添付一覧
○眼科用薬製造(輸入)承認基準について
(昭和六一年七月二九日)
(薬発第六二三号)
(各都道府県知事あて厚生省薬務局長通知)
一般用医薬品のうち、眼科用薬の製造(輸入)の承認については、別紙の眼科用薬製造(輸入)承認基準(以下「基準」という。)により行うこととしたので、左記に御留意のうえ関係製造(輸入販売)業者に対し周知徹底を図るとともに、円滑な事務処理が行われるよう何分の御配慮を煩わしたい。
なお、本基準は、昭和六一年八月八日以降製造(輸入)承認申請される品目に対し適用される。
記
一 眼疾患の症状及びコンタクトレンズ装着時に用いることを目的として調製された眼粘膜に適用する薬剤には、すべてこの基準が適用されること。
二 基準に基づき製造(輸入)承認を受けようとする者は、申請書の備考欄に「一般用」に併せて「眼科用薬製造(輸入)承認基準による」と記載すること。
三 現に製造(輸入)承認申請中のもの及び既に製造(輸入)承認を受けているものについては、この基準に照らし所要の措置をとらせること。
別紙
眼科用薬製造(輸入)承認基準
一 眼科用薬の範囲
ここでいう眼科用薬の範囲は、眼疾患の症状及びコンタクトレンズ装着時に用いることを目的として調製された眼粘膜に適用する薬剤とする。
二 基準
眼科用薬の基準は、次のとおりとする。
なお、この基準に適合しないものにあつては、有効性、安全性及び配合理由についての資料の提出を求め、それに基づき審査する。
(一) 有効成分の種類
(ア) 配合できる有効成分の種類は、別表Ⅰに掲げるものとする。
(イ) 配合しなければならない有効成分は、別表ⅠのA欄、B欄、C欄、D欄、E欄一項・二項・三項、F欄、G欄、H欄、I欄一項又はJ欄に掲げるもののうちいずれか一種以上とする。
(ウ) 別表ⅠのA欄、B欄、C欄、D欄、E欄一項・二項・三項又はF欄一項に掲げる有効成分を主体とした製剤(以下「一般点眼薬」という。)は、A欄、B欄、C欄、D欄、E欄一項・二項・三項又はF欄一項の有効成分を相互に配合できるほか、同表のE欄四項・五項・六項又はF欄二項・三項に掲げる有効成分を配合することができる。
(エ) 別表ⅠのG欄に掲げる有効成分を主体とした製剤(以下「抗菌性点眼薬」という。)は、同表のA欄、B欄、C欄、D欄、E欄又はF欄に掲げる有効成分を合せて三種まで配合することができる。
(オ) 別表ⅠのF欄二項・三項又はH欄に掲げる有効成分を主体とした製剤(以下「人工涙液」という。)は、F欄二項・三項又はH欄の有効成分を相互に配合できるほか、同表のF欄一項又はI欄の有効成分を配合することができる。
(カ) 別表ⅠのI欄一項に掲げる有効成分を主体とした製剤(以下「コンタクトレンズ装着液」という。)は、同表のF欄、H欄又はI欄二項に掲げる有効成分を配合することができる。
(キ) 別表ⅠのC欄、D欄、H欄又はJ欄に掲げる有効成分を主体とし、洗眼の用法を有する製剤(以下「洗眼薬」という。)のうち、C欄又はD欄に掲げる有効成分を主体とした製剤は、C欄又はD欄の有効成分を相互に配合できるほか、同表のE欄又はF欄に掲げる有効成分を配合することができる。
また、H欄又はJ欄に掲げる有効成分を主体とした製剤はH欄又はJ欄に掲げる有効成分を一種のみ配合できるが、この基準に掲げる他の有効成分を配合することができない。
(ク) 別表ⅠのA欄、D欄又はG欄に掲げる有効成分を配合する場合は各欄ごとにそれぞれ一種までとする。
(ケ) 別表ⅠのC欄、E欄又はF欄に掲げる有効成分を配合する場合は、各欄ごとにそれぞれ三種までとする。ただし、同一項内においては一種までとする。
(二) 有効成分の分量
(ア) 別表ⅠのA欄、B欄、C欄、D欄、E欄、F欄、G欄、I欄一項及びJ欄に掲げる有効成分の最大濃度は同表に掲げる量とする。
ただし、洗眼薬にあつては同表のC欄、D欄、E欄及びF欄に掲げる有効成分の最大濃度はそれぞれの最大濃度の一〇分の一とする。
