添付一覧
○カラーコピーによる偽造処方せんに関する留意事項について
(平成一一年五月一四日)
(医薬企第六一号・医薬麻第七四七号)
(各都道府県・政令市・特別区薬務主管部(局)長あて厚生省医薬安全局企画・麻薬課長連名通知)
処方せんの取扱いについては、薬剤師法(昭和三五年八月一〇日法律第一四六号)第二四条の規定に基づき、薬剤師は、処方せん中に疑わしい点があるときは、その処方せんを交付した医師、歯科医師又は獣医師に問い合わせて、その疑わしい点を確かめた後でなければ、これによって調剤してはならないこととされているが、今般、別添参考のとおり北海道及び静岡県よりカラーコピーによる処方せんの偽造に関する報告があったことから、貴管下薬局、関連機関等へ注意を喚起し、改めて徹底するよう指導されたい。
なお、当方に寄せられた報告は、いずれの場合も向精神薬の処方せんに関するものであることから、向精神薬が処方されている場合は、特に留意するよう周知されたい。
また、当方に報告があった事例については、いずれの場合も複数の薬局に相次いで偽造処方せんを持ち込んでいることから、偽造処方せんが発見された場合には、速やかに最寄りの警察署へ通報するとともに、最寄りの保健所、薬剤師会等へ遅滞なく情報提供を行い、被害拡大の防止に努めるよう指導されたい。
別添
カラーコピーによる偽造処方せんに関する報告事例(参考)
事例一北海道
平成一一年一月一二日夕刻、札幌市内の薬局Aは患者Xがカラーコピーにより偽造した処方せんを持参し、調剤を受けた。薬局Aは偽造に気づかず調剤を完了した。
平成一一年一月一三日午後、患者Xが薬局Bにも同様の偽造処方せんを持参した。薬局Bは偽造に気づかず調剤を開始したが、処方せん中の「エリミン錠五mg」の在庫がなかったため、薬局Aに照会後、分割販売を受けて調剤を完了。
さらに患者Xは薬局Cにも同様の偽造処方せんを持参したが、薬局Cでも処方せん中の「エリミン錠五mg」の在庫がなかったため、薬局Aに在庫を照会した。
使用頻度の高くない医薬品の在庫照会が続いたため不審に思った薬局Aが処方医に照会・調査を行い、偽造処方せんであることが確認されたため、薬局Cでは薬は交付されなかった。
患者は薬局D、薬局E、薬局Fにも立ち寄っていたが、いずれも在庫がなかったため薬が交付されない状態であった。
薬局Bによる警察署への通報により患者Xが保護された。
事例二静岡県
平成一一年四月一五日、浜松市内の複数の薬局において、保険者番号の記載のない処方せんが確認されたため、処方医療機関に照会があり、コピー処方せんであることが判明。
静岡県薬事企画室より、浜松市薬剤師会を通じて偽造処方せんが持ち込まれた薬局に対し、警察への通報を依頼するとともに、県内各保健所に注意喚起の通知を送付。この際、静岡県内の関係機関・団体等に情報提供を行った。
平成一一年四月一六日、患者Xが昨日と異なる医療機関で受診し、患者に処方せんを交付した旨の連絡が浜松市医師会から静岡県医師会を通じて静岡県にある。
その後、浜松市内のN薬局に本物の処方せんが持ち込まれていることが判明した。N薬局では患者に薬剤を交付せず、処方医に前日の事件のことも併せて相談した結果、処方医の交付依頼を受けて患者に医薬品を交付した。