添付一覧
ウ 保護受給中の者について、入院期間が1か月未満であるため入院患者日用品費を算定しない場合は、一般生活費の認定の変更(各種加算の額の変更を含む。)を要しないものとすること。
エ 保護受給中の者が月の中途で入院し、入院患者日用品費を算定する場合でオ又はカに該当しないときは、入院患者日用品費は入院日の属する月の翌月の初日から計上すること。この場合、入院月の一般生活費の認定の変更(各種加算の額の変更を含む。)は要しないものとすること。
オ 保護の開始された日又は保護を停止されていて再び開始された日に入院している場合は、その日から入院患者日用品費を計上すること。
カ 救護施設、更生施設、養護老人ホーム若しくは特別養護老人ホーム又は介護施設に入所している者が入院した場合は、入院の日から入院患者日用品費を計上すること。
キ 入院患者日用品費が算定されている入院患者が退院又は死亡した場合は、入院患者日用品費は退院等の日まで計上することとし、一般生活費の認定の変更(各種加算の額の変更を含む。)を日割計算により行なうこと。ただし、退院と同時に介護施設に入所する場合はこの限りでない。
ク 入院患者日用品費は、原則として保護の基準別表第1第3章の1の(1)の基準額の全額(精神活動の減退等により日用品の需要の実態からその全額を必要としないもので、その状態が相当期間持続すると認められるものについては、基準額の85パーセントを標準として必要な額)を計上すること。
(4) 介護施設入所者基本生活費の算定について
ア 介護施設入所者基本生活費が算定される者については、基準生活費は算定しないこと。ただし、特例加算及び12月における期末一時扶助は算定するものとすること。
イ 保護受給中の者が月の中途で介護施設に入所したときは、介護施設入所者基本生活費は入所日の属する月の翌月(入所の日が月の初日のときは当該月)から計上すること。この場合、入所月の一般生活費の認定の変更(各種加算の額の変更を含む。)は要しないものとすること。なお、入院患者日用品費が算定されている入院患者等が医療機関等から介護施設に入所した場合も同様であること。
ウ 保護の開始された日又は保護を停止されていて再び開始された日に介護施設に入所している場合は、その日から介護施設入所者基本生活費を計上すること。
エ 救護施設、更生施設、養護老人ホーム又は特別養護老人ホームに入所している者が介護施設に入所した場合には、入所の日から介護施設入所者基本生活費を計上すること。
オ 介護施設入所者が退所又は死亡した場合は、介護施設入所者基本生活費は退所等の日まで計上することとし、一般生活費の認定の変更(各種加算の額の変更を含む。)を日割り計算により行うこと。ただし、介護施設を退所し、その日から病院又は診療所に入院する場合には、退所の日における介護施設入所者基本生活費については、計上を要しないこと。
カ 介護施設入所者基本生活費は、原則として保護の基準別表第1第3章の2の(1)の基準額の全額を計上すること。
(5) 被服費
ア 被保護者が次のいずれかに該当する場合であって、次官通知第7に定めるところによって判断したうえ、必要と認めるときは、それぞれに定める額の範囲内において特別基準の設定があったものとして被服費を計上して差し支えないこと。なお、(ア)から(ウ)までの場合においては、現物給付を原則とすること。
(ア) 次のいずれかに該当する場合において、現に使用する布団類が全くないか又は全く使用に堪えなくなり、代替のものがない場合
a 保護開始時
b 長期入院・入所後退院・退所した場合
c 犯罪等により被害を受け、又は同一世帯に属する者から暴力を受け、生命及び身体の安全の確保を図るために新たに借家等に転居する場合
区別 |
金額 |
再生によることができる場合 |
1組につき15,200円以内 |
新規に購入を必要とする場合 |
1組につき22,200円以内 |
(イ) 保護開始時及び長期入院・入所後退院・退所した場合において、現に着用する被服(平常着)が全くないか若しくは全く使用に堪えない状況にある者又は学童服について特別の需要があると実施機関が認めた者の場合 1人当たり 15,300円以内
(ウ) 災害にあい、災害救助法第4条の救助が行われない場合において、当該地方公共団体等の救護をもってしては災害によって失った最低生活に直接必要な布団類、日常着用する被服をまかなうことができない場合
世帯人員別 |
金額 |
|
夏季(4月から9月まで) |
冬季(10月から3月まで) |
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2人まで |
21,900円以内 |
39,300円以内 |
4人まで |
41,700円以内 |
66,500円以内 |
5人 |
53,600円以内 |
84,600円以内 |
6人以上1人を増すごとに加算する額 |
7,800円以内 |
11,600円以内 |
(エ) 出産を控えて新生児のための寝具、産着、おむつ等を用意する必要がある場合 57,200円以内
(オ) 入院を必要とする者が入院に際し、寝巻又はこれに相当する被服が全くないか又は使用に堪えない場合 4,800円以内
(カ) 常時失禁状態にある患者(介護施設入所者を除く。)等が紙おむつ等を必要とする場合 月額 26,100円以内
イ 布団類支給にあたっては、その世帯の世帯人員、世帯構成、世帯員の健康状態、住居の広さ、布団類保有状況及び当該地域の低所得世帯との均衡を失しない限度において最低生活の維持に必要な支給量を決定すること。なお、その者が使用していたものを再生して使用させることを第一に考慮し、みだりに新製の布団類を支給することのないように留意すること。
(6) 家具什器費
ア 炊事用具、食器等の家具什器
被保護世帯が次の(ア)から(オ)までのいずれかの場合に該当し、次官通知第7に定めるところによって判断した結果、炊事用具、食器等の家具什器を必要とする状態にあると認められるときは、35,800円の範囲内において特別基準の設定があったものとして家具什器(イ及びウを除く。)を支給して差し支えないこと。
なお、真にやむを得ない事情により、この額により難いと認められるときは、57,000円の範囲内において、特別基準の設定があったものとして家具什器(イ及びウを除く。)を支給して差し支えないこと。
(ア) 保護開始時において、最低生活に直接必要な家具什器の持合せがないとき。
(イ) 単身の被保護世帯であり、当該単身者が長期入院・入所後に退院・退所し、新たに単身で居住を始める場合において、最低生活に直接必要な家具什器の持合せがないとき。
(ウ) 災害にあい、災害救助法第4条の救助が行われない場合において、当該地方公共団体等の救護をもってしては、災害により失った最低生活に直接必要な家具什器をまかなうことができないとき。
(エ) 転居の場合であって、新旧住居の設備の相異により、現に所有している最低生活に直接必要な家具什器を使用することができず、最低生活に直接必要な家具什器を補填しなければならない事情が認められるとき。
(オ) 犯罪等により被害を受け、又は同一世帯に属する者から暴力を受け、生命及び身体の安全の確保を図るために新たに借家等に転居する場合において、最低生活に直接必要な家具什器の持合せがないとき。
イ 暖房器具
被保護世帯がアの(ア)から(オ)までのいずれかに該当した場合であって、それ以降、初めて到来する冬季加算が認定される月において、最低生活に直接必要な暖房器具の持ち合わせがないときは、暖房器具の購入に要する費用について、29,000円の範囲内において、特別基準の設定があったものとして必要な額を認定して差し支えないこと。
なお、被保護世帯が居住する地域の気候条件や住宅設備の状況等により、FF式又は煙突式等の暖房器具を購入する必要がある場合など、暖房器具の購入に要する費用が29,000円をこえることが、真にやむを得ないと実施機関が認めたときは、暖房器具の購入に要する費用について、73,000円の範囲内において、特別基準の設定があったものとして必要な額を認定して差し支えないこと。
ウ 冷房器具
被保護世帯がアの(ア)から(オ)までのいずれかに該当し、当該被保護世帯に属する被保護者に熱中症予防が特に必要とされる者がいる場合であって、それ以降、初めて到来する熱中症予防が必要となる時期を迎えるに当たり、最低生活に直接必要な冷房器具の持ち合わせがなく、真にやむを得ないと実施機関が認めたときは、冷房器具の購入に要する費用について、73,000円の範囲内において、特別基準の設定があったものとして必要な額を認定して差し支えないこと。
エ 支給方法
アからウまでの場合においては、収入充当順位にかかわりなく、現物給付の方法によること。ただし、現物給付の方法によることが適当でないと認められるときは、金銭給付の方法によっても差し支えないこと。
なお、これらの家具什器の購入に際して設置費用が別途必要な場合であって、真にやむを得ないと実施機関が認めたときは、アからウまでとは別に特別基準の設定があったものとして、当該家具什器の設置に必要な最小限度の額を設定して差し支えないこと。
(7) 移送費
ア 移送は、次のいずれかに該当する場合において、他に経費を支出する方法がないときに乗車船券を交付する等なるべく現物給付の方法によって行なうこととし、移送費の範囲は、(ケ)又は(サ)において別に定めるもののほか、必要最小限度の交通費、宿泊料及び飲食物費の額とすること。この場合、(ア)若しくは(イ)に該当する場合であって実施機関の委託により使役する者があるとき、(ウ)、(オ)、(コ)若しくは(シ)に該当する場合であって付添者を必要とするとき又は(エ)に該当する場合の被扶養者にあっては、その者に要する交通費、宿泊料及び飲食物費並びに日当(実施機関の委託により使役する者について必要がある場合に限る。)についても同様の取扱いとすること。
(ア) 生計の途がなく、かつ、一定の住居を持たない者で、野外において生活している者、外国からの帰還者等やむを得ない状態にあると認められる要保護者を扶養義務者その他の確実な引取り先に移送する必要があると認められる場合
(イ) 要保護者を保護の必要上遠隔地の保護施設等へ移送する場合
(ウ) 被保護者が実施機関の指示又は指導をうけて他法による給付の手続、施設入所手続、就職手続及び検診等のため当該施設等へ出向いた場合
(エ) 被保護者が実施機関の指示又は指導をうけてその者の属する世帯の世帯員として認定すべき被扶養者を引取りに行く場合
(オ) 被保護者が障害者支援施設、公共職業能力開発施設等に入所し若しくはこれらの施設から退所する場合又はこれらの施設に通所する場合であって、身体的条件、地理的条件又は交通事情により、交通費を伴う方法以外には通所する方法が全くないか又はきわめて困難である場合
(カ) (オ)に掲げる施設等に入所している被保護者が当該施設の長の指導により出身世帯に一時帰省する場合又はこれらの施設に入所している者の出身世帯員(被保護世帯に限る。)がやむを得ない事情のため当該施設の長の要請により当該施設へ行く場合
