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○「書面の交付等に関する情報通信の技術の利用のための関係法律の整備に関する法律」、「商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律」等の施行に伴う医薬局関係法令の改正について〔麻薬及び向精神薬取締法〕
(平成一三年三月二六日)
(医薬発第二三三号)
(各都道府県知事・各政令市長・各特別区長あて厚生労働省医薬局長通知)
書面の交付等に関する情報通信の技術の利用のための関係法律の整備に関する法律(平成12年法律第126号。以下「IT一括法」という。)が平成12年11月27日に、書面の交付等に関する情報提供の技術の利用のための関係法律の整備に関する法律の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令(平成13年政令第4号)が平成13年1月4日に、書面の交付等に関する情報提供の技術の利用のための関係法律の整備に関する法律の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備に関する省令(平成13年厚生労働省令第36号)が平成13年3月26日に、それぞれ公布され、これらは書面の交付等に関する情報提供の技術の利用のための関係法律の整備に関する法律の施行期日を定める政令(平成13年政令第3号)により、平成13年4月1日に施行されることとなった。
また、商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律(平成12年法律第91号)が平成12年5月31日に公布され、商法等の一部を改正する法律の施行期日を定める政令(平成12年政令第546号)により、平成13年4月1日より施行されることとなった。
これらによる薬事法(昭和35年法律第145号)等の医薬局所管法令の改正の要旨については、下記のとおりであるので、御了知の上、その運用に遺憾なきようお願いする。
記
第1 IT一括法等による医薬局所管法令の改正について
1.概要
最近の電子メール、ホームページ等の情報通信の技術の発達に伴い、民間における電子商取引等の促進を図るため、書面の交付等に代えて、書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができること等とするために、法令等で書面の交付等を義務付けているもののうち、電子商取引が行われる可能性が見込まれ、かつ、法令改正に支障のないものについて、所要の改正を行ったところである。医薬局関係で書面の交付等を見直した法令及び該当条項並びにその書面は別紙のとおりである。
2.改正内容
今回のIT一括法及びその関係政省令による関係法令の改正の概要については、以下のとおりである。
(1) 書面の交付等に代えて、電磁的方法によることについて
民間同士の取引等の際に義務付けられている書面の交付等について、相手方の承諾を得て、書面に記載すべき事項等について電磁的方法による提供等が行われた場合には、書面による交付等があったものとみなすこととした。また、この承諾を得る方法及び認められる電磁的方法についても法令に規定した。
(2) 具体的方法について
① 承諾を得る方法について
承諾を得る方法は、i)あらかじめ(事後承諾は不可)、ii)利用する電磁的方法の内容(電子メール、ウェブ等)を明示し、iii)書面又は電磁的方法による承諾を得ることとした。また、この明示する内容についても④に示すとおり法令に規定した。
なお、承諾が本人の確定した意思に基づくことを担保し、後日のトラブルを防止する観点から、口頭による承諾は認めないこととした。
② 承諾の撤回があった場合について
相手方から、書面又は電磁的方法により電磁的方法によらない旨の申出があったときは、書面に記載すべき事項の提供等を電磁的方法によってしてはならないこととした。ただし、当該相手方が再び電磁的方法によることの承諾をした場合はこの限りでない。
③ なお、①の承諾を得る方法及び②の電磁的方法によらない旨の申出の方法については、書面又は電磁的方法であれば、(1)の電磁的方法と同一の方法である必要はないこととした。
④ 利用する電磁的方法の明示について
承諾する際に相手方に明示する内容については次のア及びイのとおりとした。
ア 書面の交付等に代えることができるものとして規定した電磁的方法のうち実際に使用する方法
イ ファイルへの記録の方式
⑤ 書面の交付等に代えることができる電磁的方法について
電磁的方法については、次のア又はイのとおりとした。(以下においては、書面の交付等を行う義務を負っている者をAとし、書面の交付を受けることとされている者をBとすることとする。)
ア 電子情報処理組織を使用する方法のうち次のi)又はii)に掲げるものであること。
i) Aの使用に係る電子計算機とBの使用に係る電子計算機とを接続する電気通信回線を通じて送信し、受信者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法(具体的には、電子メール等を利用する方法を想定しているもの)
