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○麻薬取締法等の一部を改正する法律の施行について

(平成二年八月二二日)

(薬発第八五二号)

(各都道府県知事あて厚生省薬務局長通知)

麻薬取締法等の一部を改正する法律(平成二年法律第三三号)及び関係政省令の施行については、平成二年八月二二日厚生省発薬第二三七号厚生事務次官依命通達によるほか、細部に関しては左記によられたい。

なお、この通知において、改正後の麻薬及び向精神薬取締法(昭和二八年法律第一四号)を「法」と、改正後の麻薬及び向精神薬取締法施行令(昭和二八年政令第五七号)を「令」と、今回制定された麻薬及び向精神薬を指定する政令(平成二年政令第二三八号)を「指定令」と、改正後の麻薬及び向精神薬取締法施行規則(昭和二八年厚生省令第一四号)を「規則」とそれぞれ略称する。

第一 麻薬及び向精神薬取締法関係

一 定義に関する事項

(一) 麻薬

麻薬の定義については、改正前の麻薬取締法別表において、索引を容易にする観点から、「あへんアルカロイド系麻薬」、「コカアルカロイド系麻薬」及び「合成麻薬」に三分類して麻薬の物質名を掲げていたが、この三分類に該当しない起源由来の物質についても、麻薬に指定して規制する必要が生じてきたことから、法別表第一においては、分類を廃止して、どのような起源由来の物質にも対応できることとし、併せて、物質名を最新の化学命名法に準拠して改正するとともに、索引を容易にする観点から、物質名の各号列記の順序を五十音順とし、国際的一般的名称又は麻薬に関する単一条約において使用している名称を別名として掲げることとされたこと。

(二) 麻薬原料植物

麻薬原料植物の定義については、改正前の麻薬取締法第二条第一八号の麻薬研究者の定義の項において、「けしを除く。」とのみ定義されていたが、麻薬を含有する植物であっても、含有量等から直ちに麻薬原料植物として規制する必要性の低いものもあることから、規制すべき植物を明確にするため、法別表第二に掲げる植物を麻薬原料植物と定義することとされたこと。

これに伴い、けしを定義する必要がなくなったため、改正前の麻薬取締法第二条第二号のけしの定義が削除されたこと。

また、麻薬の含有量が少ないため、麻薬原料植物として規制しない植物については、麻薬としても規制する必要性が低いことから、法別表第一の第七六号のロにおいて、麻薬原料植物以外の植物が麻薬の定義から除外されたこと。

なお、法別表第一の第七六号のロに規定する「麻薬原料植物以外の植物(その一部分を含む。)」には、けしがら及びけしの種子も含まれるものであること。

(三) 向精神薬

向精神薬の定義につては、規制対象物質の範囲を明確にし、かつ、向精神薬に関する条約の付表物質の追加等に速やかに対応するため、法別表第三において、濫用のおそれ及び有害作用の比較的高い物質、中等度の物質及び低い物質から一○物質を掲げ、これらと同種の濫用のおそれがあり、かつ、同種の有害作用のある物質を指定令で向精神薬に指定することとされたこと。

二 麻薬の取締りに関する事項

(一) 免許の有効期間

麻薬輸出業者、麻薬輸入業者、麻薬製造業者、家庭麻薬製造業者、麻薬元卸売業者及び麻薬卸売業者の免許の有効期間については、これまで、免許の日からその年の一二月三一日までとされていたが、事務の簡素合理化等の観点から、有効期間を一年延長し、翌年の一二月三一日までとしたこと。それに伴い、施行の日である本年八月二五日現在に免許を有するこれらの者については、自動的に免許の有効期間が延長され、平成三年の一二月三一日までとなること。

この場合、免許証には、免許の有効期間が平成二年一二月三一日までと記載されているが、免許証の記載事項の変更届を行わせる必要はないこと。

(二) 携帯輸出入

ア これまで、麻薬の輸出入は、麻薬輸出業者又は麻薬輸入業者に限定されていたが、最近、手術、治療等のために出入国する者がその期間中に麻薬を所持し、施用する必要がある事例が生じてきたことから、あらかじめ厚生大臣の許可を受けた場合には、麻薬を携帯して輸出入することができることとしたこと。

イ この場合において、規則第六条の二に基づき、出入国しようとする者があらかじめ、申請書に医師の診断書を添えて、厚生省薬務局麻薬課に提出することとすること。なお、この許可申請については、手数料は要しないものであること。

出国しようとする者が短期間に再入国する場合は、麻薬携帯輸出許可と麻薬携帯輸入許可を同時に申請して差し支えないこと。

ウ 麻薬の携帯輸出又は携帯輸入を許可した場合は、許可書を交付するので、出国又は入国の際は、税関に許可書を提示するよう指導されたいこと。

(三) 譲渡し、所持等

ア 近年、がん末期医療における麻薬の利用拡大に伴い、患者に交付された麻薬を患者が服用困難になった場合、患者が死亡した場合等において、飲み残した麻薬の取扱いについて種々の問題があったが、今回の法改正により、患者又はその遺族(相続人等)が麻薬診療施設の開設者又は麻薬小売業者に返却することができる規定が整備されたこと。

これは、麻薬診療施設の開設者又は麻薬小売業者に必ず返却することを義務づけたものではないが、適切な廃棄を確保するためには、麻薬診療施設の開設者又は麻薬小売業者に返却し、その麻薬業務所において廃棄することが適当と考えられるため、その趣旨を麻薬診療施設の開設者、麻薬小売業者及び麻薬管理者等に周知されたいこと。