(キ) 被保護者が実施機関の指示又は指導をうけて求職又は施設利用のため熱心かつ誠実に努力した場合
(ク) 被保護世帯員のいずれかが入院したため当該患者の移送以外に実施機関が認める最小限度の連絡を要する場合
(ケ) 被保護者(その委託による代理人を含む。)が、当該被保護者の配偶者、3親等以内の血族若しくは2親等以内の姻族であって他に引取人のない遺体、遺骨を引取りに行く場合又はそれらの者の遺骨を納めに行く場合で実施機関がやむを得ないと認めたとき。
この場合、遺体の運搬費を要するときは、その実費を認定して差しつかえない。
(コ) 被保護者が、配偶者、3親等以内の血族若しくは2親等以内の姻族が危篤に陥っているためそのもとへ行く場合又はそれらの者の葬儀に参加する場合で実施機関がやむを得ないと認めたとき。
(サ) 被保護者が転居する場合又は住居を失なった被保護者が家財道具を他に保管する場合及びその家財道具を引き取る場合で、真にやむを得ないとき。
この場合、荷造費及び運搬費を要するときは、実施機関が事前に承認した必要最小限度の額を認定して差しつかえない。
(シ) 被保護者が出産又は妊婦健診(妊婦に対する健康診査についての望ましい基準(平成27年3月31日厚生労働省告示第226号)に基づき公費負担の限度となっている回数に限る)のため病院、助産所等へ入院、入所し、又は退院、退所、通院又は通所する場合
(ス) 刑務所、少年院等に入所している者の出身世帯員(被保護世帯に限る。)がやむを得ない事情のため当該施設の長の要請により当該施設へ行く場合
(セ) アルコールやその他薬物などの依存症若しくはその既往のある者又はその同一世帯員が、病状改善や社会復帰の促進を図ることを目的とする事業や団体の活動を継続的に活用する場合若しくは当該事業や団体の実施する2泊3日以内の宿泊研修(原則として当該都道府県内に限る。)に参加する場合又は精神保健福祉センター、保健所等において精神保健福祉業務として行われる社会復帰相談指導事業等の対象者若しくはその同一世帯員が、その事業を継続的に活用する場合であって、それがその世帯の自立のため必要かつ有効であると認められるとき。
(ソ) 被保護者が子の養育費の支払いを求める調停又は審判のため家庭裁判所に出頭する場合
(タ) 被保護者が実施機関の被保護者健康管理支援事業に基づく受診勧奨による、健診(例えば、健康増進法に基づく健康診査)又は保健指導のため通院又は通所する場合
イ 生計の途がなく、かつ、一定の住居を持たない者で、野外において生活している者等に対し移送費を支給する場合には、面接、調査、照会等により知った事情を、できるだけ詳細に、保護台帳、ケース記録等に記入し、警察官の証明書等を参考書類として添付する等、保護の経緯を明らかにしておくように留意し、その保護台帳の写を目的地の保護の実施機関にすみやかに送付すること。
(8) 入学準備金
ア 小学校、義務教育学校の前期課程若しくは特別支援学校の小学部(以下「小学校等」という。)又は中学校、義務教育学校の後期課程、中等教育学校の前期課程(保護の実施機関が就学を認めた場合に限る。)若しくは特別支援学校の中学部(以下「中学校等」という。)に入学する児童又は生徒が、入学の際、入学準備のための費用を必要とする場合は、それぞれ次の額の範囲内において特別基準の設定があったものとして必要な額を認定して差し支えないこと。この場合、原則として金銭給付によることとするが、現物給付によることが適当であると認められるときは現物給付によることとして差し支えないこと。
小学校等入学時 91,600円以内
中学校等入学時 101,000円以内
イ 児童又は生徒が次の(ア)から(ウ)までのいずれかに該当した場合であって、就学期間中に学生服、ランドセル及び通学用かばん(以下このイにおいて「制服等」という。)の買い換えが必要であると保護の実施機関が認めた場合は、上記アに規定する額の範囲内において特別基準の設定があったものとして必要な額を認定して差し支えないこと。
(ア) 制服等が成長に伴って使用に耐えない状態にあると認められる場合
(イ) 制服等が通常の使用による損耗により使用に耐えない状態にあると認められる場合
(ウ) 制服等が災害等により消失又は使用に耐えない状態にあると認められる場合
(9) 就労活動促進費
ア 次の(ア)及び(イ)のいずれにも該当する場合については、イに定める額を認定して差し支えない。
(ア) 早期に就労による保護脱却が可能と実施機関が判断する者
(イ) 次に掲げる活動要件をいずれも満たすこと。
a 「就労可能な被保護者の就労・自立支援の基本方針について」(平成25年5月16日社援発0516第18号厚生労働省社会・援護局長通知)に定める「自立活動確認書」(以下「確認書」という。)に基づき、以下のbからdに定める求職活動を行っていること。なお、bからdに定める活動要件を超える活動内容を確認書で計画している場合には、実際の求職活動がbからdの要件を満たしていれば支給要件を満たしているものとして取り扱って差し支えない。
b 原則、月1回以上求職先の面接を受けている又は月3回以上求職先に応募していること(地域の求人状況等のやむを得ない事情により回数を満たせない場合はこの限りでない。)。
c 原則、月1回以上保護の実施機関の面接を受けること(保護の実施機関との面接予定日に求職先の面接を受けることとなった場合など、求職活動上やむを得ない理由で保護の実施機関の面接を受けることができない場合はこの限りでない。)。
d 確認書に基づく求職活動として、(a)から(c)までを組み合わせて原則週1回以上の活動を月6回以上行っていること(求職活動の要件を満たすセミナーの開催頻度が少ない等やむを得ない事情により回数を満たせない場合はこの限りでない。)。
(a) 公共職業安定所における求職活動
公共職業安定所への求職申し込みを行ったうえで、以下の活動を行うこと。なお、1日に複数回行った場合でも1回として算定すること。
・ 公共職業安定所での職業相談及び職業紹介
(紹介状が発行されているにもかかわらず、正当な理由なく書類を提出しなかった場合や面接を受けなかった場合は、求職活動は行わなかったものとして取り扱う。)
・ 求職活動で必要な履歴書、職務経歴書の作り方や面接の受け方等をはじめ各種のセミナー等への参加。なお、公共職業安定所以外の機関が実施するセミナーは保護の実施機関が事前に認めたものに限ることとする。(同内容のセミナーは1回に限り対象とする。)
(b) 「平成17年度における自立支援プログラムの基本方針について」(平成17年3月31日社援発第0331003号厚生労働省社会・援護局長通知)に定める就労支援プログラムに基づき、保護の実施機関が行う就労支援への参加(本支援の中で(a)の活動を行った場合には当該活動は重複算定しない。)
(c) 「生活保護受給者等就労自立促進事業の実施について」(平成25年3月29日雇児発0329第30号、社援発0329第77号「生活保護受給者等就労自立促進事業の実施について」別添「生活保護受給者等就労自立促進事業実施要領」)に基づく生活保護受給者等就労自立促進事業への参加
イ 就労活動促進費は、月額5,000円とする。
ウ 支給対象期間は、原則6か月以内とする。ただし、保護の実施機関が必要と認めた場合には、3か月以内の支給対象期間を2回まで(最長1年まで)延長できるものとする。
エ 支給は、本人の申請に基づき、局第7の2の(9)のアに定める要件を確認の上、行うこと。
オ 支給を開始した者については、「就労可能な被保護者の就労・自立支援の基本方針について」(平成25年5月16日社援発0516第18号厚生労働省社会・援護局長通知)に定める「求職活動状況・収入申告書」により毎月、求職活動の実績について報告させること。また、アの(イ)のCにおける原則月1回以上の面接においても活動状況を確認すること。
カ 支給にあたっては、支給前1か月間の活動実績を確認することとし、原則としてその活動実績が支給要件を満たす場合に限り、支給すること。
キ 就労が決定した場合には、就労が決定した月まで支給対象とする。
ク 過去に支給した者は対象としない。ただし、保護廃止後、再度、保護開始となった場合であって、支給から5年が経過している場合にはこの限りでない。
(10) その他
ア 配電設備費
(ア) 被保護者が現に居住する家屋に配電設備が全くない場合には、保護の基準別表第3の1の補修費等住宅維持費の額の範囲内において、特別基準の設定があったものとして、配電設備の新設に必要な額を認定して差しつかえないこと。
なお、真にやむを得ない事情により、この額により難いと認められるときは、保護の基準別表第3の1の基準額に1.5を乗じて得た額の範囲内において、特別基準の設定があったものとして、必要な額を認定して差しつかえない。
(イ) 設備に要する経費の減免又は扶養義務者ないしは地域社会の援助等を期待できるものについては、極力これを受けるよう指導すること。
イ 水道、井戸又は下水道設備費
(ア) 被保護者が最低限度の生活の維持のために水道若しくは井戸を設備することが真に必要であると認められ、かつ、その地域の殆んどの世帯が水道若しくは井戸を設けているとき又は被保護者が市街地の中心部等に居住している場合であって、現在の下水(屎尿を除く。)処理の方法では当該世帯又は近隣の衛生を著しく損うことが認められ、かつ、下水道設備によるほか適当な処理方法がないときに限り、保護の基準別表第3の1補修費等住宅維持費の額の範囲内において特別基準の設定があったものとして水道、井戸又は下水道設備の新設に必要な額を認定してさしつかえない。
なお、真にやむを得ない事情により、この額により難いと認められるときは、保護の基準別表第3の1の基準額に1.5を乗じて得た額の範囲内において、特別基準の設定があったものとして、必要な額を認定して差しつかえない。
また、水道又は井戸の設備に係る特別基準の設定に当っては水道又は井戸の設備費のそれぞれを比較して廉価なものを設備すること。
(イ) 設備の規模は、近隣との均衡等を十分検討したうえで、最低限度の生活にふさわしい程度で決定すること。
(ウ) 設備に要する経費の減免又は扶養義務者ないしは地域社会の援助等を期待できるものについては極力これを受けるように指導すること。
ウ 液化石油ガス設備費
(ア) 被保護者が最低限度の生活の維持のためにプロパンガス等液化石油ガス設備を設けることが真に必要であると認められ、かつ、その設置が近隣との均衡を失することにならないと認められる場合に限り、保護の基準別表第3の1の補修費等住宅維持費の額の範囲内において、特別基準の設定があったものとして液化石油ガス設備の新設に必要な額を認定して差しつかえないこと。
なお、真にやむを得ない事情により、この額により難いと認められるときは、保護の基準別表第3の1の基準額に1.5を乗じて得た額の範囲内において、特別基準の設定があったものとして、必要な額を認定して差しつかえない。
(イ) 設備の規模は、近隣との均衡等を十分検討したうえで、最低限度の生活にふさわしい程度で決定すること。
