添付一覧
○塩化ビニル樹脂製血液セット基準等について
(平成一一年三月三〇日)
(医薬発第三九九号)
(各都道府県知事あて厚生省医薬安全局長通知)
薬事法第四二条第二項に基づく「塩化ビニル樹脂製血液セット基準」(昭和四〇年厚生省告示第四四八号)、「月経処理用タンポン基準」(昭和四五年厚生省告示第三〇三号)及び「プラスチック製縫合糸基準」(昭和四五年厚生省告示第四四四号)については、平成一一年三月三〇日限りで廃止されたところであるが、今般、承認を行うに当たって準ずるべき基準として別添のとおり「塩化ビニル樹脂製血液セット基準」、「月経処理用タンポン基準」及び「非吸収性プラスチック製縫合糸基準」(以下「各基準」という。)を定め、今後、各基準の「適用範囲」に該当する医療用具については、原則として当該各基準により承認を行うこととしたので、左記にご留意のうえ、貴管下関係業者に対し、周知徹底方よろしくお願いする。
なお、本通知の写しを財団法人医療機器センター理事長、日本医療機器関係団体協議会会長、在日米国商工会議所医療機器小委員会委員長及び欧州ビジネス協議会医療機器委員会委員長あて送付することとしている。
記
一 各基準の「適用範囲」に該当する医療用具であって、当該基準に適合しないものについては、個別に有効性、安全性、品質等についての資料の提出を求め、これに基づき審査し、承認を行うものであること。
二 各基準の「適用範囲」に該当する医療用具であって、既に薬事法第一四条第一項(第二三条において準用する場合を含む。)又は第一九条の二第一項の規定に基づく承認を受けているもののうち、規格及び試験方法が当該基準が定めるところと異なるものについては、直ちに当該基準に適合した記載とするための承認事項一部変更承認申請を行う必要はないが、今後、何らかの承認事項一部変更承認申請を行う場合に併せて当該基準に準じた整備を図ること。
三 各基準の規定のうち「表示」については、承認に関連する事項ではないが、各基準の「適用範囲」に該当する医療用具であって当該基準に適合しないものも含め、製品の表示に当たっては、本規定に適合するよう指導されたいこと。
塩化ビニル樹脂製血液セット基準
一 適用範囲
この基準は、血液及び血液成分を採取、分離、保存、処理、輸送又は投与するために使用する折り畳み可能な塩化ビニル樹脂製血液セット(以下「セット」という。)に要求される事項を規定する。
なお、生物学的製剤基準(平成五年一〇月一日厚生省告示第二一七号)等に定められた血液保存液等を充填したものについては、別途医薬品としての安全性及び品質が確保されるものであり、本基準は適用しない。
二 引用規格
この基準は左記規格又は基準を引用する。
ISO三八二六:一九九三人間の血液及び血液成分用のプラスチック製軟質容器
滅菌済み輸血セット基準(平成一〇年一二月一一日医薬発第一〇七九号厚生省医薬安全局長通知)
滅菌済み注射針基準(平成一〇年一二月一一日医薬発第一〇七九号厚生省医薬安全局長通知)
日本薬局方(平成八年三月一三日厚生省告示第七三号第一三改正)
医療用具及び医用材料の基礎的な生物学的試験のガイドライン(平成七年六月二七日薬機第九九号厚生省薬務局医療機器開発課長通知「医療用具の製造(輸入)承認申請に必要な生物学的試験のガイドラインについて」)
滅菌バリデーション基準(平成九年七月一日医薬監第一号厚生省医薬安全局監視指導課長通知「滅菌バリデーション基準について」)
三 定義
三・一 公称採血量
セット本体若しくは直接の容器又は被包に表示された採取可能な血液又は血液成分の容量又は重量
三・二 バッグ
血液及び血液成分を採血、分離、保存、処理、輸送又は投与するための袋で、採血用口、輸血用口又は血漿等取出口(以下「取出口」という。)が付いたものをいい、直接採血するものを採血バッグという。
三・三 フイルム
バッグのシート部分をいう。
三・四 チューブ
導管及び分岐管をいう。
三・五 水
日本薬局方の第二部医薬品各条「精製水」
三・六 エンドトキシン試験用水
日本薬局方の第二部医薬品各条「注射用水」又はその他の方法により製造した水で、エンドトキシン試験に用いるLAL試薬の検出限界で反応を示さないもの
三・七 一次包装