イ 患者又は遺族が返却する相手は、麻薬を譲り受けた麻薬診療施設の開設者又は麻薬小売業者であることが適当であるが、転居した場合、別の麻薬診療施設に再入院した場合等、譲り受けた相手方に返却することが適当でない場合は、他の麻薬診療施設の開設者等へ譲り渡しても差し支えないこと。

なお、法第二四条第二項の規定により、施用のため交付される麻薬が法の規定に違反して交付されるもの等の場合は、患者又は遺族から麻薬診療施設の開設者又は麻薬小売業者へ返却できないこととされているが、麻薬診療施設の開設者及び麻薬小売業者に対し、患者又は遺族から受け取る麻薬が法に違反して交付されたものか否かの確認を求めるものではないこと。

ウ なお、最近、末期がん患者の在宅ケアの一環として、在宅における麻薬の利用が増加してきているが、麻薬処方せん発行の増加に対処するため、薬局に対し、麻薬小売業者の免許取得を指導されたいこと。

(四) 廃棄

ア 麻薬の廃棄については、これまで、その都度の都道府県知事の許可を必要としてきたが、がん患者等への麻薬の施用の必要性の増加、事務手続きの煩雑さ等を考慮し、麻薬診療施設の開設者又は麻薬小売業者が、麻薬処方せんにより調剤された麻薬を廃棄する場合は、事後の届出で差し支えないこととされたこと。

イ 麻薬処方せんにより調剤された麻薬とは、院内処方せん又は院外処方せんにより調剤された麻薬のほか、麻薬施用者自らが調剤した麻薬も含まれること。

また、患者又は遺族から返却された麻薬を廃棄する場合も届出の対象となること。

ウ 規則第一○条の二の規定により、廃棄は焼却その他の回収が困難な方法により行わなければならないこととされているが、「その他の方法」とは、酸、アルカリによる分解、希釈、他の薬剤との混合等が考えられること。

なお、廃棄には、麻薬管理者又は管理薬剤師のほか、麻薬業務所の他の従事者が立ち会うことが適当であること。

エ 廃棄の届出については、廃棄後三○日以内に規則別記第一九号様式による麻薬廃棄届を麻薬業務所の所在地を管轄する都道府県知事に提出しなければならないこととされたが、三○日以内であれば、その間の複数の廃棄をまとめて、一つの届出書で提出して差し支えないこと。

なお、麻薬廃棄届の届出者の氏名欄への記入については、麻薬診療施設の開設者又は麻薬小売業者が法人の場合には、法人の名称並びに施設の長の職名、氏名及び押印として差し支えないこと。

オ 法の施行の際に廃棄許可を申請中のものがある場合は、廃棄許可を受けて廃棄することとされたいこと。

カ 過去に購入した麻薬が古くなったこと又は調剤前に破損したことにより使用できなくなったため麻薬を廃棄しようとする場合は、都道府県知事の許可を受けなければならないこと。

(五) 患者等からの返却、調剤された麻薬の廃棄に係る記録

ア 麻薬診療施設の開設者又は麻薬小売業者が患者又は遺族から麻薬を譲り受けた場合は、譲り受けた麻薬の品名、数量及び年月日を帳簿に記載しなければならないが、患者又は遺族の氏名も併せて記載するよう指導されたいこと。

イ 外来患者又は遺族からの譲受け、廃棄に関する記録については、別帳簿として差し支えないこと。

(六) 事故の届出

ア 麻薬に事故が生じたときの届出については、規則別記第一八号様式(麻薬事故届)によることとしたこと。

なお、同様式中「事故発生の状況」欄の記載については、盗取、大量の所在不明の場合は詳細に記載することとすること。

また、様式中届出者の氏名、住所及び押印については、麻薬診療施設で事故が生じた場合は麻薬管理者(麻薬管理者がいない施設にあっては麻薬施用者)の氏名、住所及び押印であること。

イ 調剤した麻薬を入院患者が持って外泊し、その際に麻薬を紛失した場合は、麻薬事故届を提出することを要しないこと。

(七) 広告

法第二九条の二に規定する「その他主として医薬関係者等を対象として行う場合」には、医薬関係者等を対象とする医薬情報担当者(いわゆるプロパー)による説明又はダイレクトメールによって行う場合、病院、診療所、薬局、研究所等に配付する文献、説明書、カタログ等の印刷物によって行う場合、主として医薬関係者等が参集する学会、講演会、説明会等において行う場合等が含まれること。

また、手帳、カレンダー等であって、配付先が概ね医薬関係者等に限られる場合も含まれること。

(八) 改正前の様式による書類

ア 麻薬に関する様式について、「業務所」を「麻薬業務所」に改める等の改正が行われたが、麻薬取締法施行規則の一部を改正する省令の附則第三項により、施行の際に改正前の様式により使用されている書類(申請中の書類、施行前に交付した免許証、立入検査を行う職員の身分を示す証票等)については、改正後の様式とみなされるため、書き換え等をする必要はないこと。

