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○医用電気機器の製造(輸入)承認申請を行う際の電気回路図等の取扱いについて

(平成九年三月三一日)

(薬機第六三号)

(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生省薬務局医療機器開発課長通知)

医用電気機器の製造(輸入)承認申請を行う際には、従来、電気回路図を添付させることによってJIS T一〇〇一(医用電気機器の安全通則)又は国際電気標準化会議(IEC)が制定したIEC 六〇一―一(Medical electrical equipment.Part 1:General requirements for safety.)に対する適合性を評価してるところであるが、今後、その評価方法については、左記によることとしたので、御了知の上、貴管下関係業者に対する指導方御配慮願いたい。

なお、本通知の写しを財団法人医療機器センター理事長、日本医療機器関係団体協議会会長、在日米国商工会議所医療機器小委員会委員長及び欧州ビジネス協会協議会医療機器委員会委員長に送付することとしている。

一 概要

医用電気機器の製造(輸入)承認申請に当たっては、二に掲げる記載方法にしたがってブロック図等が記載されておれば、従来、添付を求めていた電源部、装着部等の電気回路図は省略できるものとする。

なお、二においては、JIS T一〇〇一に対して適合することを求めているが、これに対応する国際規格であるIEC 六〇一―一に対する適合性を示すことでも差し支えないこと。

また、JIS T一〇〇一又はIEC 六〇一―一の規定と個別規格(日本工業規格又はIEC規格として制定されている規格に限る。)の規定に相違がある場合は、当該個別規格に対する適合性を示すものとする。

二 製造(輸入)承認申請書の記載方法について

形状、構造及び寸法欄において、ブロック図を記載するに当たっては、少なくとも次の事項に注意すること(以下に用いる用語の意義は、JIS T一〇〇一に定めるところによる。)。

なお、ブロック図上、記載することが困難である場合には文章による説明を付記すること。

(一) 各部の機能の相互関係

医用電気機器の作動原理等の理解を容易にするため、各部の機能の相互関係を明確に記載すること。

(二) 装着部、接触可能部分等の分離及び絶縁

装着部、接触可能部分等については、JIS T一〇〇一の七・四(分離)の規定に基づき、機器の生きている部分から適切に分離されていることが分かるように、以下に示すような方法で記載すること。

なお、これらの措置は、JIS T一〇〇一の七・七・一(絶縁)の規定に基づいた適切なものでなければならないこと。

ア 装着部

ブロック図上の該当部分において、生きている部分から分離するために講じている措置方法が分かるように次の例により記載すること。

① 基礎絶縁の部分

ブロック図上の該当部分を実線(―――)で囲み「基礎絶縁」と明記すること。

② 保護接地を行う部分

ブロック図上の該当部分において保護接地端子に接続していることが分かるように記載すること。

③ 保護接地した金属シールドの部分

ブロック図上の該当部分において金属シールド部を破線(・・・)で囲み「保護接地した金属シールド」と明記するとともに、保護接地端子に接続されていることが分かるように結線関係を明確にすること。

④ 保護接地した中間回路の部分

ブロック図上の該当部分を一点鎖線(―・―・―・)で囲み「保護接地した中間回路」と明記するとともに、保護接地端子に接続されていることが分かるよう結線関係を明確にすること。

⑤ 二重絶縁又は強化絶縁の部分

ブロック図上の該当部分を二重線(===)で囲み「二重絶縁」又は「強化絶縁」と明記すること。

⑥ 装着部の回路に使用する部品のインピーダンスにより分離を行う部分

ブロック図上の該当部分を波線(~~~)で囲み「部品のインピーダンスによる分離」と明記するとともに、当該部品のインピーダンスの値を「〇〇〇〇Ω以上」と記載すること。

⑦ F形装着部

ブロック図上の該当部分を二点鎖線(━‥━‥━‥)で囲み「F形装着部」と明記すること。

イ 接触可能部分

アと同様に記載すること。

ウ その他の分離

① 保護接地していない接触可能金属部

ブロック図上の該当部分を二重線(===)で囲み「補強絶縁」又は「二重絶縁」と明記するとともに、ブロック図の説明文において、導電接続がない旨を記載すること。

② クラスⅠ機器(正常な使用時に操作者又は患者が直接接触する可能性のあるものに限る。)の保護接地できない手で保持する可とう軸

ブロック図上の該当部分において、二重線(===)で補強絶縁(二重絶縁)を施していることが分かるように記載するとともに「補強絶縁」又は「二重絶縁」と明記すること。

(三) 保護接地、機能接地及び等電位化

保護接地、機能接地及び等電位化については、JIS T一〇〇一の七・五(保護接地、機能接地及び等電位化)の規定に基づき、適切に接続されていることが分かるように記載すること。