セットを直接に覆う包装で、セットの無菌性を保持するためのものをいい、さらにこれが二次包装される場合には、いわゆる「内袋」に該当する。
三・八 二次包装
一次包装を直接に覆う包装で、通常、複数の一次包装されたセット、例えば五セットを入れるものをいう。
四 構成
セットは、主としてバッグ、導管及び分岐管からなり、採血針、分離針又はコネクターが付属するものもある。採血針、分離針又はコネクターには保護キャップが付属する。また、セットにはバッグを複数有するものもあり、図は一般的なセットを図示したものであり要求事項ではない。
五 基本的要求事項
セットは、血液及び血液成分の採取、保存、処理、輸送、分離及び投与が、安全で効率良く行えるように設計されていること。セットは、血液や血液成分の保存に悪影響を及ぼさないように設計され、製造されていること。セットは、微生物による汚染の危険を最低限に押さえ、血漿又は遠心分離若しくは再懸濁した細胞成分を調製できるものであること。セットは、滅菌済み輸血セット基準に適合する輸血セットと機能適合性のあるものであること。また、セットは、もっぱら保存に用いるものを除き、遠心分離機で使用できるように設計されていること。
セットは、透明で、実質的に無色であり、柔軟性があって、無菌、非発熱性で、毒性がなく、使用条件の下では脆くないものであること。セットは、通常の使用条件の下では、内容物に適合するものであること。セットは、製造の最終段階で滅菌し、滅菌中又はその後に、粘着するものではないこと。セットは、その耐用期間中、内容物に関して、生物学的、化学的及び物理学的に安定しているものであり、微生物の侵入を許すものではないこと。
六 物理的要求事項
六・一 空気含有量
六・一・一 セット内に含まれる空気の総量は、通常、一袋に対して一五mLを超えないこと。
六・一・二 指示に従って使用する場合、セットは、空気を混
入させずに血液を充填できるものであること。
六・二 加圧取り出し
セットに公称採血量と同量の温度二〇±五℃の水を入れ、滅菌済み輸血セット基準に定める輸血セット(輸血針を除き、クランプを閉じたもの)を取出し口に接続し、バッグを二枚のプレートで挟み、内圧が大気圧より四〇kPa高くなるように圧縮したとき、接続した輸血セットを通して水がバッグから漏れずに取り出せるものであること。
六・三 採血能
六・三・一 セットは、通常の使用条件の下で、充填する場合、抵抗が最低限に押さえられる柔軟性を備えていること。
六・三・二 公称採血量の約二倍量の次に掲げる保存血液又はPVP・ソルビット混合液が入っているびんに採血針をさし込み、液面から採血バッグの頂点までの高さ五〇cmの落差により、公称採血量に相当する液量を採血バッグに満たすとき、空気の混入がなく、また、その所要時間は、八分以内であること。
又は、ISO三八二六の四・五・二に適合すること。
保存血液:比重が一・〇五二以上の血液を生物学的製剤基準の保存血液の条に規定する割合で血液保存液に混入したものとする。ただし、既に調製されている保存血液にあっては、生物学的製剤基準の保存血液の条の規定に従って貯蔵されたものに限る。
PVP・ソルビット混合液:
ポリビニルピロリドン(PVP)(平均分子量35,000)30.0g
D―ソルビット 50.0g
注射用蒸留水 適量
――――――――――――――――――――――――――
全 量 1,000mL
六・四 導管及び分岐管
六・四・一 セットには、血液及び血液成分の採取や分離を可能にする一本または複数本の導管又は分岐管を設けること。
セット(もっぱら保存に用いられるものは除く。)の分岐管には、初めは密封として機能し、密封を解いた後は、両方向いずれの方向にでも血液成分が流れるようにする器具を取付けること。
六・四・二 導管及び分岐管は密封することができ、通常の使用状態の下ではつぶれないものであること。
六・四・三 公称採血量まで水を充填し密封したバッグとそれに接続した導管及び分岐管は、室温で接合部端面に直角に二〇Nの引張強度を一五秒間加えるとき、接合部分から水漏れがあってはならず、セットは、六・一一及び六・一二に定める要件を満たすものであること。
