)第10条の6に規定する指定介護機関指定申請書及び第14条、第15条に規定する変更等届出書

イ 指定介護機関名簿(福祉事務所別、サービスの種類別)(様式第1号)

ウ 指定申請書(変更届書、休止・廃止届書、再開届書、処分届書、指定辞退届書)受理簿(様式第2号)

2 福祉事務所関係

(1) 査察指導員

査察指導員は、次の業務を行い、介護扶助の現状を常に把握するとともに、査察指導について計画を策定するなど計画的に実施し、地区担当員、嘱託医等との組織的連携に努める等介護扶助適正実施の推進を図ること。

ア 管内の介護扶助の現状把握と問題点分析

イ 地区担当員の指導とその効果の確認

ウ 指定介護機関、介護保険者等に対する連絡調整の総括

エ 地区担当員等が記載する自立支援給付等該当可能性確認台帳について、記載に関する指導及び当該台帳の管理

(2) 地区担当員

地区担当員は、査察指導員、嘱託医等との組織的な連携のもとに次の事務にあたること。

ア 65歳以上の被保険者である被保護者に対する介護保険料納付に係る指導

イ 40歳以上65歳未満の介護保険の被保険者でない要保護者(以下「被保険者以外の者」という。)に係る要介護状態等の審査判定の市町村への委託業務

ウ 要保護者に対する指定介護機関の紹介その他指定介護機関の選択に関わる相談に応じる業務

エ 介護扶助の要否判定、程度の決定

オ 被保険者以外の者に係る介護扶助適用に関して、介護扶助事務担当者と連携し、他法他施策の適用関係の確認及び自立支援給付等該当可能性確認台帳への記載

カ 介護施設を訪問して行う生活指導

キ 居宅介護支援計画又は介護予防支援計画等に基づくサービス提供実績の確認

ク 介護報酬請求明細書の内容検討

ケ 指定介護機関、介護保険者、障害者自立支援給付等担当部局、介護支援専門員等との連絡調整

(3) 嘱託医

嘱託医は、査察指導員、地区担当員等からの要請に基づき、次の事項について、専門的判断及び必要な助言指導を行なうこと。

ア 40歳以上65歳未満の要保護者が特定疾病に該当するか否かの判断

イ 要保護者についての調査、指導又は検診

ウ 長期入院患者の介護扶助への移行の適否についての療養上の検討

エ その他介護扶助に関する医学的判断

(4) 介護扶助事務担当者

介護扶助事務担当者は、介護扶助の円滑な実施を図るため必要な次の事務を処理すること。

ア 介護券の発行事務

イ 介護給付費公費受給者別一覧表と介護券交付処理簿との照合

ウ 地区担当員と連携し、被保険者以外の者に係る介護扶助適用に関する自立支援給付等該当可能性確認台帳への記載及び管理

エ 被保険者である被保護者(第2号被保険者については、現に介護サービスを受給する被保護者に限る。)及び救護施設入所者に関する市町村への連絡事務

オ 被保険者以外の介護扶助受給者に関する国保連への連絡事務

(5) 介護券交付処理簿等及び手続書類

福祉事務所においては、介護券交付処理簿及び被保険者以外の者に関する自立支援給付等該当可能性確認台帳を作成するほか、次に掲げる手続書類用紙を印刷し、常備すること。

ア 介護券(様式第3号)

イ 被保護者情報連絡表(保険者用)(様式第4号の1)

ウ 介護扶助受給者情報連絡表(保険者用)(様式第4号の2)

エ 被保護者異動連絡票(国保連用)(様式第5号)

オ 被保護者異動訂正連絡票(国保連用)(様式第6号)

(6) 本省に対する情報提供

保護の実施機関は、介護保険の介護の方針及び介護の報酬により難いものについては、介護扶助の特別基準の設定につき情報提供すること。なお、その際には次の事項に関する書類を添付すること。

ア 特別基準を必要とする理由

イ 特別基準の申請額およびこれが最低限度の額であることを証する書類

ウ 関係専門医等の意見

エ その他アに関連して参考となる資料

(7) 都道府県本庁に対する技術的助言の求め

福祉事務所長は、都道府県知事に対し、次の点について必要に応じて連絡し又は技術的な助言を求めること。

ア 介護機関等の指定に関する事項

イ 介護扶助の要否の判定又は保護の決定実施上の判断に関し疑義があると福祉事務所長が認めた事項

ウ 他法他施策関係について必要とされる事項

エ その他特に求められた事項

第3 被保険者である被保護者等に関する市町村への連絡

1 基本的考え方

介護保険制度においては、被保護者について最も低い段階の介護保険料及び高額介護サービス費等に係る自己負担上限額が適用されることとされている。

そこで、扶助額の適正な決定や被保護者による介護サービスの適切な利用、さらには保護の目的を達成する等のためには、保険者において、被保護者である被保険者を適切に把握する必要があり、この把握に遺漏のないよう、福祉事務所において65歳以上の被保険者である被保護者、40歳以上65歳未満の被保険者である被保護者(現に介護サービスを利用する者に限る。)及び介護保険の適用除外者に関する市町村への連絡事務を一括して行う必要があるものである。

2 被保険者である被保護者に係る情報提供

(1) 65歳以上の被保険者である被保護者に係る情報提供

ア 福祉事務所は、毎年度当初、被保護者情報連絡表により、次に掲げる者についてそれぞれの保険者へ情報提供を行うこと。

(ア) 4月1日現在の被保護者のうち65歳以上の者

(イ) 当該年度において65歳に到達する被保護者

イ 福祉事務所は、アによる情報提供のほか、65歳以上の者について保護の開始、停止又は廃止の処分(4月1日付けの処分を除く。)を行ったときは、任意の様式により、それぞれの保険者へ随時情報提供を行うこと。

