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○戦傷病者戦没者遺族等援護法の施行と福祉事務所との関係について

(昭和二七年五月一五日)

(厚生省社乙発第八二号)

(各都道府県知事あて厚生省社会局長通知)

戦傷病者戦没者遺族等援護法は四月三○日公布施行せられ、これが実施については五月一五日第三○三号を以て通知された次第であるが同法は戦傷病者戦没者遺族等を国が当然の責務として、すべての関係機関の総力を挙げて援護せんとするものであつて特に福祉事務所はこの援護に関し至大の関係を有するものであるから、左記事項留意のうえ援護に遺憾ないよう致されたい。

一 戦傷病者戦没者遺族等援護法(以下援護法という)第五条の規定による更正医療の給付、補装具等の支給は身体障害者福祉法(以下福祉法という。)による援護の実施機関に委任されることとなつたが、福祉事務所との関係については次の要領によられたいこと。

1 更正医療の給付、補装具等の支給に関する申請書は、申請者の居住地を管轄する福祉事務所長(福祉事務所を設置しない町村の区域内に居住地を有する申請者にあつては、当該町村長及び福祉事務所長。)を経由して福祉法による援護の実施機関に提出することとなつているがこの取扱に当つては援護法施行規則第四五条の規定により措置されたいこと。

2 福祉法による補装具等の支給に関する事務は福祉事務所長に委任されている関係もあり取扱事務の統一をはかる意味から援護法の補装具等の支給に関する事務は福祉事務所長の専決事項とされたいこと。

なお、援護法の更正医療の給付は新しい制度であるので当分の間福祉法の援護の実施機関が取り扱い福祉事務所長の専決としない方針であること。

二 援護法第五条の規定による障害年金、遺族年金、弔慰金の請求書等の受理、証書等の交付及び権利の裁定に必要な調査に関する事務は都道府県知事に委任されることとなり、この取扱については援護法施行規則第四五条に規定されている通り市町村長を経由して直接都道府県知事に提出されることとなつているが、市の場合にあつては、福祉事務所長が事実上この事務を取り扱うことも考えられる。

しかしこの場合においては、福祉事務所の職員の充実等を十分勘案のうえ措置されたいこと。

三 障害年金、遺族年金、弔慰金の受給に関しその権利の帰属をめぐる経済的、身分的問題、各種証書の担保に関する問題或いは育英に関する問題等種々困難な問題が相当生ずることも予想せられ、これらの問題は福祉事務所の業務と密接な関係にあるので、福祉事務所の夫々の実状に応じこれに関する相談業務を次の要領によつて取り扱われたいこと。

1 相談機能を強化するため現在の福祉事務所の組織中庶務係、保護係及び援護係(三法以外の事務を行う事務所のみ。)のほか身体障害者福祉司その他相談員として必要な職員及び従来一部の都道府県又は市に設けられている生活相談所の職員をもつて相談係を設け、且つ福祉事務所内に母子相談を行う職員を駐在させている都道府県又は市にあつては、この際これをこの係の業務遂行に協力参加させ戦傷病者戦没者遺族等(以下戦傷病者遺族等という。)相談を所掌させるのも一方法であること。なお、相談係で取り扱うことが考えられる業務は本通知左記事項三の戦傷病者遺族等の生活相談、身上相談その他の相談、同左記事項四の民生委員の指導理絡、同左記事項五の協力事務、戦傷病者遺族等に対する巡回相談のあつた場合における市町村長等との連絡及び援護法施行規則に基く生活資料を得ることができないことを認めることができる証明書の発行等であること。

2 相談係を設けることが福祉事務所の実状に副わないときは前述の相談業務を援護係等において取り扱わせても差し支えないこと。

四 福祉事務所の業務のうち、戦傷病者遺族等の相談業務は、特に民生委員の積極的な活動を俟つて始めて所期の効果を期し得られるものであり、又斯かる業務に協力することは民生委員本来の職務に属するものでもあるので、民生委員が市町村との緊密なる連携の下に、同法の周知徹底及び戦傷病者遺族等の調査、紹介等について協力できるよう相談機能を通じて指導されたいこと。

五 援護法の施行について各種打合会、研究会が開催される場合等の際福祉事務所はその実情に応じこれに協力することが望ましいこと。