添付一覧
○毒物及び劇物の運搬容器に関する基準について
(平成三年三月六日)
(薬発第二五五号)
(各都道府県知事あて厚生省薬務局長通知)
今般、毒物及び劇物による保健衛生上の危害を防止するため、「毒物及び劇物の運搬容器に関する法律―その3」(以下「基準」という。)を別添のとおり定めたので、左記事項に御留意のうえ、その実施に遺憾のないよう貴管下関係業者に対し、指導方御配慮を煩わしたい。
記
第一 基準の適用範囲について
1 本基準は、毒物(四アルキル鉛を含有する製剤を除く。以下同じ。)又は劇物(可溶性ウラン及びこれを含有する製剤を除く。以下同じ。)を車両(道路交通法(昭和三五年法律第一〇五号)第二条第八号に規定する車両をいう。以下同じ。)を使用して、又は鉄道によって運搬する場合であって、内容積が四五〇リットル以下の容器に収納して運搬する場合について適用するものであること。ただし、次に掲げる運搬容器(以下「容器」という。)により運搬する場合を除く。
イ フレキシブルコンテナ
ロ 高圧ガス取締法に係る高圧ガスの収納容器
ハ 放射性同位元素等による放射線障害防止に関する法律に係る放射性同位元素の収納容器
2 本基準は、次項に掲げる場合を除き、平成三年一〇月一日から毒物及び劇物取締法第一六条第一項の規定による技術上の基準が政令により定められる日までの間適用されるものであること。
3 基準の適用について、容器の使用実態等を考慮し次の場合に限り必要な経過規定を定めたものであること。
(1) 本基準の施行(平成三年一〇月一日)の際、プラスチック製内容器付きのファイバ板箱(いわゆるバッグインボックス)でその内容積が一〇リットルを超えて二二リットル以下である容器を、液体の毒物又は劇物の収納容器として製造に使用している製造業者が、引き続き製造に使用する当該容器については、平成六年三月三一日までは、基準の5―2―3号の水圧試験の規定を適用しないこととしたこと。
(2) ナトリウム及び塗料(包装等級Ⅰ以外の毒物又は劇物を含有するものに限る。)の天板取外し式金属ドラムについては基準の5―2―3号の水圧試験を、日本工業規格Z1602(金属板製一八リットル缶)の適合容器については基準の5―2―1号の落下試験のうち、底面の対面落下以外の落下試験を、当分の間、適用しないこととしたこと。
(3) 液体の毒物又は劇物を収納する再生金属ドラムについては、平成六年三月三一日までは、基準の5―2―1号の5―2―1―6に定める適合基準のうち、ただし書の規定を適用しないこととしたこと。
4 本基準は、車両又は鉄道で運搬する場合に限り適用されるものであるが、この場合において運搬する毒物又は劇物によっては消防法(昭和二二年法律第二二六号)の適用を受ける場合があること。また、運搬は、陸上輸送に限らず海上輸送、航空輸送の各輸送モードと連携して行われることが少なからずあることから、本基準によるほか、消防法等の他法令の規定も十分考慮しておく必要があること。
第二 運用上の留意点について
1 基準別表2又は別表3に適合しない容器の使用について
基準別表2又は別表3に規定する範囲に適合しない容器(以下「基準外容器」という。)を使用する場合は、同別表に掲げる当該容器であり、かつ、「5 容器の試験」の項に適合していることが確認されたもの(以下「基準容器」という。)と運搬の安全性が同等以上のものであることが必要となる。この場合、基準外容器を使用する前に基準外容器に関する資料及び同容器についての容器試験の試験資料を厚生省に提出し、基準容器と同等以上であることの確認を受けた上でなければ当該基準外容器を使用できないものであること。
2 容器への収納について
一容器当たり最大に収納できる毒物又は劇物の量は、基準「2 容器への収納方法」の2―2項及び2―3項で規定されている収納率、基準別表2若しくは別表3の容器の種類及び毒物又は劇物に包装等級ごとに規定されている最大内容積又は最大収納重量を厳守しなければならないこと。なお、最大収納重量とは、当該容器へ毒物又は劇物を収納することができる最大の重量であるので、最大収納重量で規定されている容器の場合は、当該容器の内容積は空間容積を考慮したものとする必要があること。
