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○安定性試験ガイドラインについて

(平成六年四月二一日)

(薬新薬第三〇号)

(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生省薬務局新医薬品課長通知)

医薬品の製造(輸入)承認申請に際して添付すべき安定性試験成績についての取扱いについては、平成三年二月一五日薬発第一六五号薬務局長通知及び平成三年二月一五日薬審第四三号審査課長・新医薬品課長通知により通知されているところであるが、昭和五五年五月三〇日薬発第六九八号薬務局長通知に規定する医療用医薬品の新有効成分含有医薬品については、左記1により取扱うこととしたので、左記2、3の留意事項も含め、ご了知の上、貴管下関係業者に対し周知徹底方ご配慮願いたい。

1 医療用医薬品の新有効成分含有医薬品の安定性試験で、平成九年四月一日以降に開始する試験は、別紙安定性試験ガイドラインに従って行われるものであること。

2 今回の改正は、日・米・EU三極医薬品承認審査ハーモナイゼーション国際会議での合意に基づくものであり、新有効成分含有医薬品以外にも、現在、バイオテクノロジー応用医薬品、新投与経路医薬品、新剤型医薬品、剤型追加等の場合に必要とされる安定性試験及び光安定性試験について検討中である。これら検討中のものについても同様な合意に達し次第、順次改正を実施し、すべての安定性試験の改正が終了する時点で、再度新医薬品全体についての安定性試験ガイドライン及び関係する通知を整備する予定であること。

3 今回の改正に伴い、試験設備、製造設備等に大幅な変更を必要とするので、計画的に対応するよう貴管下関係業者を指導されたいこと。

別紙

安定性試験ガイドライン

1 まえがき

(1) 本ガイドラインは、新有効成分含有医薬品の承認申請に必要とされる安定性試験の目的と標準的な実施方法を示したものである。科学的に妥当な理由がある場合には、試験の対象となる物質の特性や技術の進歩に応じて本ガイドライン以外の適切な実施方法を用いてもよい。

また、本ガイドラインは、新医薬品の承認申請用添付資料(以下、「添付資料」という。)に関する日本・米国・ヨーロッパ連合間の国際的な調和の一環として作成された三極安定性試験ガイドラインに準拠しているので、三極安定性試験ガイドラインに従って行われた試験の成績は、原則として、わが国の添付資料として使用できる。

(2) 本ガイドラインの適用対象は、医療用医薬品のうちの新有効成分含有医薬品である。

(3) 新有効成分含有医薬品について、やむを得ず製剤のみを承認申請する場合においても、原薬に関する安定性試験成績を提出する。

(4) 新有効成分含有医薬品については、原則として、申請時において、試験の途中であっても、長期保存試験は一年以上の期間の試験成績及び加速試験は六か月以上の期間の試験成績をもって承認申請して差し支えない。ただし、申請者は、承認時までにその後引き続き実施した試験の成績を提出する。また、承認申請書の備考欄に安定性試験を継続中であることを記載する。

(5) 添付資料として実生産スケールで製造されたロットを用いた安定性試験の成績が提出されなかった場合は、実生産スケールで製造される原薬及び製剤の最初の三ロットについて、原薬にあっては長期保存試験、製剤にあっては長期保存試験及び加速試験を承認申請時と同様の安定性試験プロトコールを使用して実施し、安定性を確認する。なお、当該試験の成績は保存しておく。

(6) 安定性に関する資料の提出に当たっては、以下の点に留意する。

1) 削除

2) 試験資料は、邦文で記載する。なお、当該資料が翻訳されたものである場合には、その全文を翻訳し、翻訳前の原文も併せて提出する。また、参考として、翻訳者及び最終的に内容を吟味した専門技術者の氏名及び所属を記載する。ただし、原文が英文で記載されたものであれば、その原文及び日本語要約を提出することで差し支えない。

3) 安定性試験に使用したロットについて、ロット番号及び製造スケール、製造年月、製造場所を記載する。

4) 原薬の強制分解生成物及び分解機構等に関する成績は、昭和五五年五月三〇日薬発第六九八号薬務局通知別表1ロ―二に関する資料として取り扱う。

5) 製剤の安定性試験に使用されるマトリキシング法については、実施方法が確立していないので、予備的な資料をもって実施前に担当課に相談されたい。

2 目的

医薬品の承認申請における安定性試験は、医薬品の有効性及び安全性を維持するために必要な品質の安定性を評価し、医薬品の貯蔵方法及び有効期間の設定に必要な情報を得るために行う試験である。

