添付一覧
○社会福祉施設における施設機能強化推進費の取扱いについて
(昭和62年7月16日)
(社施第90号)
(各都道府県知事・各指定都市市長あて厚生省社会局長通知)
標記については、別途厚生事務次官から「生活保護法による保護施設事務費及び委託事務費の支弁基準について」(昭和48年5月26日厚生省社第497号)、「身体障害者保護費の国庫負担(補助)について」(昭和62年7月16日厚生省社第529号)、「老人保護措置費の国庫負担について」(昭和47年6月1日厚生省社第451号)及び「婦人保護費の国庫負担及び国庫補助について」(昭和44年6月25日厚生省社第146号)をもって通知され、本年4月1日から実施することとされたが、この経費の適切な運用を図るため、今般、別紙のとおり実施要綱を定めたので、管下社会福祉施設に対し周知徹底のうえ格段の御指導を願いたい。
別紙
施設機能強化推進費実施要綱
第1 目的
施設が持つ専門的な知識や技術等を活かし、地域の人々を対象とした介護相談、指導等を実施するとともに、施設と地域等との交流を促進することにより、入所者の生きがい高揚や家庭復帰、社会復帰に向けての自立意欲の助長を図り、また、施設における火災・地震等の災害時に備え、職員等の防災教育及び災害発生時の安全かつ迅速な避難・誘導体制を充実する等総合的な防災対策を図り、適正な施設運営と施設機能の充実強化を推進する。
第2
1 事業の種類及び内容
(1) 種類
① 社会復帰等自立促進事業
ア 施設入所者社会復帰促進事業
イ 心身機能低下防止事業
ウ 処遇困難事例研究事業
② 専門機能強化事業
ア 介護機能強化事業
イ 機能回復訓練機能強化事業
ウ 技術訓練機能強化事業
③ 総合防災対策強化事業
(2) 内容
別表のとおり
2 事業の選択
事業は各施設の運営状況等から可能な範囲で実施するものとすること。
3 加算の方法等
事業を実施しようとする施設から、別紙様式1を参考とした申請書を都道府県知事(指定都市及び中核市の市長を含む。以下同じ)に提出させ、当該施設の年間事業計画及び当該申請事業の内容、必要性及び経費等について必要な審査を行い、必要と認めた場合は次の方法により加算すること。
なお、個々の事業の加算の認定に当たっては、相当の規模及び頻度で計画的、積極的に実施することにより、入所者処遇の向上等施設運営の充実強化に効果が期待できるものについて対象とすること。
(1) 個々の事業毎の加算額は、別表にあるそれぞれの単価を限度とすること。
(2) 1施設当たりの加算総額は、入所施設にあっては年額75万円以内(ただし、第2の1の(1)の①及び②の事業のみを行う場合は年額50万円以内とし、婦人保護施設の一時保護所については第2の1の(1)の③の事業のみを対象とし年額45万円以内とする。)、通所・利用施設にあっては年額45万円以内とする。
ただし、実所要額がこれを下回る場合は実所要額とし、1施設当たりの加算総額が10万円未満の場合は国庫補助の対象としないこと。
(3) この加算額は、毎月支弁する事務費の加算分として支弁するものとし、その加算分の措置費単価は次の算式により算定すること。(ただし、10円未満は四捨五入)
単価=認定額/(定員×12月)
(4) デイ・サービス事業及びショート・ステイ事業等別途国庫補助金が交付される事業及び都道府県等の単独補助事業を実施している施設については、同種の事業は対象から除外すること。
4 支出対象経費
・需用費(消耗品費、燃料費、印刷製本費、修繕料、食糧費(茶菓)、光熱水費、医療材料費)
・役務費(通信運搬料)
・旅費
・謝金
・備品購入費
・原材料費
・使用料及び賃借料
・賃金(総合防災対策強化事業に限る。)
・委託費(総合防災対策強化事業に限る。)
5 対象施設
入所施設 |
通所・利用施設 |
|
保護施設 |
・救護施設 ・更生施設 ・宿所提供施設 |
・授産施設 |
視聴覚障害者情報提供施設 |
・点字図書館 ・聴覚障害者情報提供施設 |
|
婦人保護施設 |
・婦人保護施設 ・一時保護所 |
第3 特別事業
1 救護施設居宅生活訓練事業(以下「居宅生活訓練事業」という。)
(1) 目的
救護施設に入所している被保護者が円滑に居宅生活に移行できるようにするため、施設において居宅生活に向けた生活訓練を行うとともに、訓練用住居(アパート、借家等)を確保し、より居宅生活に近い環境で実体験的に生活訓練を行うことにより、居宅生活への移行を支援する。
(2) 対象者
本事業の対象者は、生活保護法第38条に規定する救護施設に入所している者であって、1年間の個別訓練を行うことにより、居宅において生活を送ることが可能となると認められる者のうちから、当該施設の施設長により選定された者とすること。
なお、選定に当たっては、対象者に対し、事前に本事業の目的及び内容を十分説明し、その実施について了解を得ること。