3 容器の積み重ねについて
運搬時の容器の積み重ねは、基準「3 積載の態様」の3―3項及び3―4項で規定されているとおり、容器の積み重ね高さは、容器を置く平面から三メートル以下とし、また、積み重ねたとき上部に積み重ねる容器が種類の異なるものなどその重量が下部の容器と異なる場合は、下部の容器の上部にかかる荷重が当該容器の上に当該容器と同一の容器を積み重ねて三メートルの高さとしたときにかかる荷重以下でなければならないこと。
4 容器の試験について
(1) 本基準は、毒物又は劇物を運搬する者に対するものであるが、基準「5 容器の試験」に適合することの確認については、容器の使用実態からみて、容器へ毒物若しくは劇物の充てん若しくは詰替えを行う者又は毒物劇物輸入業者(以下「容器使用者」という。)が一義的に行う必要があること。したがって、容器使用者でない者が運搬をする場合は、それら容器使用者から当該容器が基準の容器の試験に適合していることの確認を受けた上で運搬を行うものとすること。
(2) 容器の試験は、毒物劇物営業者以外の者でも試験を実施して差し支えないが、この場合、毒物又は劇物を収納した容器を用いて業務上試験を実施する毒物劇物営業者以外の者は、毒物及び劇物取締法第二二条第五項にいう業務上取扱者に該当するので、それらの者に対しても保健衛生上の見地から必要な指導監督を行われたいこと。
5 その他
本基準は、容器の性能に関してのみならず、毒物又は劇物の容器への収納方法、車両等への積載の態様及び運搬方法についても定めたものであるため、毒物劇物営業者以外の運送業者に対しても基準遵守の励行を徹底させるよう指導監督を行われたいこと。
別添
毒物及び劇物の運搬容器に関する基準―その3(内容積四五〇リットル以下の小型運搬容器の基準)
毒物(四アルキル鉛を含有する製剤を除く。以下同じ。)又は劇物(可溶性ウラン化合物及びこれを含有する製剤を除く。以下同じ。)を車両(道路交通法(昭和三五年法律第一〇五号)第二条第八号に規定する車両をいう。以下同じ。)を使用して、又は鉄道によって運搬する場合であって、内容積が四五〇リットル以下の容器に収納して運搬する場合には、その運搬容器(以下「容器」という。)、容器への収納方法その他の取扱いは以下の基準に適合するものでなければならない。ただし、中型運搬容器を使用して毒物若しくは劇物を運搬する場合、又は毒物若しくは劇物であって高圧ガス取締法(昭和二六年法律第二〇四号)第二条に定める高圧ガス若しくは放射性同位元素等による放射線障害防止に関する法律(昭和三二年法律第一六七号)第二条第二項に定める放射性同位元素を運搬する場合には、本基準を適用しない。
1 容器の一般規定
1―1 容器は、運搬時における温度変化、温度変化又は圧力変化によって破損するおそれがなく、かつ、収納された毒物又は劇物が漏れるおそれがないものでなければならないこと。
1―2 容器は、外部環境による劣化又は内容物による化学的変化により運搬の安全性を損なわないものでなければならないこと。
1―3 毒物又は劇物は、別表1の右欄に掲げる毒物又は劇物の種類ごとに左欄に掲げる包装等級Ⅰ、包装等級Ⅱ及び包装等級Ⅲにそれぞれ区分し、容器は、収納する毒物又は劇物の区分された包装等級で、次の各号に適合するものでなければならないこと。ただし、包装等級Ⅰ及び包装等級Ⅱの毒物又は劇物であって一〇%以下を含有する製剤は、それぞれ包装等級Ⅱ及び包装等級Ⅲとすることができる。
1―3―1 容器の種類、材質並びに毒物及び劇物の包装等級別最大内容積又は最大収納重量は、液体の毒物又は劇物(パラフィン、灯油等の保護液を満たして運搬する毒物又は劇物を含む。以下同じ。)にあっては別表2、固体の毒物又は劇物にあっては別表3の毒物又は劇物の包装等級の項で使用することが認められたものについてこれらの表において適応するものとされるものに適合するものであること。ただし、運搬の安全上別表2又は別表3の基準に適合するものと同等以上であると認められるものについては、この限りでない。
