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オ 当該経費が、就学等にあてられる場合は、次に掲げる額

(ア) 当該経費が幼稚園等での就園にあてられる場合は、入園料及び保育料その他就園のために必要と認められる最小限度の額

(イ) 当該経費が義務教育を受けている児童の就学にあてられる場合は、入学の支度、学習図書、運動用具等の購入、珠算課外学習、学習塾費等、修学旅行参加等就学に伴って社会通念上必要と認められる用途にあてられる最小限度の実費額

(ウ) 当該経費が高等学校等、夜間大学又は技能修得費(高等学校等就学費を除く)の対象となる専修学校若しくは各種学校での就学にあてられる場合は、入学の支度及び就学のために必要と認められる最小限度の額(高等学校等の就学のために必要と認められる最小限度の額については、学習塾費等を含む。貸付金については、原則として、高等学校等就学費の支給対象とならない経費(学習塾費等を含む。)及び高等学校等就学費の基準額でまかないきれない経費であって、その者の就学のために必要な最小限度の額にあてられる場合に限る。)

(エ) 当該経費が大学等への就学後に要する費用にあてられる場合は、授業料や生活費その他就学のために必要と認められる最小限度の額(当該取扱いは、大学等への就学後に要する費用にあてることを目的とした貸付金や恵与金を当該大学等に就学する者が高等学校等に在学している間に、同一世帯の被保護者が受領する場合に限る。)

カ 当該経費が、結婚にあてられる場合は寡婦福祉資金の結婚資金の貸付限度額に相当する額

キ 当該経費が弔慰に当てられる場合は、公害健康被害の補償等に関する法律による葬祭料の額

ク 当該経費が、当該世帯において利用の必要性が高い生活用品であって、保有を容認されるものの購入にあてられる場合は、直ちに購入にあてられる場合に限り、必要と認められる最小限度の額

ケ 当該経費が通院、通所及び通学のために保有を容認される自動車の維持に要する費用にあてられる場合は、当該自動車の利用に伴う燃料費、修理費、自動車損害賠償保障法に基づく保険料、対人・対物賠償に係る任意保険料及び道路運送車両法による自動車の検査に要する費用等として必要と認められる最小限度の額

コ 当該経費が国民年金受給権を得るために充てられる場合は、国民年金の任意加入保険料の額

サ 当該経費が次官通知第8の3の(3)のクの(イ)にいう「就労や早期の保護脱却に資する経費」に充てられる場合は、本通知第8の58の2の2の(1)から(6)までのいずれかに該当し、同通知の取扱いに準じて認定された最小限度の額

シ 厚生年金の受給権を得たために支払う必要が生じた共済組合等から過去に支給された退職一時金の返還額

ス 当該経費が、養育費の履行確保にあてられる場合は、養育費の取決めに関する公正証書や調停申立て等に要する費用、養育費に係る保証サービスを利用した際の保証料に要する費用等として必要と認められる最小限度の額

(3) 成年後見人、保佐人、補助人の申立てや報酬のために必要な経費。ただし、この取扱いに当たっては、自立更生計画の策定を要しないこととする。

問41 扶養義務者からの援助金はすべて「他から恵与される金銭」として取り扱うことは認められないか。

答 扶養義務者からの援助金はその援助が当該扶養義務者について期待すべき扶養の程度をこえ、かつ、当該被保護世帯の自立更生のためにあてるべきことを明示してなされた場合に限り、「自立更生を目的として恵与された金銭」に該当するものとして取り扱って差しつかえない。

問41の2 大学等への就学のため、局長通知第1の5による世帯分離又は、大学等への就学にあたり居住を別にすることで被保護者でなくなった者から、その者自身の就学のためにその者が高等学校等に在学している間に同一世帯の被保護者が受領した貸付金(局第8の2の(3)のイに該当するものに限る)の償還金にあてるために、貸付金を受領した被保護者に対して金銭が恵与された場合、次官通知第8の3の(2)のイの(ア)にいう「社会通念上収入として認定することを適当としないもの」にあたるものとして、収入認定しないこととしてよいか。

答 お見込みのとおり取り扱って差しつかえない。

問42 雇用保険法第57条により支給される常用就職支度金は「自立更生を目的として恵与される金銭のうち当該被保護世帯の自立更生のためにあてられる額」として取り扱ってよいか。

答 次官通知第8の3の(2)のエの(イ)により収入として認定すること。

問43 地方公共団体が条例又は予算措置によって被保護者に対し臨時的に支給する金銭のうち、どのようなものが次官通知第8の3の(3)のエにいう「自立更生を目的として恵与される金銭」に該当するか。

答 地方公共団体が条例又は予算措置によって、被保護者に対し臨時的に支給する金銭のうち、局長通知第8の2の(4)にいう自立更生のための用途に供すべきものであることが支出の目的として明示されているものが、自立更生を目的として恵与される金銭に該当するものであり、かかる金銭のうち、実際に自立更生のための用途にあてられる額を、収入として認定しないものとすること。

この場合、支出目的として明示されている用途及びその用途に供される額の認定にあたっては、問40の答に示す基準によるものである。

したがって、地方公共団体又はその長が年末、盆、期末等の時期に支給する金銭は、次官通知第8の3の(3)のエによる取扱いは行なわず同(2)のエの(ア)によって取り扱うこととなる。

問44 削除

問45 削除

問46 給食付(給食費を徴されていない場合に限る。)で稼働収入を得ている場合の給食の取扱いいかん。

答 当該被保護者に係る第1類費の額として算定された額に0.75を乗じて得た額にその者の総食数に占める就労先で受ける給食数の割合(以下「給食の割合」という。)を乗じて得た額を収入に加算すること。

ただし、給食の割合が3分の1(1日1食)程度以下である場合は、この限りでない。

問47 削除

問48 次官通知第8の3の(5)のイにいう就労又は求職者支援制度による求職者支援訓練の受講に伴う子の託児費には、保育所入所支度に要する費用及び市町村が実施する児童クラブに要する費用を含むものと解して差しつかえないか。