(ウ) 設備に要する経費の減免又は扶養義務者ないしは地域社会の援助等を期待できるものについては、極力これを受けるように指導すること。
エ 家財保管料
医療機関、介護老人保健施設、職業能力開発校、社会福祉施設、無料低額宿泊所、日常生活支援住居施設等に入院又は入所している単身の被保護者でやむを得ない事情により、家財を自家以外の場所に保管してもらう必要があり、かつそのための経費を他からの援助等で賄うことのできないものについては、入院又は入所(入院又は入所後に被保護者になったときは、被保護者になった時。以下同じ。)後1年間を限度として月額14,000円の額を特別基準の設定があったものとして認定して差しつかえないこと。ただし、明らかに入院又は入所後1年以上の入院加療、入所による指導訓練を必要とする者についてはこの限りではない。
なお、入院又は入所後において保護の実施要領第7の4の(1)のエの(ア)により住宅費が認定されている場合には、12か月から当該住宅費を認定した月数を差し引いた月数の範囲において認定すること。
オ 家財処分料
借家等に居住する単身の被保護者が医療機関、介護老人保健施設、職業能力開発校、社会福祉施設、無料低額宿泊所、日常生活支援住居施設等に入院若しくは入所し、又は有料老人ホーム若しくはサービス付き高齢者向け住宅に入居し、入院若しくは入所又は入居見込期間(入院若しくは入所又は入居後に被保護者となったときは、被保護者になった時から)が6か月を超えることにより真に家財の処分が必要な場合で、敷金の返還金、他からの援助等によりそのための経費を賄うことができないものについては、家財の処分に必要な最小限度の額を特別基準の設定があったものとして認定して差しつかえない。
カ 妊婦定期検診料
妊娠した被保護者が、妊娠期間中(妊娠後に被保護者となったときは、被保護者になった以降)市町村において行われる妊婦の健康診査事業を利用することができず、医療機関において定期検診を受ける場合は、公費負担により受診する場合を除き、特別基準の設定があったものとして必要な額を認定して差しつかえない。
キ 不動産鑑定費用等
保護の申請を行った者又は保護受給中の者が、要保護世帯向け不動産担保型生活資金を利用(社会福祉協議会による貸付審査により、貸付の利用に至らなかった場合も含む。)することに伴って必要となる不動産鑑定費用(社会福祉協議会が単位期間ごとに行う再評価に要する費用を除く。)、抵当権等の設定登記費用及びその他必要となる費用については、特別基準の設定があったものとして必要な額を認定して差しつかえない。
ク 除雪費
豪雪地帯(豪雪地帯対策特別措置法(昭和37年法律第73号)第2条第1項に規定する豪雪地帯をいう。4の(2)のエにおいて同じ。)において、本人又は親族や地域の支援では日常生活に必要な通路・避難路の確保のために必要な除排雪が困難な場合は、当該除排雪に要する費用(4の(2)のエにいう「雪囲い、雪下ろし等に要する費用」を除く。)について、冬季加算認定期間ごとに34,000円の範囲内において特別基準の設定があったものとして必要な額を認定して差し支えない。
3 教育費
(1) 基準額の算定
教育扶助基準額の計上にあたっては、保護開始月、変更月、停止月又は廃止月においても、月額全額を計上すること。
(2) 学級費等
学校教育活動のために全ての児童又は生徒について学級費、児童会又は生徒会費及びPTA会費等(以下「学級費等」という。)として保護者が学校に納付する場合であって、保護の基準別表第2に規定する基準額によりがたいときは、学級費等について次の額の範囲内において特別基準の設定があったものとして必要な額を認定して差し支えない。
小学校等 月額 1,170円以内
中学校等 月額 1,250円以内
(3) 教材代
正規の教材として学校長又は教育委員会が指定するものについて、教育費のうちの教科書代を計上する場合には、学校長又は教育委員会の指定証明を徴すること。
なお、正規の教材の範囲は、学校において当該学級の全児童が必ず購入することとなっている副読本的図書、ワークブック、和洋辞典及び楽器であること。
また、正規の教材の利用に必要な額とは、ICTを活用した教育にかかる通信費であること。
(4) 通学のための交通費
児童又は生徒が身体的条件、地理的条件又は交通事情により交通費を伴う方法による以外には通学する方法が全くないか、又はそれによらなければ通学がきわめて困難である場合においては、その通学のため必要な最小限度の交通費の額を計上すること。
(5) 校外活動参加費
小学校等、中学校等又は教育委員会が行う校外活動(修学旅行を除く。)に、当該学年の児童又は生徒の全員が参加する場合は、その参加のために必要な最小限度の額を特別基準の設定があったものとして認定して差し支えないこと。
(6) 災害時等の学用品等の再支給
災害その他不可抗力により学用品を消失し、学用品を再度購入することが必要な場合には、次の額の範囲内において特別基準の設定があったものとして必要な額を認定して差し支えないこと。
小学校等 15,200円以内
中学校等 23,600円以内
(7) 学習支援費
ア 小学校等又は中学校等に通学する児童又は生徒が課外のクラブ活動を行うための費用を必要とする場合は、1学年ごとに保護の基準別表第2に規定する学習支援費(年間上限額)の項にそれぞれ規定する額(イにおいて「年間上限額」という。)の範囲内において、必要の都度、必要な額を認定すること。
イ アの課外のクラブ活動に要する費用について、合宿及び大会等への参加にかかる交通費及び宿泊費が必要となることにより、年間上限額によりがたい場合であって、真にやむを得ないと実施機関が認めたときは、1学年ごとに、年間上限額に換えて、年間上限額に1.3を乗じて得た額の範囲内において、特別基準の設定があったものとして必要な額を認定して差し支えないこと。
4 住宅費
(1) 家賃、間代、地代等
ア 保護の基準別表第3の1の家賃、間代、地代等は居住する住居が借家若しくは借間であって家賃、間代等を必要とする場合又は居住する住居が自己の所有に属し、かつ住居の所在する土地に地代等を要する場合に認定すること。
イ 月の中途で保護開始、変更、停止又は廃止となった場合であって、日割計算による家賃、間代、地代等の額を超えて家賃、間代、地代等を必要とするときは、1か月分の家賃、間代、地代等の基準額の範囲内で必要な額を認定して差し支えない。
ウ 被保護者が真に必要やむを得ない事情により月の中途で転居した場合であって日割計算による家賃、間代の額をこえて家賃、間代を必要とするときは、転居前及び転居後の住居にかかる家賃、間代につき、それぞれ1箇月分の家賃、間代の基準額の範囲内で必要な額を認定してさしつかえないこと。
エ 入院患者がある場合等の住宅費の取扱い
(ア) 単身の者が、医療機関、介護老人保健施設、職業能力開発校、社会福祉施設等に入院入所期間中も従来通り住宅費を支出しなければならない生活実態にある場合は、入院入所(入院入所後に被保護者になったときは、被保護者になった時。以下この項において同じ。)後6か月以内に退院退所できる見込みのある場合に限り、入院入所後6か月間を限度として、当該住宅費を認定して差し支えないこと。
なお、入院入所後における病状の変化等により6か月を超えて入院入所することが明らかとなった場合であっても、その時から3か月以内に確実に退院退所できる見込みがあると認められる場合には、更に3か月を限度として引き続き当該住宅費を認定して差し支えないこと。
(イ) (ア)以外の場合であって、保護受給中の単身者が月の中途で病院等に入院若しくは入所し、又は病院等から退院若しくは退所した場合において、日割計算による家賃、間代の額をこえて家賃、間代を必要とするときは、1箇月分の家賃、間代の基準額の範囲内で必要な額を計上して差しつかえないこと。
なお、地域の住宅事情等により、退院又は退所する月において住居を確保することが困難であるため、当該月の前月分の家賃、間代を必要とするときは、退院又は退所した日以前1箇月を限度として1箇月分の家賃、間代の基準額の範囲内で必要な額を日割計算により計上して差しつかえないこと。
オ 保護の基準別表第3の2の規定に基づき厚生労働大臣が別に定める額(限度額)のうち、世帯人員別の住宅扶助(家賃・間代等)の限度額(オにおいて「世帯人員別の限度額」という。)によりがたい家賃、間代等であって、世帯員の状況、当該地域の住宅事情によりやむを得ないと認められるものについては、世帯人員別の限度額のうち世帯人員が1人の場合の限度額に次に掲げる率を乗じて得た額(カ、キ及びクにおいて「特別基準額」という。)の範囲内において、特別基準の設定があったものとして必要な額を認定して差しつかえないこと。
1人 |
2人 |
3人 |
4人 |
5人 |
6人 |
7人以上 |
1.3 |
1.4 |
1.5 |
1.6 |
1.7 |
1.7 |
1.8 |
カ 被保護者が転居に際し、敷金等を必要とする場合で、オに定める特別基準額以内の家賃又は間代を必要とする住居に転居するときは、オに定める特別基準額に3を乗じて得た額の範囲内において特別基準の設定があったものとして必要な額を認定して差しつかえないこと。ただし、近い将来保護の廃止が予想され、その後に転居することをもって足りる者については、この限りでない。
キ 保護開始時において、安定した住居のない要保護者(保護の実施機関において居宅生活ができると認められる者に限る。)が住宅の確保に際し、敷金等を必要とする場合で、オに定める特別基準額以内の家賃又は間代を必要とする住居を確保するときは、オに定める特別基準額に3を乗じて得た額の範囲内において特別基準の設定があったものとして必要な額を認めて差し支えないこと(住環境が著しく劣悪な状態であることが確認された場合その他実施機関において居住することが不適切と認めた場合を除く。)。
ク 被保護者が居住する借家、借間の契約更新等に際し、契約更新料等を必要とする場合には、オに定める特別基準額の範囲内において特別基準の設定があったものとして必要な額を認定して差しつかえない。
(2) 住宅維持費
ア 保護の基準別表第3の1の補修費等住宅維持費は、被保護者が現に居住する家屋の畳、建具、水道設備、配電設備等の従属物の修理又は現に居住する家屋の補修その他維持のための経費を要する場合に認定すること。
なお、この場合の補修の規模は、社会通念上最低限度の生活にふさわしい程度とすること。
イ 家屋の修理又は補修その他維持に要する費用(エにより認定された額を除く。)が保護の基準別表第3の1によりがたい場合であってやむを得ない事情があると認められるときは、基準額に1.5を乗じて得た額の範囲内において、特別基準の設定があったものとして、必要な額を認定して差しつかえないこと。
ウ 災害に伴い家屋の補修等を必要とする場合には、すでに認定した補修費等住宅維持費にかかわりなく被災の時点から新たに補修費等住宅維持費を認定することとして差しつかえないこと。
