添付一覧
○滅菌済み輸血セツト基準等について
(平成一〇年一二月一一日)
(医薬発第一〇七九号)
(各都道府県知事あて厚生省医薬安全局長通知)
薬事法第四二条第二項に基づく「デイスポーザブル輸血セツト及び輸液セツト基準」(昭和四五年厚生省告示第三〇一号)、「デイスポーザブル注射筒基準」(昭和四五年厚生省告示第四四二号)及び「デイスポーザブル注射針基準」(昭和四五年厚生省告示第四四三号)については、平成一〇年一二月一一日限りで廃止されたところであるが、今般、承認を行うに当たって準ずるべき基準として別添のとおり「滅菌済み輸血セツト基準」、「滅菌済み輸液セツト基準」、「滅菌済み注射筒基準」及び「滅菌済み注射針基準」(以下「各基準」という。)を定め、今後、各基準の「適用範囲」に該当する医療用具については、原則として当該各基準により承認を行うこととしたので、左記にご留意のうえ、貴管下関係業者に対し、周知徹底方よろしくお願いする。
なお、本通知の写しを財団法人医療機器センター理事長、日本医療機器関係団体協議会会長、在日米国商工会議所医療機器小委員会委員長及び欧州ビジネス協議会医療機器委員会委員長あて送付することとしている。
記
一 各基準の「適用範囲」に該当する医療用具であって、当該基準に適合しないものについては、個別に有効性、安全性、品質等についての資料の提出を求め、これに基づき審査し、承認を行うものであること。
二 各基準の「適用範囲」に該当する医療用具であって、既に薬事法第一四条第一項(第二三条において準用する場合を含む。)又は第一九条の二第一項の規定に基づく承認を受けているもののうち、規格及び試験方法が当該基準が定めるところと異なるものについては、直ちに当該基準に適合した記載とするための承認事項一部変更承認申請を行う必要はないが、今後、何らかの承認事項一部変更承認申請を行う場合に併せて当該基準に準じた整備を図ること。
三 各基準の規定のうち「表示」については、承認に関連する事項ではないが、各基準の「適用範囲」に該当する医療用具であって当該基準に適合しないものも含め、製品の表示に当たっては、本規定に適合するよう指導されたいこと。
滅菌済み輸血セット基準
1 適用範囲
この基準は、保存血液等血液製剤を輸血するための滅菌済み輸血セットであって、そのまま直ちに使用でき、かつ、1回限りの使用で使い捨てるものに要求される事項を規定する。
2 引用規格
この基準は下記規格又は基準を引用する。
ISO1135―4:1998 1回限り使用する輸血セット
滅菌済み注射針基準(平成10年12月11日医薬発第1079号厚生省医薬安全局長通知)
日本薬局方(平成8年3月13日厚生省告示第73号第十三改正)
医療用具及び医用材料の生物学的試験のガイドライン(平成7年6月27日薬機第99号厚生省薬務局医療機器開発課長通知「医療用具の製造(輸入)承認申請に必要な生物学的試験のガイドラインについて」)
滅菌バリデーション基準(平成9年7月1日医薬監第1号厚生省医薬安全局監視指導課長通知「滅菌バリデーション基準について」)
3 定義
3.1 公称滴数
輸血セットの被包又は容器に表示された1mLに相当する滴数
3.2 再シール性
混注部に針を刺通し、その後、針を抜いたとき、液が漏れない性質
3.3 水
日本薬局方の第二部医薬品各条「精製水」
3.4 エンドトキシン試験用水
日本薬局方の第二部医薬品各条「注射用水」又はその他の方法により製造した水で、エンドトキシン試験に用いるLAL試薬の検出限界で反応を示さないもの
3.5 一次包装
輸血セットを直接に覆う包装で、輸血セットの無菌性を保持するためのものをいい、さらにこれが二次包装される場合には、いわゆる「内袋」に該当する。
3.6 二次包装
一次包装を直接に覆う包装で、通常、複数の一次包装された輸血セット、例えば50セットを入れるものをいう。
4 構成
