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○介護福祉士等修学資金貸付制度の運営について

(平成5年5月31日)

(社援施第69号)

(各都道府県知事あて厚生省社会・援護局長通知)

標記については、「介護福祉士等修学資金の貸付けについて」平成5年5月31日厚生省発社援第164号をもって厚生事務次官から通知されたところであるが、これの運営にあたっては、次の事項に留意のうえ、所期の目的達成のため遺憾のないよう配慮されたい。

1 貸付事業の実施主体について

介護福祉士等修学資金の貸付事業(以下「貸付事業」という。)の実施主体は、「介護福祉士等修学資金の貸付けについて」(平成5年5月31日付け厚生省発社援第164号)別紙「介護福祉士等修学資金貸付制度実施要綱」(以下「要綱」という。)第2に規定されているところであるが、次の(1)又は(2)に留意の上、取り扱われたいこと。

(1) 都道府県が実施主体である場合

他の人材確保事業と併せて貸付事業を実施することが効果的である場合も考えられるので、都道府県社会福祉協議会に対してこれを委託して実施しても差し支えないこと。

なお、この場合、都道府県社会福祉協議会の都道府県福祉人材センターにおいて実施することが望ましいこと。

(2) 都道府県が適当と認める団体が実施主体である場合

① 実施主体に係る留意点

都道府県が適当と認める団体が実施主体となる場合は、要綱第2の(2)の規定のとおり、都道府県知事が修学資金の貸付けに当たって必要な指導・助言を行う場合に限られるものであること。

また、都道府県が適当と認める団体の選定に当たっては、他の人材確保事業と併せて貸付事業を実施することが効果的であることが考えられるので、都道府県社会福祉協議会又は都道府県社会福祉協議会の都道府県福祉人材センターにおいて実施することが望ましいこと。

なお、要綱第2の(2)に規定する特例社団法人又は特例財団法人が実施主体の場合であって、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成18年法律第48号)等の施行に伴い、当該法人が同法第2条第1号に規定する一般社団法人又は一般財団法人へ移行した場合には、貸金業法(昭和58年法律第32号)第3条に規定する登録を受けなければならないこととなるので留意されたいこと。

② 都道府県の役割

要綱第2の(2)に規定する「都道府県知事が修学資金の貸付けに当たって必要な指導・助言を行う場合」とは、次のアからエまでに掲げる内容をいうものであること。

ア 貸付事業の実施に当たって、都道府県が適当と認める団体に対して、3年ごとに5年を1期とする貸付計画書(少なくとも貸付見込人数、貸付見込額、返還見込額等を盛り込むものとする。)を策定させ、当該計画書(当該計画書の内容を変更する場合を含む。)の内容について承認すること。

イ 都道府県が適当と認める団体が債権管理を適切に行うことができるものとして定めた要綱第9に規定する修学資金の返還期間、返還額又は返還方法(当該返還期間等を変更する場合を含む。)について承認すること。

ウ 都道府県が適当と認める団体が要綱第11の2に規定する返還の債務の裁量免除を行う場合、その妥当性について承認すること。

エ その他貸付事業の実施に当たって都道府県が適当と認める団体に対する必要な指導・助言を行うこと。

2 貸付対象者について

(1) 貸付対象者は、原則として当該都道府県に住民登録をしている者であって、卒業後当該都道府県の区域(国立障害者リハビリテーションセンター、国立児童自立支援施設等において業務に従事する場合は全国の区域とする。また、東日本大震災における被災県(岩手県、宮城県及び福島県に限る。以下同じ。)以外の都道府県において貸付けを受け、被災県において業務に従事する場合は、当該都道府県及び当該被災県とする。以下同じ。)において要綱第8の1に規定する業務に従事しようとする者とすること。

ただし、当該都道府県に住民登録はしていないが当該都道府県の区域の養成施設等(要綱第3に規定する養成施設等及び実務者養成施設等をいう。以下同じ。)に修学する場合等であって、卒業後当該都道府県の区域において要綱第8の1に規定する業務に従事しようとする者に限り貸付対象者としてもさしつかえないこと。