1―3―2 容器は、「5 容器の試験」の項の規定に適合することが確認されたものであること。
1―4 ガラス製内装容器(陶磁器製容器を含む。)を収納した組合せ容器は、運搬時において破損又は収納物の漏れが起こらないように適当な不活性の緩衝材を詰めて内装容器を保護しなければならないこと。
2 容器への収納方法
2―1 毒物又は劇物は、温度変化等により毒物又は劇物が漏れないように容器を密閉して収納すること。ただし、温度変化等により毒物又は劇物からのガスの発生によって容器内の圧力が上昇するおそれがある場合は、発生するガスが毒性を有する等の危険性があるときを除き、ガス抜き口(毒物又は劇物の漏えい及び外部からの物質の浸透を防止する構造のものに限る。)を設けた容器に収納することができる。
2―2固体の毒物又は劇物は、容器の内容積の九五%以下の収納率で容器に収納すること。
2―3 液体の毒物又は劇物は、容器の内容積の九八%以下の収納率であって、かつ、五五℃の温度において漏れないように十分な空間容積を有して容器に収納すること。
2―4 一の外装容器には、他の毒物若しくは劇物(毒物又は劇物の含有量のみが異なるものを除く。)又は毒物若しくは劇物以外のものを収納してはならないこと。ただし、包装等級Ⅰ以外の毒物又は劇物であって、次に掲げる場合にあってはこの限りでない。
2―4―1 互いに反応しないか若しくは反応しても有害な生成物が生じないことが確認されている毒物又は劇物を収納する場合
2―4―2 一の内装容器に次の表の上欄に掲げる毒物又は劇物が同欄の当該毒物又は劇物に対応する下欄の値以下で収納され、かつ、外装容器の最大収納重量が三〇キログラム以下の場合
包装等級Ⅱの液体の毒物又は劇物 |
五〇〇ミリリットル |
包装等級Ⅱの固体の毒物又は劇物 |
一キログラム |
包装等級Ⅲの液体の劇物 |
一リットル |
包装等級Ⅲの固体の劇物 |
三キログラム |
2―5 運搬中に融解するおそれのある固体の毒物又は劇物は、1―3項の規定にかかわらず組合せ容器にあっては袋類の内装容器、単一容器にあってはファイバドラム及び袋類に収納してはならないこと。
3 積載の態様
3―1 容器は落下し、転倒し、又は破損することがないように積載すること。
3―2 容器(組合せ容器の外装容器及び袋類を除く。)は、収納口を上方に向けて積載すること。
3―3 毒物又は劇物を収納した容器を運搬する場合の積み重ね高さは、三メートル以下とすること。
3―4 毒物若しくは劇物を収納した容器の上部に毒物若しくは劇物の収納した容器又はそれら以外のものを収納した容器を積み重ねる場合には、当該容器の上部にかかる荷重が当該容器の上に当該容器と同一の容器を積み重ねて三メートルの高さとしたときにかかる荷重以下でなければならないこと。
3―5 積載装置を備える車両を使用して運搬する場合には、容器が当該積載装置の長さ又は幅をこえないように積載されていること。
3―6容器の外部には、日光の直射及び雨水の浸透を防止するための措置が講じられていること。
4 運搬方法
4―1 毒物又は劇物を収納した容器は、著しく動揺又は摩擦を起こさないように運搬しなければならないこと。
4―2 気体若しくは液体の毒物又は劇物を車両を使用して一回につき五〇〇〇キログラム以上運搬する場合には、次の各号に適合するものでなければならないこと。
4―2―1 毒物及び劇物取締法施行規則(昭和二六年厚生省令第四号)第一三条の三に規定する標識を車両の前後の見やすい箇所に掲げること。
4―2―2 車両には、防毒マスク、保護手袋その他事故の際に応急措置を講ずるために必要な保護具を二人分以上備えること。
5 容器の試験
5―1 容器試験の一般的要件
5―1―1 5―2項の容器試験(以下「試験」という。)は、同一の容器製造場所(組合せ容器にあっては、内装容器と外装容器を組み合わせた場所をいう。)で製造(組合せ容器にあっては、組合せ行為をいう。以下同じ。)された同一設計仕様容器の単位で行うこと。