輸血セットは、主としてびん針、フィルター、点滴筒、導管及び雄嵌合部からなる。また、これらに通気装置、流量調節器、混注部、静脈針等が付属するものもある。図は一般的な輸血セットを図示したものであり要求事項ではない。
図 輸血セット
①びん針 ②フィルター
③点滴筒 ④導管
⑤流量調節器 ⑥混注部
⑦継ぎ管 ⑧雄嵌合部
⑨静脈針 ⑩通気装置
⑪通気フィルター
5 物理的要求事項
5.1 清浄度
目視で検査するとき、内面に微粒子又は異物が付着していないこと。
5.2 気密性
輸血セットの先端を閉じたのち、20~30℃の水中に入れ、びん針の先端から内圧50kPaで2分間空気を送り込むとき、空気の漏れがないこと。
5.3 雄嵌合部、混注部、継ぎ管及び導管の接続部
各接続部は、10N以上の引張強度を15秒かけるとき、ゆるまないこと。ただし、静脈針等脱着使用する部品との嵌合部は除く。
5.4 びん針
5.4.1 びん針の金属製針管の外面には、凹凸及び傷がなく、仕上げ面が滑らかであること。また、金属製以外の針管の外面には、傷がなく、仕上げ面が滑らかであること。
5.4.2 びん針は、予備穿通なしで血液製剤容器の栓を穿通できること。
5.5 通気装置及び通気フィルター
通気装置を有するものにあっては、次のすべての事項に適合するものであること。
5.5.1 通気装置は、微生物の通過を防止する通気フィルターを有するものであること。
5.5.2 通気フィルターは、血液製剤容器中に入るすべての空気が通り、血液製剤の流量を特別に減少させるものではないこと。
5.5.3 通気装置は、予備穿通なしで血液製剤容器の栓を穿通できること。
5.6 導管
導管は、透明又は気泡が検出できる程度に透明であること。
5.7 フィルター
フィルターを有するものにあっては、その網の目の大きさは210μmより細かく、網の目は均一であること。
5.8 点滴筒及び点滴口
5.8.1 点滴筒は、血液製剤を溜めることができ、血液製剤の滴下が観察できるものであること。
5.8.2 点滴口は、20℃の蒸留水を50±10滴/分の流速で流すとき、公称滴数の量が1±0.2mL(1±0.2g)の精度を有すること。
又はISO1135―4:1998の5.8の点滴口の滴下液量の規定に適合すること。
5.9 流量調節器
5.9.1 流量調節器を有するものにあっては、ゼロから最大までの調節ができること。
5.9.2 輸血中連続して使用でき、導管を損傷しないこと。流量調節器と導管が接触して保管されている間に、有害な反応が発生しないこと。
5.10 混注部
再シール性を有する混注部を有するものにあっては、外径0.6mmの針で15秒間刺通後、針を抜いて水圧20kPaを15秒間かけるとき、漏れないこと。
5.11 雄嵌合部
雄嵌合部は、滅菌済み注射針基準に適合する注射針が嵌合できるものであること。
5.12 静脈針
静脈針を有するものにあっては、滅菌済み注射針基準の5(材料)、6(物理的要求事項)及び7(化学的要求事項)に適合するものであること。ただし、6.2(針基のテーパーの合致)及び6.4.4(漏れ)は除く。
6 化学的要求事項
6.1 溶出物試験
プラスチック製の材料にあっては10gをとり、また、ゴム製の材料にあっては1.0gをとり、細片とし、水約100mLで30分間煮沸したのち、水を加えて正確に100mLとする。この液を試験液として、次の試験を行うとき、これに適合すること。なお、空試験液は、別に水につき、同様の方法で操作して調製すること。
又は、ISO1135―4:1998の6に適合すること。
ア pH
試験液及び空試験液20mLずつをとり、これに塩化カリウム1.0gを水に溶かして1,000mLとした液1.0mLずつを加え、日本薬局方一般試験法(以下「日局」という。)のpH測定法により試験を行うとき、両液のpHの差は2.0以下である。
イ 重金属
試験液10mLをとり、日局の重金属試験法の第1法により試験を行う。比較液には鉛標準液2.0mLを加える(2.0ppm以下)。
ウ 過マンガン酸カリウム還元性物質