なお、この取り扱いによって、2以上の都道府県又は都道府県が適当と認める団体(以下「都道府県等」という。)から重複して貸し付けることはできないものであるので、申し添える。

(2) 貸付対象者は、優秀な学生であって、かつ、家庭の経済状況等から真に本修学資金の貸付が必要と認められる者について行うものであること。

ただし、要綱第4の2に定める1月あたり貸付対象者の貸付申請時の居住地の生活扶助基準の居宅(第1類)に掲げる額のうち貸付対象者の年齢に対応する年齢区分の額に相当する額以内の加算(以下「生活費加算」という。)については、貧困が親から子へ連鎖する「貧困の連鎖」の防止の観点から、生活保護受給世帯など経済的に困窮する世帯の子どもの社会的・経済的自立を実現するため、生活の安定に資する資格として社会福祉士資格及び介護福祉士資格の取得を支援するものであるので、生活費加算の貸付対象者に係る家庭の経済状況は、次のいずれかに該当する者とする。

① 貸付申請時に生活保護受給世帯の者であって、要綱第3に規定する養成施設等に就学する者

② ①に準ずる経済状況にある者として、都道府県知事が必要と認める者

(例)

前年度または当該年度において、次のいずれかの措置を受けた者

・ 地方税法(昭和25年法律第226号)第295条第1項に基づく市町村民税の非課税

・ 地方税法第323条に基づく市町村民税の減免

・ 国民年金法(昭和34年法律第141号)第89条または第90条に基づく国民年金の掛金の減免

・ 国民健康保険法(昭和33年法律第192号)第77条に基づく保険料の減免または徴収の猶予

(3) 貸付対象者の選定にあたっては当該養成施設等から推薦を求めること等により公正かつ適切に行うこと。

ただし、生活保護受給世帯の者などを対象として、養成施設等への入学前に貸付対象者の選定を行う場合にあっては、貸付申請は貸付対象者が実施主体に直接行い、当該貸付対象者の居住地を管轄する福祉事務所(以下「福祉事務所」という。)等との連携により適切に行うこと。

また、東日本大震災の被災者にあっては、学業優秀、家庭の経済状況等の要件を問わず、養成施設等から被災地出身者等であることを確認の上、適切に行うこと。

なお、貸付対象者の推薦を養成施設等へ求める場合にあっては、不当に特定の養成施設等に貸付対象者が偏ることのないよう留意するとともに、養成施設等から適正な推薦を受ける観点から、常日頃より養成施設等との密接な連携を図られたい。

(4) 養成施設等への入学前に貸付対象者の選定を行う場合には、養成施設等への入学選考前に貸付内定を通知するよう努めること。

(5) 養成施設等への入学前に貸付対象者の選定を行う場合において、貸付申請者が貸付申請時に生活保護受給世帯の者である場合の取扱いについては、以下のとおりとすること。

ア 実施主体の長は、選定にあたって次のことを確認すること。

① (2)のうち学業優秀、家庭の経済状況

(確認書類の例)

○ 学業優秀

養成施設等からの推薦に替えて、

・ 貸付対象者が高校生である場合は、高校の調査書、内申書

・ 上記以外の場合は、養成施設等への就学意欲、資格取得後における福祉・介護分野での就労意思等

○ 家庭の経済状況

福祉事務所長等が発行する生活保護受給証明書

② 貸付による自立助長の効果に関する福祉事務所長の意見

イ 実施主体の長は、生活保護受給世帯の者に対する貸付の可否について、福祉事務所長に対し連絡すること。

ウ 生活費加算と生活保護の支給を同時に受けることはできないこと。

したがって、実施主体の長は、貸付申請時に生活保護受給世帯の者であって、次のいずれかに該当する貸付決定を行った場合には、福祉事務所長が発行する保護変更決定通知書(写)等を貸付対象者から提示させる等により生活保護が廃止されていることを確認すること。

