添付一覧
○生活保護法による保護の実施要領について
(昭和38年4月1日)
(社発第246号)
(各都道府県知事・各指定都市長あて厚生省社会局長通知)
標記については、保護基準の第19次改正に伴い、昭和36年4月1日厚生省発社第123号厚生事務次官通達の一部が改正され、本日別途通知されたところであるが、これに伴い昭和36年4月1日社発第188号本職通達についてもこれを全面改正して、新たに次のとおり定めることとしたから、了知のうえ、その取扱いに遺漏のないよう配意されたい。
なお、本通達中「保護の基準」とは、生活保護法による保護の基準(昭和38年4月厚生省告示第158号)をいい、また「次官通達」とは、昭和36年4月1日厚生省発社第123号厚生事務次官通達をいう。
おって今回の全面改正の要旨は、別添のとおりである。
また、本通知は地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の9第1項及び第3項の規定による処理基準であることを申し添える。
第1 世帯の認定
1 居住を一にしていないが、同一世帯に属していると判断すべき場合とは、次の場合をいうこと。
(1) 出かせぎしている場合
(2) 子が義務教育のため他の土地に寄宿している場合
(3) 夫婦間又は親の未成熟の子(中学3年以下の子をいう。以下同じ。)に対する関係(以下「生活保持義務関係」という。)にある者が就労のため他の土地に寄宿している場合
(4) 行商又は勤務等の関係上子を知人等にあずけ子の生活費を仕送りしている場合
(5) 病気治療のため病院等に入院又は入所(介護老人保健施設への入所に限る。2の(5)(ウを除く。)及び(6)並びに第2の1において同じ。)している場合
(6) 職業能力開発校等に入所している場合
(7) その他(1)から(6)までのいずれかと同様の状態にある場合
2 同一世帯に属していると認定されるものでも、次のいずれかに該当する場合は、世帯分離して差しつかえないこと。ただし、これらのうち(3)、(5)、(6)、(7)及び(8)については、特に機械的に取り扱うことなく、世帯の状況及び地域の生活実態を十分考慮したうえ実施すること。また、(6)又は(7)に該当する者と生活保持義務関係にある者が同一世帯内にある場合には、(6)又は(7)に該当する者とともに分離の対象として差しつかえない。
(1) 世帯員のうちに、稼働能力があるにもかかわらず収入を得るための努力をしない等保護の要件を欠く者があるが、他の世帯員が真にやむを得ない事情によって保護を要する状態にある場合
(2) 要保護者が自己に対し生活保持義務関係にある者がいない世帯に転入した場合であって、同一世帯として認定することが適当でないとき(直系血族の世帯に転入した場合にあっては、世帯分離を行わないとすれば、その世帯が要保護世帯となるときに限る。)
(3) 保護を要しない者が被保護世帯に当該世帯員の日常生活の世話を目的として転入した場合であって、同一世帯として認定することが適当でないとき(当該転入者がその世帯の世帯員のいずれに対しても生活保持義務関係にない場合に限る。)
(4) 次に掲げる場合であって、当該要保護者がいわゆる寝たきり老人、重度の心身障害者等で常時の介護又は監視を要する者であるとき(世帯分離を行なわないとすれば、その世帯が要保護世帯となる場合に限る。)
ア 要保護者が自己に対し生活保持義務関係にある者がいない世帯に属している場合
イ ア以外の場合であって、要保護者に対し生活保持義務関係にある者の収入が自己の一般生活費以下の場合
(5) 次に掲げる場合であって、その者を出身世帯員と同一世帯として認定することが出身世帯員の自立助長を著しく阻害すると認められるとき
ア 6か月以上の入院又は入所を要する患者等に対して出身世帯員のいずれもが生活保持義務関係にない場合(世帯分離を行なわないとすれば、その世帯が要保護世帯となる場合に限る。)
イ 出身世帯に自己に対し生活保持義務関係にある者が属している長期入院患者等であって、入院又は入所期間がすでに1年をこえ、かつ、引き続き長期間にわたり入院又は入所を要する場合(世帯分離を行なわないとすれば、その世帯が要保護世帯となる場合に限る。)
ウ ア又はイに該当することにより世帯分離された者が感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第37条の2若しくは精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第30条の公費負担を受けて引き続き入院している場合又は引き続きその更生を目的とする施設に入所している場合
エ イ又はウに該当することにより世帯分離された者が、退院又は退所後6か月以内に再入院若しくは再入所し、長期間にわたり入院若しくは入所を要する場合(世帯分離を行わないとすれば、その世帯が要保護世帯となる場合に限る。)
(6) (5)のア、イ及びエ以外の場合で、6か月以上入院又は入所を要する患者等の出身世帯員のうち入院患者等に対し生活保持義務関係にない者が収入を得ており、当該入院患者等と同一世帯として認定することがその者の自立助長を著しく阻害すると認められるとき(世帯分離を行なわないとすれば、その世帯が要保護世帯となる場合に限る。)
(7) 同一世帯員のいずれかに対し生活保持義務関係にない者が収入を得ている場合であって、結婚、転職等のため1年以内において自立し同一世帯に属さないようになると認められるとき
(8) 救護施設、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム若しくは介護老人福祉施設、障害者支援施設又は児童福祉施設(障害児入所施設に限る。)の入所者(障害者支援施設については、重度の障害を有するため入所期間の長期化が見込まれるものに限る。)と出身世帯員とを同一世帯として認定することが適当でない場合(保護を受けることとなる者とその者に対し生活保持義務関係にある者とが分離されることとなる場合については、世帯分離を行わないとすれば、その世帯が要保護世帯となるときに限る。)
