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○生活保護法による保護の実施要領について

(昭和38年4月1日)

(社発第246号)

(各都道府県知事・各指定都市長あて厚生省社会局長通知)

標記については、保護基準の第19次改正に伴い、昭和36年4月1日厚生省発社第123号厚生事務次官通達の一部が改正され、本日別途通知されたところであるが、これに伴い昭和36年4月1日社発第188号本職通達についてもこれを全面改正して、新たに次のとおり定めることとしたから、了知のうえ、その取扱いに遺漏のないよう配意されたい。

なお、本通達中「保護の基準」とは、生活保護法による保護の基準(昭和38年4月厚生省告示第158号)をいい、また「次官通達」とは、昭和36年4月1日厚生省発社第123号厚生事務次官通達をいう。

おって今回の全面改正の要旨は、別添のとおりである。

また、本通知は地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の9第1項及び第3項の規定による処理基準であることを申し添える。

第1 世帯の認定

1 居住を一にしていないが、同一世帯に属していると判断すべき場合とは、次の場合をいうこと。

(1) 出かせぎしている場合

(2) 子が義務教育のため他の土地に寄宿している場合

(3) 夫婦間又は親の未成熟の子(中学3年以下の子をいう。以下同じ。)に対する関係(以下「生活保持義務関係」という。)にある者が就労のため他の土地に寄宿している場合

(4) 行商又は勤務等の関係上子を知人等にあずけ子の生活費を仕送りしている場合

(5) 病気治療のため病院等に入院又は入所(介護老人保健施設への入所に限る。2の(5)(ウを除く。)及び(6)並びに第2の1において同じ。)している場合

(6) 職業能力開発校等に入所している場合

(7) その他(1)から(6)までのいずれかと同様の状態にある場合

2 同一世帯に属していると認定されるものでも、次のいずれかに該当する場合は、世帯分離して差しつかえないこと。ただし、これらのうち(3)、(5)、(6)、(7)及び(8)については、特に機械的に取り扱うことなく、世帯の状況及び地域の生活実態を十分考慮したうえ実施すること。また、(6)又は(7)に該当する者と生活保持義務関係にある者が同一世帯内にある場合には、(6)又は(7)に該当する者とともに分離の対象として差しつかえない。

(1) 世帯員のうちに、稼働能力があるにもかかわらず収入を得るための努力をしない等保護の要件を欠く者があるが、他の世帯員が真にやむを得ない事情によって保護を要する状態にある場合

(2) 要保護者が自己に対し生活保持義務関係にある者がいない世帯に転入した場合であって、同一世帯として認定することが適当でないとき(直系血族の世帯に転入した場合にあっては、世帯分離を行わないとすれば、その世帯が要保護世帯となるときに限る。)

(3) 保護を要しない者が被保護世帯に当該世帯員の日常生活の世話を目的として転入した場合であって、同一世帯として認定することが適当でないとき(当該転入者がその世帯の世帯員のいずれに対しても生活保持義務関係にない場合に限る。)

(4) 次に掲げる場合であって、当該要保護者がいわゆる寝たきり老人、重度の心身障害者等で常時の介護又は監視を要する者であるとき(世帯分離を行なわないとすれば、その世帯が要保護世帯となる場合に限る。)

ア 要保護者が自己に対し生活保持義務関係にある者がいない世帯に属している場合

イ ア以外の場合であって、要保護者に対し生活保持義務関係にある者の収入が自己の一般生活費以下の場合

(5) 次に掲げる場合であって、その者を出身世帯員と同一世帯として認定することが出身世帯員の自立助長を著しく阻害すると認められるとき

ア 6か月以上の入院又は入所を要する患者等に対して出身世帯員のいずれもが生活保持義務関係にない場合(世帯分離を行なわないとすれば、その世帯が要保護世帯となる場合に限る。)

イ 出身世帯に自己に対し生活保持義務関係にある者が属している長期入院患者等であって、入院又は入所期間がすでに1年をこえ、かつ、引き続き長期間にわたり入院又は入所を要する場合(世帯分離を行なわないとすれば、その世帯が要保護世帯となる場合に限る。)

ウ ア又はイに該当することにより世帯分離された者が感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第37条の2若しくは精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第30条の公費負担を受けて引き続き入院している場合又は引き続きその更生を目的とする施設に入所している場合

エ イ又はウに該当することにより世帯分離された者が、退院又は退所後6か月以内に再入院若しくは再入所し、長期間にわたり入院若しくは入所を要する場合(世帯分離を行わないとすれば、その世帯が要保護世帯となる場合に限る。)

(6) (5)のア、イ及びエ以外の場合で、6か月以上入院又は入所を要する患者等の出身世帯員のうち入院患者等に対し生活保持義務関係にない者が収入を得ており、当該入院患者等と同一世帯として認定することがその者の自立助長を著しく阻害すると認められるとき(世帯分離を行なわないとすれば、その世帯が要保護世帯となる場合に限る。)

(7) 同一世帯員のいずれかに対し生活保持義務関係にない者が収入を得ている場合であって、結婚、転職等のため1年以内において自立し同一世帯に属さないようになると認められるとき

(8) 救護施設、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム若しくは介護老人福祉施設、障害者支援施設又は児童福祉施設(障害児入所施設に限る。)の入所者(障害者支援施設については、重度の障害を有するため入所期間の長期化が見込まれるものに限る。)と出身世帯員とを同一世帯として認定することが適当でない場合(保護を受けることとなる者とその者に対し生活保持義務関係にある者とが分離されることとなる場合については、世帯分離を行わないとすれば、その世帯が要保護世帯となるときに限る。)

3 高等学校(定時制及び通信制を含む。)、中等教育学校の後期課程、特別支援学校の高等部専攻科、高等専門学校、専修学校又は各種学校(以下「高等学校等」という。)に就学し卒業することが世帯の自立助長に効果的と認められる場合については、就学しながら、保護を受けることができるものとして差し支えないこと。

ただし、専修学校又は各種学校については、高等学校又は高等専門学校での就学に準ずるものと認められるものであって、その者がかつて高等学校等を修了したことのない場合であること。

4 次の各要件のいずれにも該当する者については、夜間大学等で就学しながら、保護を受けることができるものとして差しつかえないこと。

(1) その者の能力、経歴、健康状態、世帯の事情等を総合的に勘案の上、稼働能力を有する場合には十分それを活用していると認められること。

(2) 就学が世帯の自立助長に効果的であること。

5 次のいずれかに該当する場合は、世帯分離して差しつかえないこと。

(1) 保護開始時において、現に大学で就学している者が、その課程を修了するまでの間であって、その就学が特に世帯の自立助長に効果的であると認められる場合

(2) 次の貸与金、給付金等を受けて大学で就学する場合

ア 大学等における修学の支援に関する法律に基づく学資支給及び授業料等減免

イ 独立行政法人日本学生支援機構法による貸与金又は給付金

ウ 国の補助を受けて行われる就学資金に係る貸与金であってイに準ずるもの

エ 地方公共団体が実施する就学資金に係る貸与金又は給付金(ウに該当するものを除く。)であってイに準ずるもの

オ 大学が実施する貸与金、給付金等であって、保護の実施機関が適当と認めるもの

(3) 生業扶助の対象とならない専修学校又は各種学校で就学する場合であって、その就学が特に世帯の自立助長に効果的であると認められる場合

6 同一世帯に属していると認められるものであっても、次の者については別世帯として取り扱うこと。

中国残留邦人等の円滑な帰国の促進並びに永住帰国した中国残留邦人等及び特定配偶者の自立の支援に関する法律に定める特定中国残留邦人等(以下「特定中国残留邦人等」という。)及び同法に定める特定配偶者等(以下「特定配偶者等」という。)

第2 実施責任

1 居住地のない入院患者又は介護老人保健施設入所者については、原則としてその現在地である当該医療機関又は介護老人保健施設の所在地を所管する保護の実施機関が、保護の実施責任を負うものであるが、次の場合には、それぞれ当該各項によること。

(1) 保護を受けていなかった単身者で居住地のないものが入院又は入所した場合は、医療扶助若しくは介護扶助又は入院若しくは入所に伴なう生活扶助の適用について、保護の申請又は保護の申請権者からはじめて保護の実施機関に連絡のあった時点における、要保護者の現在地(ただし、当該単身者が急病により入院した場合であって、発病地を所管する保護の実施機関に対し申請又は連絡を行なうことができない事情にあったことが立証され、かつ、入院後直ちに保護の実施機関に申請又は連絡があった場合は、発病地とする。)を所管する保護の実施機関が、保護の実施責任を負うこと。

(2) 入院又は入所前の居住地に本人の家財等が保管され又は同地と同一管内地域に確実な帰来引受先がある場合であって、本人が退院又は退所後必ずその地域に居住することが予定されているときは、入院又は入所前の居住地を所管する保護の実施機関が、保護の実施責任(居住地保護の例による。)を負うこと。

(3) (2)のほか、入院若しくは入所と同時に居住地を失ない、又は入院若しくは入所後(入院又は入所後において住宅費が認定されていた場合には、当該住宅費が認定されなくなった日以後)3箇月以内に入院又は入所を原因として居住地を失なった者(入院又は入所後3箇月を経過した後において保護を申請した者であって、申請時において居住地がなかったものを除く。)については、入院又は入所前の居住地を所管する保護の実施機関が、保護の実施責任(現在地保護の例による。)を負うこと。

