添付一覧
○生物由来原料基準の一部改正について
(平成16年7月5日)
(薬食発第0705001号)
(各都道府県知事あて厚生労働省医薬食品局長通知)
平成16年7月5日厚生労働省告示第262号をもって、生物由来原料基準(平成15年厚生労働省告示第210号。以下「基準」という。)の一部が別添のとおり改正され、同日から適用されることとしたので、下記について御承知の上、貴管下関係業者に対して指導方お願いする。
記
第1 基準の一部改正の概要について
1.基準中の反芻動物由来原料基準の改正について
(1) 医薬品、医療用具、医薬部外品及び化粧品(以下「医薬品、医療用具等」という。)の原材料として使用を禁止する部位にせき柱骨、頭骨、三叉神経節及び背根神経節(以下「せき柱骨等」という。)の4部位を追加したこと。
(2) 平成15年12月にアメリカ合衆国においてBSE感染牛が確認されたことに伴い、反芻動物由来原料基準のうち、医薬品、医療用具等の原材料として使用することができるウシ及びその他類縁反芻動物(以下「ウシ等」という。)由来物の原材料(以下「ウシ等由来原材料」という。)の原産国から「アメリカ合衆国」を削除したこと。
(3) 医薬品、医療用具等に用いられる皮由来の原材料から製するゼラチン及びコラーゲンについて、ウシ等の皮のBSEリスクに係る科学的知見や国際的な規制を踏まえ、BSEに係る原産国規制の対象から除外したこと。
2.基準中の輸血用血液製剤総則の改正について
輸血用血液製剤総則において、「生物学的製剤基準(平成5年厚生省告示第217号)」を「生物学的製剤基準(平成16年厚生労働省告示第155号)」に改めたこと。
第2 改正に係る経過措置等について
1.第1の1の(1)に係る経過措置等について
せき柱骨等を使用禁止部位へ追加する基準改正(アメリカ合衆国を原産国とするものは除く。)について、以下の医薬品、医療用具等には、改正後の基準を適用しないこと。
(1) 別表1に掲げる国を原産とするせき柱骨等から製造されるゼラチン及びゼラチンより製するコラーゲン(以下「ゼラチン等」という。)を使用して製造される医薬品、医療用具等。
(2) 別表2に掲げる国を原産とするせき柱骨等から製造されるゼラチン等を使用して製造される医薬品、医療用具等であって平成17年9月30日までに製造され、又は輸入されるもの。
2.第1の1の(1)及び(2)に係る経過措置等について
せき柱骨等を使用禁止部位へ追加する基準改正(アメリカ合衆国を原産国とするものに限る。)及び医薬品、医療用具等の原材料として使用可能なウシ等の原産国からアメリカ合衆国を削除する基準改正について、以下の医薬品、医療用具等には、改正後の基準を適用しないこと。
(1) 昭和61年以前に採取されたアメリカ合衆国を原産国とするウシ等由来原料(以下「アメリカ産原料」という。)を使用した医薬品、医療用具等。
(2) 別表3に掲げる区分の以下の医薬品、医療用具等。
① 区分Aの医薬品、医療用具等であって平成16年9月30日までに製造され、又は輸入されるもの。
② 区分Bの医薬品、医療用具等であって平成17年3月31日までに製造され、又は輸入されるもの(ワクチンについて同日までに、法第43条第1項の検定(中間段階を除く。)を受けるための申請をするもの)。
③ 区分Cの医薬品、医療用具等。
