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○医薬品の承認申請後の臨床試験の実施の取扱いについて

(平成一〇年一二月一日)

(医薬審第一〇六一号)

(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生省医薬安全局審査管理課長通知)

医薬品の承認申請に当たっては、薬事法(昭和三五年法律第一四五号。以下「法」という。)第一四条第三項の規定により臨床試験の試験成績に関する資料その他の資料の提出を求めている。一方、「抗悪性腫瘍薬の臨床評価方法に関するガイドライン(平成三年二月四日薬新薬第九号)」(以下「抗悪性腫瘍薬ガイドライン」という。)により、延命効果を中心に評価する臨床試験の試験成績は当該医薬品の承認後に提出することも可能とし、また、「致命的でない疾患に対し長期間の投与が想定される新医薬品の治験段階において安全性を評価するために必要な症例数と投与期間について(平成七年五月二四日薬審第五九二号)」(以下「長期投与ガイドライン」という。)により、長期投与時の安全性情報の収集等を目的とした承認申請後の臨床試験の継続を認めるなど、特定の状況下においては、現在も承認申請後に臨床試験が実施されているところである。これらのガイドラインの対象となる医薬品を含め、医薬品の承認申請後の臨床試験の実施について、今後は左記のとおり取り扱うこととしたので、ご了知の上、貴管下関係業者に対し指導方ご配慮願いたい。

なお、本通知の写しを日本製薬団体連合会会長、在日米国製薬工業協会技術委員会委員長及び欧州ビジネス協会医薬品委員会委員長宛て送付することとしている。

一 抗悪性腫瘍薬について、抗悪性腫瘍薬ガイドラインに基づいた第Ⅲ相試験(延命効果を中心に評価する臨床試験)又は第Ⅲ相試験のための予備試験(併用療法により第Ⅲ相試験を実施するための予備試験等)を当該医薬品の承認前に開始することは差し支えないこと。この場合には、次に掲げる事項に留意すること。

(一) 当該試験を当該医薬品の承認申請後に開始する場合であっても、法第八〇条の二第二項に基づく治験計画の届出を行うこと等、治験(法第二条第七項に規定する「治験」をいう。以下同じ。)として所要の手続きを採ること。

(二) 当該試験実施中に当該医薬品が承認された場合には、同じ内容の臨床試験を市販後臨床試験として引き続き実施することができること。

(三) 当該医薬品の承認日以降に第Ⅲ相試験を開始する場合には、承認までに当該試験の実施計画書(又はその骨子)を国立医薬品食品衛生研究所・医薬品医療機器審査センター(以下「審査センター」という。)に提出すること。個別品目の提出時期については、審査センターの指示に従うこと。

(四) 当該試験の試験成績は、原則として、法第一四条の四第四項に定める再審査の申請資料として提出すること。また、当該試験実施中はその進捗状況等を薬事法施行規則第二一条の四の二に基づく安全性定期報告書により報告すること。なお、再審査期間中に当該試験が終了する見込みがない等やむを得ない理由がある場合には、あらかじめ審査センターに報告すること。

二 致命的でない疾患の治療のために長期間の投与が想定される医薬品について、長期投与ガイドラインに基づき承認申請後も臨床試験を継続する場合には、次に掲げる事項に留意すること。

(一) 承認申請時には、少なくとも同ガイドラインに基づく六ケ月間投与の試験成績に関する資料を提出する必要があること。

(二) 当該試験の試験成績については、その時点において可能な範囲のデータを取り纏め、承認までに審査センターに提出すること。個別品目の提出時期については、審査センターの指示に従うこと。

(三) 当該試験実施中に当該医薬品が承認された場合には、同じ内容の臨床試験を市販後臨床試験として引き続き実施することができること。

(四) その必要性等が十分に説明できる場合には、投与期間が同ガイドラインに示された期間を超えることは差し支えないこと。

三 長期投与ガイドラインは致命的でない疾患の治療のために長期間の投与が想定される医薬品を対象としたものであるが、重篤な疾患に対する治療薬等同ガイドラインの対象とならない医薬品であっても、当該医薬品の安全性及び有効性に関する更なる情報の収集を目的として承認申請後に臨床試験を継続することは差し支えないこと。これには、承認申請前に実施した治験に参加し、他に代替治療法がない等の理由で治験薬の使用継続を希望する患者に対し、当該治験薬を継続して提供することも含まれること。

この場合においては、承認申請時点における当該治験の進捗状況等を申請資料中で明らかにするとともに、二の(二)から(四)に示した事項に留意して試験を計画・実施すること。