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○外国で実施された医薬品等の臨床試験データの取扱いについて

(昭和六〇年六月二九日)

(薬発第六六〇号)

(各都道府県知事あて厚生省薬務局長通知)

外国で実施された臨床試験データの医薬品等の製造(輸入)承認申請に当たっての取扱いについては、専門家より成る「外国の臨床試験データの評価に関する研究班」により研究を行ってきたところであるが、今般、その報告等を踏まえ、左記のとおり外国臨床試験データの受入れを図ることとするので、貴管下関係業者に対する周知徹底方御配意願いたい。

第一 医薬品について

外国で実施された臨床試験データ(ただし、体外診断用医薬品にあっては、「臨床性能試験データ」をいう。)は、第三の各項に適合する場合は審査資料として受入れることとする。

ただし、体外診断用医薬品以外の医薬品にあっては、必要に応じ、国内で実施された試験データの提出を求める。なお、吸収・分布・代謝・排泄に関する試験、投与量設定に関する試験及び比較臨床試験については、原則として国内で実施された臨床試験データが必要である。

また、体外診断用医薬品にあっては、測定項目が新しい品目並びに血液型判定用医薬品及び血液凝固因子測定用医薬品等検出しようとする物質との免疫学的反応が問題となるものについては、国内で実施された臨床性能試験データ(測定項目が新しくない品目については、既承認医薬品等との相関性に関するデータで可)が補完データとして必要である。

第二 医療用具について

外国で実施された臨床試験データは、第三の各項に適合する場合は審査資料として受入れることとする。

ただし、生体に移植して使用されるもので生体適合性に影響を及ぼすような医療用具にあっては、国内の臨床試験データが補完データとして必要である。

なお、生体に移植して使用される医療用具であって臨床試験データの添付が必要なものであっても、既に同種のものが承認され、国内での使用経験があるものについては、必ずしも国内補完データの添付を必要としない。

(例示、ペースメーカー、子宮内避妊器具(IUD)、コンタクトレンズ、人工乳房)

第三 受入れの要件及び留意点

 

受入れの要件

申請に当たっての留意点

1

臨床試験の方法、臨床評価の方法等が、我が国の基準又はガイドラインを満たすものであるか、我が国の医療実態に適用し得るものであること。

我が国の基準又はガイドラインに適合していない場合には、我が国の医療実態に適用し得るものであるかどうかを適切に評価できるようにするため、臨床試験を実施した国における医療実態の特性等を明らかにすること。

2

試験を適切に実施し得る経験と能力を有する研究者により、公的医療機関又は大学附属医療機関等信頼性ある医療機関において実施されたものであり、かつ、原則として学会誌等において公表されたものであること。

外国臨床試験データの作成研究者については、当該試験を適切に実施し得る経験と能力を有する者であることを示す資料(学歴、資格、学会発表歴、関係学会加入名簿等)を、また、医療機関については、当該施設が信頼性のあることを示す資料を、それぞれ添付すること。

3

適切な手順と方法(世界医師会が定めたヘルシンキ宣言の遵守、我が国の医薬品の臨床試験の実施に関する基準、医療用具の臨床試験の実施に関する基準又はこれらと同等以上の外国の基準への適合)で実施されたものであること。

臨床試験が適切な手順と方法により実施されたものであることを示す資料(治験プロトコールを含む。)を添付すること。

4

臨床試験データの基礎となった個別の症例記録・統計解析記録等の生データ等について、必要に応じ調査し得るものであること。

現地査察あるいは生データの提出など、適切な方法によりデータの信頼性を調査することがあるので、必要なデータ等は整理、管理しておくこと。

なお、臨床試験データは、原文中に、試験実施者が自ら実施した試験に基づき作成された旨の試験実施者本人の署名が必要である。

ただし、試験実施者が既に死亡している等、やむを得ない事情により署名を行うことができない場合はその理由を明らかにした文書を添付すること。

その他

 

外国臨床データ等に関する資料には、その全文を日本語に正確に翻訳したものを併せて提出すること。また、翻訳者の資格、経歴についても記載すること。

ただし、原文が英文で記載されたものであれば、その原文及び日本語要約を提出することで差し支えないこと。

第四 その他

1 外国で実施された臨床試験データを製造(輸入)承認申請資料として提出する場合にあっては、厚生省薬務局審査第一課、第二課及び生物製剤課は事前の相談に応じるものであること。

2 外国で実施された臨床試験データの受入れ措置は、昭和六〇年七月三一日以降提出される申請資料について適用する。

3 昭和五七年三月三一日薬発第三一五号薬務局長通知「医薬品等の製造(輸入)承認申請に際して提出すべき試験資料のうち、外国で実施された試験データの取扱いについて」第一―3は、削除する。