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○毒物及び劇物取締法施行令の一部を改正する政令等の施行について

(昭和四七年二月一七日)

(薬発第一三七号)

(各都道府県知事あて厚生省薬務局長通知)

昭和四六年一一月二七日公布された毒物及び劇物取締法施行令の一部を改正する政令(昭和四六年政令第三五八号)(別添一)第一条は、毒物及び劇物取締法施行規則の一部を改正する省令(昭和四六年厚生省令第四五号)(別添二)、無機シアン化合物たる毒物を含有する液体状の物のシアン含有量の定量方法を定める省令の一部を改正する省令(昭和四六年厚生省令第四六号)(別添三)及び毒物及び劇物取締法施行規則の一部を改正する省令(昭和四七年厚生省令第三号)(別添四)とともに昭和四七年三月一日から施行されるので、左記の改正要旨に留意のうえ、その適正な運用を図られたい。

第一 危害防止の措置を講ずべき毒物劇物の含有物について毒物劇物営業者等がその製造所、営業所等の外に飛散し、流出するのを防止するのに必要な措置を講じなければならない法第一一条第二項に規定する政令で定める物として、塩化水素、硝酸若しくは硫酸又は水酸化カリウム若しくは水酸化ナトリウムを含有する液体状の物(水で一○倍に希釈した場合の水素イオン濃度が水素指数二・○から一二・○までのものを除く。)が追加された(令第三八条第一項第二号)。これは、強酸又は強アルカリを使用して機械の洗浄や中和処理等を行なう事業者が増加し、これに伴いいわゆる廃酸、廃アルカリが大量に排出されている実態にかんがみ、これらの物による保健衛生上の危害の防止を図るためにとられた措置である。

なお、廃酸、廃アルカリの中に含まれる酸又はアルカリの濃度が極めて低い場合においてもこれを規制することは、法第一五条の二等の規定の趣旨からみて適当でないと考えられるので、水素イオン濃度が水素指数一・○から一三・○までの物を除くこととし、法文上では、水素指数一・○及び一三・○の測定技術が必ずしも正確ではないので、水で一○倍に希釈した場合の水素イオン濃度が水素指数二・○から一二・○までの物を除くこととしたものである。これらの物の廃棄の方法としては令第四○条第一号の中和又は希釈が考えられるが、やむを得ない場合を除き、中和によることを指導されたい。廃酸・廃アルカリを排出する事業としては、印刷版製造業、コールタール製造業、石けん製造業、石油精製業、鉄鋼及び金属製品製造業等がある。

前記水素イオン濃度の定量方法については、毒物又は劇物を含有する物の定量方法を定める省令(昭和四一年厚生省令第一号)により定められた。これは、従来の無機シアン化合物たる毒物を含有する液体状の物のシアン含有量の定量方法を定める省令を改正したもので、対象が拡大したことに伴い題名も改められたものである。

第二 毒物及び劇物の運搬について

令第九章の二は、従来毒物の運搬についてのみ規定していたが、今回それが劇物の運搬にも拡大され、これに伴い章名も改められた。

なお、第九章の二関係の改正は、三月及び六月の二回に分けて施行されるが、今回の施行は、積載の態様及び荷送人の通知義務に関する部分である。

一 積載の態様

積載の態様に関しては、従来四アルキル鉛を含有する製剤についてのみ規定されていたが、今回、弗化水素又はこれを含有する製剤(弗化水素七○%以上を含有するものに限る。)及びその他の毒物又は劇物を運搬する場合の積載の態様についてもその基準が定められた。(令第四○条の四第二項及び第三項)

二 荷送人の通知義務

大量の毒物又は劇物の運搬を運送業者に委託して行なう場合が増加していることにかんがみ、後述するように法第二二条第一項の業務上取扱者として毒物・劇物の運送業者を指定するとともに、荷送人は運搬を委託する毒物又は劇物の名称、成分及びその含量並びに事故の際の応急措置を記載した書面を運送人に提出しなければならないこととして、車両又は鉄道による運搬中の毒物・劇物による危害の防止に資することとした。(令第四○条の六)なお、ただし書で厚生省令で定める数量以下の毒物又は劇物を運搬する場合はこの限りでないとされたが、この数量は、施行規則の第一三条の二で一回の運搬につき一、○○○キログラムと定められた。