エ 豪雪地帯において、雪囲い、雪下ろし等をしなければ家屋が損壊するおそれがある場合には、当該雪囲い雪下ろし等に要する費用について、一冬期間につき保護の基準別表第3の1に定める額の範囲内において特別基準の設定があったものとして、必要な額を認定して差しつかえないこと。
5 医療費
指定医療機関等において診療を受ける場合の医療費は、医療関係法令通達等に示すところにより診療に必要な最小限度の実費の額を計上すること。
6 介護費
指定介護機関において介護サービスを受ける場合の介護費は、介護関係法令通知等に示すところにより、介護サービスを受けるために必要な最小限度の実費の額を計上すること。
7 出産費
(1) 出産予定日の急変によりあらかじめ予定していた施設において分べんすることができなくなった場合等真にやむを得ない事情により、出産に要する費用が保護の基準別表第6により難いこととなったときは、保護の基準別表第6の1について、368,000円の範囲内において特別基準の設定があったものとして必要な額を認定して差し支えないこと。
(2) 双生児出産の場合は、保護の基準別表第6の1について、基準額((1)の要件を満たす場合は、368,000円)の2倍の額の範囲内において特別基準の設定があったものとして必要な額を認定して差し支えないこと。
(3) 病院、診療所、助産所その他の者であって、健康保険法施行令第36条各号に掲げる要件のいずれにも該当するものによる医学的管理の下における出産であると保護の実施機関が認めるときは、保護の基準別表第6の1又は本通知第7の7の(1)に定める額に加え、30,000円の範囲内において特別基準の設定があったものとして、同条第1号に規定する保険契約に関し被保護者が追加的に必要となる費用の額を認定して差し支えないこと。
8 生業費、技能修得費及び就職支度費
(1) 生業費
ア 専ら生計の維持を目的として営まれることを建前とする小規模の事業を営むために必要な資金又は生業を行なうために必要な器具若しくは資料を必要とする被保護者に対し、その必要とする実態を調査確認のうえ、基準額の範囲内における必要最小限度の額を計上するものとすること。
なお、生業費として認められる経費が保護の基準別表第7の1によりがたい場合であってやむを得ない事情があると認められるときは、78,000円の範囲内において、特別基準の設定があったものとして必要な額を認定して差しつかえない。
イ 同一世帯に属する2人以上の者から同時に別個の生業計画により2件以上の申請があった場合には、世帯の収入の増加及び自立助長に効果的に役立つと認められるものについては、それぞれ生業扶助を適用して差しつかえないこと。
ウ 世帯を異にする2人以上の者から共同の出資事業につき申請がそれぞれ別個になされた場合には、生業計画について企業責任の所在、経営利潤の配分、資材及び労力の提供、製品の販路等を詳細に検討したうえ、個々の世帯の収入の増加及び自立助長に効果的に役立つと認められるものについては、それぞれ生業扶助を適用して差しつかえないこと。
エ 支給品目の品質及び価格は、最低限度の生活にふさわしい程度で決定すること。
(2) 技能修得費
ア 技能修得費(高等学校等就学費を除く)
技能修得費は次に掲げる範囲において、必要な額を認定すること。
なお、支給にあたっては、被保護者に対して、技能修得費の趣旨目的について十分な説明を行うとともに、技能修得状況の経過を把握し、適切な助言指導を行うこと。
(ア) 生計の維持に役立つ生業に就くために必要な技能を修得する経費を必要とする被保護者に対し、その必要とする実態を調査確認のうえ、基準額の範囲内における必要最小限度の額を計上するものとすること。
(イ) 身体障害者手帳を所持する視覚障害者が、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律第2条第1項の養成施設において、はり師、きゅう師になるために必要な技能を修得する場合で、当該技能修得が世帯の自立助長に特に効果があると認められるときは、技能修得の期間が2年をこえる場合であっても、その期間1年につき保護の基準別表第7の1に規定する額の範囲内で特別基準の設定があったものとして必要な額を認定すること。
(ウ) 技能修得費として認められるものは、技能修得のために直接必要な授業料(月謝)、教科書・教材費及び当該技能修得を受ける者全員が義務的に課せられる費用等の経費並びに資格検定等に要する費用(ただし、同一の資格検定等につき一度限りとする。)等の経費であること。
なお、技能修得費として認められる経費が保護の基準別表第7の1によりがたい場合であってやむを得ない事情があると認められるときは、152,000円の範囲内において特別基準の設定があったものとして必要な額を認定して差し支えないこと。
(エ) 上記(ア)に定めるところにかかわらず、(平成17年3月31日付け社援発第0331003号厚生労働省社会・援護局長通知に定めるところによる)自立支援プログラムに基づくなど、実施機関が特に必要と認めた場合については、コンピュータの基本的機能の操作等就職に有利な一般的技能や、コミュニケーション能力等就労に必要な基礎的能力を修得するための経費を必要とする被保護者についても、基準額の範囲内における必要最小限度の額を計上して差し支えないこと。
なお、自立支援プログラムに基づく場合であって、1年間のうちに複数回の技能修得費を必要とする場合については、年額242,000円の範囲内において特別基準の設定があったものとして必要な額を認定して差し支えないこと。
(オ) 当分の間、次のいずれかに該当する技能習得手当等を受けている被保護者については、その実額に相当する額を技能修得費として計上すること。この場合、その者の収入のうち当該計上額は収入充当順位にかかわりなく技能修得費に充当することとし、また、その額が技能修得費の一般基準額をこえるときは、特別基準の設定があったものとして取り扱うこと。
なお、bに該当するものとして取り扱う場合は、厚生労働大臣に情報提供すること。
a 労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律等に基づき支給される技能習得手当又は求職者支援制度に基づき支給される通所手当
b 職業能力開発促進法にいう公共職業能力開発施設に準ずる施設において職業訓練をうける者が地方公共団体又はその長から支給されるaに準ずる技能習得手当
(カ) 被保護者に対して、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第77条の規定に基づき、市町村が実施する地域生活支援事業の更生訓練費給付事業により、更生訓練費又は物品の支給が行われた場合は、当該訓練費の実額又は物品の支給に要する費用の実額を技能修得費として計上するとともに、その者の収入のうち当該計上額は、収入充当順位にかかわりなく技能修得費に充当することとし、また、その額が技能修得費の一般基準額をこえるときは、特別基準の設定があったものとして取り扱うこと。ただし、技能修得費を当該訓練費の実額又は物品の支給に要する費用の実額をこえて認定する必要があるとき、又は技能修得費として計上した額を各月に分割して支給することが適当でないと認められるときは、前記の取扱いによらず、一般基準額又は(イ)若しくは(ウ)による特別基準額として認められる額の範囲内において必要と認められる額を技能修得費として計上し、更生訓練費等は収入として認定すること。
(キ) (ウ)による限度額を超えて費用を必要とする場合であって、次のいずれかに該当するときは、380,000円の範囲内において特別基準の設定があったものとして取り扱って差しつかえないこと。
この場合、給付にあたっては、必要と認められる最小限度の額を確認の上、その都度分割して給付するものとすること。
a 生計の維持に役立つ生業に就くために専修学校又は各種学校において技能を修得する場合であって、当該世帯の自立助長に資することが確実に見込まれる場合
b 自動車運転免許を取得する場合(免許の取得が雇用の条件となっている等確実に就労するために必要な場合に限る。)
c 雇用保険法第60条の2に規定する教育訓練給付金の対象となる厚生労働大臣の指定する教育訓練講座(原則として当該講座修了によって当該世帯の自立助長に効果的と認められる公的資格が得られるものに限る。)を受講する場合であって、当該世帯の自立助長に効果的と認められる場合
イ 高等学校等就学費
(ア) 高等学校等就学費は、高等学校等に就学し卒業することが当該世帯の自立助長に効果的であると認められる場合について、原則として当該学校における正規の就学年限に限り認定すること。
なお、保護開始時に既に高等学校等に就学している場合には、原則として、正規の就学年限から既に就学した期間を減じた期間に限り認められるものであること。
(イ) 高等学校等就学費基本額の計上にあたっては、保護開始月、変更月、停止月又は廃止月においても、月額全額を計上すること。
(ウ) 学校教育活動のために全ての生徒について学級費、生徒会費及びPTA会費等(以下「学級費等」という。)として保護者が学校に納付する場合であって、保護の基準別表第7に規定する基本額によりがたいときは、学級費等について月額2,170円の範囲内において特別基準の設定があったものとして必要な額を認定して差し支えない。
(エ) 教材代の認定を行う場合には、必要に応じて教材の購入リスト等の提出を求めるなど、必要とする実費の額の確認を行うこと。
正規の授業で使用する教科書等の範囲は、当該授業を受講する全生徒が必ず購入することとなっている教科書、副読本的図書、ワークブック、和洋辞典及び楽器であること。
また、正規の教材の利用に必要な額とは、ICTを活用した教育にかかる通信費であること。
(オ) 高等専門学校に就学している場合であって、第4学年及び第5学年に該当する場合は、授業料として、年額396,000円の範囲内において特別基準の設定があったものとして必要な額を認定して差し支えないこと。なお、大学等における修学の支援に関する法律(令和元年法律第8号)第8条第1項による授業料等減免を受けた場合は、同法による授業料減免を受けなかった場合において必要な額として認定される額から、実際に授業料減免を受けた額を差し引いた額を必要な額として認定されたい。
(カ) 高等学校等に入学する生徒が、入学の際、入学準備のための費用を必要とする場合は、118,200円の範囲内において特別基準の設定があったものとして必要な額を認定して差しつかえないこと。この場合、原則として金銭給付によることとするが、現物給付によることが適当であると認められるときは現物給付によることとして差しつかえないこと。
また、生徒が次のaからcまでのいずれかに該当した場合であって、就学期間中に学生服及び通学用かばん(以下この(カ)において「制服等」という。)の買い換えが必要であると保護の実施機関が認めた場合は、上記に規定する額の範囲内において特別基準の設定があったものとして必要な額を認定して差し支えないこと。
a 制服等が成長に伴って使用に耐えない状態にあると認められる場合
