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○体外診断用医薬品の取扱いについて

(昭和六〇年六月二九日)

(薬発第六六二号)

(各都道府県知事あて厚生省薬務局長通知)

体外診断用医薬品の製造又は輸入の承認申請に際し添付すべき資料については、昭和五五年五月三〇日薬発第六九八号薬務局長通知により取り扱ってきたところであるが、昭和六〇年七月三一日以降は、別添1「体外診断用医薬品の範囲」、別添2「体外診断用医薬品の製造又は輸入の承認申請に際し添付すべき資料等の取扱い」及び別添3「体外診断用医薬品の添付文書の記載要領」により取り扱うこととしたので、左記の諸点に御留意のうえ、貴管下関係業者に対する周知徹底方御配意願いたい。

1 改正要旨

(1) 体外診断用医薬品の範囲の明確化を図ったこと。

(2) 体外診断用医薬品のクラス分けを行い、測定項目が新しくない品目については、申請資料の簡素化を行ったこと。

① 測定項目が新しい品目については、臨床性能試験データを要求し、その他の品目については、既承認医薬品等との相関性に関するデータで差し支えないこととしたこと。

なお、測定項目は新しくないが測定原理が全く新しい品目については、測定項目が新しい品目に含めることとするが、臨床性能試験に関するデータについては、既承認医薬品等との相関性に関するデータで差し支えないこととしたこと。

② 測定項目は新しくないが測定方法が新しい品目については、測定方法、キットの性能(特異性、感度、再現性)及び既承認医薬品等との相関性に関するデータについての資料以外は申請資料から除外することとしたこと。

ただし、除外された資料も、申請者自身が保管管理することとしたこと。

③ 測定項目、測定方法ともに既存の品目については、原則としてその旨の説明資料以外は申請資料から除外することとしたこと。

ただし、除外された資料も、申請者自身が保管管理することとしたこと。

(3) 体外診断用医薬品は、他の医薬品とは異なる特性を有するものであることから、性能に影響を与えない範囲での軽微な変更については、一部変更承認の手続きは必要としないこととすること。

(4) 体外診断用医薬品の添付文書の記載要領を定めたこと。

2 留意点

(1) 体外診断用医薬品の区分について

① 「測定項目が新しい品目」とは、検出又は測定しようとする対象物質又は項目が我が国においてこれまでに承認された体外診断用医薬品によっては検出又は測定されたことがないものをいう。

なお、測定する対象物質又は項目が既存のものと同一であるか否か科学的に明らかでないもの(例えば、癌胎児性抗原(CEA)の抗原種の違い)を検出又は測定する品目は、これに含まれる。

② 「測定項目は新しくないが測定原理が全く新しい品目」には、現在、既に我が国で確立している測定原理を応用するものは含まれない。

③ 「測定項目は新しくないが測定方法が新しい品目」には、例えば我が国では、従来凝集反応を利用した方法で測定されていたものに、新たに酵素抗体法が導入される場合には「測定方法が新しい品目」として取り扱われる。なお、測定方法の区分けの例を示すと、次のとおりである。

(例示)

ア 凝集反応を利用する方法

イ 酵素抗体法(EIA)

ウ ラジオイムノアッセイ法(RIA)

エ 反応系の主体が化学的反応である方法

オ 反応系の主体が生化学的反応(酵素法等)である方法

カ 物理的方法(比重、重量測定等)

④ 測定項目が既存のものと同一であり、測定方法が定性試験(半定量試験を含む。)から定量試験に、又は定量試験から定性試験に変更するものであって、その測定方法が類似している場合には、「測定項目、測定方法とも既存の品目」に含まれることとする。

(2) 性能に影響を与えない範囲での軽微な変更に関する承認申請上の取扱いについては、別途課長通知により明らかにする。

3 施行期日等

(1) 本通知は、昭和六〇年七月三一日付けで施行することとし、同日以降新たに申請されるものについて適用する。

なお、体外診断用医薬品の範囲の明確化に伴う措置については、別途指示する。

(2) 体外診断用医薬品については、通常の医薬品とは別に受け付け、審査を行うこととする。

なお、承認申請書の進達に当たっては、当該進達書の右肩に[外診]の表示を朱書するようお願いする。

(3) 昭和五五年五月三〇日薬発第六九八号薬務局長通知中別表2―(3)の2、別表2―(5)の2及び別表2―(6)は削除する。

したがって、ラジオイムノアッセイ(RIA)キット、非放射性免疫測定キット、生化学検査用キットについて、承認申請に際し添付すべき資料等の取扱いは同一となる。

別添1

体外診断用医薬品の範囲

体外診断用医薬品は、人に由来する試料を検体とし、(2)に示す検体中の物質等を検出又は測定することにより、(1)に示す疾病の診断に使用されることが目的とされているものであって、人の身体に直接使用されることのないものである。