六・四・四 目視で検査するとき、導管及び分岐管には裂け目、ふくれ、よじれその他の欠陥がないこと。
六・四・五 セット(もっぱら保存に用いられるものは除く。)の導管及び分岐管には、採血した血液の一部を血液検査に供するために、バッグ内の無菌性を維持しながら分離でき、バッグとの同一性を識別できる番号(セグメントナンバー)を印字した部分があること。
六・五 採血針
採血針を有するものにあっては、滅菌済み注射針基準の五(材料)、六(物理的要求事項)及び七(化学的要求事項)に適合するものであること。ただし、六・二(針基のテーパーの合致)及び六・四・四(漏れ試験)は除く。
また、採血針の保護キャップは、血液保存液等が充填された場合、その血液保存液等が漏れ出すのを防ぎ、液の通路の無菌性を保ち、かつ容易に取り外しが可能なものであり、かつ操作したことが容易に判るものであること。
六・六 取出口
六・六・一 セットには、血液及び血液成分を投与するとき使用する一ないし数か所の取出口を設けること。取出口は、破ることはできるが再密封できない閉鎖部を有し、滅菌済み輸血セット基準に定める輸血セットを接続することができ、使用中に漏れないものであること。
六・六・二 取出口は、完全に密封し、内側表面の無菌性を維持するための機構を有していること。
六・七 懸垂用穴
六・七・一 セットには、採取、保存、処理、輸送及び投与中に、セットの使用に支障をきたさない懸垂用穴又は姿勢制御用の適当な手段があること。
六・七・二 懸垂用穴は、二〇±五℃の温度で、取出口の長軸に沿って二〇Nの引張強度を六〇分間加えたとき、破損せずに耐えるものであること。
六・八 透明性
次に定める乳濁液をセットに公称採血量まで充填したものと、同じように水を充填したものを比較した時、前者の濁りが明らかに識別できるものであること。
乳濁液:乳濁原液(希釈率:約一:一六)を一cmのセルで、六四〇nmにおける吸光度を〇・三七から〇・四になるように希釈したもの
乳濁原液:ヘキサメチレンテトラミン溶液に二五mLのヒドラジン硝酸塩溶液を加え、混合して二四時間放置したもの
ヒドラジン硝酸塩溶液:ヒドラジン硝酸塩1gを水で溶解し、一〇〇mLとし、四時間から六時間放置したもの
ヘキサメチレンテトラミン溶液:一〇〇mLのガラス栓付きフラスコの中で二五mLの水に2gのヘキサメチレンテトラミンを溶解したもの
六・九 熱安定性
セットは、公称採血量の半分まで水を充填して、-八〇℃で二〇分間保管し、さらに五〇±二℃の水中に二〇分間浸し、室温に戻したとき、六・二、六・四・三、六・一〇、六・一一及び六・一二に定める要件を満たすものであること。
六・一〇 内容液蒸散試験
血液保存液等を充填する予定のバッグにあっては、予定される血液保存液等の容量と同量の水を当該バッグに入れて、湿度六五±五%、温度二〇±二℃で一四日間放置するとき、内容液の減量は、四・〇%以下であること。
又は、ISO三八二六の五・二・六に適合すること。
六・一一 遠心試験
採血バッグにあっては、予定される血液保存液等の容量と公称採血量を併せた量と同量の試験判定に適当な着色液を入れ、これを五〇〇〇G、四℃で一〇分間遠心するとき、内容液がもれず、永久歪みを生じないものであること。
六・一二 気密度試験
連結部を開放した後、セット内に採血針から三九・二kPa(〇・四kg/cm2)ゲージ圧で十分な空気を送りこむとき、セットの各部から空気漏れがないこと。
六・一三 耐圧試験
採血バッグにあっては、予定される血液保存液等の容量と公称採血量を併せた量と同量の試験判定に適当な着色液を入れ、室温で、六八・六kPa(〇・七kg/cm2)で一〇分間加圧するとき、内容液が漏れないこと。
六・一四 ラベル
公称採血量の水を充填し、密封したセットを五±一℃で五日間保存し、さらに、-四〇℃で二四時間保存し、その後二〇±五℃に維持した水道水に二四時間浸した後、セットを水中から取り出したとき、セットからラベルが剥がれず、ラベル又はセットに印刷した文字は、判読可能であること。
七 化学的要求事項
七・一 強熱残分試験
フィルム及びチューブそれぞれ約五gを精密に量り、日本薬局方一般試験法(以下「日局」という。)に規定する強熱残分試験法により試験を行うとき、〇・一%以下であること。