安定性試験には、長期保存試験、加速試験及び苛酷試験の三種類があり、それぞれの目的は次のとおりである。

(1) 長期保存試験

長期保存試験は、申請する貯蔵方法において、原薬又は製剤の物理的、化学的、生物学的及び微生物学的性質が申請する有効期間を通じて適正に保持されることを評価するための試験である。

(2) 加速試験

加速試験は、申請する貯蔵方法で長期間保存した場合の化学的変化を予測すると同時に、流通期間中に起こり得る前記貯蔵方法からの短期的な逸脱の影響を評価するための試験である。

加速試験は、原薬又は製剤の化学的変化又は物理的変化を促進する保存条件を用いて行う。なお、加速試験の結果が物理的変化の予測に適応できるとは限らない。

(3) 苛酷試験

苛酷試験は、流通の間に遭遇する可能性のある苛酷な条件における品質の安定性に関する情報を得るための試験であり、加速試験よりも苛酷な保存条件を用いて行う。

苛酷試験は、医薬品本来の安定性に関する特性、すなわち分解生成物、分解経路、分解機構を解明するため、さらに安定性試験に用いる分解生成物の分析方法の適合性を確認するためにも利用できる。また、特殊な製剤の場合、特別な保存条件での安定性を評価するために実施する。

3 原薬の安定性試験

(1) 一般的事項

原薬の安定性に関する資料は、その医薬品の安定性に関する基礎的な情報を得るために欠くことのできないものである。

(2) 長期保存試験及び加速試験

1) 検体

① 長期保存試験及び加速試験は、パイロットプラントスケール以上で製造された三ロット以上について実施する。

② 安定性試験に使用するロットの品質は、非臨床試験及び臨床試験で使用するものの品質及び実生産スケールで製造されるものの品質をともに反映するものである。

③ 実験室スケールで製造された原薬に関する安定性試験データは参考資料として提出できる。

2)測定項目及び測定方法

測定項目としては、承認申請書の規格及び試験方法欄に設定する項目にとらわれることなく、保存により影響を受け易い項目、及び品質、安全性又は有効性に影響を与えるような項目を選定する(別記に例示)。測定方法としてはバリデートされた方法を採用する。

測定の繰返し回数(注1)は、分析法バリデーションの結果に基づき決定する。

3) 保存条件(注2)

① 試験期間及び保存条件は、保管、流通、及び使用を十分考慮に入れたものとする。製剤の場合と同じ保存条件を原薬に用いると、比較検討や比較評価が容易になる。

② 長期保存試験及び加速試験の標準保存条件及び承認申請に必要な最短保存期間については、次のとおりとする。

条件                     承認申請時の最短保存期間

長期試験 25℃±2℃/60%RH±5%             一二か月

加速試験 40℃±2℃/75%RH±5%              六か月

③ 根拠があれば、他の保存条件を採用することができる。特に、温度に影響を受け易い原薬であって、貯蔵温度を貯蔵方法欄に記載する場合の保存温度は、長期保存試験にあっては設定する貯蔵温度、加速試験にあっては設定する貯蔵温度より一五℃高い温度とし、湿度条件を適切に設定する(注3)。

④ 40℃±2℃/75%RH±5%での六か月の加速試験において規格からの逸脱が認められた場合、中間的な条件(例えば、30℃±2℃/60%RH±5%)で一年間の追加の加速試験を実施する。

4) 測定時期

測定時期は、原薬の安定性の特性を十分に把握できるよう、長期保存試験にあっては、通常、一年目は三か月毎、二年目は六か月毎、その後は一年毎とし、加速試験にあっては試験開始時を含めて適切に設定する。

5) 包装

検体の包装は、申請するものと同一のもの又はそれに準ずるものとする。

6) 評価

① 経時的に減少する定量値から有効期間を求める場合、分解曲線に九五%片側信頼限界が規格値の下限値と交差する時期をもって決定する。ロット間の変動が小さいことが統計解析から明らかにされる場合は、全ロットのデータを一括して評価することができる(注4)。また、全ロットのデータを一括して評価することが不適切な場合は、個々のロットの有効期間のうちの最短の期間を有効期間とする。

