○薬事法の一部改正に伴う外国製造業者からの医薬品等の承認申請に係る審査手続等について
(昭和五八年八月一日)
(薬審第五六八号)
(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生省薬務局審査・安全・生物製剤課長連名通知)
今般、外国事業者による型式承認等の取得の円滑化のための関係法律の一部を改正する法律(昭和五八年法律第五七号)により、薬事法(昭和三五年法律第一四五号。以下「法」という。)の一部が改正され、昭和五八年八月一日より施行された。これに伴い、薬事法施行令(昭和三六年政令第一一号。以下「令」という。)及び薬事法施行規則(昭和三六年厚生省令第一号。以下「規則」という。)の一部が改正され、また、これらの取扱いについては、昭和五八年八月一日薬発第五九六号薬務局長通知「外国事業者による型式承認等の取得の円滑化のための関係法律の一部を改正する法律等の施行について」(以下「薬務局長通知」という。)により通知されたところであるが、さらに、外国製造業者による医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療用具(以下「医薬品等」という。)の製造承認の申請に係る手続等について、左記の通り詳細を定めたので了知されるとともに、貴管下関係業者に対する周知徹底方お願いいたしたい。
記
第一 外国製造業者による医薬品等の製造の承認の直接申請について
1 外国製造業者が医薬品等の製造の承認の直接申請を行うに際して提出すべき添付資料
(1) 外国製造業者が医薬品等の製造の承認の直接申請を行うに際して提出すべき資料として規則第二六条の三第二項各号に掲げる書類が定められたが、これらの書類は次のとおりとする。
ア 第一号に掲げる書類は、本邦における登記の謄本に相当する書類その他外国政府機関が発行した証明書とする。
イ 第二号に掲げる書類は、別紙様式例1によるものとする。ただし、外国語文によるものにあつては邦文による翻訳文を添付すること。
ウ 第三号に掲げる書類は、国内管理人との契約書の写しとする。
エ 第五号に掲げる書類は、別紙様式例2によるものとする。
ただし、規則第二六条の五第一号ホ(禁治産者を除く。)に該当しないことを明らかにする書類は、医師の診断書とする。
オ 第六号の「その事実を証する書類」とは、次に掲げる書類をいう。
(ア) 医薬品の場合
薬剤師免許証の写し。ただし、生物学的製剤その他厚生大臣の指定する医薬品の国内管理人については、外国製造生物学的製剤等管理資格承認書の写し
(イ) 医薬部外品の場合
規則第二四条第一項第一号に該当する者については薬剤師免許証の写し、同項第二号に該当する者についてはその学校の卒業証明書又は卒業証書の写し、同項第三号に該当する者については学校の卒業証明書又は卒業証書の写及びその者が医薬品又は医薬部外品の製造実務に三年以上従事したことを証する使用者の証明書、同項第四号に該当する者についてはこれらに準ずる書類
(ウ) 化粧品の場合
規則第二四条第二項第一号に該当する者については薬剤師免許証の写し、同項第二号に該当する者についてはその学校の卒業証明書又は卒業証書の写し、同項第三号に該当する者についてはその学校の当該科目を修得した旨の証明書及びその者が医薬品又は化粧品の製造実務に三年以上従事したことを証する使用者の証明書、同項第四号に該当する者についてはこれらに準ずる書類
(エ) 医療用具の場合
規則第二四条第三項第一号に該当する者についてはその学校の卒業証明書又は卒業証書の写し、同項第二号に該当するものについては学校の当該科目を修得した旨の証明書及び医療用具の製造実務に三年以上従事したことを証する使用者の証明書、同項第三号に該当する者についてはこれらに準ずる書類
カ 第七号のうち「国内管理従事者が同号イからニまでに掲げる承認の区分に応じそれぞれ同号イからニまでに定める者であることを証する書類」とは前記オに掲げる書類と同様であること。
