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○医療用具の製造所における品質保証に関する基準(医療用具GMP)の実施について
(昭和六二年一月二八日)
(薬監第八号)
(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生省薬務局監視指導課長通知)
医療用具の製造所における品質保証に関する基準(医療用具GMP)については、昭和六二年一月二八日薬発第八七号薬務局長通知で示したところであるが、同基準の各条項の具体的内容、留意事項等は左記のとおりであるので、実施に当たつては遺憾のないよう十分留意されるとともに、貴管下医療用具製造業者に対して周知徹底を図られるようお願いする。
記
(一) 第一条関係
本基準は、医療用具の品質確保に必要な基本的事項を定めたものであること。
(二) 第二条関係
第三号の「製品である医療用具に使用されていないもの」とは、製造工程において使用される水、溶剤など工程中で揮散する物質をいうものであること。
(三) 第三条関係
ア 第一項第一号「品質保証に係る業務を管理すること」とは、責任技術者が、医療用具の製造所における組織の中で品質保証に係る業務に関する最終的な権限と責任を有するものであること。
イ 第一項第二号の「製品の製造所からの出荷の可否を決定すること」とは、製造された製品について、品質保証状況を正確に把握したうえで出荷の可否を決定するものであり、この決定のされない製品を医療用具製造業者は出荷してはならないものであること。
ウ 第二項の「支障を生じることがないようにしなければならない」とは、医療用具の製造業者が責任技術者の業務を妨げてはならないことはもとより、更にこれにとどまらず、責任技術者が業務を遂行するに当たつて積極的に支援しなければならないものであること。
エ 医療用具の製造業者は、支障がなく、かつ、やむを得ないと認められる場合には、責任技術者と同等の資格(薬事法施行規則第二四条第三項に規定する資格)を有する者を責任技術者の業務を代行する者(以下「副責任技術者」という。)として置くことができること。この場合、医療用具の製造業者は、あらかじめ副責任技術者、代行する業務の範囲等に関する事項及び代行された業務の責任技術者への報告方法等を文書で定めておかなければならないこと。
オ 第三項の「品質保証が適正である」とは、試験検査が正しく行われているだけでなく、品質保証体制が定期的に監査されているかどうかも含め、当該製造所の品質保証に係る業務が適切に行われているものであること。
カ 第四項は、鋼製小物等の製造所であつて、当該製造所の生産規模及び人員等に照らし、責任技術者のみで品質保証体制が適切に運営できると考えられる場合に限り認められるものであること。
(四) 第四条関係
ア 第一項の「書類を製造所ごとに作成しなければならない」とは、製造所ごとに書類を備えておくことであり、必ずしも各製造所において作成することを要しないものであること。
イ 第二項の「書類を常に適正なものとするよう努め、管理しなければならない」とは、製品標準書等の発行及び改廃については、責任技術者等の品質保証組織の意見を踏まえて行わなければならず、かつ、製品標準書等が必要な時にはいつでも活用できるようにしておくこと。
(五) 第五条関係
製品標準書には、当該医療用具の製造工程における品質保証のために必要な内容がすべて収められていなければならないこと。また、製品標準書の記載に当たつては、医療用具の製造承認書又はその他の基準、規格等を引用することができること。
第一項第一四号の「その他当該医療用具の品質保証のために必要な事項」とは、おおむね次の事項をいうものであること。
ア 製品、中間製品等の保管条件及び有効期間
イ 準拠している基準、規格等で重要なもの
(六) 第六条関係
品質保証基準書の記載に当たつては、既に作成されている基準、規格等を引用することができること。
ア 第一項第一号トの「その他製造管理に必要な事項」とは、おおむね次の事項をいうものであること。
(ア) 製造設備等の配置に関する事項
(イ) 整理、整頓等の作業環境の整備に関する事項
(ウ) 滅菌作業を行う場合については、滅菌作業の管理に関する事項
イ 第一項第二号ニの「再試験検査を必要とする場合の取扱いに関する事項」とは、再加工した場合、長期間保存した場合等の再試験検査の手続きをいうものであること。
ウ 第一項第二号への「その他試験検査管理に必要な事項」とは、おおむね次の事項をいうものであること。
(ア) 高度な理化学試験又は動物を用いる試験検査を他の試験検査設備を利用して行う場合には、検体の送付方法、試験検査結果の判定方法等に関する事項
(イ) 滅菌医療用具については、微生物学的試験検査の手順並びに製品の滅菌に関する試験検査の方法及び判定方法に関する事項
エ 第一項第三号の「制定者」、「改訂者」とは、それぞれ品質保証基準書の制定、改定を行うことができる権限を持つた者をいうものであること。
オ 第二項第三号の「その他製造衛生管理に必要な事項」とは、おおむね滅菌設備等の設備管理に関する事項をいうものであること。
(七) 第七条関係
作業指図書は、各製造工程において混同又は手違いがなく、作業が正しく行われると同時に、各製造工程での品質保証を確認するためのものであること。
また、作業の実施に当たつては、あらかじめ作業を行う者を定め、権限と責任の範囲を明確にしておかなければならないこと。
(八) 第八条関係
ア 第二号の「製造及び試験検査に関する記録」には、次の事項が記載されていなければならないものであること。
(ア) 医療用具の一般的名称又は販売名及び製造番号
(イ) 製造年月
(ウ) 製造数量
(エ) 中間製品及び製品の試験検査項目、試験実施年月日、試験実施条件、試験検査担当者名、試験検査結果、判定結果、判定年月日、判定者名及び他の試験検査設備を使用した場合にはその試験実施場所
(オ) 判定結果が不適であつた場合の措置
(カ) 前記の他、製造作業中にとられた措置
(キ) 記録者及び記録年月日
(ク) 使用の期限の記載が義務づけられている医療用具の場合にあつては、使用の期限
(ケ) 出荷の可否
イ 第五号の「苦情の内容、原因究明及び改善措置」とは、次の事項をいうものであること。
(ア) 苦情の内容
① 苦情対象医療用具の一般的名称又は販売名
② 苦情の発生年月日、発生場所及び申出者
③ 苦情の内容
(イ) 調査結果
① 苦情に係る医療用具の調査結果
② 試験検査記録の調査結果
③ 製造記録及び衛生管理に関する記録の調査結果
(ウ) 調査結果の判定
(エ) 改善措置の状況
ウ 第六号の「品質保証管理者が行う確認の記録」とは、第三条第三項の文書をいうものであること。
(九) 第九条関係
ア 苦情として寄せられた情報は、有益な情報が多いので品質保証の向上に活用すること。
イ 苦情処理を迅速に行うため、苦情処理体制を整備するとともに、一定の処理方法を確立する必要があること。
(一○) 第一〇条関係
教育訓練とは、日常の作業を通じて行うもの及び特別に計画された課程によつて行うものであること。