添付一覧
○医薬品の製造(輸入)承認申請に必要な毒性試験のガイドラインについて
(平成元年九月一一日)
(薬審一第二四号)
(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生省薬務局審査第一・審査第二・生物製剤課長連名通知)
医薬品の製造(輸入)承認申請に際して添付すべき資料のうち毒性に関する資料については、昭和五九年二月一五日薬審第一一八号厚生省薬務局審査課長・生物製剤課長通知別添「医薬品のための毒性試験法ガイドライン」(以下「旧ガイドライン」という。)により取り扱ってきたところであるが、今般、「医薬品毒性試験法ガイドライン」(以下「新ガイドライン」という。)を別添のとおり定めたので、貴管下医薬品製造(輸入)業者に対し、周知徹底方よろしく御指導願いたい。
なお、旧ガイドラインとの相違点及び今後の取扱いは左記のとおりであるので、併せて御指導願いたい。
おって、本通知の施行に伴い、昭和五九年二月一五日薬審第一一八号厚生省薬務局審査課長・生物製剤課長通知「医薬品の製造(輸入)承認申請に必要な毒性試験のガイドラインについて(その1)」は、廃止する。
記
1 旧ガイドラインとの相違点
(1) 呼称
急性毒性試験は「単回投与毒性試験」、亜急性毒性試験及び慢性毒性試験は「反復投与毒性試験」、また、生殖に及ぼす影響に関する試験は「生殖・発生毒性試験」としてそれぞれ呼称すること。
(2) 新たに設定した試験及び主な変更点
ア 皮膚感作性試験及び皮膚光感作性試験について新たに設定したこと。
イ 単回投与毒性試験においては、使用するげっ歯類は一種でよいとしたこと及び概略の致死量を求めればよいとしたこと。
ウ 反復投与毒性試験においては、医薬品としての臨床使用予想期間が一週間を超え四週間までのもの及び一か月を超え六か月までのものについて、毒性試験投与期間をそれぞれ三か月及び六か月としたこと。
エ がん原性試験においては、著しく低毒性の医薬品については最高用量を推定臨床用量の約一〇〇倍に設定したこと。
オ 変異原性試験においては、復帰突然変異試験、染色体異常試験及び小核試験を実施することとしたこと。
2 今後の取扱い
(1) 平成元年九月一一日以降、平成三年九月三〇日以前に要請される医薬品に添付される資料は、新ガイドライン又は旧ガイドラインのいずれに基づいたものであっても差し支えない。
ただし、昭和五九年二月二九日以前に開始されている試験であって、動物種が新ガイドラインを満足している試験については、平成二年九月三〇日までは、原則として新ガイドラインに基づいた試験に代えて差し支えない。
(2) 平成三年一〇月一日以降申請される医薬品に添付される資料は、新ガイドラインに基づいたものであること。
別添
医薬品毒性試験法ガイドライン
本ガイドラインは、医薬品の承認申請等の目的で実施される安全性に関する試験について、標準的な実施方法を示し、医薬品の安全性の適正な評価に資することを目的とする。
しかし、本来、すべての医薬品について一律の試験方法を定めることは合理的ではなくまた、試験の進展に応じて新たな試験を追加する必要が起こることも少なくない。したがって、得られた所見が臨床上の安全性評価に資することができるものである限り、必ずしもここに示した方法を固守するよう求めるものではない。
〔1〕 単回投与毒性試験
この試験の目的は、被験物質を哺乳動物に単回投与(注1)したときの毒性を質的量的に明らかにすることである。
1 動物種
二種以上とする(注2)。
2 性
少なくとも一種については雌雄について調べる。
3 投与経路
原則として臨床適用経路とする。経口投与は原則として強制投与とし、通常、投与前一定時間動物を絶食させる。
4 用量段階
急性の毒性徴候を把握できる適切な用量段階を設ける。なお、げっ歯類では概略の致死量(注3)を求めるに足る用量段階を、非げっ歯類では毒性徴候が明らかに観察できる用量段階を設ける。いずれも用量反応関係が認められるようにすることが望ましい。
