アクセシビリティ閲覧支援ツール

添付一覧

添付画像はありません

○麻薬の廃棄に係る事務処理について

(平成一二年三月三一日)

(医薬発第三七一号)

(各都道府県知事・各地区麻薬取締官事務所(支所)長あて厚生省医薬安全局長通知)

地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律(平成一一年法律第八七号)(以下「地方分権一括法」という。)が平成一一年七月一六日をもって公布され、これにより、麻薬及び向精神薬取締法(昭和二八年法律第一四号)(以下「法」という。)が一部改正され、平成一二年四月一日から施行されることとなった。

この改正に伴い、地方分権一括法による改正後の法第二九条本文の規定に基づく事前の廃棄届出(麻薬廃棄届)及び同条ただし書の規定に基づく事後の廃棄届出(調剤済麻薬廃棄届)について、別添のとおり「麻薬廃棄届出事務取扱要領」を定めたので、その運用につき格段の御指導を願いたい。

なお、平成一二年四月一日をもって、昭和五九年三月二一日付薬発第一九四号「麻薬廃棄許可事務処理の変更について」及び昭和六二年一月二三日付薬発第六四号「麻薬廃棄許可事務取扱要領の改訂について」を廃止し、平成二年八月二二日付薬発第八五二号「麻薬取締法等の一部を改正する法律の施行について」第一の二(四)カ中「都道府県知事の許可を受け」を「都道府県知事に届け出」に改める。

(別添)

麻薬廃棄届出事務取扱要領

一 事前の届出(麻薬廃棄届)により麻薬を廃棄する場合

(一) 届出者

① 麻薬及び向精神薬取締法施行規則(昭和二八年厚生省令第一四号)(以下「規則」という。)別記第一一号様式による届出書(麻薬廃棄届)の届出者は、麻薬を廃棄しようとする者であり、麻薬取扱者の場合、麻薬営業者、麻薬診療施設の開設者、麻薬研究施設の設置者(以下「麻薬業務所の開設者等」という。)である。

麻薬業務所の開設者等が国、地方公共団体若しくは法人の場合、当該麻薬業務所の長(例えば、病院長、支店長、工場長等)が届け出ても差し支えない。

また、届出者が死亡、解散などした場合、相続人、清算人などである。

② 届出者が当該麻薬業務所の長である場合、当該麻薬業務所の長の職名、氏名(法人の場合、名称、当該麻薬業務所の長の職名、氏名)を、届出者の住所は、当該麻薬業務所の所在地を記載し、公印又は公印に準ずるもの(麻薬専用印等)を押印する。

(二) 廃棄の対象となる麻薬

麻薬及び向精神薬取締法(昭和二八年法律第一四号)(以下「法」という。)第二九条本文の規定に基づき、あらかじめ都道府県知事に届け出て当該職員の立会いの下に廃棄される麻薬は、麻薬処方せんにより調剤された麻薬以外の麻薬である。

具体的には

・所有する麻薬が陳旧、変質、破損、汚染、調剤過誤などの理由で譲渡又は使用できなくなった麻薬

・所有する麻薬で譲渡又は使用の見込みがなく不要な麻薬

・業務廃止、開設者死亡などに伴い不要となった麻薬

などである。

(三) 届出書の提出

① 麻薬の廃棄を届け出ようとする者(以下「届出者」という。)は、規則別記第一一号様式による届出書(麻薬廃棄届)をその業務所の所在地(届出者が麻薬取扱者以外の者にあっては廃棄する麻薬の所在場所)を管轄する都道府県知事に提出する。

② 法第三六条第一項(同条第四項の規定により準用する場合を含む。)の規定に基づき、届出を行わなければならない者が他の都道府県に移転する等の場合に、麻薬を廃棄するときは、移転等の前に、麻薬廃棄届を行い、麻薬の廃棄を終了するよう指導する。

(四) 地区麻薬取締官事務所への送付

都道府県知事は、次に掲げる者から届出書を受理したときは、当該届出書の写しを地区麻薬取締官事務所に送付する。

・麻薬輸入業者、麻薬輸出業者、麻薬製造業者、麻薬製剤業者、家庭麻薬製造業者、又は麻薬元卸売業者(以下「麻薬輸入業者等」という。)

・麻薬輸入業者等であった者が法第三六条第一項(同条第四項の規定により準用する場合を含む。)の規定に基づき届出を行ったもの。

(五) 麻薬の廃棄

① 都道府県知事は、届出書を受付したときは、届出内容を審査したうえ、届出内容に疑わしい点がない場合に受理し、当該職員の立会いの下に麻薬を廃棄させる。

② 廃棄しようとする麻薬が再利用することが可能と認められ、かつ、多量である場合又は貴重なもので行政の参考資料として保存する必要があると認められる場合には、廃棄の適否について、あらかじめ地区麻薬取締官事務所を通じて厚生省医薬安全局麻薬課に照会されたい。