(イ) 別表ⅠのC欄、E欄又はF欄に掲げる有効成分を同一欄内で二種以上配合する場合は、当該有効成分ごとの配合濃度をそれぞれの最大濃度で除して得た数値の和が二を超えてはならない。
ただし、洗眼薬の場合の最大濃度は(二)(ア)に定める濃度を用いる。
(ウ) 一般点眼薬に別表ⅠのA欄、B欄、C欄、D欄、E欄一項・二項・三項又はF欄一項に掲げる有効成分のいずれか一種のみを配合する場合の有効成分の最小濃度は最大濃度の二分の一とし、二種以上配合する場合の当該有効成分の最小濃度は最大濃度の五分の一とする。
(エ) 抗菌性点眼薬に別表ⅠのG欄に掲げる有効成分を配合する場合の有効成分の最小濃度は最大濃度の二分の一とし、同表のA欄、B欄、C欄、D欄、E欄一項・二項・三項又はF欄一項に掲げる有効成分を配合する場合の当該有効成分の最小濃度は最大濃度の五分の一とする。
(オ) 人工涙液に別表ⅠのF欄又はI欄一項に掲げる有効成分を配合する場合の有効成分の最小濃度は最大濃度の一〇分の一とする。なお人工涙液にあつては、別に定めるpH 及び浸透圧試験法により試験をするときpH は五・五~八・〇の範囲であり、浸透圧比は〇・八五~一・五五(対生理食塩水浸透圧比)の範囲でなければならない。
(カ) コンタクトレンズ装着液に別表ⅠのI欄一項に掲げる有効成分を一種配合する場合の最小濃度は最大濃度の二分の一とし、二種配合する場合の当該有効成分の最小濃度は最大濃度の五分の一とする。
また、F欄に掲げる有効成分を配合する場合の有効成分の最小濃度は最大濃度の一〇分の一とする。
(キ) 洗眼薬に別表ⅠのC欄、D欄又はJ欄に掲げる有効成分を配合する場合の当該有効成分の最小濃度は(二)(ア)に定める最大濃度の五分の一とし、同表のE欄又はF欄に掲げる有効成分を配合する場合の当該有効成分の最小濃度は(二)(ア)に定める最大濃度の一〇分の一とする。なお洗眼薬にあつては、別に定めるpH及び浸透圧試験法により試験をするときpHは五・五~八・〇の範囲であり、浸透圧比は〇・六〇~一・五五(対生理食塩水浸透圧比)の範囲でなければならない。
(ク) 別に定める場合を除き、別表ⅠのE欄四項・五項・六項又はF欄二項・三項に掲げる有効成分を配合する場合の当該有効成分の最小濃度は最大濃度の一〇分の一とする。
(三) 剤型
剤型は、点眼剤(点眼液及び洗眼液)とする。
(四) 用法及び用量
(ア) 一般点眼薬、抗菌性点眼薬及び人工涙液にあつては、一日三~六回の範囲で点眼するものとする。
(イ) コンタクトレンズ装着液にあつては、具体的方法を記載するものとする。
(ウ) 洗眼薬にあつては、一日三~六回の範囲の洗眼するものとする。
(五) 効能又は効果
(ア) 一般点眼薬の効能又は効果は、別表Ⅱ―一の範囲とする。
ただし、次の表の下欄に掲げる有効成分のいずれか一種が配合されていない場合には、同表上欄に掲げる効能又は効果をうたうことはできない。
上欄 |
下欄 |
結膜充血 |
A欄、C欄、D欄 |
紫外線その他の光線による眼炎(雪目など)、眼瞼炎(まぶたのただれ)、目のかゆみ |
C欄、D欄、E欄一項 |
(イ) 抗菌性点眼薬の効能又は効果は、別表Ⅱ―二の範囲とする。
(ウ) 人工涙液の効能又は効果は、別表Ⅱ―三の範囲とする。
ただし、「ソフトコンタクトレンズを装着しているときの不快感」については、配合成分のレンズへの吸着等による影響がある場合にはうたうことはできない。
(エ) コンタクトレンズ装着液の効能又は効果は、別表Ⅱ―四の範囲とする。
ただし、「ソフトコンタクトレンズの装着を容易にする」については、配合成分のレンズへの吸着等による影響がある場合にはうたうことはできない。
(オ) 洗眼薬の効能又は効果は、別表Ⅱ―五の範囲とする。
(六) 包装単位
(ア) 一般点眼薬、抗菌性点眼薬及び人工涙液の容器の最大容量は、二〇mlを限度とする。
(イ) コンタクトレンズ装着液の容器の最大容量は、一〇〇mlを限度とする。
(ウ) 洗眼薬の容器の最大容量は、五〇〇mlを限度とする。
別表Ⅰ
欄 |
項 |
有効成分 |
最大濃度(%) |
A |
|