3 高等学校(定時制及び通信制を含む。)、中等教育学校の後期課程、特別支援学校の高等部専攻科、高等専門学校、専修学校又は各種学校(以下「高等学校等」という。)に就学し卒業することが世帯の自立助長に効果的と認められる場合については、就学しながら、保護を受けることができるものとして差し支えないこと。
ただし、専修学校又は各種学校については、高等学校又は高等専門学校での就学に準ずるものと認められるものであって、その者がかつて高等学校等を修了したことのない場合であること。
4 次の各要件のいずれにも該当する者については、夜間大学等で就学しながら、保護を受けることができるものとして差しつかえないこと。
(1) その者の能力、経歴、健康状態、世帯の事情等を総合的に勘案の上、稼働能力を有する場合には十分それを活用していると認められること。
(2) 就学が世帯の自立助長に効果的であること。
5 次のいずれかに該当する場合は、世帯分離して差しつかえないこと。
(1) 保護開始時において、現に大学で就学している者が、その課程を修了するまでの間であって、その就学が特に世帯の自立助長に効果的であると認められる場合
(2) 次の貸与金、給付金等を受けて大学で就学する場合
ア 大学等における修学の支援に関する法律に基づく学資支給及び授業料等減免
イ 独立行政法人日本学生支援機構法による貸与金又は給付金
ウ 国の補助を受けて行われる就学資金に係る貸与金であってイに準ずるもの
エ 地方公共団体が実施する就学資金に係る貸与金又は給付金(ウに該当するものを除く。)であってイに準ずるもの
オ 大学が実施する貸与金、給付金等であって、保護の実施機関が適当と認めるもの
(3) 生業扶助の対象とならない専修学校又は各種学校で就学する場合であって、その就学が特に世帯の自立助長に効果的であると認められる場合
6 同一世帯に属していると認められるものであっても、次の者については別世帯として取り扱うこと。
中国残留邦人等の円滑な帰国の促進並びに永住帰国した中国残留邦人等及び特定配偶者の自立の支援に関する法律に定める特定中国残留邦人等(以下「特定中国残留邦人等」という。)及び同法に定める特定配偶者等(以下「特定配偶者等」という。)
第2 実施責任
1 居住地のない入院患者又は介護老人保健施設入所者については、原則としてその現在地である当該医療機関又は介護老人保健施設の所在地を所管する保護の実施機関が、保護の実施責任を負うものであるが、次の場合には、それぞれ当該各項によること。
(1) 保護を受けていなかった単身者で居住地のないものが入院又は入所した場合は、医療扶助若しくは介護扶助又は入院若しくは入所に伴なう生活扶助の適用について、保護の申請又は保護の申請権者からはじめて保護の実施機関に連絡のあった時点における、要保護者の現在地(ただし、当該単身者が急病により入院した場合であって、発病地を所管する保護の実施機関に対し申請又は連絡を行なうことができない事情にあったことが立証され、かつ、入院後直ちに保護の実施機関に申請又は連絡があった場合は、発病地とする。)を所管する保護の実施機関が、保護の実施責任を負うこと。
(2) 入院又は入所前の居住地に本人の家財等が保管され又は同地と同一管内地域に確実な帰来引受先がある場合であって、本人が退院又は退所後必ずその地域に居住することが予定されているときは、入院又は入所前の居住地を所管する保護の実施機関が、保護の実施責任(居住地保護の例による。)を負うこと。
(3) (2)のほか、入院若しくは入所と同時に居住地を失ない、又は入院若しくは入所後(入院又は入所後において住宅費が認定されていた場合には、当該住宅費が認定されなくなった日以後)3箇月以内に入院又は入所を原因として居住地を失なった者(入院又は入所後3箇月を経過した後において保護を申請した者であって、申請時において居住地がなかったものを除く。)については、入院又は入所前の居住地を所管する保護の実施機関が、保護の実施責任(現在地保護の例による。)を負うこと。
2 居住地のない被保護者又は要保護者について、保護の実施機関が、所管区域内に適当な指定医療機関がないか、あっても満床のため、所管区域外の指定医療機関に医療を委託した場合及び治療の必要上から所管区域外の指定医療機関に委託替えした場合(生活保護法による医療扶助を適用されている患者が自発的に転院転所をした場合であって、客観的に保護の実施機関において委託替えすべきであったと認められるときを含む。)には、当該医療の継続中従前の保護の実施機関が、なお保護の実施責任(1の(2)に該当する場合のほかは現在地保護の例による。)を負うこと。
3 居住地のない介護老人保健施設又は介護医療院入所者であって、法による介護扶助を適用されている被保護者が、当該保護の実施機関の所管区域外の指定介護機関に転院、転所をした場合には、当該介護扶助の継続中従前の保護の実施機関が、なお保護の実施責任(1の(2)に該当する場合のほかは現在地保護の例による。)を負うこと。
4 単身の被保護者(入所と同時に保護を開始される者を含む。)が国立保養所又は結核回復者の後保護を目的とする施設に入所した場合には、当該施設入所中の保護の実施責任は、入所前の居住地又は現在地により定めること。ただし、病院又は療養所から直ちに結核回復者の後保護を目的とする施設に入所した場合には、当該施設入所中の保護の実施責任は、病院又は療養所に入院又は入所中における保護の実施機関にあるものとすること。
5 保護施設及び日常生活支援住居施設に入所している者が病院、介護老人保健施設若しくは療養所に入院若しくは入所した場合又は保護施設を退所し、引き続き保護施設通所事業を利用した場合には、入院若しくは入所又は通所している期間中(保護施設通所事業については1年以内に限る。)、当該施設に入所していたときの保護の実施機関が引き続き保護の実施責任を負うこと。
6 被保護者が老人福祉法の措置により養護老人ホーム又は特別養護老人ホームに入所した場合は、その者の入所期間中、従前の保護の実施機関が従前どおり保護の実施責任を負うこと。
