添付一覧
○鎮暈薬製造(輸入)承認基準について
(昭和五九年六月一日)
(薬発第三八一号)
(各都道府県知事あて厚生省薬務局長通知)
一般用医薬品のうち、鎮暈薬の製造(輸入)の承認については、別紙の鎮暈薬製造(輸入)承認基準(以下「基準」という。)により行うこととしたので、左記に御留意のうえ関係製造(輸入販売)業者に対し周知徹底を図るとともに、円滑な事務処理が行われるよう何分の御配慮を煩わしたい。
記
1 乗物酔い等に基づくめまい、吐き気及び頭痛などの症状の予防又は緩和に関する効能効果をうたう内服用薬剤(漢方処方に基づく製剤を除く。)には、すべてこの基準が適用されること。
2 別添のビタミン類を配合する場合は、配合理由及び安全性についての資料を添付する必要はないこと。
3 基準に基づき製造(輸入)承認を受けようとする者は、申請書の備考欄に「一般用」に併せて「鎮暈薬製造(輸入)承認基準による」と記載すること。
4 現に製造(輸入)承認申請中のものについては、この基準に照らし所要の措置を採らせること。
別紙
鎮暈薬製造(輸入)承認基準
1 鎮暈薬の範囲
ここでいう鎮暈薬の範囲は、乗物酔い等に基づくめまい、吐き気及び頭痛などの症状の予防又は緩和を目的として調製された内服用薬剤(漢方処方に基づく製剤を除く。)とする。
2 基準
鎮暈薬のうち乗物酔いに基づく症状の予防又は緩和を目的とするもの(以下「乗物酔い薬」という。)の基準は、次のとおりとする。
なお、この基準に適合しない乗物酔い薬及び乗物酔い薬以外の鎮暈薬にあつては、有効性、安全性及び配合理由についての資料の提出を求め、それに基づき審査する。
(1) 有効成分の種類
(ア) 配合できる有効成分の種類は、別表1に掲げるものとする。
(イ) 配合しなければならない有効成分は、別表1のⅠ欄又はⅡ欄Ⅰ項に掲げるもののいずれか一種類以上とする。
(ウ) 別表1のⅠ欄、Ⅱ欄、Ⅲ欄、Ⅳ欄、Ⅴ欄、Ⅵ欄又はⅦ欄に掲げる有効成分は相互に配合することができる。
ただし、内用液剤にあつては、Ⅰ欄、Ⅱ欄Ⅰ項、Ⅴ欄又はⅦ欄の範囲内とする。
(エ) 別表1のⅠ欄又はⅤ欄に掲げる有効成分を配合する場合は、同一欄内においては二種まで(ただし、Ⅴ欄の同一項内においては一種まで)とする。
また、その他の欄に掲げる有効成分を配合する場合は、同一欄内においては一種とする。
(オ) 別表1に掲げる有効成分のほか、ビタミン類であつて配合理由があり、かつ作用が緩和なものについては、別添により配合して差し支えない。
(2) 有効成分の分量
(ア) 別表1に掲げる各有効成分の一回及び一日最大分量は同表に掲げる量とする。
(イ) 別表1のうち、Ⅰ欄又はⅡ欄Ⅰ項に掲げる有効成分のうち一種配合する場合の当該有効成分の一回量の下限は、一回最大分量の1/2とする。
(ウ) 別表1のうち、Ⅰ欄に掲げる有効成分を二種配合する場合の各有効成分の一回量の下限は、一回最大分量の1/5とし、また、当該有効成分ごとに配合する分量をそれぞれの一回最大分量で除して得た数値の和は、1/2以上であり、一を超えてはならない。
(エ) 別表1のうち、Ⅰ欄及びⅡ欄Ⅰ項に掲げる有効成分を相互に配合する場合の各有効成分の一回量の下限は、一回最大分量の1/5とし、また、当該有効成分ごとに配合する分量をそれぞれの一回最大分量で除して得た数値の和は、1/2以上であり、二を超えてはならない。
(オ) 別表1のうち、Ⅱ欄Ⅱ項・Ⅲ項、Ⅲ欄、Ⅳ欄、Ⅴ欄又はⅥ欄に掲げる各有効成分の一回量の下限は、一回最大分量の1/5とする。
(カ) 別表1のうち、Ⅴ欄に掲げる有効成分を同一欄内で二種配合する場合は、当該有効成分ごとに配合する分量をそれぞれの一回最大分量で除して得た数値の和は、一を超えてはならない。
(キ) 別表1のうち、Ⅶ欄に掲げる各有効成分の一回量の下限は、一回最大分量の1/10とする。
(ク) 別添に掲げる各有効成分の一日最大分量は、同表に掲げる量とする。
(3) 剤型
剤型は、カプセル剤、顆粒剤、丸剤、細粒剤、散剤、錠剤、(チュアブル錠を含む。)及び内用液剤とする。
(4) 用法及び用量
(ア) 用法は、原則として一日一~三回(ただし、ジメンヒドリナートのみを有効成分とする製剤にあつては、一日一~四回)の範囲内で服用するものとし、服用時期又は服用間隔を明記すること。なお、一日二回以上服用する場合の服用間隔は、四時間以上おくこと。