また、これが認められる場合、当該費用を入所月の収入から一括控除することができない場合には、月割にして控除して差しつかえないか。

答 いずれもお見込みのとおり取り扱って差しつかえない。

なお、児童クラブについては、「「放課後児童健全育成事業」の実施について」(平成27年5月21日雇児発0521第8号厚生労働省雇用均等・児童家庭局長通知)の別紙「放課後児童健全育成事業実施要綱」に基づき実施されるものに限られるものである。

問49 在宅患者加算を認定されている者が、勤労収入を得ている場合には、勤労控除を適用してよいか。

答 真に栄養補給を必要とする者が社会生活適応のため実施機関の指定する医師の指導に基づき就労して勤労収入を得ている場合は、6か月間に限り、療養に専念しているものとみなしてお見込みのとおり取り扱って差し支えない。

問50 労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律等に基づく技能修得手当を受給しながら技能修得している者については、あわせて支給される基本手当又は寄宿手当に対し、勤労収入に準じて基礎控除を適用してよろしいか。

答 お見込みのとおり取り扱って差しつかえない。

問51 恩給、年金等の額が改定され、当該改定時期が支払期月と一致せず、1期月における支給額に、改定前の額と改定後の額が含まれる場合は、順を追って充当していくこととして差しつかえないか。

答 恩給、年金等の額の改定時期と支払期月が一致しない場合は、局長通知第8の1の(4)により収入認定することにより保護の停止又は廃止となる場合を除き、お見込みのとおり取り扱って差しつかえないこと。

問52 削除

問53 保護開始前に臨時的に受けた災害等による補償金、保険金、見舞金又は死亡による保険金の全部又は一部を当該災害等による損失の原状回復等当該世帯の自主更生の用途にあてるべく保有している場合についても、次官通知第8の3の(3)のオ又はキに準じ収入として認定しない取扱いとすることは認められないか。

答 その目的とする自立更生の用途が世帯員の将来の就学等保護開始後でなければ実現し得ないものと認められる場合には、被保護世帯が補償金等を受けた場合と同様に取り扱って差しつかえない。

問54 削除

問55 収入認定の取り扱いに当たっては、次官通知第8の1において、要保護者に申告を行わせることとなっているが、申告の時期等について具体的に示されたい。

答 収入に関する申告は、法第61条により被保護者の届出義務とされていることから、次官通知第8の1の(2)により、つとめて自主的な申告を励行させる必要がある。

また、収入に関する申告の時期及び回数については、実施機関において就労可能と判断される者には、就労に伴う収入の有無にかかわらず原則として毎月、実施機関において就労困難と判断される者には、少なくとも12箇月ごとに行わせること。

なお、被保護者が常用雇用されている等各月毎の収入の増減が少ない場合の収入申告書の提出は、3箇月ごとで差しつかえないこと。

さらに、前記のほか、保護の決定実施に必要がある場合は、その都度申告を行わせること。

問56 削除

問57 国民年金に任意加入する場合の保険料の控除が認められる場合はどのような場合か。

答 年金の受給権を得るためのものに限って認められるものであり、将来の年金額を増やすためのものは認められない。

なお、任意加入しても過去の未納分を納付しないと年金受給権を得られない場合には、年金受給権を得るために必要な限度で未納分の保険料についても控除して差し支えない。

問58 高等学校等で就学しながら保護を受けることができるものとされた者がアルバイト等の収入を得ている場合、私立高校における授業料の不足分、修学旅行費、又はクラブ活動費(学習支援費を活用しても不足する分に限る)、学習塾費等にあてられる費用については、就学のために必要な費用として、必要最小限度の額を収入として認定しないこととしてよいか。

答 お見込みのとおり取り扱って差しつかえない。

問58の2 次官通知第8の3の(3)のクの(イ)にいう「就労や早期の保護脱却に資する経費」を認定する場合の取扱いを具体的に示されたい。

答 高等学校等で就学しながら保護を受けることができるものとされた者が就労することは、学業に支障のない範囲での就労にとどめるよう留意する必要があるが、次のいずれにも該当する場合には、次官通知第8の3の(3)のクの(イ)に該当するものとして、当該被保護者の就労や早期の生活保護からの脱却に資する経費を収入として認定しないこととし、また、経費の内容及び金額によって、一定期間同様の取扱いを必要とするときは、その取扱いを認めて差しつかえない。

収入として認定しない取扱いを行なうにあたっては、保護の実施機関は、当該被保護者や当該世帯の世帯主に対して、本取扱いにより生じた金銭について別に管理することにより、明らかにしておくよう指導するとともに、定期的に報告を求め、当該金銭が他の目的に使用されていないことを確認すること。

なお、当該金銭を使用した場合は、保護の実施機関が承認した下記2の目的のために使用されたことを証する書類等により、使用内容を確認すること。保護の実施機関が承認した目的以外に使用していたときは、収入として認定しないこととした額に相当する額について費用返還を求めること。ただし、当初承認した目的以外であっても、その使用内容が下記2の目的の範囲であることが認められる場合にあっては、この限りではない。

1 高等学校等卒業後の具体的な就労や早期の保護脱却に関する本人の希望や意思が明らかであり、また、生活態度等から学業に支障がないなど、特に自立助長に効果的であると認められること。

2 次のいずれかに該当し、かつ、当該経費の内容や金額が、具体的かつ明確になっていること。

(1) 自動車運転免許等の就労に資する技能を修得する経費(技能修得費の給付対象となるものを除く)

(2) 就労に資する資格を取得することが可能な専修学校、各種学校又は大学に就学するために必要な経費(事前に必要な受験料(交通費、宿泊費など受験に必要な費用を含む。)及び入学料や前期授業料等に限る。)