③ 当該職員は、麻薬を廃棄するとき、届出された麻薬の品名及び数量と廃棄しようとする麻薬の品名及び数量を照合・確認のうえ、麻薬を廃棄させる。

④ 当該職員は、麻薬の廃棄に立ち会ったときに、廃棄しようとする麻薬に疑わしい点を発見した場合、直ちに麻薬の廃棄を中止させて調査し、都道府県衛生主管部(局)薬務主管課に連絡する。

(六) 廃棄の立会者

麻薬の廃棄は、届出者、当該麻薬業務所の麻薬管理者又は管理薬剤師等が行うが、麻薬の廃棄の立会いには、原則として麻薬取締員若しくは法第五〇条の三八に規定する立入検査票を有する職員のうち二名又はこれらの職員のうち一名及び他の衛生関係職員一名が当たることとするが、必要に応じて麻薬取締官が立ち会うことができる。

(七) 帳簿の記載

① 麻薬を廃棄した場合、法第三七条から第四〇条に規定する帳簿に、廃棄した麻薬の品名及び数量並びにその年月日を記載しなければならない。

また、帳簿の当該麻薬の備考欄に廃棄の届出年月日を記載する。

② 廃棄の立会者は、廃棄した麻薬を記載した帳簿の備考欄に、記名押印又は署名する。

(八) その他

都道府県知事は、別記様式による麻薬廃棄届出件数報告書を毎年作成し、翌年の二月末日までに地区麻薬取締官事務所長あて提出するようご協力をお願いする。

二 事後の届出(調剤済麻薬廃棄届)により麻薬を廃棄する場合

(一) 届出者

① 規則別記第一九号様式による届出書(調剤済麻薬廃棄届)の届出者は、麻薬処方せんにより調剤された麻薬を廃棄した者であり、麻薬小売業者又は麻薬診療施設の開設者である。

届出者が、国、地方公共団体若しくは法人の場合、当該麻薬業務所の長(例えば、病院長、診療所長、支店長等)が届け出ても差し支えない。

② 届出者が当該麻薬業務所の長である場合、当該麻薬業務所の長の職名、氏名(法人の場合、名称、当該麻薬業務所の長の職名、氏名)を、届出者の住所は、当該麻薬業務所の所在地を記載し、公印又は公印に準ずるもの(麻薬専用印等)を押印する。

(二) 廃棄の対象となる麻薬

法第二九条ただし書の規定に基づき、廃棄後三〇日以内に都道府県知事に届け出る麻薬は、「麻薬処方せんにより調剤された麻薬」である。

「麻薬処方せんにより調剤された麻薬」とは、院外処方せん、院内処方せんを問わず麻薬処方せんにより調剤された麻薬又は麻薬施用者が自ら調剤した麻薬で、具体的には

・患者の症状変化に伴い、服用困難、処方変更などによる場合

・患者死亡による場合

などに残った麻薬である。

したがって、患者又は家族等から麻薬小売業者又は麻薬診療施設の開設者に返却された麻薬もこれに該当する。

(三) 届出書の提出

① 麻薬小売業者等は、法第三五条第二項の規定に基づき、麻薬を廃棄した場合、廃棄後三〇日以内に規則別記第一九号様式による届出書(調剤済麻薬廃棄届)をその業務所の所在地を管轄する都道府県知事に提出する。

② 届け出る麻薬の廃棄は、廃棄後三〇日以内であれば、その間の複数の廃棄をまとめて一つの届出書で提出して差し支えない。

(四) 廃棄の立会者

麻薬の廃棄は、

・麻薬小売業者又は管理薬剤師

・麻薬診療施設の開設者又は麻薬管理者(麻薬管理者がいない場合は、麻薬施用者)

が行うが、当該麻薬業務所の他の薬剤師又は職員が立ち会う。

(五) 帳簿の記載

① 廃棄した麻薬を記載する帳簿は、法第三八条又は第三九条に規定する帳簿のほか、専用の別帳簿として差し支えない。

② 帳簿の当該麻薬の備考欄に廃棄した年月日、廃棄の届出年月日、麻薬の数量を記載し、廃棄の立会者は、記名押印又は署名する。

三 麻薬廃棄の場所及び方法

(一) 廃棄の場所

麻薬の廃棄は、当該麻薬業務所、保健所等麻薬の廃棄に適した場所において行う。

(二) 廃棄の方法

① 麻薬を廃棄する場合、焼却、放流、酸やアルカリによる分解、希釈、他の薬剤との混合等、麻薬の回収が困難な方法で行う。

② 麻薬の廃棄場所への移動については、盗難、紛失等の事故に十分留意するよう指導する。

別記様式

別記第11号様式(第十条関係)

別記第19号様式(第十二条の三関係)