2 居住地のない被保護者又は要保護者について、保護の実施機関が、所管区域内に適当な指定医療機関がないか、あっても満床のため、所管区域外の指定医療機関に医療を委託した場合及び治療の必要上から所管区域外の指定医療機関に委託替えした場合(生活保護法による医療扶助を適用されている患者が自発的に転院転所をした場合であって、客観的に保護の実施機関において委託替えすべきであったと認められるときを含む。)には、当該医療の継続中従前の保護の実施機関が、なお保護の実施責任(1の(2)に該当する場合のほかは現在地保護の例による。)を負うこと。

3 居住地のない介護老人保健施設又は介護療養型医療施設入所者であって、法による介護扶助を適用されている被保護者が、当該保護の実施機関の所管区域外の指定介護機関に転院、転所をした場合には、当該介護扶助の継続中従前の保護の実施機関が、なお保護の実施責任(1の(2)に該当する場合のほかは現在地保護の例による。)を負うこと。

4 単身の被保護者(入所と同時に保護を開始される者を含む。)が国立保養所又は結核回復者の後保護を目的とする施設に入所した場合には、当該施設入所中の保護の実施責任は、入所前の居住地又は現在地により定めること。ただし、病院又は療養所から直ちに結核回復者の後保護を目的とする施設に入所した場合には、当該施設入所中の保護の実施責任は、病院又は療養所に入院又は入所中における保護の実施機関にあるものとすること。

5 保護施設及び日常生活支援住居施設に入所している者が病院、介護老人保健施設若しくは療養所に入院若しくは入所した場合又は保護施設を退所し、引き続き保護施設通所事業を利用した場合には、入院若しくは入所又は通所している期間中(保護施設通所事業については1年以内に限る。)、当該施設に入所していたときの保護の実施機関が引き続き保護の実施責任を負うこと。

6 被保護者が老人福祉法の措置により養護老人ホーム又は特別養護老人ホームに入所した場合は、その者の入所期間中、従前の保護の実施機関が従前どおり保護の実施責任を負うこと。

7 老人福祉法の措置により養護老人ホーム又は特別養護老人ホームに入所している者が病院、介護老人保健施設又は療養所に入院又は入所した場合で当該入所措置廃止と同時に保護を開始されるときのその者に対する保護の実施責任は、当該施設に入所中その者に対し保護の実施責任を負う保護の実施機関にあるものとすること。

8 保護を受けていない介護老人福祉施設入所者から保護の申請があった場合のその者に対する実施責任は、当該施設所在地を所管する保護の実施機関にあるものとすること。ただし、第1の規定により出身世帯と同一世帯と認定されるべき場合は、この限りでないこと。

9 被保護者が障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に規定する障害者支援施設に入所し、又は共同生活援助を行う住居に入居した場合は、その者の入所又は入居期間中、従前の保護の実施機関が従前どおり保護の実施責任を負うこと。

なお、当該者が入所又は入居前に属していた世帯が移転した場合でも、12の(1)の取扱いに拠らず、その世帯が従前居住していた地に居住地があるものと認定すること。

10 児童福祉施設(障害児入所施設に限る。)に入所している者に対する保護の実施責任は、入所前の居住地又は現在地により定めること。

11 法第18条第2項第1号の規定に基づく死亡した被保護者の葬祭を行なう者に対する葬祭扶助の実施責任は、死亡した被保護者に対する保護の実施機関が負うものとすること。

12 居住地又は現在地の認定は次によること。

(1) 第1の1によって同一世帯員と認定された者については、出身世帯の居住する地に居住地があるものと認定し、また、出身世帯が移転した場合には、その移転先を居住地と認定すること。

(2) (1)の場合において、出身世帯が分散している等のためその出身世帯の居住地が明らかでないときは、そのうち、生活の本拠として最も安定性のある地を居住地と認定すること。ただし、これによりがたいときは、出身世帯の生計中心者のいる地を居住地と認定すること。

なお、出身世帯員に安定した居住地がないときは、居住地がない者と認定すること。

(3) 刑務所又は少年院より釈放され、又は仮釈放された者について帰住地がある場合であって、帰住先が出身世帯であるときは、その帰住地を居住地とし、そうでないときは、その帰住地を現在地とみなすこと。

(4) 次に掲げる施設に収容されている者又は入所している者については、居住地がない者とみなし、原則として当該施設所在地を所管する保護の実施機関が保護の実施責任を負い、現在地保護を行うこと。

ただし、左記の施設入所者の多くが配偶者からの暴力の被害者である現状にかんがみ、当該被害者の立場に立って広域的な連携を円滑に進める観点から、都道府県内又は近隣都道府県間における自治体相互の取り決めを定めた場合には、それによることとして差しつかえない。

ア 売春防止法による婦人保護施設又は婦人相談所の行う一時保護の施設

イ 「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」による婦人相談所が自ら行う又は委託して行う一時保護の施設

第3 資産の活用

資産保有の限度及び資産活用の具体的取扱いは、次に掲げるところによること。ただし、保有の限度を超える資産であっても、次官通知第3の3から5までのいずれかに該当するものは、保有を認めて差し支えない。

また、要保護者からの資産に関する申告は、資産の有無、程度、内訳等について行わせるものとし、上記の申告を書面で行わせること。なお、その際これらの事項を証する資料がある場合には、提出を求めること。

なお、不動産の保有状況については、定期的に申告を行わせるとともに、必要がある場合は更に訪問調査等を行うこと。

1 土地

(1) 宅地

次に掲げるものは、保有を認めること。ただし、処分価値が利用価値に比して著しく大きいと認められるものは、この限りでない。

また、要保護世帯向け不動産担保型生活資金(生活福祉資金貸付制度要綱に基づく「要保護世帯向け不動産担保型生活資金」をいう。以下同じ。)の利用が可能なものについては、当該貸付資金の利用によってこれを活用させること。

ア 当該世帯の居住の用に供される家屋に付属した土地で、建築基準法第52条及び第53条に規定する必要な面積のもの

イ 農業その他の事業の用に供される土地で、事業遂行上必要最小限度の面積のもの

(2) 田畑

次のいずれにも該当するものは、保有を認めること。ただし、処分価値が利用価値に比して著しく大きいと認められるものは、この限りでない。

ア 当該地域の農家の平均耕作面積、当該世帯の稼働人員等から判断して適当と認められるものであること。

イ 当該世帯の世帯員が現に耕作しているものであるか、又は当該世帯の世帯員若しくは当該世帯の世帯員となる者がおおむね3年以内に耕作することにより世帯の収入増加に著しく貢献するようなものであること。

(3) 山林及び原野

次のいずれにも該当するものは、保有を認めること。ただし、処分価値が利用価値に比して著しく大きいと認められるものは、この限りでない。

ア 事業用(植林事業を除く。)又は薪炭の自給用若しくは採草地用として必要なものであって、当該地域の低所得世帯との均衡を失することにならないと認められる面積のもの。

イ 当該世帯の世帯員が現に最低生活維持のために利用しているものであるか、又は当該世帯員若しくは当該世帯の世帯員となる者がおおむね3年以内に利用することにより世帯の収入増加に著しく貢献するようなものであること。

2 家屋

(1) 当該世帯の居住の用に供される家屋

保有を認めること。ただし、処分価値が利用価値に比して著しく大きいと認められるものは、この限りでない。

なお、保有を認められるものであっても、当該世帯の人員、構成等から判断して部屋数に余裕があると認められる場合は、間貸しにより活用させること。

また、要保護世帯向け不動産担保型生活資金の利用が可能なものについては、当該貸付資金の利用によってこれを活用させること。

(2) その他の家屋

ア 事業の用に供される家屋で、営業種別、地理的条件等から判断して、その家屋の保有が当該地域の低所得世帯との均衡を失することにならないと認められる規模のものは、保有を認めること。ただし、処分価値が利用価値に比して著しく大きいと認められるものは、この限りでない。

イ 貸家は、保有を認めないこと。ただし、当該世帯の要保護推定期間(おおむね3年以内とする。)における家賃の合計が売却代金よりも多いと認められる場合は、保有を認め、貸家として活用させること。

3 事業用品

次のいずれにも該当するものは、保有を認めること。ただし、処分価値が利用価値に比して著しく大きいと認められるものは、この限りでない。

(1) 事業用設備、事業用機械器具、商品、家畜であって、営業種目、地理的条件等から判断して、これらの物の保有が当該地域の低所得世帯との均衡を失することにならないと認められる程度のものであること。

(2) 当該世帯の世帯員が現に最低生活維持のために利用しているものであるか、又は当該世帯の世帯員若しくは当該世帯の世帯員となるものが、おおむね1年以内(事業用設備については3年以内)に利用することにより世帯の収入増加に著しく貢献するようなもの。