(3) 就労や就学に伴って、直ちに転居の必要が見込まれる場合の転居に要する費用

(4) 国若しくは地方公共団体により行われる貸付資金又は国若しくは地方公共団体の委託事業として行われる貸付資金の償還金

(5) 就職活動に必要な費用

(6) 海外留学に必要な費用(本通知第10の19に該当する場合に限る。)

3 当該被保護者から提出のあった具体的な自立更生計画を、保護の実施機関が事前に承認しているとともに、本取扱いにより生じた金銭について別に管理すること及び定期的な報告を行うことが可能と認められる者であること。

問58の3 大学等の入学金等にあてるための費用としてアルバイト収入を収入認定除外されていた者が、大学等における修学の支援に関する法律に基づく授業料等減免を受けることにより、入学金等の納付が不要となった場合、収入認定除外している額については、どのように取り扱うべきか。

答 当初収入として認定しないものとして承認した目的以外であっても、本通知第8の問58の2の2の目的の範囲内であれば、収入として認定しないこととして差し支えない。

また、大学等の入学金等にあてるための費用として保護費のやり繰りにより預貯金等をしている場合については、当初保有を容認していた目的以外であっても、生活保護の趣旨目的に反しないものであれば、引き続き保有を容認して差し支えない。

なお、同法に基づく授業料等減免を受けられるものの、入学前に授業料等の納付が必要であり、後日、授業料等に相当する金額が還付される場合がある。この場合、授業料等の納付のため、他からの貸付を受けた場合であれば、還付金は貸付の返還にあてられるものとなるので、保護の実施機関への費用返還を求める必要はない。入学金等の納付のため、保護費のやり繰りにより預貯金等をしている場合については、結果として入学金等の納付が不要であることをもって一律に預貯金等の額に相当する額の費用返還を求めるのではなく、同法に基づく授業料等減免を受けたことにより大学等の判断に基づき入学金等の納付が不要となるケースとの公平性の観点から、還付金を生活保護の趣旨目的に反しないものにあてる場合(すでに費消した場合も含む。)は、返還を求めないものとして差し支えない。入学金等の納付のため、アルバイト収入から収入認定除外されている場合についても、一律に収入として認定しない額に相当する額の費用返還を求めるものではなく、同法に基づく授業料等減免を受けたことにより大学等の判断に基づき入学金等の納付が不要となるケースとの公平性の観点から、還付金を本通知第8の問58の2の2の目的の範囲内の使途にあてる場合(すでに費消した場合も含む。)は、返還を求めないものとして差し支えない。

問59 保護開始時点で既に就学資金の貸付を受けていた場合、高等学校の就学に関する需要は満たされているものとして、高等学校等就学費は支給しないこととしてよいか。

答 高等学校等就学費については、被保護世帯の自立を支援する観点から、貸付を受けなくとも高等学校への就学が可能となるよう、生活保護において積極的に給付を行うものである。

したがって、既に就学資金の貸付を受けている場合であっても、保護開始時点において貸付内容の変更が可能であれば、高等学校等就学費の基準額の範囲内で就学に必要な経費が賄える場合については貸付の停止を、高等学校等就学費で賄いきれない経費が必要な場合については当該経費にあてられる必要最小限度の額に貸付額を変更し、その上で高等学校等就学費を給付することとされたい。

また、保護開始時点において貸付内容の変更が困難な場合であって、保護開始後に貸付金を受領する場合は、当該貸付金のうち高等学校等就学費により賄われる部分について、貸付金の受領後直ちに償還し、その上で高等学校等就学費を給付するとともに、実際に償還が行われているか確認を行うこと。

なお、貸付契約の内容等により、貸付内容の変更や貸付期間中の償還が困難な場合については、当該貸付金は高等学校等の就学にあてられるものとして収入として認定しないとともに、高等学校等就学費の支給を行わないこととして取り扱って差しつかえない。

問60 恵与金等の収入が、高等学校等就学費の支給対象とならない経費(学習塾費等を含む。)及び高等学校等就学費の基準額又は学習支援費でまかないきれない経費であって、その者の就学のために必要な最小限度の額にあてられる場合については、高等学校等就学費は基準額どおり計上することとしてよいか。

答 お見込みのとおり取り扱って差しつかえない。

ただし、恵与金等の収入を当該経費にあてた上で、なお余剰金が生じた場合については、当該余剰金は収入充当順位に関係なく高等学校等就学費に充当することとし、高等学校等就学費の基準額と当該余剰金の差額を、保護費の高等学校等就学費として計上されたい。

問61 局長通知第8の2の(3)のオの(オ)にいう「日常生活において利用の必要性が高い生活用品を緊急に購入する」として貸付資金を収入認定除外することができる場合を具体的に示されたい。

答 保護受給中の日常生活に必要な物品については、経常的最低生活費の範囲内で計画的に購入することが原則であるが、次のいずれにも該当し、かつ、経常的最低生活費のやり繰りにより当該貸付資金の償還が可能と認められる者については、当該貸付資金を収入として認定しないものとすること。

なお、保護の実施機関は、当該貸付資金の償還が適切に行われるよう、貸付制度を所管する関係機関と十分に調整を図り、適切な償還金の納付指導及び代理納付の活用を行うこと。

(1) 健康の保持や日常生活に著しい支障を来す恐れがあり、必要性が高いと認められる生活用品がないか若しくは全く使用に堪えない状態であること。

(2) 保護開始から概ね6か月経過していない場合や家計管理上特段の問題なく他に急な出費を要した場合など、計画的に購入資金を蓄えることができなかったことに真にやむを得ない事情が認められること。

(3) 購入予定品目、購入予定金額が社会通念上妥当と判断されるものであり、また必要最小限度の貸付であるとともに、償還計画がその後の最低生活の維持に支障を来さないものであると認められること。