試験液10mLを共栓三角フラスコにとり、0.002mol/L過マンガン酸カリウム液20.0mL及び希硫酸1mLを加え、3分間煮沸し、冷後、これにヨウ化カリウム0.10gを加えて密栓し、振り混ぜて10分間放置した後、0.01mol/Lチオ硫酸ナトリウム液で滴定する(指示薬:デンプン試液5滴)。別に空試験液10mLを用い、同様に操作する。試験液及び空試験液の0.002mol/L過マンガン酸カリウム液消費量の差は2.0mL以下である。
エ 蒸発残留物
試験液10mLを水浴上で蒸発乾固し、残留物を105℃で1時間乾燥するとき、その重量は1.0mg以下である。
7 生物学的要求事項
血液製剤に接触する材料を特定し、その生物学的安全性について、医療用具及び医用材料の生物学的試験のガイドラインに基づいて評価すること。
8 無菌性の保証
滅菌バリデーション基準又はこれと同等以上の外国の基準に基づき、無菌性の担保を図ること。
9 エンドトキシン試験
輸血セット10セットをとり、各セットの管内にエンドトキシン試験用水40mLを1分間約10mLの速さで流し、その液で針管をよく洗い、洗液を合わせて試験液とし、日局のエンドトキシン試験法により試験を行うとき、0.5EU/mL未満であること。
10 包装
10.1 一次包装
一次包装は、使用前に容易に破れるおそれがなく、微生物の侵入を防止することができ、通常の取扱い、輸送、保管中に内容製品を適切に保護できるものであること。
一度開封したら包装は簡単に再シールできず、開封されたことが容易にわかること。
10.2 二次包装
二次包装は、取扱い、輸送、保管中に内容製品を保護するために十分強いものであること。
11 表示
11.1 一次包装
一次包装には、次の事項を表示すること。
(1) 1mLに相当する滴数
(2) 「滅菌済」、「Sterile」等滅菌済みの旨
(3) 一回限り使用の旨(「ディスポーザブル」の表現を除く。)
(4) 製造番号又は製造記号
(5) 天然ゴムラテックスを使用しているものにあっては、その旨
11.2 二次包装
二次包装には、次の事項を表示すること。
二次包装を用いず、一次包装を最小販売単位の包装として用いる場合は、次の事項を一次包装に表示すること。
(1) 製造業者又は輸入販売業者の氏名又は名称及び住所
(2) 医療用具の承認番号
(3) 販売名
(4) 1mLに相当する滴数
(5) 数量(入り数)
(6) 「滅菌済」、「Sterile」等滅菌済みの旨
(7) 一回限り使用の旨(「ディスポーザブル」の表現を除く。)
(8) 製造番号又は製造記号
(9) 滅菌年月
注) 製造番号又は製造記号が滅菌年月を表している場合は、改めて滅菌年月の表示は要しないこと。また、滅菌年月の代わりに使用期限を表示してもよいこと。
滅菌済み輸液セット基準
1 適用範囲
この基準は、輸液を輸注するための滅菌済み輸液セットであって、そのまま直ちに使用でき、かつ、1回限りの使用で使い捨てるものに要求される事項を規定する。
2 引用規格
この基準は下記規格又は基準を引用する。
ISO8536―4:1998 1回限り使用する自然落下式輸液セット
滅菌済み注射針基準(平成10年12月11日医薬発第1079号厚生省医薬安全局長通知)
日本薬局方(平成8年3月13日厚生省告示第73号第十三改正)
医療用具及び医用材料の生物学的試験のガイドライン(平成7年6月27日薬機第99号厚生省薬務局医療機器開発課長通知「医療用具の製造(輸入)承認申請に必要な生物学的試験のガイドラインについて」)
滅菌バリデーション基準(平成9年7月1日医薬監第1号厚生省医薬安全局監視指導課長通知「滅菌バリデーション基準について」)
3 定義
3.1 公称滴数
輸液セットの被包又は容器に表示された1mLに相当する滴数
3.2 再シール性
混注部に針を刺通し、その後、針を抜いたとき、液が漏れない性質
3.3 水
日本薬局方の第二部医薬品各条「精製水」
3.4 エンドトキシン試験用水
