添付一覧
○ウシ等由来原材料を使用した医薬品、医療用具等の一部変更承認申請等におけるリスク評価等の取扱いについて
(平成15年8月1日)
(/薬食審査発第0801001号/薬食安発第0801001号/)
(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬食品局審査管理課長・厚生労働省医薬食品局安全対策課長通知)
ウシ及びその他類縁反芻動物(以下「ウシ等」という。)由来物を原材料(以下「ウシ等由来原材料」という。)として製造される医薬品、医療用具、医薬部外品及び化粧品(以下「医薬品、医療用具等」という。)については、平成13年10月2日付け医薬発第1069号厚生労働省医薬局長通知(以下「平成13年第1069号通知」という。)及び平成15年4月14日付け医薬発第0414004号厚生労働省医薬局長通知をもって、製造業者、輸入販売業者及び外国製造承認取得者の国内管理人(以下「製造業者等」という。)において品質及び安全性確保対策を講ずるよう通知したところである。また、カナダでの牛海綿状脳症(以下「BSE」という。)感染牛の発生の確認を踏まえて、平成15年5月22日付け医薬発第0522002号医薬局長通知「カナダ産のウシ等由来物を原材料として製造される医薬品、医療用具等の品質及び安全性確保について」(以下「局長通知」という。)及び平成15年6月5日付け医薬審発第0605001号医薬局審査管理課長通知「カナダ産ウシ等由来原材料を使用して製造される医薬品、医療用具等の品質及び安全性確保に係る承認申請等の取扱いについて」(以下「課長通知」という。)をもって通知したところであるが、BSE発生国等を原産国とするウシ等由来原材料の取扱いに関しては、下記のとおりとするので、貴管下関係業者に対して周知方お願いする。
記
1 局長通知に基づく原材料切替えが困難な場合の対応について
課長通知の記の3の(1)及び(2)に規定する平成13年第1069号通知に適合した原材料への切替えが困難な場合の手続きにおけるBSEの感染性に関する評価及び安全性に関する確保措置については、次のように対応すること。
(1) 原材料の切り替えを行うことが困難な場合は、当面、別添の「カナダでのBSE発生の確認を踏まえた医薬品等のBSEリスク評価の考え方について」(平成15年7月8日開催薬事・食品衛生審議会伝達性海綿状脳症調査会資料)を参考に当該製品のBSEに係る理論的なリスクの点検を行い、点検結果を添付して、当該原材料の使用を継続する旨の一部変更承認申請を行うこと。その場合、別添の考え方は、あくまで現時点での典型的な事例と考え方を示したものであり、今後のリスク評価の進展に応じて変更される可能性があることに留意するべきであること。
(2) (1)において、特に、遺伝子組換え品等の細胞培養を用いた製品については、より慎重に製造工程でのプリオンに関するクリアランス、医療上のリスク・ベネフィットを勘案して、製品個別に当該原材料の使用の適否について評価するべきものであること。
(3) (1)において、製造業者等は製品のリスク評価に基づき、インフォームド・コンセント等に資する情報提供を行うべきであること。
(4) (1)において「カナダでのBSE発生の確認を踏まえた医薬品等のBSEリスク評価の考え方について」に従ったリスクの点検を行い、当該リスク評価の考え方からの大幅な逸脱がある製品については、事前に当局に連絡されたいこと。
(5) 外国からの導入品においては、国内に輸入される製品と外国で販売される製品の間に原材料の差異が発生しないよう、課長通知の記の3の(2)の製造切り替え予定時期に関しては、外国での原材料の切替えの時期に国内に輸入される製品についても同時に原材料の切替えが図られるための外国の製造業者との間での担保を必要とするものであること。
2 BSEの発生国又はリスク不明国の原材料を使用する場合の証明書等の取扱いについて
(1) 平成13年第1069号により、BSEの発生国又はリスク不明国(以下「発生国等」という。)を原産国としたウシ等の原材料を使用する場合には、平成13年第1069号の記の2の(1)の②の(ア)から(エ)までの要件に適合することを求めているが、平成13年第1069号の別表2に掲げる低リスク国(平成13年10月2日時点で別表2に掲げられていた国を含む。)が新たに発生国となった場合に限り、(ア)の2)から4)まで及び(イ)に規定するBSE防疫体制が確立されている限りにおいては、(ア)に規定するBSE感染動物及びその属する動物群の動物が原料として使用されていないことに関する証明は、当分の間、必ずしも必要としないこと。
(2) BSE発生時において、平成13年11月1日付け医薬審発第1471号審査管理課長通知に規定する複数製品に使用される原料に係るTSE資料を提出する場合の事務手続きを迅速かつ円滑に行い、発生国等を原産国とするものであっても、外皮等のBSE伝播リスクが低いウシ等由来原材料の利用が円滑に行われるよう、次の取扱いができることとしたこと。
① 医薬品、医療用具等の製造業者等が一部変更承認申請を行うことに先立ち、原料供給業者による資料の提出を認めることとしたこと。その場合、原材料につき、TSE資料番号交付願いを別紙様式1及び別紙様式2により作成し、国立医薬品食品衛生研究所医薬品医療機器審査センター審査業務室に必要なTSE資料を添付して提出すること。
② 原産国の体制においてウシ等の全頭検査又はそれと同等のと畜場でのサーベイランスが実施されていることが確認されている場合は、平成13年第1069号の記の2の(1)の②の(ア)に関する証明資料を省略できること。