5―1―2 同一設計仕様で連続的に製造される容器にあっては、その製造工程が適切に管理されたところで製造され、かつ、一定間隔で製造された容器を抽出し、繰り返し試験を行い、試験に合格していることが確認されたものであること。
5―1―3 前二号の規定にかかわらず、次の表の上欄に掲げる容器については、それぞれ同表の下欄に掲げる試験を行わずその容器を使用することができること。
2―4―2号に該当する組合せ容器 |
5―2項のすべての試験 |
別表2の複合容器のうちファイバ板箱(プラスチック製内容器付きのもの)で内容積が一〇l以下の容器 |
5―2―3号の水圧試験 |
5―1―4 組合せ容器で落下試験及び積み重ね試験を実施するときは、運搬に供する内装容器と外装容器の組合せごとに行うこと。
5―1―5 液体の毒物又は劇物を収納する複合容器(プラスチック製内容器付きのもの)及びプラスチック製単一容器は、試験を行う前に毒物若しくは劇物を収納した状態で六箇月間保管した上、又はこれと同等以上と認められる方法でなければ、試験容器として供してはならないこと。
5―1―6 ガス抜き口を有する容器又は天板取外し式金属ドラムの気密試験及び水圧試験を実施する場合には、ガス抜き口を有する容器にあってはガス抜き口を密封(ガス抜き口栓の場合は、ガス抜き口栓を密封又はガス抜き口栓のない口栓に交換)して試験を行い、天板取外し式金属ドラムにあっては天板を試験用天板に取り替えて試験を行って差し支えないこと。
5―2 容器試験
5―2―1 落下試験
5―2―1―1 落下試験は、すべての容器について実施すること。
5―2―1―2 容器には、固体の毒物又は劇物を収納するものにあっては内容積の九五%以上、液体の毒物又は劇物を収納するものにあっては内容積の九八%以上の内容物を満たして、試験を実施すること。
5―2―1―3 プラスチック製容器(プラスチック袋を除く。)は、容器及び内容物をマイナス一八℃以下に冷却した状態において試験を実施すること。また、必要な場合には、内容物に不凍剤を添加することにより、液体の状態を保たなければならないこと。なお、組合せ容器において外装容器の冷却が困難な場合は、内容物を収納した内装容器のみをマイナス一八℃以下に冷却した状態で試験を実施し、合格を確認した場合のみ常温で当該組合せ容器の試験を実施して差し支えない。
5―2―1―4 試験に供する容器の個数及び落下姿勢は次の表のとおりであること。なお、対面落下以外の落下は、落下面に対し衝撃点の垂直上方に重心がくるように行わなければならない。
容器 |
個数 |
落下姿勢 |
箱形状以外の容器(組合せ容器にあっては、外装容器が箱形状以外のもの) |
六個(一回の落下につき三個) |
第一回落下(三個使用) チャイム(チャイムがない容器にあっては、円周の接合部又はかど)を衝撃点とするように対角落下させる。 第二回落下(三個使用) 第一回落下とは別の、最も弱いと考えられる部分(口栓部、ドラムの胴体溶接部等)を衝撃点とするように落下させる。 |
箱形状の容器(組合せ容器にあっては、外装容器が箱形状のもの) |
五個(一回の落下につき一個) |
第一回落下‥底面の対面落下 第二回落下‥天面の対面落下 第三回落下‥側面の対面落下 第四回落下‥つま面の対面落下 第五回落下‥任意のかどの対角落下 |
袋(横とじで一層のもの) |
三個(一個を三回落下) |
第一回落下‥袋の広い面の対面落下 第二回落下‥袋の狭い面の対面落下 第三回落下‥袋の端部の対面落下 |
袋(横とじ以外で一層のもの又は多層のもの) |
三個(一個を二回落下) |
第一回落下‥袋の広い面の対面落下 第二回落下‥袋の端部の対面落下 |
5―2―1―5 容器は、次のいずれかの場合において、各表の上欄に掲げる収納する毒物又は劇物の包装等級に応じ、同表下欄に掲げる高さから、硬く、弾力性のない平滑な水平面に落下させて試験を行うこと。
イ 収納される毒物若しくは劇物又はこれと同等の物性をもつ代替物質を用いて試験を行う場合
