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○毒物及び劇物の運搬容器に関する基準―その3の運用指針の改正について(通知)
(平成8年3月15日)
(薬安第22号)
(各都道府県衛生部(局)長あて厚生省薬務局安全課長通知)
標記基準については平成3年3月6日薬発第255号をもって通知し、その運用については「毒物及び劇物の運搬容器に関する基準―その3の運用指針について」(同日付け薬安第22号)を通知したところであるが、今般、別添のとおり運用指針を改正したので、下記の点に留意の上、貴管下関係業者の指導の参考とされたい。
記
1 本運用指針の改正は、複合容器のうちファイバー板箱(プラスチック製内容器付きのもの)(いわゆるバックインボックス)に関する基準5―1―5の「同等以上と認められる方法」として、別紙3を規定したものであること。
2 改正後の運用指針については、平成8年4月1日から運用されるものであること。
別添
毒物及び劇物の運搬容器に関する基準―その3の運用指針の改正
毒物及び劇物の運搬容器の基準―その3の運用指針(平成3年3月6日薬安第22号)の「第7 容器試験」の「6 プラスチック製容器の試験準備」のなお書きを次のように改める。
なお、プラスチック製容器等(ファイバー板箱(プラスチック製内容器付きのもの)を除く。)のうちポリエチレン樹脂を用いた容器にあっては、収納する毒物又は劇物が容器に与える影響を表1に掲げる3つの作用に類型化し、また、ファイバー板箱(プラスチック製内容器付きのもの)については、収納する毒物又は劇物が容器に与える影響を表2に掲げる2つの作用に類型化し、それぞれ試験片による各表の確認試験において、それぞれの作用ごとに掲げられている標準物質の及ぼす影響が、収納する毒物又は劇物の及ぼす影響と比較して同等以上であることが確認される場合には、標準物質を6箇月間収納したのちに試験が実施されることとして差し支えない。
表1
作用 |
標準物質 |
確認試験 |
膨潤作用 |
灯油 (JIS K 2203 1号) |
質量変化試験 |
酸化作用 |
硝酸(70%) |
衝撃試験 |
環境応力割れ試験 |
酢酸(99%) |
環境応力割れ(ESC)試験 |
注)上記に関する確認試験の具体的実施方法は、別紙2の「ポリエチレン容器の性能試験実施要領」によることとすること。
表2
作用 |
標準物質 |
確認試験 |
膨潤作用 |
灯油 (JIS K 2203 1号) |
質量変化試験 |
酸化作用 |
硝酸(35%) |
引張破壊伸び試験 |
注)上記に関する確認試験の具体的実施方法は、別紙3の「ファイバー板箱(プラスチック内容器付きのもの)の内容器の性能試験実施要領」によることとすること。
別紙3
ファイバー板箱(プラスチック製内容器付きのもの)の内容器の性能試験実施要領
本試験は、液体の毒物又は劇物を収納する複合容器(プラスチック製内容器付きのもの)のうちファイバー板箱(プラスチック製内容器付きのもの)について、収納する毒物又は劇物を当該容器に充填した状態で6箇月間保管した上で、基準「5―2容器試験」のそれぞれに規定される試験(以下「試験」という。)の試供容器に供することの代替法として適用する。
Ⅰ ファイバー板箱(プラスチック製内容器付きのもの)の容器試験における試供容器の準備に関する代替法
Ⅲの「ファイバー板箱(プラスチック製内容器付きのもの)の内容器に対する影響判定試験」により、試験片が質量変化試験適合品及び引張破壊伸び試験適合品と判定された場合であって、かつ、容器をⅡに規定する条件で存置したとき、収納する毒物又は劇物を充填した状態で6箇月間保管した状態と同等とみなし、試験の試供容器として差し支えないこと。
Ⅱ 代替法の条件
下記の物質を収納する毒物又は劇物に代替する標準物質とし、各々の標準物質ごとに試験に必要な数の試供容器に標準物質をそれぞれ98%以上充填して、常温で6箇月間又はこれと同等以上の影響を生ずると判断される方法で存置する。
毒物又は劇物に代替する標準物質
(1) 灯油:「JIS K 2203 燈油 1号」適合品
