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○社会福祉施設職員退職手当共済法の施行について
(昭和三六年八月七日)
(発社第二四五号)
(各都道府県知事あて厚生事務次官通達)
第三八回通常国会において成立した社会福祉施設職員退職手当共済法は、本年六月一九日法律第一五五号として公布され、これに伴う同法施行令及び同法施行規則もそれぞれ政令第二八六号、厚生省令第三六号として本年八月五日公布され、本年一○月一日からその一部が施行されることとなつたが、この法律は、社会福祉施設を経営する社会福祉法人その他の者の相互扶助の精神に基づき、社会福祉施設の職員について退職手当共済制度を確立せんとするものであつて、民間社会福祉施設職員に対する待遇改善策の一環として重要な意義をもつものである。よつて、この法律の施行に当たつては、この趣旨に基づきとくに次の事項に留意のうえ万遺憾なきを期せられたく、通達する。
第一 法律制定の趣旨
民間の社会福祉施設は、国又は地方公共団体の経営する社会福祉施設とともに、社会福祉事業の一翼をにない、都道府県知事又は市町村長から被保護者、要保護児童等について援護、育成又は更生の措置の委託を受けているものである。しかして、これら民間社会福祉施設の運営費については、いわゆる措置費として、措置を委託した地方公共団体から委託費が支払われているが、これら施設職員の給与水準は、一般に低く充分でないので、国としてはかねて民間施設職員の給与改善について努力してきているところである。
今般これら職員に対する待遇改善策の一環として新たに退職手当共済制度を創設し、もつて社会福祉事業の振興に寄与せんとしたものである。
第二 一般事項
一 この法律は、社会福祉事業振興会(以下「振興会」という。)と退職手当共済契約を締結している社会福祉施設の経営者に使用される職員の退職について、振興会が退職手当金を支給することとしたこと。しかして、この契約を締結するかどうかは、経営者の任意とされているのであるが、この制度創設の趣旨にかんがみ、すべての経営者が本制度に加入することを期待しているものであること。
二 この制度の運営は、従来から民間社会福祉事業の振興をはかることを目的として設立された特殊法人である振興会がこれに当たるものであること。なお、振興会が業務を行なうについては、その業務の一部を都道府県社会福祉協議会に委託する予定であること。
第三 退職手当共済契約に関する事項
一 退職手当共済契約(以下「共済契約」という。)を締結できる経営者は、社会福祉施設を経営する社会福祉法人その他の者に限られるものであること。社会福祉施設の範囲については、この制度創設の趣旨にかんがみ、都道府県知事又は市町村長から援護、育成又は更生の措置の委託を受ける保護施設、児童福祉施設、身体障害者更生援護施設、精神薄弱者援護施設その他これらに準ずる施設に限られたものであること。
二 中小企業退職金共済制度とこの事業との二重加入を認めていないが、これは退職金(退職手当金)に対する国の二重補助を排する趣旨であること。従つて、現に中小企業退職金共済制度に加入している経営者については、同制度から脱退しない限りこの制度への加入を認めないものであること。
第四 退職手当金に関する事項
一 共済契約は、いわゆる第三者のためにする契約であるから、被共済職員が退職したときは、振興会は、その者(退職が死亡によるものであるときは、その遺族)に対して、直接退職手当金を支給するものであること。
二 退職手当金の額の計算方法については、おおむね公務員の例に準じたものとしているが、その相違点の一つは、公務員の場合には退職した職員の退職の日における本俸月額が計算の基礎とされるのに対して、この制度では、退職手当金の額の計算の基礎となる額(以下「基礎額」という。)を退職した職員の給与の如何を問わず一定額としたこと。
三 この基礎額は、今後における民間社会福祉施設職員の給与水準の推移に応じて、その改訂が行なわれるべきものと考えられること。
なお、この制度発足当初の基礎額は八千円と定められたのであるが、これは民間社会福祉施設職員の給与の実態を勘案して算出されたものであること。
第五 掛金に関する事項
一 退職手当金の支給に要する費用に充てるため、共済契約者は、毎事業年度、振興会に掛金を納付しなければならないこと。この掛金は、退職手当金の性格にかんがみ、共済契約者が全額負担すべきものであつて、職員にその一部を負担させるようなことがあつてはならないこと。
なお、掛金の額については、民間社会福祉施設経営者の財政能力の現状を勘案して、十分その負担にたえ得るよう定められたものであること。
二 この制度は、積立方式をとらず、賦課方式をとつたのであるが、このため振興会の退職手当金支給財源確保の必要上掛金の納付期限は毎事業年度五月三一日とされ、納付期限後二箇月以内に掛金の納付がないときは、振興会は当該契約を解除しなければならないこととされていること。さらに契約が解除された場合には、当該契約に係る被共済職員には退職手当金が支給されないこととなつているから、掛金の納付については、これが確保についてとくに指導されたいこと。
三 共済契約者が納付すべき掛金の額の計算の基礎となる単位掛金額は、毎事業年度、厚生大臣が定めることとされているが、これは毎事業年度の開始前に官報で告示する予定であるので、これが周知徹底方について配意されたいこと。
第六 国及び都道府県の補助に関する事項
一 この制度に対する国の補助は、退職手当金の支給に要する費用については三分の一以内、振興会の事務費については全額をそれぞれ振興会に対し補助することとされているが、この制度の円滑な運営を確保するため、この種の制度としては、他に例をみない高率の補助が行なわれることとされていること。
二 都道府県は、退職手当金の支給に要する費用の一部を振興会に対し補助することができることとされており、その補助率については国と同率の三分の一が予定されているものであるが、この制度の円滑な運営が確保されることは、ひいては都道府県における社会福祉事業の振興に寄与するものと考えられるので、これが実行の確保について十分配意されたいこと。
なお、この件に関する都道府県における所要財源の確保の措置については、自治省と協議ずみであること。
第七 施行期日その他に関する事項
一 この法律は、本年一○月一日から掛金に関する部分を除いて施行されるのであるが、これが発足が円滑に行なわれるべくこの制度の普及徹底に十分努めるとともに、本年一○月一日において貴職管内の全社会福祉施設がこの制度に加入するよう配意されたいこと。
二 この制度によつて職員に支給される退職手当金は、この法律による共済契約が締結された以後における被共済職員期間を基礎として計算するものとされており、職員のこの法律施行前における在職期間については被共済職員期間として認められないものであること。