5 観察
毒性徴候の種類、程度、発現、推移及び可逆性を、用量と時間との関連で観察、記録する。観察期間は通常一四日間とする。
観察期間中の死亡例及びげっ歯類の観察期間終了時の生存例は全例剖検する。
肉眼的に異常の認められた器官・組織については、必要に応じて病理組織学的検査を行う。
(注)
注1:二四時間以内に分割投与する場合を含む。
注2:一種はげっ歯類、一種はウサギ以外の非げっ歯類の中から選ぶ。ただし、非げっ歯類については、反復投与毒性試験の予備試験などにおいて適切な用量と観察による単回又は小数回投与試験が行われている場合には、それらを非げっ歯類の単回投与毒性試験として採用してもよい。
注3:概略の致死量とは、いくつかの異なる用量で観察された動物の生死及び毒性の徴候から判断されるおおよその最小致死量を意味するものである。
〔2〕 反復投与毒性試験
この試験の目的は、被験物質を哺乳動物に繰り返し投与したとき、明らかな毒性変化を惹起する用量とその変化の内容、及び毒性変化の認められない用量を求めることである。
1 動物種
二種以上とする。うち一種はげっ歯類、一種はウサギ以外の非げっ歯類の中から選ぶ。
2 性
原則として、雌雄の動物を同数使用する。
3 動物数
一群当たり、げっ歯類では雌雄各一〇匹以上、非げっ歯類では雌雄各三匹以上とする。中間屠殺や回復性試験を予定する場合は、そのために必要な数を追加する。
4 投与経路
原則として、臨床適用経路とする。
5 投与期間
被験物質の投与期間は、その物質の医薬品としての臨床使用予想期間に応じ、次の標準に従って選定する。
投与は、原則として週七日とする。
〔臨床使用予想期間〕 〔毒性試験投与期間〕
単回又は一週間以内の連続投与(注1) 一か月
一週間を超え、四週間までの連続投与 三か月(注2)
一か月(四週間)を超える長期連続投与 六か月(注2)
臨床使用予想期間の長短にかかわらず特に必要と認められたもの(注3) 六か月(注2)(注4)
6 用量段階
少なくとも三段階の投与群を設け、被験物質の毒性像が明らかになるように、毒性変化が認められる用量と毒性変化が認められない用量(無毒性量)とを含み、かつ用量反応関係が見られるように設定することが望ましい。その他、被験物質を投与しない(溶媒投与)対照群を設け、さらに必要に応じて、無投与対照群、陽性対照群を加える。
7 観察及び検査
次の1)~8)の観察及び検査項目について実施する。
1) 一般状態、体重、摂餌量、飲水量
全試験動物について、一般状態を毎日観察し、定期的に体重及び摂餌量を測定する。これらの測定の頻度は、次のようにするのが標準的である。特に必要と思われる場合には、飲水量を測定する。
体 重:投与開始前、投与開始後三か月までは少なくとも毎週一回、その後四週に一回以上。
摂餌量:投与開始前、投与開始後三か月までは少なくとも毎週一回、その後四週に一回以上。ただし、被験物質を混餌で投与する場合は、毎週一回。なお、げっ歯類の場合、この測定は、個別又は群ごとのいずれかによって行ってもよい。
2) 血液検査
げっ歯類では剖検(途中剖検も含む)の前に、非げっ歯類では投与開始前と剖検の前のほか、一か月を超える試験では投与期間中に少なくとも一回採血して検査する。検査は、原則として全試験動物について行うべきであるが、実施上の理由から、各群の一部の動物に限ることも許される。
検査は、血液学的検査及び血液化学的検査のいずれについても、できるだけ多項目にわたって行うのが望ましい(注5)。
3) 尿検査
げっ歯類では各群ごとに一定数の動物を選び、投与期間中一回以上、非げっ歯類では各群の全例について、投与開始前と投与期間中一回以上、尿検査を行う(注6)。
4) 眼科学的検査
げっ歯類では投与期間中少なくとも一回、各群ごとに一定数の動物を選び、眼科学的検査を行う。また、非げっ歯類では投与開始前及び投与期間中少なくとも一回、各群の全例について眼科学的検査を行う(注7)。