② 通常、残存量は時間の一次、二次又は三次関数によって表わされる。あるいは残存量の対数が時間の一次関数によって表わされる場合もある。個々のロットのデータ又は全ロットを一括したデータが、推定された分解直線又は曲線に適合するかどうかは統計解析により検討する。

③ 得られたデータから原薬が保存期間中ほとんど分解せず、変動もほとんどないことが示され、申請する有効期間が十分保証される場合は、通常、その旨を記載し、正式な統計解析を実施する必要はない。

④ 定量値のみならず、測定項目全般にわたって評価する必要がある。

(3) 苛酷試験

1) 試験方法

① 検体

一ロットの原薬から採取する。原則として包装を除いた状態で試験を行うが、必要に応じて包装をした状態での試験を行う(注5)。

② 保存条件

保存条件は、原薬の特性に応じて設定するが、通常、加速試験より苛酷な条件で実施する。加速試験の温度条件よりも一〇℃ずつ高くなっていく温度条件(例えば、五〇℃、六〇℃、……)と必要な場合には適切な湿度条件(例えば、七五%RH以上)とを組合わせた保存条件に対する影響、及び光安定性を検討する。

③ 試験期間及び測定時期

原薬の物理的化学的特性に基づいて、試験目的に合うように適宜設定する。

2) その他留意事項

強制分解生成物のうち長期保存試験や加速試験で認められない分解生成物は、構造を明らかにしなくても差し支えない。

4 製剤の安定性試験

(1) 一般的事項

製剤の安定性試験は、原薬の反応性及び特性、並びに原薬の安定性試験の成績を十分考慮に入れて実施する。保存中に生ずると予測される変化及び安定性試験の対象となる測定項目の選定根拠を添付資料に記載する。

(2) 長期保存試験及び加速試験

1) 検体

① 長期保存試験及び加速試験は、三ロットについて実施する。三ロットのうちの二ロットはパイロットプラントスケール以上とし、他の一ロットは、小規模でも差し支えない(注6)。検体の製造方法は、実生産で適用される方法を十分に反映するものとし、製造工程は、検体が実生産と同等な品質となるようにする。可能ならば、検体を採取する製剤の各ロットは、異なる原薬ロットを使用して製造する。成分分量及び包装は申請するものと同一のものする。

② 実験室スケールのロットのデータ及び実生産を反映していない成分分量又は包装のデータは、参考資料として提出できる。

2) 測定項目及び測定方法

① 測定項目としては、承認申請書の規格及び試験方法欄に設定する項目にとらわれることなく、保存により影響を受け易い項目、及び品質、安全性又は有効性に影響を与えるような項目を選定する。測定方法としては、バリデートされた測定方法を採用する。測定の繰返し回数(注1)は、分析法バリデーションの結果に基づき決定する。

② 測定項目には、化学的及び生物学的安定性のみならず、物理的性質及び特性、官能試験、保存剤の減少及び必要ならば微生物学的評価を含める(別記に例示)。保存剤を含む製剤では、保存剤の量又は効力を測定する。

3) 保存条件(注2)

① 試験期間及び保存条件は、申請する有効期間、保管、流通、及び使用(例えば、用法で示された溶解又は希釈)の条件を十分考慮に入れて設定する。

② 長期保存試験及び加速試験の標準保存条件及び承認申請に必要な最短保存期間については、次のとおりとする。

条件                     承認申請時の最短保存期間

長期試験 25℃±2℃/60%RH±5%             一二か月

加速試験 40℃±2℃/75%RH±5%              六か月

③ このような高い相対湿度条件は、特に固形製剤に対して適用する。水分が透過しない材質の包装に入れられた液剤、懸濁液製剤等の製品については、標準保存条件と同じ温度条件を適用するが、湿度を調節する必要はない。水分が透過する材質の包装に入れられた製剤で低い湿度条件(例えば、一〇~二〇%RH)に安定性が影響される(例えば、プラスチックバッグに充填された液剤、小さなプラスチック容器に充填された点鼻薬)場合、低い湿度条件を考慮する。

④ 根拠があれば、他の保存条件を採用することができる。特に、温度に影響を受け易い製剤であって、貯蔵温度を貯蔵方法欄に記載する場合の保存温度は、長期保存試験にあっては設定する貯蔵温度、加速試験にあっては設定する貯蔵温度より一五℃高い温度とし、湿度条件を適切に設定する(注3)。低温保存条件で物理的に変化する製品、例えば、沈澱する懸濁液若しくは乳剤、又は粘性の増加が見られるクリーム剤、油性剤若しくは半固形製剤については特にその影響を検出できる条件も設定する。

