添付一覧
○地方公共団体の事務に係る国の関与等の整理、合理化等に関する法律等の施行について
(昭和六〇年七月一二日)
(社庶第八九号)
(各都道府県知事・各指定都市市長あて厚生省社会局長・厚生省児童家庭局長通知)
地方公共団体の事務に係る国の関与等の整理、合理化等に関する法律(以下「法」という。)が、本日法律第九○号をもつて公布され、これに伴い、児童福祉法施行令等の一部を改正する等の政令(以下「政令」という。)及び伝染病予防法施行規則等の一部を改正する省令(以下「省令」という。)がそれぞれ政令第二二五号及び厚生省令第三一号をもつて公布されたところである。
これら法律改正等により、社会福祉事業法等社会福祉及び児童福祉関係法律等についても改正が行われたところであるが、その趣旨等は左記のとおりであるので、御了知の上、運用に遺憾なきを期されたい。
記
第一 改正の趣旨
「行政改革の推進に関する当面の実施方針について」(昭和五九年一二月二九日閲議決定)を受け、地方行革の推進を図るため、国の関与及び必置規制の整理、合理化を行うものであること。
第二 地方社会福祉審議会等に関する事項
一 民生委員審査会を社会福祉全般の調査審議機関である地方社会福祉審議会と統合し、新たに、同審議会に民生委員審査委員専門分科会(以下一において「専門分科会」という。)を設けることとしたこと。
(法第二四条及び第二五条)
なお、専門分科会の審議事項は、個々の民生委員候補者の適格性の審査という極めて個別的な事項であること等に鑑み、専門分科会の決議をもつて審議会の決議とすることとした。
(政令第八条)
また、政治的中立性の要請は民生委員制度の本質にかかわるものであることから、民生委員の適格性の審査に当たる専門分科会委員について、その職務上の地位を政党又は政治的目的のために利用した場合には、専門分科会委員としての指名を取り消すことができることとしたこと。
(政令第八条)
二 児童福祉審議会については、条例により、地方社会福祉審議会に児童福祉に関する事項を調査審議させる都道府県又は指定都市にあつては、その設置を要しないこととしたこと。したがつて、児童福祉に関する事項の調査審議について、従来どおり児童福祉審議会において行うか、条例を定めて地方社会福祉審議会において行うかは、都道府県又は指定都市の自主的な判断に委ねたものであること。
また、地方社会福祉審議会に児童福祉に関する事項の調査審議を行わせることとした場合には、その調査審議を行うため、児童福祉専門分科会を置くこととするとともに、児童福祉法、母子及び寡婦福祉法、母子保健法等により児童福祉審議会が調査審議等を行うこととしている事項については、地方社会福祉審議会において調査審議等を行うこととしたこと。
(法第二五条及び第二八条並びに附則第一三条及び第一四条、政令第一条及び第九条並びに省令第二条及び第四条)
三 委員の定数については、民生委員審査会との統合に伴い、三五名以内(児童福祉専門分科会を置く場合は、五○名以内)とすることとしたこと。
なお、委員の定数については、従来、「身体障害者福祉法第七条及び社会福祉事業法第八条の改正について」(昭和五三年五月二六日社庶第六八号社会局長通知)により、三○名以内という法律上の定数を二五名以内で運用するようお願いしてきたところであるが、今後は、このような取扱いをする必要はないので、地域の実情に応じて、三五名以内(児童福祉専門分科会を置く場合は五○名以内)の範囲で十分な調査審議が行えるよう委員定数を定めるとともに、各専門分科会においても十分な調査審議が行えるよう委員定数を定められたいこと。
(法第二五条)
四 委員の任期については、地方社会福祉審議会が新たに民生委員(任期三年)の適格性の審査を行うこととなつたことに伴い、二年から三年に改めるとともに、法律事項から政令事項に改めることとしたこと。
なお、地方社会福祉審議会に係る改正法律等の施行日(昭和六一年一月一二日)において、現に任期継続中の委員については、その時点で、特段の手続を行うことなく、自動的に任期が二年から三年に伸長されるものであること。
(政令第八条)
五 委員の選任要件については、地方社会福祉審議会が新たに民生委員の適格性の審査を行うこととなつたことに伴い、都道府県又は指定都市の議会の議員を加えることとしたが、その趣旨に鑑み、議会の議員から任命される委員は、民生委員審査専門分科会に所属するものとすること。
(法第二五条)
第三 社会福祉主事に関する事項
一 都道府県等本庁の社会福祉主事については、その職務が一般的な法施行事務等であること、社会福祉事業法制定当時(昭和二六年)に比し都道府県等本庁の事務執行体制が充実してきていること等に鑑み、その必置規制を廃止することとしたこと。