(2) 介護扶助の開始、停止又は廃止に伴う介護扶助受給者に係る情報提供について福祉事務所は、65歳以上の被保険者である被保護者及び40歳以上65歳未満の被保険者である被保護者について介護扶助の開始、停止又は廃止の処分を行ったときは、様式第4号の2の介護扶助受給者情報連絡表により保険者へ情報提供を行うこと。

3 適用除外施設入所者に係る情報提供

福祉事務所は、別に定めるところにより、介護保険の適用除外者(救護施設入所者)に係る情報提供を行うこと。

第4 要介護認定等及び居宅介護支援計画等の作成について

1 基本的考え方

介護扶助については、介護保険制度の保険給付の対象となる介護サービスと同等のサービスを、介護保険制度とあいまって、要保護者に対し保障するものである。

そこで、要保護者は、原則的には、介護保険制度の被保険者として介護保険法及び関係法令の規定に基づき要介護認定、要支援認定又は基本チェックリストによる確認(以下「要介護認定等」という。)を受け、要介護状態、要支援状態又は基本チェックリストに該当する状態(以下「要介護状態等」という。)に応じ介護保険給付及び介護扶助を受けることとなる。

また、介護保険制度の被保険者でない40歳以上65歳未満の要保護者で介護保険法施行令(平成10年政令第412号)第2条各号の特定疾病により要介護状態又は要支援状態にあるものについては、自立支援給付等の活用が可能な場合は、その優先的な活用を図った上で、なお介護サービスの利用が必要不可欠であると認められる場合において、介護扶助の要否判定に当たり被保険者と同様に要介護状態又は要支援状態の審査判定を受け、要介護状態又は要支援状態に応じ介護扶助を受けることとするものである。

なお、介護扶助の居宅介護の範囲は、居宅介護支援計画に基づいて行うものに限られており、介護予防の範囲は、介護予防支援計画に基づいて行うものに限られており、また、介護予防・日常生活支援は、介護予防支援計画又は介護予防ケアマネジメントに基づいて行うものに限られていることから、被保険者については介護保険法の規定に基づき、被保険者でない者については介護扶助として、介護扶助の指定介護機関である居宅介護支援事業者、介護予防支援事業者又は第1号介護予防支援を実施する者(以下「居宅介護支援事業者等」という。)から居宅介護支援計画、介護予防支援計画、介護予防ケアマネジメントに基づくプラン又は介護予防ケアマネジメントの内容がわかるもの(以下「居宅介護支援計画等」という。)の策定を受け、当該計画に基づき介護扶助の指定介護機関から居宅介護、介護予防又は介護予防・日常生活支援(以下「居宅介護等」という。)を受けることとなる。

2 要介護認定等

(1) 介護保険の被保険者である要保護者

ア 65歳以上の者

介護保険法の規定に基づき、被保険者として要介護認定等を受けるものである。

したがって、保護の実施機関においては、介護扶助を必要とすると認める場合においては、適切に要介護認定等が行われるよう、要保護者に対して助言及び指導を行われたい。

イ 40歳以上65歳未満で特定疾病により要介護状態又は要支援状態にあるもの

65歳以上の者と同様に、被保険者として要介護認定又は要支援認定を受けるものである。なお、要介護認定又は要支援認定に当たり特定疾病の該当性については、主治医の意見書の記載内容に基づき、市町村等に置かれる介護認定審査会が確認するものである。

したがって、保護の実施機関においては、アと同様に、要保護者に対して助言及び指導を行われたい。

ウ 主治医の意見書について

(ア) 文書料

要介護認定等(基本チェックリストに該当する者を除く。)に必要な主治医の意見書の記載に係る経費は、介護保険の保険者が負担する。

(イ) 診察及び検査に要する費用

意見書は、主治医が、それまでの診療等によって得られている情報に基づいて記載するものである。

ただし、主治医がいない場合には、保険者の指定する医師が診断を行い、意見書を記載することとされていることから、その際に必要な診察及び検査に係る費用又は医療保険の自己負担分については、医療扶助を適用して差し支えない。なお、本人の主訴等がないため、医療保険及び医療扶助の対象とならない場合には、初診料相当分及び検査費用について保険者が負担することとされているので留意すること。

(2) 介護保険の被保険者でない要保護者

ア 概要

介護保険制度の被保険者でないことから、要介護認定又は要支援認定については、介護扶助の要否判定の一環として生活保護制度で独自に行うこととなる。この場合の要介護状態等(基本チェックリストに該当する者を除く。イにおいて同じ。)の判定区分、継続期間、療養上の留意事項等について、被保険者とそれ以外の者との間で統一を図る等のため、市町村に設置される介護認定審査会に審査判定を委託して行う。

イ 要介護状態等の審査判定の町村への委託等

郡部福祉事務所(都道府県介護認定審査会が設置される都道府県の福祉事務所を除く。)においては、介護扶助の実施のための要介護状態等の審査判定について、別に定めるところにより、その所管区域内の町村長(要介護認定等業務を行う広域連合の長又は一部事務組合の管理者を含む。)と委託契約を締結するとともに、覚書を交わすこと。

市町村福祉事務所においては、その設置する介護認定審査会に、介護扶助の実施のための要介護状態等の審査判定を依頼して行うこと。

ウ 主治医の意見書について

町村長等との委託契約を締結するに当たり、主治医の意見書記載に係る費用については、介護保険の額の例によること。また、診察及び検査費用の取扱いについては、(1)のウの(イ)(なお書きを除く。)と同様であること。

なお、主治医意見書の徴収を町村長等へ委託せず、福祉事務所において検診命令により行い、意見書記載に係る費用について当該医師に直接支払うことも福祉事務所の判断により可能である。この場合の基準額については「障害認定に係るもの」として、「生活保護法による保護の実施要領について」(昭和38年4月社発第246号本職通知)の第11の4の(5)の規定に基づき、当該規定のかっこ書きに定める金額の範囲内で特別基準の設定があったものとして必要な額を認定して差し支えない。