⑤ 40℃±2℃/75%RH±5%での六か月の加速試験において規格からの逸脱が認められた場合(ただし、含量は初期の定量値から五%以上減少した場合とする。)、中間的な条件(例えば、30℃±2℃/60%RH±5%)で一年間の追加の加速試験を実施する(注7)。

4) 測定時期

① 測定時期は、長期保存試験にあっては、通常、一年目は三か月毎、二年目は六か月毎、その後は一年毎とし、加速試験にあっては試験開始時を含めて適切に設定する。

② もし妥当であれば、マトリキシング法又はブラケット法を使用できる。

5) 包装

検体の包装は、申請する包装と同一のものとする。無包装の製剤での追加の試験により、包装の効果を評価することができる。また、最終的な包装を決定するために、他の包装材料で実施された試験も有用である。

6) 評価

① 経時的に減少する定量値から有効期間を求める場合、分解曲線の九五%片側信頼限界が規格値の下限値と交差する時期をもって決定する。ロット間の変動が小さいことが統計解析から明らかにされる場合は、全ロットのデータを一括して評価することができる(注4)。また、全ロットのデータを一括して評価することが不適切な場合は、個々のロットの有効期間のうちの最短の期間を有効期間とする。

② 通常、残存量は時間の一次、二次又は三次関数によって表わされる。あるいは残存量の対数が時間の一次関数によって表わされる場合もある。個々のロットのデータ又は全ロットを一括したデータが、推定された分解直線又は曲線に適合するかどうかは統計解析により検定する。

③ 得られたデータから有効成分が保存期間中ほとんど分解せず、変動もほとんどないことが示され、申請する有効期間が十分保証される場合は、通常、その旨を記載し、正式な統計解析を実施する必要はない。

④ 有効成分の定量値のみならず、測定項目全般にわたって評価する必要がある。妥当ならば、物資収支の適用を考慮する。

(3) 苛酷試験

1) 検体及び測定試料

一ロットの製剤から採取する。原則として包装を除いた状態で行うが、必要に応じて包装をした状態での試験を行う(注5)。

2) 保存条件

光、極端な温度変動や湿度変動、及び凍結によって品質の変化が予想される製剤(注8)については、その影響を検出できる条件を設定する。

5 その他の留意事項

次に示す事項に関しては、科学的に妥当と考えられる方法を適宜選択して実施する。測定時期も適宜選択する。

(1) 用時溶解、懸濁又は希釈して用いる製剤については、溶解、懸濁又は希釈後の安定性について試験を行い、また、他剤との配合が臨床上想定し得る製剤については、配合変化についても試験を行う。

(2) 乳濁液、懸濁液、溶液等の液剤については、容器と内容物との相互作用や容器からの溶出物の混入等の可能性を十分考慮に入れ、横倒し又は倒立状態での試験を検討する。

6 用語の定義

(1) 検体

安定性試験を行うために、選定したロットから採取し保存する原薬又は製剤

(2) パイロットプラントスケール

実生産に適用される製造方法、製造工程を十分に反映して製造された原薬又は製剤の予備的生産規模のこと。経口固形製剤では、通常、少なくとも実生産スケールの一〇分の一又は一〇万錠(カプセル)のいずれか大きい方をパイロットプラントスケールとする。

(3) マトリキシング法

ある特定の測定時点で全検体のうちの一部を試験する安定性試験の統計的手法。マトリキシング法は、一つ以上の変数を評価する場合に試験を簡略化できる。連続する二つの測定時点では、全検体のうちの異なる組合わせが試験される。この手法は、全検体の安定性は、一部分の検体の安定性で代表されるとの仮定に基づいている。長期保存試験の最初と最後には全検体を試験する必要がある。

マトリキシング法が適用できる場合は、例えば、異なるロット、異なる含量、同じ容器でサイズの異なる場合である。異なる容器にも適用できる場合がある。

(4) ブラケット法

いかなる測定時点においても、例えば容器サイズや含量の両極のものを検体とする安定性試験の手法。この手法は、中間的な条件にある検体の安定性は、両極端の検体の安定性により代表されるとの仮定に基づいている。

