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○社会福祉事業団等の設立及び運営の基準について
(昭和四六年七月一六日)
(社庶第一二一号)
(各都道府県知事あて厚生省社会・児童家庭局長連名通知)
地方公共団体が設置した社会福祉施設の受託経営を主たる事業目的とする社会福祉事業団等の設立及び運営の基準を別紙のとおり定めたので、御了知のうえ、適切な指導監督にあたられたい。
なお、既存の社会福祉事業団については、すみやかにこの基準に適合させるよう指導されたい。
(別紙)
社会福祉事業団等の設立及び運営の基準
社会福祉事業団等の設立及び運営の基本方針
1 地方公共団体が設置した社会福祉施設は、地方公共団体において自ら経営するほか、施設経営の効率化が図られる場合には、社会福祉法人組織により設立された社会福祉事業団に経営を委託することができるものとし、社会福祉事業団の設立、資産、役員、施設整備、委託料等に関する基準を設けて公的責任の明確を期するとともに経営の合理化に資することとする。
2 社会福祉事業団以外の社会福祉法人に経営を委託する場合の基準について第二に示すが、地方公共団体においては、公設施設の経営の効率化や地域の実情に応じた対応を可能とするため、特段の要件を付することなく、委託先を選定すること等ができるものである。
3 地方公共団体が広域行政の見地から社会福祉施設を設置しようとする場合は、従来の一部事務組合によるほか、関係地方公共団体が共同して社会福祉法人を設立し、これに施設の設置経営を行なわせることができるものとし、この場合における所要の基準を設けることとする。
4 本通知で定める基準は、国においてその適正な処理を特に確保する必要がある法定受託事務について定められる処理基準のように、これによることを義務付けるものではなく、地方自治法第245条の4第1項の規定に基づく技術的助言としての位置付けを有するものであり、公設施設の受託経営等を行う法人の一つの在り方を示したものである。
5 社会福祉事業団等を運営するに当たっては、地域の実情を踏まえ、同基準に定める個々の項目について創意工夫を生かした対応が可能である。
また、今後社会福祉事業団等は、先に述べたとおり、地域における社会福祉事業の担い手としての重要な役割を果たすことが期待されるものであることから、福祉サービスの質の向上に資するものとして、一般の社会福祉法人にとって先駆的な事業や研究事業等の地域の実情に応じて対応が必要な福祉に係る需要を満たすための事業を行うなど、積極的な取組を行われたい。
第一 社会福祉事業団の設立及び運営の基準
1 社会福祉事業団の設立
(1) 社会福祉事業団(以下「事業団」という。)は、少なくとも二以上の入所施設(大規模な入所施設にあつては一以上。なお、入所施設には福祉型・医療型児童発達支援センター、障害者福祉サービス(日中活動サービス、宿泊型自立訓練、共同生活援助に限る。)に係る施設を含む。)の経営をこれに委託しようとする都道府県、市が設立できるものとする。
(2) 事業団は、社会福祉法人組織によるものとする。
2 事業団の事業目的
事業団の主たる事業は、都道府県、市が設置した施設の受託経営に限るものとする。ただし、当該受託経営に支障のない範囲で、事業団が自ら施設を設置し経営することができる。
3 条例の制定
施設経営の委託は条例に基づくものとし、条例において施設の名称と委託先を明定するものとする。
4 資産について
(1) 設立の際基本財産として、都道府県が設立する事業団にあつては一○○○万円以上、指定都市が設立する事業団にあつては五○○万円以上、指定都市以外の市が設立する事業団にあつては三○○万円以上をそれぞれ当該地方公共団体が出資するものとする。
(2) 事業団の残余財産は、定款の定めにより事業団を設立した地方公共団体に帰属させることができるものとする。
5 役員等
(1) 理事長は原則として都道府県知事又は市長とし、民生部(局)長が副理事長又は理事に加わるものとするが、評議員会及び理事会において適正に手続をとること。
(2) 理事、監事又は評議員には関係都道府県、市の職員が相当数選任されることはやむを得ないが、親族等特殊関係者の制限を遵守するとともに、理事、監事又は評議員総数の三分の一程度は民間学識経験者、社会福祉事業関係者から選任されるよう配慮する。
(3) 事務局長及び施設の長は、理事長が都道府県知事又は市長の承認を得て任命する。
6 施設整備
都道府県、市は事業団の施設整備(増改築、修理を含む。)については責任をもつてこれにあたること。また、設備運営に関する基準の遵守についても都道府県、市は指導監督にあたること。
7 委託料
(1) 都道府県知事又は市町村長が法律の規定に基づき行なう入所等の委託は、施設を設置した都道府県、市に対して手続をとるものとする。したがつて措置に要する費用もこれらの都道府県、市に対して支出するものとする。
(2) 都道府県、市は、事業団に対してその管理運営に必要な費用として委託料を支払うものとする。
(3) 委託料の額は、この運営基準にしたがつて適正な額とすること。
(4) 事業団の経営施設は、民間施設給与等改善費を受けることはできないものとする。
8 職員
(1) 事業団の職員の処遇(給与、退職金等)は、事業団を設立した地方公共団体の職員に準ずるものとすること。ただし、単純に年功的処遇を行なうのではなく、職務に応じた給与の支給等適切な配慮を加えるものとする。