④ ①又は②に該当する医薬品、医療用具等にあって、製造業者、輸入販売業者及び外国製造承認取得者の国内管理人が平成16年9月30日までの間にウシ等由来原料を使用しないものとするための法第14条第1項(法第23条により準用する場合を含む。)若しくは法第19条の2第1項又は法第14条第7項(法第19条の2第4項又は法第23条により準用する場合を含む。)の規定による承認の申請をし、かつ、当該申請に対する承認を受けた後遅滞なく当該承認に係る医薬品、医療用具等を製造又は輸入(以下「ウシ等由来原料不使用医薬品等の製造等」という。)を行う場合にあっては、ウシ等由来原料不使用医薬品等の製造等が行われるまでの間に製造され、又は輸入されるもの。
⑤ アメリカ合衆国を原産国とするウシ等由来原材料の切り替えが上記①又は②に規定する期日に間に合わない場合は、基準中の反芻動物由来原料基準の(5)の規定により、当該期日までに個別に当該原料の適合性につき承認事項の一部変更に係る承認を受ける必要があるものであること。ただし、①については、平成16年9月30日までに当該承認を受けることが求められるが、同日までに一部変更承認申請を行っており、その後当該申請が承認された場合には、平成16年10月1日以降、製造され、又は輸入される医薬品、医療用具等は、基準に適合しているものとして取り扱われること。一方、同日までに一部変更承認申請を行っており、その後当該申請が不承認又は申請者による自主的な取下げがなされた場合には、平成16年10月1日以降、製造され、又は輸入される医薬品、医療用具等は、基準に適合していないものとして取り扱われること。
⑥ ⑤に係る手続き等は、次に掲げる合理的な理由を満たす場合において、安全性に関する確保措置、リスク評価及び使用者に対する徹底した情報提供を講じた上で、リスク評価及び承認書に原材料の切り替え時期について記載するための一部変更承認申請を行うこと。
(i) 代替原材料の入手が困難である場合
(ii) 新たな原材料の製造に相当の時間を要する等の場合
(別表1)
アルゼンチン、オーストラリア、ボツワナ、ブラジル、チリ、エルサルバドル、ナミビア、ニュージーランド、ニカラグア、パナマ、パラグアイ、シンガポール、スワジランド、ウルグアイ、バヌアツ、ニューカレドニア |
(別表2)
コロンビア、コスタリカ、インド、ケニア、モーリシャス、ナイジェリア、パキスタン |
(別表3)
区分 |
|
類別 |
区分A |
1 |
アメリカ産原料を使用して細胞培養により製造される注射剤(セルバンクにのみアメリカ産原料を使用しているものを除く。)その他これに準ずるもの |
|
2 |
その精製工程においてアメリカ産原料を使用して製造される注射剤その他これに準ずるもの |
|
3 |
有効成分若しくは添加剤としてアメリカ産原料を使用して製造される注射剤(アメリカ合衆国を原産国とする骨由来ゼラチン等又はアメリカ合衆国を原産国とする反芻動物由来原材料から製造されたコール酸類(以下「アメリカ産コール酸類」という。)を使用して製造される注射剤を除く。)その他これに準ずるもの |
|
4 |
アメリカ産原料を使用して製造される植込み医療用具 |
区分B |
5 |
アメリカ合衆国を原産国とする骨由来ゼラチン等を使用して製造される経口剤若しくは注射剤その他これに準ずるもの |
|
6 |
有効成分若しくは添加剤としてアメリカ産原料を使用して製造される経口剤(アメリカ産コール酸類を使用して製造される経口剤又はアメリカ産原料を使用して微生物培養により製造される経口剤を除く。)その他これに準ずるもの |
|
7 |
アメリカ産コール酸類を使用して製造される注射剤その他これに準ずるもの |
|
8 |