一連の異なる含量の製剤が試験される場合、特に製剤の成分が類似している(同様の組成の原料顆粒を使用して製造した含量違いの錠剤、同一の組成の原料顆粒及び異なるサイズのカプセルを使用して異なる充填量で製造したカプセル剤)ならば、ブラケット法が適用できる。一連の異なるサイズの容器の製剤が試験される場合、直接の容器の構成材料の材質及び蓋のタイプが同一ならば、ブラケット法が適用できる。

(5) 物質収支

分析法の精度を適切に考慮に入れて、有効成分の定量値と分解生成物の量の総和がどの程度まで初期値に近いかを求めることであり、データの評価のための有用な科学的目安になるが、すべての場合に適用できるわけではない。また、有効成分の定量法の特異性の確認、分解経路の解析が完全かどうかの確認、及び場合によっては、一定の分解生成物を、特定の機構の分解反応の進行度を知る指標として使えるかどうかの確認に利用できる。

(注1) 測定の繰返し回数

各検体から測定用に試料を採取する段階から測定を実施、終了するまでの全過程を繰り返す回数のこと。

(注2) 保存条件の許容限度

保存施設の設備は、温度を±2℃の範囲に、また相対湿度を±5%RHの範囲に制御する能力が必要である。実際の温度及び湿度は、安定性試験中モニターする。保存施設のドアの開閉による短期の規定温度又は湿度の範囲からの逸脱は不可避なので差し支えない。しかし、設備の故障による二四時間未満の逸脱の場合、申請者が評価して影響があれば報告する。また、二四時間以上の逸脱の場合は、その影響評価とともに試験資料に記載する。

(注3) 低温の保存条件を適用する加速試験例

例えば、冷所保存を貯蔵方法とする場合、加速試験は、30℃±2℃/75%RH±5%で実施する。また、冷蔵庫での保存(「凍結をさけ、一〇℃以下に保存」という貯蔵方法に相当)の場合、25℃±2℃/60%RH±5%で実施する。

(注4) 全ロットのデータの一括

個々のロットの回帰直線の傾き及び縦軸切片に対して適切な統計解析を適用する。ここで有意水準αは〇・二五とする。

(注5) 包装を除いた状態で品質変化が見られた場合には、その結果を貯蔵方法又は使用上の注意等の設定に反映する。あるいは、包装によって安定性を改善する場合には、包装をした状態での試験も行い、その効果を確認する。

(注6) パイロットプラントスケールより小規模な生産スケールとは、例えば、経口固形剤で二万五〇〇〇~五万錠(カプセル)である。

(注7) 製剤の加速試験において、中間的な条件での加速試験を実施するのは例えば、次のような品質の変化があった場合である。

1 試験開始時の定量値(力価)から五%以上減少した場合

2 特定の分解生成物が規格値を超えた場合

3 pHが規格値を逸脱した場合

4 溶出試験で規格を逸脱した場合

5 色、相分離、再懸濁性、一回当りの噴霧量、ケーキング、硬度等が規格から逸脱した場合

(注8) 特殊な製剤の例

例えば懸濁剤、乳剤、半固形製剤等

別記

測定項目

承認申請書の規格及び試験方法欄に設定する項目のうち、保存により影響を受け易いと判断される項目のほか、医薬品の物性に関する変化、製剤特性に関する変化等安定性を検討するために有効な試験項目について行うことを原則とする。

長期保存試験、加速試験及び苛酷試験のそれぞれの目的に応じた試験項目について行う。

例えば、左記のような項目が挙げられる。

1) 原薬については、含量(力価)、分解生成物の量、性状、溶状、光学的純度等

2) 製剤については、含量(力価)、分解生成物の量、性状、製剤の有する特性等

3) 製剤の剤形に応じて検討すべき項目の例

水分:錠剤、カプセル剤、散剤、用時溶解又は懸濁して用いる固形製剤等

溶出又は放出特性:錠剤、カプセル剤、懸濁剤、坐剤、経皮吸収剤等

pH:液状製剤、用時溶解又は懸濁して用いる固形製剤

重量変化:プラスチック容器を用いた液剤又は半固形

製剤等

粒度分布:懸濁剤、乳剤、吸入エアゾール剤等

粘度:乳剤等

溶出物:大容量注射剤等

不溶性微粒子:大容量注射剤等

粘着力:硬膏剤等

溶融温度:坐剤等

硬度:錠剤