7 老人福祉法の措置により養護老人ホーム又は特別養護老人ホームに入所している者が病院、介護老人保健施設又は療養所に入院又は入所した場合で当該入所措置廃止と同時に保護を開始されるときのその者に対する保護の実施責任は、当該施設に入所中その者に対し保護の実施責任を負う保護の実施機関にあるものとすること。
8 保護を受けていない介護老人福祉施設入所者から保護の申請があった場合のその者に対する実施責任は、当該施設所在地を所管する保護の実施機関にあるものとすること。ただし、第1の規定により出身世帯と同一世帯と認定されるべき場合は、この限りでないこと。
9 被保護者が障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に規定する障害者支援施設に入所し、又は共同生活援助を行う住居に入居した場合は、その者の入所又は入居期間中、従前の保護の実施機関が従前どおり保護の実施責任を負うこと。
なお、当該者が入所又は入居前に属していた世帯が移転した場合でも、12の(1)の取扱いに拠らず、その世帯が従前居住していた地に居住地があるものと認定すること。
10 児童福祉施設(障害児入所施設に限る。)に入所している者に対する保護の実施責任は、入所前の居住地又は現在地により定めること。
11 法第18条第2項第1号の規定に基づく死亡した被保護者の葬祭を行なう者に対する葬祭扶助の実施責任は、死亡した被保護者に対する保護の実施機関が負うものとすること。
12 居住地又は現在地の認定は次によること。
(1) 第1の1によって同一世帯員と認定された者については、出身世帯の居住する地に居住地があるものと認定し、また、出身世帯が移転した場合には、その移転先を居住地と認定すること。
(2) (1)の場合において、出身世帯が分散している等のためその出身世帯の居住地が明らかでないときは、そのうち、生活の本拠として最も安定性のある地を居住地と認定すること。ただし、これによりがたいときは、出身世帯の生計中心者のいる地を居住地と認定すること。
なお、出身世帯員に安定した居住地がないときは、居住地がない者と認定すること。
(3) 刑務所又は少年院より釈放され、又は仮釈放された者について帰住地がある場合であって、帰住先が出身世帯であるときは、その帰住地を居住地とし、そうでないときは、その帰住地を現在地とみなすこと。
(4) 次に掲げる施設に収容されている者又は入所している者については、居住地がない者とみなし、原則として当該施設所在地を所管する保護の実施機関が保護の実施責任を負い、現在地保護を行うこと。
ただし、左記の施設入所者の多くが配偶者からの暴力の被害者である現状にかんがみ、当該被害者の立場に立って広域的な連携を円滑に進める観点から、都道府県内又は近隣都道府県間における自治体相互の取り決めを定めた場合には、それによることとして差しつかえない。
ア 「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」による女性自立支援施設又は女性相談支援センターの行う一時保護の施設
イ 「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」による女性相談支援センターが自ら行う又は委託して行う一時保護の施設
第3 資産の活用
資産保有の限度及び資産活用の具体的取扱いは、次に掲げるところによること。ただし、保有の限度を超える資産であっても、次官通知第3の3から5までのいずれかに該当するものは、保有を認めて差し支えない。
また、要保護者からの資産に関する申告は、資産の有無、程度、内訳等について行わせるものとし、上記の申告を書面で行わせること。なお、その際これらの事項を証する資料がある場合には、提出を求めること。
なお、不動産の保有状況については、定期的に申告を行わせるとともに、必要がある場合は更に訪問調査等を行うこと。
1 土地
(1) 宅地
次に掲げるものは、保有を認めること。ただし、処分価値が利用価値に比して著しく大きいと認められるものは、この限りでない。
また、要保護世帯向け不動産担保型生活資金(生活福祉資金貸付制度要綱に基づく「要保護世帯向け不動産担保型生活資金」をいう。以下同じ。)の利用が可能なものについては、当該貸付資金の利用によってこれを活用させること。
ア 当該世帯の居住の用に供される家屋に付属した土地で、建築基準法第52条及び第53条に規定する必要な面積のもの
イ 農業その他の事業の用に供される土地で、事業遂行上必要最小限度の面積のもの
(2) 田畑
次のいずれにも該当するものは、保有を認めること。ただし、処分価値が利用価値に比して著しく大きいと認められるものは、この限りでない。
ア 当該地域の農家の平均耕作面積、当該世帯の稼働人員等から判断して適当と認められるものであること。
イ 当該世帯の世帯員が現に耕作しているものであるか、又は当該世帯の世帯員若しくは当該世帯の世帯員となる者がおおむね3年以内に耕作することにより世帯の収入増加に著しく貢献するようなものであること。
(3) 山林及び原野
次のいずれにも該当するものは、保有を認めること。ただし、処分価値が利用価値に比して著しく大きいと認められるものは、この限りでない。
ア 事業用(植林事業を除く。)又は薪炭の自給用若しくは採草地用として必要なものであって、当該地域の低所得世帯との均衡を失することにならないと認められる面積のもの。
イ 当該世帯の世帯員が現に最低生活維持のために利用しているものであるか、又は当該世帯員若しくは当該世帯の世帯員となる者がおおむね3年以内に利用することにより世帯の収入増加に著しく貢献するようなものであること。
2 家屋
(1) 当該世帯の居住の用に供される家屋
保有を認めること。ただし、処分価値が利用価値に比して著しく大きいと認められるものは、この限りでない。
なお、保有を認められるものであっても、当該世帯の人員、構成等から判断して部屋数に余裕があると認められる場合は、間貸しにより活用させること。