イ なお、施行の日以降に申請する書類及び交付する免許証等については、改正前の様式による書類、免許証、証票等を取り繕って使用して差し支えないこと。

(九) その他

麻薬を全く取り扱わない営業所等において、免許を有する自社の麻薬業務所のために、請求伝票、領収書の発行、代金回収、支払い等の業務を行うことは差し支えないこと。

なお、譲渡証及び譲受証の交換及び保存は、麻薬業務所間において行われるものであること。

三 向精神薬の免許に関する事項

(一) 免許を必要とする施設

ア 向精神薬の輸出、輸入、製造、製剤、小分け、譲渡し、又は向精神薬に化学的変化を加えて向精神薬以外のものの製造に関する業務を行う施設が免許を受けるべき対象施設であり、同一法人の免許を有さない他の施設において、向精神薬を全く取り扱わずに、免許を有する自社の施設のために請求伝票、領収書の発行、代金回収、支払い等の業務を行うことは差し支えないこと。

したがって、向精神薬を輸出又は輸入する業者の場合、本社の貿易部門が実際に向精神薬を扱わずに海外の企業と注文等の業務を行い、同一法人の他の施設(発送センター等)において向精神薬の搬出又は搬入を行っている場合には、後者の施設について向精神薬輸出業者又は向精神薬輸入業者の免許を取得することとし、前者の貿易部門は免許を受けることを要しないこと。

イ 同一法人内の他の施設に向精神薬を移動する場合であっても、法第六二条第二項の規定に基づき、譲渡しに関する規定が適用されるため、それぞれの施設が向精神薬営業者の免許等が必要となること。

ウ 法第五○条第一項において、「向精神薬営業所ごとに」とあるが、向精神薬に関する業務を行う施設が同一敷地内にある場合又は相互に関連を有し近接している場合には、同一の向精神薬営業所とみなしうること。

なお、向精神薬取扱責任者は、法第五○条の二○第二項において、法の規定等に違反する行為が行われないように、その向精神薬に関する業務に従事する者を監督しなければならないこととされており、同一の向精神薬営業所とみることができる範囲は向精神薬取扱責任者が常時監督できる範囲でなければならないこと。

(二) 免許申請

ア 規則第一四条第一号に規定する「向精神薬営業所の平面図」とは、向精神薬を輸出し、輸入し、製造し、製剤し、小分けし、若しくは譲り渡す業務又は向精神薬に化学的変化を加えて向精神薬以外のものにする業務を行う建物及びその周辺の敷地の見取図(同一人がその建物において他の業務も併せ行っている場合は、その建物全体及びその周辺の敷地の見取図並びにその建物の向精神薬に関する業務を行っている部分の見取図)をいうものであること。

なお、向精神薬に関する業務を行っている部分については、朱書きで他の部分と区別することとすること。

イ 向精神薬に関する業務を行う建物の見取図には、床、壁、天井等の材質のほか、規則第一五条第一号ロ又は同条第二号ロに規定するかぎをかける設備の場所を記入させること。

ウ 診断書を必要とする役員は、向精神薬の輸出、輸入、製造、製剤、小分け、譲渡し等に関する業務を行う役員であること。

なお、医薬品の製造業者又は輸入販売業者が免許申請する場合には、規則第一四条の規定により、許可証の写しを添付すれば業務を行う役員の診断書の添付が省略できることとされているが、向精神薬に関する業務を行う役員が医薬品の製造業又は輸入販売業の業務を行う役員以外の者である場合は、その役員の診断書を添付しなければならないこと。

また、都道府県知事の免許を受けようとする場合であって既に同一都道府県知事から他の免許を受けている場合又は厚生大臣の免許を受けようとする場合であって既に厚生大臣から他の免許を受けている場合には、申請書にその旨を付記し、かつ、当該免許証の写しを添付したときは、規則第一四条第二号に掲げる書類及び同条第三号に掲げる書類(既に当該業務を行う役員について同一都道府県知事又は厚生大臣に診断書が提出されている場合に限る。)を添付することを要しないこと。

(三) 免許の欠格事由

ア 規則第一五条第一号イ及び第二号イに規定する「これに準ずる構造」とは、モルタル造り等をいうものであること。

なお、窓等において、ガラスを用いることは差し支えないこと。

イ 規則第一五条第一号ロについては、製造、製剤、小分け、貯蔵等を行っている部屋それぞれにかぎをかける設備を有する場合のほか、製造、製剤、小分け、貯蔵等を行っている建物全体にかぎをかける設備を有する場合であっても差し支えないこと。

なお、向精神薬の製造等を行っている施設において向精神薬以外の医薬品又は試薬等の製造等も併せ行っている場合には、それらの場所も含めた建物全体にかぎをかける設備を有する場合であっても差し支えないこと。

ウ 規則第一五条第二号ロについては、保管倉庫(他の医薬品等を併せ保管する倉庫を含む。)全体にかぎをかける設備がある場合、保管する部屋にかぎをかける設備がある場合、保管するロッカー等にかぎをかける設備がある場合等が考えられること。

(四) 業務廃止等の届出

ア 向精神薬営業者は、免許の有効期間中に当該免許に係る向精神薬営業所における向精神薬に関する業務を廃止したときは、三○日以内に届け出なければならないこととされているが、休止している場合は業務廃止届を提出する必要はないこと。

イ 向精神薬営業者が死亡、解散したとき、免許の有効期間が満了したとき、免許を取り消されたとき、免許証の記載事項に変更を生じたときは、三○日以内に届け出なければならず、また、免許証をき損、亡失したときも三○日以内に再交付申請しなければならないこと。

四 向精神薬の登録に関する事項

(一) 登録を必要とする施設

ア 学術研究又は試験検査のため向精神薬を製造し、又は使用する施設が登録を受けるべき対象施設であるが、大学の場合は、医学部、薬学部、理学部等の学部、大学に置かれる研究所がそれぞれ登録の対象施設となること。