(3) 長期入院患者等の処遇の見直しについて

介護保険制度は、社会的入院の解消がその創設の趣旨の一つであるが、医療扶助を受けている長期入院患者等のうち、単身で身寄りがないなど社会的入院を余儀なくされている要保護者については、介護保険及び介護扶助の導入によって、身体及び精神の状況に応じた適切な介護サービスが提供される体制が確保されることとなる。

このため、医療扶助を受けている長期入院患者等について、主治医訪問や嘱託医協議を行うことにより、療養の継続の必要性、介護扶助への移行の適否等について検討し、介護扶助がその身体及び精神状況に照らし適当と判断される場合には、要介護認定等を受けるよう指導すること。

3 居宅介護支援計画等について

(1) 共通事項

居宅介護等に係る介護扶助の申請は、居宅介護支援計画等の写しを添付して行うこととされている(ただし、被保険者以外の者については、申請時における居宅介護支援計画等の添付は要しない。)が、この居宅介護支援計画等は、原則として本法による指定介護機関の指定を受けた居宅介護支援事業者等が作成した介護保険法に規定する居宅サービス計画、介護予防サービス計画、介護予防ケアマネジメントに基づくプラン又は介護予防ケアマネジメントの内容がわかるもの(以下「居宅サービス計画等」という。)であること。

なお、小規模多機能型居宅介護及び介護予防小規模多機能型居宅介護を利用する場合には、当該事業者の職員である介護支援専門員が居宅サービス計画等を作成することとされているが、その場合、当該計画を居宅介護支援計画等として取扱うものであること。

(2) 被保険者

ア 被保護者に対し、介護サービスを受けようとする場合は、居宅介護支援計画等の作成に先立ち、担当する福祉事務所に相談するよう指導すること。

イ 居宅介護支援計画等の作成を行っていない要保護者が介護扶助を申請する場合には、福祉事務所は指定居宅介護支援事業者等の一覧を提示し、要保護者の意思により選択して作成するよう助言すること。

ウ 申請者が非指定介護機関による居宅介護支援計画等の作成を希望する場合には、計画を作成し又は変更したときは直ちに福祉事務所に連絡すること及び連絡がなかった場合には介護扶助の決定が行われない場合があり得ることを十分周知すること。

エ 要保護者が、既に非指定介護機関において居宅介護支援計画等の作成を受けている場合には、介護扶助の決定に当たり当該計画の介護扶助の基準該当性を審査し、不適切な場合は再度計画を作成するよう指示すること。ただし、保険給付が償還払いとなる場合を除き、非指定介護機関であることを理由として居宅介護支援事業者等の変更を指導する必要はないこと。

オ 介護扶助の申請は、要保護者が居宅介護支援計画等の写しを提出して行うことが原則であるが、要保護者が希望する場合、及び要保護者からの提出を待っては保護の迅速かつ的確な決定に支障が生ずるおそれがある場合には、別に定めるところにより、本人の同意を得たうえで、直接指定居宅介護支援事業者等から居宅介護支援計画等の写しの交付を求めることとして差し支えないこと。

(3) 被保険者以外の者

ア 被保険者以外の者については、管内の指定居宅介護支援事業者等の一覧を要保護者に提示し、要保護者本人の意思により指定居宅介護支援事業者等を選択させた上で、介護券を発行し、居宅介護支援計画等の作成を委託して行うこと。

イ 居宅介護支援計画作成等に係る報酬については、介護保険の居宅介護サービス計画費、介護予防サービス計画費又は介護予防ケアマネジメントに係る報酬の例によることとし、国保連へ審査支払いを委託して行うものであること。

ウ 被保険者以外の者の介護扶助については、自立支援給付等の活用が可能であり、その優先的な活用を図った上で、なお必要とする介護サービスがある場合に行われるものであることから、居宅介護支援計画等の作成に当たっては、要保護者が自立支援給付等において利用するサービスの種類及び利用額等につき、自立支援給付等担当部局及び障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律による指定相談支援事業者と連携して把握するとともに、指定居宅介護支援事業者等に対して情報提供を行うこと。

第5 介護扶助実施方式

1 介護扶助の申請

介護扶助を申請する場合には、保護申請書の一般的記載事項のほか、介護保険の被保険者たる資格の有無、その他参考事項を記載したうえ、第4の3に規定する居宅介護支援計画等の写し(被保険者が居宅介護等を申請する場合に限る。)を添付し、福祉事務所長に提出させること。

2 介護扶助の決定

要保護者から介護扶助の申請を受けた場合において、その決定に当たっては、第2に規定する介護扶助運営体制に則って事務手続及び体制を整備した上で、以下の点に留意すること。

(1) 決定の際の留意事項

ア 居宅介護等に係る介護扶助の程度は、介護保険法に定める居宅介護サービス費等区分支給限度基準額、介護予防サービス費等区分支給限度基準額又は介護予防・生活支援サービスにおける支給限度額(以下「居宅介護サービス費等区分支給限度基準額等」という。)の範囲内であること。したがって、居宅介護サービス費等区分支給限度基準額等を超える介護サービスについては、全額自己負担となることから利用を止めるよう指導すべきであること。

イ 介護扶助の適用すべき期日は、原則として、保護申請書または保護変更申請書の提出のあった日以降において介護扶助を適用する必要があると認められた日とすること。

ウ 特定施設入居者生活介護、認知症対応型共同生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護、介護予防特定施設入居者介護及び介護予防認知症対応型共同生活介護については、入居に係る利用料が住宅扶助により入居できる額に限られるものであるので留意すること。