この場合、数種類の毒物又は劇物を一度に運搬する場合(いわゆる混載の場合)にあつては、一度に運搬する毒物又は劇物の総量が一回の運搬につき一、○○○キログラムを超える場合には、本条が適用される。

第三 業務上取扱者の指定について

従来、法第二二条第一項の規定に基づいて届出を要する毒物・劇物の業務上取扱者として、電気めつきを行なう事業及び金属熱処理を行なう事業が指定されていたが、今回の改正により、シアン化ナトリウム又は別表(昭和四七年六月一日以降は別表第二。以下同じ。)に定める毒物又は劇物を取扱う毒物又は劇物の運送の事業が追加指定された(令第四一条第三項、令第四二条)。

一 毒物又は劇物の運送の事業

今回指定された毒物又は劇物の運送の事業とは、次のものをいう。

(一) 最大積載量が五、○○○キログラム以上の自動車又は被けん引自動車(以下「大型自動車」という。)に固定された容器を用いて行なう毒物又は劇物の運送の事業

(二) 内容積が一、○○○リツトル以上(四アルキル鉛を含有する製剤を運搬する場合の容器にあつては二○○リツトル)の容器を大型自動車に積載して行なう毒物又は劇物の運送の事業

(一)はいわゆるタンクローリーを使用した毒物又は劇物の運送の事業を、(二)は大型容器をトラツク等に積載して行なう毒物又は劇物の運送の事業を届出を要する業務上取扱者として指定する趣旨である。

従つて、専業の毒物劇物運送業者であつても、毒物又は劇物の運送の方法が、前記(一)又は(二)の方法に該当しないものは、本条の届出を要する業務上取扱者には該当しない。

なお、本条の「毒物又は劇物の運送の事業」とは、前記(一)又は(二)の運送方法により、常時反復継続して、毒物又は劇物の運送を行なつている者をいい、臨時の需要に応じて毒物又は劇物を運送する場合は、たまたまその運送方法が前記(一)又は(二)の方法に該当する場合であつても、本条の「毒物又は劇物の運送の事業」には含まれない。

さらに、本条の「毒物又は劇物の運送の事業」は、専業の毒物劇物運送業者のみでなく、自動車運送事業者、毒物劇物営業者、法第二二条の規定に基づくその他の業務上取扱者であつても常時反復継続して、前記(一)又は(二)の方法により毒物又は劇物の運送を行なつている者は、これに該当する。

二 届出を要する事業場の範囲

届出の対象となる事業場とは、毒物又は劇物の運送に関して、車両の選択、乗務員の指定、車両の保安、運転手等の健康管理等について実地に掌握し、毒劇物の運送の安全性について実地に管理能力を有す場所をいう。

たとえば、自動車運送事業にあつては、各事業所に運行管理者が置かれており、運送を行なうにあたつての配車、乗務員の指定等の業務を行なつているが、毒劇物を常時運送する自動車運送事業にあつては、その事業所のうち、毒劇物の運送を直接に管理している事業所が本条の届出の対象となる事業場に該当する。

従つて、単なる車庫、或いは一時的な車の保管場所は本条の事業場には該当しない。

三 経過規定

本条の規定により、新たに「毒物又は劇物の運送の事業」に該当するように至つた者は、前記事業場ごとに毒物劇物取扱責任者を置かなければならないこととなつたが、昭和四七年三月一日現在本条の毒物又は劇物の運送の事業を行なつている者の事業場において毒物又は劇物による保健衛生上の危害防止の任にあたつている者であつて、昭和四七年五月三一日までに氏名その他毒物及び劇物取締法施行規則の一部を改正する省令(昭和四七年厚生省令第三号)附則第二項に定める事項を都道府県知事に届出た者は、当分の間、当該事業場において毒物劇物取扱責任者となることができることとされた(令附則第二項)。

四 その他

毒物劇物営業者又は、他の業務上取扱者が本条の「毒物又は劇物の運送の事業」を行なう者に該当するに至つた場合、運送の事業場が当該営業者等の製造所、営業所、店舗等と同一か隣接した場所にある場合は、毒物劇物取扱責任者は、これらの施設を通じて一人で差支えない。

第四 本政令中六月一日施行分については別途通知する。また、令第四○条の六中「事故の際に講じなければならない応急の措置」の概要は追つて通知する。

別添 略