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○ボランティア基金に対する寄付金に係る税制上の優遇措置の拡大及びボランティア基金の積極的造成について

(昭和六一年五月一日)

(社庶第六五号)

(各都道府県・各指定都市民生主管部(局)長あて厚生省社会局庶務課長通知)

昨今における厳しい財政事情と福祉ニーズの増大、多様化という状況の中で、福祉サービスの供給を担う資源の一つとして、また、国民の福祉に対する理解を深めるための一助としても、ボランティア活動に対する期待には大きなものがあるが、ボランティア活動が今後とも安定的かつ継続的に展開するためには、そのための条件整備が必要であり、資金面でそれを支える基金の充実を図ることは特に重要である。このため、当省においては、一昨年来、税務当局等に対し、ボランティア基金に対する寄付金について、指定寄付金の取扱いを認めるよう要望を行つてきたところであるが、昭和六一年度税制改正において、その実現が図られることとなり、本年三月三一日付けで、別添のとおり、指定寄付金化に係る大蔵省告示の改正が行われたところである。

ついては、今回の税制改正の趣旨について了知の上、管下市区町村等に周知されるとともに、左記事項及び別紙運用指針に留意の上、ボランティア基金の積極的な造成に努め、ボラントピア事業の推進等とも相まつて、ボランティア活動の育成、普及が図られるよう御配慮をお願いしたい。

おつて、本件については、別途、中央共同募金会から各都道府県共同募金会あて通知される予定であるので、念のため申し添える。

1 指定対象基金(全国レベル、都道府県レベル及び指定都市レベルの基金であつて、社会福祉の分野における民間奉仕活動の振興を目的として、社会福祉法人又は一定の民法法人に設定されるもののうち、所定の基準を満たすものを言う。以下同じ。)は原則として、各単位公共団体毎に一を限度とするものであるので、指定寄付金としての運用が認められる原則一○億円の枠を有効に活用するという観点から新たに指定対象基金たるボランティア基金を設定するか、あるいは、指定対象基金の要件を満たす既存のボランティア基金を指定対象基金として取り扱うか、指定対象基金の要件を満たさない既存の福祉基金について、内容の見直しを行つた上で指定対象基金として取り扱うか等について、都道府県社会福祉協議会等の関係者とも調整の上、十分な検討を行い、適切な対応を図られたいこと。

なお、企業等への周知徹底を図る上で、各都道府県及び指定都市において、どの基金が指定対象基金に該当するかを明確にしておく必要があるので、指定対象基金を定めた場合には、その旨、公報に掲載する等の措置を講ずるとともに、遅滞なく当職あて報告されたいこと。

2 都道府県レベル及び指定都市レベルにおいて、指定対象基金たるボランティア基金が設定されていない場合には、結果的に、指定寄付金を活用した管下市町村レベルの基金に対する助成等も行えないこととなるので、指定対象基金たるボランティア基金が設定されていない都道府県及び指定都市にあつては、できるだけ早く、これを設定するよう努められたいこと。

3 指定対象基金への寄付で、指定寄付金の対象となるのは、その設立後五年以内の期間(「福祉ボランティアのまちづくり事業」を行う市区町村レベルのボランティア基金については、指定を受けた日の属する年の翌年から五年以内の期間)であるので、その期間内に基金造成の目標額が達成されるよう各都道府県及び指定都市においても、民間企業等からの募金について計画を立てる等努力を払われたいこと。

4 今回の税制改正において、新たに赤い羽根共同募金をボランティア基金に対して配分することが認められることとなつたところであるので、昭和六一年度以降における赤い羽根共同募金の配分については、今回改正の趣旨を踏まえ、都道府県共同募金会等の関係者とも調整の上、地域の実情に即した適切な対応を図られたいこと。

5 当省においては、共同募金会等への高額寄付者に対し、厚生大臣感謝状の贈呈を望む声が関係者の間で強かつたことを踏まえ、昭和五九年度以来、共同募金会等への高額寄付者に対する感謝状の贈呈を行つているところであるが、民間企業等からの寄付を促進する観点からは、このような感謝状贈呈制度も有意義であると考えられるので、各都道府県及び指定都市におかれても知事又は市長の感謝状贈呈制度の創設等を含め、基金造成について積極的に協力されたいこと。

別添 略

(別紙)

ボランティア基金に対する税制上の取扱いについて(運用指針)

 

左記についての細部解釈

第1 運用に係る基本的考え方

 

