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○医薬品の製造(輸入)承認申請に際して添付すべき安定性試験成績の取扱いについて

(平成三年二月一五日)

(薬審第四三号)

(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生省薬務局審査・新医薬品課長連名通知)

医薬品の製造(輸入)承認申請に際して添付すべき安定性試験成績についての取扱いについては、平成三年二月一五日薬発第一六五号薬務局長通知により通知されたところであるが、その取扱いに関する一般的留意事項を別紙1として、また、安定性試験実施方法のガイドラインについては別紙2としてとりまとめたので、貴管下関係業者に対し周知方よろしく御配慮願いたい。

別紙1

安定性試験成績の取扱いにおける一般的留意事項

1 医薬品の製造(輸入)承認申請に際して提出すべき安定性に関する資料については、当分の間、従前の例によることができるものであるが、今後開始される試験については、原則として別紙2の安定性試験実施方法のガイドラインに沿って行われたいこと。

なお、別紙2に示した方法は、別紙2の1の前文のとおり、医薬品の安定性試験に関する標準的な実施方法を示したものであり、合理的な理由がある場合においては、これを固守するよう求めるものではないこと。

2 個々の医薬品の製造(輸入)承認申請に当たっては、三年以上の安定性が推定又は確認されえないものは、有効期間を設定したうえで申請すべきものであること。

なお、有効期間の設定は、原則として長期保存試験の成績に基づいて行うこととし、例えば一年間の有効期間を設定するためには、原則として一年を超える期間の成績が必要である。

3 新有効成分含有医薬品について、やむを得ず製剤のみを承認申請する場合においても、原体に関する安定性試験成績を提出するものとする。

4 長期保存試験の途中での承認申請については、次のとおり取扱うものであること。

(1) 新医薬品等については、原則として加速試験により三年以上の安定性が推定される医薬品であって、申請時において長期保存試験により、暫定的に一年以上の有効期間を設定できるものについては、長期保存試験の途中であっても承認申請して差し支えないこと。ただし、申請者は、承認時までにその後引き続き試験した長期保存試験の成績を提出するものとする。

(2) 一般用医薬品(新有効成分含有医薬品を除く。)及び医療用後発品については、原則として加速試験成績が要求されるが、これらのうち、加速試験により三年以上の安定性が推定されないものについては長期保存試験成績が必要である。ただし、申請時において長期保存試験により、暫定的に一年以上の有効期間を設定できるものについては、長期保存試験の途中であっても承認申請して差し支えないこと。その場合、申請者は、承認時までにその後引き続き試験した長期保存試験の成績を提出するものとする。なお、原則として苛酷試験成績の提出は要求しない。

5 専ら他の医薬品の製造の用に供される原薬たる医薬品(以下「原薬たる医薬品」という。)については、次のとおり取扱うものであること。

(1) 新医薬品等について、製造国又は製造方法が複数にわたる場合にあっては、原則として、いずれか一つの「原薬たる医薬品」について長期保存試験及び苛酷試験を行い、その成績を提出することで差し支えないこと。

(2) 昭和五五年五月三〇日薬発第六九八号薬務局長通知の別表2―(1)の1―(8)及び2―(2)から(6)の医薬品(以下「その他の医薬品」という。)については、原則として安定性に関する資料の提出を要しないこと。

6 「原薬たる医薬品」以外の医薬品については、次のとおり取扱うものであること。

(1) 製造国が複数にわたる場合、包装材質及び形態が単一でない場合等については、個々の製品について次のア、イ、ウ及びエによること。

ア 製造国が複数にわたる場合

① 新医薬品等にあっては、いずれか一つの製造国において製造された製品について、長期保存試験及び苛酷試験を行い、その成績を提出すること。その他の製造国において製造された製品については、原則として承認時までに申請者自らの責任において加速試験を行い、確認を行っておくことで差し支えないこと。なお、当該加速試験の成績は保存しておくこと。

② 「その他の医薬品」にあっては、いずれか一つの製造国において製造された製品について、原則として加速試験を行い、その成績を提出すること。その他の製造国において製造された製品については、承認時までに申請者自らの責任において相対比較試験を行い、確認を行っておくことで差し支えないこと。なお、当該相対比較試験成績は保存しておくこと。