包装等級 |
Ⅰ |
Ⅱ |
Ⅲ |
落下高さ(m) |
一・八 |
一・二 |
〇・八 |
ロ 液体の毒物又は劇物を収納する容器に対し、代替物質として水を用いて試験を行う場合
(運搬される毒物又は劇物の比重が一・二以下の場合の高さ)
包装等級 |
Ⅰ |
Ⅱ |
Ⅲ |
落下高さ(m) |
一・八 |
一・二 |
〇・八 |
(運搬される毒物又は劇物の比重が一・二を超える場合の高さ)
包装等級 |
Ⅰ |
Ⅱ |
Ⅲ |
落下高さ(m) |
比重×一・五 |
比重×一・〇 |
比重×〇・六七 |
注) 比重‥少数点第二位以下は切上げとする。
5―2―1―6 落下試験における適合基準は、次に定めるところによること。
イ 容器からの漏えい(内装容器又は内容器からの漏えいを含む。)がないこと。ただし、液体の毒物又は劇物を収納する容器(内装容器は除く。)にあっては、試験後、内圧と外圧が平衡に達した後判定を行わなければならない。
ロ 容器には、運搬中の安全性に影響を与えるような損傷がないこと。
5―2―2 気密試験
5―2―2―1 気密試験は、液体の毒物又は劇物を収納する容器(組合せ容器は除く。)について実施すること。
5―2―2―2 試験に供する容器の個数は、三個
5―2―2―3 容器内部には、次の表の上欄に掲げる収納する毒物又は劇物の包装等級に応じ、同表下欄に掲げる空気圧力(ゲージ圧)を加えて試験を行うこと。
包装等級 |
Ⅰ |
Ⅱ又はⅢ |
適用圧力 |
三〇kpa以上 |
二〇kpa以上 |
5―2―2―4 気密試験における適合基準は、容器からの漏えい(内容器からの漏えいを含む。)がないこと。
5―2―3 水圧試験
5―2―3―1 水圧試験は、液体の毒物又は劇物を収納する容器(組合せ容器は除く。)について実施すること。
5―2―3―2 試験に供する容器の個数は、三個
5―2―3―3 容器内部には、次に掲げる水圧力(ゲージ圧)のうちいずれかの圧力を五分間(複合容器(プラスチック製内容器付きのもの)及びプラスチック製単一容器にあっては三〇分間)加えて試験を行うこと。
(1) 次に掲げる圧力のうちいずれか高い圧力
イ 収納する毒物又は劇物の五五℃における蒸気圧の一・五倍の圧力から一〇〇KPaを減じた圧力
ロ 一〇〇KPa(包装等級がⅠの毒物又は劇物を収納する容器にあっては、二五〇KPa)の圧力
(2) 五五℃における容器内の最大圧力(ゲージ圧)の一・五倍の圧力(包装等級がⅠの毒物又は劇物を収納する容器にあっては、二五〇KPa)
5―2―3―4 水圧試験における適合基準は、容器から漏えい(内容器からの漏えいを含む。)がないこと。
5―2―4 積み重ね試験
5―2―4―1 積み重ね試験は、袋以外のすべての容器について実施すること。
5―2―4―2 試験に供する容器の個数は、三個
5―2―4―3 積み重ね試験は、収納する毒物又は劇物を入れた状態(ただし、液体の毒物又は劇物にあっては、水で代替できる。)の容器の上面に、次の算式により算定した荷重を二四時間(液体の毒物又は劇物を収納する容器でプラスチック製容器(ただし、内装容器のみがプラスチック製容器であるものを除く。)であるものにあっては、四〇℃以上で二八日間)加えて試験を行うこと。
W=((3-h)/h)×G
W‥容器の上面に加える荷重をキログラムで表した数値
h‥容器の高さをメートルで表した数値
G‥容器及び収納する毒物又は劇物の総重量をキログラムで表した数値(収納する毒物又は劇物の重量は、当該容器へ収納が許容される最大量の当該毒物又は劇物の重量とする。)
5―2―4―4 積み重ね試験における適合基準は、容器から内容物の漏えい(内装容器又は内容器からの漏えいを含む。)がなく、かつ、容器に運搬の安全を損なうおそれのある変形がないこと。
6 容器の表示
6―1 容器が容器試験に合格していることを表示するため、次に掲げる事項を容器に表示すること。
(1) 容器の種類を示す記号
(2)
イ 包装等級を示す文字
ロ 液体を収納する複合容器及び単一容器にあっては、許容された収納物の比重(一・二以下は不要)