日本薬局方の第二部医薬品各条「注射用水」又はその他の方法により製造した水で、エンドトキシン試験に用いるLAL試薬の検出限界で反応を示さないもの
3.5 一次包装
輸液セットを直接に覆う包装で、輸液セットの無菌性を保持するためのものをいい、さらにこれが二次包装される場合には、いわゆる「内袋」に該当する。
3.6 二次包装
一次包装を直接に覆う包装で、通常、複数の一次包装された輸液セット、例えば50セットを入れるものをいう。
4 構成
輸液セットは、主としてびん針、点滴筒、導管及び雄嵌合部からなる。また、これらに通気装置、流量調節器、フィルター、混注部、静脈針等が付属するものもある。図は一般的な輸液セットを図示したものであり、要求事項ではない。
図 輸液セット
①びん針 ②点滴筒
③導管 ④流量調節器
⑤混注部 ⑥継ぎ管
⑦雄嵌合部(フィルター付き)
⑧静脈針 ⑨通気装置
⑩通気フィルター
5 物理的要求事項
5.1 清浄度
目視で検査するとき、内面に微粒子又は異物が付着していないこと。
5.2 気密性
輸液セットの先端を閉じたのち、20~30℃の水中に入れ、びん針の先端から内圧20kPaで10秒間空気を送り込むとき、空気の漏れがないこと。
5.3 雄嵌合部、混注部、継ぎ管及び導管の接続部
各接続部は、10N以上の引張強度を15秒かけるとき、ゆるまないこと。ただし、静脈針等脱着使用する部品との嵌合部は除く。
5.4 びん針
5.4.1 びん針の金属製針管の外面には、凹凸及び傷がなく、仕上げ面が滑らかであること。また、金属製以外の針管の外面には、傷がなく、仕上げ面が滑らかであること。
5.4.2 びん針は、予備穿通なしで輸液容器の栓を穿通できること。
5.5 通気装置及び通気フィルター
通気装置を有するものにあっては、次のすべての事項に適合するものであること。
5.5.1 通気装置は、微生物の通過を防止する通気フィルターを有するものであること。
5.5.2 通気装置がびん針と一体になっているものにあっては、通気装置が輸液容器に差し込まれたとき、入っていく空気は流出する液に入りこまないこと。
5.5.3 通気フィルターは、輸液容器中に入るすべての空気が通り、輸液の流量を特別に減少させるものではないこと。
5.5.4 通気装置は、予備穿通なしで輸液容器の栓を穿通できること。
5.6 導管
導管は、透明又は気泡が検出できる程度に透明であること。
5.7 フィルター
フィルターを有するものにあっては、その網の目の大きさは210μmより細かく、網の目は均一であること。
5.8 点滴筒及び点滴口
5.8.1 点滴筒は、輸液を溜めることができ、輸液の滴下が観察できるものであること。
5.8.2 点滴口は、20℃の蒸留水を50±10滴/分の流速で流すとき、公称滴数の量が1±0.2mL(1±0.2g)の精度を有すること。
又はISO8536―4:1998の6.8の点滴口の滴下液量の規定に適合すること。
5.9 流量調節器
5.9.1 流量調節器を有するものにあっては、ゼロから最大までの調節ができること。
5.9.2 輸液の投与中連続して使用でき、導管を損傷しないこと。流量調節器と導管が接触して保管されている間に、有害な反応が発生しないこと。
5.10 混注部
再シール性を有する混注部を有するものにあっては、外径0.6mmの針で15秒間刺通後、針を抜いて水圧20kPaを15秒間かけるとき、漏れないこと。
5.11 雄嵌合部
雄嵌合部は、滅菌済み注射針基準に適合する注射針が嵌合できるものであること。
5.12 静脈針
静脈針を有するものにあっては、滅菌済み注射針基準の5(材料)、6(物理的要求事項)及び7(化学的要求事項)に適合するものであること。ただし、6.2(針基のテーパーの合致)及び6.4.4(漏れ)は除く。
6 化学的要求事項
6.1 溶出物試験