4 生活用品

(1) 家具什器及び衣類寝具

当該世帯の人員、構成等から判断して利用の必要があると認められる品目及び数量は、保有を認めること。

(2) 趣味装飾品

処分価値の小さいものは、保有を認めること。

(3) 貴金属及び債券

保有を認めないこと。

(4) その他の物品

ア 処分価値の小さいものは、保有を認めること。

イ ア以外の物品については、当該世帯の人員、構成等から判断して利用の必要があり、かつ、その保有を認めても当該地域の一般世帯との均衡を失することにならないと認められるものは、保有を認めること。

5 判断基準

1の(1)の当該世帯の居住の用に供される家屋に付属した土地、及び2の(1)の当該世帯の居住の用に供される家屋であって、当該ただし書きにいう処分価値が利用価値に比して著しく大きいと認められるか否かの判断が困難な場合は、原則として各実施機関が設置するケース診断会議等において、総合的に検討を行うこと。

第4 稼働能力の活用

1 稼働能力を活用しているか否かについては、①稼働能力があるか否か、②その具体的な稼働能力を前提として、その能力を活用する意思があるか否か、③実際に稼働能力を活用する就労の場を得ることができるか否か、により判断すること。

また、判断に当たっては、必要に応じてケース診断会議や稼働能力判定会議等を開催するなど、組織的な検討を行うこと。

2 稼働能力があるか否かの評価については、年齢や医学的な面からの評価だけではなく、その者の有している資格、生活歴・職歴等を把握・分析し、それらを客観的かつ総合的に勘案して行うこと。

3 稼働能力を活用する意思があるか否かの評価については、求職状況報告書等により本人に申告させるなど、その者の求職活動の実施状況を具体的に把握し、その者が2で評価した稼働能力を前提として真摯に求職活動を行ったかどうかを踏まえ行うこと。

4 就労の場を得ることができるか否かの評価については、2で評価した本人の稼働能力を前提として、地域における有効求人倍率や求人内容等の客観的な情報や、育児や介護の必要性などその者の就労を阻害する要因をふまえて行うこと。

第5 扶養義務の取扱い

1 扶養義務者の存否の確認について

(1) 保護の申請があったときは、要保護者の扶養義務者のうち次に掲げるものの存否をすみやかに確認すること。この場合には、要保護者よりの申告によるものとし、さらに必要があるときは、戸籍謄本等により確認すること。

ア 絶対的扶養義務者

イ アを除く3親等以内の親族のうち、実際に家庭裁判所において扶養義務創設の審判がなされる蓋然性が高い、次のような状況にある者(以下「相対的扶養義務者となり得る者」という。)

(ア) 現に当該要保護者又はその世帯に属する者を扶養している者

(イ) 過去に当該要保護者又はその世帯に属する者から扶養を受ける等特別の事情があり、かつ、扶養能力があると推測される者

(2) 扶養義務者の範囲は、次表のとおりであること。

親等表 (略)

(3) 扶養義務者としての「兄弟姉妹」とは、父母の一方のみを同じくするものを含むものであること。

2 扶養能力の調査について

(1) 1により把握された扶養義務者について、その職業、収入等につき要保護者その他により聴取する等の方法により、扶養の可能性を調査すること。なお、調査にあたっては、金銭的な扶養の可能性のほか、被保護者に対する定期的な訪問・架電、書簡のやり取り、一時的な子どもの預かり等(以下「精神的な支援」という。)の可能性についても確認するものとする。

(2) 次に掲げる者(以下「重点的扶養能力調査対象者」という。)については、更にアからエにより扶養能力を調査すること。

① 生活保持義務関係にある者

② ①以外の親子関係にある者のうち扶養の可能性が期待される者

③ ①、②以外の、過去に当該要保護者又はその世帯に属する者から扶養を受ける等特別の事情があり、かつ、扶養能力があると推測される者

ア 重点的扶養能力調査対象者が保護の実施機関の管内に居住する場合には、実地につき調査すること。

重点的扶養能力調査対象者が保護の実施機関の管外に居住する場合には、まずその者に書面により回答期限を付して照会することとし、期限までに回答がないときは、再度期限を付して照会を行うこととし、なお回答がないときは、その者の居住地を所管する保護の実施機関に書面をもって調査依頼を行うか、又はその居住地の市町村長に照会すること。ただし、重点的扶養能力調査対象者に対して直接照会することが真に適当でないと認められる場合には、まず関係機関等に対して照会を行い、なお扶養能力が明らかにならないときは、その者の居住地を所管する保護の実施機関に書面をもって調査依頼を行うか、又はその居住地の市町村長に照会すること。

なお、相当の扶養能力があると認められる場合には、管外であっても、できれば実地につき調査すること。

イ 調査は、重点的扶養能力調査対象者の世帯構成、職業、収入、課税所得及び社会保険の加入状況、要保護者についての税法上の扶養控除及び家族手当の受給並びに他の扶養履行の状況等について行うこと。

ウ アの調査依頼を受けた保護の実施機関は、原則として3週間以内に調査の上回答すること。

エ 調査に際しては、重点的扶養能力調査対象者に要保護者の生活困窮の実情をよく伝え、形式的にわたらないよう留意すること。

(3) 重点的扶養能力調査対象者以外の扶養義務者のうち扶養の可能性が期待される者については、次により扶養能力を調査すること。なお、実施機関の判断により、重点的扶養能力調査対象者に対する調査方法を援用しても差しつかえない。

ア 重点的扶養能力調査対象者以外の扶養義務者のうち扶養の可能性が期待される者への照会は、原則として書面により回答期限を付して行うこと。なお、実施機関の判断により電話連絡により行うこととしても差しつかえないが、不在等により連絡が取れない場合については、再度の照会又は書面による照会を行うこと。また、電話連絡により照会した場合については、その結果及び聴取した内容をケース記録に記載するとともに、金銭的な援助が得られる場合については、その援助の内容について書面での提出を求めること。

イ 実施機関において重点的扶養能力調査対象者以外の扶養義務者のうち扶養の可能性が期待される者に対して直接照会することが真に適当でないと認められる場合には、扶養の可能性が期待できないものとして取り扱うこと。

ウ 照会の際には要保護者の生活困窮の実情をよく伝えるとともに、重点的扶養能力調査対象者以外の扶養義務者のうち扶養の可能性が期待される者の世帯構成、職業、収入、課税所得及び社会保険の加入状況、要保護者についての税法上の扶養控除及び家族手当の受給並びに他の扶養履行の状況等の把握に努めること。

(4) 扶養の程度及び方法の認定は、実情に即し、実効のあがるように行うものとし、扶養義務者の了解を得られるよう努めること。この場合、扶養においては要保護者と扶養義務者との関係が一義的であるので、要保護者をして直接扶養義務者への依頼に努めさせるよう指導すること。

(5) 扶養の程度は、次の標準によること。

ア 生活保持義務関係(第1の2の(4)のイ、同(5)のイ若しくはエ又は同(8)に該当することによって世帯分離された者に対する生活保持義務関係を除く。)においては、扶養義務者の最低生活費を超過する部分

イ 第1の2の(4)のイ、同(5)のイ若しくはエ又は同(8)に該当することによって世帯分離された者に対する生活保持義務関係並びに直系血族(生活保持義務関係にある者を除く。)兄弟姉妹及び相対的扶養義務者の関係(以下「生活扶助義務関係」という。)においては、社会通念上それらの者にふさわしいと認められる程度の生活を損わない限度

(6) 扶養の程度の認定に当たっては、次の事項に留意すること。

ア 扶養義務者が生計中心者であるかどうか等その世帯内における地位等を考慮すること。

イ 重点的扶養能力調査対象者以外の者が要保護者を引き取ってすでになんらかの援助を行っていた場合は、その事情を考慮すること。

3 扶養義務者への通知について

保護の開始の申請をした要保護者について、保護の開始の決定をしようとする場合で、要保護者の扶養義務者に対する扶養能力の調査によって、法第77条第1項の規定による費用徴収を行う蓋然性が高いなど、明らかに扶養義務を履行することが可能と認められる扶養義務者が、民法に定める扶養を履行していない場合は、要保護者の氏名及び保護の開始の申請があった日を記載した書面を作成し、要保護者に保護の開始の決定をするまでの間に通知すること。

4 扶養の履行について

(1) 扶養能力の調査によって、要保護者の扶養義務者のうち、法第77条第1項の規定による費用徴収を行う蓋然性が高いなど、明らかに扶養義務を履行することが可能と認められる扶養義務者が、民法に定める扶養を履行していない場合は、書面により履行しない理由について報告を求めること。

(2) 重点的扶養能力調査対象者が十分な扶養能力があるにもかかわらず、正当な理由なくして扶養を拒み、他に円満な解決の途がない場合には、家庭裁判所に対する調停又は審判の申立てをも考慮すること。この場合において、要保護者にその申立てを行わせることが適当でないと判断されるときは、社会福祉主事が要保護者の委任を受けて申立ての代行を行ってもよいこと。なお、重点的扶養能力調査対象者以外の者について家庭裁判所に対して調停等を申立てることを妨げるものではない。

(3) (2)の場合において、必要があるときは、(2)の手続の進行と平行してとりあえず必要な保護を行ない、家庭裁判所の決定があった後、法第77条の規定により、扶養義務者から、扶養可能額の範囲内において、保護に要した費用を徴収する等の方法も考慮すること。