ア 保護接地

(ア) クラスⅠ機器の接触可能部分

基礎絶縁によって生きている部分から分離されたクラスⅠ機器の接触可能部分については、ブロック図上、保護接地端子に接続されていることが分かるように結線関係を明確にすること。

(イ) 保護接地端子

保護接地端子ついては、ブロック図上、次に示す方法によって医療機関の設備の保護接地系に接続できることが分かるように記載すること。

① 非永久設置形機器の場合

電源コード内の保護接地線及び電源プラグ(JIS T一〇二一(医用差込接続器)に規定されたもの又はこれと同等以上の性能及び安全性を持つものに限る。)により接続する。

② 永久設置形機器の場合

永久的に設置した保護接地線により接続する。

(ウ) 保護接地端子の表示

保護接地端子の部分には、JIS T一〇〇六(医用電気機器図記号)の記号〇一―二一を表示すること。

イ 機能接地

(ア) 機能接地端子

機能接地を行う医用電気機器にあっては、ブロック図上、機能接地端子を保護接地接続に使用しないことが分かるように記載しておくこと。

(イ) 内部に電気的に切り離したシールドを持つクラスⅡ機器

三心の電源コードによって商用電源に接続する場合には、ブロック図上、電源プラグの接地刃に接続した第三線は、シールドの機能接地線としてだけ使用することが分かるように説明文(絶縁被覆の色についても言及すること。)を加えるなどして記載すること。

また、内部シールド及びそれに接続するすべての内部配線の絶縁は、(二)のアの⑤の記載方法により、ブロック図上、二重絶縁又は強化絶縁であることが分かるようにすること。さらに機能接地端子を保護接地端子と区別できるように如何なる表示を行っているのか説明すること。

ウ 等電位化

医用電気機器が等電位化導線への接続手段を備えている場合には、ブロック図上、等電位化導線は電源コードと別になっていることが分かるように記載すること。

また、等電位化導線の接続部には、JIS T一〇〇六の記号〇一―二五を表示すること。

(四) 保護装置

JIS T一〇〇一の一四・二・四(保護装置)に規定する保護装置は使用していないことが分かるようにブロック図の説明文においてその旨を記載すること。

(五) 商用電源からの切離し

商用電源からの切離しについては、JIS T一〇〇一の一四・三・一(電源(商用)からの切離し)の規定に基づき、適切な手段が採用されていることが分かるように、以下に示すような方法で記載すること。

ア 切離し手段

ブロック図上、商用電源のすべての極から同時に回路を切り離す手段を備えていることが分かるように記載すること。

イ 切離し手段の組込み箇所

ブロック図上、商用電源からの切離しの手段が医用電気機器自体に組み込まれているのか、外部に設けられているのか分かるように記載すること。

ウ 電源スイッチの取り付け箇所

ブロック図上、電源スイッチは電源コード、着脱電源コード又はその他の外部接続用可とうコードに取り付けられていないことが分かるように記載すること。

(六) ヒューズ及び過電流開放器

ヒューズ及び過電流開放器については、JIS T一〇〇一の一四・三・六(ヒューズ及び過電流開放器)の規定に基づき、適切な手段が採用されていることが分かるように、以下に示すような方法で記載すること。

ア クラスⅠ機器及び機能接地を有するクラスⅡ機器

ブロック図上、各位相線にヒューズ又は過電流開放器を備えていることが分かるように記載すること。

イ 機能接地を有さない単相用クラスⅡ機器

ブロック図上、いずれか(又は双方)の位相線にヒューズ又は過電流開放器を備えていることが分かるように記載すること。

(七) 電源変圧器

電源変圧器については、ブロック図上、一次巻線と二次巻線の間に講じられている分離及び絶縁の方法が分かるように記載すること。記載に当たっては、(二)のアの記載方法を参考とすること。

(例) 二重絶縁又は強化絶縁を施す場合

一次巻線と二次巻線の間に二重線(===)を記載し、かつ、「二重絶縁」又は「強化絶縁」と明記する。

なお、分離及び絶縁の方法については、JIS T一〇〇一の一四・四・三(構造)の規定に適合していなければならないこと。

三 承認事項の一部変更承認申請の取扱いについて

今回の措置に基づきブロック図等を記載して承認を取得した品目については、電気回路上の変更を行う場合であっても、その変更内容がブロック図等の承認内容に変更がなく、総合的に判断して有効性、安全性と直接の関連性を有さず、その医用電気機器の本質から見て同一性を損なうものではないときには、今後、薬事法(昭和三五年法律第一四五号。以下「法」という。)第一四条第六項(法第一九条の二第四項及び法第二三条において準用する場合を含む。)に規定する承認事項の一部変更承認申請の手続きは必要としないこととする。