プラスチック製の材料にあっては10gをとり、また、ゴム製の材料にあっては1.0gをとり、細片とし、水約100mLで30分間煮沸したのち、水を加えて正確に100mLとする。この液を試験液として、次の試験を行うとき、これに適合すること。なお、空試験液は、別に水につき、同様の方法で操作して調製すること。
又は、ISO8536―4:1998の7に適合すること。
ア pH
試験液及び空試験液20mLずつをとり、これに塩化カリウム1.0gを水に溶かして1,000mLとした液1.0mLずつを加え、日本薬局方一般試験法(以下「日局」という。)のpH測定法により試験を行うとき、両液のpHの差は、2.0以下である。
イ 重金属
試験液10mLをとり、日局の重金属試験法の第1法により試験を行う。比較液には鉛標準液2.0mLを加える(2.0ppm以下)。
ウ 過マンガン酸カリウム還元性物質
試験液10mLを共栓三角フラスコにとり、0.002mol/L過マンガン酸カリウム液20.0mL及び希硫酸1mLを加え、3分間煮沸し、冷後、これにヨウ化カリウム0.10gを加えて密栓し、振り混ぜて10分間放置した後、0.01mol/Lチオ硫酸ナトリウム液で滴定する(指示薬:デンプン試液5滴)。別に空試験液10mLを用い、同様に操作する。試験液及び空試験液の0.002mol/L過マンガン酸カリウム液消費量の差は2.0mL以下である。
エ 蒸発残留物
試験液10mLを水浴上で蒸発乾固し、残留物を105℃で1時間乾燥するとき、その重量は1.0mg以下である。
7 生物学的要求事項
輸液に接触する材料を特定し、その生物学的安全性について、医療用具及び医用材料の生物学的試験のガイドラインに基づいて評価すること。
8 無菌性の保証
滅菌バリデーション基準又はこれと同等以上の外国の基準に基づき、無菌性の担保を図ること。
9 エンドトキシン試験
輸液セット10セットをとり、各セットの管内にエンドトキシン試験用水40mLを1分間約10mLの速さで流し、その液で針管をよく洗い、洗液を合わせて試験液とし、日局のエンドトキシン試験法により試験を行うとき、0.5EU/mL未満であること。
10 包装
10.1 一次包装
一次包装は、使用前に容易に破れるおそれがなく、微生物の侵入を防止することができ、通常の取扱い、輸送、保管中に内容製品を適切に保護できるものであること。
一度開封したら包装は簡単に再シールできず、開封されたことが容易にわかること。
10.2 二次包装
二次包装は、取扱い、輸送、保管中に内容製品を保護するために十分強いものであること。
11 表示
11.1 一次包装
一次包装には、次の事項を表示すること。
(1) 1mLに相当する滴数
(2) 「滅菌済」、「Sterile」等滅菌済みの旨
(3) 一回限り使用の旨(「ディスポーザブル」の表現を除く。)
(4) 製造番号又は製造記号
(5) 天然ゴムラテックスを使用しているものにあっては、その旨
11.2 二次包装
二次包装には、次の事項を表示すること。
二次包装を用いず、一次包装を最小販売単位の包装として用いる場合は、次の事項を一次包装に表示すること。
(1) 製造業者又は輸入販売業者の氏名又は名称及び住所
(2) 医療用具の承認番号
(3) 販売名
(4) 1mLに相当する滴数
(5) 数量(入り数)
(6) 「滅菌済」、「Sterile」等滅菌済みの旨
(7) 一回限り使用の旨(「ディスポーザブル」の表現を除く。)
(8) 製造番号又は製造記号
(9) 滅菌年月
注) 製造番号又は製造記号が滅菌年月を表している場合は、改めて滅菌年月の表示は要しないこと。また、滅菌年月の代わりに使用期限を表示してもよいこと。
滅菌済み注射筒基準
1 適用範囲
この基準は、滅菌済みのプラスチック製の注射筒であって、そのまま直ちに使用でき、かつ、1回限りの使用で使い捨てるものに要求される事項を規定する。
ここでいう注射筒には、滅菌済み注射針基準(平成10年12月11日医薬発第1079号医薬安全局長通知)に適合した注射針を予めはめ合わせた注射筒を含み、インスリン用注射筒、針が取り外しできない構造の注射針付き注射筒、医薬品をすでに充填したキット製品の注射筒は含まない。
