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○共同募金の実施について

(昭和四二年九月一九日)

(社庶第三四〇号)

(各都道府県知事あて厚生省社会局長通知)

共同募金運動が過去二○年間にわたり、わが国民間社会福祉事業の振興に寄与し、かつ、国民の社会福祉事業への理解を深める上に果してきた役割は極めて大きく、今後もますますその重要性と成果とが期待されるところである。

同時に、この募金が国民の善意を基盤とする純然たる民間運動であり、この事業に対する国民の関心が極めて高いだけに、募金の実施にあたつては、この国民の期待にこたえるよう適正に実施されなければならないことはいうまでもない。このような観点から、さらには先般行なわれた行政管理庁の観察結果にもとづく勧告の次第もあり、種々早急に改善すべき点があるので、本年度共同募金の実施を目前にひかえ、各都道府県においては、共同募金会等に対し、特に次の事項につき留意のうえ、そのすみやかな改善指導に特段の配意を願いたい。

さらに、共同募金運動は、全国二○○万人の奉仕者の善意により支えられて展開されるものであり、共同募金会の運営上に改善を要する問題点があるにせよ、この運動自体は国民たすけあいの精神の上に更に発展されるべきものであることは何人も否定するところではなく、従つて、今後の育成については、従前にもまして積極的、かつ、強力に行なわれたい。

1 共同募金会について

(1) 募金の収納につき適正化をはかり、募金収入額を的確には握すること。

ア 共同募金会の支会および分会において収納された寄付金は、止むを得ない場合を除き、即日全額都道府県共同募金会へ送金すること。ただし、歳末たすけあい運動における寄付金については、その運動の趣旨および性格にかんがみ、迅速に配分する必要があるのでこの限りでないこと。

イ 支会および分会における目標超過分についてのいわゆる天引を禁止すること。

ウ 募金従事者が募金経費を天引して納入することを禁止し、収納の都度全額を納入させること。

エ 寄付者にかかる領収証控又は寄付者名簿等の整備をはかること。

(2) 共同募金会支会および分会の事務処理体制の確立をはかること。

ア 寄付金出納の責任者については、これを一般に周知させる方途を講ずること。

イ 寄付金の収納と都道府県共同募金会への送金とを明らかにした帳簿、書類その他諸帳簿の整備をはかること。

(3) 募金経費の節減とその支出の適正化をはかること。

ア 募金経費については、その使途において餞別、記念品代等については勿論のこと、募金運動上必要な会議費その他の諸経費であつても、国民感情からみても不適当と考えられるような支出は、厳に自粛し、かつ、従来示されている経費の標準に則り概ね一○%を限度として、これを極力節減すること。

イ 募金経費については、支出および分会において寄付金のなかから天引することなく、あらかじめ都道府県共同募金会より支会および分会に対し必要な資金を概算交付等の方法により前渡し、運動期間終了後、適切な方法により精算を行なうこと。

ウ 募金経費については、募金終了後配分額と同時に明確に公表すること。

(4) 共同募金の使途につき正しく周知徹底をはかること。

ア 共同募金の配分内容については、寄付者である国民に対して十分に理解が得られるよう周知徹底をはかることに欠けるものがある。

例えば、最近において活発に展開されるにいたつた社会福祉協議会を中心とする地域福祉活動については、その活動の必要性、活動内容についての理解を得るための努力が不十分であり、このためその事業費に対する共同募金の配分について理解されず、寄付者に不審の念を懐かせるむきも見受けられる。

従つて、施設および地域福祉活動等への共同募金の配分については、募金の終了後のみでなく、募金にさきだつても正しく理解されるよう十分周知徹底をはかること。

イ 共同募金の配分に関する事前および事後の公表については寄付者である国民に広く、かつ、的確に周知徹底することができるように、日刊紙等への掲載等についても考慮すること。

(5) 募金方法につき応分寄付の推進をはかること。

共同募金は寄付者の自発的な協力を基礎とするものであるから募金に当つては、戸別割当等によることなくあくまで寄付者の自発的意志によりその分に応じて行なわれるいわゆる応分寄付の方法により実施を推進すること。

(6) 募金期間についてはこれを厳守すること。

(7) 共同募金会の役員および評議員に配分を受ける者が含まれることについては、既に昭和二六年六月四日付通達により、共同募金会の役員又は評議員の選任上、特に止むを得ない事情があり、関係者に異存がなく、かつ、配分の公正を欠くおそれのない限り別の資格で共同募金会の役員又は評議員になることは差支えないとされているが、これは共同募金運動を円滑に推進するために止むを得ない措置である。しかし、勧告の指摘のごとく、これらの兼職の役員、評議員が相当に大きな比率となり、ときには過半数にも及ぶことは共同募金配分の公正の確保の点において適当ではないと考えられるので、兼職の者をなるべく減少させ、あるいは、それらの者については、共同募金会の配分関係業務については関与させない等の措置をとること。

2 社会福祉協議会について

社会福祉協議会が市町村等の地域内において生計困難者、老人、身体障害者、母子家庭、児童等への居宅援護活動を行なう場合、その事業費として共同募金の配分を受けることは当然認められるが、その配分金は、地域社会の福祉向上のため最も有効適切なものとして共同募金会より指定されたとおり使用されるべきものであつて、この場合次の諸点につき特に留意し、適切な指導が行なわれる必要がある。

(1) 共同募金の配分金は、社会福祉協議会の一般会計と区分して別勘定を設けて、これを経理すること。

(2) 社会福祉協議会の職員の人件費、事務費等については、なるべく速かにそれ自体の会費収入および国、地方公共団体の補助金等によつて賄い、共同募金の配分金に、一部であるにせよ依存しないことが望ましいので、国は勿論、地方公共団体においても公費補助の増額に努力するとともに、社会福祉協議会においても、会費収入の増加等について努力すること。

(3) 共同募金の一環であるべき歳末たすけあい募金が、一部府県において共同募金会において実施されず、社会福祉協議会の募金として実施されているところがあるが、これは社会福祉事業法の規定あるいは、昭和三四年度より共同募金の期間延長を行なつた経緯にかんがみても認められるところであるので、この種の募金は直ちに改めること。