b 制服等が通常の使用による損耗により使用に耐えない状態にあると認められる場合
c 制服等が災害等により消失又は使用に耐えない状態にあると認められる場合
(キ) 生徒が身体的条件、地理的条件又は交通事情により交通費を伴う方法による以外には通学する方法が全くないか、又はそれによらなければ通学がきわめて困難である場合においては、その通学のため必要な最小限度の交通費の額を計上すること。
(ク) 災害その他不可抗力により学用品を消失し、学用品を再度購入することが必要な場合には、36,500円の範囲内において特別基準の設定があったものとして必要な額を認定して差しつかえないこと。
また、同様に正規の授業で使用する教科書等を消失し、再度購入することが必要な場合には、前記の額に加えて、高等学校等就学費の教材代として支給対象となる範囲内において、必要な実費を認定して差しつかえない。
(ケ) 高等学校等に通学する生徒が課外のクラブ活動を行うための費用を必要とする場合は、1学年ごとに保護の基準別表第7に規定する学習支援費(年間上限額)の項に規定する額(以下この(ケ)において「年間上限額」という。)の範囲内において、必要の都度、必要な額を認定すること。
また、上記の課外のクラブ活動に要する費用について、合宿及び大会等への参加にかかる交通費及び宿泊費が必要となることにより、年間上限額によりがたい場合であって、真にやむを得ないと実施機関が認めたときは、1学年ごとに、年間上限額に換えて、年間上限額に1.3を乗じて得た額の範囲内において、特別基準の設定があったものとして必要な額を認定して差し支えないこと。
(3) 就職支度費
就職の確定した被保護者が、就職のため直接必要とする洋服類、履物等の購入費用を要する場合は、基準額の範囲内で必要な額を計上すること。また、就職の確定した者が初任給が支給されるまでの通勤費については、必要やむを得ない場合に限り当該費用については、特別基準の設定があったものとして交通費実費分を計上すること。
9 葬祭費
(1) 小人の葬祭に要する費用が保護の基準別表第8の1の小人の基準額をこえる場合であって、当該地域の葬祭の実態が大人と同様であると認められるときは、保護の基準別表第8の1の基準額について大人の基準を特別基準の設定があったものとして適用して差しつかえない。
(2) 法第18条第2項第1号に該当する死者に対し葬祭を行なう場合は、葬祭扶助基準額表の額(火葬料等についての加算及び(1)により特別基準の設定があった場合を含む。)に1,000円を加算した額を特別基準の設定があったものとして、計上して、差しつかえないこと。
(3) 死亡診断又は死体検案に要する費用(文書作成の手数料を含む。)が5,350円をこえる場合は、葬祭扶助基準額表の額(火葬料等についての加算並びに(1)及び(2)により特別基準の設定があった場合を含む。)に当該こえる額を加算した額を、特別基準の設定があったものとして、計上して差しつかえないこと。
(4) 火葬又は埋葬を行なうまでの間、死体を保存するために特別な費用を必要とする事情がある場合は、必要最小限度の実費を特別基準の設定があったものとして計上して差しつかえないこと。
(5) 妊娠4箇月以上で死産した場合には、葬祭費を認定して差しつかえないこと。
(6) 身元が判明しない自殺者等に対して市町村長が葬祭を行なった場合には、葬祭扶助の適用は、認められないこと。
10 特別基準の設定による費用
(1) 特別基準の設定があったときは、その額のとおり計上すること。
(2) 特別基準の設定があったものとして取り扱う費用の認定については、各費目に関する告示及び本職通知の規定に従い、かつ、次のアからオまでによって、必要な額を認定すること。なお、実施手続等については、(3)によること。
ア 特別基準設定による費用の認定と援助方針
実施機関は、当該被保護世帯の援助方針に基づいて判断した結果、当該被保護世帯について、必要不可欠な特別の需要があると認められる場合に限り、特別基準の設定による費用を認定できるものであること。
イ 特別需要額の認定
需要額の認定については、必要最小限度の額を認定すること。
ウ 他法他施策の活用
生活福祉資金その他の他法他施策による給付等であって当該特別需要をみたすべきものについては、事前にその有無を検討し、その活用をはかるべきものであること。
エ 扶養義務者その他からの援助
特別基準は、臨時又は特殊な需要に対応して設定されるものであるから、通常の扶養義務履行の有無とは別に、当該特殊需要に対する、扶養義務者その他からの臨時の援助の有無について、あらためて調査すること。
オ 迅速な事務処理
特別基準による費用の設定が事務処理にならないよう厳に留意すること。
(3) 特別基準が設定されたものとして取り扱う費用等の認定にあたっては、次に掲げる資料を審査して認定すること。
ア 保護台帳
イ 保護決定調書
ウ その他生活の現況、今後の自立更生等援助方針、特別基準設定の必要性、計画及び費用等の妥当性、他法他施策の活用の可能性、扶養義務者等他からの援助の可能性等を判断するために必要な資料
エ 計画書、見積書等
(ア) 障害者加算:障害名、障害等級、障害の状況が確認できる書面、介護計画書(標準的な週における介護内容が確認できる書面)、領収書(更新時)
(イ) 配電、水道、井戸または下水道設備費:設備計画書、関係図面、経費見積書、水質検査書、代替措置の検討
(ウ) 敷金等:転居指導等のケース記録の写、敷金等の契約内容が確認できる書面
(エ) 住宅維持費:補修計画書、図面、写真、経費見積書
(オ) 生業費、技能修得費:生業(技能修得)計画書、経費見積書
(カ) 扶助費の重複支給:理由申立書、関係官署の証明書
(キ) 治療材料:医師の診断書、医師の意見書、経費見積書
(4) 各費目に関する告示及び本職通知の規定による基準によりがたい特別の事情がある場合には、厚生労働大臣に情報提供すること。
第8 収入認定の取扱い
1 定期収入の取扱い
(1) 勤労(被用)収入
ア 常用収入
(ア) 官公署、会社、工場、商店等に常用で勤務している者の収入については、本人から申告させるほか、前3か月分及び当該月分の見込みの基本給、勤務地手当、家族手当、超過勤務手当、各種源泉控除等の内訳を明記した給与証明を徴すること。ただし、給与証明書を徴することを適当としない場合には、給与明細書等をもってこれに代えても差しつかえないこと。
(イ) 給与証明書の内容に不審のある場合又は証明額が同種の被用者の通常の収入額と考えられる額より相当程度低いと判断される場合には、直接事業主について具体的内容を調査確認すること。
(ウ) 社会保険の被保険者については、10月又は11月に社会保険官署、健康保険組合等につき標準報酬との照会を行なうこと。
(エ) 昇給及び賞与の時期については、給与先につきあらかじめ調査を行ない記録しておくこと。
(オ) 就職月、昇給月及び賞与の支給月には、本人から申告させるとともに、給与証明書を徴すること。
(カ) 賞与は、全額を支給月の収入として認定すること。ただし、これによることが適当でない場合は、当該賞与額を、支給月から引続く6か月以内の期間にわたって分割して認定するものとすること。
イ 日雇収入
(ア) 日雇で就労する者の収入については、本人から申告させるほか、前3箇月分の就労日数に関して公共職業安定所の証明書を徴すること。この場合において、公共職業安定所から証明を徴することが困難な場合には、直接同所におもむいて聞取調査を行うこと。
(イ) 本人から申告された就労日数が当該地域の平均就労日数以上である場合は、申告された日数により収入総額を認定すること。
(ウ) 申告された就労日数が当該地域の平均就労日数未満である場合は、就労できない理由を確かめ、正当な理由がないときは、就労日数を平均就労日数まで増加するように文書で指示したうえ、その実際の就労日数による収入総額を認定すること。
(エ) 本人の申告する賃金に不審のある場合は、直接事業主から証明書を徴するか又は事業主につき聞取調査を行ない、確認すること。
(オ) 夏季手当及び年末手当については(1)のアの(オ)及び(カ)によること。
ウ 臨時又は不特定就労収入
(ア) 臨時又は不特定な就労による収入については、その地域における同様の就労状況にある者の収入の状況、その世帯の日常生活の状況等を調査したうえ、収入総額を認定すること。
(イ) 申告された就労日数又は賃金に不審のある場合は、雇主の全部又は一部について具体的内容を聞取調査し、確認すること。
エ 必要経費として控除すべき労働組合費の範囲
次官通知第8の3の(1)のアにいう「労働組合費」は、当該労働組合の組合員の全員が、各月において徴収される組合費の実費をいうものであり、臨時に徴収されるものを含まないものであること。
(2) 農業収入
ア 農作物の収穫量は、本人の申立て、市町村の調査又は意見及び品目別作付面積に町村別等級地別平均反収を乗じたものを勘案して決定するものとし、三者の数字に著しく相違がある場合は、さらに農業協同組合、集荷組合、実行組合、農業改良普及員、民生委員等について調査のうえ、決定すること。
イ 保護開始月における保有農作物は、収穫量と同様の取扱いを行なうこと。
ウ 農業収入を得るための生産必要経費のうち、肥料代、種苗代及び薬剤費については、次に掲げる比率(農林水産省農産物生産費調査による。)に準拠して各福祉事務所ごとに比率を認定したうえ、これをエによる収穫高に乗じて認定すること。
玄米(水稲) 9%
玄米(陸稲) 26%
小麦 23%
その他の農作物 20%
エ 農業収入は、次の算式により認定すること。
(ア) 主食(米、小麦、裸麦、大麦、そば等当該地域の食生活の実態によること。)
収穫高=販売価格×収穫量
収穫高-生産必要経費=収入
(イ) 野菜
販売価格×売却量+自給量を金銭換算した額(別表1「金銭換算表」の野菜の額に自給割合を乗じて得た額をいう。)-必要経費=収入
オ 各福祉事務所ごとに管内の町村別、品目別、等級地別平均反収及び町村別、品目別農作物販売価格を調査し、調整又は補正しておくこと。
カ 余剰野菜について、その地域に需要がなくこれを売却することができないときは、今後の耕作において穀類等換金の途の広い農作物を作付するよう指導するとともに、その作の収穫に限り自家消費を認めても差しつかえないこと。
キ 農業収入は、収入があった時から将来に向い、原則として、12分の1ずつの額を認定すること。
(3) 農業以外の事業(自営)収入
ア 農業以外の事業収入については、前3箇月分及び当該月の見込みにつき、本人から申告させるほか、物品販売業(店売り、行商又は露店)、製造業及び加工業については、会計簿、商品又は原材料の仕入先、製品の販売先等について、運搬業(小運送)、修理(自転車修理、いかけ業、桶屋)及びサービス業(理髪業、靴磨等)については、正確なものがある場合は会計簿について、建築造園業(大工、左官、植木職等)については、一定した仕事先がある場合はその仕事先について、それぞれの実際の収入の状況を書面又は聞取りにより調査し、さらに市町村等税務関係機関の調査又は意見をも参考とすること。