5) その他の機能検査
必要に応じ、心電図、視覚、聴覚、腎機能などの検査を実施する。
6) 投与期間中の死亡例は、すみやかに剖検し、器官・組織の肉眼的観察のほか、必要に応じ、器官重量の測定、病理組織学的検査を行い、死因とその時点での毒性変化の程度とを明らかにするよう試みる。
7) 投与期間中に死にかかった例は、いたずらに死を待つより殺処分を行うほうが多くの知見が得られる。まず、十分な観察を行い、可能であれば血液検査のための採血を行った後剖検し、器官・組織の肉眼的観察、病理組織学的検査を行うほか、必要に応じて器官重量を測定し、その時点での毒性変化の程度を明らかにするよう試みる。
8) 投与期間終了時又は回復試験期間終了時の生存例は、血液検査のための採血を行った後全例剖検し、器官・組織の肉眼的観察、器官重量の測定を行い、非げっ歯類では全例の、げっ歯類では少なくとも最高用量群と対照群の器官・組織の病理組織学的検査を行う(注8)。また、げっ歯類の他の用量群においても肉眼的に変化の認められた器官・組織のある場合、あるいは高用量群での所見から考えて、必要と考えられる場合には、当該器官・組織についてその群の全例の病理組織学的検査を行う。
さらにげっ歯類においても、全例について病理組織学的検査を行うことは、評価の助けになる。
8 回復性試験
毒性変化の可逆性を検討するため、いずれかの試験で回復性試験を設けることを考慮する。
(注)
注1:一クールの投与が一週間以内であり、かつ、一週間以上の間隔で間歇投与される薬物で、しかも蓄積性の小さい場合は、一週間以内の投与と考えてよい。
注2:三か月以上の反復投与毒性試験を行う場合は、それに先立ってより短期の反復投与毒性試験を行う。その期間は、三か月及び六か月試験では一か月程度が標準である。これは用量設定及び毒性の初期検査を兼ね、主試験と合わせて被験物質の毒性像が明らかになるように図るものである。
注3:被験物質が、高度な体内蓄積性、非可逆的な毒性の発現、投与期間の長期化による著しい毒性の増強などの特性を有するもの。
注4:非げっ歯類にあっては一二か月投与試験を考慮する。
注5:通常よく行われている検査の項目は左記の通りであり、そのほか試験ごとに適切な項目を選定して行うべきであるが、いずれも、国際的に広く採用されている項目と検査方法を考慮に入れて選定すべきである。
血液学的検査‥赤血球数、白血球数、血小板数、血色素量、ヘマトクリット、血液像(白血球型別百分率)、その他網赤血球数、プロトロンビン時間、活性化部分トロンボプラスチン時間、など
血液化学的検査‥血清(血漿)蛋白、アルブミン、A/G比、蛋白分画、ブドウ糖、コレステロール、トリグリセリド、ビリルビン、尿素窒素、クレアチニン、トランスアミナーゼ(ASAT(GOT)、ALAT(GPT))、アルカリフォスファターゼ、電解質(ナトリウム、カリウム、塩素、カルシウム、無機リンなど)、など
注6:検査には、次のような項目がよく取り上げられる。
尿量、pH、蛋白、糖、ケトン体、ビリルビン、潜血、沈渣、比重又は浸透圧、電解質(ナトリウム、カリウムなど)
注7:検査は肉眼的及び検眼鏡的に行い、前眼部・中間透光体・眼底のそれぞれについて実施する。
注8:重量測定及び病理組織学的検査の対象として、通例左記の器官・組織が選定されるが、肉眼的所見などからの判断によって、適宜削減又は追加する。
重量測定‥心臓、肺、肝臓、脾臓、腎臓、副腎、前立腺、精巣、卵巣、脳及び下垂体については、ほとんど常に測定されている。唾液腺、胸腺、甲状腺、精嚢、子宮についても測定されることが多い。
病理組織学的検査‥皮膚、乳腺、リンパ節、唾液腺、骨及び骨髄(胸骨、大腿骨)、胸腺、気管、肺及び気管支、心臓、甲状腺及び上皮小体、舌、食道、胃、十二指腸、小腸、大腸、肝臓及び胆嚢、膵臓、脾臓、腎臓、副腎、膀胱、精嚢、前立腺、精巣、卵巣、子宮、腟、脳、下垂体、脊髄、眼球及びその附属器、その他肉眼的に変化が認められた器官・組織