なお、法第77条の規定による費用徴収を行なうに当たっては、扶養権利者が保護を受けた当時において、当該扶養義務者が法律上の扶養義務者であり、かつ、扶養能力があったこと及び現在当該扶養義務者に費用償還能力があることを確認すること。

(4) 扶養義務者の扶養能力又は扶養の履行状況に変動があったと予想される場合は、すみやかに、扶養能力の調査を行い、必要に応じて(1)の報告を求めたうえ、再認定等適宜の処理を行うこと。

なお、重点的扶養能力調査対象者に係る扶養能力及び扶養の履行状況の調査は、年1回程度は行うこと。

第6 他法他施策の活用

次に掲げるものは、特にその活用を図ること。また、活用を図るべきものはこれらに限られるものではないので、これら以外のものの活用についても、留意すること。

1 身体障害者福祉法

2 児童福祉法

3 知的障害者福祉法

4 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律

5 老人福祉法

6 売春防止法

7 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律

8 災害救助法

9 農業保険法

10 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律

11 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律

12 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律

13 公害健康被害の補償等に関する法律

14 特別支援学校への就学奨励に関する法律

15 健康保険法

16 厚生年金保険法

17 恩給法

18 各共済組合法

19 雇用保険法

20 労働者災害補償保険法

21 石綿による健康被害の救済に関する法律

22 国民健康保険法

23 国民年金法

24 高齢者の医療の確保に関する法律

25 介護保険法

26 児童扶養手当法

27 特別児童扶養手当等の支給に関する法律

28 児童手当法

29 戦傷病者戦没者遺族等援護法

30 未帰還者留守家族等援護法

31 引揚者給付金等支給法

32 自動車損害賠償保障法

33 墓地、埋葬等に関する法律

34 母子及び父子並びに寡婦福祉法

35 母子保健法

36 学校保健安全法

37 生活福祉資金

38 中国残留邦人等の円滑な帰国の促進並びに永住帰国した中国残留邦人等及び特定配偶者の自立の支援に関する法律

39 職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律

40 年金生活者支援給付金の支給に関する法律

第7 最低生活費の認定

最低生活費の認定は、当該世帯が最低限度の生活を維持するために必要な需要を基とした費用を、必ず実地につき調査し、正確に行なわなければならないこと。

1 級地基準の適用

級地基準の適用は、原則として世帯の居住地又は現在地によるものであるが、2(一般生活費)に特別の定めがある場合のほか、次に掲げる場合は、例外的に、それぞれ当該各項によるものとすること。

(1) 葬祭扶助については、葬祭地の級地基準によること。

(2) 旅先等で急迫保護を必要とする場合は、当該要保護者の現在地の級地基準によること。

2 一般生活費

(1) 基準生活費

ア 傷病、障害等による療養のため外出が著しく困難であり、常時在宅せざるを得ない者又は乳児(1歳の誕生日の前日までの間にある児童をいう。)が世帯員にいる場合であって、保護の基準別表第1第1章の1の(1)に規定する地区別冬季加算額によりがたいときは、地区別冬季加算額に1.3を乗じて得た額(当該額に10円未満の端数が生じたときは、当該端数を10円に切り上げた額とする。)の範囲内において特別基準の設定があったものとして必要な額を認定して差し支えないこと。

なお、保護受給中の者について、冬季加算認定期間(各地区区分ごとに設定されている冬季加算を認定する期間をいう。)における月の中途で新たに冬季加算に係る特別基準を認定し、又は認定をやめるべき事由が生じたときは、それらの事由が生じた月の翌月から当該特別基準の認定変更を行うこと。

ただし、月の中途で保護開始となった場合又は保護廃止となった場合など、冬季加算について日割計算により認定する場合は、冬季加算に係る特別基準についても日割計算により認定を行うこと。

イ 同一の月において入院患者日用品費又は介護施設入所者基本生活費と居宅基準生活費をあわせて計上するとき(保護受給中の者で入院患者日用品費又は介護施設入所者基本生活費を算定されていたものが、月の中途で退院又は退所する場合をいう。)における居宅基準生活費は、入院患者日用品費又は介護施設入所者基本生活費が計上される期間を除いた日数に応じて計上すること。

なお、保護の基準別表第1第1章の3に掲げる施設に入所している者にかかる基準生活費と居宅基準生活費をあわせて計上するときも同様とすること。

ウ 同一の月において救護施設等基準生活費(保護の基準別表第1の第一章の2に掲げる施設に入所している者にかかる基準生活費をいう。以下同じ。)と居宅基準生活費をあわせて計上するときにおける居宅基準生活費は、救護施設等基準生活費が計上される期間の初日又は末日を含めた日数に応じて計上すること。

エ 救護施設等基準生活費は、当該施設に入所した日から退所の日まで計上すること。

ただし、居宅基準生活費を算定されている者が、「生活保護法による保護施設事務費及び委託事務費の支弁基準について」(平成20年3月31日厚生労働省発社援第0331011号厚生労働事務次官通知)に基づき救護施設等に一時入所する場合、当該一時入所期間中については、居宅基準生活費の変更は要しないものとすること。

オ イ、ウ及びエによるほか、出かせぎ等により1箇月をこえる期間他の世帯員と所在を異にする世帯員については、所在を異にするに至った日の翌日から再び所在を一にするに至った日の前日まで他の世帯員とは別に一般生活費を計上すること。

カ 入院患者に付添う出身世帯の世帯員が病院又は診療所において生活する場合であって、病院の管理運営方針等により病院給食又は寝具の貸与を受けなければならない事情があると認められるときは、その実費について基準生活費の算定上特別基準の設定があったものとして取り扱って差しつかえない。

なお、病院給食の実費を認める期間中の居宅基準生活費に係る第1類の経費については、保護の基準別表第1第1章の1の第1類の表に定める基準額②(以下「第1類費基準額②」という。)に0.25を乗じて得た額を計上すること。ただし、第1類費基準額②の額が同表中基準額①(以下「第1類費基準額①」という。)に0.855を乗じて得た額より少ない場合は、上記の「基準額②(以下「第1類費基準額②」という。)」を「第1類費基準額①に0.855を乗じて得た額」と読み替えるものとする。

キ 入院患者日用品費又は介護施設入所者基本生活費が計上される期間における期末一時扶助費又は各種加算については、その期間当該被保護者が所在する地の級地基準による額を適用すること。

ク オにより別に計上する一般生活費については、その者の所在する地の級地基準による額を適用すること。

ケ 救護施設等基準生活費(期末一時扶助費及び各種加算を含む。)は、当該施設所在地の級地基準により計上すること。ただし、2級地又は3級地に所在する保護施設に入所している者について、1級上の級地の基準を、特別基準の設定があったものとして適用して差しつかえないこと。

コ オにより他の世帯員と別に一般生活費を計上する場合、保護の基準別表第1第1章の1の第2類の表に定める額については、出身世帯員の人員の世帯に適用される額と世帯人員一人の世帯に適用される額とを計上すること。

なお、第7の2の(4)のイにより居宅基準生活費を計上する場合も同様とすること。

サ 特定中国残留邦人等及び特定配偶者等と同居している世帯に係る基準生活費は、当該特定中国残留邦人等及び特定配偶者等を同一世帯員とみなした場合に算出される当該基準生活費の額から当該特定中国残留邦人等及び特定配偶者等に係る基準生活費の額を減じた額とする。

(2) 加算

各加算の取扱いは、次によること。

ア 妊産婦加算

(ア) 妊産婦加算の計上は、届出によって行なうものとし、妊婦であることの認定及び妊娠月数の認定は、母子健康手帳又は保護の実施機関の指定する医師若しくは助産師の診断により行なうこと。

(イ) 保護受給中の者につき、妊娠月数が月の中途で変わる場合にはその翌月から妊婦加算の額の変更を行なうこと。

(ウ) 産婦加算を行なう期間は、専ら母乳によって乳児をほ育する産婦については6箇月間とし、その他の者については3箇月間とすること。

(エ) (ウ)の規定にかかわらず、保護受給中の者が出産したときは、当該月は妊婦加算を行ない、翌月から5箇月間(専ら母乳によって乳児をほ育する産婦以外の者については2箇月間)を限度として産婦加算を行なうこと。

(オ) 妊娠4箇月以後において人工妊娠中絶を行なった場合及び死産(妊娠4箇月以後の死児の出産)の場合には、3箇月間(保護受給中の者については翌月から2箇月間)産婦加算を行なうこと。

(カ) 妊婦又は産婦から保護の開始の申請があった場合には、申請月においても加算を行なうこと。

イ 削除

ウ 削除

エ 障害者加算

(ア) 障害の程度の判定は、原則として身体障害者手帳、国民年金証書、特別児童扶養手当証書又は福祉手当認定通知書により行うこと。

(イ) 身体障害者手帳、国民年金証書、特別児童扶養手当証書又は福祉手当認定通知書を所持していない者については、障害の程度の判定は、保護の実施機関の指定する医師の診断書その他障害の程度が確認できる書類に基づき行うこと。

(ウ) 保護受給中の者について、月の中途で新たに障害者加算を認定し、又はその認定を変更し若しくはやめるべき事由が生じたときは、それらの事由の生じた翌月から加算に関する最低生活費の認定変更を行なうこと。ただし、保護の基準別表第1第2章の2の(5)にいう障害者加算を行なうべき者については、その事由の生じた日から日割計算により加算の認定変更を行なって差しつかえないこと。