エ 他市町村の地域密着型サービス等(居宅介護のうちの定期巡回・随時対応型訪問介護看護、夜間対応型訪問介護、地域密着型通所介護、認知症対応型通所介護、小規模多機能型居宅介護、認知症対応型共同生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護及び看護小規模多機能型居宅介護、介護予防のうちの介護予防認知症対応型通所介護、介護予防小規模多機能型居宅介護及び介護予防認知症対応型共同生活介護、施設介護のうちの地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護並びに介護予防・生活支援サービスをいう。)の介護保険被保険者の利用は、当該地域密着型サービス等を行う事業者について、当該被保護者を被保険者とする市町村の指定を受けている場合に限られるものであるので留意すること。ただし、住所地特例により他市町村の特定地域密着型サービス等(居宅介護のうちの定期巡回・随時対応型訪問介護看護、夜間対応型訪問介護、地域密着型通所介護、認知症対応型通所介護、小規模多機能型居宅介護及び看護小規模多機能型居宅介護、介護予防のうちの介護予防認知症対応型通所介護及び介護予防小規模多機能型居宅介護並びに介護予防・生活支援サービスをいう。)を利用する場合は、当該サービス事業者が住所地特例対象施設の所在する市町村の指定を受けていることでサービス利用が可能であること。なお、その際の介護の報酬の額については、住所地特例対象施設の所在する市町村が定める報酬単位によること。

また、被保険者以外の者についても被保険者に準じた範囲とするものであること。

(2) 他法他施策との関係

(介護保険の被保険者)

介護保険の被保険者に係る介護扶助(法第15条の2第1項に規定する居宅介護のうち、居宅療養管理指導、特定施設入居者生活介護、認知症対応型共同生活介護及び地域密着型特定施設入居者生活介護並びに法第15条の2第5項に規定する介護予防のうち、介護予防居宅療養管理指導、介護予防特定施設入居者生活介護及び介護予防認知症対応型共同生活介護を除く。以下同じ。)と障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律の自立支援給付のうち介護給付費等(障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第19条第1項に規定する介護給付費等をいう。以下同じ。)との適用関係については、同法第7条及び「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく自立支援給付と介護保険制度との適用関係等について」(平成19年3月28日障企発第0328002号・障障発第0328002号厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課長、障害福祉課長連名通知)の規定による介護保険給付と介護給付費等との適用関係と同様に、介護保険給付及び介護扶助が介護給付費等に優先する。

ただし、介護保険制度における居宅介護サービスのうち、訪問看護、訪問リハビリテーション及び通所リハビリテーション(医療機関により行われるものに限る。)並びに介護予防サービスのうち、介護予防訪問看護、介護予防訪問リハビリテーション及び介護予防通所リハビリテーション(医療機関により行われるものに限る。)に係る自己負担相当額について、自立支援医療(更生医療)の給付を受けることができる場合は、自立支援医療(更生医療)が介護扶助に優先して給付されることに留意すること。

(介護保険の被保険者ではない要保護者)

ア 基本的な考え方

要保護者の介護につき、介護扶助に優先して活用されるべき他法他施策による給付の有無を調査確認し、優先活用が可能な他法他施策があると判断される場合は当該要保護者に対して他法他施策による給付を活用すべきことを指導するとともに、当該他法他施策の運営実施を管理する機関に連絡して、当該要保護者に対する処遇が適正かつ円滑に行われるよう配意すること。

イ 自立支援給付等との適用関係における留意点

被保険者以外の者は、介護保険法施行令第2条各号に規定する特定疾病により、要介護、要支援状態にあるものとして、介護扶助の適用対象となるが、他法他施策の活用、特に自立支援給付等と介護扶助との適用関係においては、自立支援給付等が介護扶助に優先することから、福祉事務所においては、介護扶助の決定に際して以下の点について留意すること。

(ア) 要保護者が身体障害者手帳を取得していない場合

身体障害の場合、自立支援給付等を受けるためには身体障害者手帳の取得が必要となることから、身体障害者手帳を取得していない者については、まず手帳の取得の可否を判断する必要があるので、下記のいずれかの方法により、判断を行うこと。

a 要保護者の病状調査票等に基づき、その病状を把握し、身体障害者手帳の取得が可能と考えられる障害を有していると見込まれる場合は、障害担当課へ照会を行うこと

b 病状調査等が未実施の場合は、要保護者の主治医に対して病状調査を行い、当該要保護者の病状等に関する照会を行うこと

上記の照会を行った上で、身体障害者手帳の取得が可能であれば、自立支援給付等の優先適用について検討すること。

(イ) 要保護者が身体障害者手帳を取得している場合

自立支援給付等の優先適用について検討すること。

(ウ) 要保護者が身体障害でない場合

初老期における認知症等ではあるが、要保護者が身体障害でない場合は、個々の病状を病状調査等により把握した上で自立支援給付等の優先適用について検討すること。なお、脳血管疾患等脳に関する特定疾病については、器質性精神障害により、精神障害に該当することもあるので、その観点からの自立支援給付等の適用も検討すること。

また、特定疾病になる以前から、既に障害支援区分認定を受け、障害福祉サービスを利用している者が特定疾病に罹患した場合にあっては、障害支援区分の認定を再度行うことにより、特定疾病を罹患したことに伴い必要となる障害福祉サービスを受けることが可能となる場合がある点に留意し、可能となる場合には自立支援給付等の優先適用を検討すること。

身体障害者手帳の取得の可否、自立支援給付等の適用の可否に関する障害者自立支援給付等担当部局への照会及び協議並びに自立支援給付等の支給決定等を受けるための申請等、障害者自立支援給付等担当部局との連携が不可欠であることから、この点についても留意した上で適切な執行に努めること。

現在は自立支援給付等を活用せず、その一方で、介護扶助が継続されているケースについても、上記(2)イ(ア)~(ウ)までを参考に自立支援給付等を適用することができる場合は優先的に適用すること。

なお、上記継続ケースへの自立支援給付等の優先適用に当たっては、指定介護機関等と連携して要保護者に係る居宅サービス計画等のサービス給付の内容を主体的に把握し、次表「介護扶助(生活保護法)による介護サービスと自立支援給付(障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律)による障害福祉サービス等との対応関係表」を参考の上、介護サービスに対応する障害福祉サービスがある場合は、障害福祉サービスの活用が可能であるかについて必ず検討を行い、活用可能な障害福祉サービスについては優先的に活用し、一律に介護扶助を適用することのないよう、留意すること。