〔3〕~〔5〕 削除
〔6〕 皮膚感作性試験
本指針は、皮膚外用剤として用いる被験物質の皮膚感作性検査のための標準的試験法を示すものである。原則として、新たに皮膚外用剤としたすべての被験物質について本試験を実施する。
Ⅰ 試験法の概要
1 被験皮膚外用剤
ア 固型剤‥予め水又は適当な溶媒で湿潤し、均一に適用しうるように調製する。
イ 半固型剤‥希釈せずに用いる。
ウ 液 剤‥希釈せずに用いる。なお、エアゾール剤は、必要に応じ希釈して用いる。
2 試験動物
感受性が高い動物種を用いる。モルモットが最も適切な実験動物とされている。
3 試験方法(アルファベット順)
ア Adjuvant and Patch Test
イ Buehler Test
ウ Draize Test
エ Freund's Complete Adjuvant Test
オ Maximization Test
カ Open Epicutaneous Test
キ Optimization Test
ク Split Adjuvant Test
前記の方法の間では、感作物質に対する陽性発現率やその反応の程度に差異が認められるが、一般にFreund's Complete Adjuvantを用いることにより感作性の感度を高め、低感作性物質の検出を可能にすることが知られている。
4 試験成績の評価
個々の動物の皮膚反応をそれぞれの試験方法に即した判定基準に従って評価する。
Ⅱ 試験実施要項
Maximization Test及びAdjuvant and Patch Testについての具体的実施手順を左記4・1、4・2に示すが、前述の試験方法のうちから適切と判断される方法を用いることもできる。
1 動 物 原則としてモルモットを用いる。
2 動物数 原則として一群五匹以上とする。
3 試験群 原則として被験皮膚外用剤感作群、陽性対照感作群(注1)、対照群(注2)を設ける。
4 試験手順
1 Maximization Test法
1) 感作
(1) 予め刈毛した動物の頚部背側皮膚(約二×四cm)に、以下の三種の試料を左右対称に皮内注射する(注3)。
a 蒸留水とFreund's Complete Adjuvant (FCA)の一:一の油中水型(W/O)乳化物(E―FCA)
b 被験皮膚外用剤
c 被験皮膚外用剤とFCAとの乳化物
(2) 一週間後、皮内注射部位にラウリル硫酸ナトリウム(ワセリン中一〇%)を塗布する。
(3) 翌日、同一部位に被験皮膚外用剤を四八時間閉塞パッチする(注4)。
2) 惹起
閉塞パッチ後二週間目に、予め刈毛した動物の背部又は側腹部に被験皮膚外用剤を二四時間閉塞パッチする(注5)。
3) 評価
パッチ剥離後二四及び四八時間目の皮膚反応に基づき、被験皮膚外用剤の皮膚感作性を評価する(注6)。
2 Adjuvant and Patch Test法
1) 感作
(1) 予め刈毛した動物の頚部背側皮膚(約二×四cm)の四隅に蒸留水とFreund's Complete Adjuvant (FCA)の一:一の油中水型(W/O)乳化剤(E―FCA)〇・一mlずつを皮内注射する。
(2) E―FCA注射部位に注射針を用いて#型の傷をつける。
(3) 当該皮内注射部位に被験皮膚外用剤を二四時間閉塞パッチする(注5)。
(4) (2)―(3)の操作を一日一回、計三回連続して行う。
(5) 感作開始一週間後、皮内注射部位にラウリル硫酸ナトリウム(ワセリン中一〇%)を塗布する。
(6) 翌日、同一部位に被験皮膚外用剤を四八時間閉塞パッチする(注4)。
2) 惹起
閉塞パッチ後二週間目に、予め刈毛した動物の背部又は側腹部に被験皮膚外用剤を開放で塗布する(注7)。
3) 評価
二四及び四八時間目の皮膚反応に基づき被験皮膚外用剤の皮膚感作性を評価する(注6)。
以上Ⅱ―3の被験皮膚外用剤感作群についての試験手順を示したが、陽性対照感作群、対照群についても前記の方法に準じて試験すること。