(4) 貸付を受けることについて、当該被保護者は自立更生計画を提出するとともに、購入予定品目及び償還方法について保護の実施機関の事前の承認があること。

問62 児童福祉施設等に入所し、又は里親等に委託され、別世帯と認定されていた児童が、施設等を退所し、又は里親等への委託が解除され、被保護世帯に転入する際に、転入前の入所又は委託期間中に積み立てた児童手当の管理者を、施設長等から親権を行う父母に変更する場合、当該金銭を「自立更生を目的として恵与された金銭」に準じて取り扱って差し支えないか。

答 当該被保護世帯から提出のあった具体的な自立更生計画を、保護の実施機関が事前に承認しているとともに、本取扱いにより生じた金銭について保有する預貯金等と別に管理すること及び当該計画にかかる状況を定期的に報告することが可能と認められる場合に限り、お見込みのとおり取り扱って差し支えない。なお、当該金銭を使用した場合は、事前に承認された目的のために使用されたことを証する書類等により、使用内容を確認すること。保護の実施機関が承認した目的以外に使用していたときは、収入として認定しないこととした額について費用返還を求めること。

問63 夜間大学や高等専門学校等で就学しながら、保護を受けることができるとされた者が大学等における修学の支援に関する法律に基づく学資支給を受けた場合、就学のために必要と認められる最小限度の額は自立更生にあてられるものとして収入認定しないこととしてよいか。

答 お見込みのとおり取り扱って差し支えない。

第9 保護の開始申請等

問1 生活保護の面接相談においては、保護の申請意思はいかなる場合にも確認しなくてはならないのか。

答 相談者の保護の申請意思は、例えば、多額の預貯金を保有していることが確認されるなど生活保護に該当しないことが明らかな場合や、相談者が要保護者の知人であるなど保護の申請権を有していない場合等を除き確認すべきものである。なお、保護に該当しないことが明らかな場合であっても、申請権を有する者から申請の意思が表明された場合には申請書を交付すること。

問2 相談段階で扶養義務者の状況や援助の可能性について聴取することは申請権の侵害に当たるか。

答 扶養義務者の状況や援助の可能性について聴取すること自体は申請権の侵害に当たるものではないが、「扶養義務者と相談してからではないと申請を受け付けない」などの対応は申請権の侵害に当たるおそれがある。

また、相談者に対して扶養が保護の要件であるかのごとく説明を行い、その結果、保護の申請を諦めさせるようなことがあれば、これも申請権の侵害にあたるおそれがあるので留意されたい。

問3 相談段階で相談者の困窮の状況等を確認するために必要な資料の提出を求めることは申請権の侵害にあたるか。

答 相談段階で、資産及び収入の状況等が確認できる資料の提出を求めること自体は申請権の侵害に当たるものではない。ただし、「資料が提出されてからでないと申請を受け付けない」などの対応は適切ではない。

なお、申請段階では、速やかかつ正確な保護の決定を行うために、申請日以降できる限り早期に必要となる資料を提出するよう求めることは認められるが、書面等の提出は申請から保護決定までの間でも差し支えない。これに関し、当該申請者の事情や状況から必要となる資料の提出が困難と認められる場合には、保護の実施機関において調査等を実施し、要件の確認の審査を徹底することが必要となる。

第10 保護の決定

問1 ある世帯につき、世帯員の疾病(医療期間2か月)による医療扶助の要否を局長通知の特例により判定した結果、否と決定され、その後1か月経過したときに別に世帯員が疾病(医療期間2か月)にかかった場合においては、要否判定のための収支認定は、どのようにしたらよいか。

答 設例の場合においては、最初の疾病に関する要否判定において医療費を4か月に分割して支出の認定をしてあるから、最初の疾病につき2人目の申請時までに支払われるべきであった医療費の額をこえる額は、2人目の疾病の医療費の額に加算してこの疾病の医療扶助の要否を判定する。

たとえば、世帯の収入月13,000円、同最低生活費(医療費を除く。)月8,000円、最初の疾病の医療費計18,000円、2人目の疾病の医療費計15,000円の場合には、最初の疾病については、

収入13,000円×医療期間(2+2)>支出8,000円×医療期間(2+2)+医療費総計189,000円となり、医療扶助は否と決定するものであり、2人目の疾病については、収入は

13,000円×医療期間(2+2)と計算し、支出は、

8,000円×医療期間(2+2)+医療費総計15,000円+18,000円-(13,000円-8,000円)×支払済期間(1)と計算する。したがって、2人目の疾病については、医療扶助は要と決定される。

なお、前記の例において、保護の程度を決定するに際しては、最初の疾病の医療費については、18,000円-(13,000円-8,000円)×支払済期間(1)を支出として認定するものとする。

問2 土曜日の夕方急病で入院した要保護者から月曜日に保護の申請があったが、土曜日にさかのぼって保護を適用して差しつかえないか。

答 医療扶助の適用については、設例の場合のように、急病等のため申請遅延につき真にやむを得ない事情のあったことが立証される場合には、必要最小限度で申請時期からさかのぼり保護を開始して差しつかえない。

問3 保護台帳、収支認定表等について、一般住民より閲覧の申出があったが、これを認めて差しつかえないか。

答 認めるべきではない。

保護の決定実施に際しては、その事務の性質上要保護者にとっては隠したい個人的な秘密にわたる事項まで調査することがあるが、これらの事項につきその秘密を厳守することは、国民の福祉事務所に対する信頼を確保するうえから欠くことができないのみならず、法律上の義務でもある(地方公務員法第34条参照。なお、国家公務員法第100条、民生委員法第15条及び刑事訴訟法第144条に同趣旨の規定がある。)。したがって、これらの事項を記録した保護台帳等の閲覧は許されない。

ただし、保護の実施機関が、当該地方公共団体の個人情報保護条例に基づき、自己を本人とする保護台帳、収支認定表等の個人情報の開示を請求された場合は、同条例の定めるところにより適切に対応されたい。

なお、保護について不服があれば不服申立てによるべきであり、また一般住民が保護の実施機関の法律執行につき疑義をもつときは、監査請求(地方自治法第75条)によるべきである。

