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○生活保護法による医療扶助と公衆衛生法規との関係について

(昭和二九年一一月一七日)

(社発第九〇四号)

(各都道府県知事あて厚生省社会・公衆衛生局長連名通知)

標記の件については、今般その取り扱いに関する通知を左記の通り一括整理したから爾今これによつて処理されたい。

第一 生活保護法と精神保健法との関係について

一 精神保健法第二九条の規定に基づく措置入院の要件に該当する精神病医療の取扱いは次によること。

(一) 福祉事務所長(生活保護法第一九条第一項から同条第四項までの規定により保護の決定及び実施を行なつている者を総称する。以下同じ。)は、精神障害者等(精神障害者若しくはその疑いのある者又は覚せい❜❜剤麻薬若しくはあへん❜❜❜の慢性中毒者若しくはその疑いのある者をいう。以下同じ。)について生活保護法による医療扶助の申請があつた場合において、当該要保護者が精神保健法第二九条の規定による措置の要件に該当すると思われるときは、もよりの保健所長を経由し、都道府県知事に対して精神保健法第二三条に規定する申請を行ない、医療扶助の決定については、その申請結果が判明するまでは原則として行なわないこと。

なお、精神保健法第二三条の申請を要しないと認める者については、昭和三六年九月三〇日社発第七二七号厚生省社会局長通達「生活保護法による医療扶助運営要領について」(以下「医療扶助運営要領」という。)の第八精神病医療取扱要領その他所定の手続により医療扶助の要否を決定すること。

(二) (一)の申請を受理した都道府県知事は、当該要保護者について精神保健法第二七条第一項の規定により調査及び診察をさせ、同法第二九条に規定する措置の要件に該当していると認めたときは、同条による措置を行なうとともに、その旨を直ちに福祉事務所長に通知すること。

また、調査又は診察の結果、措置の要件に該当しないと認めた者については、都道府県衛生部(局)からその旨を福祉事務所長に通知すること。

なお、次の(四)により福祉事務所長から申請のあつた者についても、前記に準じて取り扱うこと。

(三) 福祉事務所長は、(一)により精神保健法第二三条の申請を行なつた者について都道府県知事から措置の要件に該当した旨の通知を受けたときは、直ちに措置に必要な協力をするとともに、医療扶助の申請を却下すること。

また、措置の要件に該当しない旨の通知を受けたときは、医療扶助運営要領の第八精神病医療取扱要領その他所定の手続により医療扶助の要否を決定すること。

(四) 福祉事務所長は、措置の要件に該当しないため、医療扶助による入院の決定を行なつた者が、その後の病状の変化により措置の要件に該当すると思われるときは、ただちに指定医療機関からその旨の連絡を求め、必要と認められる場合は、その時点において精神保健法第二三条に規定する申請を行なうこと。

なお、この申請に当たつては、被保護者である旨を証する書類を添付して行なうこと。

また、前記の申請結果、都道府県知事から措置の要件に該当した旨の通知を受けたときは、措置決定日の前日限りで医療扶助を廃止し、被保護者及び指定医療機関にその旨を通知すること。

二 精神保健法第三二条の公費負担の対象となる精神病医療の取扱いは次によること。

(一) 福祉事務所長は、生活保護法による医療扶助の申請があつた場合において、当該要保護者が精神保健法第三二条の公費負担の対象となる入院外医療を必要とする精神障害及び精神障害に附随する軽易な傷病を有する者であると思われるときは、直ちに同法による公費負担の申請手続を行うよう指導すること。ただし、現に同法による公費負担の承認を受けているものについては所定の手続により医療扶助の要否を決定すること。

なお、精神保健法の公費負担の申請を行う場合は、申請者は所定の申請書及び意見書を居住地の市町村長を経由し都道府県知事に対して提出するものであるが、要保護者の場合は別に前記意見書の写し一部を添付させること。ただし、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている者が診断書に代えて同手帳を添付して同法の公費負担申請手続を行う場合及び診断書に代えて障害年金の年金証書等の写しを添付して同手帳の新規交付又は更新の申請を行う者が当該申請と併せて同法の公費負担申請手続を行う場合には、診断書の写しの添付を要しないものであること。