イ 複数の包装材質及び形態がある場合

① 新医薬品等にあっては、予備試験の結果から、最も保存条件の影響を受け易いと判断される一つの包装材質及び形態の製品について、長期保存試験及び苛酷試験を行い、その成績を予備試験成績とともに提出すること。その他の包装材質及び形態の製品については、原則として承認時までに申請者自らの責任において前記製品を対照とした相対比較試験を行い、確認を行っておくことで差し支えないこと。なお、当該相対比較試験の成績は保存しておくこと。

② 「その他の医薬品」にあっては、予備試験の結果から、最も保存条件の影響を受け易いと判断される一つの包装材質及び形態の製品について、原則として加速試験を行い、その成績を予備試験成績とともに提出すること。その他の包装材質及び形態の製品については、承認時までに申請者自らの責任において前記製品を対照とした相対比較試験を行い、確認を行っておくことで差し支えないこと。なお、当該相対比較試験の成績は保存しておくこと。

ウ 注射剤等であって容量のみが異なる場合

① 新医薬品等にあっては、予備試験の結果から最も保存条件の影響を受け易いと判断される容量の製品について、長期保存試験及び苛酷試験を行い、その成績を予備試験成績とともに提出すること。その他の容量の製品については、原則として承認時までに申請者自らの責任において前記製品を対照とした相対比較試験を行い、確認を行っておくことで差し支えないこと。なお、当該相対比較試験の成績は保存しておくこと。

② 「その他の医薬品」にあっては、予備試験の結果から最も保存条件の影響を受け易いと判断される容量の製品について、原則として加速試験を行い、その成績を予備試験成績とともに提出すること。その他の容量の製品については、承認時までに申請者自らの責任において前記製品を対照とした相対比較試験を行い、確認を行っておくことで差し支えないこと。なお、当該相対比較試験の成績は保存しておくこと。

エ 固形製剤については、原則として無包装の状態における安定性試験データを提出することによって、包装された製剤の安定性試験データにおきかえることができるものであること。

(2) 新医薬品等であって、その有効成分、投与経路、用法・用量及び効能・効果が同一であり、同一剤型で含量のみが異なる複数の製品を申請する場合については、予備試験の結果から最も保存条件の影響を受け易いと判断される製品について、長期保存試験及び苛酷試験を行い、その成績を予備試験成績とともに提出すれば、その他の製品については、原則として加速試験の成績を提出することで差し支えないこと。

(3) 既に長期の安定性が確認又は推定されている最終製品の一部を変更する場合には、次により取扱うものとすること。

ア 包装材質及び形態を変更する場合であって、変更前後の最終製品に関し予備試験を行い、その結果から変更後の安定性が変更前よりも劣らないことが示される場合には、承認時までに申請者自らの責任において相対比較試験を行い、確認を行っておくことで差し支えないこと。なお、予備試験成績は提出するものとするが、当該相対比較試験成績は保存しておくこと。

イ 賦形剤等の分量の変更を伴うもの(すなわち、有効成分以外の成分又は分量等の変更を伴うもの)にあっては、変更前後の最終製品に関する相対比較試験により変更後の安定性が変更前よりも劣らないことが示される場合には、当該相対比較試験成績を提出することで差し支えないこと。

(4) 新医薬品等にあっては、承認申請に当たって、必要に応じ、別紙2の7「その他の留意事項」に記載の事項についても検討のうえ、その成績を添付するものとする。なお、これらの検討は、別紙2の3の5)に記載の考え方に添って、品質変化等が予想される場合に、適切な項目を選択して実施すること。おって、これらの試験から得られた成績については、添付文書に十分反映させるよう考慮すること。

7 安定性に関する資料の提出に当たっては、以下の点に留意すること。

(1) 削除

(2) 試験資料は、邦文で記載されていなければならないこと。なお、当該資料が翻訳されたものである場合には、その全文が翻訳されたものであること。この場合においては、翻訳前の原文も併せて提出するものとし、参考として、翻訳者及び最終的に内容を吟味した専門技術者の氏名及び所属を記載すること。ただし、原文が英文で記載されたものであれば、その原文及び日本語要約を提出することで差し支えないこと。