ii) Aの使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録された書面に記載すべき事項等を電気通信回線を通じてBの閲覧に供し、Bの使用に係る電子計算機に備えられたファイルに当該事項等を記録する方法(具体的には、ウェブ(ホームページ)等を利用する方法を想定しているもの)
イ 磁気ディスク、シー・ディー・ロムその他これらに準ずる方法により一定の事項等を確実に記録しておくことができる物をもって調製するファイルに書面に記載すべき事項等を記録したものを交付する方法
⑥ 電磁的方法の技術的基準について
⑤の電磁的方法は、それぞれBがファイルへの記録を出力することによる書面を作成することができるものでなければならないことを技術的基準とした。
また、書面の交付に加えて、記名押印を義務付けているもの又は申請資料の適合性確認等を行うためにその記録の保存を義務付けているものについては、内容の真正性の確保等について書面における記名押印と同様の効果を担保するため、記名押印に代えて、ファイルへの記録がされた書面に記載すべき事項等について、改変が行われていないかどうかを確認することができる措置(例えば、電子署名及び電子認証業務に関する法律(平成12年法律第102号)第2条第1項に規定する電子署名)を講じていなければならないこととした。
⑦ 電子情報処理組織について
⑤の「電子情報処理組織」とは、Aの使用に係る電子計算機と、Bの使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいうこととした。
⑧ 記録の保存について
交付された書面について、保存義務が規定されているものについては、当該書面の交付に代えて、電磁的方法が行われた場合には、当該書面を保存する代わりに、当該方法において作られる電磁的記録を保存しなければならないこととした。
⑨ 罰則に関する経過措置について
本改正の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例によることとした。
3 毒物又は劇物、毒薬又は劇薬、麻薬等の譲渡の際に留意すべき事項
今回の改正により、譲渡人が譲受人に対して毒物又は劇物、毒薬又は劇薬、麻薬等(以下「毒物等」という。)を譲渡するに当たって、譲受人からその品名等を記載した書面を受けることが義務付けられている毒物及び劇物取締法、薬事法、麻薬及び向精神薬取締法等について当該書面の交付を電磁的方法によることを認めることとしているが、これは、毒物等を譲受する際に、譲渡人に提出する書面の交付に限り電磁的方法によることを認めるものであり、譲渡人が譲受人に毒物等を交付する際については、従来どおりの取扱いを維持するものである。
また、この電磁的方法は、ファイルへの記録がされた書面に記載すべき事項等について、改変が行われていないかどうかを確認することができる措置を講じていなければならないこととし、その内容の真正性等を確保しているものであるが、毒物・劇物、麻薬等の性質に鑑み、薬物乱用防止等の観点から、その譲渡に際しては、以下の点について、十分に御配慮・御協力願いたい。
① 書面の交付等に代えて電磁的方法を利用する場合は、毒物等の譲渡人は、より慎重に、使用の目的の適否の判断をし、譲受人の品目の選定、数量の多少、使用の方法等につき、誤りのないように配慮すること。
② 譲受人が常時取引関係にない一般消費者である場合など面識のない相手に対して毒物等を譲渡する際に、書面の交付等に代えて電磁的方法を利用する場合には、当該方法の顔や声により相手方を確認することができないなどの特性に鑑み、別途、本人であることの確認を行うなどその取引については慎重に行うこと。
第2 商法改正に伴う薬事法の改正について
1 背景
「商法等の一部を改正する法律」(平成12年法律第90号)により、株式会社及び有限会社を対象に、分割する会社の権利義務を分割契約書に記載された範囲内で、分割により設立する会社又は承継する会社に当然に承継されるという包括承継の概念を採用した会社分割制度が導入されたことから、今般、「商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律」(平成12年法律第91号)により、薬事法の一部を改正し、相続や合併と同様に分割の際における承認の承継についての規定を整備した。
2 改正概要(第14条の5の3関係)
分割による承継については、承認に伴う全ての権利義務関係が被承継人に引き継がれることが民法又は商法上担保されている相続や合併によって承継される場合と異なり、承認申請の際に提出した資料やその根拠となったデータが被承継者に承継されるとは限らない。
したがって、当該承認をもとに医薬品等が製造された場合、保健衛生上の危害が発生するおそれがあることから、分割について承認の承継を認めるに当たっては、被承継人に承認に係るすべての資料が承継される場合に限ることとした。(第1項関係)