また、この場合に、福祉事務所長の交付した医療要否意見書があるときは、その意見書に精神保健法第三二条の公費負担の申請をしたこと及び所要の医療費概算額のみを記入して、福祉事務所長に提出するよう指導すること。

(二) 都道府県知事は、要保護者から精神保健法第三二条の公費負担の申請(診断書を添付しないで行う申請を除く。)があつたときは、地方精神保健審議会に諮問して、当該要保護者に対する公費負担の承認又は不承認を決定し、その結果を承認の場合は患者票の写しにより、不承認の場合は通知書の写しにより直ちに保健所長を経由して福祉事務所長に通知すること。

なお、診断書を添付して公費負担の申請を行つた者について福祉事務所長に対して患者票又は通知書の写しをもつて前記の通知をするときは意見書の写しを添付すること。

(三) (一)の申請を行つた要保護者に関する精神保健法第三二条の公費負担の有無について、(二)により市町村長を通じて通知を受けた福祉事務所長は、通知に伴い送付された資料及び(一)の医療要否意見書を審査し、医療扶助の要否を決定すること。

なお、精神保健法第三二条の公費負担の不承認の通知を受けた者については、特に当該要保護者の病状について慎重に審査し、必要なときは指定医療機関に照会したうえ、医療扶助の要否を決定すること。

(四) 福祉事務所長は、精神保健法第三二条の公費負担の承認の通知を受けた要保護者に対して翌月以降の医療券を発行するときは、精神保健法第三二条の公費負担の承認となつた当該期間中の医療要否意見書の提出は要しないものとすること。ただし、前記の被保護者に公費負担の承認されない併発疾病のある場合であつて、当該患者に対して翌月以降の医療券を発行するときは、毎月所定の医療要否意見書を徴さなければならないが、精神保健法第三二条の公費負担の承認となつた当該期間中は、医療要否意見書の「症状の概要」欄の記載は、精神障害に関する症状に限りこれを要しないものとすること。

なお、この承認期間の満了した者については、改めて前記(一)の申請手続を行なうよう指導すること。

三 取扱上の留意事項

(一) 精神保健法による措置患者が精神障害以外の疾病を併発した場合におけるその疾病に対する医療費については、原則として精神保健法により負担するものであるが、当該措置患者を収容している国若しくは都道府県の設置する精神病院又は精神保健法第五条の規定により指定を受けた精神病院以外の医療機関で医療を行なつた場合には、昭和三六年一二月二日衛発第九五七号厚生省公衆衛生局長通知「精神衛生法第二九条に係る措置患者の医療費の請求取扱いについて」によるものであること。

(二) 都道府県知事は、精神保健法第三二条の公費負担の予算の執行について要保護者を公費負担の対象から除外する等、要保護者を他の一般患者と差別的に取り扱うことのないよう厳重に留意すること。

第二 生活保護法と結核予防法との関係について

一 結核予防法第三四条の公費負担の対象となる結核患者の取扱いは次によること。

(一) 入院外の医療を必要とする場合

(1) 福祉事務所長は、生活保護法による医療扶助の申請があつた場合において、当該要保護者が結核による入院外の医療を必要とし、かつ、結核予防法第三四条の公費負担の対象となる者であると認められるときは、直ちに公費負担の申請手続を行なうよう指導すること。ただし、現に公費負担の承認(予算上の理由による公費負担の不承認を含む。以下同じ。)を受けている者については所定の手続により医療扶助の要否を決定すること。

なお、結核予防法の公費負担の申請を行なう場合は、申請者は所定の診断書及びエツクス線写真を保健所に提出するのであるが、要保護者の場合は別に前記診断書の写しを添付させること。