8 その他

(1) 外国で実施された安定性に関する資料についても、我が国の取扱い及びガイドラインに沿ったものであれば、受け入れられるものであること。

(2) 相対比較試験は、原則として、別紙2の6加速試験の1)又は2)の保存条件による三か月間以上の比較とする。なお、測定時期については、加速試験に準じるが、目的等により測定時点を減らすことができるものとする。

(3) 予備試験は、複数の包装形態がある場合等において、最も保存条件の影響を受け易いと考えられる製品を選択するために行う試験であり、加速試験の保存条件に準じた申請者自らが設定した適切な方法で行うこと。

(4) 承認書の製造方法欄において、輸入を国内製造に変更するか若しくは国内製造を追加する場合又は国内製造を輸入に変更するか若しくは輸入を追加する場合の承認事項一部変更承認申請にあっては安定性に関する資料の提出を要しない。ただし、この場合にあっても、当該変更により、製品の品質が損なわれていないことを承認時までに自らの責任において相対比較試験を行い確認しておくこと。

(5) 「原薬たる医薬品」の強制分解生成物及び分解機構等に関する成績は、今後、昭和五五年五月三〇日薬発第六九八号薬務局長通知別表1ロ―2に関する資料として取扱うものとする。

別紙2

安定性試験実施方法のガイドライン

1 前文

医薬品の承認申請における安定性試験とは、医薬品の有効性及び安全性を維持するために必要な品質の安定性を評価し、医薬品の貯蔵方法及び有効期間の設定に必要な情報を得るために行う試験である。本ガイドラインは、安定性試験の標準的実施方法を示したものである。試験方法を変更する合理的な理由及びそれにより目的を達し得る科学的根拠のある場合には、ここに示す標準的方法を固守することを求めるものではない(*1)。

*1 本ガイドラインは、標準保存条件における製品の安定性が確認できれば、それより緩和な条件での安定性は保証できるという、確認によって安定性を保証する方法を主に示したものである。しかし、承認申請に際しては、製品が本ガイドラインに示された標準保存条件において安定であることを確認することにこだわらず、科学的根拠に基づいて製品の安定性を推定し保証する実質的な試験データとして、包装形態や貯蔵方法の設定の基礎となったデータを利用することも可能である。また、品質変化を示さないデータに限らず、品質変化を示すデータをも積極的に活用して製品の安定性を科学的に保証することも一方法である。

なお、本ガイドラインの注における例示は、試験目的の理解を助けるために示したものであり、対象範囲又は数値については試験者の判断に基づき適切に設定することができる。

2 用語の定義

1) 検  体‥安定性試験を行うために、選定したロットから十分な量を採取し保存する原体又は製剤

2) 測定試料‥各測定時点において測定を繰返し回数だけ実施するために各検体から採取する試料

3) 繰返し回数‥各測定試料について、測定結果の精度を確保するために測定の全過程を繰返す回数

3 基本的な留意事項

1) 測定項目としては、承認申請書の規格及び試験方法欄に設定する項目にとらわれることなく、保存により影響を受け易い項目、安定性を検討するために有効な項目を選定すること。

2) サンプリングとデータの取扱いにおいては、統計学的な考え方を適切に取入れること。すなわち検体は製造されるすべてのロットを反映できるよう考慮しつつ選び、検体から測定試料を採取する場合には無作為に行うこと。また、測定試料数(*2)及び繰返し回数(*3)の設定についても、結果の信頼性を高めることができるよう対応すること。

3) 安定性試験における主薬及び分解物の定量法としては、承認申請書の規格及び試験方法欄に設定した定量法にとらわれることなく、安定性評価に適切な方法を選択すること。

4) 製剤の安定性試験においては、保存剤、防腐剤等の添加剤の効力が維持されているかどうかも考察すること。

5) 薬物と容器との相互作用、開封後の品質変化、極端な温度変動等による品質変化等が予想される場合は、各試験に定められた標準保存条件に加えて、その製剤の特性に応じた保存条件を設定した試験の実施を考慮すること。

*2 同じロットでも分解速度等に包装単位間などの個々のばらつきが大きいと考えられる場合は、測定試料数を増やすことが望ましい。

*3 測定法は十分に検証されたばらつきの小さい方法を用いるのが原則であるが、測定法の検証が不十分な場合及び測定値のばらつきが大きいと考えられる場合には、繰返し回数を増やすことが望ましい。