(2) 規則第二六条の三第二項各号に掲げる資料については、法第一九条の二第四項において準用する法第一四条第四項の規定による医薬品等の製造の承認事項の一部変更の承認申請に際しては、添付する必要がないこと。
2 外国製造医薬品等の承認申請等に係る国内管理人
外国製造医薬品等に係る製造の承認申請、再審査申請及び再評価申請の手続については、規則第二六条の一一の規定により、国内管理人がこれを行うこととされている。したがつて、厚生大臣又は都道府県知事の外国製造業者に対する当該申請に係る指示、指導、連絡等は、国内管理人に対して行うものであること。
3 外国製造承認取得者の承認に係る医薬品等の輸入の許可
(1) 外国製造承認取得者の承認に係る医薬品等について、輸入販売業の許可又は輸入品目の変更等の許可を受けようとする者は、外国製造業者の当該医薬品等の、製造の承認申請に合わせて、許可申請を行つて差し支えないこと。
(2) 当該許可の申請に当たつては、規則第二六条の一四及び第二六条の一六に規定する資料のほか、当該許可申請品目に係る外国製造承認取得者の承認書の写し、又は当該外国製造業者が提出した当該品目に係る承認申請書の写しを添付すること。
第二 承認審査の一環として査察を行う場合の実施通知及び承認申請手数料の納入告知について
今般の令の改正により、医薬品等の承認審査に当たつて申請資料の信頼性を確保するため、厚生大臣が必要と認めるときは、その職員に試験を実施した施設等に対する査察を行わせることとしたが、当該申請者に対する査察の実施通知及びその者が納付すべき査察に係る承認申請手数料の納入告知は次により行うこととしたこと。
(1) 査察の実施通知
査察を行う場合、次の事項をあらかじめ医薬品等の製造(輸入)承認申請者に(外国製造業者の承認の申請の場合にあつては国内管理人に対して)通知する。
① 査察対象品目
② 査察対象試験施設名
③ 査察実施年月日
(2) 手数料の納入告知
査察に係る承認申請手数料の納入告知については、会計法第六条及び予算決算及び会計令第二九条等の規定に基づき、歳入徴収官より、当該承認申請者(外国製造業者の承認申請の場合にあつては国内管理人に対して)に書面をもつて行う。
第三 外国製造業者が行う本邦における治験の依頼について
1 治験国内管理人の選任
外国製造業者が本邦内における治験の依頼を行う場合には、外国製造業者は規則第六七条第一号の二の規定により、治験国内管理人を選任しなければならず、その要件等については、薬務局長通知によつて示されているが、さらにその選任に当たつては次の点に配慮すること。
(1) 治験国内管理人としては、医師、薬剤師等医薬学等に関して専門の知識、経験を有する者を選任すること。なお、この場合に、法第一九条の二の規定による製造の承認の申請をする際に国内管理人として選任することを予定している者を治験国内管理人として選任することが望ましいこと。
(2) 外国製造業者は、治験継続中治験国内管理人の変更は原則として行わず、また、治験目的が追加、変更される場合であつても、同一の治験の対象薬物又は器具機械(以下「治験薬等」という。)については、同一人を選任することが望ましいこと。なお、やむを得ず治験国内管理人を変更する場合にあつては、次項(5)に掲げる資料のすべてを遅滞なく変更前の治験国内管理人から変更後の治験国内管理人に引き継がせること。
2 治験国内管理人の遵守事項
治験国内管理人は、次により治験の適切な運営管理に努めること。
(1) 治験実施機関からの照会に対し、速やかに回答し、また、速やかに必要な情報を提供できる体制を整えておくこと。
(2) 治験中に治験薬等による重大な副作用事故等が発生した場合には速やかに情報を把握し、適切な対応措置を講ずることができるよう万全を期すること。
(3) 治験薬等の交付に当たつては、医薬品販売業者等の第三者を介在させることなく直接治験実施機関に交付すること。
(4) 治験薬等を治験の実施機関に交付するまでの間、その品質、性能が損われないよう適切な保管場所において保管管理すること。