また、この場合に、福祉事務所の交付した診療要否意見書があるときは、その意見書に結核予防法の公費負担の申請をしたこと及び所要の医療費概算額のみを記入して、福祉事務所に提出するよう指導すること。

(2) 保健所長は、要保護者から結核予防法第三四条の公費負担の申請があつたときは、結核診査協議会に諮問して、当該要保護者に対する公費負担の承認又は不承認を決定し、その結果を直ちに患者票又は通知書の写しにより福祉事務所長に通知すること。ただし、予算上の理由のみをもつて公費負担の不承認を決定したときは、医学上適当と認められる結核医療の術式を、前記通知書の写しに患者票の「医療の種類」欄の記入要領により記載しておくこと。

なお、福祉事務所長に対して患者票又は通知書の写しをもつて前記の通知をするときは診断書の写しを添付すること。

(3) 福祉事務所長は、保健所長から前記(2)の通知を受けたときは、保健所長から送付された患者票又は通知書の写し及び診断書の写し等を審査し医療扶助の要否を決定すること。

(4) 福祉事務所長は、結核予防法第三四条の公費負担の承認又は予算上の理由による不承認の通知を受けた要保護者に対して翌月以降の医療券を発行するときは、結核予防法第三四条の公費負担の承認又は予算上の不承認となつた当該期間中の診療継続要否意見書の提出は要しないものとすること。ただし、前記の被保護者に併発疾病のある場合であつて、当該患者に対して翌月以降の医療券を発行するときは、毎月所定の診療継続要否意見書を徴さなければならないが、結核予防法第三四条の公費負担の承認又は予算上の不承認となつた当該期間中は、診療継続要否意見書の「症状の概要」欄の記載は結核に関する症状に限りこれを要しないものとすること。

なお、この承認期間の満了した者については、改めて前記(1)の申請手続を行なうよう指導すること。

(二) 入院医療を必要とする場合

(1) 福祉事務所長は、生活保護法による医療扶助の申請があつた場合において、当該要保護者が結核による入院医療を必要とし、かつ、結核予防法第三四条の公費負担の対象となる者であると認められるときは、直ちに(一)の(1)に準じて公費負担の申請手続を行なうよう指導すること。ただし、既に公費負担の承認を受けている者については、前記の申請手続に準じて所定の資料を保健所に提出するよう指導すること。

この場合の結核予防法の公費負担の申請又は資料の提出に当たつては、診断書及びその写しの「備考」欄に入院を必要とする理由を記入して保健所に提出するよう指導するとともに、福祉事務所の交付した診療要否意見書等があるときは、その意見書に結核予防法の公費負担の申請をしたこと及び入院を必要とすることのみを記入して、福祉事務所に提出するよう指導すること。

また、当該要保護者が結核予防法の入所命令の医学的標準に該当すると思われるときは、当該要保護者に対してただちに結核予防法の命令入所に関する手続を行なうよう指導するとともに、福祉事務所に提出されている診療要否意見書またはエツクス線写真があるときは、これを保健所長に送付し入所命令の要否の診査を要請する等、十分連絡を行なうこと。

おつて、保健所長から要保護者の生活環境調査書(別紙)及び市町村民税に関する賦課状況調査書の提出を、求められた場合で、福祉事務所において当該調査内容を握しているときは、直ちにその調査書を提出すること。

(2) 保健所長は、前記(1)の申請もしくは連絡又は資料の提出があつたときは、昭和三七年三月三一日衛発第二三五号「昭和三七年度結核患者入所命令措置の運用について」に基づき、当該要保護者について入所命令を必要とするかどうかを検討し、入所命令を必要とする場合には、福祉事務所長が当該医療扶助の申請を受理した日にさかのぼつて入所命令を行ない、その旨直ちに福祉事務所長に通知すること。

