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○社会福祉法人の会計について

(昭和二八年三月一八日)

(社乙発第三二号)

(各都道府県知事あて厚生省社会・児童局長連名通知)

標記の件に関しては、かねてより検討中であつたが、今般左記のとおり社会福祉法人の実態に即応した会計要領を決定したから、貴管下各法人に周知徹底せしめ、明年度以降の社会福祉法人の会計は、成るべくこの要領に基いて経理されるよう指導されたい。おつて、児童福祉施設を経営する社会福祉法人が、もしこの要領を採用しようとする場合においても、「児童福祉施設の財務事務の取扱について」(昭和二四年二月二三日児発第一二八号)通知に定める事項については、なお同通知が適用されるものであるから念のため申し添える。

社会福祉法人会計要領

第一 記録及び計算

社会福祉法人(以下「法人」という。)はその収入支出、財政状態及び事業成績を明らかならしめるために、別表第1に定める事項について正規の簿記の原則に従つて整然と且つ明瞭に記録し、又その記録に基いて所要の計算を行うこと。

第二 勘定科目

法人は第一の記録計算を行うに当つては、概ね別表第2に掲げる勘定科目を基準として、その法人の事業、業態、経営規模などの実情に適合するよう適当に定めたる勘定科目に従つて記載すること。

第三 備付帳簿

1 第一の記録を行うため、法人は、総ての取引を収入及び支出若しくは借方及び貸方に仕訳する帳簿を備え、これに取引の発生順に、取引の年月日、勘定科目、内容、次号に規定する帳簿の丁数及び金額を記載すること。

前項の帳簿を代えて、伝票を組織的に整理集合し、これに日計表その他の諸表票を添付したものを用いることを妨げないこと。

2 第一の計算を行うため、法人は、総ての取引を勘定科目の種類別に分類して整理計算する帳簿を備え、その各勘定毎に、取引の年月日、相手の勘定科目、前号に規定する帳簿の丁数及び金額を記載すること。

前項の帳簿に代えて、勘定科目の種類別に分類して整理計算するごとく設計せられた一覧表或は集計表を用いることを妨げないこと。

第四 資産の棚卸

法人は毎会計年度末に、固定資産及び棚卸資産などの資産の棚卸その他決算のために必要な事項の調査整理を行い、棚卸表を作成すること。

前項に規定する棚卸表には、財産の種類、品名、数量、単価及び金額を記載すること。

第五 減価償却

法人は固定資産について、正当な計算に基いて算出された減価償却費を損費に計上することは差し支えないこと。但し、固定資産のうち国又は地方公共団体の補助をうけた部分の金額に相当する減価償却費は、これを事務費又は事業費のうちに損費として計上することができないこと。

第六 特別会計

社会福祉事業法(以下「法」という。)第二五条の規定に基き、収益事業を行う法人は、その収益事業に関する会計を、当該法人の行う社会福祉事業に関する一般の会計から区分し、特別の会計として処理すること。

二種以上の社会福祉事業を営み、又は二か所以上の施設を経営し、若しくは附帯事業を併せて営む法人は、その営む社会福祉事業若しくは附帯事業について、特別の会計を設けることは差し支えないこと。

前二項により特別会計を設ける場合には、一般の会計とは別に第三の帳簿を備え、且つ、これらの特別の会計と一般の会計の諸勘定とは有機的関連を保たせなければならないこと。

第七 収益事業の原価計算

収益事業として、生産又は加工の業務を営む法人は、これについて業務の態様、経営規模などの実情に適するような原価計算を行うこと。

第八 決算及び財務諸表

1 法人は、法第四二条第二項の規定に基き、毎会計年度末に決算を行い、当該会計年度終了後二か月以内に、第二に規定する勘定科目に従つて収支計算書及び貸借対照表を作成し、財産目録並びに事業報告書と共に、これらを法人の事務所に備えておくこと。

2 二種以上の異なる事業を営む法人の収支計算書においては、各々の事業に共通する収入又は支出は、これを各事業別に区分して記載すること。但し、区分することが不可能又は困難な収入及び支出はこれを一括して計上することを妨げないこと。