① 貸付申請時に生活保護受給世帯の高校生であって、高校を卒業し、直ちに養成施設等に就学しようとする者に対する貸付決定を行った場合

② 貸付申請時に生活保護受給世帯の者であって、①以外の者に対する生活費加算を含む貸付決定を行った場合

(6) 生活費加算が「貧困の連鎖」の防止に資するためには、生活費加算を含む貸付金の貸与だけではなく、福祉事務所による支援や他の人材確保事業等と相俟って、その十分な効果が期待されるものと考えられるので、実施主体の長は、福祉事務所、介護福祉士養成施設等の関係機関と連携を密にし、継続的な支援に努めること。

(取組例)

○ 介護福祉士等養成施設に在学中の出席状況や学業成績等の就学状況に関する定期的な確認及び支援

○ 介護福祉士等養成施設卒業後の福祉・介護関係等の求人情報の紹介や就職の斡旋

○ 福祉・介護関係の職場に就労後の定着支援やキャリアカウンセリング 等

(7) 要綱第4の2に掲げる額のうち学費相当分(月額50,000円以内)を貸し付けずに、生活費加算分のみを貸し付けることはできないこと。

(8) 要綱第8の1に規定する中高年離職者については、離職証明等の客観的判断の可能な書類で離職状況を確認すること。

3 貸付期間について

要綱第4の1に規定する「養成施設等に在学する期間」は、原則として正規の修学期間であるが、病気等真にやむを得ない事情によって留年した期間中もこれに含めてさしつかえないこと。

4 貸付金の限度について

(1) 修学資金は、養成施設等に支払う授業料、実習費、教材費等の納付金の他参考図書、学用品、交通費等(生活費加算分については在学中の生活費を含む。)に充当するものであるので、貸付金については、要綱第4の2に定める金額の範囲内であれば授業料等養成施設等に対する納付金の額の如何を問わず、本人の希望する額を貸し付けてさしつかえないものであること。

(2) 生活費加算は、生活扶助基準の居宅(第1類)に掲げる額のうち貸付対象者の貸付申請時における年齢及び居住地に対応する区分の額を基本として加算するものであるので、貸付後の加齢や転居等により対応する区分が異なることとなった場合や生活扶助基準の見直しがあった場合も、貸付期間中の加算額の見直しは要しないこと。

また、生活扶助基準の見直しによる影響が可能な限り生じないようにするため、年度途中に生活扶助基準の見直しがあった場合も、年齢及び居住地が同一の者に係る加算額は、同一年度において同額とすること。

5 貸付金の交付方法について

貸付金の交付は、分割又は月決めの方法によるものとする。

6 貸付契約の解除について

要綱第7の1に規定する「資金貸付けの目的を達成する見込みがなくなったと認められるに至ったとき」は、次の各号の1に該当する場合をいう。

(1) 退学したとき。

(2) 心身の故障のため修学を継続する見込みがなくなったと認められるとき。

(3) 学業成績が著しく不良になったと認められるとき。

(4) 死亡したとき。

(5) その他修学資金貸付けの目的を達成する見込みがなくなったと認められるとき。

7 返還の債務の当然免除について

(1) 要綱第8の1に規定する「国立障害者リハビリテーションセンター、国立児童自立支援施設等」には、国立高度専門医療研究センター又は独立行政法人国立病院機構の設置する医療機関であって児童福祉法(昭和22年法律第164号)第27条第2項の委託を受けた施設、医療型障害児入所施設「整肢療護園」、「むらさき愛育園」及び独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園が設置する施設を含むものとする。

(2) 災害、疾病、負傷、その他やむを得ない事由により国家試験を受験できなかった場合又は国家試験に合格できなかった場合であって、都道府県知事又は都道府県が適当と認める団体(以下「都道府県知事等」という。)が本人の申請に基づき次年度の国家試験を受験する意思があると認めた場合、要綱第8の1及び第9の2に規定する「養成施設等を卒業した日」を、「養成施設等の卒業年次の翌々年の国家試験に合格した日」と読み替えてさしつかえないこと。

(3) 社会福祉士又は介護福祉士資格取得者が要綱第8の1に規定する「別添1の職種若しくは別添2の職種又は当該施設の長」(以下「別添1の職種等」という。)として従事することができなかった場合であって、養成施設等卒業後1年以内に別添1の職種等以外の職種に採用された者については、都道府県知事等が本人の申請に基づき別添1の職種等に従事する意思があると認めた場合、要綱第8の1及び第9の2に規定する「養成施設等を卒業した日から1年以内」を、「養成施設等を卒業した日から2年以内」と読み替えてさしつかえないこと。