○介護扶助(生活保護法)による介護サービスと自立支援給付(障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律)による障害福祉サービス等との対応関係表

1 在宅の要介護者への介護給付

介護扶助による介護サービス

介護サービス内容

介護サービスと同等の自立支援給付による障害福祉サービス等

障害福祉サービス等の利用可能となる状態

(居宅サービス)

訪問サービス

訪問介護

居宅要介護者が、介護福祉士・養成研修修了者から受ける、入浴・排せつ・食事等の介護、調理・洗濯・掃除等の家事、生活等に関する相談と助言その他必要な日常生活上の世話

居宅介護

(ホームヘルプ)

重度訪問介護

居宅介護は障害支援区分が1以上の障害者等(身体障害、知的障害、精神障害、難病等対象者)が対象となる。重度訪問介護は障害支援区分が4以上であって、「二肢以上に麻痺等があること」等の要件を満たす肢体不自由者又は重度の知的障害若しくは精神障害により行動上著しい困難を有する障害者であって常時介護を要する者が対象となる。

訪問入浴介護

居宅要介護者が、浴槽を提供されて受ける入浴の介護

地域生活支援事業の訪問入浴サービス

(市町村事業)

本事業を実施している場合は、当該市町村が定める要件に該当する者は原則対象となる。

訪問リハビリテーション

居宅要介護者(主治医が、病状が安定期にあり居宅で心身の機能の維持回復を図り日常生活の自立を助けるための理学療法・作業療法その他リハビリテーションを必要とすると認めた人)が受ける訪問のリハビリテーション(医療機関/介護老人保健施設・介護医療院)

自立訓練

(機能訓練)

身体障害者又は難病等対象者であって、利用希望者は原則対象となる。

通所サービス

通所介護

居宅要介護者が、特別養護老人ホーム・養護老人ホーム・老人福祉センター・老人デイサービスセンター等の施設に通って受ける入浴・排せつ・食事等の介護、生活等に関する相談と助言、健康状態の確認その他必要な日常生活上の世話と機能訓練

生活介護

生活介護は、地域や入所施設において、安定した生活を営むため、常時介護等の支援が必要な者であって、

① 障害支援区分が区分3(障害者支援施設等に入所する場合は区分4)以上である者

② 年齢が50歳以上の場合は、障害支援区分が区分2(障害者支援施設等に入所する場合は区分3)以上である者

等が対象となる。

通所リハビリテーション

居宅要介護者(主治医が、病状が安定期にあり介護老人保健施設・介護医療院・病院・診療所で心身の機能の維持回復を図り日常生活の自立を図るために理学療法・作業療法その他リハビリテーションを必要とすると認めた人)が施設に通って受けるリハビリテーション

自立訓練

(機能訓練・生活訓練)

■ 機能訓練

身体障害者又は難病等対象者であって、利用希望者は原則対象となる。

■ 生活訓練

知的障害又は精神障害を有する者であって、利用希望者は原則対象となる。

短期入所サービス

短期入所生活介護

居宅要介護者が、特別養護老人ホーム・養護老人ホーム等の施設や老人短期入所施設に短期間入所して受ける、入浴・排せつ・食事等の介護その他の日常生活上の世話と機能訓練

短期入所

(ショートステイ)

(福祉型)

短期入所は、居宅においてその介護を行う者の疾病その他の理由により、障害者支援施設等への短期間の入所が必要な者で、

■ 福祉型(障害者支援施設等において実施可能)

・障害支援区分1以上である障害者

・障害児の障害の程度に応じて厚生労働大臣が定める区分における区分1以上に該当する障害児

が対象となる。

短期入所療養介護

居宅要介護者(病状が安定期にあり、介護老人保健施設・介護医療院・医療療養病床・診療所に短期間入所し、看護、医学的管理下の介護と機能訓練その他の医療を必要とする人)が受ける看護その他の必要な医療と日常生活上の世話

短期入所

(ショートステイ)

(医療型)

居宅においてその介護を行う者の疾病その他の理由により、障害者支援施設等への短期間の入所が必要な者で、

■ 医療型(病院、診療所、介護老人保健施設・介護医療院において実施可能)

・遷延性意識障害児・者、筋萎縮性側索硬化症等の運動ニューロン疾患を有する者及び重症心身障害児・者等

が対象となる。

福祉用具

福祉用具貸与

居宅要介護者に対する日常生活上の便宜を図る用具や機能訓練のための用具で日常生活の自立を助けるもの(福祉用具)(厚生労働大臣が定めるもの)の福祉用具相談専門員による貸与

地域生活支援事業(日常生活用具等給付費)

日常生活用具給付等事業による給付については、事業の実施主体である市町村において、告示で定められた用具の要件、用途及び形状を給付するのが適当であるかどうか判断し、支給決定を行うものである。

特定福祉用具販売

福祉用具のうち、貸与になじまない入浴や排せつのための用具(厚生労働大臣が定めるもの)の福祉用具相談専門員による販売

地域生活支援事業(日常生活用具等給付費)

補装具費

日常生活用具給付等事業は同上。

補装具費の支給については、身体の欠損又は損なわれた身体機能を補完・代替することによって日常生活や社会参加を支援することを目的としており、実施主体である市町村において必要に応じ適合判定などを更生相談所に依頼し、最終的に支給決定を行うものである。

(地域密着型サービス)

定期巡回・随時対応型訪問介護看護

次のいずれかに該当するもの。

一 居宅要介護者に定期的な巡回又は通報により、居宅で介護福祉士等が入浴・排せつ・食事等の介護、その他の日常生活上の世話を行うとともに看護師等が療養上の世話又は必要な診療の補助を行うもの。