なお、入所命令を行なわない要保護者については、別に結核予防法第三四条の公費負担の承認又は不承認を決定し、その結果を、入所命令を行なわなかつた旨の通知とあわせて、診断書の写し及び診査済みのエツクス線写真を添付のうえ、福祉事務所長に通知すること。ただし、既に公費負担の承認を受けている者については、入所命令を行なわなかつた旨のみを、診断書の写し及び診査済みのエツクス線写真を添付して、福祉事務所長に通知すること。

(3) 福祉事務所長は、保健所長から入所命令を決定した旨の通知を受けたときは、医療扶助の申請を却下すること。

また、保健所長から入所命令を行なわない旨及び結核予防法第三四条の公費負担の承認又は不承認の通知を受けたときは、所定の手続により保健所長から送付された診断書の写し及びエツクス線写真等を審査し、医療扶助の要否を決定すること。

なお、医療扶助の決定については、前記保健所長の通知があるまでは原則として行なわないこと。

おつて、医療扶助による入院の決定を行なつた被保護者で、結核予防法第三四条の公費負担の承認期間の満了した者については、改めて前記(1)の申請手続を行なうよう指導すること。

(三) 医療扶助により入院した後において入所命令の医学的標準に該当するに至つた場合

(1) 福祉事務所長は、医療扶助により入院している被保護者が昭和三六年九月三〇日社発第七二七号厚生省社会局長通達「生活保護法による医療扶助運営要領について」別紙第一四号の結核予防法第二九条に基づく入所命令に関する医学的標準(以下「医学的標準」という。)に該当するに至つたと思われるときは、直ちに指定医療機関からその旨の連絡を求め、前記(二)の(1)に準じ、当該被保護者に対して直ちに結核予防法の命令入所に関する手続を行なうよう指導すること。

なお、この手続を行なうに当たつては、被保護者であることを証する書類を添付させること。

おつて、この患者について保健所長から生活環境調査書又は市町村民税に関する賦課状況調査書の提出を求められた場合で、福祉事務所において当該調査内容を握しているときは、直ちにその調査書を提出すること。

(2) 保健所長は、前記(1)の手続があつたときは、当該患者が医学的標準に該当するかどうかを検討し、該当する場合には、すみやかに入所命令を行ない、その旨直ちに福祉事務所長に通知すること。

なお、医学的標準に該当しなかつた者については、診断書の写し及び診査済みのエツクス線写真を添付して、その旨福祉事務所長に通知すること。

(3) 福祉事務所長は、保健所長から入所命令を決定した旨の通知を受けたときは、入所命令の決定日の前日限りで医療扶助を廃止し、被保護者及び指定医療機関にその旨を通知すること。

二 取扱上の留意事項

(一) 結核予防法第三四条の公費負担の予算の執行について

都道府県及び保健所を設置する市は、結核予防法第三四条の公費負担の予算の執行について要保護者の一部を最初から公費負担の対象から除外する等、要保護者を他の一般患者と差別的に取り扱うことのないよう厳重に留意すること。

(二) 命令入所の患者が結核以外の疾病を併発した場合の医療費について

命令入所の患者が結核以外の疾病を併発した場合における

その併発疾病に対する医療費については、原則として結核予防法により負担するものであること。

(三) 生活保護法による医療扶助の入院承認期間と結核予防法第三四条の公費負担承認期間との関係について

生活保護法による医療扶助の入院を決定する場合の当該入院承認期間については、結核予防法第三四条の公費負担の承認期間をも考慮して行ない、医療扶助による入院の継続手続と結核予防法の公費負担の承認の継続手続とができるだけ一元化するよう配意すること。

(四) エツクス線写真の取扱いについて

結核予防法第三四条の公費負担の診査等のため、医療機関から提出のあつたエツクス線写真の取扱いについては、汚損又は紛失することのないよう特に留意し、提出枚数を確認してできるだけすみやかに医療機関に返還すること。