なお、同一の学部であってもその建物が離れていて同一敷地内(近接している場合を含む。)にない場合は、それぞれの建物が登録の対象となること。

イ 向精神薬製造製剤業者の免許に係る工場において品質試験、製剤試験等を行う場合、その他の向精神薬営業者の免許に係る店舗において業務に伴う品質試験等を行う場合、病院等において研究、試験及び検査を行う場合には、向精神薬試験研究施設設置者の登録を要しないこと。

ウ 製薬企業において、複数の研究所が同一敷地内に配置されている場合があるが、この場合、複数の研究所全体(向精神薬を製造し、又は使用する研究所に限る。)が一つの登録の対象施設となること。

エ 製薬企業の本社の開発部門が治験薬を取り扱う場合は、その開発部門について向精神薬試験研究施設設置者の登録又は向精神薬卸売業者の免許を受けなければならないこと。

(二) 登録申請

ア 規則第二一条第一号に規定する「向精神薬試験研究施設の平面図」とは、向精神薬を製造し、使用し(製剤し、又は向精神薬に化学的変化を加えて向精神薬以外のものにすることを含む。)、貯蔵する建物及びその周辺の敷地の見取図(同一人がその建物において他の研究等も併せ行っている場合は、その建物全体及びその周辺の敷地の見取図並びにその建物の向精神薬の学術研究又は試験検査に係る製造、使用、貯蔵を行っている部分の見取図)をいうものであること。

なお、向精神薬に関する学術研究又は試験検査を行っている部分については、朱書きで他の部分と区分することとすること。

イ 向精神薬を貯蔵する建物又は部屋の見取図には、規則第四○条第二項に規定するかぎをかける場所を記入させること。

ウ 規則第二一条第二号に規定する「向精神薬に関する学術研究又は試験検査の概要」については、どのような種類の学術研究又は試験検査であるかがわかるよう簡潔にまとめたものであること。

(三) 登録の拒否事由

法第五○条の五第二項において、登録を取り消され、取消しの日から三年を経過していない者について、登録しないことができるとされていること。

また、そもそも施設が学術研究又は試験検査のため向精神薬を製造し、使用する施設に該当しないときは、当然、登録をしないものであること。

(四) 試験研究廃止等の届出

ア 向精神薬試験研究施設設置者の登録は、登録の取消し又は試験研究廃止届の提出がない限り、無期限に有効であるが、登録に係る向精神薬試験研究施設における向精神薬に関する学術研究又は試験検査を廃止したときは、三○日以内に届け出なければならないこと。

なお、休止している場合には、試験研究廃止届を提出する必要はないこと。

研究施設の全面建て替えの場合は、一旦試験研究廃止届を提出し、建て替え後に登録申請されたいこと。

イ 向精神薬試験研究施設設置者が死亡、解散したとき、免許を取り消されたとき、又は登録証の記載事項に変更を生じたときは、三○日以内に届け出なければならず、また、登録証をき損、亡失したときも三○日以内に再交付申請しなければならないこと。

五 向精神薬の輸出入に関する事項

(一) 携帯輸出入

ア 規則別表第一に掲げる量は、概ね、通常の用法による一カ月分の量であること。

イ 規則第二七条第二号及び同第三○条第二号に規定する「自己の疾病の治療のため特に必要であることを証する書類」とは、処方せんの写し又は患者の氏名及び住所並びに携帯を必要とする向精神薬の品名及び数量を記載した医師の証明書をいうものであること。

(二) 輸出許可証明書等の送付

ア 向精神薬輸出業者又は法第五○条の一一第三号若しくは第四号に掲げる者が第一種向精神薬を輸出する場合、法第五○条の一一第三号若しくは第四号に掲げる者が第二種向精神薬を輸出する場合、又は向精神薬輸出業者が特定地域を仕向地として特定第二種向精神薬を輸出する場合は、当該向精神薬に輸出許可証明書を添えて送らなければならないこととされているが、輸出許可証明書を当該向精神薬のインボイス等とともに送って差し支えないこと。

イ また、向精神薬輸出業者又は法第五○条の一一第三号若しくは第四号に掲げる者が特定地域を仕向地として特定向精神薬を輸出する場合に特定向精神薬に添えて送る相手国の作成した特別輸入許可書及び向精神薬輸出業者が第二種向精神薬を輸出する場合に第二種向精神薬に添えて送る輸出届出書の副本(規則別記第三三号様式(二))についても同様であること。

(三) 輸出届出書の作成及び提出部数

ア 規則第三四条第二項に基づき厚生大臣に提出する輸出届出書は、規則別記第三三号様式(一)を一部及び同別記第三三号様式(二)を二部とすること。

イ 向精神薬輸出業者は、同別記第三三号様式(二)の輸出届出書を厚生大臣に提出する分二部、輸出する第二種向精神薬に添えて送付する分一部及び向精神薬輸出業者の控え一部の計四部を少なくとも作成する必要があること。

六 向精神薬の製造、製剤、小分けに関する事項

(一) 製剤

向精神薬の調剤については、法第二条第二九号において、製剤の定義から除外されているが、調剤の予備行為であるいわゆる予製についても、製剤することに該当しないものであること。

(二) 小分け

ア 向精神薬の小分けについては、法第二条第二九号において、「他人から譲り受けた向精神薬を分割して容器に収めること」と定義されているが、自社工場で製剤されたものを自社の他の工場で分割して容器に収めることも小分けに該当すること。また、分割して容器に収めることを他の業者に委託する場合も委託を受けた者が行う行為は小分けに該当すること。