ただし、病原性の菌を特定する培地、抗菌性物質を含有する細菌感受性試験培地及びディスクは、これに含まれる。

なお、(3)の形態以外の体外診断用医薬品に関する取扱いについては、別途指示する。

(1) 目的

次のいずれかを目的とするもの

(ア) 各種生体機能(各種器官の機能、免疫能、血液凝固能等)の程度の診断

(イ) 罹患の有無、疾患の部位又は疾患の進行の程度の診断

(ウ) 治療の方法又は治療の効果の程度の診断

(エ) 妊娠の有無の診断

(オ) 血液型又は細胞型の診断

(2) 対象

検体中の次の物質又は項目を検出又は測定するもの

(ア) アミノ酸、ペプチド、蛋白質、糖、脂質、核酸、電解質、無機質、水分等

(イ) ホルモン、酵素、ビタミン、補酵素等

(ウ) 薬物又はその代謝物等

(エ) 抗原、抗体等

(オ) ウイルス、微生物、原虫又はその卵等

(カ) pH、酸度等

(キ) 細胞、組織又はそれらの成分等

(3) 形態

(ア) 複数の試薬(試薬を含有する紙、布等を含む。)により、前記(2)の物質又は項目を検出若しくは測定する形態(いわゆるキット)

なお、キットから標準試薬(例、標準血清)を除いたものは、これに含まれる。

(イ) 単試薬により、前記(2)の物質又は項目を検出若しくは測定する形態

別添2

第1 体外診断用医薬品の区分について

1 区分1

「新規項目」とする。

「新規項目」とは、検出又は測定しようとする対象物質又は項目が我が国においてこれまでに承認された体外診断用医薬品によって検出又は測定されたことがないものをいう。

2 区分2

「既存項目」とする。

「既存項目」とは、我が国においてこれまでに承認された体外診断用医薬品によって検出又は測定されるものと同一であるものをいう。

区分2は次の区分2―A及び区分2―Bとする。

(1) 区分2―A

「既存項目」のうち、以下に示す保健衛生上特に重要なものとする。

ア 感染症検査項目の一部

イ 血液型判定用抗体基準の改正を必要とするもの

ウ 病原体遺伝子検査項目

エ ヒト遺伝子検査項目

オ 新測定原理品目

なお、測定検体又は測定感度が既承認品目と異なる等の理由で、新たな臨床診断上の意義が生じるものもこれに含める。

(2) 区分2―B

「既存項目」のうち、区分2―A以外の項目とする。

第2 承認申請書に添付すべき資料

1 承認申請書に添付すべき資料の内容は、概ね別表の左欄に掲げる資料とする。

また、資料の範囲は、原則として別表右欄の区分に従い、同表左欄に示す資料とする。

2 添付資料については、現在の医学薬学の常識より考えて明らかに不必要な場合には省略できる。

3 以下の資料を承認申請の際に参考までに提出すること。

(1) 添付文書(案)

ただし、区分2―Bは添付文書(案)の提出は必要としない。

(2) 血液型判定用医薬品のうち「血液型判定用抗体基準」の改正を要するものについては改正(案)

第3 その他

本通知日以前に発翰された通達において昭和六〇年六月二九日薬発第六六二号「体外診断用医薬品の取扱いについて」の別添2中の添付すべき資料に係る内容を引用しているものについては、本通知の該当する内容に読み換えるものとする。

別表

承認申請書に添付すべき資料

○:添付、△:添付が必要な場合あり、×:添付不要注1)(申請者自身が保管管理すること。)

左欄

右欄

資料内容

区分1

区分2

新規項目

A

B

標準品

標準品

1 開発の経緯及び国内外における使用状況等に関する資料

ア 開発の経緯、国内外での使用状況及び臨床診断上の意義に関する資料

 

 

イ 申請品目の説明に関する資料

2 構成試薬に含まれる成分に関する資料

ア HBV等存在否定試験

×

×

3 規格及び試験方法に関する資料

ア 規格及び試験方法の設定等に関する資料

注2)

注2)

4 性能に関する資料

ア 操作方法に関する資料

×

×

イ 測定範囲等に関する資料

×

×

ウ 添加回収試験に関する資料

×

×

エ 希釈試験に関する資料

×

×

5 較正用の基準物質の設定に関する資料

ア 較正用の基準物質の設定に関する資料

 

×

 

6 保存条件及び有効期間の設定に関する資料

ア 保存条件及び有効期間の設定に関する資料

×

×

7 臨床性能試験データに関する資料

ア 臨床性能試験データに関する資料

 