七・二 重金属試験
フィルム及びチューブそれぞれ一・〇gを石英又は磁製るつぼにとり、日局の重金属試験法の第二法により試験を行う。比較液には鉛標準液二・〇mLを加える(二・〇ppm以下)。
七・三 鉛試験
フィルム及びチューブそれぞれを五mm角以下に細断し、その二・〇gをビーカーにとり、日局のプラスチック製医薬品容器試験法の灰化試験の鉛試験の第二法により試験を行うとき、1μg/g以下であること。
七・四 塩化ビニルモノマー
フィルム及びチューブにつき、日局のプラスチック製医薬品容器試験法のポリ塩化ビニル製水性注射剤容器の塩化ビニル試験を行うとき、これに適合すること。
七・五 溶出物試験
フィルム及びチューブそれぞれの表裏面積が一二五〇cm2になるようにとり、これを表面積約一〇cm2の大きさに細断し、水で洗った後、室温で乾燥する。これを内容約三〇〇mLの硬質ガラス製容器に入れ、水二五〇mLを加え、適当に密栓する。これを高圧蒸気滅菌器を用いて一二一±一℃で二〇分間加熱した後、硬質ガラス製容器を取り出して室温になるまで放置し、水を加えて二五〇mLに調整し、この内容液を試験液とする。別にフィルム及びチューブそれぞれを除き、同様に操作して空試験液とする。試験液及び空試験液につき、次の試験を行うとき、これに適合すること。なお、複合材料容器の場合は、バッグに公称採血量の水を入れて抽出を行ってもよい。ただし、抽出液量と材料面積の比を記録しておくこと。
また、セットが一二一℃で変形する場合は、耐えられる最高温度で抽出すること。その場合の温度と抽出時間の関係は次のとおりとする。:七〇±二℃、二四±二時間;五〇±二℃、七二±二時間;三七±一℃、七二±二時間。
又は、ISO三八二六の五・三・一に適合すること。
ア pH
試験液及び空試験液二〇mLずつをとり、これに塩化カリウム一・〇gを水に溶かして一〇〇〇mLとした液1mLを加え、日局のpH測定法により試験を行うとき、両液のpHの差は、二・〇以下である。
イ 過マンガン酸カリウム還元性物質
試験液二〇mLを共栓三角フラスコにとり、〇・〇〇二mol/L過マンガン酸カリウム液二〇・〇mL及び希硫酸一mLを加え、そのまま一五分間室温で放置する。これにヨウ化カリウム〇・一〇gを加えて密栓し、振り混ぜて一〇分間放置した後、〇・〇一mol/Lチオ硫酸ナトリウム液で滴定する(指示薬:デンプン試液五滴)。別に空試験液二〇mLを用い、同様に操作する。試験液及び空試験液の〇・〇〇二mol/L過マンガン酸カリウム液消費量の差は二・〇mL以下である。
ウ 蒸発残留物
試験液一〇〇mLを水浴上で蒸発乾固し、残留物を一〇五℃で恒量になるまで乾燥するとき、その量は三・〇mg以下である。
エ 紫外吸収スペクトル
試験液につき、空試験液を対照とし、波長二三〇~三六〇nmでの吸光度を測定するとき、吸光度は〇・二以下である。
八 生物学的要求事項
血液又は血液成分に接触する材料を特定し、その生物学的安全性について、医療用具及び医用材料の基礎的な生物学的試験のガイドラインに基づいて評価すること。
九 無菌性の保証
血液保存液等を充填した医薬品の製造に供されるものを除き、滅菌バリデーション基準又はこれと同等以上の外国の基準に基づき、無菌性の担保を図ること。
一〇 エンドトキシン試験
セットに四〇mL以上で公称採血量までのエンドトキシン試験用水を入れ、セット内に液がゆきわたるように十分振り混ぜた後、取り出した液を試験液とし、日局のエンドトキシン試験法により試験を行うとき、〇・五EU/mL未満であること。
一一 包装
血液保存液等を充填した医薬品の製造に供されるものを除き、次の規定に適合すること。
一一・一 一次包装
一次包装は、使用前に容易に破れるおそれがなく、微生物の浸入を防止することができ、通常の取扱い、輸送、保管中に内容製品を適切に保護できるものであること。
一度開封したら包装は簡単に再シールできず、開封されたことが容易にわかること。
一一・二 二次包装
二次包装は、取扱い、輸送、保管中に内容製品を保護するために十分強いものであること。
一二 表示