(エ) 障害者加算の認定を受けている者について、月の中途の入院入所又は退院退所に伴い、基準生活費の認定変更を行う場合は、これとあわせて加算額の認定変更も行うこと。

なお、居宅基準生活費と救護施設等基準生活費をあわせて計上する場合においては、救護施設等基準生活費が計上される間を除いた期間について在宅者にかかる加算の額を計上すること。

(オ) 介護人をつけるための費用が、保護の基準別表第1第2章の2の(5)によりがたい場合であって、特別児童扶養手当等の支給に関する法律施行令別表第1に定める程度の障害の状態にあり、日常起居動作に著しい障害のため真に他人による介護を要すると認められるときは、105,800円の範囲内において当該年度の特別基準の設定があったものとして必要な額を認定して差しつかえないこと。

オ 介護施設入所者加算

月の中途で新たに介護施設入所者加算を認定し、又はその認定をやめるべき事由が生じたときの加算の認定又は認定変更は、(4)に定める介護施設入所者基本生活費の算定の例によること。

カ 在宅患者加算

(ア) 給食のない病院等に入院又は入所している患者については、在宅療養者に準じて在宅患者加算を行なって差しつかえないこと。

(イ) 結核患者であって現に治療を受けていない場合における加算認定更新は、最長6か月の期間ごとに行なうこと。

(ウ) 保護受給中の者について、月の中途で新たに在宅患者加算を認定し、又はその認定をやめるべき事由が生じたときは、それらの事由の生じた月の翌月から加算の認定変更を行なうこと。

キ 放射線障害者加算

(ア) 保護受給中の者について、月の中途で新たに放射線障害者加算を認定し、又はその認定を変更すべき事由が生じたときは、それらの事由が生じた月の翌月から加算の認定変更を行なうこと。

(イ) 保護の基準別表第1第2章の5の(1)のイ及び(2)のイに規定する厚生労働大臣の認定については、次に掲げる事項を記載した申請書に、保護の実施機関の指定する医師の意見書及び当該負傷又は疾病に係る検査成績を記載した書類並びに当該世帯の保護適用状況を示す書類を添えて、厚生労働大臣に提出すること。

a 認定を受けようとする患者の氏名、性別、生年月日、居住地及び職業

b (1)のイ又は(2)のイの別

c 負傷又は疾病の名称

d 放射線を浴びたことに起因すると思われる自覚症状の経過

e 放射線を浴びたことに起因すると思われる負傷又は疾病について受けた医療の概要

f 放射線を浴びた当時の状況並びに浴びた放射線の種類及び量

ク 児童養育加算

(ア) 保護受給中の者について、月の中途で新たに児童養育加算(児童養育加算に係る経過的加算を含む)を認定し、又はその認定を変更し若しくはやめるべき事由が生じたときは、それらの事由の生じた月の翌月から加算の認定変更を行なうこと。

(イ) 児童(18歳に達する日以降の最初の3月31日までの間にあるものをいう。以下この(イ)において同じ。)の養育にあたる者が児童にも該当する場合は、当該養育にあたる児童についても加算を計上して差しつかえない。

ケ 介護保険料加算

(ア) 介護保険料加算は、普通徴収にかかる保険料の納期において、納付すべき実費を認定すること。

(イ) 月の中途で新たに介護保険料加算を認定し又は認定をやめるべき事由が生じたときであっても日割り計算を行う必要はないこと。

コ 母子加算

(ア) 保護の基準別表第1第2章の8に規定する母子加算に係る経過的加算について、同一の者が保護の基準別表第1第2章の8の(2)のア及びイの要件をすべて満たす場合は、いずれか高い加算の額を計上すること。

(イ) 保護の基準別表第1第2章の8の(3)にいう「これに準ずる状態にある」場合とは、次に掲げる場合のように、父母の一方又は両方が子の養育にあたることができない場合をいうものであること。

a 父母の一方又は両方が常時介護又は監護を要する身体障害者又は精神障害者である場合

b 父母の一方又は両方が引き続き1年以上にわたって入院中又は法令により拘禁されている場合

c 父母の一方又は両方がおおむね1年以上(船舶の沈没等死亡の原因となるべき危難に遭遇したときは、その危難が去った後おおむね3箇月以上)にわたって行方不明の場合又は父母の一方又は両方が子を引き続き1年以上遺棄していると認められる場合

d 父母の一方が配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律第10条第1項の規定による命令を受けた場合

(ウ) 保護受給中の者について、月の中途で新たに母子加算(母子加算に係る経過的加算を含む。以下同じ。)を認定し、又はその認定を変更し若しくはやめるべき事由が生じたときは、それらの事由の翌月から加算の認定変更を行うこと。

(エ) 母子加算の認定を受けている者について、月の中途の入院入所又は退院退所に伴い、基準生活費の認定変更を行う場合は、これとあわせて加算額の認定変更も行うこと。

なお、居宅基準生活費と救護施設等基準生活費をあわせて計上する場合においては、救護施設等基準生活費が計上される間を除いた期間について在宅者にかかる加算の額を計上すること。

(オ) 児童のみで構成されている世帯については、原則として母子加算の適用は認められないが、扶養義務者又は知人等による養育が全くなされないため、その世帯における兄又は姉等が弟妹等の養育に当たらなければならない場合は、その兄又は姉等につき母子加算を受ける者に準ずるものとして母子加算の額(ただし、加算を受ける者については、児童として取り扱わないこと。)を加算して差しつかえないこと。

(カ) 母子加算を受ける者が長期(おおむね1年以上)にわたって入院中の場合であっても、その者が精神疾患で入院している等のため全く児童の養育に当たることができないとき又は他に養育に当たるものがあるときのほかは、その者につき加算を適用して差しつかえないこと。

(3) 入院患者の基準生活費の算定について

ア 病院又は診療所(介護療養型医療施設を除く。以下同じ。)において給食を受ける入院患者については、入院患者日用品費が計上される期間に限り基準生活費は算定しないこと。ただし、12月における期末一時扶助費は算定するものとすること。

イ 入院患者日用品費が算定される入院患者が病院又は診療所において給食を受けない場合の基準生活費の額は、第1類費基準額②に0.75を乗じて得た額及び保護の基準別表第1第1章の1の第2類の表に定める基準額②(以下「第2類費基準額②」という。)に0.2を乗じて得た額の合計額(12月においては、当該合計額に期末一時扶助費を加えた額)とすること。ただし、第1類費基準額②に0.75を乗じて得た額と第2類費基準額②に0.2を乗じて得た額の合計額が、第1類費基準額①に0.75を乗じて得た額と同表中基準額①(以下「第2類費基準額①」という。)に0.2を乗じて得た額の合計額に0.855を乗じて得た額より少ない場合は、上記の「第1類費基準額②」を「第1類費基準額①に0.855を乗じて得た額」と、「基準額②(以下「第2類費基準額②」という。)」を「第2類費基準額①に0.855を乗じて得た額」と読み替えるものとする。

ウ 保護受給中の者について、入院期間が1か月未満であるため入院患者日用品費を算定しない場合は、一般生活費の認定の変更(各種加算の額の変更を含む。)を要しないものとすること。

エ 保護受給中の者が月の中途で入院し、入院患者日用品費を算定する場合でオ又はカに該当しないときは、入院患者日用品費は入院日の属する月の翌月の初日から計上すること。この場合、入院月の一般生活費の認定の変更(各種加算の額の変更を含む。)は要しないものとすること。

オ 保護の開始された日又は保護を停止されていて再び開始された日に入院している場合は、その日から入院患者日用品費を計上すること。

カ 救護施設、更生施設、養護老人ホーム若しくは特別養護老人ホーム又は介護施設に入所している者が入院した場合は、入院の日から入院患者日用品費を計上すること。

キ 入院患者日用品費が算定されている入院患者が退院又は死亡した場合は、入院患者日用品費は退院等の日まで計上することとし、一般生活費の認定の変更(各種加算の額の変更を含む。)を日割計算により行なうこと。ただし、退院と同時に介護施設に入所する場合はこの限りでない。

ク 入院患者日用品費は、原則として保護の基準別表第1第3章の1の(1)の基準額の全額(精神活動の減退等により日用品の需要の実態からその全額を必要としないもので、その状態が相当期間持続すると認められるものについては、基準額の85パーセントを標準として必要な額)を計上すること。

(4) 介護施設入所者基本生活費の算定について

ア 介護施設入所者基本生活費が算定される者については、基準生活費は算定しないこと。ただし、12月における期末一時扶助は算定するものとすること。

イ 保護受給中の者が月の中途で介護施設に入所したときは、介護施設入所者基本生活費は入所日の属する月の翌月(入所の日が月の初日のときは当該月)から計上すること。この場合、入所月の一般生活費の認定の変更(各種加算の額の変更を含む。)は要しないものとすること。なお、入院患者日用品費が算定されている入院患者等が医療機関等から介護施設に入所した場合も同様であること。