イ 向精神薬卸売業者が病院等からの求めに応じてその都度大包装の向精神薬を小包装に分割する行為は、小分けに該当しないこと。

また、向精神薬卸売業者である備蓄センターにおいて、薬局の求めに応じてその都度分割する行為も同様に小分けに該当しないこと。

なお、分割したものを向精神薬小売業者、病院等の開設者等に譲り渡す場合は、容器及び容器の直接の被包に法第五○条の一九に規定する記載をしなければならないこと。

ウ コントローラー(比較臨床試験において薬物等の割付け等を行う者)が治験薬を比較試験のために割り付ける行為は、小分けに該当しないこと。

なお、コントローラーが向精神薬営業所又は向精神薬試験研究施設以外の場所で一時的に割付け作業をすることは差し支えないこと。

七 向精神薬の譲渡し等に関する事項

(一) 向精神薬の移動

ア 向精神薬の譲渡しとは、向精神薬の所有権を他人に移転する行為をいうが、法第六二条第二項の規定により、同一人が二以上の向精神薬営業所、向精神薬試験研究施設又は病院等を有する場合であってこれらの間で向精神薬を移動するときは、所有権の移転を伴わないが、譲渡しがあったものとみなされること。

したがって、向精神薬卸売業者の免許を受けている向精神薬営業所から同一法人の他の店舗に向精神薬を移動させる場合であっても、法第五○条の一六第二項の譲渡先の制限の規制を受けること。

イ なお、クレーム品を向精神薬卸売業者から向精神薬製造製剤業者(工場)に持ち込む前に一時的に免許を有しない本社を経由することは差し支えないこと。

(二) 向精神薬営業者以外の者の譲渡し

ア 規則第三六条第一項第五号の規定により、同一法人の病院、診療所間で向精神薬を移動すること、国立病院間で向精神薬を移動することは差し支えないこと。

イ 規則第三六条第一項第六号及び第七号の規定により、国立病院とそれに併設されている共済組合の診療部との間で向精神薬を譲り渡すことは差し支えないこと。

(三) 向精神薬営業者の譲渡先

ア 向精神薬卸売業者が診療所を開設している船舶(船医が乗船)の所有者に向精神薬を譲り渡す場合は、法第五○条の一六第二項本文の規定に基づくものであり、規則第三六条第二項第二号の規定に基づくものではないこと。

イ 向精神薬卸売業者が規則第三六条第二項第三号の規定に基づき地方公共団体の長に譲り渡す場合は、災害時に使用するために備蓄されるものであることを証する書類の提出を求めることとすること。

ウ 規則第三六条第二項第四号に規定する「厚生大臣が定めるもの」については、定めたときに別途通知すること。

エ 法第五○条の一六第四項に規定する「向精神薬処方せん」とは、法第二条第三二号において「向精神薬を記載した処方せん」と定義されているが、一般的に使用されている処方せんをいうものであり、向精神薬以外の薬剤も併せ記載されている処方せんであっても差し支えないこと。

(四) 広告

向精神薬の広告については、前記二の(七)の麻薬の広告に準拠すること。

八 容器等の記載に関する事項

(一) 容器とその直接の被包

ア 法第五○条の一九に規定する「容器」とは、向精神薬を直接収めるアンプル、バイアル、びん、箱等をいうが、ヒートシール(PTP包装、SP包装等)等、内袋に相当するものは容器に該当しないこと。

イ 同条に規定する「容器の直接の被包」とは、容器たるアンプル、バイアル、びん、箱等をさらに収める箱、袋等をいうものであること。

ウ 容器又は容器の直接の被包を透かして容易に見ることができる外部の被包については、当該透明な外部の被包に法第五○条の一九に規定する記載を要しないこと。

エ 容器及び直接の被包に記載する法第五○条の一九に規定する事項については、明りょうでなければならないこと。

(二) 面積の狭い容器

ア 規則第三七条第二項第一号及び第二号に該当するか否かについては、薬事法施行規則第五四条第一項第一号及び第二号の運用に準拠されたいこと。

イ 規則第三七条第二項に掲げる表において、「成分たる向精神薬の品名」については、その製剤の名称の記載をもって代えることができるとされているが、「その製剤の名称」とは、販売名をいうものであること。

(三) 輸出用

向精神薬が輸出用である場合には、規則第三七条第三項の規定により、容器及び容器の直接の被包への記載について、一部記載を省略することができることとされているが、輸出用であることを明らかにするため、輸出のため他の向精神薬輸出業者等に譲り渡す場合(工場から発送センターへの移動、発送センターから支店への移動等、同一法人の向精神薬営業所間の移動を含む。)には、運搬用の包装等に輸出用であることを表示するものとすること。

(四) 治験薬

向精神薬が治験薬である場合には、規則第三七条第四項の規定により、容器及び容器の直接の被包への記載について、全て記載を省略することができること。

九 向精神薬取扱責任者に関する事項

(一) 向精神薬取扱責任者の設置

ア 法第五○条の二○の規定により、向精神薬営業者は向精神薬営業所ごとに向精神薬取扱責任者を置かなければならないこととされているが、当該向精神薬営業所が薬事法の許可を受けている製造所、店舗等であって、薬事法の規定に基づく管理者が置かれている施設にあっては、当該管理者を向精神薬取扱責任者として置くことが適当であること。

