○ヒト又は動物由来成分を原料として製造される医薬品、医療用具、医薬部外品及び化粧品の取扱いについて
(平成14年7月31日)
(医薬発第0731010号)
(各都道府県知事あて厚生労働省医薬局長通知)
ヒト又は動物由来成分を原料として製造される医薬品、医療用具、医薬部外品及び化粧品(以下「医薬品、医療用具等」という。)に関する品質及び安全性確保については、平成12年12月26日付け医薬発第1314号医薬安全局長通知(以下「局長通知」という。)をもって通知し、平成14年3月31日までに一部変更承認申請等を行うよう指導したところである。
今般、薬事法(昭和35年法律第145号)が改正され、ヒト又は動物由来成分、細菌、ウイルス、遺伝子組換え技術を応用して製造された成分等(以下「生物由来成分等」という。)を原料として製造される医薬品、医療用具等(直接人体に接触しないもの及び経口・経皮的に用いられるものを除く。以下同じ。)については改正後の薬事法(以下「新法」という。)第2条第5項の規定からみて、「生物由来製品」又は「特定生物由来製品」に指定される可能性があることから、当該医薬品、医療用具等の製造業者及び輸入販売業者(以下「製造業者等」という。)に対する品質及び安全性確保に関する措置として、下記のとおり、貴管下関係業者に対して指導方お願いする。
記
第1 新法施行に伴い製造業者等が実施すべき措置について
1 生物由来製品又は特定生物由来製品の指定(第2条第5項及び第6項関係)
① 生物由来製品又は特定生物由来製品の指定は、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて実施することとされているところであるが、生物(植物を除く。以下同じ。)由来の原材料が製造工程中、有効成分、添加剤及び医療用具材料に使用されている製品であって、注射剤、点眼剤、植込み医療用具等として使用されるものについては、生物由来製品に指定されうることを想定し、次項以降に規定する必要な対応の準備をしておくこと。
② 血液製剤、ヒト細胞組織医薬品及び細胞組織医療用具(死細胞を除く。)は、特定生物由来製品に指定されうることを想定し、次項以降に規定する必要な対応の準備をしておくこと。
2 生物由来製品の製造管理者・輸入管理者の設置(新法第68条の2関係)
① 生物由来製品の製造業者は、新法第68条の2第1項の規定により生物由来製品の製造管理者を、生物由来製品の輸入販売業者は、新法第23条において準用する第68条の2第1項の規定により輸入管理者を、厚生労働大臣の承認を受けて置かなければならないこと。外国製造承認取得者の国内管理人にあっても、同様とすること。
② ①の製造(輸入)管理者は、次のいずれかに該当する者を予定していること。
(1) 新法第68条の2第1項に規定する医師、細菌学的知識を有する者
(2) 大学等で、薬学、農芸化学、生物化学その他の微生物学に関する専門の講義及び実習を受講し、これを修得した後、生物由来製品又は生物由来製品と同等の保健衛生上特別の注意を要する医薬品、医療用具等の製造(輸入)に関する業務に三年以上従事した者
③ ②(2)の製造には、平成9年3月31日付け薬発第480号薬務局長通知に規定する治験薬GMPを遵守して治験薬(生物由来製品と同等の保健衛生上特別の注意を要するものに限る。)を製造すること、及び平成11年7月30日付け医薬発第906号医薬安全局長通知に規定する厚生労働大臣の治験用具又は治験薬の安全性及び品質の確認を受け、当該治験用具又は治験薬を製造することを含むものであること。
④ ①の承認の申請は、新法施行前から受け付ける予定であること。
⑤ なお、生物学的製剤の製造(輸入)管理者として承認を受けている者は、新法施行後、生物由来製品の製造(輸入)管理者とみなすこと。
3 表示・添付文書等の整備(新法第68条の3及び第68条の4関係)
① 生物由来製品及び特定生物由来製品について、次に掲げる事項その他新法に規定する事項が、直接の容器、被包等に記載されていなければならないこととする予定であること。
(イ) 直接の容器、被包等に、ロット番号の記載
(ロ) 直接の容器、被包等に、血液製剤等にあっては、原料となる血液が採取された国及び採血に係る「献血又は非献血」の区分に関する記載
(ハ) 添付文書に、特定生物由来製品にあっては、感染症のリスクに関する記載
② ①に違反する生物由来製品及び特定生物由来製品については、新法施行後、新法第68条の5において準用する第55条第1項違反として、罰則、回収等の対象となること。
4 生物由来製品に関する記録及び保存(第68条の9及び第68条の10関係)
① 生物由来製品の製造承認取得者等は、販売業者又は賃貸業者の協力を得て、生物由来製品を販売し、賃貸し又は授与した薬局開設者又は病院若しくは診療所の開設者の氏名、住所、製品のロット番号等今後厚生労働省令で定める事項に係る情報を収集し、適切に保存できる体制を設けなければならないこと。
② 特定生物由来製品を取り扱う医師その他の医療関係者(以下「特定医療関係者」という。)は、その担当した特定生物由来製品の使用の対象者に関する氏名、住所その他の厚生労働省令で定める事項を記録し、保存することとなるため、特定生物由来製品の製造承認取得者等は、販売業者又は賃貸業者の協力を得て、新法施行前から特定医療関係者に十分に説明しておくこと。
③ 生物由来製品の販売業者又は賃貸業者は、その販売し、賃貸し又は授与した生物由来製品について①の情報を収集し、製造承認取得者に提供できる体制を設けなければならないこと。