1 全国レベル、都道府県レベル及び指定都市レベルのボランティア基金を有する法人については、告示第4号の2の対象とする(対象となる法人は、第2のボランティア基金認定基準に掲げる基準をすべて満たすもののうち、各単位公共団体毎に1を限度とするものとする。ただし、都道府県レベルのものについては、昭和60年12月31日までに設立されているものに限り、2を限度とするこができる。)こととし、告示第4号の2の使途(包括告示)に「社会福祉事業に係る民間奉仕活動に必要な基金(ボランティア基金)」を追加するものであること。

(1) ボランティア基金の助成対象となるボランティア活動とは、受益者から対価を求めることなく、例えば、次のような活動を行うものをいうものであること(ただし、交通費等の実費弁償を行うことは差し支えない。)。

① 在宅老人、障害者等に対する給食、入浴、家事援助サービス

② 在宅老人、障害者等に対する外出時の運転サービス

③ ひとり暮らし、寝たきり老人等に対する訪問サービス

④ 点訳、録音サービス

⑤ 社会福祉施設での労力サービス

⑥ 老人、障害者等に対する文化、レクリエーション活動の指導、援助サービス

(2) ボランティア基金とは、上記のボランティア活動に関し、次のような助成を行うものをいうものであること。

① 個々のボランティア活動団体に対する活動費の助成

② 移動入浴車等ボランティア活動関係資器材の購入費の助成

③ 社協等が行うボランティアの養成、研修事業費の助成

(3) 「都道府県レベルのものについては、昭和60年12月31日までに設立されているものに限り、2を限度とすることができる」とあるが、これは、都道府県レベルでは、昭和60年12月31日現在、既に、ボランティア関連基金が2つ設立されている事例があつたため、これを救済する趣旨から特例的に認めるものであること。従つて、昭和60年12月31日以前に設立されたボランティア基金に加え、それ以後に、新たに設立される基金をも含め適用する趣旨ではないこと。

2 上記の適用対象とならないボランティア基金を有する法人のうち第2の基準をすべて満たすものについては、告示第4号の対象とすることとし、同告示第4号の使途(個別指定告示)に「社会福祉事業に係る民間奉仕活動に必要な基金(ボランティア基金)」を追加するものであること。

(1) 個別指定告示とは、昭和40年大蔵省告示第154号ではなく、赤い羽根共同募金の実施に際し、毎年度制定される個別の大蔵省告示を指すものであること。

(2) 赤い羽根共同募金(告示第4号)の配分を受けた者は、その配分を受けた後1年間は、社会福祉事業法第69条の寄付金の募集を行うことができないものであるので(社会福祉事業法第81条)、留意する必要があること。

3 都道府県レベル(又は指定都市レベル)のボランティア基金を有する法人は、

① 告示第4号の2の適用を受けて、寄付金審査会を通じ受領した寄付金により造成、補充されたボランティア基金の運用益をもつて、当該都道府県内(又は指定都市内)の市町村レベル(又は区レベル)のボランティア基金を有する法人に対する助成を行えるものである(当該市町村レベル(又は区レベル)のボランティア基金を有する法人は、当該助成に係る金額を自らのボランティア基金に組み入れることができるものとする。)とともに、

② 「福祉ボランティアのまちづくり事業」を行う市町村レベル(又は区レベル)のボランティア基金を有する法人(「福祉ボランティアのまちづくり事業」の実施主体としての指定を受けた日の属する年の翌年から5年以内の期間に限る。ただし、平成5年12月31日以前に期限の到来するものについては、同日までとする。)のボランティア基金に充てるために告示第4号の2の適用を受けて、共同募金会を通じ、経常的経費として寄付金を受領し、当該市町村レベル(又は区レベル)のボランティア基金を有する法人に対して交付(原則として年間1000万円を限度とする。)することができるものであること。

なお、当該都道府県レベル(又は指定都市レベル)のボランティア基金自体が指定対象基金としての適用期限を経過した後であっても、上記寄付金の受領、交付は可能であること。

 

第2 ボランティア基金認定基準

 

1 指定寄付金の対象となる法人は、寄付行為、定款、要綱等においてボランティア活動を主たる目的とすることが明示されているもののうち、他の会計より区分経理されたボランティア基金(以下「基金」という。)より生ずる果実に係る毎年の支出の100%がボランティア活動に充てられるもの(民法法人にあっては、ボランティア基金の設置、運営について、社会福祉事業法第64条第1項に基づき、都道府県知事への届出を行っているものに限る。)に限る。