ウ 保護の開始された日又は保護を停止されていて再び開始された日に介護施設に入所している場合は、その日から介護施設入所者基本生活費を計上すること。

エ 救護施設、更生施設、養護老人ホーム又は特別養護老人ホームに入所している者が介護施設に入所した場合には、入所の日から介護施設入所者基本生活費を計上すること。

オ 介護施設入所者が退所又は死亡した場合は、介護施設入所者基本生活費は退所等の日まで計上することとし、一般生活費の認定の変更(各種加算の額の変更を含む。)を日割り計算により行うこと。ただし、介護施設を退所し、その日から病院又は診療所に入院する場合には、退所の日における介護施設入所者基本生活費については、計上を要しないこと。

カ 介護施設入所者基本生活費は、原則として保護の基準別表第1第3章の2の(1)の基準額の全額を計上すること。

(5) 被服費

ア 被保護者が次のいずれかに該当する場合であって、次官通知第7に定めるところによって判断したうえ、必要と認めるときは、それぞれに定める額の範囲内において特別基準の設定があったものとして被服費を計上して差し支えないこと。なお、(ア)から(ウ)までの場合においては、現物給付を原則とすること。

(ア) 次のいずれかに該当する場合において、現に使用する布団類が全くないか又は全く使用に堪えなくなり、代替のものがない場合

a 保護開始時

b 長期入院・入所後退院・退所した場合

c 犯罪等により被害を受け、又は同一世帯に属する者から暴力を受け、生命及び身体の安全の確保を図るために新たに借家等に転居する場合

区別

金額

再生によることができる場合

1組につき14,200円以内

新規に購入を必要とする場合

1組につき20,800円以内

(イ) 保護開始時及び長期入院・入所後退院・退所した場合において、現に着用する被服(平常着)が全くないか若しくは全く使用に堪えない状況にある者又は学童服について特別の需要があると実施機関が認めた者の場合 1人当たり 14,600円以内

(ウ) 災害にあい、災害救助法第4条の救助が行われない場合において、当該地方公共団体等の救護をもってしては災害によって失った最低生活に直接必要な布団類、日常着用する被服をまかなうことができない場合

世帯人員別

金額

夏季(4月から9月まで)

冬季(10月から3月まで)

2人まで

20,600円以内

37,000円以内

4人まで

39,300円以内

62,700円以内

5人

50,500円以内

79,700円以内

6人以上1人を増すごとに加算する額

7,300円以内

10,900円以内

(エ) 出産を控えて新生児のための寝具、産着、おむつ等を用意する必要がある場合 53,500円以内

(オ) 入院を必要とする者が入院に際し、寝巻又はこれに相当する被服が全くないか又は使用に堪えない場合 4,500円以内

(カ) 常時失禁状態にある患者(介護施設入所者を除く。)等が紙おむつ等を必要とする場合 月額 21,700円以内

イ 布団類支給にあたっては、その世帯の世帯人員、世帯構成、世帯員の健康状態、住居の広さ、布団類保有状況及び当該地域の低所得世帯との均衡を失しない限度において最低生活の維持に必要な支給量を決定すること。なお、その者が使用していたものを再生して使用させることを第一に考慮し、みだりに新製の布団類を支給することのないように留意すること。

(6) 家具什器費

ア 炊事用具、食器等の家具什器

被保護世帯が次の(ア)から(オ)までのいずれかの場合に該当し、次官通知第7に定めるところによって判断した結果、炊事用具、食器等の家具什器を必要とする状態にあると認められるときは、32,300円の範囲内において特別基準の設定があったものとして家具什器(イ及びウを除く。)を支給して差し支えないこと。

なお、真にやむを得ない事情により、この額により難いと認められるときは、51,500円の範囲内において、特別基準の設定があったものとして家具什器(イ及びウを除く。)を支給して差し支えないこと。

(ア) 保護開始時において、最低生活に直接必要な家具什器の持合せがないとき。

(イ) 単身の被保護世帯であり、当該単身者が長期入院・入所後に退院・退所し、新たに単身で居住を始める場合において、最低生活に直接必要な家具什器の持合せがないとき。

(ウ) 災害にあい、災害救助法第4条の救助が行われない場合において、当該地方公共団体等の救護をもってしては、災害により失った最低生活に直接必要な家具什器をまかなうことができないとき。

(エ) 転居の場合であって、新旧住居の設備の相異により、現に所有している最低生活に直接必要な家具什器を使用することができず、最低生活に直接必要な家具什器を補填しなければならない事情が認められるとき。

(オ) 犯罪等により被害を受け、又は同一世帯に属する者から暴力を受け、生命及び身体の安全の確保を図るために新たに借家等に転居する場合において、最低生活に直接必要な家具什器の持合せがないとき。

イ 暖房器具

被保護世帯がアの(ア)から(オ)までのいずれかに該当した場合であって、それ以降、初めて到来する冬季加算が認定される月において、最低生活に直接必要な暖房器具の持ち合わせがないときは、暖房器具の購入に要する費用について、24,000円の範囲内において、特別基準の設定があったものとして必要な額を認定して差し支えないこと。

なお、被保護世帯が居住する地域の気候条件や住宅設備の状況等により、FF式又は煙突式等の暖房器具を購入する必要がある場合など、暖房器具の購入に要する費用が24,000円をこえることが、真にやむを得ないと実施機関が認めたときは、暖房器具の購入に要する費用について、62,000円の範囲内において、特別基準の設定があったものとして必要な額を認定して差し支えないこと。

ウ 冷房器具

被保護世帯がアの(ア)から(オ)までのいずれかに該当し、当該被保護世帯に属する被保護者に熱中症予防が特に必要とされる者がいる場合であって、それ以降、初めて到来する熱中症予防が必要となる時期を迎えるに当たり、最低生活に直接必要な冷房器具の持ち合わせがなく、真にやむを得ないと実施機関が認めたときは、冷房器具の購入に要する費用について、62,000円の範囲内において、特別基準の設定があったものとして必要な額を認定して差し支えないこと。

エ 支給方法

アからウまでの場合においては、収入充当順位にかかわりなく、現物給付の方法によること。ただし、現物給付の方法によることが適当でないと認められるときは、金銭給付の方法によっても差し支えないこと。

なお、これらの家具什器の購入に際して設置費用が別途必要な場合であって、真にやむを得ないと実施機関が認めたときは、アからウまでとは別に特別基準の設定があったものとして、当該家具什器の設置に必要な最小限度の額を設定して差し支えないこと。

(7) 移送費

ア 移送は、次のいずれかに該当する場合において、他に経費を支出する方法がないときに乗車船券を交付する等なるべく現物給付の方法によって行なうこととし、移送費の範囲は、(ケ)又は(サ)において別に定めるもののほか、必要最小限度の交通費、宿泊料及び飲食物費の額とすること。この場合、(ア)若しくは(イ)に該当する場合であって実施機関の委託により使役する者があるとき、(ウ)、(オ)、(コ)若しくは(シ)に該当する場合であって付添者を必要とするとき又は(エ)に該当する場合の被扶養者にあっては、その者に要する交通費、宿泊料及び飲食物費並びに日当(実施機関の委託により使役する者について必要がある場合に限る。)についても同様の取扱いとすること。

(ア) 生計の途がなく、かつ、一定の住居を持たない者で、野外において生活している者、外国からの帰還者等やむを得ない状態にあると認められる要保護者を扶養義務者その他の確実な引取り先に移送する必要があると認められる場合

(イ) 要保護者を保護の必要上遠隔地の保護施設等へ移送する場合

(ウ) 被保護者が実施機関の指示又は指導をうけて他法による給付の手続、施設入所手続、就職手続及び検診等のため当該施設等へ出向いた場合

(エ) 被保護者が実施機関の指示又は指導をうけてその者の属する世帯の世帯員として認定すべき被扶養者を引取りに行く場合

(オ) 被保護者が障害者支援施設、公共職業能力開発施設等に入所し若しくはこれらの施設から退所する場合又はこれらの施設に通所する場合であって、身体的条件、地理的条件又は交通事情により、交通費を伴う方法以外には通所する方法が全くないか又はきわめて困難である場合

(カ) (オ)に掲げる施設等に入所している被保護者が当該施設の長の指導により出身世帯に一時帰省する場合又はこれらの施設に入所している者の出身世帯員(被保護世帯に限る。)がやむを得ない事情のため当該施設の長の要請により当該施設へ行く場合

(キ) 被保護者が実施機関の指示又は指導をうけて求職又は施設利用のため熱心かつ誠実に努力した場合

(ク) 被保護世帯員のいずれかが入院したため当該患者の移送以外に実施機関が認める最小限度の連絡を要する場合

(ケ) 被保護者(その委託による代理人を含む。)が、当該被保護者の配偶者、3親等以内の血族若しくは2親等以内の姻族であって他に引取人のない遺体、遺骨を引取りに行く場合又はそれらの者の遺骨を納めに行く場合で実施機関がやむを得ないと認めたとき。

この場合、遺体の運搬費を要するときは、その実費を認定して差しつかえない。

(コ) 被保護者が、配偶者、3親等以内の血族若しくは2親等以内の姻族が危篤に陥っているためそのもとへ行く場合又はそれらの者の葬儀に参加する場合で実施機関がやむを得ないと認めたとき。