イ 魚介による収入は、次の算式により認定すること。
売却量×販売価格+自給量を金銭に換算した額(別表1「金銭換算表」の魚介の額に自給割合を乗じて得た額をいう。)-必要経費=収入
ウ 養殖漁業等で年間の一時期のみの収穫で収入を得ている場合は、収入があった時から将来に向かい、原則として12分の1ずつの額を認定すること。
(4) 恩給、年金等の収入
ア 恩給法、厚生年金保険法、船員保険法、各種共済組合法、国民年金法、児童扶養手当法等による給付で、1年以内の期間ごとに支給される年金又は手当については、実際の受給額を原則として受給月から次回の受給月の前月までの各月に分割して収入認定すること。
なお、当該給付について1年を単位として受給額が算定される場合は、その年額を12で除した額(1円未満の端数がある場合は切捨)を、各月の収入認定額として差し支えない。
イ 老齢年金等で、介護保険法第135条の規定により介護保険料の特別徴収の対象となるものについては、特別徴収された後の実際の受給額を認定すること。
(5) その他の収入
(1)から(4)までに該当する収入以外の収入はその全額を当該月の収入として認定すること。ただし、これによることが適当でない場合は、当該月から引き続く6箇月以内の期間にわたって分割認定するものとすること。
2 収入として認定しないものの取扱い
(1) 社会事業団体その他が被保護者に対して支給する金銭であって、当該給付の資金が、地方公共団体の予算措置によりまかなわれているものは、次官通知第8の3の(3)のアとして取り扱うことは認められないこと。
(2) 被保護者に対して現物が給与された場合は、被贈与資産として取扱い、処分すべきものがあれば売却させてその収入を認定すること。ただし、就労の対価として現物が給与されたときは、その物品の処分価値により金銭換算のうえ、500円を控除した額を就労収入として認定すること。
(3) 貸付資金のうち当該被保護世帯の自立更生のために当てられることにより収入として認定しないものは次のいずれかに該当し、かつ、貸付けを受けるについて保護の実施機関の事前の承認があるものであって、現実に当該貸付けの趣旨に即し使用されているものに限ること。
ア 事業の開始又は継続、就労及び技能修得のための貸付資金
イ 次のいずれかに該当する就学資金
(ア) 高等学校等就学費の支給対象とならない経費(学習塾費等を含む。)及び高等学校等就学費の基準額又は学習支援費でまかないきれない経費であって、その者の就学のために必要な最小限度の額
(イ) 高等学校等で就学しながら保護を受けることができるものとされた者の就労や早期の保護脱却に資する経費にあてられることを保護の実施機関が認めた場合において、これに必要な最小限度の額
(ウ) 大学等への就学のため、第1の5による世帯分離又は、大学等への就学にあたり居住を別にすることが見込まれる世帯について、大学等への就学後に要する費用にあてるための貸付資金
ウ 医療費又は介護等費貸付資金
エ 結婚資金
オ 国若しくは地方公共団体により行なわれる貸付資金又は国若しくは地方公共団体の委託事業として行なわれる貸付資金であって、次に掲げるもの
(ア) 住宅資金又は転宅資金
(イ) 老人若しくは身体障害者等が、機能回復訓練器具及び日常生活の便宜を図るための器具又は災害により損害を受けた者が、当該災害により生活基盤を構成する資産が損なわれた場合の当該生活基盤の回復に要する家具什器を購入するための貸付資金
(ウ) 配電設備又は給排水設備のための貸付資金
(エ) 国民年金の受給権を得るために必要な任意加入保険料のための貸付資金
(オ) 日常生活において利用の必要性が高い生活用品を緊急に購入するための貸付資金
(カ) 厚生年金の受給権を得たために支払う必要が生じた共済組合等から過去に支給された退職一時金の返還のための貸付資金
(4) 自立更生のための恵与金、災害等による補償金、保険金若しくは見舞金、指導、指示による売却収入又は死亡による保険金のうち、当該被保護世帯の自立更生のためにあてられることにより収入として認定しない額は、直ちに生業、医療、家屋補修等自立更生のための用途に供されるものに限ること。ただし、直ちに生業、医療、家屋補修、就学等にあてられない場合であっても、将来それらにあてることを目的として適当な者に預託されたときは、その預託されている間、これを収入として認定しないものとすること。
また、当該金銭を受領するために必要な交通費等及び補償金等の請求に要する最小限度の費用は、必要経費として控除して差しつかえない。
(5) (3)の承認又は(4)の収入として認定しない取扱いを行なうに際して、当該貸付資金、補償金等が当該世帯の自立更生に役立つか否かを審査するため必要があるときは、自立更生計画を徴すること。
(6) 次官通知第8の3の(3)のケに掲げる金銭の取扱いについては、次によること。
ア 社会生活を営むうえで特に社会的な障害のある者の福祉を図るため地方公共団体又はその長が支給する金銭に該当するものは、次に掲げる金銭であること。
(ア) 心身障害児(者)の福祉を図るために支給される金銭
(イ) 老人の福祉を図るために支給される金銭
(ウ) 母子世帯に属する者の福祉を図るために支給される金銭
(エ) 多子世帯に属する者の福祉を図るために支給される金銭
(オ) 災害等によって保護者を失った児童の福祉を図るために支給される金銭
(カ) (ア)から(オ)までに掲げる金銭に準ずるもの
イ アの(カ)に該当するものとして取り扱う場合又は同一人に対しアの(ア)から(カ)までに掲げる金銭が重複して支給される等特別な事由があり、特別な取扱いを必要とすると認められる場合は、都道府県知事は、厚生労働大臣に情報提供すること。
3 勤労控除の取扱い
(1) 基礎控除
ア 基礎控除は、当該月の就労に伴う収入金額(賞与その他の臨時的な収入を分割して認定する場合は、各分割認定額をそれぞれの認定月の収入金額に加算して算定するものとする。)に対応する次官通知別表の基礎控除額表の収入金額別区分に基づき認定すること。
イ 基礎控除の収入金額別区分は、次官通知第8の3の(1)のアによる勤労(被用)収入については、通勤費等の実費を控除する前の収入額により、同イによる農業収入又は同ウによる農業以外の事業(自営)収入については、生産必要経費又は事業必要経費を控除した後の収入額によること。
ウ 世帯員が2人以上就労している場合には、イによる収入額の最も多い者については、次官通知別表の基礎控除額表の1人目の欄を適用し、その他の者については、それぞれ同表の2人目以降の欄を適用すること。
(2) 新規就労控除
ア 新規就労控除を適用する場合は、次の場合であること。
(ア) 中学校、高等学校等を卒業した者が継続性のある職業に従事し、収入を得るために特別の経費を必要とする場合
(イ) 入院その他やむを得ない事情のためおおむね3年以上の間職業に従事することができなかった者が継続性のある職業に従事し、収入を得るために特別の経費を必要とする場合
イ 控除は、当該職業によって得られる収入につき、はじめて継続性のある職業についた月(当該新規就労に伴なう収入を翌月から認定することとするときは当該初回認定月)から6箇月間に限り行なうものとすること。
(3) 20歳未満控除
ア 20歳未満の者については、その者の収入から次官通知第8の3の(4)に定める額を控除すること。ただし、次の場合は控除の対象としないものであること。
(ア) 単身者
(イ) 配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある場合を含む。以下同じ。)又は自己の未成熟の子とのみで独立した世帯を営んでいる場合
(ウ) 配偶者と自己の未成熟の子のみで独立した世帯を営んでいる場合
イ 20歳未満控除の適用をうけていた者が月の中途で20歳に達したときは、その翌月から認定の変更を行なうこと。
4 その他の控除
(1) 出かせぎ、行商、船舶乗組、寄宿等に要する費用につき控除を行なう場合は、一般生活費又は住宅費の実際必要額から、当該者の最低生活費として認定された一般生活費の額を差し引いて得た額を必要経費として認定すること。
(2) 就労又は求職者支援制度による求職者支援訓練の受講に伴う子の託児費については、その実費の額を収入から控除して認定すること。この場合において、委託された児童に対して受託者が提供する飲食物は、収入認定の対象としないこと。
(3) 貸付資金のうち当該被保護世帯の自立更生のために当てられる額の償還については、償還が現実に行なわれることを確認したうえ、次に掲げるものについて、当該貸付資金によって得られた収入(修学資金又は奨学資金(局第8の2の(3)のイの(ウ)に該当するものを除く)については、当該貸付を受けた者の収入、結婚資金については、当該貸付けを受けた者又は当該貸付資金により結婚した者の収入、医療費又は介護費貸付資金、住宅資金、転宅資金、老人若しくは身体障害者等が機能回復訓練器具及び日常生活の便宜を図るための器具又は災害により損害を受けた者が当該災害により生活基盤を構成する資産が損なわれた場合の当該生活基盤の回復に要する家具什器を購入するための貸付資金、配電設備又は給排水設備のための貸付資金、国民年金の受給権を得るために必要な任意加入保険料のための貸付資金並びに厚生年金の受給権を得たために支払う必要が生じた共済組合等から過去に支給された退職一時金の返還のための貸付資金については、当該世帯の全収入)から控除して認定すること。
ア 国若しくは、地方公共団体により行なわれるもの又は国若しくは地方公共団体の委託事業として行なわれるものであって、償還の免除又は猶予が得られなかったもの。ただし、医療費又は介護費貸付資金については、保護の実施機関の承認のあったものに限ること。
イ ア以外の法人又は私人(絶対的扶養義務者を除く。)により貸し付けられたもののうち、貸付けを受けるについて保護の実施機関の事前の承認のあったものであって、償還の免除又は猶予が得られなかったもの。ただし、事前の承認を受けなかったことについてやむを得ない事情があり、かつ、当該貸付資金が現にその者の自立助長に役立っていると認められ、事後において承認することが適当なものについても、同様とする。
ウ アに該当する技能修得資金とともに、当該技能修得期間中、貸付けを受けた生活資金については、貸付けを受けるについて保護の実施機関の事前の承認のあったものであって、償還の免除又は猶予が得られなかったもの。
(4) 独立行政法人住宅金融支援機構法による貸付資金の償還については、当該貸付資金によって建築した住宅の一部を活用して収入を得ている場合に限り、当該収入の範囲内において、当該償還金を控除して認定すること。
(5) 次に掲げる貸付資金は、国若しくは地方公共団体により行なわれるもの又は国若しくは地方公共団体の委託事業として行なわれるものに該当するものとして取り扱うこと。ただし、生活福祉資金貸付制度要綱に基づく貸付資金については、当該被保護世帯の自立更生のために当てられるものに限る。
(ア) 母子及び父子並びに寡婦福祉法による貸付資金