二 居宅要介護者に定期的な巡回又は通報により、訪問看護を行う事業所と連携しつつ、居宅で介護福祉士等が入浴・排せつ・食事等の介護、その他の日常生活上の世話を行うもの。

居宅介護

(ホームヘルプ)

居宅介護は障害支援区分が1以上の障害者等(身体障害、知的障害、精神障害、難病等対象者)が対象となる。

夜間対応型訪問介護

居宅要介護者が、夜間の定期的な巡回又は通報により、居宅で介護福祉士、養成研修修了者から受ける入浴・排せつ・食事等の介護、生活等に関する相談と助言その他必要な日常生活上の世話

居宅介護

(ホームヘルプ)

居宅介護は障害支援区分が1以上の障害者等(身体障害、知的障害、精神障害、難病等対象者)が対象となる。

地域密着型通所介護

居宅要介護者が、特別養護老人ホーム・養護老人ホーム・老人福祉センター・老人デイサービスセンター等の施設に通って受ける入浴・排せつ・食事等の介護、生活等に関する相談と助言、健康状態の確認その他必要な日常生活上の世話と機能訓練

生活介護

生活介護は、地域や入所施設において、安定した生活を営むため、常時介護等の支援が必要な者であって、

① 障害支援区分が区分3(障害者支援施設等に入所する場合は区分4)以上である者

② 年齢が50歳以上の場合は、障害支援区分が区分2(障害者支援施設等に入所する場合は区分3)以上である者

等が対象となる。

認知症対応型通所介護【認知症専用デイサービス】

認知症の居宅要介護者が、できるだけ居宅で能力に応じ自立した日常生活を営めるように、老人デイサービス事業を行う施設又は老人デイサービスセンターに通い、その施設で受ける入浴・排せつ・食事等の介護、生活等に関する相談と助言、健康状態の確認その他必要な日常生活上の世話と機能訓練

生活介護

生活介護は、地域や入所施設において、安定した生活を営むため、常時介護等の支援が必要な者であって、

① 障害支援区分が区分3(障害者支援施設等に入所する場合は区分4)以上である者

② 年齢が50歳以上の場合は、障害支援区分が区分2(障害者支援施設等に入所する場合は区分3)以上である者

等が対象となる。

小規模多機能型居宅介護

居宅要介護者が、心身の状況や環境等に応じ、その者の選択に基づいて、居宅又は機能訓練と日常生活上の世話を適切に行うことができるサービス拠点に通所又は短期間宿泊して受ける入浴・排せつ・食事等の介護、調理・洗濯・掃除等の家事、生活等に関する相談と助言、健康状態の確認その他必要な日常生活上の世話と機能訓練

居宅介護

(ホームヘルプ)

生活介護

短期入所

(ショートステイ)

居宅介護は「訪問介護」参照生活介護は「通所介護」参照短期入所は「短期入所生活介護」参照

地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護【小規模(定員29人以下)介護老人福祉施設】

地域密着型介護老人福祉施設(入所定員29人以下の特別養護老人ホーム)に入所する要介護者が、地域密着型施設サービス計画に基づいて受ける入浴・排せつ・食事等の介護その他の日常生活上の世話、機能訓練、健康管理及び療養上の世話

生活介護

生活介護は、地域や入所施設において、安定した生活を営むため、常時介護等の支援が必要な者であって、

① 障害支援区分が区分3(障害者支援施設等に入所する場合は区分4)以上である者

② 年齢が50歳以上の場合は、障害支援区分が区分2(障害者支援施設等に入所する場合は区分3)以上である者

等が対象となる。

看護小規模多機能型居宅介護

居宅要介護者が、訪問介護、訪問入浴介護、訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導、通所介護、通所リハビリテーション、短期入所生活介護、短期入所療養介護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、夜間対応型訪問介護、認知症対応型通所介護又は小規模多機能型居宅介護を2種類以上組み合わせることにより受けるサービスのうち、訪問看護及び小規模多機能型居宅介護の組合せその他一体的に受けることが特に効果的かつ効率的なサービスの組合せによるもの。

居宅介護

(ホームヘルプ)

生活介護

短期入所

(ショートステイ)

居宅介護は「訪問介護」参照生活介護は「通所介護」参照短期入所は「短期入所生活介護」参照

(居宅要介護者へのその他の給付)

居宅介護支援

居宅サービス・地域密着型サービス等を適切に利用できるように、心身の状況・環境・本人や家族の希望等を勘案し、利用する在宅サービス等の種類や内容・担当者・本人や家族の生活に対する意向・総合的な援助方針・健康上や生活上の問題点と解決すべき課題・目標と達成時期・提供する日時・留意事項・負担額の計画を作成し、サービス提供確保のため事業者等と連絡調整等を行うとともに、必要な場合は施設への紹介等を行う

障害福祉サービスを利用するための計画作成のため、事業者等と連絡調整を行う場合は、計画相談支援。

※介護サービスを利用する場合は、居宅介護支援。

住宅改修

手すり等の取付け・段差の解消・滑りの防止と移動の円滑化等のための床又は通路面の材料の変更・引き戸等への扉の取替え・洋式便器等への便器の取替えやこれらの住宅改修に付帯して必要となる住宅改修

地域生活支援事業

(日常生活用具等給付費)

日常生活用具給付等事業による給付については、事業の実施主体である市町村において、告示で定められた用具の要件、用途及び形状を給付するのが適当であるかどうか判断し、支給決定を行うものである。

2 要支援者への予防給付

介護扶助による介護サービス

介護サービス内容

介護サービスと同等の自立支援給付による障害福祉サービス等

障害福祉サービス等の利用可能となる状態

(介護予防サービス)

訪問サービス

介護予防訪問入浴介護

居宅要支援者が、疾病その他やむを得ない理由により入浴の介護が必要な場合、介護予防サービス計画で定める期間にわたり、居宅で浴槽を提供されて受ける入浴の介護

地域生活支援事業の訪問入浴サービス

(市町村事業)