また、本事業の対象として訓練を実施した結果、退所することができなかった者は、一定期間本事業の対象者としないこと。
(3) 実施施設の指定
本事業を実施しようとする施設は、毎年度、事業に係る申請書を都道府県知事に提出し、その指定を受けること。
(4) 実施機関との連携
事業終了後、居宅生活を送ることが可能となった者については、その居住地を所管する保護の実施機関が保護の実施責任を負うこととなるので、十分な連絡調整を図ること。
(5) 対象者の居住場所及び設備
ア 訓練用住居は、本事業を実施する救護施設(以下「実施施設」という。)の近隣に確保し、通常の生活に必要な設備を有すること。
イ 居室は個室とすること。
ウ 緊急時等の対応のため、電話設備を設けること。なお、電話設備については、携帯電話での対応でも差し支えないこととする。
(6) 訓練期間・対象人員
訓練期間は、原則1年間とし、この期間の対象人員は2名から10名程度とすること。
ただし、訓練期間の延長により退所が見込まれる者については、さらに1年以内の延長を認める。
(7) 職員の実施体制
本事業の実施に当たっては、原則として、次の数の職員を配置することとし、本事業についての実務上の責任者(居宅生活訓練事業担当責任者)を専任職員として1名配置すること。
対象人員 |
職員数 |
10名以上 |
4名 |
6~9名 |
3名 |
2~5名 |
2名 |
なお、施設入所の状態から訓練を経て地域へ移行する支援の連続性を考慮し、事業対象者となることが見込まれる者との関わり合いを継続的に持ちながら訓練に移行するなど対象者が円滑に訓練に移行できるよう配慮した支援となるよう努めること。
また、本事業は、施設入所者の処遇の一環として実施するものなので、実施施設と十分連携協力体制をとり実施すること。
(8) 事業の実施及び訓練内容
本事業の実施に当たっては、居宅生活訓練事業担当責任者を中心に、事業対象者の状況に応じ、継続して居宅において生活できるよう、次の指導項目について、あらかじめ訓練計画を定め、効果的に行うこと。
・日常生活訓練(食事、洗濯、金銭管理等)
・社会生活訓練(公共交通機関の利用、通院、買い物、対人関係の構築等)
・その他、自立生活に必要な訓練
(9) 他事業との連携について
本事業の実施に当たっては、居住不安定者等居宅生活移行支援事業及び保護施設通所事業を有効に活用するなどにより、救護施設に入所している利用者の地域移行や地域生活移行後の居宅生活継続に向けた支援を積極的に行うこと。
(10) その他留意事項
本事業の実施期間中は、衛生管理、健康管理について十分配慮すること。
本事業の実施に当たっては、訓練中の事故の防止について十分留意すること。
特に夜間においては、火災等に備えて最善の注意を払うこと。
2 加算の方法等
都道府県知事は、事業を実施しようとする施設から、別紙様式1を参考とした申請書を提出させ、当該施設の年間事業計画及び当該申請事業内容及び経費等について必要な審査を行い、必要と認めた場合は次により加算すること。
(1) 事業の限度額
本事業の実施に要する経費は、利用者数に応じて次に定める額を限度とする。
利用者数 |
限度額(月額) |
10名以上 |
114万6170円 |
9名 |
106万8670円 |
8名 |
99万1170円 |
7名 |
91万3670円 |
6名 |
83万6170円 |
5名 |
75万8670円 |
4名 |
68万1170円 |
3名 |
60万3670円 |
2名 |
52万6170円 |
ただし、訓練期間内における各月初日における本事業の対象者数が原則として2名を下回る場合は、支弁の対象としない。
なお、事業対象者の地域移行の結果や、やむを得ない事情により、一時的(原則3ヶ月程度)に利用者が2名を下回る場合(1名を下限とする)は、支弁の対象とすることができるものとする。その際の本事業の実施に要する経費は、1施設あたり月額44万8670円を限度とする。
(2) この加算額は、各月に支弁する事務費に加えて認定額を支弁するものとすること。
認定額=居宅生活訓練事業加算分保護単価×その施設の各月初日の入所実人員
※ 居宅生活訓練事業加算分保護単価(10円未満については四捨五入)=1施設当たりの月額/その施設の訓練期間各月初日の定員
3 事業対象者の効果測定
事業者は、事業期間終了時までに事業対象者に係る事業の効果測定(達成度、目標との比較等)を行い、保護の実施機関に報告するものとする。また、保護の実施機関は当該報告についてケース診断会議等において検討を行い、支援方針に反映し、併せて決定内容について事業者に対し通知を行うものとする。
第4 報告等
1 本事業の経理は、「社会福祉法人会計基準」(平成28年3月厚生労働省令第79号)及び社会福祉法人会計基準関連通知により行うものであるが、本事業の収支の内訳について、補助簿を設けるなど明確に区分し、その実態を明らかにしておくこと。