なお、福祉事務所の社会福祉主事は、従来どおり必置であり、この点については、何ら変わるものではないこと。
(法第二五条)
二 都道府県等本庁の社会福祉主事の必置規制の廃止に伴い、所部の職員等に対する指導又は訓練の実施に当たる職員が一定の経験を有する社会福祉主事でなければならないとする規定を削除することとしたこと。
(法第二五条)
第四 民生委員の指導訓練に従事する吏員に関する事項
民生委員の指導訓練に従事する吏員については、大部分の都道府県及び指定都市において民生委員の指導訓練にとどまらず民間社会福祉活動について全般的に指導、育成を行う組織が設置されているという実態等に鑑み、その必置規制を廃止することとしたこと。
なお、民生委員の指導訓練自体の必要性及び重要性は、何ら変わるものではないこと。
(法第二四条)
第五 児童福祉施設等の設置認可等に関する事項
市町村の設置する児童福祉施設等については、市町村における行政能力、施設整備等の充実等に鑑み、次のような改正を行うこととしたこと。
一 市町村が児童福祉施設、保護施設、養護老人ホーム又は特別養護老人ホームを設置しようとする場合、従来、都道府県知事の認可が必要とされていたところであるが、これをあらかじめ厚生省令で定める事項を都道府県知事に届け出ればよいこととしたこと。
なお、国、都道府県及び市町村以外の者の行う児童福祉施設等の設置については、従来どおり都道府県知事の認可が必要とされるものであること。
(法第二六条、第二七条及び第二八条並びに省令第二条、第五条及び第七条)
二 市町村がその設置した児童福祉施設、養護老人ホーム又は特別養護老人ホームを廃止し、又は休止しようとする場合、従来、都道府県知事の承認又は認可が必要とされていたところであるが、これをその廃止又は休止の一月前までに、厚生省令で定める事項を都道府県知事に届け出ればよいこととしたこと。
なお、国、都道府県及び市町村以外の者の設置する児童福祉施設等の廃止又は休止については、従来どおり、都道府県知事の承認又は認可が必要とされるものであること。
(法第二七条及び第二八条並びに省令第二条及び第七条)
三 市町村がその設置した児童福祉施設に係る建物その他設備の規模、構造等、運営の方法、経営の責任者等を変更しようとする場合、従来、都道府県知事の承認が必要とされていたところであるが、これをあらかじめ都道府県知事に届け出ればよいこととしたこと。
なお、国、都道府県及び市町村以外の者の設置する児童福祉施設に係る前記事項の変更については、従来どおり、都道府県知事の承認が必要とされるものであること。
(省令第二条)
四 市町村がその設置した養護老人ホーム又は特別養護老人ホームの収容定員を減少しようとする場合、従来、その時期につき都道府県知事の認可が必要とされていたところであるが、これをあらかじめ都道府県知事に届け出ればよいこととしたこと。
なお、社会福祉法人又は日本赤十字社の設置する養護老人ホーム又は特別養護老人ホームの収容定員の減少については、従来どおり、都道府県知事の認可が必要とされるものであること。
(省令第七条)
五 指定都市が前記一から四までの施設設置等を行おうとする場合については、大都市特例として、従来、都道府県知事の認可等を不要としていたのと同様に届出を不要とすることとしたこと。
(政令第一○条)
六 都道府県知事は、従来、管下市町村に対し児童福祉施設の設置を命ずることができることとされていたところであるが、この設置命令を廃止することとしたこと。
(法第二八条)
第六 施行期日
一 以上の改正事項は、地方社会福祉審議会等に関する事項を除き、公布の日(昭和六○年七月一二日)から施行すること。
二 地方社会福祉審議会に関する事項は、公布の日から起算して六月を経過した日(昭和六一年一月一二日)から施行するので、それまでの間に審議会の運営に係る規則等の改正、増員に係る委員の任命等所要の準備手続を進められたいこと。
第七 経過措置
一 地方社会福祉審議会に係る改正規定の施行前に民生委員審査会がした通告その他の行為又はこれらの規定の施行の際、現に同審査会に対して行つている意見の陳述その他の行為については、地方社会福祉審議会がした通告その他の行為又は地方社会福祉審議会に対して行つた意見の陳述その他の行為とみなすこととしたこと。
(法附則第七条)
二 児童福祉施設等に係る改正規定の施行の際、改正前の児童福祉法等の規定による認可等を受けている市町村又はその申請を行つている市町村については、当該認可等又は申請に係る施設につき、それぞれ改正後の相当規定による届出を行つたものとみなすこと。
(法附則第八条及び省令附則第二項)