2 引用規格
この基準は下記規格又は基準を引用する。
ISO7886―1:1993 一回限り使用する滅菌済み注射筒―マニュアル使用
ISO594―1:1986 注射筒、注射針や他の医療用具の6%テーパーとの接合部の合致―パート1:一般的要求事項
ISO594―2:1991 注射筒、注射針や他の医療用具の6%テーパーとの接合部の合致―パート2:ロック接合
シリコーン油基準(Ⅰ)(平成7年12月20日薬機第327号厚生省薬務局医療機器開発課長通知「注射針及び注射筒等に潤滑剤として用いるシリコーン油の基準について」)
日本薬局方(平成8年3月13日厚生省告示第73号第十三改正)
医療用具及び医用材料の生物学的試験のガイドライン(平成7年6月27日薬機第99号厚生省薬務局医療機器開発課長通知「医療用具の製造(輸入)承認申請に必要な生物学的試験のガイドラインについて」)
滅菌バリデーション基準(平成9年7月1日医薬監第1号厚生省医薬安全局監視指導課長通知「滅菌バリデーション基準について」)
3 定義
3.1 公称容量
注射筒の被包又は容器に表示された注射筒の容量
3.2 公称容量目盛り
公称容量を示す目盛り
3.3 サービス目盛り
公称容量目盛りの容量を超えて付けられた目盛り
3.4 主目盛り線
公称容量に応じた一定の容量ごとに目盛り数字を付す目盛り線
3.5 副目盛り線
主目盛り線と次の主目盛り線の間に引かれた目盛り線
3.6 目盛りの最低長
ゼロ目盛りから公称容量目盛りまでの長さ
3.7 ファーストライン
外筒の目盛りに合わせる押し子の先端の最初のピークのライン
3.8 使用最大容量
注射筒として機能する最大容量
3.9 デッドスペース
押し子が完全に挿入されている状態で、外筒と筒先に含まれる液体の量
3.10 水
日本薬局方の第二部医薬品各条「精製水」
3.11 エンドトキシン試験用水
日本薬局方の第二部医薬品各条「注射用水」又はその他の方法により製造した水で、エンドトキシン試験に用いるLAL試薬の検出限界で反応を示さないもの
3.12 一次包装
注射筒を直接に覆う包装で、注射筒の無菌性を保持するためのものをいい、さらにこれが二次包装される場合には、いわゆる「内袋」に該当する。
3.13 二次包装
一次包装を直接に覆う包装で、通常、複数の一次包装された注射筒、例えば100本を入れるものをいう。
4 構成
注射筒は、主として外筒、押し子からなる。図1は一般的な注射筒を図示したものであり、要求事項ではない。
図1 注射筒各部名称
5 材料
潤滑剤としてシリコーン油を用いる場合、シリコーン油は、シリコーン油基準(Ⅰ)又はこれと同等以上の外国の基準に適合するものであること。また、シリコーン油の他、ISO7886―1の8のエルカ酸、オレイン酸の脂肪酸アミドを用いることができる。
6 物理的要求事項
6.1 外観及び清浄度
目視で検査するとき、外筒の内面は、凹凸及び傷がなく、仕上げ面が滑らかであること。また、通常の使用で注射液等と接触する部分には微粒子又は異物が付着していないこと。
6.2 公称容量の許容差
注射筒の公称容量目盛りまで水を吸い入れた後、ゼロ目盛りまで押し出して得た水の量の公称容量に対する許容差は、公称容量5mL未満のものにあっては±5%、公称容量5mL以上のものにあっては±4%であること。
6.3 目盛り
6.3.1 目盛り線
6.3.1.1 注射筒の外筒には、目盛り線及び容量の単位が明瞭にかつ容易に消えないように付けられていること。
6.3.1.2 サービス目盛りは、他の目盛りと容易に区別できるものであること。
6.3.1.3 副目盛り線がある場合には、主目盛り線と容易に区別できるものであること。
6.3.1.4 目盛り線の太さ及び長さは、一定であること。副目盛り線がある場合には、主目盛り線及び副目盛り線のそれぞれの太さ及び長さが一定であること。
6.3.1.5 目盛り線は、注射筒の中心軸に対し直角で、互いに平行であること。
