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○老人福祉法等の一部を改正する法律の一部の施行(平成三年四月一日)及びそれに伴う省令の改正について(共同募金及び社会福祉協議会関係)

(平成三年三月二六日)

(社庶第七五号)

(各都道府県知事・各指定都市市長あて厚生省社会局長通知)

平成二年六月二九日付けをもって公布された「老人福祉法等の一部を改正する法律(平成二年法律第五八号)」の施行については、「老人福祉法等の一部を改正する法律の施行について(依命通知)(平成二年八月一日厚生省社第三七七号厚生事務次官通知)」により通知されているところであるが、平成三年四月一日から、共同募金、社会福祉協議会等に係る規定が施行されることとなり、平成三年三月二六日付けで「社会福祉事業法施行規則の一部を改正する省令」(厚生省令第一四号)が公布された。

今般の共同募金及び社会福祉協議会に係る法改正及びそれに伴う省令改正の内容は左記のとおりであるので、御了知の上、管下市町村、関係団体、関係機関等に周知徹底を図るとともに、適切な指導を行い、その運用に遺憾のないようにされたい。

第一 法改正の概要

1 共同募金に関する事項

(1) 過半数配分原則の緩和(社会福祉事業法(以下「法」という。)第七七条第二項)

共同募金については、その地域の社会福祉事業又は更生保護事業を経営する者に広くその配分が行き渡るように、それらの過半数の者に配分しなければならないとされてきたところである。一方で、この過半数配分原則を維持するため、各事業を経営する者への配分額が零細になり、災害復旧、施設の改築等必要性が高い臨時的経費に対する重点配分等が十分にできないといった問題点も見受けられたところである。共同募金がより国民に理解されるためには、必要なところにはより多く配分されるという弾力的な配分が重要であると考えられることから、今般の法改正において、必要性の高い分野に弾力的かつ重点的な募金の配分が行えるよう、この過半数配分原則について、特定の社会福祉事業又は厚生保護事業を経営する者に災害復旧の場合において重点的に配分する場合等は、例外として過半数配分を行わないことができることとしたものである。

(2) 共同募金会連合会の寄付金募集(法第八三条第二項)

現在の共同募金は都道府県ごとに実施しているため、全国的な配分を目的とした募金活動はできないが、全国的な視野に立った募金事業については、国民の関心も強く、その気運も高まってきており、中央社会福祉審議会からも実施すべき旨の意見具申がなされたところである。そこで、社会福祉事業法第八三条第二項では、共同募金会連合会である社会福祉法人中央共同募金会が、自ら寄付金の募集を行い、都道府県単位の共同募金にはなじまない全国的な配分などの事業を新たに実施することを明らかにしたものである。共同募金会連合会については、従来から社会福祉事業法第六九条に基づく許可を得て寄付金を募集することは可能ではあったが、この事業の実施に当たっては、実施の方法如何によっては、都道府県共同募金会の事業実施に影響を与えるおそれがあることから、事業が適正に実施できるよう、共同募金会連合会は寄付金の募集をしようとするときは、その募集をしようとする都道府県の共同募金会の意見を聴かなければならないこととし、募金活動が実施される地域の共同募金事業との整合を図ることとしたものである。

2 社会福祉協議会に関する事項

(1) 地区社会福祉協議会の法定化(法第七四条第三項)

指定都市においては、住民により身近で機動性のある区の区域を単位として地域福祉を進めていくことが適当と考えられることから、地方自治法第二五二条の二○の指定都市の区について、地区社会福祉協議会を設置し、市町村社会福祉協議会と同様、住民に対して福祉サービスを提供する事業主体として、法律上位置付けたものである。

(2) 社会福祉を目的とする事業の健全な発達を図るために必要な事業の追加(法第七四条第一項)

社会福祉協議会には、社会福祉事業者の参加する団体として、民間の地域福祉活動を振興するという役割が期待されることから、民間で福祉活動を行う者を支援する事業を実施することをその目的として追加したものである。

その具体的事業としては、モデル的なボランティア活動に対する助成等民間地域福祉活動を資金面で支援する地域福祉基金の造成及びこれによる助成又は施設の経営者及び職員、ボランティア・リーダー等の養成研修等による民間の福祉活動の活動主体の振興を図る事業などが考えられる。

(3) 社会福祉を目的とする事業の企画及び実施の追加(法第七四条第四項)

市町村社会福祉協議会及び指定都市の地区社会福祉協議会については、より住民に密着した主体として、連絡調整業務にとどまらず、自ら地域において民間の自主的な福祉活動の推進の中核として、あるいは市町村から在宅福祉サービスを受託して実施する主体として、ボランティア活動等住民の参加する地域福祉活動を積極的に実施し、また、これらの活動を行うものを振興、助成することを積極的に行う役割が強く期待されている。このため、市町村社会福祉協議会及び指定都市の地区社会福祉協議会は、社会福祉を目的とする事業を企画し、及び実施するよう努めなければならないものとしたものである。

具体的には、住民の参加する在宅福祉サービス等の実施、ボランティア活動振興のための中核的な活動、福祉教育、市町村からの在宅福祉サービスの受託等多様な地域福祉活動を主体的に推進することが期待される。

第二 社会福祉事業法施行規則の改正について

1 改正の概要

今般の社会福祉事業法施行規則の改正において、これまでの共同募金の過半数配分原則について、その例外とすることができる場合を、次の(1)から(3)までに該当する場合であって、配分計画作成に当たって都道府県社会福祉協議会の同意を得た場合と定めたものである。(社会福祉事業法施行規則第一○条)

(1) 社会福祉施設若しくは更生保護施設の改築等の費用又は当該施設の設備費のうち老朽その他の事由により緊急の必要があるものに充てるため特定の社会福祉事業又は更生保護事業を経営する者に重点的に配分する場合

(2) 在宅福祉事業、社会参加促進事業等の費用のうち先駆的モデル的な事業に係るもので特に必要があるものに充てるため特定の社会福祉を目的とする事業を経営する者に重点的に配分する場合

(3) 社会福祉事業又は更生保護事業の経営者のうち当該寄付金の配分申請を行ったものが、その過半数に満たない場合

2 過半数配分原則の例外の運用上の留意事項

今回の改正は、過半数配分の原則に立ちつつも、特に必要がある場合にのみその例外を認めるという趣旨であり、過半数配分原則の例外はあくまで特別の場合であるから、安易に過半数配分原則の例外とすることにより、公平性を欠くことがあってはならない。そのため、過半数配分原則の例外とすることができる場合については、次の(1)及び(2)に留意して慎重に運用すべきものであるので、これらの趣旨を踏まえ、共同募金の適正な配分に配慮されたい。特に、共同募金の配分委員会の適正な運営には留意されたい。

(1) 過半数配分原則の例外の必要性がない場合に、過半数配分原則の例外が行われないようにするため、特定の社会福祉事業等を経営する者に重点的に配分し、かつ、当該配分に係る寄付金以外の寄付金を社会福祉事業又は更生保護事業を経営する者の過半数(重点的に配分を受けた社会福祉事業等の経営者を除く。)に配分するとするならば、当該者に配分すべき額が著しく少額になる場合に限り例外とすることができること。

(2) 過半数配分原則の趣旨を尊重し、寄付金が特定の者に偏って配分されることがないようにするため、原則として、前年に重点的に配分を受けた社会福祉事業等の経営者は、次回は重点的に配分を受けることができないこと。特に必要がある場合には、継続して重点的に配分することも妨げないが、その場合にあっては、その配分を行った年数と同じ期間は重点的な配分を行わない等経常的に配分することは避けること。