イ 製造所、店舗等が二つの免許に係る向精神薬営業所である場合は、同一人がそれぞれの免許に係る向精神薬営業所の向精神薬取扱責任者を兼務して差し支えないこと。

(二) 向精神薬取扱責任者の資格

令第六条第一号に規定する「化学に関する専門の課程」とは、理学部の化学科等、農学部の農芸化学科、農産化学科、園芸化学科等、工学部の応用化学科、工業化学科、化学工学科、合成化学科、高分子化学科等、理工学部の化学科、応用化学科、工業化学科等をいうものであること。

(三) 向精神薬取扱責任者の業務

ア 向精神薬取扱責任者は、当該向精神薬営業所における向精神薬の輸出、輸入、製造、製剤、小分け、若しくは譲渡し、向精神薬に化学的変化を加えて向精神薬以外のものとすること、向精神薬の保管、廃棄、向精神薬の輸出、輸入、製造、譲渡し等に関する記録等が適切に行われ、法又は法に基づく処分に違反する行為が行われないよう、これらの向精神薬に関する業務に従事している者を監督しなければならないこと。

イ 向精神薬営業者は、向精神薬取扱責任者の法第五○条の二○第二項に規定する義務を遂行するために必要と認めて述べる意見を尊重することとすること。

(四) 向精神薬取扱責任者の届出

向精神薬取扱責任者を設置したときの届出は、免許申請と同時に行って差し支えないものであること。

一○ 向精神薬の保管及び廃棄に関する事項

(一) 保管

ア 規則第四○条第二項により、向精神薬の保管はかぎをかけた設備内で行わなければならないこととされているが、工場の建物、発送センターの倉庫、卸の薬品倉庫又は病院の薬品倉庫若しくは調剤室の出入口にかぎをかける場合のほか、支店、研究所等の部屋の出入口にかぎをかける場合、薬局の店舗の出入口にかぎをかける場合、ロッカー、引き出し等にかぎをかける場合等をいうものであり、施設内での保管場所等を考慮し、適当な場所にかぎをかけなければならないこと。

なお、法第三四条第二項の規定に基づき、向精神薬を麻薬と同じ保管庫に保管することはできないこと。

イ 同項に規定する「向精神薬に関する業務に従事する者が実地に盗難の防止につき必要な注意をする場合」とは、通常、勤務時間内で保管場所又はその出入口を従業員が注意している場合をいうものであり、夜間、休日等において従業員が注意できない場合は、かぎをかけなければならないこと。

なお、病棟の看護婦詰め所に保管する向精神薬については、看護婦等が常時注意をしている場合には、かぎをかける必要はないこと。

(二) 廃棄

規則第四○条第三項に規定する「その他の向精神薬を回収することが困難な方法」とは、酸、アルカリによる分解、希釈、他の薬剤との混合等が考えられること。

(三) 譲渡しの相手方の確認

向精神薬営業者が規則第四○条第四項の規定により譲渡しの相手方を確認する場合は、向精神薬営業者の氏名及び住所、免許証又は登録証の番号及び年月日等を照会し、特に疑義がある場合を除き、免許証、登録証等の提示を求める必要はないこと。

一一 事故の届出に関する事項

(一) 事故の種類

法第五○条の二二に規定する「滅失」とは火災等によりその物理的存在を失うこと、「盗取」とは盗難に会うこと、「所在不明」とは紛失、亡失等所在を見失うことをいい、「その他の事故」とは強奪された場合、脅取された場合、詐欺にかかった場合等が考えられること。

(二) 届出を要する数量

規則第四一条第一項の規定は、盗取、所在不明等が発見されたときに、その数量が同項に掲げる表に規定する数量以上である場合及びそのことが推定される場合に届け出ることとしているが、盗難、強奪、脅取及び詐欺であることが明らかな場合には、同表に規定する数量以下であっても届け出ることが適当であること。

(三) 届出書の記載

ア 規則別記第三五号様式中「事故発生の状況」欄の記載については、盗取、大量の所在不明の場合は詳細に記載することとすること。

イ 同様式の届出者の氏名及び押印は、法人の場合にあっては、法人の名称並びに施設の長の職名、氏名及び押印で差し支えないこと。

一二 業務の記録及び届出に関する事項

(一) 記録

ア 記録する向精神薬の品名とは、販売名をいうが、原体の場合は一般的名称であっても差し支えないこと。

イ 病院等及び向精神薬小売業者については、第一種向精神薬及び第二種向精神薬の譲渡し、譲受け、廃棄の記録が義務づけられているが、法第五○条の二三第二項第一号及び規則第四二条の規定により、患者への譲渡し、患者からの返却及び返却されたものの廃棄について記録することを要しないこと。

ウ 法第五○条の二三の規定による記録は、同法に規定する事項が記載されたものであれば、帳簿、カード、伝票等のいずれでも差し支えないこと。

なお、記録を納入伝票の保管による場合は、向精神薬を記載した伝票のみを綴ることとし、他の伝票とともに綴らないこと。

エ 記録は、法に規定する事項が記載されたものであれば、薬事法に基づく諸記録(製造記録、譲渡譲受に関する記録等)と併せ行って差し支えないこと。

オ 同一人の向精神薬営業所、向精神薬試験研究施設、病院等の間で向精神薬を移動させる場合も、法第六二条第二項の規定により、譲渡しとみなされているため、法第五○条の二三に規定する譲渡しに関する記録を要すること。

