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○医療用医薬品添付文書の記載要領について

(昭和五八年五月一八日)

(薬監第三八号)

(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生省薬務局監視指導課長通知)

標記については、昭和五八年五月一八日薬発第三八五号薬務局長通知(以下「局長通知」という。)により通知されたところであるが、その運用に当たつて留意すべき事項は左記のとおりであるので、御了知のうえ、貴管下関係業者、団体等に対し周知徹底を図られたい。

おつて、昭和四五年四月二一日薬監第一六七号薬務局監視課長通知「医療用医薬品の添付文書について」は廃止する。

第一 記載上の一般的留意事項

1 各項目の記載は、原則として局長通知の「第一 記載項目」に示した番号の順とすることとし、できる限り全項目について記載することが望ましいが、記載すべき適切な情報のない場合には、項目名を含め省略しても差し支えないこと。

2 「組成」から「主要文献及び文献請求先」までの各項目の記載に当たつては、項目名を明示したうえ記載することとし、項目名は原則として局長通知に示すものを用いることとすること。ただし、「効能又は効果」の項目名を「効能効果」又は「効能・効果」に、「用及び用量」の項目名を「用法用量」又は「用法・用量」に代えることは差し支えないこと。

3 「効能又は効果」、「用法及び用量」、「警告」及び「使用上の注意」の各項目の記載に当たつては、大きな活字(八ポイント程度)を用いる等他の項目に比較して見やすくするよう配慮すること。

4 添付文書の記載内容は根拠とすべきデータに基づくことが必須であるが、特に「薬効薬理」、「体内薬物動態」、「臨床適用」及び「非臨床試験」の各項目の記載に当たつては、原則としてオリジナルなデータに基づく正確な記載が必要であること。

また、例外的なデータをとりあげて、それが一般的な事実であるような印象を与える表現はしないこと。

第二 各項目に関する留意事項

1 「1 作成又は改訂年月」について

① 作成又は改訂年月は添付文書の左(右)上隅等冒頭に記載すること。

② 記載事項のうち、「効能又は効果」、「用法及び用量」、「警告」、「使用上の注意」等医薬品の使用に際し重要な影響を与えると思われる部分について改訂した場合には、左記の方法により記載すること。

ア 改訂を行つた字句、項目等のうち該当する適当な箇所に「 * 」印等を付し、改訂箇所を明らかにすること。

イ 各改訂年月の記載は、次々回改訂が行われるまで継続表示することとし、新たな改訂年月の記載に当たつては、前々回の改訂年月(第二回改訂時にあつては作成年月)を削除し、前回改訂年月に新たな改訂年月を併記すること。

2 「4 規制区分」について

対象となる医薬品は、毒薬及び劇薬については薬事法第四四条第一項及び第二項に、麻薬及び向精神薬については麻薬及び向精神薬取締法第二条第一号及び第六号に、覚せい剤及び覚せい剤原料については覚せい剤取締法第二条第一項及び第五項に、習慣性医薬品については薬事法第五〇条第八号に、指定医薬品については薬事法第二九条に、要指示医薬品については薬事法第四九条第一項に、それぞれ定められているものであること。

3 「7 組成」について

① 基準量(錠剤等個数として表わせる剤型のものにあつては、一定の個数、それ以外の剤型のものにあつては、一定の重量又は容量)中の有効成分の名称(一般的名称があるものにあつては、その一般的名称)及びその分量(有効成分が不明なものにあつては、その本質及び製造方法の要旨)を記載すること。

② 製剤の色調及び製剤の剤型に関する簡単な記載は、「16 性状」の項目と重複記載を行つても差し支えないこと。

4 「8 効能又は効果」について

承認を受けた効能又は効果を正確に記載すること。ただし、承認を要しない医薬品にあつては、医学薬学上認められた範囲内の効能又は効果を記載すること。

なお、既に再評価の終了した医薬品にあつては、前記にかかわらず再評価判定結果に基づいて記載すること。

5 「9 用法及び用量」について

① 承認を受けた用法及び用量を正確に記載すること。ただし、承認を要しない医薬品にあつては、医学薬学上認められた範囲内の用法及び用量を記載すること。

なお、既に再評価の終了した医薬品にあつては、前記にかかわらず再評価判定結果に基づいて記載すること。

② 日本薬局方に収載されている医薬品で極量の記載のある場合は、それも併記すること。

6 「12 薬効薬理」について

① 承認を受けた効能又は効果を裏付ける薬理作用及び作用機序を記載すること。

② ヒトによる薬効薬理試験等の結果を記載する場合には、対象の健康人・患者、性別、成人・小児等の区分を明記すること。また、動物実験の結果を記載する場合は動物種を記載し、in vitro試験の結果を記載する場合には、その旨を記載すること。