問4 保護開始時の要否判定を行なう際、次官通知第10にいう「当該世帯につき認定した最低生活費」とは具体的に如何なる費目を指すのか。

答 次に掲げる費目を指すものであること。

ア 保護の基準別表第1生活扶助基準(ただし、同第1章の1の(2)の期末一時扶助及び同第3章の3の移送費であって局長通知第7の2の(7)のアの(ウ)以下の場合のものを除く。)並びに局長通知第7の2の(1)のア及び局長通知第7の2の(5)のアの(カ)(ただし、紙おむつ、貸おむつ又はおむつの洗濯代が必要と認められる場合に限る。)

イ 保護の基準別表第2教育扶助基準(ただし、学習支援費を除く。)及び局長通知第7の3の(2)

ウ 保護の基準別表第3住宅扶助基準及び局長通知第7の4の(1)のオ(ただし、敷金、契約更新料及び住宅維持費を除く。)

エ 保護の基準別表第4医療扶助基準

オ 保護の基準別表第5介護扶助基準(ただし、住宅改修を除く。)

カ 保護の基準別表第6出産扶助基準並びに局長通知第7の7の(1)及び(2)

キ 保護の基準別表第8葬祭扶助基準並びに局長通知第7の9の(1)、(2)、(3)及び(4)

問5 保護開始時の要否判定を行う際、次官通知第10にいう「第8によって認定した収入」を算定するときには、いかなる経費を必要経費として認定すべきか。

答 次官通知第8の3により、勤労(被用)収入、農業収入、恩給年金等の収入等収入の種類ごとに定められた当該収入を得るための必要経費の実費及び同第8の3の(5)その他の必要経費のうち、ア、イ、オに掲げる費用の実費並びに勤労に伴う必要経費として局長通知第10の2の(1)に定める別表2に定める額(世帯員が2人以上就労している場合には、それぞれの額の総額)を認定するものであること。

問6 保護受給中の者の収入が保護開始時の要否判定に用うべき最低生活費をこえるに至り保護の廃止を必要とする際には、最低生活費及び収入については開始時と同様の取扱いによって認定して保護の要否判定を行なうものであるか。

答 保護開始時と異なり、現に保護受給中の者については、保護の実施要領の定めるところに従い、当該時点において現に生じている需要に基いて認定した最低生活費と収入充当額(勤労に伴う必要経費のうち基礎控除については、局長通知第10の2の(1)に定める別表2に定める額)との対比によって判定するものであること。

問7 局長通知第10の2の(1)のただし書きにいう「常用勤労者」とは如何なる勤労形態にあるものをいうか。

答 「常用勤労者」とは期間を定めず、又は1か月をこえる期間をきめて雇われ、かつ、月月一定の給与が支給されている者をいう。したがって、勤労日に対応して賃金が支払われている者は常用勤労者には該当しないものである。常用勤労者であるかないかの判断にあたっては、日雇健康保険を除く各種被用者保険加入の有無を一応の目安とすることも考えられる。

問8 局長通知第10の2の(1)のただし書きにいう「労働協約等の実態」には給与、賃金、期末手当、賞与等の額及び支払方法が、法律、条例、労使間の覚書等によって定められている場合、又は明文のとりきめはないが、雇用慣習上確定していると認められる場合も含まれるものと解してよいか。

また、賞与等を含む年間収入には定期昇給分、勤勉手当等、確実に予測できるものは、含めてよいか。

答 お見込みのとおりである。

問9 他の実施機関の管内で保護を受けていた者が転入してきた場合、その者にかかる保護の要否判定及び程度の決定は、保護受給中の者に対する取扱いと同様に行なって差しつかえないか。

答 お見込みのとおりである。

ただし、この取扱いは、当該転入した要保護者の保護の継続の要否について審査を要しないことを意味すると解してはならないので、念のため。

問10 恩給、年金等の受給者が保護を申請した場合において、保護の要否判定は申請直前に受給した恩給、年金等の額を、次官通知第8収入の認定、局長通知第8収入の認定及び本職通知第8収入の認定により、各月に分割して認定した額をもって行なうこととし、また保護の程度の決定に際して収入充当額として認定すべき恩給、年金等の額は保護の開始時に現に所有する当該恩給、年金等の残額によることとして差しつかえないか。

答 お見込みのとおりである。

問10の2 保護開始時に保有する手持金は全て収入認定しなければならないか。

答 一般世帯はもちろん被保護世帯においても繰越金を保有しているという実態及び生活費は日々均等に消費されるものではないということ等から、保護開始時に保有する金銭のうちいわゆる家計上の繰越金程度のものについては、程度の決定に当たり配慮する面がある。

したがって、健全な家計運営ひいては自立助長を考慮し、保護の程度の決定に当たり認定すべき手持金は次によることとされたい。

なお、この取扱いは要否判定の結果保護要とされた世帯についての開始月における程度の決定上の配慮であり、要否判定、資産・収入の調査についての取扱いを変える趣旨のものではない。

1 手持金の認定

保護開始時の程度の決定に当たって認定すべき手持金は、当該世帯の最低生活費(医療扶助及び介護扶助を除く。)の5割を超える額とする。

2 月の中途で開始する場合における当該月の程度の決定方式

(1) 勤労収入

最低生活費と収入の対比により、1か月分の扶助額又は本人支払額を算定した後、月末までの保護受給日数により扶助別に日割りする。

ただし、一時扶助、教育扶助等については日割りしない。

給与の残額については、平均収入として既に評価ずみであるから、開始月において給与の残額たる現金を保有していても再度資産として評価しない。

どれが給与の残額であるか判然としないときは、次の算式により推計する。

(2) 年金収入

年金の残額については、手持金から繰越金として容認する額を控除した残りの額を次回受給月の前月までに分割して(少額の場合は当月分の)収入充当額に計上する。

(3) 農業収入

年金収入の例による。

ただし、経常収入については勤労収入の例による。

(4) 無収入

問11 局長通知第10の2の(8)では、最低生活費又は収入充当額の認定を変更すべき事由が事後において明らかとなった場合の被保護者からの返納額の取扱いを示しているが、実施機関からの追加支給を行うべき場合においても同様に考えて、次回支給月以後の収入充当額を減額することによって調整して差しつかえないか。