血液保存液等を充填した医薬品の製造に供されるものを除き、次の規定に適合すること。
一二・一 本体
本体には、次の事項を表示すること。
(一) 採取可能な血液及び血液成分の容量(mL)又は重量(g)
(二) 製造番号又は製造記号
一二・二 一次包装
一次包装には、次の事項を表示すること。
(一) 採取可能な血液及び血液成分の容量(mL)又は重量(g)
(二) 「滅菌済」、「Sterile」等滅菌済みの旨
(三) 一回限り使用の旨(「ディスポーザブル」の表現を除く。)
(四) 製造番号又は製造記号
(五) 天然ゴムを原料として使用しているものにあっては、その旨
一二・三 二次包装
二次包装には、次の事項を表示すること。
二次包装を用いず、一次包装を最小販売単位の包装として用いる場合は、次の事項を一次包装に表示すること。
(一) 製造業者又は輸入販売業者の氏名又は名称及び住所
(二) 医療用具の承認番号
(三) 販売名
(四) 採取可能な血液及び血液成分の容量(mL)又は重量(g)
(五) 数量(入り数)
(六) 「滅菌済」、「Sterile」等滅菌済みの旨
(七) 一回限り使用の旨(「ディスポーザブル」の表現を除く。)
(八) 製造番号又は製造記号
(九) 滅菌年月
注) 製造番号又は製造記号は滅菌年月を表している場合は、改めて滅菌年月の表示は要しないこと。また、滅菌年月の代わりに使用期限を表示してもよいこと。
月経処理用タンポン基準
一 適用範囲
この基準は、膣内に挿入して経血を吸収処理する月経処理用タンポン(以下「タンポン」という。)に要求される事項を規定する。
なお、挿入時に使用する挿入補助具には適用しない。
二 引用規格
この基準は下記規格又は基準を引用する。
日本薬局方(平成八年三月一三日厚生省告示第七三号第一三改正)
医療用具及び医用材料の基礎的な生物学的試験のガイドライン(平成七年六月二七日薬機第九九号厚生省薬務局医療機器開発課長通知「医療用具の製造(輸入)承認申請に必要な生物学的試験のガイドラインについて」)
滅菌バリデーション基準(平成九年七月一日医薬監第一号厚生省医薬安全局監視指導課長通知「滅菌バリデーション基準について」)
三 定義
三・一 吸収体
脱脂綿等の繊維を円柱形状等に圧縮成型したもので、膣内の経血を吸収する機能を有するものをいう。
三・二 取り出し用コード
経血を吸収した吸収体を膣内から取り出す時に要する紐(コード)をいう。
三・三 潤滑剤
タンポンを膣内に挿入しやすくするために吸収体に塗布するポリエチレングリコール、シリコーン油等をいう。
三・四 挿入補助具
タンポンを膣内に挿入しやすくするために用いる挿入具(アプリケーター)、挿入用棒(スティック)、又はタンポンを衛生的に取り扱うフィンガーベールをいう。
三・五 被膜
吸収体を被う水溶性フィルムをいう。
三・六 一次包装
タンポン及び挿入補助具を直接に覆う包装で、さらにこれが二次包装される場合には、いわゆる「内袋」に該当する。
三・七 二次包装
一次包装を直接に覆う包装で、通常、複数の一次包装されたタンポンを入れるものをいう。
四 構成
タンポンは、吸収体とそれに連結する取り出し用コードからなる。また、これらに挿入補助具である挿入具(アプリケーター)、挿入棒(スティック)又はフィンガーベールが付属するものもある。
五 物理的要求事項
五・一 外観
目視で検査するとき、鋭利な角や突起物等がなく、異物が付着していないこと。
五・二 取り出し用コード
五・二・一 取り出し用コードの長さは八〇mm以上であること。
五・二・二 吸収体の先端から一/三の部分と、取り出し用コードの端から一五mmの部分を留金ではさみ、長軸方向に三〇Nの荷重を加えるとき、一分以内に切断しないこと。
五・三 脱落繊維
高さ二三cm、内径五cmのガラス円筒に水を入れ、ゴム栓でふたをする。このとき、上部空間の高さが一cmになるように水量を調節し、標線を付けておく。次にゴム栓の小径面の中央部に直径一mmの銅線をU字型に埋め込み、これにタンポンの取り出し用コードを結び、取り出し用コードの長さが五cmになるようにする。