組合せ容器の外装容器及び固体を収納する容器にあっては、最大収納重量
(3) 組合せ容器の外装容器及び固体を収納する容器にあっては、「S」の文字
(4) 容器の製造年
西暦年の下二桁
(5) 国名記号
(6) その他(容器製造業者記号等)
附 則
(施行期日)
1 この基準は、平成三年一〇月一日から施行する。
(経過規定)
2 この基準の施行の際現に内容積が一〇リットルを超えて二二リットル以下のファイバ板箱(プラスチック製内容器付きのもの)を、液体の毒物又は劇物の収納容器として製造に使用している製造業者が、引き続き製造に使用する当該容器については、平成六年三月三一日までは、基準の5―2―3号の規定を適用しない。
3 容器試験が必要な次の表の左欄に掲げる容器は、それぞれの容器に対応する右欄の試験について、「5容器試験」の規定にかかわらず、当分の間、適用しない。
ナトリウム及び塗料(包装等級Ⅰ以外の毒物又は劇物を含有するものに限る。)の天板取外し式金属ドラム |
5―2―3号の水圧試験 |
日本工業規格Z1602(金属板製一八リットル缶)の適合容器 |
5―2―1号の落下試験のうち、底面の対面落下以外の落下試験 |
4 液体の毒物又は劇物を収納する再生金属ドラムについては、平成六年三月三十一日までは、基準の5―2―1号の5―2―1―6に定める適合基準のうち、ただし書きの規定を適用しない。
別表1
毒物又は劇物の包装等級
包装等級 |
毒物又は劇物の種類 |
Ⅰ |
・特定毒物 ・アクロレイン ・アセトンシアンヒドリン及びこれを含有する製剤 ・アリルアルコール及びこれを含有する製剤 ・エチレンクロルヒドリン及びこれを含有する製剤 ・O―エチル=S、S―ジプロピル=ホスホロジチオアート及びこれを含有する製剤。(ただし、O―エチル=S、S―ジプロピル=ホスホロジチオアート5%以下を含有するものを除く。) ・エチルジクロロアルシン及びこれを含有する製剤 ・エチルパラニトロフェニルチオノベンゼンホスホネイト(ただし、エチルパラニトロフェニルチオノベンゼンホスホネイト1.5%以下を含有するものを除く。) ・塩化チオニル及びこれを含有する製剤 ・黄燐及びこれを含有する製剤 ・過酸化水素及びこれを含有する製剤(ただし、過酸化水素60%以下を含有するものを除く。) ・クロルスルホン酸 ・クロルピクリン及びこれを含有する製剤 ・クロロアセチルクロライド及びこれを含有する製剤 ・クロロプレン及びこれを含有する製剤 ・三塩化燐及びこれを含有する製剤 ・三酸化砒素及びこれを含有する製剤 ・シアン化亜鉛及びこれを含有する製剤 ・シアン化カリウム及びこれを含有する製剤 ・シアン化カルシウム及びこれを含有する製剤 ・シアン化水銀カリウム及びこれを含有する製剤 ・シアン化銅酸ナトリウム及びこれを含有する製剤 ・シアン化ナトリウム及びこれを含有する製剤 ・シアン化バリウム及びこれを含有する製剤 ・ジエチル―S―(エチルチオエチル)―ジチオホスフェイト及びこれを含有する製剤(ただし、ジエチル―S―(エチルチオエチル)―ジチオホスフェイト5%以下を含有するものを除く。) ・シクロヘキシミド及びこれを含有する製剤(ただし、40%以下を含有するものを除く。) ・2―ジフェニルアセチル―1、3―インダンジオン及びこれを含有する製剤(ただし、0.005%以下を含有するものを除く。) ・ジフェニルアミン塩化砒素及びこれを含有する製剤 ・ジフェニルクロロアルシン及びこれを含有する製剤 ・1、2―ジブロムエタン及びこれを含有する製剤 ・ジメチル硫酸 ・臭化シアン及びこれを含有する製剤 ・臭素 ・硝酸及びこれを含有する製剤(ただし、硝酸70%以下を含有するものを除く。) ・ストリキニーネ、その塩類及びこれらのいずれかを含有する製剤 ・セレン化合物及びこれを含有する製剤(ただし、二硫化セレン及びこれを含有する製剤を除く。) ・トリクロロシラン及びこれを含有する製剤 ・トリフルオロメタンスルホン酸及びこれを含有する製剤 ・ニッケルカルボニル及びこれを含有する製剤 ・二硫化炭素及びこれを含有する製剤 ・発煙硫酸 ・砒酸及びこれを含有する製剤 ・弗化水素及びこれを含有する製剤(ただし、弗化水素60%以下を含有するものを除く。) ・プロモベンジルニトリル及びこれを含有する製剤 ・2―フェニルパラクロルフェニルアセチル)―1、3―インダンジオン及びこれを含有する製剤 ・ヘキサクロルエポキシオクタヒドロエンドエンドジメタノナフタリン及びこれを含有する製剤 |