また、要保護世帯向け不動産担保型生活資金の利用が可能なものについては、当該貸付資金の利用によってこれを活用させること。
(2) その他の家屋
ア 事業の用に供される家屋で、営業種別、地理的条件等から判断して、その家屋の保有が当該地域の低所得世帯との均衡を失することにならないと認められる規模のものは、保有を認めること。ただし、処分価値が利用価値に比して著しく大きいと認められるものは、この限りでない。
イ 貸家は、保有を認めないこと。ただし、当該世帯の要保護推定期間(おおむね3年以内とする。)における家賃の合計が売却代金よりも多いと認められる場合は、保有を認め、貸家として活用させること。
3 事業用品
次のいずれにも該当するものは、保有を認めること。ただし、処分価値が利用価値に比して著しく大きいと認められるものは、この限りでない。
(1) 事業用設備、事業用機械器具、商品、家畜であって、営業種目、地理的条件等から判断して、これらの物の保有が当該地域の低所得世帯との均衡を失することにならないと認められる程度のものであること。
(2) 当該世帯の世帯員が現に最低生活維持のために利用しているものであるか、又は当該世帯の世帯員若しくは当該世帯の世帯員となるものが、おおむね1年以内(事業用設備については3年以内)に利用することにより世帯の収入増加に著しく貢献するようなもの。
4 生活用品
(1) 家具什器及び衣類寝具
当該世帯の人員、構成等から判断して利用の必要があると認められる品目及び数量は、保有を認めること。
(2) 趣味装飾品
処分価値の小さいものは、保有を認めること。
(3) 貴金属及び債券
保有を認めないこと。
(4) その他の物品
ア 処分価値の小さいものは、保有を認めること。
イ ア以外の物品については、当該世帯の人員、構成等から判断して利用の必要があり、かつ、その保有を認めても当該地域の一般世帯との均衡を失することにならないと認められるものは、保有を認めること。
5 判断基準
1の(1)の当該世帯の居住の用に供される家屋に付属した土地、及び2の(1)の当該世帯の居住の用に供される家屋であって、当該ただし書きにいう処分価値が利用価値に比して著しく大きいと認められるか否かの判断が困難な場合は、原則として各実施機関が設置するケース診断会議等において、総合的に検討を行うこと。
第4 稼働能力の活用
1 稼働能力を活用しているか否かについては、①稼働能力があるか否か、②その具体的な稼働能力を前提として、その能力を活用する意思があるか否か、③実際に稼働能力を活用する就労の場を得ることができるか否か、により判断すること。
また、判断に当たっては、必要に応じてケース診断会議や稼働能力判定会議等を開催するなど、組織的な検討を行うこと。
2 稼働能力があるか否かの評価については、年齢や医学的な面からの評価だけではなく、その者の有している資格、生活歴・職歴等を把握・分析し、それらを客観的かつ総合的に勘案して行うこと。
3 稼働能力を活用する意思があるか否かの評価については、求職状況報告書等により本人に申告させるなど、その者の求職活動の実施状況を具体的に把握し、その者が2で評価した稼働能力を前提として真摯に求職活動を行ったかどうかを踏まえ行うこと。
4 就労の場を得ることができるか否かの評価については、2で評価した本人の稼働能力を前提として、地域における有効求人倍率や求人内容等の客観的な情報や、育児や介護の必要性などその者の就労を阻害する要因をふまえて行うこと。
第5 扶養義務の取扱い
1 扶養義務者の存否の確認について
(1) 保護の申請があったときは、要保護者の扶養義務者のうち次に掲げるものの存否をすみやかに確認すること。この場合には、要保護者よりの申告によるものとし、さらに必要があるときは、戸籍謄本等により確認すること。
ア 絶対的扶養義務者
イ アを除く3親等以内の親族のうち、実際に家庭裁判所において扶養義務創設の審判がなされる蓋然性が高い、次のような状況にある者(以下「相対的扶養義務者となり得る者」という。)
(ア) 現に当該要保護者又はその世帯に属する者を扶養している者
(イ) 過去に当該要保護者又はその世帯に属する者から扶養を受ける等特別の事情があり、かつ、扶養能力があると推測される者
(2) 扶養義務者の範囲は、次表のとおりであること。
親等表 (略)
(3) 扶養義務者としての「兄弟姉妹」とは、父母の一方のみを同じくするものを含むものであること。
2 扶養能力の調査について
(1) 1により把握された扶養義務者について、その職業、収入等につき要保護者その他により聴取する等の方法により、扶養の可能性を調査すること。なお、調査にあたっては、金銭的な扶養の可能性のほか、被保護者に対する定期的な訪問・架電、書簡のやり取り、一時的な子どもの預かり等(以下「精神的な支援」という。)の可能性についても確認するものとする。
(2) 次に掲げる者(以下「重点的扶養能力調査対象者」という。)については、更にアからエにより扶養能力を調査すること。
① 生活保持義務関係にある者
② ①以外の親子関係にある者のうち扶養の可能性が期待される者
③ ①、②以外の、過去に当該要保護者又はその世帯に属する者から扶養を受ける等特別の事情があり、かつ、扶養能力があると推測される者
ア 重点的扶養能力調査対象者が保護の実施機関の管内に居住する場合には、実地につき調査すること。
重点的扶養能力調査対象者が保護の実施機関の管外に居住する場合には、まずその者に書面により回答期限を付して照会することとし、期限までに回答がないときは、再度期限を付して照会を行うこととし、なお回答がないときは、その者の居住地を所管する保護の実施機関に書面をもって調査依頼を行うか、又はその居住地の市町村長に照会すること。ただし、重点的扶養能力調査対象者に対して直接照会することが真に適当でないと認められる場合には、まず関係機関等に対して照会を行い、なお扶養能力が明らかにならないときは、その者の居住地を所管する保護の実施機関に書面をもって調査依頼を行うか、又はその居住地の市町村長に照会すること。