4 苛酷試験

① 目的

流通期間中に起りうる極端な条件下における品質の変化を予知するために実施する。

② 試験方法

検体及び測定試料‥原体及び製剤からそれぞれ適宜採取する。原則として包装を除いた状態で行うが、必要に応じて包装をした状態での試験も行う(*4)こと。

保存条件‥原 体;温度(*5)、湿度(*6)及び光(*7)の三条件を考慮し、条件を設定すること。

製 剤;温度(*5)、湿度(*8)及び光(*7)の三条件を考慮し、条件を設定すること。極端な温度変動、湿度変動によって品質の変化が予想される製剤(*9)については、その影響を検出できる条件(*10)も設定することが望ましい。また、原体の場合とは異なる分解生成物が生じる場合は、その化学構造、生成機構、安全性等についてコメントすること。

試験期間及び測定時期‥医薬品の物理的化学的特性に基づいて、試験目的に合うように適宜設定すること。

測定項目‥承認申請書の規格及び試験方法の欄に設定する試験項目のうち保存により影響を受け易い項目並びにその他分解生成物の検索及び品質管理上必要と判断される項目(*11)(別記に例示)

*4 包装を除いた状態で品質変化が見られた場合には、その結果を貯蔵方法又は使用上の注意等の設定に反映させること。あるいは、包装によって安定性を改善する場合には、包装をした状態での試験も行い、その効果を確認すること。

*5 例えば貯蔵方法が室温の場合は六〇℃。冷所又は凍結保存の場合は三〇℃

*6 例えば九〇%RH(結晶水を有するものなど水分の蒸発によって品質の変化が予想されるものについては低湿度条件も加える。)

*7 例えば一二〇万Lux・hr

*8 例えば九〇%RH(水分の揮発によって製剤特性の変化が予想されるものについては低湿度条件も加える。)

*9 例えば懸濁剤、乳剤、半固形製剤等

*10 例えば貯蔵方法が室温の場合、五℃~六〇℃の変化(上昇および下降)を想定した条件及び二五℃で二五~九〇%RHの変化(上昇および下降)を想定した条件。冷所又は凍結保存の場合、凍結~二五℃の変化(上昇および下降)を想定した条件。

*11 長期保存試験及び加速試験の測定項目選定の根拠を与えるために、品質を管理するために必要と判断される項目について広く検討を行うこと。

5 長期保存試験

① 目的

一定の流通期間中の品質の安定性を確認するために実施する。

② 試験方法

検  体‥原体及び製剤それぞれにつき三ロットから一検体ずつ採取する。原則として包装した状態で試験を行うこと。

保存条件‥原則として1)によるが、貯蔵温度を特別に設定する場合は2)によること(*12)。(承認申請書に貯蔵方法として温度条件以外に遮光など特別な貯蔵条件を設定する場合には当該条件によるものとするが、この場合はその条件設定の根拠となるデータを記載することが望ましい。)

1) 二五℃(±二℃)

2) 設定する貯蔵温度(±一℃)

試験期間‥三年以上(承認申請書に有効期間を設定している場合には当該期間以上とする。)

測定時期‥品質変化の経時的傾向を把握できるように十分頻繁に行うこと。一般に、最初の一年間は三か月を越えない間隔で、その後は六か月を越えない間隔で行うこと(*13)。

測定項目‥承認申請書の規格及び試験方法の欄に設定した試験項目のうち保存により影響を受け易い項目及びその他安定性を評価するために有効な項目(別記に例示)

測定試料‥各検体より三試料(*14)。ただし、計量的測定以外の測定項目については減らすことができる。繰返し回数は、測定法の精度や再現性に基づき適切に定める。

*12 安定性が湿度によって影響を受け易い原体又は製剤等、必要と考えられる場合には、湿度条件も一定に制御して行うことが望ましい。その場合には流通過程での条件を考慮して条件を設定すること。

*13 保存による品質変化が認められない場合には、そのことによって安定性は確認されるが、品質変化が認められる場合でも、変化の経時的傾向を的確に把握することによって安定性を確認できることもあるので、基本的にはできるだけ頻繁に測定を行うことが望ましい。一方、あらかじめ予備的な試験によって十分に安定であることを示すデータが得られている場合には、測定間隔を延長することができる。