アメリカ産原料を使用して製造されるワクチン(経口ワクチンを除く。)若しくはアメリカ産原料を使用して微生物培養により製造される注射剤(種培養にのみアメリカ産原料を使用しているものを除く。)その他これに準ずるもの |
区分C |
9 |
アメリカ産原料を使用して細胞培養により製造される注射剤(セルバンクにのみアメリカ産原料を使用しているものに限る。)その他これに準ずるもの |
|
10 |
アメリカ産コール酸類を使用して製造される経口剤その他これに準ずるもの |
|
11 |
アメリカ産原料を使用して製造されるワクチン(経口ワクチンに限る。)、アメリカ産原料を使用して微生物培養により製造される注射剤(種培養にのみアメリカ産原料を使用しているものに限る。)若しくは経口剤その他これに準ずるもの |
|
12 |
アメリカ産原料を使用して製造される外用剤 |
別添 略
[資料]
表1 製品類別 リスク分類表
区分 |
|
類別 |
ウシ原料使用方法 |
投与経路 |
リスク合計値 |
|
|
|
|
|
|
||
|
|
リスクの目安:感染動物のリスクの高い部位 |
脳内 |
+7 |
||
|
|
|
|
|
||
区分A |
1 |
遺伝子組換え・細胞培養医薬品 |
細胞培養等(*1) |
注射 |
+2 |
|
|
2 |
遺伝子組換え・細胞培養医薬品 |
親和性カラム(*1) |
注射 |
-2 |
|
|
3 |
成分抽出製剤 |
抽出成分 |
注射 |
0 |
|
|
4 |
植込み用具 |
成分・組織 |
植込 |
-1 |
|
区分B1 |
5 |
経口製剤(ゼラチン) |
カプセル等 |
経口 |
0~-4 |
|
|
6 |
注射剤(ゼラチン) |
安定剤 |
注射 |
0~-4 |
|
区分B2 |
7 |
成分抽出製剤 |
抽出成分 |
経口 |
-3 |
|
|
8 |
低分子製剤(*2) |
成分粗原料 |
注射 |
-4 |
|
|
9 |
菌培養医薬品/ワクチン |
培養 |
注射 |
-4 |
|
区分C |
10 |
細胞培養医薬品 |
MCB/WCBのみ |
注射 |
-4- |
|
|
11 |
菌培養医薬品/ワクチン |
シードのみ |
注射 |
-6 |
|
|
12 |
菌培養医薬品/ワクチン |
培養 |
経口 |
-7 |
|
|
13 |
低分子製剤(*2) |
成分粗原料 |
経口 |
-7 |
|
|
14 |
外用製剤 |
基材、成分等 |
経皮 |
-4< |
リスクは、製品中のLogID50/gの期待値に一定の安全マージン(長期使用を前提として2Log分)を見込んだ合計値
脚注
※ 上記のリスク計算は、原材料の中にプリオンが仮に存在した場合、プリオンが失われずに製品まで至ると仮定したもの。(平成15年7月開催伝達性海綿状脳症調査会資料を元に計算)
※ (*1)は製造工程で原材料の濃縮の可能性がある工程を含むもの
※ (*2)製造工程の一定のリスク減少効果が認められているもの
表2 具体的な区分毎の製品群について(参考)※
※本内容は平成16年2月から3月に実施したパブリックコメント後より一部改正しています。
区分 |
|
類別 |
ウシ原料使用方法 |
経路 |
品目数 |
||
区分A |
1 |
細胞培養医薬品 |
培養(*) |
注射 |
48 |
||
|
2 |
細胞培養医薬品 |
アフィニティカラム(*) |
注射 |
|
||
|
薬 |
血栓溶解剤(遺伝子組換え) 抗悪性腫瘍抗体医薬品(遺伝子組換え) 腎性貧血改善剤(遺伝子組換え) 抗リウマチ薬(遺伝子組換え) G―CSF製剤(遺伝子組換え) |
|