2 本事業を実施した施設は、毎年4月末日までに別紙様式1を参考とした事業実績報告書を都道府県知事に提出すること。
また、特別事業を実施した施設については、別紙様式2の居宅生活訓練事業実施報告書も併せて提出すること。
3 都道府県知事は、本事業を実施した施設については、監査時等随時事業の検証を行うこと。
4 都道府県知事は、居宅生活訓練事業実施報告書の写しを毎年5月末日までに本職あて提出すること。
第5 その他
本制度の新設により、従来の「地域参加・交流促進費加算制度」は、昭和62年3月31日をもって廃止するものである。
(別表)
施設機能強化推進費の事業内容
社会復帰等自立促進事業 |
専門機能強化事業 |
総合防災対策強化事業 |
||||||
施設入所者社会復帰促進事業 |
心身機能低下防止事業 |
処遇困難事例研究事業 |
介護機能強化事業 |
機能回復訓練機能強化事業 |
技術訓練機能強化事業 |
|||
1 事業内容・目的 |
就労し社会で活躍している施設経験者やアルコール中毒から立ち直った者等を招き、就労のための心構えや断酒のための生活方法等社会で自立生活を営むための必要な心構え、準備について情報交換を行うことにより、入所者の就労等による社会復帰を促進する。 |
地域の児童、学生、老人クラブ等を定期的に招へいし、入所者との座談会、レクリエーション及び身寄りのない入所者との一日親子等対話、交流の機会を設けることにより老人ホーム等入所者の孤独感の解消、生きがい高揚、痴呆の進行防止、身体機能低下防止等を図る。 |
在宅の寝たきり老人、痴呆性老人等の介護経験者を招き、近隣の施設の指導員、寮母等と共に処遇困難ケースについての研究会を行うほか、職員の施設間交流により新たな処遇技術等を体得させる。 |
家庭において、寝たきり老人、痴呆性老人及び重度障害者(児)を抱え介護している家族等を対象として、介護方法についての相談に応じ、指導することを通じて、寝たきり老人等の多様な態様や、それに対応して家族で行っている様々な介護の方法、本人と家族との接触のあり方等の実態を把握し、知識を深める。 |
家庭において、寝たきり老人、重度障害者(児)の介護に当たっている家族等を対象として、機能回復訓練や補装具・自助具の装着等についての相談に応じ、指導することを通じて多様な需要や家庭の対応の実態等について把握し、知識を深める。 また、在宅障害者等を招き入所者とともに訓練する機会を設け、相互の情報交換、励まし合い、自立意欲の向上等を図る。 |
在宅の老人、障害者等を対象として、技術取得の相談に応じ、指導することを通じて、多様な技術需要を把握し、入所者の訓練内容の充実、改善に資する。 また、入所者との共同作業に参加させることにより、入所者との在宅の老人、障害者等相互の情報交換、励まし合い、自立意欲の向上等を図る。 |
施設における火災・地震等の災害時に備え、職員等の防災教育及び災害発生時の安全かつ迅速な避難誘導体制を充実する等施設の総合的な防災対策の充実強化を図る。 |
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入所施設 |
通所・利用施設 |
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2 実施方法(例) |
① 施設経験者等部外者を招へいし、講話、座談会を実施する。 ② 入所者の一般工場、事業所等への見学を集団的に実施する。 |
部外者招へいによる入所者との座談会、レクリエーション、一日親子等を実施する。 |
① 近隣施設の職員と共同で処遇困難な事例等の研究会を開催する。 ② 職員を県内又は県外の他の施設で実地研修させる。 |
パンフレット、スライド、ビデオ等により介護方法等を助言、指導する。 |
パンフレット、スライド、ビデオ等により機能回復訓等、補装具、自助具の操作方法等を助言、指導する。 |
パンフレット、スライド、ビデオ等により技術取得のための作業訓練方法等を助言、指導する。 また、入所者との共同作業に参加させる。 |
① 現体制では夜勤体制及び宿直体制の確保が困難な施設に宿直専門員を雇上げる等夜間巡視体制の強化を図る。 ② 地域住民等への防災支援体制の整備及び合同避難訓練等を実施する。 ③ 職員等への防災教育、訓練の実施及び避難具の整備を促進する。 |
① 地域住民等への防災支援協力体制の整備及び合同避難訓練等を実施する。 ② 職員等への防災教育、訓練の実施及び避難具の整備を促進する。 |
3 加算単価 |
30万円以内 |
30万円以内 |
30万円以内 |
15万円以内 |
15万円以内 |
15万円以内 |
45万円以内 |
15万円以内 |
(別紙様式1)
(別紙様式2)