Ⅱ |
包装等級Ⅰ以外の毒物 ・亜塩素酸ナトリウム及びこれを含有する製剤(ただし、亜塩素酸ナトリウム25%以下を含有するもの及び爆発薬を除く。) ・アクリル酸及びこれを含有する製剤 ・アセトニトリル及びこれを含有する製剤 ・アニリン ・N―アルキルトルイジン及びその塩類 ・イソブチロニトリル及びこれを含有する製剤 ・一水素二弗化アンモニウム及びこれを含有する製剤 ・エチル―N―(ジエチルジチオホスホリールアセチル)―N―メチルカルバメート及びこれを含有する製剤 ・エビクロルヒドリン及びこれを含有する製剤 ・塩化アンチモン(Ⅲ)及びこれを含有する製剤 ・塩化アンチモン(Ⅴ)及びこれを含有する製剤 ・塩化水素を含有する製剤 ・塩化第二錫 ・塩素酸バリウム ・過塩素酸鉛 ・過塩素酸バリウム ・過酸化水素を含有する製剤(ただし、過酸化水素20%を超え60%以下を含有するものに限る。) ・過酸化バリウム ・過マンガン酸バリウム ・クレゾール及びこれを含有する製剤 ・クロロアセトニトリル及びこれを含有する製剤 ・2―クロロアニリン及びこれを含有する製剤 ・2―クロロニトロベンゼン及びこれを含有する製剤 ・珪弗化水素酸 ・酢酸タリウム及びこれを含有する製剤 ・三塩化砒素及びこれを含有する製剤 ・O、O′―ジエチル=O″―(2―キノキサリニル)=チオホスファート及びこれを含有する製剤 ・ジエチル―1―(2′、4′―ジクロルフェニル)―2―クロルビニルホスフェイト及びこれを含有する製剤 ・四塩化炭素及びこれを含有する製剤 ・シクロヘキシミド及びこれを含有する製剤(ただし、シクロヘキシミド4%を超え40%以下を含有するものに限る。) ・シクロヘキシルアミン及びこれを含有する製剤 ・ジ(2―クロルイソプロピル)エーテル及びこれを含有する製剤 ・ジクロル酢酸 ・2、4―ジニトロトルエン及びこれを含有する製剤 ・2―ジメチルアミノアセトニトリル及びこれを含有する製剤 ・ジメチルエチルメルカプトエチルジチオホスフェイト及びこれを含有する製剤 ・ジメチル―2、2―ジクロルビニルホスフェイト及びこれを含有する製剤 ・ジプロピル―4―メチルチオフェニルホスフェイト及びこれを含有する製剤 ・3―ジメチルジチオホスホリル―S―メチル―5―メトキシ―1、3、4―チアジアゾリン―2―オン及びこれを含有する製剤 ・3―(ジメトキシホスフィニルオキシ)―N―メチル―シス―クロトナミド及びこれを含有する製剤 ・臭素酸バリウム ・硝酸を含有する製剤(ただし、硝酸70%以下を含有するものに限る。) ・硝酸タリウム及びこれを含有する製剤 ・硝酸鉛 ・水酸化カリウム及びこれを含有する製剤 ・水酸化ナトリウム及びこれを含有する製剤 ・センデュラマイシン、その塩類及びこれらのいずれかを含有する製剤 ・テトラエチルメチレンビスジチオホスフェイト及びこれを含有する製剤 ・トリクロル酢酸 ・トルイジン ・トルイジン塩類 ・ニトロベンゼン ・フェノール及びこれを含有する製剤 ・弗化アンチモン(Ⅴ)及びこれを含有する製剤 ・t―ブチル=(E)―4―(1、3―ジメチル―5―フェノキシ―4―ピラゾリルメチレンアミノオキシメチル)ベンゾアート及びこれを含有する製剤 ・ブチロニトリル及びこれを含有する製剤 ・プロピオニトリル及びこれを含有する製剤 ・ブロムアセトン及びこれを含有する製剤 ・ブロムエチル ・ブロム水素を含有する製剤 ・ヘキサクロルエポキシオクタヒドロエンドエキソジメタノナフタリン及びこれを含有する製剤 ・へキサクロルヘキサヒドロジメタノナフタリン及びこれを含有する製剤 ・ヘキサメチレンジイソシアナート及びこれを含有する製剤 ・ベンゾニトリル及びこれを含有する製剤 ・1、4、5、6、7―ペンタクロル―3a、4、7、7a―テトラヒドロ―4、7―(8、8―ジクロルメタノ)―インデン及びこれを含有する製剤 ・ペンタクロルフェノール及びこれを含有する製剤 ・ペンタクロルフェノール塩類及びこれを含有する製剤 ・硼弗化水素酸及びその塩類 ・マロノニトリル及びこれを含有する製剤 ・無水クロム酸及びこれを含有する製剤 ・メチルイソチオシアネート及びこれを含有する製剤 ・2―メチルビフェニル―3―イルメチル=(1RS、2RS)―2―(Z)―(2―クロロ―3、3、3―トリフルオロ―1―プロペニル)―3、3―ジメチルシクロプロパンカルボキシラート及びこれを含有する製剤 ・S―メチル―N―[(メチルカルバモイル)―オキシ]―チオアセトイミデート及びこれを含有する製剤 ・モノクロル酢酸 ・沃化水素を含有する製剤 ・沃化メチル及びこれを含有する製剤 ・硫酸及びこれを含有する製剤 ・硫酸タリウム及びこれを含有する製剤 |
Ⅲ |
包装等級Ⅰ及びⅡ以外の劇物 |
別表2
液体の毒物又は劇物に認められる運搬容器
運搬容器 |
毒物劇物の包装等級 |
備考 |
||||||
組合せ容器 |
内装容器の種類 |
最大内容積 |
外装容器の種類 |
最大収納重量 |
Ⅰ |
Ⅱ |
Ⅲ |
|
ガラス製容器(陶磁器製容器を含む。)又はプラスチック製容器(プラスチック袋を除く。) |
10l |
木箱、プラスチック箱又は金属製容器 |
75kg |
○ |
○ |
○ |
|
|
125kg |
× |
○ |
○ |
|||||
ファイバ板箱 |
40kg |
○ |
○ |
○ |
||||
55kg |
× |
× |
○ |
|||||
金属製容器 |
30l |
木箱 |
125kg |
○ |
○ |
○ |
||
225kg |
× |
○ |
○ |
|||||
ファイバ板箱 |
40kg |
○ |
○ |
○ |
||||
55kg |
× |
○ |
○ |
|||||
75kg |
× |
× |
○ |
注1 |
||||
複合容器 |
|
外装容器の種類 |
最大内容積 |
Ⅰ |
Ⅱ |
Ⅲ |
|
|
|
金属ドラム(プラスチック製内容器付きのもの) |
250l |
○ |
○ |
○ |
|
||
|
プラスチックドラム(プラスチック製内容器付きのもの) |
120l |
○ |
○ |
○ |
|||
250l |
× |
× |
○ |
|||||
|
ファイバドラム(プラスチック製内容器付きのもの) |
120l |
○ |
○ |
○ |
|||
250l |
× |
○ |
○ |
|||||
|
金属製容器(プラスチック製内容器付きのもの。ただし、金属ドラムを除く。) |
60l |
○ |
○ |
○ |
|||
|
ファイバ板箱(プラスチック製内容器付きのもの) |
10l |
○ |
○ |
○ |
注2 |
||
60l |
○ |
○ |
○ |
|
||||
|
容器の種類 |
最大内容積 |
Ⅰ |
Ⅱ |
Ⅲ |
|
||
単一容器 |
金属ドラム |
250l |
○ |
○ |
○ |
|
||
プラスチックドラム |
250l |
× |
○ |
○ |
||||
金属製容器(金属ドラムを除く。) |
60l |
○ |
○ |
○ |
||||
プラスチック製容器(プラスチックドラム及びプラスチック袋を除く。) |
60l |
× |
○ |
○ |
備考
1 ○印は、当該毒物又は劇物の各包装等級において、運搬容器として使用できるものであること。
2 注1:腐食性を有する劇物についてのみ、当該最大収納重量の容器が使用できるものであること。
3 注2:当該欄に該当する容器で水圧試験に適合することの確認を行っていないものにあっては、包装等級Ⅰの毒物又は劇物の運搬容器として使用することができないものであること。
別表3
固体の毒物又は劇物に認められる運搬容器