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○共同募金運動に対する官公吏の関与並に施設に対する配分に関する件
(昭和二三年二月二七日)
(社乙第三九号)
(各都道府県知事あて厚生省社会局長通知)
標記の件に関する客年一二月一○日附社発第一、七○一号通牒左記第二項及び第三項の意見について照会せられる向もあるのでその趣旨を左の通り明らかにするから御了知相成りたく右に関する本月二○日附社乙第三二号通牒は都合によりこれを廃止するから御了知相成りたい。
記
1 第三項中に「官公吏が募金、会計、保管、配分などの仕事に携つてはならない」とあるのは、「官公吏が募金、会計、保管、配分の責任者になつてはならない」という意味であつて、その趣旨は、本運動が純然たる民間運動たるの趣旨よりいつて、官公吏の地位にあるが為めに主要役員又は事務責任者となつて、その職権により委員会の指導権を把り、以て一般に官庁運動の如き印象を与えることを防止する為である。
従つて、我国の現状よりいつて、今直ちに官公吏が全面的に手を引くことは、困難なる実情にあるが、理想としては、一日を速かに官公吏の資格に於て参加することを逐次やめて民間人に任せるべきであるという理想を示したものである。
なお官公吏が公的立場を離れて、純然たる一個人として客年一二月一○日附社発第一、七○一号通牒左記第二号制限(即ち募金、会計、保管、配分の責任者となること)以外の事項について共同募金に積極的に参加することは豪も差支えなく、その人徳、信用、手腕などによつて推薦されて委員になることはもとより差支えないのである。
ただ、共同募金運動の管理、運営に関して責任ある如何なる地位につくことも許されないし、賞与、俸給、手当及びこれに類する如何なる個人的利益を受けることも許されないことは勿論である。
2 第三項に「募金で得た金は、決して国営又は公営の施設の会計に繰入れてはならない」とあるのは国、都道府県又は市町村若しくは之等に準ずる公共団体で経営し従つて之等の国又は公共団体の予算で当然支払うべき金額が不充分だからという理由で、募金で得た金を、これ等国又は公共団体の施設の会計に寄附金その他の名目で繰入れて国又は公共団体の予算不足を補うようなことは、絶対にいけないのである。
この原則は、如何なる場合にも変更することは許されないのであるが、然し私設社会事業施設が共同募金の配分を受けた結果その内容が改善されて、その収容者の処遇も改良され、これが為の官公営の施設の収容者が前者に比して著しく悪くなり、その官公営の施設の収容者の処遇も公的扶助による最低生活の保証だけでは及び得ない面例えば収容者の特に必要とする眼鏡を与えるとか、雑誌書籍を買つてやるとか、その他娯楽のプログラム等に於て、私設の収容者なみに改善したいという場合も出てくるのである。
斯る場合には、右の如き福祉事業をその事業の一部として行う民間団体があつて受益団体となつている場合に、その発意に基き、公の施設に収容されている個人を直接援助させる目的で、その団体に配分することは、もとより差支えない趣旨である。
なお、共同募金の資金は、募金運動開始前に受益団体として参加した団体に対してのみ配分さるべきものである。従つて今回は正式開始期日たる昭和二二年一一月二五日前に受益団体として正式決定された団体に対してのみ配分されるべきものであるから念為申添える。