なお、相当の扶養能力があると認められる場合には、管外であっても、できれば実地につき調査すること。
イ 調査は、重点的扶養能力調査対象者の世帯構成、職業、収入、課税所得及び社会保険の加入状況、要保護者についての税法上の扶養控除及び家族手当の受給並びに他の扶養履行の状況等について行うこと。
ウ アの調査依頼を受けた保護の実施機関は、原則として3週間以内に調査の上回答すること。
エ 調査に際しては、重点的扶養能力調査対象者に要保護者の生活困窮の実情をよく伝え、形式的にわたらないよう留意すること。
(3) 重点的扶養能力調査対象者以外の扶養義務者のうち扶養の可能性が期待される者については、次により扶養能力を調査すること。なお、実施機関の判断により、重点的扶養能力調査対象者に対する調査方法を援用しても差しつかえない。
ア 重点的扶養能力調査対象者以外の扶養義務者のうち扶養の可能性が期待される者への照会は、原則として書面により回答期限を付して行うこと。なお、実施機関の判断により電話連絡により行うこととしても差しつかえないが、不在等により連絡が取れない場合については、再度の照会又は書面による照会を行うこと。また、電話連絡により照会した場合については、その結果及び聴取した内容をケース記録に記載するとともに、金銭的な援助が得られる場合については、その援助の内容について書面での提出を求めること。
イ 実施機関において重点的扶養能力調査対象者以外の扶養義務者のうち扶養の可能性が期待される者に対して直接照会することが真に適当でないと認められる場合には、扶養の可能性が期待できないものとして取り扱うこと。
ウ 照会の際には要保護者の生活困窮の実情をよく伝えるとともに、重点的扶養能力調査対象者以外の扶養義務者のうち扶養の可能性が期待される者の世帯構成、職業、収入、課税所得及び社会保険の加入状況、要保護者についての税法上の扶養控除及び家族手当の受給並びに他の扶養履行の状況等の把握に努めること。
(4) 扶養の程度及び方法の認定は、実情に即し、実効のあがるように行うものとし、扶養義務者の了解を得られるよう努めること。この場合、扶養においては要保護者と扶養義務者との関係が一義的であるので、要保護者をして直接扶養義務者への依頼に努めさせるよう指導すること。
(5) 扶養の程度は、次の標準によること。
ア 生活保持義務関係(第1の2の(4)のイ、同(5)のイ若しくはエ又は同(8)に該当することによって世帯分離された者に対する生活保持義務関係を除く。)においては、扶養義務者の最低生活費を超過する部分
イ 第1の2の(4)のイ、同(5)のイ若しくはエ又は同(8)に該当することによって世帯分離された者に対する生活保持義務関係並びに直系血族(生活保持義務関係にある者を除く。)兄弟姉妹及び相対的扶養義務者の関係(以下「生活扶助義務関係」という。)においては、社会通念上それらの者にふさわしいと認められる程度の生活を損わない限度
(6) 扶養の程度の認定に当たっては、次の事項に留意すること。
ア 扶養義務者が生計中心者であるかどうか等その世帯内における地位等を考慮すること。
イ 重点的扶養能力調査対象者以外の者が要保護者を引き取ってすでになんらかの援助を行っていた場合は、その事情を考慮すること。
3 扶養義務者への通知について
保護の開始の申請をした要保護者について、保護の開始の決定をしようとする場合で、要保護者の扶養義務者に対する扶養能力の調査によって、法第77条第1項の規定による費用徴収を行う蓋然性が高いなど、明らかに扶養義務を履行することが可能と認められる扶養義務者が、民法に定める扶養を履行していない場合は、要保護者の氏名及び保護の開始の申請があった日を記載した書面を作成し、要保護者に保護の開始の決定をするまでの間に通知すること。
4 扶養の履行について
(1) 扶養能力の調査によって、要保護者の扶養義務者のうち、法第77条第1項の規定による費用徴収を行う蓋然性が高いなど、明らかに扶養義務を履行することが可能と認められる扶養義務者が、民法に定める扶養を履行していない場合は、書面により履行しない理由について報告を求めること。
(2) 重点的扶養能力調査対象者が十分な扶養能力があるにもかかわらず、正当な理由なくして扶養を拒み、他に円満な解決の途がない場合には、家庭裁判所に対する調停又は審判の申立てをも考慮すること。この場合において、要保護者にその申立てを行わせることが適当でないと判断されるときは、社会福祉主事が要保護者の委任を受けて申立ての代行を行ってもよいこと。なお、重点的扶養能力調査対象者以外の者について家庭裁判所に対して調停等を申立てることを妨げるものではない。
(3) (2)の場合において、必要があるときは、(2)の手続の進行と平行してとりあえず必要な保護を行ない、家庭裁判所の決定があった後、法第77条の規定により、扶養義務者から、扶養可能額の範囲内において、保護に要した費用を徴収する等の方法も考慮すること。
なお、法第77条の規定による費用徴収を行なうに当たっては、扶養権利者が保護を受けた当時において、当該扶養義務者が法律上の扶養義務者であり、かつ、扶養能力があったこと及び現在当該扶養義務者に費用償還能力があることを確認すること。
(4) 扶養義務者の扶養能力又は扶養の履行状況に変動があったと予想される場合は、すみやかに、扶養能力の調査を行い、必要に応じて(1)の報告を求めたうえ、再認定等適宜の処理を行うこと。
なお、重点的扶養能力調査対象者に係る扶養能力及び扶養の履行状況の調査は、年1回程度は行うこと。
第6 他法他施策の活用
次に掲げるものは、特にその活用を図ること。また、活用を図るべきものはこれらに限られるものではないので、これら以外のものの活用についても、留意すること。
1 身体障害者福祉法
2 児童福祉法
3 知的障害者福祉法
4 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律
5 老人福祉法