(5) 治験薬等に関する左記の資料を当該品目に係る全ての治験が終了するまで(当該品目に係る治験が途中で中止された場合には、治験薬等の回収等の必要な措置が終了するまで)保存しておくこと。
ア 治験薬等の治験計画届書、治験計画変更届書、治験中止届書及び治験終了届書の写し
イ 治験薬等の毒性、薬理作用等に関する資料
ウ 治験によつて得られた有効性、安全性に関する資料
エ 治験薬等の治験の実施機関別交付数量に関する記録
オ 治験実施機関に提供した情報に関する資料
カ その他治験に関連する治験国内管理人としての業務に関する記録
(6) 治験により得られた有効性、安全性に関する情報、前記(5)の資料その他重要な情報について速やかに治験依頼者たる外国製造業者に伝達すること。
第四 削除
第五 資料の保存について
医薬品等の製造又は輸入承認の申請資料等の根拠となつた資料の保存については、次によること。
(1) 規則第二六条の二第一項及び第二項及び第二六条の五、第三号のハ中「根拠となつた資料」とは、試験によつて得られた標本類、及び作業記録、試験機器のチャート、実測値の記録等いわゆる生データなどの当該申請資料を作成する根拠となつた資料を指すものであること。
(2) 規則第二六条の二本文ただし書及び第二六条の五第三号ハただし書中の「資料の性質上その保存が著しく困難であると認められるもの」とは組織化学標本、血液標本等保管中に品質が著しく変化するおそれのある標本等をいい、これらの資料については、特に損傷又は品質の変化を最小限にとどめるべく適正な保管条件の下で保存するものとし、その保存期間は、その品質が評価に耐え得る期間とすること。
第六 副作用等に関する事項
1 副作用報告等
(1) 外国製造承認取得者の承認に係る医薬品等に関する副作用報告等については、外国製造承認取得者、国内管理人及び輸入販売業者の三者に義務が課されているが、これらのいずれかの者が、厚生大臣に報告すれば、他の二者が重複して報告する必要はないこと。
なお、当該報告に係る副作用等に対しては三者が相互に緊密な連絡をとり、適切な措置を講じる必要があること。
(2) 外国製造承認取得者が報告する場合においては、当該報告手続は、国内管理人が行うこととされている。
したがつて、当該報告に係る外国製造承認取得者に対する必要な指示、指導、連絡等は、国内管理人を通して行うものとすること。
2 承認後に実施する医薬品等の安全性試験
規則第一八条の三第二項、第二一条の三第二項及び第二一条の五第二項において、承認申請再審査申請又は再評価申請に際して提出される資料を作成するために必要とされる試験を実施するに当たつての遵守事項が明記されたが、医薬品等の製造承認等が行われた後において、医薬品等の安全性を確認する必要が生じた場合の試験についても、これら規定に準じて試験を実施するよう指導されたいこと。
第七 輸入販売業者への情報提供
法第七七条の三の規定による外国製造承認取得者又は国内管理人の輸入販売業者に対する情報提供については次の点に留意すること。
(1) 法第七七条の三の規定により外国製造承認取得者又は国内管理人に輸入販売業者への情報提供義務が課せられたところであり、外国製造承認取得者自らが、法第五〇条、第五二条(法第六〇条、第六二条又は第六四条において準用する場合を含む。)、第五九条、第六一条又は第六三条に規定する事項を直接の容器、添付文書等に記載する場合であつても、外国製造承認取得者又は国内管理人は、輸入販売業者に対し、当該医薬品等を適正に取り扱うために必要な規則第六四条の二第二号又は第三号に掲げる情報を提供すること。
(2) 法第七七条の三及び規則第六四条の二の規定による輸入販売業者への情報提供は、外国製造承認取得者又は国内管理人のいずれかの者が行えば、他の者が重複して行う必要はないこと。
第八 その他
本通知の施行に伴い、昭和四九年四月三日薬剤―第五六四号厚生省薬務局製薬第一課長通知「医薬品等の製造(輸入)承認の承継に関する承認許可事務について」は廃止する。
(別紙)