前項の場合に、共通する収入又は支出について、第一の記録計算はこれを単一の勘定科目で行い、決算においてこれを適当の基準によつて各事業別に分割配賦することを妨げないこと。

第九 特別会計の財政諸表

第六の特別の会計を設ける法人は、その特別の会計については、一般の会計とは別の収支計算書及び貸借対照表を作成すること。その場合、特別の会計と一般の会計の諸勘定とが有機的関連を保つことを明らかならしめるために、相互の関連を示す勘定の残高をそれぞれの会計に関する収支計算書及び貸借対照表に掲げること。

第一○ 書類の保存

1 法人は、第八及び第九に掲げる収支計算書及び貸借対照表を、財産目録並びに事業報告書と共に永久に保存すること。

2 法人は、次に掲げる帳簿書類を整備し、一○年間これを保存すること。

(1) 第三、第四、第六及び第七の帳簿並びに取引に関して作成されたその他の種類。

(2) 取引に関して相手方から受け取り又は自己の作成した契約書、注文書、送り状、領収書、伝票その他の証憑書。但し、相手方に交付し自己の所持しないものを除く。

前項の期間は、帳簿についてはその閉鎖の日の属する会計年度の翌会計年度の期首から、又その書類についてはその作成又は受領の日の属する会計年度の期首から起算する。

第一一 特例

法人の事業の規模が大きく、この要領によつては正確な会計を行うことができない場合には、経済安定本部企業会計原則及び財務諸表準則に規定される要領に準拠して会計を行うことができること。

別表第1

その一 収容施設等を経営する事業

区分

記載事項

備考

(1) 現金の出納に関する事項

取引の年月日、事由、出納先及び金額並びに日々の残高

 

(2) 預金の預入及び引出に関する事項

預金の口座別に、取引の年月日、事由、支払先及び金額

基本財産、運用財産の区分を明かにする。

(3) 債権、債務に関する事項

未収金、仮払金、貸付金、未払金、仮受金、預り金、借入金、退職給与積立金など、それぞれに適当な名称を付して区分し、それぞれその取引の年月日、事由、相手方及び金額

 

(4) 有価証券に関する事項

取引の年月日、事由、相手方、銘柄、数量、単価及び金額

 

(5) 固定資産に関する事項

建物、備品、土地、借地権などそれぞれに適当な名称を付して区分し、それぞれその取引の年月日、事由、相手方、数量及び金額、建設仮勘定、設立費、試験研究費などもこれに準じて記載する。

基本財産運用財産の区分を明らかにする。減価償却を行う場合には償却額も記載する。

(6) 棚卸資産に関する事項

品目別に適当な名称を付して区分し、それぞれその受払取引、事由、相手方、数量及び金額

継続的に受払を記録し難い法人にあつては、定期的に現品について棚卸を行うことをもつてこれに代えることができる。

(7) (1)から(6)までに掲げるもの以外の資産又は負債に関する事項

取引の年月日、事由、相手方、数量及び金額

 

(8) 資本に関する事項

設立基金、設備費補助金、積立金、前期繰越剰余金、前期繰越欠損金、当期剰余金、当期欠損金など、それぞれに適当な名称を付して区分し、それぞれその取引の年月日、事由、相手方及び金額

 

(9) 収入に関する事項

事務費に充てるべき収入、事業費に充てるべき収入及びその他の収入の三種に分類し、更にこの分類のうちにおいて、財産収入、共同募金収入、寄附金収入、収益事業繰入金、雑収入、公費委託金、補助金などにそのそれぞれ適当な名称を付して区分し、それぞれその取引の年月日、事由、相手方及び金額

事務費、事業費及びその他の経費の区分を明確にする必要のない場合は、三種に分類しなくともよい。

(10) 支出に関する事項

事務費支出、事業費支出及びその他の支出の三種に分類し、更にこの分類のうちにおいて、役員手当、職員給与、職員厚生費、消耗品費、旅費交通費、通信費、運搬費、光熱水費、修理費、火災保険料、地代、家賃、会議費、減価償却費、食糧費、衣料費、保健衛生費、医療費、福利費、教育費、職業補導費、雑費などにそれぞれ適当な名称を付して区分し、それぞれその取引の年月日、支払先、事由及び金額。