6 困難な問題を抱える女性への支援に関する法律
7 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律
8 災害救助法
9 農業保険法
10 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律
11 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律
12 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律
13 公害健康被害の補償等に関する法律
14 特別支援学校への就学奨励に関する法律
15 健康保険法
16 厚生年金保険法
17 恩給法
18 各共済組合法
19 雇用保険法
20 労働者災害補償保険法
21 石綿による健康被害の救済に関する法律
22 国民健康保険法
23 国民年金法
24 高齢者の医療の確保に関する法律
25 介護保険法
26 児童扶養手当法
27 特別児童扶養手当等の支給に関する法律
28 児童手当法
29 戦傷病者戦没者遺族等援護法
30 未帰還者留守家族等援護法
31 引揚者給付金等支給法
32 自動車損害賠償保障法
33 墓地、埋葬等に関する法律
34 母子及び父子並びに寡婦福祉法
35 母子保健法
36 学校保健安全法
37 生活福祉資金
38 中国残留邦人等の円滑な帰国の促進並びに永住帰国した中国残留邦人等及び特定配偶者の自立の支援に関する法律
39 職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律
40 年金生活者支援給付金の支給に関する法律
第7 最低生活費の認定
最低生活費の認定は、当該世帯が最低限度の生活を維持するために必要な需要を基とした費用を、必ず実地につき調査し、正確に行なわなければならないこと。
1 級地基準の適用
級地基準の適用は、原則として世帯の居住地又は現在地によるものであるが、2(一般生活費)に特別の定めがある場合のほか、次に掲げる場合は、例外的に、それぞれ当該各項によるものとすること。
(1) 葬祭扶助については、葬祭地の級地基準によること。
(2) 旅先等で急迫保護を必要とする場合は、当該要保護者の現在地の級地基準によること。
2 一般生活費
(1) 基準生活費
ア 傷病、障害等による療養のため外出が著しく困難であり、常時在宅せざるを得ない者又は乳児(1歳の誕生日の前日までの間にある児童をいう。)が世帯員にいる場合であって、保護の基準別表第1第1章の1の(1)に規定する地区別冬季加算額によりがたいときは、地区別冬季加算額に1.3を乗じて得た額(当該額に10円未満の端数が生じたときは、当該端数を10円に切り上げた額とする。)の範囲内において特別基準の設定があったものとして必要な額を認定して差し支えないこと。
なお、保護受給中の者について、冬季加算認定期間(各地区区分ごとに設定されている冬季加算を認定する期間をいう。)における月の中途で新たに冬季加算に係る特別基準を認定し、又は認定をやめるべき事由が生じたときは、それらの事由が生じた月の翌月から当該特別基準の認定変更を行うこと。
ただし、月の中途で保護開始となった場合又は保護廃止となった場合など、冬季加算について日割計算により認定する場合は、冬季加算に係る特別基準についても日割計算により認定を行うこと。
イ 同一の月において入院患者日用品費又は介護施設入所者基本生活費と居宅基準生活費をあわせて計上するとき(保護受給中の者で入院患者日用品費又は介護施設入所者基本生活費を算定されていたものが、月の中途で退院又は退所する場合をいう。)における居宅基準生活費は、入院患者日用品費又は介護施設入所者基本生活費が計上される期間を除いた日数に応じて計上すること。
なお、保護の基準別表第1第1章の3に掲げる施設に入所している者にかかる基準生活費と居宅基準生活費をあわせて計上するときも同様とすること。
ウ 同一の月において救護施設等基準生活費(保護の基準別表第1の第一章の2に掲げる施設に入所している者にかかる基準生活費をいう。以下同じ。)と居宅基準生活費をあわせて計上するときにおける居宅基準生活費は、救護施設等基準生活費が計上される期間の初日又は末日を含めた日数に応じて計上すること。
エ 救護施設等基準生活費は、当該施設に入所した日から退所の日まで計上すること。
ただし、居宅基準生活費を算定されている者が、「生活保護法による保護施設事務費及び委託事務費の支弁基準について」(平成20年3月31日厚生労働省発社援第0331011号厚生労働事務次官通知)に基づき救護施設等に一時入所する場合、当該一時入所期間中については、居宅基準生活費の変更は要しないものとすること。
オ イ、ウ及びエによるほか、出かせぎ等により1箇月をこえる期間他の世帯員と所在を異にする世帯員については、所在を異にするに至った日の翌日から再び所在を一にするに至った日の前日まで他の世帯員とは別に一般生活費を計上すること。
カ 入院患者に付添う出身世帯の世帯員が病院又は診療所において生活する場合であって、病院の管理運営方針等により病院給食又は寝具の貸与を受けなければならない事情があると認められるときは、その実費について基準生活費の算定上特別基準の設定があったものとして取り扱って差しつかえない。
なお、病院給食の実費を認める期間中の居宅基準生活費に係る第1類の経費については、保護の基準別表第1第1章の1の第1類の表に定める基準額(以下「第1類費基準額」という。)に0.25を乗じて得た額に次の表による年齢に応じた額を加えた額を計上すること。
病院給食の実費を認める期間中の居宅基準生活費に係る経過的加算額(月額)
1級地―1 |
1級地―2 |
2級地―1 |
2級地―2 |
3級地―1 |
3級地―2 |
|
0~2歳 |
2,330 |
860 |
0 |
0 |
0 |
0 |
3~5歳 |
3,540 |
2,020 |
450 |
0 |
0 |
0 |
6~11歳 |
