○痩身用健康食品と称した未承認医薬品等の監視指導について
(平成14年7月17日)
(医薬監麻発第0717004号)
(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬局監視指導・麻薬対策課長通知)
今般、我が国において中国から個人輸入された痩身用健康食品の服用後、死亡例等重篤な事例を含む健康被害事例が発生しております。つきましては、下記について関係者等に対し周知するとともに、監視指導の徹底につき、ご配慮方お願いいたします。
記
1 複数の医療機関から、中国から個人輸入した未承認医薬品等の服用後に発生した健康被害について情報提供があり、調査した結果、以下のとおりであった。
事例1 (未承認医薬品)
・ 平成14年2月から5月頃、60代の女性2名が、作用として減肥を標ぼうする中国から個人輸入した未承認医薬品(製品名:画像1 (5KB)
、発売元:広州御芝堂保健制品有限公司)を服用した。
・ 服用後1ケ月程度で、全身倦怠感、嘔気、食欲低下の症状が現れ、臨床検査の結果、肝機能値の異常が認められた。
・ その後、1名は急性重症肝不全により約2ケ月後に死亡し、もう1名も入院加療を要した。
・ ウイルス抗体検査、その他の臨床検査をした結果から、肝機能障害は当該製品によるものと疑われた。なお、製品に標ぼうされている成分による肝機能障害は、現在までに報告されておらず、実際に服用していた製品を入手し分析を行ったものの、肝機能障害の原因となる物質は判明しなかった。
事例2 (未承認医薬品)
・ 平成14年3月頃、50代の女性が、痩身の目的で、中国から個人輸入した未承認医薬品(製品名:画像2 (4KB)
、発売元:広東恵州市恵宝医薬保健品有限公司)を服用した。
・ 服用後1ケ月程度で、黄疸が現れ、臨床検査の結果、肝機能値に異常が認められ、入院加療を要した。
・ 製品に標ぼうされている成分による肝障害は、現在までに報告されておらず、実際に服用していた製品を入手し分析を行ったものの、肝機能障害の原因となる物質は判明しなかった。
《参考》
・ 画像3 (4KB)
については、国立医薬品食品衛生研究所の分析結果から、乾燥甲状腺末及びフェンフルラミンが含まれていたことが明らかとなっている。また、同製品による健康被害事例(甲状腺機能亢進症)がみられていることから、現在までに、平成12年12月及び平成13年6月の二度にわたり注意喚起を行い、併せて、都道府県に対し必要な監視指導を要請している。
・ 平成13年4月から9月にかけて服用した30代~60代の女性7名について、同様の報告(服用後およそ1ケ月~3ケ月の間に、食欲不振、黄疸、全身倦怠感嘔気、褐色尿などの症状が現れ受診。臨床検査の結果、肝機能値に異常が認められた。)がされている。
事例3 (ダイエット用健康食品)
・ 中国から輸入されたハーブ類を原料とするカプセル形態の痩身用健康食品の摂取後に、肝機能障害が発生し、生体肝移植手術を行ったとの情報提供があった。
・ 実際に飲食に供していた製品を入手し分析を行ったものの、肝機能障害の原因となる物質は検出しておらず、また、現在までのところ、当該製品と肝機能障害との因果関係を裏付ける情報は得られていない。
2 これらの製品を服用している方は、肝機能障害を発症する可能性もあるので、症状があらわれた場合には、すぐに服用を中止し、医師の診察を受ける必要がある。
3 このような事例を踏まえ、未承認医薬品の安易な個人輸入に対して、改めて注意を喚起していただきたい。
4 未承認医薬品の個人輸入と称した場合であっても、その形態によっては、無許可医薬品販売等の薬事法違反のおそれがあることから、監視指導についてご留意されたい。
5 貴管下において、未承認医薬品による健康被害の報告を入手した場合には、速やかに公表するなどの周知を図るとともに、発表した内容等について厚生労働省へ連絡をお願いいたしたい。
(参考)医薬品と判断される標ぼうの内容
標ぼうされている作用・原材料
画像4 (5KB)
減肥(作用)
画像5 (4KB)
葛根(原材料)