答 次回支給月以後の収入充当額を減額することによって調整することは認められないものであり、最低生活費又は収入充当額の認定変更に基づき、扶助費支給額の変更決定を行なって追加支給すること。

この場合、扶助費支給額の変更決定を行なうべき時点は、保護の基準、次官通知、局長通知に定めるところのほか、次に掲げるところを基準とされたい。

1 予測し得ない事情の変化により、当該月の収入認定額よりも実際の収入額が著しく過少となり、かつ、当該月内において以後必要な追加収入額が得られないと認められる等、扶助費追加支給の必要があると認められる場合は、その事実を確認した日に直ちに所要の変更手続をとること。

2 収入額の変動があった場合であって1以外のときは、法第61条により被保護者から当該月の収入に変動があった旨の届出があった場合であって、当該月の実収入総額を確認したうえ次官通知第8の2に示す収入額の認定の原則並びに局長通知第8及び第10等に示すところによって認定した収入額と比較し、かつ、その他の事情をも勘案した結果、当該世帯の最低生活の維持に著しい支障をきたす事実を確認したときに所要の変更手続をとること。

問12 法第26条の規定により保護の停止又は廃止を行なう場合の取扱いの基準を示されたい。

答 被保護者が保護を要しなくなったときには、法第26条の規定により保護の停止又は廃止を行なうこととなるが、保護を停止すべき場合又は廃止すべき場合は、原則として、次によられたい。

1 保護を停止すべき場合

(1) 当該世帯における臨時的な収入の増加、最低生活費の減少等により、一時的に保護を必要としなくなった場合であって、以後において見込まれるその世帯の最低生活費及び収入の状況から判断して、おおむね6か月以内に再び保護を要する状態になることが予想されるとき。

なお、この場合には、以後において見込まれる当該世帯の最低生活費及び収入充当額に基づき、停止期間(原則として日を単位とする。)をあらかじめ定めること。

(2) 当該世帯における定期収入の恒常的な増加、最低生活費の恒常的な減少等により、一応保護を要しなくなったと認められるがその状態が今後継続することについて、なお確実性を欠くため、若干期間その世帯の生活状況の経過を観察する必要があるとき。

2 保護を廃止すべき場合

(1) 当該世帯における定期収入の恒常的な増加、最低生活費の恒常的な減少等により、以後特別な事由が生じないかぎり、保護を再開する必要がないと認められるとき。

(2) 当該世帯における収入の臨時的な増加、最低生活費の臨時的な減少等により、以後おおむね6か月を超えて保護を要しない状態が継続すると認められるとき。

なお、以上の場合における保護の停止又は廃止は保護を要しなくなった日から行なうことを原則とする。ただし、当該保護を要しなくなった日の属する月が、保護の停止又は廃止を決定した日の属する月の3か月以前であるときは、保護を要しなくなった日まで遡及して保護の停廃止を行なうことなく、保護を要しなくなった日から3か月までの間にかかる保護の費用について、法第63条又は法第78条の規定により費用を徴収することとし、前々月の初日をもって保護の停廃止を行なうこと。

問12の2 保護受給中の者が、要保護世帯向け不動産担保型生活資金を利用した場合には、必ず保護の廃止によらなければならないか。生活実態の把握が必要な場合等世帯の状況によっては停止とすることも可能か。

答 生活福祉資金の要保護世帯向け不動産担保型生活資金を利用した場合については、当該貸付資金が貸付を利用しなければ要保護状態となる世帯を対象としていることから、貸付の利用が終了した後には生活保護の適用となる可能性が高い世帯であることを踏まえ、当該貸付資金の利用者については、保護の廃止ではなく、保護の停止を行うこととしても差しつかえない。

問12の3 保護受給中の者から「保護を辞退する」旨の意思を示した書面(以下「辞退届」という。)が提出された場合には、これに基づき保護を廃止しても差し支えないか。

答 被保護者からが提出された「辞退届」が有効なものであり、かつ、保護を廃止することで直ちに急迫した状況に陥ると認められない場合には、当該保護を廃止して差し支えない。

ただし、「辞退届」が有効となるためには、それが本人の任意かつ真摯な意思に基づくものであることが必要であり、保護の実施機関が「辞退届」の提出を強要してはならないことは言うまでもなく、本人が「保護を辞退する義務がある」と誤信して提出した「辞退届」や、本人の真意によらない「辞退届」は効力を有せず、これに基づき保護を廃止することはできないものである。

また、「辞退届」が本人の任意かつ真摯な意思に基づいて提出された場合であっても、保護の廃止決定を行うに当たっては、例えば本人から自立の目途を聴取するなど、保護の廃止によって直ちに急迫した状況に陥ることのないよう留意すること。

さらに、保護の廃止に際しては、国民健康保険への加入など、保護の廃止に伴い必要となる諸手続についても助言指導するとともに、必要に応じて自立相談支援機関につなぐこと。

問13 局長通知第10の1の(2)により年齢改定を行う場合、4月1日生れの者についてはどう取り扱うのか。

答 4月1日生れの者については、年齢計算に関する法律(明治35年法律第50号)及び民法(明治29年法律第89号)第143条の規定により、前日である3月31日をもって満年齢に達した者として取り扱うこととなる。

問14 削除

問15 居宅療養管理指導に係る居宅介護については、概算介護所要額をどのように算定すべきか。

答 原則として、申請日以降の利用に係る本人からの申し立てを基に、利用する予定の指定介護機関及び主治医の意見を確認し、必要と認められる場合には、必要な額を算定すべきである。