ガラス円筒の標線まで四〇~四二℃の水を入れ、直ちにタンポンとともにゴム栓でふたをする。常温で五分間放置後、ガラス円筒の中央部を持ち、上下方向に静かに二回転させ、一〇分間放置する。ゴム栓とともにタンポンを静かに引き上げ、タンポンに含まれた液を圧出し、円筒内の液に合わせ、試験液とする。
試験液を孔径一〇μmのフィルターを用いてろ過し、フィルターに付着した繊維を採取して一〇五℃で恒量になるまで乾燥するとき、脱落繊維は二五mg以下であること。
五・四 吸収速度
図に示す肉厚均斉な試験管に、二〇~二五℃の〇・〇一%ローダミンB溶液五mLを入れ、液面上五mmの高さからタンポンの先端部を下にして静かに落とすとき、試験管内の液を吸収し終るに要する時間は、一四秒以内であること。ただし、測定は三回行い、その平均値を吸収速度とする。
五・五 吸収量
取り出し用コードの端を持ち、吸収体の先端から二〇~二五℃の水中に浸せきし、三分間放置後、静かに引き上げ、一分間つるして滴下する水を除いたのち、そのまま重量を量るとき、吸収された水の重量は吸収体の重量の六倍以上であること。ただし、測定は三回行い、その平均値を吸収量とする。
六 化学的要求事項
六・一 色素
タンポンを一〇倍量(重量)の新たに煮沸し冷却した水に浸し、かき混ぜたのち、ろ過し、ろ液一〇mLを内径一五mmの試験管に入れ、上方より観察するとき、ほとんど呈色しないこと。
六・二 酸及びアルカリ
六・一の試験のろ液一〇mLをとり、これにフェノールフタレイン試液二滴を加えるとき、紅色を呈しないこと。また、別に同液一〇mLをとり、これにメチルオレンジ試液一滴を加えるとき、赤色を呈しないこと。
六・三 けい光
タンポンに暗所で紫外線を照射するとき、著しいけい光又は著しい汚染を疑わせるけい光を認めないこと。
六・四 脱落物質
吸収体に潤滑剤を予め塗布したもの又は吸収体に被膜を施したものについては、潤滑剤及び被膜を取り除き、五物理的要求事項の五・三脱落繊維の試験液の調製を準用して得た液を蒸発濃縮し、はかりびんに入れ、一〇五℃で恒量になるまで乾燥するとき、残留物の量は三五mg以下であること。なお、同様の方法で空試験を行い補正すること。
六・五 潤滑剤
六・四の試験で得た液に、一次包装に付着している潤滑剤を四〇~四二℃の水でよく洗い流し込む。これを試験液とし、この液を蒸発濃縮し、はかりびんに入れ、一〇五℃で恒量になるまで乾燥するとき、残留物の量は一九〇mg以下であること。また、同様の方法で空試験を行い補正すること。
七 生物学的要求事項
粘膜に接触する材料を特定し、その生物学的安全性について医療用具及び医用材料の基礎的な生物学的試験のガイドラインに基づいて評価すること。
八 無菌性の保証
滅菌バリデーション基準又はこれと同等以上の外国の基準に基づき、無菌性の担保を図ること。
九 包装
九・一 一次包装
一次包装は、使用前に容易に破れるおそれがなく、通常の取扱い、輸送、保管中に内容製品を適切に保護できるものであること。
九・二 二次包装
二次包装は、取扱い、輸送、保管中に内容製品を保護するために十分強いものであること。
一〇 表示
一〇・一 二次包装
二次包装には、次の事項を表示すること。
(一) 製造業者又は輸入販売業者の氏名又は名称及び住所
(二) 医療用具の承認番号
(三) 販売名
(四) 数量(入り数)
(五) 「滅菌済」、「Sterile」等滅菌済みの旨
(六) 製造番号又は製造記号
非吸収性プラスチック製縫合糸基準
一 適用範囲
この基準は、一回限りの使用で使い捨てる滅菌済み又は未滅菌の非吸収性プラスチック製縫合糸に要求される事項を規定する。
縫合糸は、単繊維からなるもの(モノフィラメント)と、複数繊維からなるもの(マルチフィラメント)がある。また、着色されたもの、表面処理を施したもの又は縫合針が付属するものもある。
二 引用規格
この基準は下記規格又は基準を引用する。
USP(U.S.PHARMACOPEIA:米国薬局方)(一九九五第二三版)
EP(EUROPEANPHARMACOPEIA:ヨーロッパ薬局方)(一九九七第三版)
医療用具及び医用材料の基礎的な生物学的試験のガイドライン(平成七年六月二七日薬機第九九号厚生省薬務局医療機器開発課長通知「医療用具の製造(輸入)承認申請に必要な生物学的試験のガイドラインについて」)