4,940 |
3,210 |
1,590 |
0 |
0 |
0 |
12~17歳 |
6,440 |
4,230 |
2,560 |
890 |
0 |
0 |
18・19歳 |
6,020 |
4,910 |
3,110 |
510 |
0 |
0 |
20~40歳 |
5,610 |
4,420 |
2,740 |
160 |
0 |
0 |
41~59歳 |
5,150 |
4,180 |
2,310 |
0 |
0 |
0 |
60~64歳 |
4,680 |
3,530 |
1,890 |
0 |
0 |
0 |
65~69歳 |
6,420 |
5,540 |
2,000 |
360 |
0 |
0 |
70~74歳 |
4,560 |
2,890 |
1,240 |
0 |
0 |
0 |
75歳以上 |
5,070 |
4,540 |
2,760 |
0 |
0 |
0 |
キ 入院患者日用品費又は介護施設入所者基本生活費が計上される期間における期末一時扶助費又は各種加算については、その期間当該被保護者が所在する地の級地基準による額を適用すること。
ク オにより別に計上する一般生活費については、その者の所在する地の級地基準による額を適用すること。
ケ 救護施設等基準生活費(期末一時扶助費及び各種加算を含む。)は、当該施設所在地の級地基準により計上すること。ただし、2級地又は3級地に所在する保護施設に入所している者について、1級上の級地の基準を、特別基準の設定があったものとして適用して差しつかえないこと。
コ オにより他の世帯員と別に一般生活費を計上する場合、保護の基準別表第1第1章の1の第2類の表に定める額については、出身世帯員の人員の世帯に適用される額と世帯人員一人の世帯に適用される額とを計上すること。
なお、第7の2の(4)のイにより居宅基準生活費を計上する場合も同様とすること。
サ 特定中国残留邦人等及び特定配偶者等と同居している世帯に係る基準生活費は、当該特定中国残留邦人等及び特定配偶者等を同一世帯員とみなした場合に算出される当該基準生活費の額から当該特定中国残留邦人等及び特定配偶者等に係る基準生活費の額を減じた額とする。
(2) 加算
各加算の取扱いは、次によること。
ア 妊産婦加算
(ア) 妊産婦加算の計上は、届出によって行なうものとし、妊婦であることの認定及び妊娠月数の認定は、母子健康手帳又は保護の実施機関の指定する医師若しくは助産師の診断により行なうこと。
(イ) 保護受給中の者につき、妊娠月数が月の中途で変わる場合にはその翌月から妊婦加算の額の変更を行なうこと。
(ウ) 産婦加算を行なう期間は、専ら母乳によって乳児をほ育する産婦については6箇月間とし、その他の者については3箇月間とすること。
(エ) (ウ)の規定にかかわらず、保護受給中の者が出産したときは、当該月は妊婦加算を行ない、翌月から5箇月間(専ら母乳によって乳児をほ育する産婦以外の者については2箇月間)を限度として産婦加算を行なうこと。
(オ) 妊娠4箇月以後において人工妊娠中絶を行なった場合及び死産(妊娠4箇月以後の死児の出産)の場合には、3箇月間(保護受給中の者については翌月から2箇月間)産婦加算を行なうこと。
(カ) 妊婦又は産婦から保護の開始の申請があった場合には、申請月においても加算を行なうこと。
イ 削除
ウ 削除
エ 障害者加算
(ア) 障害の程度の判定は、原則として身体障害者手帳、国民年金証書、特別児童扶養手当証書又は福祉手当認定通知書により行うこと。
(イ) 身体障害者手帳、国民年金証書、特別児童扶養手当証書又は福祉手当認定通知書を所持していない者については、障害の程度の判定は、保護の実施機関の指定する医師の診断書その他障害の程度が確認できる書類に基づき行うこと。
(ウ) 保護受給中の者について、月の中途で新たに障害者加算を認定し、又はその認定を変更し若しくはやめるべき事由が生じたときは、それらの事由の生じた翌月から加算に関する最低生活費の認定変更を行なうこと。ただし、保護の基準別表第1第2章の2の(5)にいう障害者加算を行なうべき者については、その事由の生じた日から日割計算により加算の認定変更を行なって差しつかえないこと。
(エ) 障害者加算の認定を受けている者について、月の中途の入院入所又は退院退所に伴い、基準生活費の認定変更を行う場合は、これとあわせて加算額の認定変更も行うこと。
なお、居宅基準生活費と救護施設等基準生活費をあわせて計上する場合においては、救護施設等基準生活費が計上される間を除いた期間について在宅者にかかる加算の額を計上すること。
(オ) 介護人をつけるための費用が、保護の基準別表第1第2章の2の(5)によりがたい場合であって、特別児童扶養手当等の支給に関する法律施行令別表第1に定める程度の障害の状態にあり、日常起居動作に著しい障害のため真に他人による介護を要すると認められるときは、106,820円の範囲内において当該年度の特別基準の設定があったものとして必要な額を認定して差しつかえないこと。
オ 介護施設入所者加算
月の中途で新たに介護施設入所者加算を認定し、又はその認定をやめるべき事由が生じたときの加算の認定又は認定変更は、(4)に定める介護施設入所者基本生活費の算定の例によること。
カ 在宅患者加算
(ア) 給食のない病院等に入院又は入所している患者については、在宅療養者に準じて在宅患者加算を行なって差しつかえないこと。
(イ) 結核患者であって現に治療を受けていない場合における加算認定更新は、最長6か月の期間ごとに行なうこと。
(ウ) 保護受給中の者について、月の中途で新たに在宅患者加算を認定し、又はその認定をやめるべき事由が生じたときは、それらの事由の生じた月の翌月から加算の認定変更を行なうこと。
キ 放射線障害者加算
(ア) 保護受給中の者について、月の中途で新たに放射線障害者加算を認定し、又はその認定を変更すべき事由が生じたときは、それらの事由が生じた月の翌月から加算の認定変更を行なうこと。