(4) 要綱第8の1、第9及び第10の1の(2)に規定する「他種の養成施設等」は、介護福祉士指定養成施設等卒業者の場合は社会福祉士指定養成施設等、社会福祉士指定養成施設等卒業者の場合は介護福祉士指定養成施設等であること。

(5) 要綱第8の1、第9及び第10の2の(2)に規定する「その他やむを得ない事由」は、例えば育児休業等要綱第8の1に規定する業務に従事することが困難であると客観的に判断できる場合であること。

(6) ホームヘルパー・家政婦等の業務に従事した者について、要綱第8の1に基づいて返還免除を行う場合においては、要綱第8の1の規定にかかわらず、市町村及び有料職業紹介所等へ登録した期間が通算1,825日以上であり、かつ、介護等の業務に従事した期間が900日以上であることを要すること。

ただし、当然免除を受けるために必要な要綱第8の1に規定する業務に従事した期間が3年間である者(以下「中高年離職者等」という。)については、市町村及び有料職業紹介所等へ登録した期間が通算1,095日以上であり、かつ、介護等の業務に従事した期間が540日以上であること。

なお、同時に2以上の市町村等において業務に従事した期間は1の期間として計算し、通算しないものとすること。

8 返還の債務の裁量免除について

(1) 要綱第11の1及び2に規定する返還の債務の裁量免除は、相続人又は連帯保証人へ請求を行ってもなお、返還が困難であるなど、真にやむを得ない場合に限り、個別に適用すべきものであること。

また、要綱第11の3に規定する返還の債務の裁量免除は、本貸付事業が要綱第8の1に規定する業務に従事した者の定着促進を図るものであることから、その適用は機械的に行うことなく貸付けを受けた者の状況を十分把握のうえ、個別に適用すべきものであること。この場合、貸付けを受けた期間以上所定の業務に従事した者であっても、本人の責による事由により免職された者、特別な事情がなく恣意的に退職した者等については、適用すべきではないこと。

(2) 裁量免除の額は、当該都道府県の区域内において、要綱第8の1に規定する業務に従事した期間を、修学資金の貸付けを受けた期間(この期間が2年に満たないときは2年とする。)の2分の5(中高年離職者等については2分の3)に相当する期間で除して得た数値(この数値が1を超えるときは、1とする)を返還の債務の額に乗じて得た額とすること。

9 国庫補助対象事業について

(1) 都道府県が実施主体である場合

毎会計年度におけるこの貸付事業のための国庫補助は、当該年度の貸付金総額から当該年度の前年度の修学資金の返還金の総額に相当する金額を控除した金額を対象として行うものであること。

(2) 都道府県が適当と認める団体が実施主体である場合

この貸付事業のための国庫補助は、都道府県が適当と認める団体がこの貸付事業の実施に必要な貸付金及び貸付事務費を対象として措置するものとする。

なお、貸付事務費は毎年度600万円(生活費加算を行う場合にあっては毎年度750万円)までの範囲で使用できることとするが、貸付の開始に当たって、貸付事務体制の整備のための初期投資が必要となることから、平成20年度又は平成21年度のいずれかの年度に限り、400万円を限度に加算することができるものであること。

10 会計経理について

(1) 都道府県が実施主体である場合

この貸付事業のために、特別会計を設定することは義務づけられていないが、事業の性格に鑑み、当該国庫補助対象事業の会計経理を明確にすること。特に、国庫補助を受けない都道府県負担の事業を併せ実施する場合は、明瞭に区分しておくこと。

(2) 都道府県が適当と認める団体が実施主体である場合

都道府県が適当と認める団体においては、特別会計を設定してこの貸付事業の会計経理を明確にすること。

また、当該特別会計については、毎年度、当該年度における貸付件数、貸付額、返還額等の貸付事業決算書を策定し、都道府県知事に報告しなければならないものであること。