滅菌バリデーション基準(平成九年七月一日医薬監第一号厚生省医薬安全局監視指導課長通知「滅菌バリデーション基準について」)
三 定義
三・一 公称長さ
縫合糸の被包又は容器に表示された縫合糸の長さ
三・二 公称号数
縫合糸の被包又は容器に表示された縫合糸の号数
三・三 ダイヤルゲージ
縫合糸の直径を計測する計器で、圧子、ステージ及び示数表示装置からなる。
三・四 測定力
縫合糸の直径を計測に用いるダイヤルゲージの圧子及び可動部分の総重量
三・五 一次包装
縫合糸を直接に覆う包装で、滅菌済み縫合糸の場合は、無菌性を保持するためのものをいい、二重包装される場合もある。さらにこれが二次包装される場合には、いわゆる「内袋」に該当する。
三・六 二次包装
一次包装を直接覆う包装で、通常、複数の一次包装された縫合糸、例えば一二本を入れるものをいう。
四 物理的要求事項
四・一 寸法
四・一・一 長さ
縫合糸を引張らない状態で長さを測定するとき、公称長さの九五%以上であること。
四・一・二 直径
ダイヤルゲージ(精度は〇・〇〇二mm以上、圧子の直径は一二・七mm、測定力は二・〇六N)、又は機械的性能がこれと同等以上の機器による径測定法により縫合糸五本について、全長のおよそ一/四、一/二、三/四の三ケ所において、直径を測定するとき、その平均値は別表に掲げる公称号数に対応した直径に適合すること。なお、公称号数七―〇以下の細い縫合糸については、測定力は〇・五九N未満とすること。また、マルチフィラメントの縫合糸を測定するにあたっては、糸の端の一方を固定し、他方に別表に掲げる該当する号数の未滅菌縫合糸の引張り強さの最小許容値の約半分の重量をかけて測定すること。
もし、五本の平均値がこの規定を満足しない時は、別に五本を追加して試験を行い、全一〇本の測定値の平均値が別表に掲げる公称号数に対応した直径に適合すること。
又は、USP又はEPの直径の規定に適合すること。
四・二 引張り強さ
柔軟なゴムチューブに縫合糸の中央部を巻き付けて外科結びとする。次に引張り試験機を用いて、結び目が中央にくるようにその両端(標点距離約一〇cm)をチャックで固定し、縫合糸が切断するまで荷重を加えて引張り強さを五回測定する時、その平均値は別表に掲げる公称号数に対応した引張り強さ以上(未滅菌の縫合糸にあっては、別表に掲げる公称号数に対応した引張り強さの限度の一二五%の引張り強さ以上)であること。なお公称号数九―〇以下の細い縫合糸については、結び目を作らずにそのまま引張り強さを測定すること。また、縫合糸の長さが短く、標点距離一〇cmでの測定が不可能なものにあっては、標点距離を測定可能な距離に調節することができる。
もし、五回の平均値がこの規定を満足しない時は、別に五本を追加して試験を行い、全一〇本の測定値の平均値が別表に掲げる公称号数に対応した引張り強さに適合すること。
又は、USP又はEPの引張り強さの規定に適合すること。
四・三 針付縫合糸の引き抜き強さ
針と縫合糸との接合部が一直線になるように引張り試験機のチャックに針及び縫合糸をそれぞれ固定し、縫合糸が切れるか又は針から外れるまで荷重を加えて引き抜き強さを測定する時、五回の平均値及び各測定値はそれぞれ別表に掲げる公称号数に対応した針付引き抜き強さ以上であること。
もし、一本でもこの規定を満足しない時は、別に一〇本について新たに試験を行い、その一〇本の測定値すべてが別表に掲げる公称号数に対応した引き抜き強さ以上であること。
但し、引き抜き可能針付縫合糸にあっては、この限りでない。
四・四 溶出色素
着色した縫合糸約二五〇mgに対し水二五mLの割合でフラスコにとり、フラスコを短脚漏斗でおおい、一〇分間煮沸する。冷後、この抽出液を径二cmの試験管に移し、水を加えて二五mLとする。さらに、フラスコに水二五mLを加えて同じ操作を繰り返す。両試験管を上方から観察するとき、最初の抽出液は着色することがあってもきわめてわずかであり、あとの抽出液は着色しないこと。
又は、USP又はEPの溶出色素の規定に適合すること。
五 生物学的要求事項
組織に留置する材料を特定し、生物学的安全性について、医療用具及び医用材料の基礎的な生物学的試験のガイドラインに基づいて評価すること。