但し小額の支出で右の規定により難いものについてはそれぞれその日々の合計額のみを記載することができる。

事務費支出、事業費支出及びその他の経費の支出を明確に区分する必要のない場合は、三種に分類しなくてもよい。

その二 授産施設を経営する事業及び収益事業

区分

記載事項

備考

(1) 現金の出納に関する事項

取引の年月日、事由、出納先及び金額並びに日々の残高

 

(2) 預金の預入及び引出に関する事項

預金の口座別に、取引の年月日、事由、支払先及び金額

基本財産、運用財産の別を明かにする。

(3) 手形上の債券債務に関する事項

受取手形、支払手形別に取引の年月日、事由、相手方及び金額

 

(4) 売掛金及び買掛金に関する事項

取引先(売上先又は仕入先)別に取引の年月日、品名その他給付の内容数量、金額

 

(5) (2)から(4)までに掲げるもの以外の債券債務に関する事項

未収金、仮払金、貸付金、未払金、仮受金、預り金、借入金、退職給与積立金などそれぞれに適当な名称を付して区分し、それぞれその取引の年月日、事由、相手方及び金額

 

(6) 有価証券に関する事項

取引の年月日、事由、相手方、銘柄、数量、単価及び金額

収益事業として有価証券の売買営業を行う場合の如く商品としての有価証券を除く。

(7) 固定資産に関する事項

建物、構築物、機械装置、車両運搬具、工具器具、備品、土地特許権、営業権、借地権などそれぞれに適当な名称を付して区分しそれぞれその取引の年月日、事由、相手方、数量及び金額。

建設仮勘定、設立費、試験研究費などもこれに準じて記載する。

減価償却を行う場合には、償却額を記載する。

(8) 棚卸資産に関する事項

商品、製品、半製品、仕掛品、原材料などそれぞれに適当な名称を付して区分し、それぞれその受払取引の年月日、事由、相手方、数量及び金額

業態、経営規模などの関係から継続的に受払を記録し難い法人にあつては、定期的に現品について棚卸を行うことをもつてこれに代えることができる。

(9) (1)から(8)までに掲げるもの以外の資産又は負債に関する事項

取引の年月日、事由、相手方、数量及び金額

 

(10) 資本に関する事項

設立資金、設備費補助金、積立金、前期繰越剰余金、前期繰越欠損金、当期剰余金、当期欠損金などそれぞれに適当な名称を付して区分し、それぞれその取引の年月日、事由、相手方及び金額

 

(11) (10)に掲げるもの以外の収入

事務費に充てるべき収入、事業費に充てるべき収入及びその他の収入の三種に分類し、更にこの分類のうちにおいて、財産収入、共同募金収入、寄附金収入、収益事業繰入金、雑収入、事務費負担金、補助金などにそれぞれ適当な名称を付して区分し、それぞれその取引の年月日、事由、相手方及び金額

 

(12) 売上に関する事項

取引の年月日、売上先、品名その他給付の内容、数量、単価及び金額並びに日々の売上総額、但し、小売その他これに類する事業を行う場合で、現金売上の記載について右の規定により難いものについては、日々の現金売上総額並びに売上先を、又売上先を記載し難いときはこれに代えて取引回数を記載し、品名その他給付の内容、数量、単価、金額のうちその記載し難いものを省略することができる。

 

(13) (14)に掲げるもの以外の支出に関する事項

事務費支出、事業費支出及びその他の支出の三種に分類し、更にこの分類のうちにおいて、役員手当、職員給与、職員厚生費、消耗品費、旅費交通費、通信費、水道光熱費、修理費、火災保険料、地代、家賃、会議費、公租公課、減価償却費、外注加工費、運搬費、棚卸減耗費、動力費、広告宣伝費、貸倒損失、作業員工賃、福利費、支払金利、接待交際費、関係団体経費、雑費などにそれぞれ適当な名称を付して区分し、それぞれその取引の年月日、支払先、事由及び金額、但し、小額の支出で右の規定により難いものにあつては、それぞれその日々の合計額のみを記載することができる。