*14 分解など品質の経時的変化を示す曲線の信頼限界の幅は、全測定試料のそれぞれの保存期間の平均値に相当する時点で最も小さくなる。従って、経時的な品質変化が認められる場合に有効期間を正確に推定するためには、後半の測定時期における測定試料数を多くすることが望ましい。

6 加速試験

① 目的

一定の流通期間中の品質の安定性を短期間で推定するために実施する。なお、加速試験が試験目的に合致しないと判断される場合(*15)にあっては、長期保存試験を行うこと。

② 試験方法

検  体‥原体及び製剤それぞれにつき保存条件毎に三ロットから一検体ずつ採取する。原則として包装した状態で試験を行うこと。

保存条件‥原則として1)によるが、貯蔵温度を特別に設定する場合は2)によること(*16)。なお、必要に応じて1)又は2)に加えて、他の条件でも試験を行うこと(*17)。(承認申請書に貯蔵方法として温度条件以外に遮光など特別な貯蔵条件を設定する場合には当該条件によるものとするが、この場合はその条件設定の根拠となるデータを記載することが望ましい。)

1) 四〇℃(±一℃)、七五%RH(±五%)

2) 設定する貯蔵温度プラス一五℃(±一℃)、七五%RH(±五%)

試験期間‥六か月間以上

測定時期‥試験開始時を含め四時点以上

測定項目‥承認申請書の規格及び試験方法の欄に設定する試験項目のうち保存により影響を受け易い項目及びその他安定性を評価するために有効な項目(別記に例示)

測定試料‥各検体より三試料。ただし、計量的測定以外の測定項目については減らすことができる。繰返し回数は、測定法の精度や再現性に基づき適切に定める。

*15 貯蔵条件における有効期間の推定を温度条件の外挿に依って行うことができない場合、例えば温度への依存性が明らかとされていない物理的特性が有効期間を決定する場合には、加速試験は適用できない。

*16 エアゾール剤や坐剤などのように1)又は2)の条件での加速試験が適当でないと判断される場合には、温度条件を1)又は2)の標準条件以下で行うことも可能であるが、この場合には合理的根拠に基づいて試験期間を設定し、その根拠を記載すること。

*17 1)又は2)の条件において、品質変化が認められない場合は、1)又は2)の単一条件における試験だけで目的が達成できる。1)又は2)の条件で品質変化が認められる場合においても、例えば三五℃、七五%RH又は三〇℃、七五%RH等の条件における試験データを反応速度論的に考察することによって、二五℃において安定であることが推定できる場合がある。

7 その他の留意事項

次に示す事項に関しては、科学的に妥当と考えられる方法を適宜選択して行うこと。測定時期も適宜選択すること。

① 用時溶解又は懸濁して用いる製剤については、溶解又は懸濁後の安定性について試験を行い、また、他剤との配合が臨床上想定し得る製剤については、配合変化についても試験を行うこと。

② 乳濁剤、懸濁剤、溶液等の液剤については、容器と内容物との相互作用や容器からの溶出物の混入などの可能性を十分考慮に入れ、横倒し又は倒立状態での試験を検討すること。

別記

測定項目

承認申請書の規格及び試験方法欄に設定する項目のうち、保存により影響を受け易いと判断される項目のほか、医薬品の物性に関する変化、製剤特性に関する変化等安定性を検討するために有効な試験項目について行うことを原則とする。

苛酷試験、長期保存試験及び加速試験のそれぞれの目的に応じた試験項目について行うこと。例えば、左記のような項目が挙げられる。

1) 原体については、含量(力価)、分解生成物の量、性状、溶状、光学的純度等

2) 製剤については、含量(力価)、分解生成物の量、性状、製剤の有する特性等

3) 製剤の剤形に応じて検討すべき項目の例

水分‥錠剤、カプセル剤、散剤、用時溶解又は懸濁して用いる固形製剤等

溶出又は放出特性‥錠剤、カプセル剤、懸濁剤、坐剤、経皮吸収剤等

pH‥液状製剤、用時溶解又は懸濁して用いる固形製剤等

重量変化‥プラスチック容器を用いた液剤又は半固形製剤等

粒度分布‥懸濁剤、乳剤、吸入エアゾール剤等

粘度‥乳剤等

溶出物‥大容量注射剤等

不溶性微粒子‥大容量注射剤等

粘着力‥硬膏剤等

溶融温度‥坐剤等