(2) 事業団の職員は、社会福祉施設職員退職手当共済制度の適用を受けられるものとする。この場合、都道府県、市の職員に準じた退職手当の額がこの制度による給付を上回り経営委託費で措置できないときは、当該都道府県、市が補助金を交付すること。
9 経営の合理化
事業団は、各施設相互の有機的連携に配意し、例えば、施設間の職員の人事の交流、施設の集団化、事務の集中化等経営合理化に努めるものとする。
10 付帯事業
都道府県が設立した事業団は、次のような付帯事業を行なうことができる。この場合、付帯事業の種類を定款に明記すること。
(1) 民間の社会福祉施設に対する経営資金の貸付事業
(2) 社会福祉施設職員の研修事業
(3) その他当該地域内の社会福祉事業に対する指導助成のための事業
11 予算、決算の承認
事業団の予算及び決算については、知事又は市長の承認を受けるものとし、この旨定款に明記すること。
第二 地方公共団体が設置した施設の経営を事業団以外の社会福祉法人に委託する場合の基準
地方公共団体が設置した施設は、当該地方公共団体において自ら経営するほか事業団へ委託して経営させることを原則とするが、これによりがたい場合には事業団以外の社会福祉法人に経営を委託することができることとする。
1 委託先の社会福祉法人について
委託先の社会福祉法人は、経営者が社会福祉事業について熱意と高い識見を有し、施設経営全般について良好な経営の実績を有すること、及び次の(1)又は(2)のいずれかに該当する場合に委託することができるものとする。
(1) 委託先の社会福祉法人は、受託しようとする施設と同種又は類似の施設についておおむね過去一○年以上良好な経営の実績を有すること。
(2) 受託しようとする施設の施設長又はこれに準ずる者が、当該施設と同種又は類似の施設においておおむね過去一○年以上施設長又は幹部職員として勤務した経験を有し、良好な勤務の実績を有すること。
2 条例の制定
事業団の場合と同様施設経営の委託は条例に基づくものとし、条例において施設の名称と委託先を明定するものとする。
3 施設整備
地方公共団体は、委託する施設の整備(増改築、修理を含む。)及び設備運営に関する基準の遵守の指導監督について事業団の場合と同様責任をもつてこれにあたること。
4 委託料
(1) 措置の手続、措置費及び委託料の支払方法については、事業団の場合と同様とする。
(2) 委託料の額は、この運営基準にしたがつて適正な額とすること。
(3) 受託施設は、民間施設給与等改善費を受けることはできないものとする。
第三 地方公共団体が広域行政の見地から設立する社会福祉法人の設立及び運営の基準
1 社会福祉法人の設立
この社会福祉法人(以下「法人」という。)は、少なくとも一以上の入所施設を設置運営しようとする二以上の関係市町村が共同して設立できるものとする。
(注) 入所施設の範囲は事業団の場合と同様とする。
2 運営協議会の設置
(1) 関係市町村は、設置しようとする施設の種類、規模、設置場所、施設整備及び管理運営に要する費用の負担割合、役員の人選、解散した場合における残余財産の帰属等法人の運営に関する基本事項を協議、決定する機関として運営協議会を設置するものとする。
運営協議会の委員は、原則として関係市町村長をもつてこれにあてる。なお、会長は委員の互選による。
(2) 運営協議会の決定事項の実施にあたつては、法人の理事会、評議員会の議決又は関係行政庁の認可を要するものについては、これらの手続を経なければならない。
3 役員
(1) 理事には関係市町村長及び民生担当部課長が加わるものとするが、評議員会及び理事会において適正な手続をとること。
(2) 理事、監事又は評議員については、親族等特殊関係者の制限を遵守するとともに、理事、監事又は評議員総数の三分の一程度は民間学識経験者、社会福祉事業関係者から選任されるよう配慮する。
4 資産について
(1) 法人の設立の際、基本財産として総額一○○万円以上を関係市町村が出資するものとする。
(2) 残余財産は、定款の定めにより当該法人を設立した市町村に帰属させることができる。
5 管理運営に要する費用
(1) 法人の管理運営に要する費用は、原則として措置費収入のほか関係市町村の補助金によつてこれにあてるものとする。
(2) 管理運営費のための補助金は、この運営基準にしたがつた適正な額とすること。
(3) 法人の経営施設は、民間施設給与等改善費を受けることはできないものとする。
6 施設整備
法人の施設の整備(増改築、修理を含む。)にあたつては、国、都道府県の補助金以外の部分については、原則として関係市町村が負担するものとする。したがつて、法人がこの部分の額の全部又は一部を借入金で賄うことは差し支えないが、借入金の元利償還にあたつては、関係市町村が責任をもつて財政措置を講ずること。
また、関係市町村は、法人の設備運営に関する基準の遵守の指導監督について責任をもつてこれにあたること。
7 職員
(1) 法人の職員の処遇(給与、退職金等)は、関係市町村の職員の平均的水準に準ずるものとする。
(2) 法人の職員は、社会福祉施設職員退職手当共済制度の適用を受けられるものとする。
(3) 各職員の給与、退職金の支給にあたつては、事業団の場合と同様適切な配慮を加えること。
8 予算、決算の承認
法人の予算及び決算については、関係市町村長の承認を受けるものとし、この旨定款に明定すること。