 

(14) 原材料又は商品の仕入に関する事項

原材料又は商品の種類別に区分してそれぞれその取引の年月日、仕入先、品名その他の銘柄の内容、数量単価及び金額並びに日々の仕入総額

 

別表第2

その一 収容施設等を経営する事業

区分

勘定科目

備考

1 貸借対照表に記載する勘定科目

資産

 

 

 

基本財産

 

 

土地

 

建物

 

備品

 

預金

 

その他

適当なる名称を附して科目を設けること。

運用財産

 

 

現金

 

預金

預金の口座別に科目を設けること。

未収金

重要なものについては種類別に科目を設けること。

仮払金

 

貸付金

貸付金の種類別に科目を設けること。

有価証券

 

建物

 

備品

備品台帳等の補助簿がない場合には、種類別用途別等により適宜に区分して科目を設けること。

土地

 

借地権

 

関係団体出資金

出資先の団体別に科目を設けること。

建設仮勘定

 

(特別会計勘定)

特別会計を設けた場合一般会計よりの出資の総額を記載すること。

未経過勘定(借方)

決算に際し設けられる科目であるが特に元帳の口座を設けず貸借対照表に掲げるのみで足りること。

(消耗品残高)

 

(前払費用)

 

(未収収益)

 

(その他)

 

負債

 

 

 

 

 

 

未払金

 

必要のあるときは、夫々その性質によつて適当の名称を附して区分して科目を設けること。

仮受金

預り金

 

 

 

短期借入金

 

長期借入金

 

退職給与積立金

 

減価引当金

 

未経過勘定(貸方)

 

(前受収益)

 

(未払費用)

 

資本

(設備及び運営資金の財源)

 

 

 

 

 

基金

法人設立時、拡張時等の寄附行為の額を記載した現物によるときはその評価額によること、但し、日常少額の寄附金は経常費に充てるべきものとして収入科目寄附金収入とすること。

積立金

種類別に科目を設けること。

(設備費補助金)

 

(一般会計勘定)

特別会計を設ける場合、一般会計よりの出資の総額を記載すること。

前期繰越剰余金

 

当期剰余金

 

前期繰越欠損金

 

当期欠損金

 

2 収支計算書に記載する勘定科目

収入

 

 

 

 

事務費補助金

 

利用者事務費負担金

 

事業費補助金

 

利用者事業費負担金

 

財産収入

 

共同募金収入

 

寄附金収入

 

収益事業繰入金

 

その他の収入

重要なものは適宜の名称で区分して科目を設けること。

(前期繰越剰余金)

 

(当期欠損金)

 

支出

 

 

 

事務費

 

 

役員手当

 

職員給与

 

職員厚生費

 

消耗品費

消耗品の品目又は用途別に区分して科目を設けること。

旅費交通費

 

通信費

 

水道光熱費

 

修理費

 

火災保険料

 

地代家賃

 

会議費

 

減価償却費

 

雑費

 

その他

適当に科目を設けて記録すること。

事業費

 

事業費のうち、光熱費等事務費と共通する費目で日常区分して記載することが出来ないものについては年度進行中は共通費勘定で記録し決算において適当の比率で事務費及び事業費勘定に配賦すること。

(食糧費)

主食費

 

副食費

 

間食費

 

(衣料費)

寝具、衣料費

 

(厚生費)

 

 

 

保健衛生費

 

医療費

 

福利費

 

(教育費)

 

 

 

教育費

学校教育に要する支出を記録し、必要あるときは、学校費、教材費等区分して科目を設けること。

(職業補導費)

 

 

 

職業補導費

必要あるときは原材料費、機械器具費、諸用設備費等を区分して科目を設けること。

(その他)

 

 

消耗品費

消耗品の種類用途別に区分して科目を設けること。

運搬費

 

水道、光熱費

必要あるときは暖房費、炊事燃料費、電力費、水道料等を区分して科目を設けること。

雑費

 

(前期繰越欠損金)

 

(当期剰余金)