本事業を実施している場合は、当該市町村が定める要件に該当する者は原則対象となる。

介護予防訪問リハビリテーション

居宅要支援者(主治の医師が、病状が安定期にあり居宅で心身の機能の維持回復と日常生活上の自立を図るために診療に基づく計画的な医学的管理の下における理学療法、作業療法その他リハビリテーションを必要とすると認めた人)が、介護予防サービス計画で定める期間にわたり居宅で受ける訪問のリハビリテーション(医療機関/介護老人保健施設・介護医療院)

自立訓練

(機能訓練・生活訓練)

■ 機能訓練

身体障害者又は難病等対象者であって、利用希望者は原則対象となる。

■ 生活訓練

知的障害又は精神障害を有する者であって、利用希望者は原則対象となる。

通所サービス

介護予防通所リハビリテーション

居宅要支援者(主治の医師が、病状が安定期にあり心身の機能の維持回復と日常生活上の自立を図るために診療に基づく計画的な医学的管理の下における理学療法・作業療法その他リハビリテーションを必要とすると認めた人)が介護老人保健施設・介護医療院・病院・診療所に通い、介護予防サービス計画で定める期間にわたり受ける必要なリハビリテーション

自立訓練

(機能訓練・生活訓練)

■ 機能訓練

身体障害者又は難病等対象者であって、利用希望者は原則対象となる。

■ 生活訓練

知的障害又は精神障害を有する者であって、利用希望者は原則対象となる。

短期入所サービス

介護予防短期入所生活介護

居宅要支援者が特別養護老人ホーム等の施設や老人短期入所施設に短期入所し、介護予防サービス計画で定める期間にわたり受ける入浴・排せつ・食事等の介護その他の日常生活上の支援と機能訓練

短期入所

(ショートステイ)

(福祉型)

短期入所は、居宅においてその介護を行う者の疾病その他の理由により、障害者支援施設等への短期間の入所が必要な者で、

■ 福祉型(障害者支援施設等において実施可能)

・障害支援区分1以上である障害者

・障害児の障害の程度に応じて厚生労働大臣が定める区分における区分1以上に該当する障害児

が対象となる。

介護予防短期入所療養介護

居宅要支援者(病状が安定期にあり看護・医学的管理の下における介護と機能訓練その他の医療を必要とする人)が、介護老人保健施設・介護医療院・療養病床・診療所に短期入所し、介護予防サービス計画で定める期間にわたり受ける看護、医学的管理下の介護と機能訓練等の必要な医療と日常生活上の支援

短期入所

(ショートステイ)

(医療型)

居宅においてその介護を行う者の疾病その他の理由により、障害者支援施設等への短期間の入所が必要な者で、

■ 医療型(病院、診療所、介護老人保健施設・介護医療院において実施可能)

・遷延性意識障害児・者、筋萎縮性側索硬化症等の運動ニューロン疾患を有する者及び重症心身障害児・者等

が対象となる。

福祉用具

介護予防福祉用具貸与

居宅要支援者に対する、福祉用具のうち介護予防に資するもの(厚生労働大臣が定めるもの)の福祉用具専門相談員による貸与

地域生活支援事業

(日常生活用具給付等事業)

日常生活用具給付等事業による給付については、事業の実施主体である市町村において、告示で定められた用具の要件、用途及び形状を給付するのが適当であるかどうか判断し、支給決定を行うものである。

特定介護予防福祉用具販売

居宅要支援者に対する、特定介護予防福祉用具(福祉用具のうち介護予防に資する入浴・排せつのための用具等で厚生労働大臣が定めるもの)の福祉用具専門相談員による販売

地域生活支援事業

(日常生活用具給付等事業)

補装具費

日常生活用具給付等事業は同上。

補装具費の支給については、身体の欠損又は損なわれた身体機能を補完・代替することによって日常生活や社会参加を支援することを目的としており、実施主体である市町村において必要に応じ適合判定などを更生相談所に依頼し、最終的に支給決定を行うものである。

(地域密着型介護予防サービス)

介護予防認知症対応型通所介護【認知症高齢者専用デイサービス】

認知症の居宅要支援者が、可能な限りその居宅で自立した日常生活を営むことができるように、老人デイサービス事業を行う施設又は老人デイサービスセンターに通い、介護予防サービス計画で定める期間にわたり、その施設で受ける入浴・排せつ・食事等の介護、生活等に関する相談と助言、健康状態の確認その他必要な日常生活上の支援及び機能訓練

生活介護

生活介護は、地域や入所施設において、安定した生活を営むため、常時介護等の支援が必要な者であって、

① 障害支援区分が区分3(障害者支援施設等に入所する場合は区分4)以上である者

② 年齢が50歳以上の場合は、障害支援区分が区分2(障害者支援施設等に入所する場合は区分3)以上である者

等が対象となる。

介護予防小規模多機能型居宅介護

居宅要支援者が、心身の状況や置かれている環境等に応じ、その者の選択に基づいて、居宅又はサービスの拠点に通所又は短期間宿泊により、自立した日常生活を営むことができるように、その拠点で介護予防を目的として受ける入浴・排せつ・食事等の介護、調理・洗濯・掃除等の家事、生活等に関する相談と助言、健康状態の確認その他必要な日常生活上の支援及び機能訓練

(場合によっては)

短期入所

(福祉型)

短期入所は、居宅においてその介護を行う者の疾病その他の理由により、障害者支援施設等への短期間の入所が必要な者で、

■ 福祉型(障害者支援施設等において実施可能)

・障害支援区分1以上である障害者

・障害児の障害の程度に応じて厚生労働大臣が定める区分における区分1以上に該当する障害児

を対象としている。

(要支援者へのその他の給付)