(注)
注1 陽性感作物質として一―クロロ―二、四―ジニトロベンゼン等の既知の感作性物質が用いられている。
注2 対照群として無処置動物、基剤処理動物又は基剤及びFreund's Complete Adjuvantによる処置動物等のいずれかが用いられている。
注3 通常、〇・一mlの用量が用いられる。
注4 通常、〇・二ml又は〇・二gの用量が用いられる。
注5 通常、〇・一ml又は〇・一gの用量が用いられる。
注6 紅斑及び浮腫の程度及び頻度を陽性対照感作群、対照群と比較して評価する。
注7 通常、〇・〇一ml又は〇・〇一gの用量か用いられる。
〔7〕 皮膚光感作性試験
本指針は、皮膚外用剤として用いる被験物質の皮膚光感作性検査のための標準的試験法を示すものである。原則として、ヒトで皮膚光感作性を示すことが良く知られている物質と類似構造を持つ皮膚外用剤又は、皮膚光感作性を持つ可能性が類推される皮膚外用剤に対して適用される。
Ⅰ 試験法の概要
被験皮膚外用剤、試験動物、試験成績の評価は皮膚感作性試験法に準ずる。
1 試験方法(アルファベット順)
ア Adjuvant and Strip法
イ Harber法
ウ Horio法(堀尾法)
エ Jordan法
オ Kochever法
カ Maurer法
キ Morikawa法(森川法)
ク Vinson法
Ⅱ 試験実施要項(注1)
Adjuvant and Strip法についての具体的実施手順を左記4に示すが、前述の試験方法のうちから適切と判断される方法を用いることができる。
1 動 物 原則としてモルモットを用いる。
2 動物数 原則として一群五匹以上とする。
3 試験群 原則として被験皮膚外用剤光感作群、陽性対照光感作群(注2)、対照群(注3)を設ける。
4 試験手順
Adjuvant and Strip法
1) 光感作
(1) 予め刈毛した動物の頚部背側皮膚(約二×四cm)の四隅に蒸留水とFreund's Complete Adjuvant (FCA)の一:一の油中水型(W/O)乳化物(E―FCA)〇・一mlずつを皮内注射する。
(2) 皮内注射した部位の各層をセロハンテープなどで剥離する。
(3) 角層剥離部位に被験皮膚外用剤を開放で塗布する(注4)。
(4) 約一〇Joules/cm2の長波長紫外線を照射する。
(5) (2)~(4)の操作を一日一回、計五日間連続して行う。
2) 光惹起
感作開始後三週間目に、予め背部を刈毛した動物に以下の処置を行う。
(1) 背部正中線を対称軸として一・五×一・五cmの区画を二列作成する。
(2) 前記区画内に被験皮膚外用剤を開放で塗布する(注5)。
(3) 片側をアルミホイルなどで遮光した後、 約一〇Joules/cm2の長波長紫外線を照射する。
3) 評価
照射二四及び四八時間目における光照射部位と非照射部位の皮膚反応の強さを比較して被験皮膚外用剤の皮膚光感作性を評価する(注6)。
以上Ⅱ―3の被験皮膚外用剤光感作群についての試験手順を示したが、陽性対照光感作群、対照群についても前記の方法に準じて試験すること。
(注)
注1 試験の実施にあたっては、次の項目に留意することが肝要である。
1 光源‥キセノン・ランプ、ソーラー・シミュレーターあるいは紫外線ランプなどが用いられている。
2 光源の波長特性‥長波長紫外線単独又は長波長紫外線と中波長紫外線が併用して用いられている。
3 光源の強度
注2 陽性光感作物質として六―メチルクマリン、三、三′、四′、五―テトラクロロサリチルアニリド等の既知の光感作物質が用いられている。
注3 対照群として無処置動物、基剤処置動物又は基剤及びFreund's Complete Adjuvantによる処置動物等のいずれかが用いられている。
注4 通常、〇・一ml又は〇・一gが用いられる。
注5 通常、〇・〇二ml又は〇・〇二gが用いられる。
注6 紅斑及び浮腫の程度及び頻度を陽性対照光感作群、対照群と比較して評価する。