③ 他剤との比較を記載する場合には、十分な客観性のある比較データがあり、かつ、その対照医薬品が原則として繁用医薬品である場合のみに記載できるものであり、その比較対照とする医薬品は、一般的名称をもつて記載すること。

④ 配合剤の個々の配合有効成分の薬理作用及び作用機序を説明する場合には、その薬理作用等により、承認された効能又は効果(承認を要しない医薬品にあつては、医学薬学上認められた範囲内の効能又は効果)以外の効能又は効果に使用できるような印象を与える表現はしないこと。また、配合剤における相乗作用を表現する場合には、十分な客観性のあるデータのある場合にのみ記載すること。

7 「13 体内薬物動態」について

① 対象の健康人・患者等の区分を明記し、必要があれば、患者の状態についても付記すること。

② 他剤との比較を記載する場合には、十分な客観性のある比較データがあり、かつ、その対照医薬品が原則として繁用医薬品である場合にのみ記載できるものであり、その比較対照とする医薬品は、一般的名称をもつて記載すること。

8 「14 臨床適用」について

① 症例数、有効率等として数値で表現できないものであつても、臨床試験から得られた重要な情報は記載すること。副作用に関する記載にあつても同様であること。

② 「類薬で承認を受けている効能又は効果のうち当該医薬品について承認を受けていない効能又は効果」の記載に当たつては、次の点に留意すること。

ア 「薬効薬理からみて当該医薬品の主要な効能又は効果と考えられるもの」については、例えば、臨床試験の結果有用性が認められず承認を受けられない場合等があると考えられ、この場合、有用性が認められない理由を付し、その旨記載すること。

イ 「その他の効能又は効果で十分評価しうるデータが得られていない場合」の記載は、当該効能又は効果が承認を受けていないにもかかわらず、当該効能又は効果に適用されるおそれが高いものについて、当該効能又は効果は十分評価されていない旨の注意喚起を行うためのものである。したがつて、当該効能又は効果についてはデータ収集を積極的に進め、将来的に有用性の有無を明らかにすべきものであること。

なお、この記載の方法如何によつては、承認を受けていない効能又は効果を暗示し、法第五四条に抵触するおそれがあるので記載に当たつては十分注意が必要であること。

9 「15 非臨床試験」について

① 毒性試験又は一般薬理試験等の非臨床試験で得られた安全性等に関する知見を記載することとするが、人体に対し副作用を起こす可能性を示唆する知見については必ず記載すること。

② 動物実験の結果を記載する場合には動物種を記載すること。また、in vitro試験の結果を記載する場合にはその旨を記載すること。なお、これらの結果より人体への使用の安全性を保証する表現はしないこと。

③ 他剤との比較を記載する場合には、十分な客観性のある比較データがあり、かつ、その対照医薬品が原則として繁用医薬品である場合のみに記載できるものであり、その比較対照とする医薬品は、一般的名称をもつて記載すること。

10 「16 性状」について

無菌製剤である旨の記載には、点眼剤、眼軟膏剤及び個々の承認で無菌製剤であることが規定された医薬品が該当するが、これはこれらの医薬品の取扱いに際し、無菌製剤である旨を使用者に伝達しておくことが必要と考えられたためであること。注射剤も無菌製剤ではあるが、無菌製剤であることが既に使用者に周知されていることから、改めて取扱い上の注意を喚起する必要はないものとして、この記載の対象から除外したものであること。

11 「17 取扱い上の注意」について

「注意」、「貯法」、「有効期間」、「使用の期限」等小項目を設けて記載すること。

12 「19 主要文献及び文献請求先」について

① 「警告」から「非臨床試験」までの各項目の記載の裏付けとなるデータの中で主要なものについては主要文献として本項目に記載すること。

② 主要文献として記載した文献の内容を引用している「警告」から「非臨床試験」までの各項目の該当部分については、使用者が当該文献を検索できるよう引用番号を付すこと。