(サ) 被保護者が転居する場合又は住居を失なった被保護者が家財道具を他に保管する場合及びその家財道具を引き取る場合で、真にやむを得ないとき。

この場合、荷造費及び運搬費を要するときは、実施機関が事前に承認した必要最小限度の額を認定して差しつかえない。

(シ) 被保護者が出産又は妊婦健診(妊婦に対する健康診査についての望ましい基準(平成27年3月31日厚生労働省告示第226号)に基づき公費負担の限度となっている回数に限る)のため病院、助産所等へ入院、入所し、又は退院、退所、通院又は通所する場合

(ス) 刑務所、少年院等に入所している者の出身世帯員(被保護世帯に限る。)がやむを得ない事情のため当該施設の長の要請により当該施設へ行く場合

(セ) アルコールやその他薬物などの依存症若しくはその既往のある者又はその同一世帯員が、病状改善や社会復帰の促進を図ることを目的とする事業や団体の活動を継続的に活用する場合若しくは当該事業や団体の実施する2泊3日以内の宿泊研修(原則として当該都道府県内に限る。)に参加する場合又は精神保健福祉センター、保健所等において精神保健福祉業務として行われる社会復帰相談指導事業等の対象者若しくはその同一世帯員が、その事業を継続的に活用する場合であって、それがその世帯の自立のため必要かつ有効であると認められるとき。

(ソ) 被保護者が子の養育費の支払いを求める調停又は審判のため家庭裁判所に出頭する場合

(タ) 被保護者が実施機関の被保護者健康管理支援事業に基づく受診勧奨による、健診(例えば、健康増進法に基づく健康診査)又は保健指導のため通院又は通所する場合

イ 生計の途がなく、かつ、一定の住居を持たない者で、野外において生活している者等に対し移送費を支給する場合には、面接、調査、照会等により知った事情を、できるだけ詳細に、保護台帳、ケース記録等に記入し、警察官の証明書等を参考書類として添付する等、保護の経緯を明らかにしておくように留意し、その保護台帳の写を目的地の保護の実施機関にすみやかに送付すること。

(8) 入学準備金

ア 小学校、義務教育学校の前期課程若しくは特別支援学校の小学部(以下「小学校等」という。)又は中学校、義務教育学校の後期課程、中等教育学校の前期課程(保護の実施機関が就学を認めた場合に限る。)若しくは特別支援学校の中学部(以下「中学校等」という。)に入学する児童又は生徒が、入学の際、入学準備のための費用を必要とする場合は、それぞれ次の額の範囲内において特別基準の設定があったものとして必要な額を認定して差し支えないこと。この場合、原則として金銭給付によることとするが、現物給付によることが適当であると認められるときは現物給付によることとして差し支えないこと。

小学校等入学時 64,300円以内

中学校等入学時 81,000円以内

イ 児童又は生徒が次の(ア)から(ウ)までのいずれかに該当した場合であって、就学期間中に学生服、ランドセル及び通学用かばん(以下このイにおいて「制服等」という。)の買い換えが必要であると保護の実施機関が認めた場合は、上記アに規定する額の範囲内において特別基準の設定があったものとして必要な額を認定して差し支えないこと。

(ア) 制服等が成長に伴って使用に耐えない状態にあると認められる場合

(イ) 制服等が通常の使用による損耗により使用に耐えない状態にあると認められる場合

(ウ) 制服等が災害等により消失又は使用に耐えない状態にあると認められる場合

(9) 就労活動促進費

ア 次の(ア)及び(イ)のいずれにも該当する場合については、イに定める額を認定して差し支えない。

(ア) 早期に就労による保護脱却が可能と実施機関が判断する者

(イ) 次に掲げる活動要件をいずれも満たすこと。

a 「就労可能な被保護者の就労・自立支援の基本方針について」(平成25年5月16日社援発0516第18号厚生労働省社会・援護局長通知)に定める「自立活動確認書」(以下「確認書」という。)に基づき、以下のbからdに定める求職活動を行っていること。なお、bからdに定める活動要件を超える活動内容を確認書で計画している場合には、実際の求職活動がbからdの要件を満たしていれば支給要件を満たしているものとして取り扱って差し支えない。

b 原則、月1回以上求職先の面接を受けている又は月3回以上求職先に応募していること(地域の求人状況等のやむを得ない事情により回数を満たせない場合はこの限りでない。)。

c 原則、月1回以上保護の実施機関の面接を受けること(保護の実施機関との面接予定日に求職先の面接を受けることとなった場合など、求職活動上やむを得ない理由で保護の実施機関の面接を受けることができない場合はこの限りでない。)。

d 確認書に基づく求職活動として、(a)から(c)までを組み合わせて原則週1回以上の活動を月6回以上行っていること(求職活動の要件を満たすセミナーの開催頻度が少ない等やむを得ない事情により回数を満たせない場合はこの限りでない。)。

(a) 公共職業安定所における求職活動

公共職業安定所への求職申し込みを行ったうえで、以下の活動を行うこと。なお、1日に複数回行った場合でも1回として算定すること。

・ 公共職業安定所での職業相談及び職業紹介

(紹介状が発行されているにもかかわらず、正当な理由なく書類を提出しなかった場合や面接を受けなかった場合は、求職活動は行わなかったものとして取り扱う。)

・ 求職活動で必要な履歴書、職務経歴書の作り方や面接の受け方等をはじめ各種のセミナー等への参加。なお、公共職業安定所以外の機関が実施するセミナーは保護の実施機関が事前に認めたものに限ることとする。(同内容のセミナーは1回に限り対象とする。)

(b) 「平成17年度における自立支援プログラムの基本方針について」(平成17年3月31日社援発第0331003号厚生労働省社会・援護局長通知)に定める就労支援プログラムに基づき、保護の実施機関が行う就労支援への参加(本支援の中で(a)の活動を行った場合には当該活動は重複算定しない。)

(c) 「生活保護受給者等就労自立促進事業の実施について」(平成25年3月29日雇児発0329第30号、社援発0329第77号「生活保護受給者等就労自立促進事業の実施について」別添「生活保護受給者等就労自立促進事業実施要領」)に基づく生活保護受給者等就労自立促進事業への参加

イ 就労活動促進費は、月額5,000円とする。

ウ 支給対象期間は、原則6か月以内とする。ただし、保護の実施機関が必要と認めた場合には、3か月以内の支給対象期間を2回まで(最長1年まで)延長できるものとする。

エ 支給は、本人の申請に基づき、局第7の2の(9)のアに定める要件を確認の上、行うこと。

オ 支給を開始した者については、「就労可能な被保護者の就労・自立支援の基本方針について」(平成25年5月16日社援発0516第18号厚生労働省社会・援護局長通知)に定める「求職活動状況・収入申告書」により毎月、求職活動の実績について報告させること。また、アの(イ)のCにおける原則月1回以上の面接においても活動状況を確認すること。

カ 支給にあたっては、支給前1か月間の活動実績を確認することとし、原則としてその活動実績が支給要件を満たす場合に限り、支給すること。

キ 就労が決定した場合には、就労が決定した月まで支給対象とする。

ク 過去に支給した者は対象としない。ただし、保護廃止後、再度、保護開始となった場合であって、支給から5年が経過している場合にはこの限りでない。

(10) その他

ア 配電設備費

(ア) 被保護者が現に居住する家屋に配電設備が全くない場合には、保護の基準別表第3の1の補修費等住宅維持費の額の範囲内において、特別基準の設定があったものとして、配電設備の新設に必要な額を認定して差しつかえないこと。

なお、真にやむを得ない事情により、この額により難いと認められるときは、保護の基準別表第3の1の基準額に1.5を乗じて得た額の範囲内において、特別基準の設定があったものとして、必要な額を認定して差しつかえない。

(イ) 設備に要する経費の減免又は扶養義務者ないしは地域社会の援助等を期待できるものについては、極力これを受けるよう指導すること。

イ 水道、井戸又は下水道設備費

(ア) 被保護者が最低限度の生活の維持のために水道若しくは井戸を設備することが真に必要であると認められ、かつ、その地域の殆んどの世帯が水道若しくは井戸を設けているとき又は被保護者が市街地の中心部等に居住している場合であって、現在の下水(屎尿を除く。)処理の方法では当該世帯又は近隣の衛生を著しく損うことが認められ、かつ、下水道設備によるほか適当な処理方法がないときに限り、保護の基準別表第3の1補修費等住宅維持費の額の範囲内において特別基準の設定があったものとして水道、井戸又は下水道設備の新設に必要な額を認定してさしつかえない。

なお、真にやむを得ない事情により、この額により難いと認められるときは、保護の基準別表第3の1の基準額に1.5を乗じて得た額の範囲内において、特別基準の設定があったものとして、必要な額を認定して差しつかえない。

また、水道又は井戸の設備に係る特別基準の設定に当っては水道又は井戸の設備費のそれぞれを比較して廉価なものを設備すること。

(イ) 設備の規模は、近隣との均衡等を十分検討したうえで、最低限度の生活にふさわしい程度で決定すること。

(ウ) 設備に要する経費の減免又は扶養義務者ないしは地域社会の援助等を期待できるものについては極力これを受けるように指導すること。

ウ 液化石油ガス設備費

(ア) 被保護者が最低限度の生活の維持のためにプロパンガス等液化石油ガス設備を設けることが真に必要であると認められ、かつ、その設置が近隣との均衡を失することにならないと認められる場合に限り、保護の基準別表第3の1の補修費等住宅維持費の額の範囲内において、特別基準の設定があったものとして液化石油ガス設備の新設に必要な額を認定して差しつかえないこと。