カ 二重盲験試験に係る治験薬の譲渡し及び譲受けに関する記録については、比較対照薬との割付けの割合により数量を換算して記載して差し支えないこと。

キ 向精神薬卸売業者から病院等の開設者への製剤見本の譲渡しについては、譲渡し及び譲受けに関する記録をしなくても差し支えないこと。

(二) 届出

ア 法第五○条の二四に規定する届出は、向精神薬営業所又は向精神薬試験研究施設ごとに届け出ること。

イ また、輸入、輸出、製造等の数量がゼロであっても、届け出ること。

ウ 向精神薬試験研究施設設置者については、向精神薬製造製剤業者と異なり、製剤し、小分けした数量を届け出ることを要しないこと。

一三 適用除外等に関する事項

(一) 適用除外等対象向精神薬製剤

ア 法第五○条の二五の厚生省令で定める向精神薬(以下「適用除外製剤」という。)については、濫用のおそれがないものであることから、譲渡し、保管、廃棄、広告、容器等の記載、事故の届出、向精神薬以外の物の製造への使用に関する規制の適用を除外する一方、輸出、輸入、製剤、小分けを規制し、これらの業者に対し、必要な記録及び届出等を義務づけることにより、向精神薬の不正流通を防止しようとするものであること。

イ 規則別表第二の第一号から第七号に掲げる物は、いずれも人又は動物の身体に直接使用することが目的とされていない体外診断用医薬品及び検査用試薬であること。

また、「血清」とは、人又は動物のいずれでもよく、抗血清も含まれること。

ウ 適用除外製剤がキット製品の一部を構成している場合は、向精神薬を含有するものが適用除外製剤であること。

エ 適用除外製剤の指定については、向精神薬の含有量、他の配合成分の含有量及びその薬理作用、向精神薬の回収の現実可能性等からみて、濫用のおそれがなく、かつ、有害作用がないものか否かを判断して行われるものであること。

(二) 規制項目

ア 適用除外製剤を種入する業者は向精神薬輸入業者の免許を、輸出する業者は向精神薬輸出業者の免許を、製剤又は小分けする業者は向精神薬製造製剤業者の免許を、学術研究又は試験検査のため適用除外製剤を製剤し、小分けする施設の設置者は向精神薬試験研究施設設置者の登録を要すること。

なお、適用除外製剤を譲り渡す業者及び譲り受け、使用する者は免許及び登録を要しないこと。

イ 適用除外製剤を輸入し、輸出し、製剤し、又は小分けする向精神薬輸入業者、向精神薬輸出業者及び向精神薬製造製剤業者については、法第五○条の二○に規定する向精神薬取扱責任者に関する事項、法第五○条の二三に規定する記録に関する事項及び法第五○条の二四に規定する届出に関する事項が適用されること。

ウ 法第五○条の二三に規定する記録に関する事項については、令第八条第一項において、輸入し、輸出し、製剤し、小分けした適用除外製剤の品名、数量及びその年月日、適用除外製剤のために使用した向精神薬の品名、数量及びその年月日、輸入し、輸出し、製剤し、又は小分けした適用除外製剤の成分の品名及びその成分の分量又は含量、適用除外製剤の用途、譲り渡し、又は廃棄した適用除外製剤の品名並びに輸入、輸出又は譲渡しの相手方の氏名又は名称及び住所を記録しなければならないこと。

なお、「適用除外製剤の成分」とは、向精神薬たる成分以外の成分を含むものであること。

エ 法第五○条の二四に規定する届出に関する事項については、令第八条第二項及び規則第四三条において、前年中に輸入し、輸出し、製剤し、小分けした適用除外製剤の品名及び数量、前年中に適用除外製剤のために使用した向精神薬の品名及び数量、前年中に輸入し、輸出し、製剤し、小分けした適用除外製剤の成分の品名、その分量又は含量及び適用除外製剤の用途並びに前年中に輸入し、輸出した適用除外製剤の輸入又は輸出の相手国の名称を届け出なければならないこと。

オ 適用除外製剤については、法第五○条の八から第五○条の一○に規定する輸入に関する事項、法第五○条の一一から第五○条の一四に規定する輸出に関する事項、法第五○条の一五第一項に規定する製剤、小分けに関する事項が適用されること。

一四 薬局開設者等の特例に関する事項

(一) 特例の趣旨

薬局開設者及び医薬品一般販売業者については、現在、その多くが向精神薬を取り扱っているとともに既に薬事法の規制のもとに置かれているため、事務の簡素合理化の観点から、これらの者の免許申請、免許証の交付に伴う事務手続きを省略することとしたこと。

これらの者は、免許申請をせずに免許を受けた者とみなされるが、免許証は交付されないものであること。

(二) 薬局開設者の特例

ア 法第五○条の二六第一項の規定により、薬局開設者は、薬事法に基づく薬局開設の許可及びその更新を受けたときに、その都度向精神薬卸売業者及び向精神薬小売業者の免許を受けたものとみなされること。

イ 法第五○条の二六第一項但し書の規定に基づき、免許を受けた者とみなされることを辞退したい者は、規則第四五条の規定により申出書を提出すること。

この場合、薬局開設の許可を受ける前に申出書を提出したときは、その許可があったとしても免許を受けた者とはみなされず、薬局開設の許可を受けている者が申出書を提出したときは、その時点で免許を受けた者とみなされなくなるものであること。

なお、この特例の規定は、許可の更新ごとに働くため、続けて免許を受けた者とみなされたくない者は、許可の更新の前にその都度規則第四五条の規定により申出書を提出しなければならないこと。