ただし、過去の利用実績等から利用の必要性を判断できる場合には、介護保険の1か月あたり上限回数を基に介護費用を算定し、主治医の意見を省略して差し支えない。

問16 扶助費の再支給を行うにあたり、留意すべき事項を示されたい。

答 次の点に留意すること。

1 盗難、強奪その他不可抗力の認定

(1) 盗難、強奪

金額の多寡を問わず、警察に被害届を出し捜査依頼を必ず行わせること。

(2) その他不可抗力

その他としては遺失等が考えられるが、社会通念上一般に要求される程度の注意をしたにも関わらず、遺失したことが挙証されない限り、不可抗力とは認められない。遺失の場合も、警察に遺失届の提出を必ず行わせること。

2 調査及び指導等

(1) 事実の調査

被保護者から扶助費の再支給の申請があった場合には本人及び関係者等から事情を詳細に聴取するとともに、必要に応じて実地調査等を行い、失った理由、金額、当時の手持金等について十分に確認すること。

(2) 扶養義務者に対する扶養依頼等の指導

盗難等により保護金品を失ったという特別な事情があるので、通常の扶養は期待できない者も含め援助を受けることを指導し、扶養依頼を行うこと。

3 金品管理等生活指導

一般に、保護費を紛失し再支給を申請するケースは、保護費の大部分を携帯し金銭管理に注意を欠く例が多いので、生活上の指導を十分に行い、必要以上の金品を携帯することのないよう配慮すること。

4 預貯金の活用

被保護者が預貯金を有しており、これを充てれば最低生活が可能と認められる場合は、自己の急迫・緊急状態を回避するため、最優先として預貯金を生活維持に充てさせること。

問17 過去に年金担保貸付を利用するとともに生活保護を受給していたことのある者が再度借入をし、保護申請を行った場合、資産活用の要件を満たしていないことを理由とし、申請を却下してよろしいか。

答 過去に年金担保貸付を利用するとともに生活保護を受給し、その後に保護廃止となった者が、再度年金担保貸付制度を利用し、その借入金を例えばギャンブルや借金返済等に費消した後、本来受給できるはずの年金が受給できなくなった場合は、実質的に保護費を借金返済等に充てることを目的として年金担保貸付を利用していることになる。

生活保護制度は、生活に困窮する者が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行われる(生活保護法第4条)ものであることから、老後の基礎的な生活費等として活用すべき年金を担保に貸付を受けて、これを先に述べたような使途に充てるために費消するような場合には、資産活用(月々の年金受給)を恣意的に忌避しているため、法第4条に定める保護の受給要件を満たしていないと解されることになる。

したがって、過去に年金担保貸付を利用するとともに生活保護を受給していたことがある者が再度借入をし、保護申請を行う場合には、

・ 当該申請者が急迫状況にあるかどうか

・ 保護受給前に年金担保貸付を利用したことについて、社会通念上、真にやむを得ない状況にあったかどうか

といった事情を勘案した上で、原則として、保護の実施機関は資産活用の要件を満たしていないことを理由とし、申請を却下して差し支えない。

なお、被保護者に対しては、生活保護受給中には年金担保貸付を受けることができないこと、年金担保貸付を受けている場合には生活保護を受けることができないことを周知しておかれたい。

問18 削除

問19 被保護者が海外に渡航した場合には、生活保護の取扱いはどうなるか。

答 被保護者が、一時的かつ短期に海外へ渡航した場合であって引き続き国内に居住の場所を有している場合は、海外へ渡航したことのみをもって生活保護を停廃止することはできないものである。

しかしながら、当該被保護者は渡航費用を支出できるだけの額の、本来その最低生活の維持のために活用すべき金銭を有していたことから、当該渡航費用のための金銭は収入認定の対象となるものである。したがって、それが単なる遊興を目的とした海外旅行等に充てられた場合には、その交通費及び宿泊費に充てられる額について収入認定を行うこととされたい。ただし、この場合、個々の世帯の状況等を勘案し、当該渡航期間中の基準生活費及び加算に相当する額を超える額については、収入認定しないものとして差し支えない。

また、次のような目的で概ね2週間以内の期間で海外へ渡航する場合には、その使途が必ずしも生活保護の趣旨目的に反するものとは認められないことから、保護費のやりくりによる預貯金等で賄う場合には、本通知第3の18により、他からの援助等で賄う場合には次官通知第8の3の(3)のエに該当するものとして、当該渡航に要する費用の全額を収入認定しないものとして差し支えない。

1 親族の冠婚葬祭、危篤の場合及び墓参

2 修学旅行

3 公的機関が主催する文化・スポーツ等の国際的な大会への参加(選抜又は招待された場合に限る。)

4 高等学校等で就学しながら保護を受けることができるものとされた者の海外留学であって世帯の自立助長に効果的であると認められる場合

第11 保護決定実施上の指導指示及び検診命令

問1 被保護者が書面による法第27条の規定による指導指示に従わない場合の取扱いの基準を示されたい。

答 被保護者が書面による指導指示に従わない場合には、必要と認められるときは、法第62条の規定により、所定の手続を経たうえ、保護の変更、停止又は廃止を行なうこととなるが、当該要保護者の状況によりなお効果が期待されるときは、これらの処分を行なうに先立ち、再度、法第27条により書面による指導指示を行なうこと。なお、この場合において、保護の変更、停止又は廃止のうちいずれを適用するかについては、次の基準によること。

1 当該指導指示の内容が比較的軽微な場合は、その実情に応じて適当と認められる限度で保護の変更を行なうこと。

2 1によることが適当でない場合は保護を停止することとし、当該被保護者が指導指示に従ったとき、又は事情の変更により指導指示を必要とした事由がなくなったときは、停止を解除すること。

なお、保護を停止した後においても引き続き指導指示に従わないでいる場合には、さらに書面による指導指示を行なうこととし、これによってもなお従わない場合は、法第62条の規定により所定の手続を経たうえ、保護を廃止すること。