血液凝固因子製剤 再生不良性貧血治療薬(遺伝子組換え) インターフェロン(遺伝子組換え) 免疫抑制剤(遺伝子組換え) インスリン(遺伝子組換え) |
|||
|
3 |
成分製剤 |
抽出成分 |
注射 |
9 |
||
|
薬 |
抗悪性腫瘍剤 血栓溶解剤 コンドロイチン硫酸(注射・点眼) |
|
高カロリー輸液用微量元素製剤 組織接着剤 |
|||
|
4 |
植込み用具 |
成分・組織 |
植込 |
14 |
||
|
具 |
組織補填等コラーゲン ウシ心のう膜 |
|
|
|||
区分B1 |
5 |
経口製剤 |
カプセル |
経口 |
1749 |
||
|
薬 |
抗生物質、抗菌剤 癌治療薬 HIV治療薬 免疫抑制剤 抗インフルエンザ薬 血栓溶解剤 不整脈薬 心房細動等治療薬 虚血性心疾患治療薬 狭心症治療薬 不整脈薬 心不全治療薬 強心配当体 循環改善薬 微小循環系賦活剤 抗プラスミン剤 ウイルソン病 抗炎症薬 抗潰瘍薬 代謝異常治療薬 リウマチ薬 子宮内膜症治療薬 |
|
神経障害治療薬 パーキンソン病治療薬 精神分裂病治療薬 抗うつ剤 自律神経剤 抗てんかん薬 カルシウム拮抗薬 高脂血症改善薬 降圧剤 抗アレルギー薬 真菌症治療薬 甲状腺機能検査薬 利胆及び鎮痙 ビタミン欠乏症 解熱鎮痛剤 鎮痙薬 骨粗鬆症 肝機能改善薬 止しゃ薬 β作動薬 感冒薬 滋養強壮剤 |
|||
|
6 |
注射剤 |
安定剤(ゼラチン) |
注射 |
5 |
||
|
薬 |
癌昇圧化学療法剤 抗悪性腫瘍剤 |
|
|
|||
区分B2 |
7 |
成分製剤 |
抽出成分 |
経口 |
249 |
||
|
薬 |
ゴオウ 胆汁末 胆汁エキス コンドロイチン硫酸 |
|
肝臓エキス 心臓エキス 精巣エキス |
|||
|
8 |
低分子成分製剤 |
成分原料 |
注射 |
9 |
||
|
薬 |
G―CSF製剤 ウルソデソキシコール酸類(急性白血病治療薬、好中級減少治療薬) |
|
|
|||
|
9 |
菌培養医薬品/ワクチン |
培養 |
注射 |
48 |
||
|
薬 |
肺炎球菌ワクチン 乾燥弱毒生麻しんワクチン 乾燥弱毒生風しんワクチン 乾燥弱毒生おたふくかぜワクチン 日本脳炎ワクチン |
|
抗悪性腫瘍溶連菌製剤 抗悪性腫瘍剤 ステロイド剤(リウマチ、抗炎症) 抗生物質 |
|||
区分C |
10 |
細胞培養医薬品 |
MCB/WCBのみ |
注射 |
15 |
||
|
薬 |
抗生物質 眼瞼痙攣治療薬 血栓溶解剤(遺伝子組換え) |
|
ゴーシェ病治療薬(遺伝子組換え) ファブリー病治療薬(遺伝子組換え) |
|||
|
11 |
菌培養医薬品/ワクチン |
シードのみ |
注射 |
44 |
||
|
薬 |
インスリン製剤 ステロイド剤(点眼) |
|
成長ホルモン |
|||
|
12 |
低分子成分製剤 |
成分原料 |
経口 |
167 |
||
|
|
ウルソデオキシコール酸類 |
|
|
|||
|
13 |
菌培養医薬品/ワクチン |
培養 |
経口 |
45 |
||
|
薬 |
子宮内膜症治療薬 ステロイド剤(経口、坐剤) 抗パーキンソン病薬 |
薬 |
喘息薬(吸入) 合成ホルモン剤 利尿薬 ポリオワクチン |
|||
|
14 |
外用製剤 |
基材、成分等 |
経皮 |
178 |
||
|
薬 |
ステロイド剤(抗炎症薬・クリーム等) 消炎鎮痛貼付剤 抗リウマチ薬 |
化 |
コンドロイチン硫酸 |
|||
|
|
化 |
コラーゲン |
(参考)
生物由来原料基準の一部を改正する件:新旧対照表