④ 特定生物由来製品の販売業者又は賃貸業者は、②の特定医療関係者による記録及び保存を円滑に進めるための特定医療関係者への事前の説明等について、特定生物由来製品の製造承認取得者等に協力すること。
⑤ 新法施行時に薬局、病院又は診療所内にある特定生物由来製品のうち、改正前の薬事法に適合する表示がなされているが、新法に適合する表示がなされていないものに限り、新法施行後1年以内は、②の特定医療関係者による使用の対象者に関する事項の記録及び保存の義務を適用しないこと。
第2 ヒト由来成分を原料として製造される医薬品、医療用具等の製造業者等に対する当面の措置について
1 医薬品、医療用具等に使用されるヒト又は動物由来成分に関しては、局長通知において、製造業者等による自主点検、承認書の整備等を行うこととしたところであるが、再度、次の点に関する確認を行うこと。
(1) ヒト由来成分を原料として用いているかどうかを確認すること。
(2) ヒト由来成分が、製造工程中又は製品の添加剤として使用される場合は、当該ヒト由来成分が承認書中に明確に記載されていること。
2 ヒト由来成分が製造工程中、添加剤又は医療用具材料に使用される場合にあっては、特定生物由来製品への該当性を調査するため、別記様式1により、必要な資料を平成14年8月末日までに提出すること。
3 ヒト由来成分が使用されている製品であって、局長通知及び平成13年7月10日付け医薬審発第1046号に基づく自主点検の結果、必要な一部変更承認申請を行っていない製品がある場合は、速やかに、別記様式2により、審査管理課長あて連絡するとともに、承認整理届及び品目廃止届を提出すること。また、ヒト由来成分が使用されている製品であって、上記の自主点検の結果、一部変更承認申請が不要とされた製品についても、特定生物由来製品への該当性を調査するため、別記様式3により、平成14年8月末日までに審査管理課長あて連絡すること。
4 ヒト由来成分を使用して製造される医薬品、医療用具等にあっては、新法において「特定生物由来製品」として指定されたときに、適切な対応を取ることができるよう、原材料の取扱い、製造管理等の実施体制を整えておくこと。
5 特定生物由来製品の指定を適切に行うため、ヒト由来成分を使用した製品とヒト由来成分を使用しない製品を一の承認として受けているものについては、平成14年9月末日までに、これらを二以上の承認に分離するための一部変更承認申請を行うこと。
6 ヒト由来成分を次のように変更するための一部変更承認申請を行う場合にあっては、平成14年9月末日までに申請されたものに限り、迅速に審査を行うこと。
① ヒト由来成分を代替する他の原料に切り替える場合
② ヒト以外の動物に由来する原料に切り替える場合
③ ヒト由来成分を除去する場合
④ ヒト由来成分を使用した製品とヒト由来成分を使用しない製品を一の承認として受けているものについて、これらを二以上の承認に分離する場合
7 一部変更承認申請中の製品について、5又は6に基づく一部変更承認申請を行おうとする場合は、申請中の一部変更承認申請を行った年月日を備考欄に記載すること。
第3 動物由来成分等を原料として製造される医薬品、医療用具等の製造業者等に対する当面の措置について
1 医薬品、医療用具等に使用されるヒト又は動物由来成分に関しては、局長通知において、製造業者による自主点検及び承認書の整備等を行うこととしたところであるが、再度、動物由来成分等(生物由来成分のうち、ヒト由来成分、高度精製品及び半合成品を除いたものをいう。)を原料として用いているかどうかを確認するとともに、製造工程中又は製品の添加剤として使用される動物由来成分等が承認書中に明確に記載されていることを確認すること。
2 動物由来成分等が使用されている製品であって、局長通知及び平成13年7月10日付け医薬審発第1046号に基づく自主点検の結果、必要な一部変更承認申請を行っていない製品がある場合は、すみやかに、別記様式2により、審査管理課長あて連絡するとともに、承認整理届及び品目廃止届を提出すること。また、動物由来成分等が使用されている製品であって、上記の自主点検の結果、一部変更承認申請が不要とされたものについても、生物由来製品への該当性を調査するため、別記様式3により、平成14年8月末日までに審査管理課長あて連絡すること。
3 動物由来成分等を使用して製造される医薬品、医療用具等にあっては、新法において「生物由来製品」として指定されたときに、適切な対応を取ることができるよう、原材料の取扱い、製造管理等の実施体制を整えておくこと。
4 生物由来製品の指定を適切に行うため、動物由来成分等を使用した製品と動物由来成分等を使用しない製品を一の承認として受けているものについては、平成14年9月末日までに、これらを二以上の承認に分離するための一部変更承認申請を行うこと。
5 動物由来成分等を次のように変更するための一部変更承認申請を行う場合にあっては、平成14年9月末日までに申請されたものに限り、迅速に審査を行うこと。
① 動物由来成分等を代替する他の原料に切り替える場合
② 動物由来成分等を除去する場合
③ 動物由来成分等を使用した製品と動物由来成分等を使用しない製品を一の承認として受けているものについて、これらを二以上の承認に分離する場合
6 一部変更承認申請中の製品について、4又は5に基づく一部変更承認申請を行おうとする場合は、申請中の一部変更承認申請を行った年月日を備考欄に記載すること。
別記様式1
別記様式2
別記様式3