第三 生活保護法と伝染病予防法との関係について

一 伝染病予防法第七条の規定に基いて市町村長(保健所を設置する市においては保健所長)又は予防委員が伝染病院、隔離病舎その他適当な施設に収容した伝染病患者(伝染病予防法の適用を受ける疾病の患者をいう。以下同じ。)のうち、食費、薬価を徴収することのできないものの治療費は、伝染病予防法第二一条第一項第四号によつて、当該患者発生地の市町村が支弁すべきもので、生活保護法の医療扶助の対象にならないこと。

二 前項以外の場合であつて、生活困窮者である伝染病患者に要する費用は、伝染病予防法第二一条第一項第七号に掲げるところによつて当該患者発生地の市町村が支弁すべきもので、生活保護法の対象にはならないこと。ただし、すでに生活保護法による医療扶助を受けて伝染病院以外の病院に入院している患者(伝染病予防法第二〇条の適用あるものを除く。)が伝染病にかかつたときは引き続き医療扶助によつて治療を受けることができること。

三 諸官庁及び国立の学校、病院、製造所等において伝染病が発生した場合においては、伝染病の予防救治の費用に関しては、伝染病予防法第二〇条の規定の適用によつて国費をもつて負担されるものであること。

したがつて、生活保護法の医療扶助の適用を受けて国立病院又は国立療養所に入院入所中の患者が伝染病にかかつた場合の伝染病の予防救治の費用(隔離のための費用、食費、薬価等)については、医療扶助の適用がないものであること。

第四 生活保護法と性病予防法との関係について

性病治療に関しては、性病予防法によつて処置すべきものであるから、性病患者がある場合には、原則として性病予防法による性病病院・性病診療所又は代用病院・代用性病診療所(以下「性病病院等」という。)について治療を受けさせるべきであつて、生活保護法の医療扶助の対象とならないものであるが、その具体的な取り扱については左の各項によること。

一 性病病院等が遠くにあつて、利用困難な場合について

(一) 当該患者が性病予防法第一五条第一項の規定によつて都道府県知事の命令により医師の診療を受けた場合において、患者及びその扶養義務者が経済的理由により、診療費の全部又は一部を負担することができないときは、同法第一五条第三項の規定により、都道府県が代つて全部又は一部を負担するので、かかる場合については、医療扶助の適用の余地はないこと。

(二) 当該患者の任意により、診療を受けんとする場合においても、性病予防法の趣旨に鑑み、先ず性病診療のセンターたる性病病院等(保健所の大半に性病診療所が併設されていることに留意すること。)において、診療を受けしめることが望ましいが、この場合における診療費を患者側において負担できぬ場合においては、性病予防法第二一条第一項但書又は同条第二項但書の規定によつて都道府県又は市町村の負担となるので、診療費については、生活保護法の適用の余地はないこと。

なお、この場合においても性病病院等が遠くにあつて、患者及びその扶養義務者が、経済的理由により、その交通費等を支払えぬため、当該診療所に通院することができぬときは、一般の例により厳重に収支の認定及び資産の調査等を行い、困窮のため真に保護を要する者に対しては、医療扶助の移送費を給与すること。ただし、性病病院等が余りにも遠く、一々通院することが社会通念上不適当な場合においては、左記一の(三)の取り扱によること。

(三) 当該患者の任意により診療を受けんとする場合において、性病病院等が全く遠くにあつて患者が通院することがその病状等の理由によつて困難なため、これを利用することができ難い場合においては、最寄りの指定医療機関において診療を受けざるを得ないが、この場合には一般の例により厳重に調査の上、困窮のため真に保護を要する者に対して医療扶助を適用すること。

なお、この場合における診療方針は、昭和二八年五月七日衛発第三五六号「性病治療標準について」各都道府県知事政令市長宛厚生省公衆衛生局長通知によること。

二 性病治療を対症療法と切り離すことが不適当な場合について

(一) 当該患者が性病予防法第一五条第一項の規定によつて、都道府県知事の命令により医師の診療を受ける場合においては、前記一の(一)と同様に取り扱うこと。

(二) 性病病院等において対症療法も取り扱う場合においては、患者の任意により診療を受ける場合であつても、先ずこれらの性病病院等において受療せしめることが望ましいこと。而してこの場合における取り扱と費用の負担の関係については、前記一の(二)又は(三)と同様であること。