介護予防支援

介護予防サービス・地域密着型介護予防サービス、その他の介護予防に資する保健医療サービスや福祉サービスを適切に利用できるように、地域包括支援センターの保健師その他介護予防支援に関する知識をもつ者が、居宅要支援者の心身の状況・環境・本人や家族の希望等を勘案し、利用する介護予防サービス等の種類や内容・担当者・本人や家族の生活に対する意向・総合的な援助方針・健康上や生活上の問題点と解決すべき課題・目標と達成時期・提供する日時・留意事項・負担額の計画を作成し、サービス提供確保のため事業者等と連絡調整等を行う

障害福祉サービスを利用するための計画作成のため、事業者等と連絡調整を行う場合は、計画相談支援。

※介護予防サービスを利用する場合は、介護予防支援。

住宅改修

手すりの取付け・段差の解消・滑りの防止と移動の円滑化等のための床又は通路面の材料の変更・引き戸等への扉の取替え・洋式便器等への便器の取替えやこれらの住宅改修に付帯して必要となる住宅改修

地域生活支援事業

(日常生活用具給付等事業)

日常生活用具給付等事業による給付については、事業の実施主体である市町村において、告示で定められた用具の要件、用途及び形状を給付するのが適当であるかどうか判断し、支給決定を行うものである。

3 要支援認定を受けた者への給付

介護扶助による介護サービス

介護サービス内容

介護サービスと同等の自立支援給付による障害福祉サービス等

障害福祉サービス等の利用可能となる状態

(介護予防・生活支援サービス)

訪問型サービス

要支援者等に対し、掃除、洗濯等の日常生活上の支援を提供

居宅介護

居宅介護は障害支援区分が1以上の障害者等(身体障害、知的障害、精神障害、難病等対象者)が対象となる。

通所型サービス

要支援者等に対し、機能訓練や集いの場など日常生活上の支援を提供

生活介護

生活介護は、地域や入所施設において、安定した生活を営むため、常時介護等の支援が必要な者であって、

① 障害支援区分が区分3(障害者支援施設等に入所する場合は区分4)以上である者

② 年齢が50歳以上の場合は、障害支援区分が区分2(障害者支援施設等に入所する場合は区分3)以上である者

等が対象となる。

(要支援認定を受けた者へのその他の給付)

介護予防ケアマネジメント

要支援者等に対し、総合事業によるサービス等が適切に提供できるようケアマネジメントを行う

障害福祉サービスを利用するための計画作成のため、事業者等と連絡調整を行う場合は、計画相談支援

※介護サービスを利用する場合は、介護予防ケアマネジメント

※この表は介護サービスと同等の内容のサービスが提供される障害福祉サービス等について周知を行うものであり、該当するサービスがあったとしても必ず障害福祉サービス等が利用できるものでないことに留意すること。

上記の確認に当たっては、「生活保護制度における他法他施策の適正な活用について」(平成22年3月24日付け社援保発0324第1号)別紙様式(別紙様式2―1、2―2)を参考にして自立支援給付等該当可能性確認台帳の整備を行い、組織的な取組の推進を図ること。

その他、都道府県、指定都市及び中核市の本庁における介護係は、福祉事務所における査察指導員、地区担当員、介護扶助事務担当者及び居宅サービス計画等を作成する介護支援専門員(以下「ケアマネジャー」という。)に対して適用関係に関する周知を行うことも重要であり、そのための担当職員、ケアマネジャー等に対する研修等の方法を通じて周知し、適切な執行に努めること。

ウ 適用関係の例外

上記ア、イにおいて述べたとおり介護扶助と自立支援給付等との適用関係については自立支援給付等が介護扶助に優先して適用することとなっているが、

(1) 給付を受けられる最大限まで障害者施策を活用しても、要保護者が必要とするサービス量のすべてを賄うことができないために、同内容の介護サービスにより、その不足分を補う場合

(2) 障害者施策のうち活用できる全ての種類のサービスについて最大限(本人が必要とする水準まで)活用している場合において、障害者施策では提供されない内容の介護サービスを利用する場合

については、介護扶助の適用は可能なので留意すること。

エ 居宅介護等の支給限度額についての留意点

被保険者以外の者の介護扶助(居宅介護及び介護予防)の給付に係る給付上限額は、介護保険法に定める支給限度額から自立支援給付等の給付額を控除した額とする。

ただし、常時介護を要し、その介護の必要性が著しく高い障害者などの場合で、介護扶助の支給限度額から自立支援給付等の給付額を控除した額の範囲内では、必要な量の介護サービス(自立支援給付等によるサービスには同等の内容のものがない介護サービス(訪問看護等))を確保できないと認められるときは、例外的に、介護扶助の支給限度額の範囲内を上限として、介護扶助により必要最小限度のサービス給付を行うことは差し支えない。

なお、介護予防・生活支援サービスにおける支給限度額についても上記に準じて取り扱うこと。

(3) 本人支払額の決定

本人支払額は、次により決定すること。

ア 要保護者が介護扶助のみ又は介護扶助及び医療扶助の適用を受けるものである場合には、保護の実施要領についての通知の定めるところにより当該要保護者の属する世帯の収入充当額から当該世帯の医療費及び介護費を除く最低生活費を差し引いた額をもって介護費又は医療費の本人支払額とすること。

イ 世帯で介護扶助と医療扶助を併せて受給する場合の本人支払額は、当該世帯が介護保険の被保険者である場合には、居宅介護等は月額1万5000円、施設介護は月額1万5000円及び施設入所日数に日額300円を乗じて得た額の合計額を上限として、また、介護保険の被保険者以外の世帯である場合には、介護費の全額を上限として、まず介護費に充当し、当該上限額を超える額について医療扶助運営要領第3の2の(2)に定めるところにより医療費に充当すること。

ただし、介護扶助と併用で、次表の左欄に掲げる介護保険優先の公費負担医療等が適用となる者については、上記の上限額とその公費負担医療等の負担分を除いた自己負担額のうちいずれか低い額を上限額とすること。