6.3.1.6 目盛り線の間隔は、ゼロ目盛りから公称容量目盛りまで均等であること。
6.3.2 目盛り数字
6.3.2.1 目盛りには、注射筒の公称容量に応じ、次の表に示す容量ごとに目盛り数字を付すこと。
公称容量(mL) |
増加容量(mL) |
2未満(一般用) |
0.1、0.2、0.3又は0.5 |
2未満(微量用) |
0.1又は0.2 |
2以上5未満 |
0.5又は1 |
5以上10未満 |
1 |
10以上20未満 |
1又は5 |
20以上30未満 |
5又は10 |
30以上50未満 |
5又は10 |
50以上 |
10 |
6.3.2.2 目盛り数字は、明瞭にかつ容易に消えないように付けられていること。
6.3.2.3 目盛り数字は、どの目盛り線に対するものであるか紛らわしいものでないこと。
6.3.3 目盛りの最低長
目盛りの最低長は、公称容量に応じ、次の表に示す長さを超えるものであること。
公称容量(mL) |
目盛りの最低長(㎜) |
2未満(一般用) |
25 |
2未満(微量用) |
55 |
2以上5未満 |
27 |
5以上10未満 |
36 |
10以上20未満 |
44 |
20以上30未満 |
52 |
30以上50未満 |
67 |
50以上 |
75 |
6.3.4 ゼロ目盛り
押し子の先端をゼロ目盛りまで押し込んだとき、ファーストラインとゼロ目盛りはほぼ一致すること。
6.4 外筒
6.4.1 寸法
外筒の長さは、少なくとも公称容量より10%多い使用最大容量を許容するものであること。
6.4.2 フランジ
外筒の開放端にはフランジがあること。注射筒を水平面に対して10°の角度で平坦な面に置いたとき180°以上回転しないこと。フランジの表面は滑らかに仕上げられており、バリを認めないこと。また、適切なサイズ、形状、強度であり、注射筒を使用中安全に保持できるよう把持し易いものであること。
6.5 押し子
6.5.1 設計
押し子は片手で操作し易いこと。押し子は外筒から容易に引き抜けて分離するものでないこと。
押し子の先端をゼロ目盛りまで押し込んだとき、フランジと押し子の末端の距離の長さは8mm以上あること。
6.5.2 ファーストライン
ファーストラインは明瞭に見え、外筒の内面に接触すること。
6.6 筒先
6.6.1 テーパーの合致
筒先が図2―1に示すメス・ルアーテーパー検査ゲージ又は図2―2に示すISO594―1:1986に規定されるメス・ルアーテーパー検査ゲージを使用できる構造のものにあっては、筒先を5Nの力でケージに入れたとき、筒先のオス・ルアーテーパーとゲージのテーパーが合致し、かつ、筒先の先端は、ゲージの限度内にあること。また、筒先が図2―1又は図2―2に示すいずれの検査ゲージも使用できない構造のものにあっては、この検査ゲージの要求する寸法に等しい寸法を求めることができるような特別の検査ゲージ(例えば、ISO594―2:1991に規定する検査ゲージ)を用いること。
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図2―1 メス・ルアーテーパー検査ゲージ |
図2―2 ISOメス・ルアーテーパー検査ゲージ |
6.6.2 位置
筒先は、横口のものを除き、注射筒の中心線に同軸であること。横口のものにあっては、注射筒の中心線と平行又は中心線寄りにやや傾斜していること。
6.6.3 内腔
筒先の内腔は、直径1.0mm以上であること。
6.7 性能
6.7.1 デッドスペース
別添の測定法により測定したとき、デッドスペースの容量は公称容量の10%以下であること。
6.7.2 圧力試験
十分水をふき取った注射筒に、その公称容量目盛り、公称容量目盛りの3/4及び公称容量目盛りの1/2の位置まで水を吸い入れ、これを水平に固定して水が筒口から出ないようにした後、筒口に次の表に掲げる圧力を10秒間加えたとき、はめ合わせ部から水滴が落ちないこと。ただし、この方法によることができないときは、外筒を固定して水が筒口から出ないようにした後、押し子に圧力を加えることにより行うものとする。