(イ) 生活福祉資金貸付制度要綱に基づく貸付資金
(ウ) 婦人更生資金制度要綱に基づく貸付資金
(エ) 引揚者給付金等支給法に基づく国債を担保として、国民金融公庫から貸し付けられる生業資金
(オ) 天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法に基づく農業協同組合、森林組合又は金融機関の貸付資金
(カ) 農業近代化資金融通法に基づく農業協同組合、農業協同組合連合会又は農林中央金庫の貸付資金
(キ) 国民金融公庫からの低所得者に対する更生貸付資金
(ク) 住宅資金又は転宅資金であって国若しくは地方公共団体により行なわれる貸付資金又は国若しくは地方公共団体の委託事業として行なわれる貸付資金
(6) 生業資金の貸付けをうけた後、事業の失敗等により他の事業を営んでいる場合であって、その事業の資金の全部、または一部が、当該貸付金によりまかなわれているときは、変更した事業によって得られる収入から償還金を控除して認定して差しつかえないこと。
第9 保護の開始申請等
1 保護の相談における開始申請の取扱い
生活保護の相談があった場合には、相談者の状況を把握したうえで、他法他施策の活用等についての助言を適切に行うとともに生活保護制度の仕組みについて十分な説明を行い、保護申請の意思を確認すること。
また、保護申請の意思が確認された者に対しては、速やかに保護申請書を交付し、申請手続きについての助言を行うとともに、保護の要否判定に必要となる資料は、極力速やかに提出するよう求めること。
なお、申請者が申請書及び同意書の書面での提出が困難である場合には、申請者の口頭によって必要事項に関する陳述を聴取し、書面に記載したうえで、その内容を本人に説明し記名を求めるなど、申請があったことを明らかにするための対応を行うこと。
2 要保護者の発見・把握
要保護者を発見し適切な保護を実施するため、生活困窮者に関する情報が保護の実施機関の窓口につながるよう、住民に対する生活保護制度の周知に努めるとともに、保健福祉関係部局や社会保険・水道・住宅担当部局等の関係機関及び民生委員・児童委員との連絡・連携を図ること。
第10 保護の決定
1 年齢改定
(1) 保護を継続して受ける者について、基準生活費の算定に係る満年齢の切替えは、毎年1回4月1日に行うことができること。
(2) 4月1日に行なう切替えは、3月31日までに基準生活費の変更を必要とする満年齢に達した者について行なうこと。
2 保護の要否及び程度の決定
(1) 保護の要否の判定は原則としてその判定を行なう日の属する月までの3箇月間の平均収入充当額に基づいて行なうこととする。
ただし、常用勤労者について労働協約等の実態から賞与等を含む年間収入が確実に推定できる場合であって、次官通知第8の2の「長期間にわたって収入の実情につき観察することを適当とするとき」に該当するときは保護の申請月以降1年間において確実に得られると推定される総収入(収入を得るための必要経費の実費及び勤労に伴う必要経費として別表2に定める額を控除した額)の平均月割額をその月の収入充当額と定め保護の要否を判定すること。この取扱いにより保護を要すると判定された者に係る保護の程度の決定は常用収入について第8の1の(1)のアに定める取扱いにより行なうこと。
(2) 農業収入又は年間の一時期のみの収穫による収入のある世帯については、保護の申請月以後1箇年間における収穫予想高(前年における収穫高を基とし、平年作の程度、災害の有無、豊凶予想等収穫高の予想増減を勘案したもの)の平均月割額をその月の収入充当額として認定して保護の要否を判定し、保護を要すると判定されたものについては、現在の収入について第8(収入の認定)により認定した額に基づいて、保護の程度を決定すること。ただし、これによりがたい場合は、次の収穫を認定する時期まで、一般の要否判定の要領により、その要否及び程度を決定して差しつかえないこと。
(3) 医療予定期間が4箇月未満の短期傷病を理由として医療扶助のための保護の申請があった場合には、医療予定期間に2箇月を加えた月数の間における最低生活費と収入充当額(農業収入又は年間の一時期のみの収穫による収入については、(2)による平均月割額、(1)のただし書により収入を推定するべき常用勤労者の収入については、同ただし書により推定された総収入の平均月割額を基礎として算定した額(4)において同じ。)との対比によって、保護の要否を判定し、保護を要すると判定されたものについては、第8により認定した収入によって保護の程度を決定すること。
なお、傷病の医療予定期間が4箇月以上6箇月未満である場合において6箇月間における最低生活費と収入充当額との対比により、同様に取り扱うこと。
(4) 保護の要否判定を行う際に算定する障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に規定する障害福祉サービス及び自立支援医療に要する費用は、概算障害福祉サービス所要額及び概算自立支援医療所要額によるものとし、次により算定すること。
ア 障害福祉サービス
障害福祉サービスの利用に係る負担上限月額(個別減免等を受けている者については、個別減免等が適用された後における負担上限月額)と食費等実費負担月額(入所施設利用の場合に限る。補足給付等を受けている者については、補足給付等を適用した後における食費等実費負担月額。)の合計額を上限として算定した1か月あたりの平均負担額
イ 自立支援医療
自立支援医療の利用に係る負担上限月額と食費の実費負担額(入院の場合に限る。)を上限とした1か月あたりの平均負担額
(5) 保護の要否判定を行う際に算定する介護費は、概算介護所要額によるものとし、概算介護所要額は次により算定すること。
なお、介護保険の被保険者については、アからキまでにつき、それぞれのサービスに係る介護保険給付の利用者負担分を限度とする。
ア 居宅介護(イを除く。)
居宅介護支援計画に基づき、当該者の要介護状態区分に応じた介護保険の居宅介護サービス費等区分支給限度基準額を上限として算定した1か月あたりの平均介護費用
イ 特定施設入居者生活介護、認知症対応型共同生活介護及び地域密着型特定施設入居者生活介護に係る居宅介護
当該者の要介護状態区分に応じた1か月あたりの介護費用
ウ 施設介護
当該者の要介護状態区分に応じた1か月あたりの施設介護費用(食事の提供に要する費用を含む。)
エ 介護予防(オを除く。)
介護予防支援計画に基づき、当該者の要支援状態区分に応じた介護保険の介護予防サービス費等区分支給限度基準額を上限として算定した1か月あたりの平均介護費用
オ 介護予防特定施設入居者生活
介護及び介護予防認知症対応型共同生活介護に係る介護予防当該者の要支援状態区分に応じた1か月あたりの介護費用
カ 福祉用具購入及び介護予防福祉用具購入
介護扶助の対象となる福祉用具であって、当該者の心身の状況から必要となると判断されるものの購入費について、介護保険の居宅介護(介護予防)福祉用具購入費支給限度基準額を12で除して得た額を上限として算定した1か月あたりの費用
キ 介護予防・日常生活支援介護予防ケアマネジメントに基づき、市町村の実施要綱等において定められた介護予防・生活支援サービスにおける支給限度額を上限として算定した1箇月当たりの平均介護費用
(6) 保護施設等の取扱い
ア 救護施設・更生施設及び宿所提供施設
救護施設、更生施設又は宿所提供施設に入所することを必要とする者の収入充当額が最低生活費認定額以下の場合又はその者の収入充当額が最低生活費認定額を超過する場合であって、その超過額が保護施設事務費に満たない場合は、その者を被保護者と決定し又は被保護者とみなして、最低生活費認定額と保護施設事務費との合算額から収入充当額を差し引いた額を保護費及び保護施設事務費支出額として決定すること。
イ 救護施設及び更生施設の行う通所事業
救護施設及び更生施設が行う通所事業を利用する者に係る保護施設事務費支出額の決定は次により行うこと。
(ア) その世帯の収入充当額が最低生活費認定額以下の場合は、その者を被保護者と決定し、当該月の保護施設事務費の額をもって保護施設事務費支出額と決定すること。
(イ) (ア)に該当しない場合であっても、その世帯の収入充当額が最低生活費認定額を超過する場合であって、その超過額が保護施設事務費に満たない場合は、当分の間、その者を被保護者とみなして、当該月の保護施設事務費の額をもって保護施設事務費支出額として決定して差し支えないこと。
また、前記に該当しない場合であっても、その世帯の収入充当額が最低生活費認定額に保護施設事務費の2倍に相当する額を加えた額以下であるときは、当分の間、その者を被保護者とみなして、最低生活費認定額に保護施設事務費の2倍に相当する額を加えた額と収入充当額との差額をもって保護施設事務費支出額として決定して差し支えないこと。
ウ 授産施設
授産施設を利用する者の生業扶助の決定は次により行なうこと。
(ア) その世帯の収入充当額が最低生活費認定額と保護施設事務費(家庭授産を利用する場合は、家庭授産の事務費の額)の合算額以下の場合は、その者を被保護者と決定し、当該月の保護施設事務費の額をもって保護施設事務費支出額と決定すること。
(イ) (ア)に該当しない場合であっても、その世帯の収入充当額が最低生活費認定額に保護施設事務費(家庭授産を利用する場合であっても施設授産の事務費の額とする。)の2倍に相当する額を加えた額(以下「限度額」という。)以下であるときは、当該世帯の自立助長を考慮してその者を被保護者とみなし、当該月の保護施設事務費の額をもって保護施設事務費支出額と決定すること。
また、現に授産施設を効果的に利用している者については、収入充当額が限度額をこえる場合であっても、当分の間、その者を被保護者とみなし、そのこえる額と当該月の保護施設事務費との差額をもって保護施設事務費支出額として決定して差しつかえないこと。
エ 日常生活支援住居施設
日常生活支援住居施設に入所することを必要とする者の収入充当額が最低生活費認定額以下の場合又はその者の収入充当額が最低生活費認定額を超過する場合であって、その超過額が日常生活支援委託事務費に満たない場合は、その者を被保護者と決定し又は被保護者とみなして、最低生活費認定額と日常生活支援委託事務費との合算額から収入充当額を差し引いた額を保護費及び日常生活支援委託事務費として決定すること。
オ アからウの場合の保護施設事務費は、施設入所の属する月の翌月(初日に入所する場合は当該月)から退所の日の属する月まで月を単位として算定し、支出決定すること。
ただし、新たに事業を開始した施設であって事業開始後3箇月を経過する日の属する月の末日が経過していない施設に月の中途で入退所する者の保護施設事務費は、入退所の日を含めた入所日数に応じ日割計算により算定すること。
カ アからウの場合において最低生活費認定額をこえる収入充当額があるため保護施設事務費の範囲内で生ずる本人支払額は、施設入所の属する月の翌月(初日に入所する場合は当該月)から退所の日の属する月まで、月を単位として算定すること。