③ ①において、医薬品、医療用具等の製造業者は、TSE資料を提出した原料供給業者に対して審査管理課長から通知されるTSE資料番号を引用し、別紙様式2のTSE資料番号通知書の写を添付することにより、一部変更承認申請を行うことができること。その際、承認申請書において原材料の原産国名の記載は求めないものであること。
④ 平成13年11月1日付け医薬審発第1471号審査管理課長通知においては、TSE資料に係る当該原料を含む一部変更承認申請を予定している品目リストを当該原料供給業者があらかじめ提出することとされているが、当該リストについて、原料供給業者からの提出を要しないこととすること。
⑤ 審査管理課長からTSE資料番号を通知することは、事前のTSE資料の審査を行うものではないことに留意すること。ただし、平成13年第1069号の記の2の(1)の②の(ア)から(エ)までに規定する資料の提出に不備がある場合はTSE資料番号交付願いを受理しない場合があること。
⑥ TSE資料として提出した資料の内容のうち、原産国を変更する等の原材料の本質に関わる変更を行う場合には、原料供給業者は、医薬品、医療用具等の製造業者等と協議をしつつ、TSE資料の変更手続きを行うこと。
⑦ TSE資料の内容については医薬品、医療用具等の製造業者等が保証すべきものであり、原料供給業者が作成し、保管する場合であっても、製造業者は当該資料に対して確認できるよう取決め等がなされているものであること。
(3) 上記の場合の手続きは、図のとおりであること。
3 その他
(1) 上記1に示す取扱いは、これまで低リスク国であった原産国が発生国となった場合の対応に関する当面の取扱いについて示したものであるが、別表に掲げるBSE低リスク国のうち、欧州委員会の地理的リスク評価(GBR)が2の国を原産国としたウシ等由来原料を使用する場合についても、万が一の場合に備え、上記1と同様に理論的なリスクに係る自主点検及び原材料における平成13年第1069号の記の2の(1)の(ア)から(エ)までの要件への適合性の自主点検を行っておくことが望ましいこと。
(2) (1)に規定する原材料における平成13年第1069号の記の2の(1)の(ア)から(エ)までの要件への適合性の自主点検を行ったものについては、2の(2)に係る手続きを行うことができるものであること。
4 通知の訂正
課長通知を以下のように訂正すること。
(1) 記の4の(1)の②において、「区分5又は6」を「区分5」に改める。
(2) 記の5の(4)の「平成12年12月26日」を「平成12年12月12日」に改める。
(3) 別表の区分6欄の「変更承認申請を含めて」を「変更承認申請に含めて」に改める。
別表
BSE低リスク国 |
アルゼンチン(1)、オーストラリア(1)、ボツワナ(1)、ブラジル(1)、チリ(1)、コスタリカ(2)、エルサルバドル(1)、ナミビア(1)、ニカラグア(1)、ニュージーランド(1)、パナマ(1)、パラグアイ(1)、シンガポール(1)、スワジランド(1)、ウルグアイ(1)、コロンビア(2)、インド(2)、ケニア(2)、モーリシャス(2)、ナイジェリア(2)、パキスタン(2)、米国(2) |
( )内数は、GBR評価のレベルを表す。
注:ニューカレドニア(1)、バヌアツ(1)が平成15年4月現在、新たにリスク評価として追加されているため、今後、低リスク国として追加を行う予定である。
図 TSE資料番号通知に関する手続き
(別紙)
「成分及び分量又は本質」欄並びに「製造方法」欄の記載例
記載例(1)
「成分及び分量又は本質」欄
(成分名○○○)は、(ウシ等の動物名)の(使用部位△△△)に由来する。製造方法は、(公定書の規格:成分名○○○)によるほか、健康な動物に由来する原材料を使用し、BSEに感染している動物由来の原材料及び平成13年10月2日付け医薬発第1069号厚生労働省医薬局長通知に定める使用してはならない部位が製造工程において混入しないよう採取した△△△(◇◇◇社製:TSE資料番号○○―○○○)を原材料として製する。なお、本原材料については、同通知の記の2の(1)の②の条件に適合するものである。
記載例(2)
「成分及び分量又は本質」欄
(成分名○○○)は、(ウシ等の動物名)の(使用部位△△△)に由来する。製造方法は、(別紙規格:成分名○○○)によるほか、健康な動物に由来する原材料を使用し、BSEに感染している動物由来の原材料及び平成13年10月2日付け医薬発第1069号厚生労働省医薬局長通知に定める使用してはならない部位が製造工程において混入しないよう採取した△△△(◇◇◇社製:TSE資料番号○○―○○○)を原材料として製する。なお、本原材料については、同通知の記の2の(1)の②の条件に適合する>ものである。
記載例(3)
「製造方法」欄
(ウシ等由来成分○○○)は、(ウシ等の動物名)の(使用部位△△△)に由来するものであって、その製造において健康な動物に由来する原材料を使用し、BSEに感染している動物由来の原材料及び平成13年10月2日付け医薬発第1069号厚生労働省医薬局長通知に定める使用してはならない部位が製造工程において混入しないよう採取した△△△(◇◇◇社製:TSE資料番号○○―○○○)を原材料として製する。なお、本原材料については、同通知の記の2の(1)の②の条件に適合するものである。
注:TSE資料を用いないウシ等由来成分を併せて使用する場合には、当該成分の(ウシ等の動物名)、(原産国)、(使用部位△△△)を併記すること。
別紙様式1
別紙様式2
[別添]