3 2の規定にかかわらず、次のいずれかに該当する場合は保護を廃止すること。

(1) 最近1年以内において当該指導指示違反のほかに、文書による指導指示に対する違反、立入調査拒否若しくは検診命令違反があったとき。

(2) 法第78条により費用徴収の対象となるべき事実について以後改めるよう指導指示したにもかかわらず、これに従わなかったとき。

(3) 保護の停止を行なうことによっては当該指導指示に従わせることが著しく困難であると認められるとき。

なお、1から3に掲げる保護の変更、停止又は廃止は、当該処分を行なうことを実際に決定した日から適用することを原則とするが、あらかじめ履行の期限を定めて指導指示を行なった場合にはその指定期限の翌日まで遡及して適用して差しつかえない。

問2 要保護者が法第28条による検診命令に従わなかった場合の取扱いの基準を示されたい。

答 設問のような場合にはその必要があると認められるときは法第28条第5項により保護の開始若しくは変更の申請を却下し、又は、保護の変更、停止若しくは廃止を決定すること。

なお、法第28条第5項により処分を行なう場合は、次によること。

1 保護の開始申請に伴い、保護の要否を判定するため必要な検診である場合には、当該開始申請を却下すること。

2 保護の変更申請に伴い必要な検診である場合には当該変更申請を却下すること。

3 要保護者が検診を受けなかったため、特定の費用について必要性の有無が判断できないときは、最低生活費の算定に際し、当該費用を計上しないこと。

4 2又は3によりがたい場合は保護を停止することとし、当該被保護者が検診を受け、かつ、その結果保護を要することが明らかになったとき、又は検診を受けさせる必要がなくなったときには停止を解除すること。

なお、保護を停止した後、再度検診命令を行ない、なおこの命令にも従わないときは、法第28条第5項により保護を廃止すること。

5 4にかかわらず、最近1年以内において当該検診命令違反のほかに文書による指導指示に対する違反、立入調査拒否若しくは検診命令違反があったとき、又は停止によっては、当該要保護者をして検診命令に従わせることが著しく困難であると認められるときは、保護を廃止すること。

なお、4及び5に掲げる保護の変更、停止又は廃止は処分を行なうことを決定した日から適用することを原則とするが、あらかじめ期日を定めて検診命令を行なった場合にはその指定期日の翌日まで遡及して適用して差しつかえない。

第12 調査及び援助方針等

問1 実施機関において、被保護世帯の世帯類型や助言指導の必要性等に応じた統一的な訪問基準を作成し、それに基づいて訪問計画を策定することとして差しつかえないか。

答 訪問調査については、①生活状況の把握、②保護の要否及び程度の確認、③自立助長のための助言指導などを目的として実施することが考えられるところであるが、これらの訪問目的を達成するために考慮された訪問基準であれば、お見込みのとおり取り扱って差しつかえない。

なお、前記の訪問基準の設定を行った場合であっても、被保護者の個々の状況に応じて、適宜、必要な訪問調査の実施に留意されたい。

問2 無料低額宿泊所に入所中の者に対し、訪問調査を行う場合、居宅の場合と同様、局長通知第12の1(2)に基づき、少なくとも1年に2回以上訪問するべきか。当該施設が日常生活支援住居施設の認定を受けている場合も同様か。

答 お見込みのとおり。

なお、訪問調査を行うにあたっては、居宅生活への移行が可能か検証する等、自立に向けた支援の検討を行うこと。

また、日常生活支援住居施設の入所者への訪問調査にあたっては、個別支援計画に基づく支援の実施状況についても確認を行い、必要に応じて計画の見直し等について施設の生活支援員と協議すること。

問3 局長通知第12の1の(2)のアにいう「認知症対応型共同生活介護(グループホーム)等」の施設には、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)以外にどのようなものがあるのか。

答 有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、軽費老人ホーム及び共同生活援助(障害者のグループホーム)であって、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)と同程度の支援体制が整っている施設であること。

この判断に当たっては、次のすべての事項を満たしていることに留意された上で、毎年度体制状況の確認を行うこと。

1 夜勤職員が常駐している等、昼夜の時間帯を通じて支援体制が整っている。

2 当該施設の監督庁に意見を聴取し、当該施設が法令を遵守していることが確認できる。

3 医療機関等の関係機関との協力体制が整っている。

第13 その他

問1 施行規則第22条第2項の規定による相続財産管理人の選任の請求は、保護の実施機関が民法第952条第1項にいう利害関係人として行なうものと解してよいか。

答 お見込みのとおりである。

問2 葬祭を行なう扶養義務者がないため葬祭扶助を行なった場合において、死者名義の郵便貯金通帳があるときは、どのように処分したらよいか。

答 郵便貯金通帳は、法第76条第1項にいう死者の遺留物品と解すべきであるが、とくに債権の証拠物件であることにかんがみ、郵便局の貯金窓口又はゆうちょ銀行店舗に対して具体的な払戻し等の方法につき確認を行った上で、払いもどしを受けるのが適当である。

問3 国若しくは地方公共団体により貸付けられる住宅資金又は国若しくは地方公共団体の委託事業として貸付けられる住宅資金と本法による住宅扶助との関係をどう取扱うべきか。

答 設問にかかる住宅資金の貸付けを受けるについての承認は、本法による扶助の対象とはなりがたい需要について行なうものであり、貸付金をもって本法の給付に代替させる趣旨のものではない。

第14 施行期日

1 この通知は、昭和38年4月1日から施行すること。

2 昭和36年4月1日社保第21号、厚生省社会局保護課長通知「生活保護法による保護の実施要領の解釈と運用について」、昭和36年4月1日社保第22号厚生省社会局保護課長通知「生活保護法による保護の実施要領に関する質疑応答について」及び昭和37年12月5日社保第91号厚生省社会局保護課長通知「生活保護法による保護の実施要領に関する疑義について」は、廃止すること。