又は、ISO7886―1:1993の14.2に適合すること。
区分 |
公称容量(mL) |
圧力(kPa) |
一般用 |
3未満 |
392 |
3以上10未満 |
343 |
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10以上20未満 |
294 |
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20以上30未満 |
245 |
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30以上 |
196 |
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微量用 |
2未満 |
490 |
2以上 |
392 |
6.7.3 吸引試験
注射筒の公称容量目盛りの1/4の位置まで水を吸い入れ、筒口を密封した後、押し子を公称容量目盛りの位置まで引いたとき、はめ合わせ部から連続した気泡を認めないこと。又は、ISO7886―1:1993の14.2に適合すること。
7 化学的要求事項
7.1 溶出物試験
適当な本数の注射筒をとり、公称容量目盛りの位置まで水を吸い入れ、各注射筒のそれぞれの筒先に金属製の針基を有する注射針をはめ合わせ、これらを垂直に保持して70℃で30分間加温し、注射筒内の水50mLをとる。この液を試験液として、次の試験を行うとき、これに適合すること。なお、空試験液は、別に水につき、同様の方法で操作して調製すること。
又は、ISO7886―1:1993の6及び7に適合すること。
ア pH
試験液及び空試験液20mLずつをとり、これに塩化カリウム1.0gを水に溶かして1,000mLとした液1.0mLずつを加え、日本薬局方一般試験法(以下「日局」という。)のpH測定法により試験を行うとき、両液のpHの差は2.0以下である。
イ 重金属
試験液10mLをとり、日局の重金属試験法の第1法により試験を行う。比較液には鉛標準液2.0mLを加える(2.0ppm以下)。
ウ 過マンガン酸カリウム還元性物質
試験液10mLを共栓三角フラスコにとり、0.002mol/L過マンガン酸カリウム液20.0mL及び希硫酸1mLを加え、3分間煮沸し、冷後、これにヨウ化カリウム0.10gを加えて密栓し、振り混ぜて10分間放置した後、0.01mol/Lチオ硫酸ナトリウム液で滴定する(指示薬:デンプン試液5滴)。別に空試験液10mLを用い、同様に操作する。試験液及び空試験液の0.002mol/L過マンガン酸カリウム液消費量の差は2.0mL以下である。
エ 蒸発残留物
試験液10mLを水浴上で蒸発乾固し、残留物を105℃で1時間乾燥するとき、その重量は1.0mg以下である。
7.2 潤滑剤の量
注射筒2本(但し容量20mL以上の注射筒の場合は1本)をとり、公称容量目盛りの位置までn―ヘキサンを吸い入れ、各注射筒のそれぞれの筒先に金属製の針基を有する注射針をはめ合わせ、1分間穏やかに振った後、筒内のn―ヘキサンを集める。この操作を2~3回繰り返し、集めたn―ヘキサンを水浴上で蒸発乾固し、残留物を105℃で1時間乾燥するとき、注射筒1本当たりの残留物の重量は、次の表に掲げる重量以下であること。もしこの値を超えた場合には、残留物を適当量のメチルイソブチルケトンに溶かし原子吸光法又はこれと同等の微量分析法により波長251.6nmを用いてSiを定量し、これよりシリコーン油の量を算出するとき、次表に掲げる重量以下であること。
100mL以上の公称容量の注射筒の場合は内表面積(注射液等に接触する部分の面積)1cm2あたり0.25mg以下とすること。
又は、ISO7886―1:1993の8に適合すること。