(イ) 保護の基準別表第1第2章の5の(1)のイ及び(2)のイに規定する厚生労働大臣の認定については、次に掲げる事項を記載した申請書に、保護の実施機関の指定する医師の意見書及び当該負傷又は疾病に係る検査成績を記載した書類並びに当該世帯の保護適用状況を示す書類を添えて、厚生労働大臣に提出すること。
a 認定を受けようとする患者の氏名、性別、生年月日、居住地及び職業
b (1)のイ又は(2)のイの別
c 負傷又は疾病の名称
d 放射線を浴びたことに起因すると思われる自覚症状の経過
e 放射線を浴びたことに起因すると思われる負傷又は疾病について受けた医療の概要
f 放射線を浴びた当時の状況並びに浴びた放射線の種類及び量
ク 児童養育加算
(ア) 保護受給中の者について、月の中途で新たに児童養育加算(児童養育加算に係る経過的加算を含む)を認定し、又はその認定を変更し若しくはやめるべき事由が生じたときは、それらの事由の生じた月の翌月から加算の認定変更を行なうこと。
(イ) 児童(18歳に達する日以降の最初の3月31日までの間にあるものをいう。以下この(イ)において同じ。)の養育にあたる者が児童にも該当する場合は、当該養育にあたる児童についても加算を計上して差しつかえない。
ケ 介護保険料加算
(ア) 介護保険料加算は、普通徴収にかかる保険料の納期において、納付すべき実費を認定すること。
(イ) 月の中途で新たに介護保険料加算を認定し又は認定をやめるべき事由が生じたときであっても日割り計算を行う必要はないこと。
コ 母子加算
(ア) 保護の基準別表第1第2章の8に規定する母子加算に係る経過的加算について、同一の者が保護の基準別表第1第2章の8の(2)のア及びイの要件をすべて満たす場合は、いずれか高い加算の額を計上すること。
(イ) 保護の基準別表第1第2章の8の(3)にいう「これに準ずる状態にある」場合とは、次に掲げる場合のように、父母の一方又は両方が子の養育にあたることができない場合をいうものであること。
a 父母の一方又は両方が常時介護又は監護を要する身体障害者又は精神障害者である場合
b 父母の一方又は両方が引き続き1年以上にわたって入院中又は法令により拘禁されている場合
c 父母の一方又は両方がおおむね1年以上(船舶の沈没等死亡の原因となるべき危難に遭遇したときは、その危難が去った後おおむね3箇月以上)にわたって行方不明の場合又は父母の一方又は両方が子を引き続き1年以上遺棄していると認められる場合
d 父母の一方が配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律第10条第1項の規定による命令を受けた場合
(ウ) 保護受給中の者について、月の中途で新たに母子加算(母子加算に係る経過的加算を含む。以下同じ。)を認定し、又はその認定を変更し若しくはやめるべき事由が生じたときは、それらの事由の翌月から加算の認定変更を行うこと。
(エ) 母子加算の認定を受けている者について、月の中途の入院入所又は退院退所に伴い、基準生活費の認定変更を行う場合は、これとあわせて加算額の認定変更も行うこと。
なお、居宅基準生活費と救護施設等基準生活費をあわせて計上する場合においては、救護施設等基準生活費が計上される間を除いた期間について在宅者にかかる加算の額を計上すること。
(オ) 児童のみで構成されている世帯については、原則として母子加算の適用は認められないが、扶養義務者又は知人等による養育が全くなされないため、その世帯における兄又は姉等が弟妹等の養育に当たらなければならない場合は、その兄又は姉等につき母子加算を受ける者に準ずるものとして母子加算の額(ただし、加算を受ける者については、児童として取り扱わないこと。)を加算して差しつかえないこと。
(カ) 母子加算を受ける者が長期(おおむね1年以上)にわたって入院中の場合であっても、その者が精神疾患で入院している等のため全く児童の養育に当たることができないとき又は他に養育に当たるものがあるときのほかは、その者につき加算を適用して差しつかえないこと。
(3) 入院患者の基準生活費の算定について
ア 病院又は診療所において給食を受ける入院患者については、入院患者日用品費が計上される期間に限り基準生活費は算定しないこと。ただし、特例加算及び12月における期末一時扶助費は算定するものとすること。
イ 入院患者日用品費が算定される入院患者が病院又は診療所において給食を受けない場合の基準生活費の額は、第1類費基準額に0.75を乗じて得た額、保護の基準別表第1第1章の1の第2類の表に定める基準額に0.2を乗じて得た額、特例加算及び次の表による年齢に応じた額の合計額(12月においては、当該合計額に期末一時扶助費を加えた額)とすること。
入院患者日用品費が算定される入院患者が病院又は診療所において給食を受けない場合の基準生活費に係る経過的加算額(月額)
1級地―1 |
1級地―2 |
2級地―1 |
2級地―2 |
3級地―1 |
3級地―2 |
|
0~2歳 |
0 |
0 |
0 |
110 |
0 |
0 |
3~5歳 |
0 |
0 |
0 |
110 |
0 |
0 |
6~11歳 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
12~17歳 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
18・19歳 |
0 |
0 |
0 |
490 |
0 |
0 |
20~40歳 |
0 |
0 |
0 |
490 |
0 |
0 |
41~59歳 |
0 |
0 |
0 |
490 |
0 |
0 |
60~64歳 |
0 |
0 |
0 |
490 |
0 |
0 |
65~69歳 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
70~74歳 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
75歳以上 |
0 |
0 |
0 |
690 |
0 |
0 |