(1) 「果実に係る毎年の支出の100%がボランティア活動に充てられる」としているのは、果実をボランティア活動以外の活動に充てることを厳に禁じる趣旨であること。なお、果実を積極的に、ボランティア活動に充てるという観点からは、果実の全部又は一部を基金原資に繰り入れることは、原則として好ましくないこと。

(2) 指定寄付金の取扱いは、社会福祉事業法にいう社会福祉事業に係る経費に充てるために支出される寄付金についてのみ認められるものである。従って、民法法人が設置主体であるボランティア基金が指定対象基金となるためには、当該民法法人が社会福祉事業としての助成事業(社会福祉事業法第2条第3項第7号)を行うものとして、第二種社会福祉事業を実施する場合の手続(社会福祉事業法第64条第1項に基づく都道府県知事への届出)を行っていることが必要であること。

2 指定寄付金に係るボランティア基金(以下「指定対象基金」という。)を有する法人に対し、当該基金に充てることを目的として共同募金会を経て(告示第4号の2)支出される寄付金は、全額基金に組み入れることとする。「指定対象基金」については取崩しを認めない。

同一の法人において取崩しを想定している基金をあわせ有する場合には、指定対象基金については他の基金と区分経理をする。

「取崩しを認めない」としているのは、指定寄付金として受け入れられた寄付金が確実にボランティア活動の振興のために、使用されることを担保する趣旨である。通例、基金においては、「基金は、理事会及び評議員会の4分の3以上の同意並びに主務官庁の承認がなければ、これを処分し、又は他の目的に使用することができない。」旨の規定が設けられている例が多いが、これは基金の取崩しがあり得ることを前提として設けられている規定であるので、指定対象基金であるボランティア基金にあっては、このような規定は認められないものであること。

3 指定対象基金に係る金額については、解散時において国若しくは地方公共団体又は類似の目的を有する社会福祉法人に帰属せしめるものとする。

 

4 基金の毎年の予算・決算については、関係地方公共団体の承認を得ることとする。ただし、法人の役員に関係地方公共団体の職員が就任するとともに、「基金配分委員会」に関係地方公共団体の職員が参加することをもってこれに代えることができる。

「基金配分委員会」としているが、基金の配分のみならず、基金の造成等も含め、基金の管理全般を行う委員会であって「基金管理委員会」等の名称を使用しているような場合は、何ら支障はなく、必ずしも「基金配分委員会」という名称によらなければならないものではないこと。

5 基金に関する事務処理に要する経費については、基金より生ずる果実のうち3000万円以内の部分については10%の範囲内、3000万円を超える部分については3%の範囲内に限り、充当できるものとする。

(1) 例えば、基金より生ずる果実が4000万円の場合、事務処理経費に充当できる額の上限は、330万円〔=3000万円×0.1+(4000万円-3000万円)×0.03〕であること。

(2) 基金の果実より充当することのできる事務処理経費としては、次のようなものがあること。

① 配分委員会の運営費

② 普及、広報費

③ 備品、消耗品費

④ その他基金運営の事務処理に特に必要とされる経費

6 基金においては、人件費を計上しないこととする。

(1) 基金の果実を、併任でボランティア基金の事務処理に当たっている者等の人件費のために費消することは認められないので、その旨を明らかにしたものであること。

(2) なお、認定基準の5との関連においては、配分委員会の運営費、普及、広報費等に充当した後、5の基準の範囲内において、基金の事務処理経費として、専任の職員の給与を含ませることは、特に差し支えないものであること。

7 基金の果実の配分の対象となる活動は、受益者からの対価を求めないボランティア活動に限る。ただし、実費弁償を行うことは差し支えない

 

8 指定寄付金の対象となる法人の基金保有額は原則として10億円を超えないものとする。

 

9 指定対象基金は、その設立後5年以内のものに限る。ただし、平成5年12月31日以前に期限の到来するものについては、同日まで指定の対象となるものとする。

 

10 指定対象基金は、毎年度末において当該年度内の募金額、当該年度末の基金残高及び果実の使途実績を、厚生省を通じ、大蔵省に報告するものとする。

指定対象基金に係る果実の使途実績等については、共同募金会においてとりまとめ、厚生省を通じて、毎年度末、大蔵省に報告するものであること。

11 上記要件については、毎年要件充足の有無を判定するものとする。

積極的な認定又は判定行為が特に必要とされる趣旨ではなく、認定基準の10による報告を行う際に、要件充足の有無を判断するものであること。