ただし、新たに事業を開始した施設であって事業開始後3箇月を経過する日の属する月の末日が経過していない施設に月の中途で入退所する者の本人支払額は、当該月の収入充当額に基づき算定すること。
キ エの場合の日常生活支援委託事務費は、当該月において入所している日数に応じて算定し、支出決定すること。
なお、月の中途で入退所する者については、入退所の日を含めた入所日数に応じて算定すること。
ク エの場合において最低生活費認定額をこえる収入充当額があるため日常生活支援委託事務費の範囲内で生ずる本人支払額は、月を単位として算定すること。月の中途で入退所する者については、入退所の日を含めた入所日数に応じ日割り計算により算定すること。
(7) 扶助費支給額又は本人支払額の算定(以下「支給額の算定」という。)は、次により行なうこと。
ア 収入額が月により変動しない定期的収入については、その月額を基礎として支給額の算定を行なうこと。
イ 収入額が月によりある程度の変動が予想されるが、一定期間について観察すれば安定した継続的収入が得られると認められる場合は、3箇月をこえない期間ごとに認定した収入の平均月割額を基礎として支給額の算定を行なうこと。
ウ 農業収入又は年間の一時期のみの収穫による収入については、原則として12分の1相当額をもって支給額の算定を行なうこととするが、これによることが適当でないと認められる場合は、イにより支給額の算定を行なうこと。
エ 賞与、期末手当等については、その収入月及び収入額が確実には握できるときは、その収入額を認定のうえ、これを基礎として支給額の算定を行なうこと。この場合、当該算定にかかる収入の額と、扶助費支給後に認定された収入額とに差を生じたときは、収入月以降の収入額に加減して支給額の算定を行なうこと。
オ アからエまでによることが適当でないと認められるときは、客観的根拠により推定できる収入額を基礎として支給額の算定を行なうこと。
なお、保護継続中の者が新たに就職した場合であって、当該新規就労による収入を当該月の収入として計上することが不適当であると認められる場合に限り、当該収入をその翌月の収入として計上して支給額の算定を行なうこと。また、この取扱いの適用をうけた者にかかる翌月以降の収入の認定は、当該月の収入をその翌月の収入とみなして取り扱うものであること。
(8) 最低生活費又は収入充当額の認定を変更すべき事由が事後において明らかとなった場合は、法第80条を適用すべき場合及び(7)のエによるべき場合を除き、当該事由に基づき扶助費支給額の変更決定を行なえば生ずることとなる返納額(確認月からその前々月までの分に限る。)を、次回支給月以後の収入充当額として計上して差し支えないこと。(この場合、最低生活費又は収入充当額の認定変更に基づく扶助費支給額の遡及変更決定処分を行なうことなく、前記取扱いの趣意を明示した通知を発して、次回支給月以後の扶助費支給額決定処分を行なえば足りるものであること。)
(9) 特定中国残留邦人等及び特定配偶者等と同居している場合であって、特定中国残留邦人等及び特定配偶者等が支援給付を受給しない場合における保護の要否の判定は、まず、当該要保護世帯と当該特定中国残留邦人等及び特定配偶者等とを同一世帯とみなした場合に算出される当該最低生活費の額と、収入充当額との対比により行うこと。
この場合、当該特定中国残留邦人等及び特定配偶者等の収入充当額の算定については、支援給付の実施要領の定めるところにより行い、当該要保護世帯の収入充当額の算定については、本通知の定めるところにより行うこと。なお、要否の判定に当たり、特定中国残留邦人等と特定配偶者等の資産については考慮する必要がないものであること。
この判定の結果要となった場合には、さらに局長通知第7―2―(1)―サによる当該要保護世帯の最低生活費と、当該要保護世帯の収入充当額との対比により保護の要否判定及び程度の決定を行うこと。この場合、当該特定中国残留邦人等及び特定配偶者等の収入のうち支援給付の最低生活費を超える額については、収入として認定しないこと。
なお、要否の判定は保護の開始申請時のほか、年1回6月に行うこと。
3 保護の開始時期
保護の開始時期は、急迫保護の場合を除き、原則として、申請のあった日以降において要保護状態にあると判定された日とすること。
なお、町村長経由の申請の場合には、町村長が申請書を受領した日、また管轄違いの申請があった場合には、最初の保護の実施機関が申請を受理した日を、それぞれ申請のあった日として取り扱うこと。
4 扶助費の再支給
前渡された保護金品又は収入として認定された金品(以下「前渡保護金品等」という。)を失った場合で、次のいずれかに該当するときは、失った日以後の当該月の日数に応じて算定された額の範囲内において、その世帯に必要な額を特別基準の設定があったものとして認定できるものであること。
(1) 災害のために前渡保護金品等を流失し、又は紛失した場合
(2) 盗難、強奪その他不可抗力により前渡保護金品等を失った場合
第11 保護決定実施上の指導指示及び検診命令
1 保護申請時における助言指導
(1) 要保護者が、保護の開始の申請をしたときは、保護の受給要件並びに保護を受ける権利と保護を受けることに伴って生ずる生活上の義務及び届出の義務等について十分説明のうえ適切な指導を行なうこと。
(2) 要保護者が、自らの資産能力その他扶養、他法等利用しうる資源の活用を怠り又は忌避していると認められる場合は、適切な助言指導を行なうものとし、要保護者がこれに従わないときは、保護の要件を欠くものとして、申請を却下すること。
なお、要保護者が自らの資産、能力等の活用により最低生活の需要を満たすことができると認められる場合には、保護を要しないものとして申請を却下すること。
2 保護受給中における指導指示
(1) 保護受給中の者については、随時、1と同様の助言、指導を行なうほか、特に次のような場合においては必要に応じて法第27条による指導指示を行なうこと。
ア 傷病その他の理由により離職し、又は就職していなかった者が傷病の回復等により就労(そのために必要な訓練等につくことを含む。)を可能とするに至ったとき。
イ 義務教育の終了又は傷病者の介護もしくは乳児等の養育にあたることを要しなくなったため就労が可能となったとき。
ウ 現に就労の機会を得ていながら、本人の稼働能力、同種の就労者の収入状況等からみて、十分な収入を得ているものとは認めがたいとき。
エ 内職等により少額かつ不安定な収入を得ている者について、健康状態の回復、世帯の事情の改善等により転職等が可能なとき。
オ 就労中であった者が労働争議参加等のため現に就労収入を得ていないとき。
カ アからオまでに掲げる場合のほか、資産、扶養、他法他施策による措置等の活用を怠り、又は忌避していると認められるとき。
キ 次官通知第8の1による収入に関する申告及び局長通知第3による資産に関する申告を行なわないとき。
ク 世帯の変動等に関する法第61条の届出の義務を怠り、このため保護の決定実施が困難になり、又は困難になるおそれがあるとき。
ケ 主治医の意見に基づき、入院、転院又は退院が必要であると認められるとき。
コ 施設に入所させ、又は退所させる必要があると認められるとき。
サ 施設入所者が施設の管理規程に従わないため、施設運営上困難を生じている旨当該施設長から届出があったとき。
シ キからサまでに掲げる場合のほか最低生活の維持向上又は健康の保持等に努めていない等被保護者としての義務を怠っていると認められるとき。
ス その他、保護の目的を達成するため、又は保護の決定実施を行なうため、特に必要があると認められるとき。
(2) (1)のアからオまでによる指導指示を行うにあたっては、本人又は親族、知己による求職活動をうながし、これに適切な助言、指導又はあっせんを行うこととするが、これによることが適当でない場合は、公共職業安定所への連絡、紹介等について必要な指導指示を行うものとすること。
なお、被保護者の就労又は収入の増加を図るために必要があると認められるときは、生業扶助の適用等の措置について配慮すること。
(3) 指導指示を行なうにあたっては、必要に応じて、事前に調査、検診命令等を行ない状況の把握に努めるとともに本人の能力、健康状態、世帯の事情、地域の慣行等について配慮し、指導指示が形式化することのないよう十分留意すること。
(4) 法第27条による指導指示は、口頭により直接当該被保護者(これによりがたい場合は、当該世帯主)に対して行なうことを原則とするが、これによって目的を達せられなかったとき、または目的を達せられないと認められるとき、及びその他の事由で口頭によりがたいときは、文書による指導指示を行なうこととする。当該被保護者が文書による指導指示に従わなかったときは、必要に応じて法第62条により所定の手続を経たうえ当該世帯又は当該被保護者に対する保護の変更、停止又は廃止を行なうこと。
3 保護停止中における助言指導等
保護停止中の被保護者についても、その生活状況の経過を把握し、必要と認められる場合は、生活の維持向上に関し適切な助言指導を行なう等、所要の措置を講ずること。
4 検診命令
(1) 検診を命ずべき場合
次のような場合には、要保護者の健康状態等を確認するため検診を受けるべき旨を命ずること。なお、この場合事前に嘱託医の意見を徴することとし、さらに必要と認められる場合には都道府県本庁(指定都市及び中核市にあっては市本庁とする。)の技術的な助言を求めること。
ア 保護の要否又は程度の決定にあたって稼働能力の有無につき疑いがあるとき。
イ 障害者加算その他の認定に関し検診が必要と認められるとき。
ウ 医療扶助の決定をしようとする場合に、要保護者の病状に疑いがあるとき。
エ 現に医療扶助による給付を受けている者につき当該給付の継続の必要性について疑いがあるとき。
オ 介護扶助の実施にあたり、医学的判断を要するとき。
カ 現に医療扶助の適用を受けている者の転退院の必要性の判定を行なうにつき、検診が必要と認められるとき。
キ 自立助長の観点から健康状態を確認する必要があるとき。
ク その他保護の決定実施上必要と認められるとき。
(2) 医師又は歯科医師の選定及び連絡
検診を行なう医師又は歯科医師は、要保護者の当該疾病につき、正確かつ適切な診断を行ない得ると判断されるものの中から指定すること。この場合、指定しようとする医師または歯科医師に対して、検診すべき要保護者の氏名、期日、場所、方法、報酬等をあらかじめ連絡し、その了解を得ること。了解を得た場合は検診書及び検診料請求書を発行して交付すること。
(3) 検診命令書の発行
(1)により検診を受けるべき旨を命じようとするときは、検診を受けるべき者に検診命令書を発行して行なうものとすること。
この場合、原則として検診命令書は検診を受ける者に直接交付するものとし、交付にあたっては、検診命令について詳細に説明するとともに、これに従わないときは、保護の申請が却下され、又は保護の変更、停止若しくは廃止をされることがある旨伝えること。
(4) 検診書の検討および受理