 

 

 

8 既承認体外診断用医薬品との相関性データに関する資料

ア 既承認体外診断用医薬品との相関性データに関する資料

 

注2)

注2)

9 セロコンバージョンパネル等を用いた試験に関する資料

ア セロコンバージョンパネル等を用いた試験に関する資料

10 依頼試験に関する資料

ア 依頼試験に関する資料

注1) 申請時に添付不要な資料は、整理された状態で社内の一定の場所に保存されており、審査の際に求められれば直ちに提出すること。

注2) 血液型判定用医薬品及び血液凝固因子測定用医薬品は区分に係わらず、規格及び試験方法に関する資料と相関性に関するデータの添付が必要である。

別添3

体外診断用医薬品の添付文書の記載要領

1 記載項目

(1) 作成・改訂年月

(2) 薬効分類名(体外診断用医薬品であることの明記)

(3) 規制区分

(4) 名称

(5) 開発の経緯及び特徴

(6) 本質(キットの構成)

(7) 効能・効果(使用目的)

(8) 用法・用量(操作法)

(9) 測定方法、性能、妨害物質

(10) 使用上又は取扱い上の注意

(11) 貯法、有効期間

(12) 包装単位

(13) 主要文献及び文献請求先

(14) 製造業者又は輸入販売業者の氏名又は名称及び住所

2 記載要領

(1) 作成・改訂年月

(2) 薬効分類名

「体外診断用医薬品」と記載すること。なお、放射性医薬品の場合には、「体外診断用放射性医薬品」と記載すること。

(3) 規制区分

キットの構成試薬が毒薬、劇薬等に該当するものにあっては、それぞれ(毒)、(劇)等の印を(6)本質欄の当該構成試薬の名称に併記する。

(4) 名称

承認を受けた販売名を記載すること。

(5) 開発の経緯及び特徴

当該医薬品の開発の経緯、特徴を簡潔に記載すること。また、臨床性能試験データに関する資料等に基づき臨床診断上の有用性についても記載すること。

(6) 本質(キットの構成)

① キットを構成する試薬

② 構成試薬の成分に関する記載

1) 反応系に関与する成分について、その名称(一般的名称があるものにあっては、その一般的名称)及び分量

2) キットの構成試薬が毒薬、劇薬等に該当するものについては、その成分の名称及び濃度

なお、その他の成分についても可能な場合には、記載することが望ましい。

3) 合成成分以外のものについては、その由来(菌株、動物種、臓器等)、力価等を記載すること。

③ 標準品(較正用の基準物質を含む。)については、設定の根拠及び力価等を記載すること。

(7) 効能・効果(使用目的)

承認を受けた効能又は効果を記載すること。

(8) 用法・用量(操作法)

承認を受けた用法及び用量に基づき詳細な操作法を記載すること。

(9) 測定方法、性能、妨害物質

① 当該医薬品による測定方法及び特徴を記載すること。

② 性能(感度、特異性、再現性、測定範囲)について記載すること。

③ 測定試料の性質、試料の採取法、妨害薬剤、妨害物質など測定値に影響を与える諸因子とそれらに対する操作上の留意事項を記載すること。

④ 測定結果の判定法及び判定に係る注意事項を記載すること。

⑤ 既承認医薬品又は基準的方法との相関性に関する成績を記載すること。ただし、他製品との比較は、それが汎用製品であり、かつ十分な客観性のある比較データがある場合にのみ記載すること。また、性能の確認に使用しうる測定しようとする対象物質又は項目の標準品(標準物質)がある場合は、相関性に関する成績の記載を省略できるが、性能の確認に使用した標準品(標準物質)名を明記すること。

(10) 使用上又は取扱い上の注意

① 使用者の危険防止に関する事項(例えば、HBウイルスに関する注意)を記載すること。

② 乾燥製剤であって溶解液が添付されている場合には、溶解液の用法、溶解後の貯法、有効期間について記載すること。

③ キットの構成試薬で個別に補充できるものがあれば、その旨を明記すること。希釈液等で使用者が調製、補充しなければならない場合は、その成分、調製法等を記載すること。

④ 廃棄物に関して必要な注意事項を記載すること。

⑤ 軽微な変更を行った場合には、変更事項等必要な情報を添付文書に記載すること。

⑥ 使用者に対し、使用に際しての必要な情報(操作法の安全情報を含む。)を提供すること。

(11) 貯法、有効期間

承認された貯法及び有効期間を記載すること。

(12) 包装単位

(13) 主要文献及び文献請求先

文献請求先にあっては、その氏名又は名称及び住所を記載すること。

(14) 製造業者又は販売業者の氏名又は名称及び住所