(三) 性病病院等において、対症療法を取り扱うことができぬ場合においては、患者の任意によつて、一般の医師の診療を受けることとなるが、この場合においては、前記一の(三)と同様の取り扱をすること。

三 脳梅毒による精神障害者で精神病院に入院した者の場合について

(一) 当該精神障害者が精神保健法第二九条の規定によつて、都道府県知事の入院措置により強制入院せしめられた場合においては、同法第三〇条の規定により当該患者の入院診療に要する費用はすべて都道府県の負担となるので、これが診療費等については、生活保護法の医療扶助の適用の余地はないこと。

(二) 都道府県知事の入院措置による入院以外の場合、即ち、患者側の任意による入院の場合においては、それぞれ左の取り扱によること。

(1) 当該精神病院が公立病院である場合には、その多くは駆梅療法をも行つているので、駆梅のため特に外部の性病病院等を利用する必要はないから、この場合において患者側でその診療の費用を負担することができないときは、一般の例により厳重に調査の上、困窮のため真に保護を要する者に対しては医療扶助を適用すること。

(2) 私立精神病院又は一部の公立精神病院等では、当該病院内で駆梅療法を行つていないものもあるので、かかる病院に入院した患者についての取り扱は、前記一(二)又は(三)と同様とすること。

第六 関係通知の廃止について

本通知の施行と同時に、左に掲げる通知は廃止されるものであること。

一 「生活保護法と優生保護法との関係について」昭和二八年三月二四日社乙発第三八号各都道府県知事宛厚生省社会局長公衆衛生局長連名通知

二 「生活保護法と精神衛生法との関係について」昭和二五年八月一四日社乙発第一二八号各都道府県知事宛厚生省社会局長公衆衛生局長連名通知

三 「生活保護法と精神衛生法との関係について」昭和二六年九月七日社乙発第一二五号各都道府県知事宛厚生省社会局長通知

四 「生活保護法と精神衛生法との関係について」昭和二七年一〇月二二日社乙発第一四六号各都道府県知事宛厚生省社会局長公衆衛生局長連名通知

五 「生活保護法と精神衛生法との関係について」昭和二七年一二月二日社乙発第一六三号各都道府県知事宛厚生省社会局長通知

六 「生活保護法と結核予防法との関係について」昭和二七年六月一〇日社乙発第九五号各都道府県知事宛厚生省社会局長公衆衛生局長連名通知

七 「生活保護法と結核予防法との関係について」昭和二七年九月八日社乙発第一三四号各都道府県知事宛厚生省社会局長通知

八 「生活保護法と結核予防法との関係について」昭和二七年一〇月二一日社乙発第一四四号各都道府県知事宛厚生省社会局長公衆衛生局長連名通知

九 「生活保護法と結核予防法との関係について」昭和二七年一一月二一日社乙発第一五八号各都道府県知事宛厚生省社会局長公衆衛生局長連名通知

一〇 「生活保護法と結核予防法及び精神衛生法との関係について」昭和二七年一〇月二三日社乙発第一四七号各都道府県知事宛厚生省社会局長通知

一一 「生活保護法と結核予防法並びに精神衛生法との関係について」昭和二八年八月三一日社発第五六三号各都道府県知事宛厚生省社会局長公衆衛生局長連名通知

一二 「生活保護法による性病治療の取扱に関する件」昭和二六年九月三日社乙発第一二三号各都道府県知事宛厚生省社会局長公衆衛生局長連名通知

〔参考〕

昭和三八年三月三一日現在において入院中の医療扶助患者に対する経過的取扱い