エピネフリン |
0.003 |
塩酸エピネフリン |
0.003 (エピネフリンとして) |
||
塩酸エフェドリン |
0.1 |
||
塩酸テトラヒドロゾリン |
0.05 |
||
塩酸ナファゾリン |
0.003 |
||
硝酸ナファゾリン |
0.003 |
||
塩酸フェニレフリン |
0.1 |
||
dl―塩酸メチルエフェドリン |
0.1 |
||
B |
|
メチル硫酸ネオスチグミン |
0.005 |
C |
1 |
イプシロン―アミノカプロン酸 |
5 |
2 |
アラントイン |
0.3 |
|
3 |
塩化ベルベリン |
0.025 |
|
硫酸ベルベリン |
0.025 |
||
4 |
アズレンスルホン酸ナトリウム |
0.02 |
|
5 |
グリチルリチン酸二カリウム |
0.25 |
|
6 |
硫酸亜鉛 |
0.25 |
|
乳酸亜鉛 |
0.25 |
||
7 |
塩化リゾチーム |
0.5(力価) |
|
D |
|
塩酸ジフェンヒドラミン |
0.05 |
マイレン酸クロルフェニラミン |
0.03 |
||
E |
1 |
フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム |
0.05 |
2 |
シアノコバラミン |
0.02 |
|
3 |
酢酸レチノール |
5万単位/100ml |
|
バルミチン酸レチノール |
5万単位/100ml |
||
4 |
塩酸ピリドキシン |
0.1 |
|
5 |
パンテノール |
0.1 |
|
パントテン酸カルシウム |
0.1 |
||
パントテン酸ナトリウム |
0.1 |
||
6 |
酢酸トコフェロール |
0.05 |
|
F |
1 |
L―アスパラギン酸カリウム |
1 |
L―アスパラギン酸マグネシウム |
1 |
||
L―アスパラギン酸マグネシウム・カリウム(等量混合物) |
2 |
||
2 |
アミノエチルスルホン酸 |
1 |
|
3 |
コンドロイチン硫酸ナトリウム |
0.5 |
|
G |
|
スルファメトキサゾール |
4 |
スルファメトキサゾールナトリウム |
4 |
||
スルフイソキサゾール |
4 |
||
スルフイソミジンナトリウム |
5 |
||
H |
|
塩化カリウム |
― |
塩化カルシウム |
― |
||
塩化ナトリウム |
― |
||
炭酸水素ナトリウム |
― |
||
炭酸ナトリウム |
― |
||
乾燥炭酸ナトリウム |
― |
||
硫酸マグネシウム |
― |
||
リン酸水素ナトリウム |
― |
||
リン酸二水素ナトリウム |
― |
||
リン酸二水素カリウム |
― |
||
I |
1 |
ポリビニルアルコール |
2 |
ポリビニルピロリドン |
2.5 |
||
2 |
ヒドロキシエチルセルロース |
― |
|
ヒドロキシプロピルメチルセルロース |
― |
||
ブドウ糖 |
― |
||
メチルセルロース |
― |
||
J |
|
アルキルポリアミノエチルグリシン |
0.1 |
ホウ酸 |
2 |
別表Ⅱ
1 (一般点眼薬) |
目の疲れ、結膜充血、眼病予防(水泳のあと、ほこりや汗が目に入つたときなど)、紫外線その他の光線による眼炎(雪目など)、眼瞼炎(まぶたのただれ)、ハードコンタクトレンズを装着しているときの不快感、目のかゆみ、目のかすみ(目やにの多いときなど) |
2 (抗菌性点眼薬) |
結膜炎(はやり目)、ものもらい、眼瞼炎(まぶたのただれ)、目のかゆみ |
3 (人工涙液) |
目の疲れ、涙液の補助(目のかわき)、ハードコンタクトレンズ又はソフトコンタクトレンズを装着しているときの不快感、目のかすみ(目やにの多いときなど) |
4 (コンタクトレンズ装着液) |
ハードコンタクトレンズ又はソフトコンタクトレンズの装着を容易にする。 |
5 (洗眼薬) |
目の洗浄、眼病予防(水泳のあと、ほこりや汗が目に入つたときなど) |