(2) 35%硝酸:「JIS K 1308 硝酸(98%硝酸)」適合品を水で希釈したもの
Ⅲ ファイバー板箱(プラスチック製内容器付きのもの)の内容器に対する影響判定試験
1 膨潤作用判定試験(質量変化試験)
(1) 標準物質
灯油:「JIS K 2203 燈油 1号」適合品
(2) 試験片の作成
① 試験片の材質は、運搬に供するファイバー板箱(プラスチック製内容器付きのもの)の内容器と同質とすること。
② 試験片の形状は、長さ80mm×巾10mm×厚さ3mmのたんざく状とすること。
③ 作成方法は、圧縮成形により作成した板を機械加工により所定の形状とすること。
④ 試験片の個数は、10個(標準物質及び収納予定毒物又は劇物用各5個)とすること。
(3) 試験の手順
① 試験片の浸漬
試験片5個を次の条件で標準物質及び収納予定毒物又は劇物中に完全に浸漬させる。
内容器の材質 |
温度 |
浸漬期間 |
低密度ポリエチレン |
40±2℃ |
7日間 |
低密度ポリエチレン以外のプラスチック |
23±2℃ |
180日間 |
(注)低密度ポリエチレンとは、「JIS K 6748 ポリエチレン成形材料」に規定する1種のもの及び「JIS K 6731 エチレン・酢酸ビニル樹脂」のものをいう。
② 「JIS K 7114(プラスチックの耐薬品性試験方法)」に準拠して試験片を測定し、質量変化率(5個の平均)を算出する。
(4) 判定基準
毒物又は劇物中に浸漬した試験片の質量変化率が、標準物質(灯油)中に浸漬した質量変化率以下である場合、その試験片は「質量変化試験適合品」と判定する。
2 酸化作用判定試験(引張破壊伸び試験)
(1) 標準物質
35%硝酸:「JIS K 1308 硝酸(98%硝酸)」適合品を水で35%に希釈したもの
(2) 試験片の作成
① 試験片の材質は、運搬に供するファイバー板箱(プラスチック製内容器付きのもの)の内容器と同質とすること。
② 試験片の形状は、「JIS K 7127 プラスチックフィルム及びシートの引張試験方法」に規定する2号型試験片とし、厚さは0.5mmとする。
③ 作成方法は、圧縮成形により作成した板を機械加工により所定の形状とすること。
④ 試験片の個数は、10個(標準物質及び収納予定毒物又は劇物用各5個)とすること。
(3) 試験の手順
① 試験片の浸漬
試験片を次の条件で標準物質及び収納予定毒物又は劇物中に完全に浸漬させる。
温度40±2℃ 期間 7日
② 引張破壊伸び率測定
浸漬終了後、試験片を取り出し「JIS K 7127 プラスチックフィルム及びシートの引張試験方法」に準拠して、引張破壊伸び率を測定する。ただし、試験速度は200±20mm/分とし、測定値は5個の平均値とする。
(4) 判定基準
毒物又は劇物に浸漬した試験片の引張破壊伸び率が、標準物質(35%硝酸)に浸漬した試験片の引張破壊伸び率以上である場合、その試験片は「引張破壊伸び試験適合品」と判定する。
運用指針改正後のポリエチレン製容器の試験準備整理表
[改正前]
容器の種類
内容器の材質 |
・プラスチック製単一容器 ・ファイバー板箱(プラスチック製内容器付きのもの)を除く複合容器 |
ファイバー板箱(プラスチック製内容器付きのもの) |
ポリエチレン |
別紙2による試験準備 |
(酸化作用判定試験の標準物質は、硝酸35%) |
ポリエチレン以外のプラスチック |
収納する予定の毒物又は劇物による実液試験準備 |
[改正後]
容器の種類
内容器の材質 |
・プラスチック製単一容器 ・ファイバー板箱(プラスチック製内容器付きのもの)を除く複合容器 |
ファイバー板箱(プラスチック製内容器付きのもの) |
低密度ポリエチレン以外のポリエチレン |
別紙2による試験準備 |
別紙3による試験準備 |
低密度ポリエチレン |
(膨潤作用判定試験の浸漬期間は、7日間) |
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ポリエチレン及び低密度ポリエチレン以外のプラスチック |
収納する予定の毒物又は劇物による実液試験準備 |
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