ウ 免許を受けた者とみなされることを辞退するため特段の申出をした者が、その後薬事法の許可の更新の前に向精神薬に関する業務を行おうとする場合は、規則第一四条の規定により、免許を申請することとすること。

(三) 医薬品一般販売業者の特例

ア 法第五○条の二六第一項の規定により、医薬品一般販売業者は、薬事法に基づく一般販売業(卸売一般販売業を含む。)の許可及びその更新を受けたときに、その都度向精神薬卸売業者の免許を受けたものとみなされること。

イ 上記(二)のイ及びウは、医薬品一般販売業者についても準用すること。

ウ 動物用医薬品の一般販売業者については、向精神薬をほとんど扱っていないこと等から、法第五○条の二六に規定する特例から除外していること。

したがって、この者が向精神薬を譲り渡すことを業として行おうとする場合は、向精神薬卸売業者の免許申請を行う必要があること。

(四) 免許の失効

ア 薬局開設者又は医薬品一般販売業者で免許を受けた者とみなされた者に係る免許については、免許の有効期間が満了したとき、法第五一条第二項の規定により取り消されたとき、薬事法の許可の更新を受けないため許可が失効したとき、薬事法の規定に基づく業務廃止等の届出があったとき、又は薬事法の規定に基づき許可が取り消されたときに失効するものであること。

イ なお、薬事法の許可の有効期間が向精神薬の免許の有効期間と同じ三年であるため、三年ごとに薬事法による許可の更新が行われれば、三年ごとに免許が失効し、同時に新たに免許を受けたものとみなされるものであること。

ウ また、免許を受けた者とみなされた者がその業務を廃止する場合には、薬事法の規定により業務廃止等の届出をするものとし、この法に基づく業務廃止等の届出は不要であること。

(五) 向精神薬取扱責任者のみなし

ア 薬局開設者又は医薬品一般販売業者であって免許を受けた者とみなされた者については、当該薬局、店舗において薬事法に基づいて設置している管理者(管理薬剤師)が向精神薬取扱責任者とみなされること。

イ 管理者の設置又は変更については、薬事法施行規則第一条、第一二条(第二九条の三において準用する場合を含む。)又は第二九条の規定により、申請又は届出がなされるため、法第五○条の二六第一項の規定において、法第五○条の二○第四項の規定に基づく届出を要しないこと。

(六) 公示

ア 免許を受けた者とみなされた者に対しては、免許証を交付しないため、免許を有する者か否かは、薬事法の許可証により判別されること。

免許を受けた者とみなされることを辞退した者(法第五○条の二六第一項但し書の申出があった者)については、薬事法の許可証で判別できないため、公示することとしたものであり、公示に当たっては、氏名及び住所のほか、免許を受けた者とみなさない期間を公示することとすること。

イ なお、法第五一条第二項の規定により免許を取り消される場合には、通常、薬事法の許可も取り消されることが考えられるが、仮に、薬事法の許可が取り消されずに引き続き薬局又は医薬品一般販売業の業務が行われている場合には、アと同様に公示することとすること。

一五 向精神薬濫用者に対する相談に関する事項

(一) 相談に応ずる者

ア 法第五八条の一七の規定により、麻薬中毒者の相談に応ずるために置かれた職員(麻薬中毒者相談員)は、麻薬中毒者及び麻薬中毒者であった者のほか、向精神薬を濫用している者及び向精神薬を濫用していた者(以下「向精神薬濫用者」という。)についても、相談に応じ、必要な指導等を行うこととすること。

イ なお、濫用とは、一般的に医学的目的以外でその常識を超えて過剰摂取する行為をいうものであること。

(二) 指導内容

向精神薬濫用者に対する相談業務を行うに当たっては、濫用による心身への影響等を十分に理解させるとともに、濫用によって生じた交友関係、家庭生活上及び社会生活上の諸問題の相談に応じ、適切に助言し、薬物に依存しない生活態度を身につけさせ、必要に応じて、医療機関、保健所等を紹介することとすること。

なお、相談に当たっては、人権に十分配慮することとすること。

第二 大麻取締法関係

一 輸出入

大麻取締法施行規則第一条の規定により、大麻研究者が大麻の輸出又は輸入につき厚生大臣の許可を受けようとするときの申請書の様式が定められたこと。

なお、申請書は、研究に従事する施設の所在地の都道府県知事を経由して提出することとされたこと。

二 譲渡し

大麻取締法施行規則第五条の規定により、大麻研究者が大麻の譲渡しにつき厚生大臣の許可を受けようとするときの申請書の様式が定められたこと。

なお、申請書は、研究に従事する施設の所在地の都道府県知事を経由して提出することとされたこと。

第三 覚せい剤取締法関係

覚せい剤取締法施行規則第三条の三の規定により、覚せい剤研究者が覚せい剤の譲渡しにつき厚生大臣の許可を受けようとするときの申請書の様式が定められたこと。

なお、申請書は、研究所の所在地の都道府県知事を経由して提出することとされたこと。

第四 その他

一 昭和五九年三月二一日付け薬発第一九四号「麻薬廃棄許可事務処理の変更について」の別添「麻薬廃棄許可事務取扱要領」の八及び九を削り、一○を八に改めること。

二 昭和五八年五月一八日付け薬発第三八五号「医療用医薬品添付文書の記載要領について」の別添「医療用医薬品添付文書の記載要領」第二の四中「麻薬」の次に「、向精神薬」を「(麻)」の次に「、(向)」を加え、一七の(三)中「麻薬」の次に「、向精神薬」を加えること。