六 無菌性の保証
滅菌済みのものにあっては、滅菌バリデーション基準又はこれと同等以上の外国の基準に基づき、無菌性の担保を図ること。
七 包装
七・一 一次包装
一次包装は、使用前に容易に破れるおそれがなく、通常の取扱い、輸送、保管中に内容製品を適切に保護できるものであること。
滅菌済みのものにあっては、微生物の浸入を防止することができ、一度開封したら包装は簡単に再シールできず、開封されたことが容易にわかること。
七・二 二次包装
二次包装は、取扱い、輸送、保管中に内容製品を保護するために十分強いものであること。
八 表示
八・一 一次包装
一次包装には、次の事項を表示すること。また、リールに巻かれた未滅菌縫合糸にあっては、リールに表示してもよい。
(一) 縫合糸の長さ(cm又はm)及び号数
(二) 滅菌済みのものにあっては、「滅菌済」、「Sterile」等滅菌済みの旨
八・二 二次包装
二次包装には、次の事項を表示すること。
二次包装を用いず、一次包装を最小包装単位の包装として用いる場合は、次の事項を一次包装に表示すること。
(一) 製造業者又は輸入販売業者の氏名又は名称及び住所
(二) 医療用具の承認番号
(三) 販売名
(四) 縫合糸の長さ(cm又はm)及び号数
(五) 数量(入り数)
(六) 滅菌済みのものにあっては、「滅菌済」、「Sterile」等滅菌済みの旨
(七) 製造番号又は製造記号
(八) 滅菌済みのものにあっては、滅菌年月
注) 製造番号又は製造記号が滅菌年月を表している場合は、改めて滅菌年月の表示は要しないこと。また、滅菌年月の代わりに使用期限を表示してもよいこと。
(九) 保存液を有するものにあってはその成分及び分量
(一〇) 引き抜き可能針付縫合糸にあってはその旨
別表
公称号数 |
メトリックサイズ |
直径(単位mm) |
引張り強さ*(単位N) |
針付引き抜き強さ(単位N) |
|
平均値 |
各測定値 |
||||
12―0 |
0.01 |
0.001~0.009 |
0.01 |
― |
― |
11―0 |
0.1 |
0.010~0.019 |
0.06 |
0.07 |
0.05 |
10―0 |
0.2 |
0.020~0.029 |
0.19 |
0.14 |
0.10 |
9―0 |
0.3 |
0.030~0.039 |
0.42 |
0.21 |
0.15 |
8―0 |
0.4 |
0.040~0.049 |
0.59 |
0.49 |
0.25 |
7―0 |
0.5 |
0.050~0.069 |
1.08 |
0.78 |
0.39 |
6―0 |
0.7 |
0.070~0.099 |
1.96 |
1.67 |
0.78 |
5―0 |
1 |
0.10~0.149 |
3.92 |
2.25 |
1.08 |
4―0 |
1.5 |
0.15~0.199 |
5.88 |
4.41 |
2.25 |
3―0 |
2 |
0.20~0.269 |
9.41 |
6.66 |
3.33 |
2―0 |
3 |
0.27~0.349 |
14.1 |
10.8 |
4.41 |
0 |
3.5 |
0.35~0.399 |
21.2 |
14.7 |
4.41 |
1 |
4 |
0.40~0.499 |
26.7 |
17.6 |
5.88 |
2 |
5 |
0.50~0.599 |
34.5 |
17.6 |
6.86 |
3and4 |
6 |
0.60~0.699 |
47.8 |
17.6 |
6.86 |
5 |
7 |
0.70~0.799 |
60.4 |
17.6 |
6.86 |
6 |
8 |
0.80~0.899 |
71.3 |
17.6 |
6.86 |
7 |
9 |
0.90~0.999 |
88.6 |
17.6 |
6.86 |
8 |
10 |
1.00~1.099 |
88.6 |
17.6 |
6.86 |
9 |
11 |
1.10~1.199 |
88.6 |
17.6 |
6.86 |
10 |
12 |
1.20~1.299 |
88.6 |
17.6 |
6.86 |