一 福祉事務所長(生活保護法第一九条第一項から同条第四項までの規定により保護の決定及び実施を行なう者を総称する。以下同じ。)は、昭和三八年三月三一日現在において、医療扶助を受けて入院しており、かつ、昭和三六年九月三〇日社発第七二七号厚生省社会局長通達「生活保護法による医療扶助運営要領について」別紙第一四号の結核予防法第二九条に基づく入所命令に関する医学的標準(以下「医学的標準」という。)に該当すると認められる結核患者について、当該患者の居住地(居住地がない者については、その者の保護の実施に当たる福祉事務所の所在地)を管轄する保健所ごとに、別紙一の様式による「患者名簿」二部を作成し、福祉事務所にある直近の結核入院要否意見書(当該意見書作成後において医学的標準に該当するに至つた者又は入院医療扶助の承認期間が一箇月以内に満了する者については、入院先の医療機関からあらためてこれを徴するものとする。)、エツクス線写真(三箇月以内に撮影したもの、その他診査に必要と認められるもの)及び昭和二九年一一月一七日社発第九〇四号厚生省社会局長、同公衆衛生局長連名通知「生活保護法による医療扶助と公衆衛生法規との関係について」の別紙様式による生活環境調査書を添え、同年四月一〇日までに当該保健所長に送付すること。

なお、福祉事務所長は、前記資料を保健所長に送付したときは、すみやかにその旨を「患者名簿」の写しにより都道府県又は指定都市の民生部(局)生活保護法主管課(以下「民生部主管課」という。)に報告すること。

二 保健所長は、一により資料の送付を受けたときは、できるだけすみやかに結核診査協議会に諮問し、医学的標準に該当した者に対しては、その者の入院先が結核予防法の指定を受けている医療機関であるとないとにかかわらず、昭和三八年四月一日付けをもつて入所命令の決定の手続を行なうとともに、その結果を「患者名簿」に記入し、エツクス線写真及び医学的標準に該当しなかつた者に係る結核入院要否意見書を添えて、福祉事務所長に通知すること。

なお、診査件数が多いため定例の会議のみではすみやかな処理ができないときは、適宜臨時会を開いて、遅くとも四月二〇日までには当該診査を完了すること。

おつて、保健所長は、前記結果を福祉事務所長に通知したときは、すみやかに、その結果を記入した「患者名簿」の写しにより都道府県、又は保健所を設置する市の衛生部(局)結核予防法主管課(以下「衛生部主管課」という。)に報告すること。

三 民生部主管課においては、福祉事務所長から前記一による報告を受けたときは、すみやかに衛生部主管課に通報することとし、衛生部主管課においては、保健所長から前記二による報告を受けたときは、すみやかに民生部主管課に通報すること。

なお、衛生部主管課においては、管下結核診査協議会の診査に不均衡の生ずることのないよう特に注意すること。

四 福祉事務所長は、保健所長から医学的標準に該当する旨の通知があつた者については、直ちに当該患者及び入院先の医療機関に対して四月一日から命令入所に移し替える旨通知するとともに、三月三一日限りをもつて医療扶助の廃止を決定すること。

なお、この通知を行なう場合には、結核予防法第三五条の公費負担申請書用紙を送付し、その申請に関する必要な指導を行なうこと。また、命令入所に移し替えることができない患者であることが判明したものについては、所定の手続により医療扶助による入院の継続について審査し、その結果に基づいて必要な保護を行なうこと。

五 この通知による取扱いを円滑に進めるためには、関係医療機関の理解及び協力を特に必要とするので、これが指導等に万全を期すること。

六 移し替え結果の報告については、民生部主管課は昭和三八年四月一日に入院医療扶助患者を命令入所に移し替えた状況について各福祉事務所別に確認のうえ、別紙二の様式による報告書をとりまとめ、五月一〇日までに厚生省社会局保護課長あて報告すること。

七 衛生部主管課は、今回の移し替え状況について、別紙三の様式により、五月一〇日までに、厚生省公衆衛生局結核予防課長あて報告すること。

別紙1

別紙2

別紙3

別紙様式