なお、真にやむを得ない事情により、この額により難いと認められるときは、保護の基準別表第3の1の基準額に1.5を乗じて得た額の範囲内において、特別基準の設定があったものとして、必要な額を認定して差しつかえない。

(イ) 設備の規模は、近隣との均衡等を十分検討したうえで、最低限度の生活にふさわしい程度で決定すること。

(ウ) 設備に要する経費の減免又は扶養義務者ないしは地域社会の援助等を期待できるものについては、極力これを受けるように指導すること。

エ 家財保管料

医療機関、介護老人保健施設、職業能力開発校、社会福祉施設、無料低額宿泊所、日常生活支援住居施設等に入院又は入所している単身の被保護者でやむを得ない事情により、家財を自家以外の場所に保管してもらう必要があり、かつそのための経費を他からの援助等で賄うことのできないものについては、入院又は入所(入院又は入所後に被保護者になったときは、被保護者になった時。以下同じ。)後1年間を限度として月額14,000円の額を特別基準の設定があったものとして認定して差しつかえないこと。ただし、明らかに入院又は入所後1年以上の入院加療、入所による指導訓練を必要とする者についてはこの限りではない。

なお、入院又は入所後において保護の実施要領第7の4の(1)のエの(ア)により住宅費が認定されている場合には、12か月から当該住宅費を認定した月数を差し引いた月数の範囲において認定すること。

オ 家財処分料

借家等に居住する単身の被保護者が医療機関、介護老人保健施設、職業能力開発校、社会福祉施設、無料低額宿泊所、日常生活支援住居施設等に入院若しくは入所し、又は有料老人ホーム若しくはサービス付き高齢者向け住宅に入居し、入院若しくは入所又は入居見込期間(入院若しくは入所又は入居後に被保護者となったときは、被保護者になった時から)が6か月を超えることにより真に家財の処分が必要な場合で、敷金の返還金、他からの援助等によりそのための経費を賄うことができないものについては、家財の処分に必要な最小限度の額を特別基準の設定があったものとして認定して差しつかえない。

カ 妊婦定期検診料

妊娠した被保護者が、妊娠期間中(妊娠後に被保護者となったときは、被保護者になった以降)市町村において行われる妊婦の健康診査事業を利用することができず、医療機関において定期検診を受ける場合は、公費負担により受診する場合を除き、特別基準の設定があったものとして必要な額を認定して差しつかえない。

キ 不動産鑑定費用等

保護の申請を行った者又は保護受給中の者が、要保護世帯向け不動産担保型生活資金を利用(社会福祉協議会による貸付審査により、貸付の利用に至らなかった場合も含む。)することに伴って必要となる不動産鑑定費用(社会福祉協議会が単位期間ごとに行う再評価に要する費用を除く。)、抵当権等の設定登記費用及びその他必要となる費用については、特別基準の設定があったものとして必要な額を認定して差しつかえない。

ク 除雪費

豪雪地帯(豪雪地帯対策特別措置法(昭和37年法律第73号)第2条第1項に規定する豪雪地帯をいう。4の(2)のエにおいて同じ。)において、本人又は親族や地域の支援では日常生活に必要な通路・避難路の確保のために必要な除排雪が困難な場合は、当該除排雪に要する費用(4の(2)のエにいう「雪囲い、雪下ろし等に要する費用」を除く。)について、冬季加算認定期間ごとに33,000円の範囲内において特別基準の設定があったものとして必要な額を認定して差し支えない。

3 教育費

(1) 基準額の算定

教育扶助基準額の計上にあたっては、保護開始月、変更月、停止月又は廃止月においても、月額全額を計上すること。

(2) 学級費等

学校教育活動のために全ての児童又は生徒について学級費、児童会又は生徒会費及びPTA会費等(以下「学級費等」という。)として保護者が学校に納付する場合であって、保護の基準別表第2に規定する基準額によりがたいときは、学級費等について次の額の範囲内において特別基準の設定があったものとして必要な額を認定して差し支えない。

小学校等 月額 1,080円以内

中学校等 月額 1,000円以内

(3) 教材代

正規の教材として学校長又は教育委員会が指定するものについて、教育費のうちの教科書代を計上する場合には、学校長又は教育委員会の指定証明を徴すること。

なお、正規の教材の範囲は、学校において当該学級の全児童が必ず購入することとなっている副読本的図書、ワークブック、和洋辞典及び楽器であること。

また、正規の教材の利用に必要な額とは、ICTを活用した教育にかかる通信費であること。

(4) 通学のための交通費

児童又は生徒が身体的条件、地理的条件又は交通事情により交通費を伴う方法による以外には通学する方法が全くないか、又はそれによらなければ通学がきわめて困難である場合においては、その通学のため必要な最小限度の交通費の額を計上すること。

(5) 校外活動参加費

小学校等、中学校等又は教育委員会が行う校外活動(修学旅行を除く。)に、当該学年の児童又は生徒の全員が参加する場合は、その参加のために必要な最小限度の額を特別基準の設定があったものとして認定して差し支えないこと。

(6) 災害時等の学用品等の再支給

災害その他不可抗力により学用品を消失し、学用品を再度購入することが必要な場合には、次の額の範囲内において特別基準の設定があったものとして必要な額を認定して差し支えないこと。

小学校等 11,600円以内

中学校等 22,700円以内

(7) 学習支援費

ア 小学校等又は中学校等に通学する児童又は生徒が課外のクラブ活動を行うための費用を必要とする場合は、1学年ごとに保護の基準別表第2に規定する学習支援費(年間上限額)の項にそれぞれ規定する額(イにおいて「年間上限額」という。)の範囲内において、必要の都度、必要な額を認定すること。

イ アの課外のクラブ活動に要する費用について、合宿及び大会等への参加にかかる交通費及び宿泊費が必要となることにより、年間上限額によりがたい場合であって、真にやむを得ないと実施機関が認めたときは、1学年ごとに、年間上限額に換えて、年間上限額に1.3を乗じて得た額の範囲内において、特別基準の設定があったものとして必要な額を認定して差し支えないこと。

4 住宅費

(1) 家賃、間代、地代等

ア 保護の基準別表第3の1の家賃、間代、地代等は居住する住居が借家若しくは借間であって家賃、間代等を必要とする場合又は居住する住居が自己の所有に属し、かつ住居の所在する土地に地代等を要する場合に認定すること。

イ 月の中途で保護開始、変更、停止又は廃止となった場合であって、日割計算による家賃、間代、地代等の額を超えて家賃、間代、地代等を必要とするときは、1か月分の家賃、間代、地代等の基準額の範囲内で必要な額を認定して差し支えない。

ウ 被保護者が真に必要やむを得ない事情により月の中途で転居した場合であって日割計算による家賃、間代の額をこえて家賃、間代を必要とするときは、転居前及び転居後の住居にかかる家賃、間代につき、それぞれ1箇月分の家賃、間代の基準額の範囲内で必要な額を認定してさしつかえないこと。

エ 入院患者がある場合等の住宅費の取扱い

(ア) 単身の者が、医療機関、介護老人保健施設、職業能力開発校、社会福祉施設等に入院入所期間中も従来通り住宅費を支出しなければならない生活実態にある場合は、入院入所(入院入所後に被保護者になったときは、被保護者になった時。以下この項において同じ。)後6か月以内に退院退所できる見込みのある場合に限り、入院入所後6か月間を限度として、当該住宅費を認定して差し支えないこと。

なお、入院入所後における病状の変化等により6か月を超えて入院入所することが明らかとなった場合であっても、その時から3か月以内に確実に退院退所できる見込みがあると認められる場合には、更に3か月を限度として引き続き当該住宅費を認定して差し支えないこと。

(イ) (ア)以外の場合であって、保護受給中の単身者が月の中途で病院等に入院若しくは入所し、又は病院等から退院若しくは退所した場合において、日割計算による家賃、間代の額をこえて家賃、間代を必要とするときは、1箇月分の家賃、間代の基準額の範囲内で必要な額を計上して差しつかえないこと。

なお、地域の住宅事情等により、退院又は退所する月において住居を確保することが困難であるため、当該月の前月分の家賃、間代を必要とするときは、退院又は退所した日以前1箇月を限度として1箇月分の家賃、間代の基準額の範囲内で必要な額を日割計算により計上して差しつかえないこと。

オ 保護の基準別表第3の2の規定に基づき厚生労働大臣が別に定める額(限度額)のうち、世帯人員別の住宅扶助(家賃・間代等)の限度額(オにおいて「世帯人員別の限度額」という。)によりがたい家賃、間代等であって、世帯員の状況、当該地域の住宅事情によりやむを得ないと認められるものについては、世帯人員別の限度額のうち世帯人員が1人の場合の限度額に次に掲げる率を乗じて得た額(カ、キ及びクにおいて「特別基準額」という。)の範囲内において、特別基準の設定があったものとして必要な額を認定して差しつかえないこと。