(イ) 原則として三歳未満の者を対象とする用法は、認められない。また、アミノ安息香酸エチルを含有する製剤については、六歳未満の者を、塩酸プロメタジン及びプロメタジンメチレンジサリチル酸塩を含有する製剤については、一五歳未満の者を対象とする用法は、認められない。
(ウ) カプセル剤並びに直径六mmを超える丸剤及び錠剤については、五歳未満の者を対象とする用法は、認められない。
(エ) 一五歳未満の者における一回及び一日最大分量は、別表1に掲げる一回及び一日最大分量に別表2の当該年齢区分に対応する係数欄の数値を乗じた量とする。
(オ) チュアブル錠においては、服用方法も明記すること。
(5) 効能又は効果
乗物酔いによるめまい・吐き気・頭痛の予防及び緩和
(6) 包装単位
内用液剤の一容器の内容量は、原則として一回分とし、三〇mlを限度とする。
別表1
区分 |
有効成分名 |
1回最大分量(mg) |
1日最大分量(mg) |
|
Ⅰ欄 |
塩酸ジフェニドール |
25 |
75 |
|
塩酸ジフェニルピラリン |
4 |
12 |
||
塩酸ジフェンヒドラミン |
50 |
150 |
||
塩酸プロメタジン |
25 |
50 |
||
塩酸メクリジン |
50 |
75 |
||
サリチル酸ジフェンヒドラミン |
60 |
180 |
||
ジメンヒドリナート |
50 |
200 |
||
タンニン酸ジフェンヒドラミン |
150 |
450 |
||
タンニン酸フェネタジン |
30 |
90 |
||
テオクル酸ジフェニルピラリン |
3 |
9 |
||
フマル酸ジフェンヒドラミン |
60 |
180 |
||
プロメタジンメチレンジサリチル酸塩 |
30 |
60 |
||
dl―マレイン酸クロルフェニラミン |
4 |
12 |
||
d―マレイン酸クロルフェニラミン |
2 |
6 |
||
マレイン酸フェニラミン |
30 |
90 |
||
Ⅱ欄 |
Ⅰ項 |
臭化水素酸スコポラミン |
0.25 |
0.50 |
Ⅱ項 |
塩酸オキシフェンサイクリミン |
2.34 |
7 |
|
塩酸ジサイクロミン |
10 |
30 |
||
塩酸メチキセン |
2.92 |
8.75 |
||
臭化メチルアトロピン |
2 |
6 |
||
臭化メチルアニソトロピン |
10 |
30 |
||
臭化メチルスコポラミン |
1.6 |
4.8 |
||
臭化メチル―1―ヒヨスチアミン |
0.75 |
2.25 |
||
臭化メチルベナクチジウム |
10 |
30 |
||
ベラドンナエキス |
20 |
60 |
||
ヨウ化イソプロパミド |
2.5 |
7.5 |
||
ヨウ化ジフェニルピペリジノメチルジオキソラン |
20 |
60 |
||
ロートエキス |
20 |
60 |
||
Ⅲ項 |
塩酸パパベリン |
30 |
90 |
|
Ⅲ欄 |
アミノ安息香酸エチル |
100 |
300 |
|
シュウ酸セリウム |
100 |
300 |
||
ピペリジルアセチルアミノ安息香酸エチル |
200 |
600 |
||
Ⅳ欄 |
アリルイソプロピルアセチル尿素 |
60 |
180 |
|
プロムワレリル尿素 |
200 |
600 |
||
Ⅴ欄 |
Ⅰ項 |
カフェイン |
50 |
150 |
クエン酸カフェイン |
100 |
300 |
||
無水カフェイン |
50 |
150 |
||
Ⅱ項 |
アミノフィリン |
100 |
300 |
|
ジプロフィリン |
100 |
300 |
||
テオフィリン |
100 |
300 |
||
Ⅵ欄 |
炭酸水素ナトリウム |
1,000 |
3,000 |
|
Ⅶ欄 |
ハッカ油 |
5 |
15 |
|
dl―メントール |
30 |
90 |
||
l―メントール |
30 |
90 |
別表2 年齢区分別用量の換算係数表
年齢 |
係数 |
15歳以上 |
1 |
11歳以上15歳未満 |
2/3 |
7歳以上11歳未満 |
1/2 |
3歳以上7歳未満 |
1/3 |
別添
成分名 |
1日最大分量(mg) |
ビタミンB1及びその誘導体並びにそれらの塩類 |
25 |
ビタミンB2〃 |
12 |
ビタミンB6〃 |
50 |
ニコチン酸アミド |
60 |
パントテン酸カルシウム |
30 |